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沢田太陽の2018 年間ベスト・アルバムTop50  40-31位

どうも。

 

 

グラミー賞のノミネート発表が延期された関係で、こちらの発表、繰り上げます。2018年間ベスト・アルバムTop50。今日は2回目ということで、40位から31位までをやりますが、こんな感じです!

 

 

 

こんな感じになりましたけど、それぞれどういうアルバムなんでしょうか。早速40位から行きましょう。

 

 

40.Black Panther/Soundtrack

 

 

40位は「ブラック・パンサー」のサントラ。

 

もう、映画の方が、もう長きにわたって「黒人にはスーパーヒーローの役は演じられない」と映画史がはじまって以来100年くらい言われていたことを、マーヴェルという一大フランチャインズに乗って、それを記録的なセールスを伴う形で覆すという、歴史的快挙を成し遂げました。今やもう、「オスカーの作品賞ノミネート、あるか」というところまで来ています。映画そのものも、今現在最高の黒人の役者陣に加え、アフリカ伝統芸術にまで連なるアート感覚を最大限に表現していましたが、その「黒人カルチャーとしての最高を目指す」姿勢は、このサントラにも相通じていたと思います。現在最高のラッパー、ケンドリック・ラマーを中心に、今日のR&B・ヒップホップのクリエイティヴ面においてのオールスター・チームを集結させた点において、これまた非常に有意義でした。さらには南アフリカのラッパーたちを参加させて、「魂の故郷」であるアフリカとの連帯を示せていたところも見逃せません。90s前半以来に再活性したブラック・カルチャーの最盛の象徴の一つとして、長く解釈されるものになるような気がします。

 

 

39.Vide Noir/Lord Huron

 

 

39位はロード・ヒューロン。

 

知ってる人、少ないと思うんですけど、実はこれ、今年の全米アルバム・チャートのトップ10に入っているアルバムです。彼らはLAを拠点としたバンドで、2010年代前半のインディ・フォークの時代に運良くメジャー・レーベル契約するのに成功しています。そういうこともあり、売り方がいかにもメジャー流のやり方で、ティーンが好んで見そうなテレビ番組の挿入歌とのタイアップで人気を上げていきました。とりわけ有名なのはネットフリックスの「13の理由」ですね。こう言う感じの売り方だったがために、インディ・ロックの音楽メディアから相手にされない傾向が強かったんですが、「なんでこれがトップ10に?」と思って聞いてみたら、これが意外と面白いんですよ。このアルバムなんて、プロデュース、デイヴ・フリッドマンですからね。古くはフレーミング・リップスとかモグワイ。それからMGMTのファーストの。彼がロード・ヒューロンを使って、エコーとかバリバリにかけまくって、すごくサイケデリックでガレージなサウンドを駆使して、このバンドのコンフォート・ゾーンをかなり刺激して大胆になっているんですよね。「ドラマで流れる、ちょっと気になるバンド」以上の価値のある存在に、このアルバムでなれているような気がします。

 

 

 

38.Trench/twenty one pilots

 

 

38位はトウェンティ・ワン・パイロッツ。

 

レーベル・メイトのパニック・アット・ザ・ディスコが、現在のトラップを主体とした今日の流行りに自分を近づけることで新たな支持を獲得するのに成功したのとはまったく逆に、彼らは前作での、ちょっとチャラチャラした感じを自ら戒めるように、あえて硬派に作ってきましたね。ソングライティングのチームにミュートマスのポール・ミーニーを迎え、想像以上にバンド色を強くしたサウンドに仕上げてきました。昨今、もうホワイト・ラッパーも珍しくない世の中だから、世のトラップ・ブームに乗りでもしたらそこそこ成功したような気もしますが、彼らはそういう安易なことを選択せずに、自分たちの基本であるヒップホップ・バンドに立ち戻った感じですね。それでいて、従来の「バンド+ヒップホップ」にありがちな、パンクやメタル的なフォーマットに流れるわけでもなく、あくまで「これからのミクスチャー・ロック」を模索するような真摯さが伺えたことは好感が持てます。それにしても去年のパラモアもそうだし、今年のパニック!と彼らもそうだけど、フュールド・バイ・ラーメンのバンドたちが予想以上に個性的に成長していってますね。10年ちょい前のエモ・ブームの時は「キッズに媚びてセルアウト」した印象もあって好きじゃなかったんですけど、ブームを超えてからの生き延び方が良いと思います。

 

 

37.Ordinary Corrupt Human Love/Deafheaven

 

 

37位はデフヘヴン。

 

彼らは数年前から「インディ界隈で盛り上がっているメタル・バンド」として注目されていましたね。確か、これの前々作の時に聞いたことがあって、その時は「僕にはちょっと・・」というタイプのバンドでした。ただ、今作を聴いてみて、これまでのファンの方にはわからないですが、「いい意味でだいぶ聴きやすくなったな」という印象で一気に好感度上がりましたね、僕の中で。この人たち、楽曲の構築能力はすごくスケール感が大きくて美しいです。なんか初期のレディオヘッドとかピクシーズを聞いてるみたいで。歌がデス声で入ってくるまでは全くメタルには聞こえませんからね。サビになると、言葉になってないデス声で叫ぶんですけど、7分から10分強あるドラマティックな曲展開があるおかげで、その声とのコントラストがやがて心地よくなるから不思議でもあります。彼らのような音楽性を「ブラックゲイズ」っていうみたいですね。その昔、例えばモグワイとかゴッド・スピード・ユー・ブラック・エンペラーみたいなバンドが日本のインディ界隈ではやったことがあった時に、「ファンの言ってるカタルシス、なんかメタルっぽいんだけど」と思っていたんですけど、なんかそれが拡大成長した感じですね。なんとなくですけど、今後さらにわかりやすくなって、彼らかそのフォロワーがメジャー化しそうな予感がしてます。

 

 

36.KOD/J.Cole

 

 

36位はJコール。

 

彼は昨年(というか一昨年の12月)のアルバムも20位台に入れているんですが、それに続いての2年連続のランクインです。Jコールというのは、アメリカだと「魂に来るエモーショナルなラップをする」ということで「ケンドリックの次の実力派ラッパー」とも言われる人なんですが、これまで作品発表がメディアの注目しにくい12月に多かったことや、「ラップはうまいんだけど、サウンドがプレイ・イット・セーフ(無難)」とか言われて、なかなか正当な評価されてなかったんですよね。今回、ようやくそれを挽回するチャンスとばかりに4月にリリースして、最初の週にはSpotifyでのストリーミングの記録も作ったんですけど、今度は「説教しすぎ」というので批評的には高くありません。でも、成長は確実に感じさせるんですけどね。彼、トラックメイカーでもあるんですが、ジャジーでソウルフルなその路線はさらに本格的に磨かれているし、スピードにも横ノリにも余裕で対応出来るラップのスキルもさすがだし。中でもすごいのは、「フィーチャリング・ラッパー」まで自分で演じてしまうことですね。彼、前々作からゲストを一切呼ばないアルバムを作り続けているんですが、今回珍しくゲスト入りかと思ったら、それが本人だったという(笑)。こう言う今時珍しい、ギミック一切なしの頑固なガチンコ・ラッパー。もっと注目されてしかるべきです。

 

 

35.A Star Is Born/Soundtrack

 

 

35位は「アリー スター誕生」のサントラ。

 

これも「ブラック・パンサー」同様、エンターテイメント性と批評性が両立した作品で、今日を代表するポップ・ミュージックが大活躍する映画ですよね。そういう作品が年に2本も出たところは2018年の特筆すべき点の一つなので入れてみることにしました。ただ、やはり音楽ものの映画ということ、その現在の音楽界の描き方が絶妙ゆえに、順位はこちらの方がやはり高くつきますね。これ、「ガガの今」を代表する作品としての魅力もさることながら、同時にブラッドリー・クーパーの声を表向きに使って、今のオルタナ・カントリーのいきの良さをしっかり大衆にアピールできているとこなんて絶妙な目の付け所です。今の世の中、オーディエンスの数で行ったら、こう言うロッキンなカントリーの方がインディよりもアリーナにはフィットしますしね。そしてやっぱりガガね。彼女が、演技でも歌でも「下積み」「注目される瞬間」「ソロとしてのスターダム化」をしっかりと演じ分け、歌い分けしている器用さには驚かされますね。元来、ピアノ一本で歌わせても十分に迫力を持って聞かせられる人でそこもしっかりアピールできている上に「ガガとはちょっと違うアリー」というフィクショナル・キャラクターを演じるのに、「自分の薄口ペルソナ」に合わせた曲もちゃんと器用に作れるしね。この二つの全くタイプの違う音楽性を一枚で堪能できるのもすごくお得感があります。

 

 

34.Hope Downs/Rolling Blackouts Coastal Fever

 

 

34位はローリング・ブラックアウツ・コースタル・フィーヴァー。

 

イギリスやアメリカがパッとしなくても、オーストラリアという国からはいいバンド、出てきてます。去年、ここで20位以内に入れたギャング・オブ・ユースとか、来年あたりでてきそうなキング・ギザード&リザード・ウィザードとかあるんですけど、この非常に長い名前のRBCFもその一つですね。メルボルン出身のこの5人組は、イメージとしては80sの初頭にMTVとかで地味に流行ってた、文系のパワー・ポップっぽいギターバンドって感じですね。ギタリストが3人いるんですけど、この3本のギターがいずれもシャープで厚みはないんですけどスリリングでカッコよく、この3本の絡みがメインのメロディと同じくらいの効果を持ちます。「久々にギター・サウンドをメインに聞かせるバンド」として評判かなりいいですね。年間ベストでも、とりわけイギリスの早耳のメディアのものではかなり上位に入ってきています。ちょっとルックスに華がないのと、「ここからロックが変わりそう」という感じのカリスマ性がないのがやや物足りなくはあるんですが、でも、そこそこはシーン活性化のために活躍してくれるんではないかと期待しています。

 

 

33.Little Dark Age/MGMT

 

 

33位はMGMT。

 

今年「カムバック賞」を誰か一アーティストにあげろと言われれば、僕は迷わずMGMTにあげたいですね。もうね。待ってました、こういうアルバム作ってくるの!2008年に名作ファーストを作り上げて「Time To Pretend」「Electric Feel」そして「Kids」とヒットさせて一躍「インディの寵児」としてもてはやされましたね。セカンドの出る、2010年の期待値なんてかなりの高まりぶりでしたけどね。ただ、「スターダム」というものを極度に恐れすぎたのか、あるいは学生気分の延長でやってたところにあまりにも成功が早く来すぎてしまったからなのか、彼ら自身がそれについていくことができなかったのかな。妙にヘンテコリンなアルバム作って、やる気なさそうにライブしたりしてね。見ててなんか「幼いなあ」とまで思って歯がゆかったんですが、30代も半ばになってようやく腹をくくったか、自分たちにポップなメロディ書くセンスがあったことを急に思い出したように、すごくメロディックな、ファースト以来の好アルバムを出してくれました。タイトル曲とか「Me And Michael」(ユーロビートみたいなセンスが絶妙!)とか、ようやく先の3曲に並ぶ曲が出てきてね。こういうのがセカンドの時に出てたら今頃はフェスでもヘッドライナーの大物になってたと思うし、それを考えるともどかしくもあるんですが、ここから取り戻していただきたいです。

 

 

32.Premonitions/Miya Folick

 

 

2位はミヤ・フォリック。

 

ミヤはLAを拠点に活動する女性アーティストで、母方は日系人ですね。彼女はすごく美人で、ファッション的にもモードな感じの短髪だったりしたことから、今回デビュー・アルバムを出す1年以上前から、先物買の音楽メディアでは結構話題になってましたね。僕も今年の初めくらいには顔も名前も知ってたので。で、10月にようやくアルバムが出たんですけど、いやあ、すごい才能ですよ、この人。サウンドは割といまどきよくあるといえばあるエレ・ポップ風ではあるんですが、もう、なんといっても声ですよ!かなり高いファルセットをここぞという時に思い切り伸ばすことができる、かなりレンジの広い歌が歌えます。これ、予想ですけど、彼女、EDM系のDJからフィーチャリングで声がかかるにも時間の問題でしょうね。「次の時代のSia」くらいにはすぐなれそうな気がしてます。あと、歌詞のセンスもなかなか面白いものがあります。「あからさまにバカな人のidiosyncrasy(アホさ加減)について語るのはだいたい嫌い」とか「あなたのバスルームで頭を剃って髪をかき集める」とか、他で聞いたことのないようなセンス持ってます。もっともっと注目されてしかるべき人ですよ。

 

 

31.Dirty Computer/Janelle Monae

 

 

31位はジャネール・モネエ。

 

どうやら世間一般では、このアルバムが今年のナンバーワン・アルバムのようですよ。Album Of The YearだとかMetacriticが今年のメディアが出した年間ベストを整理して順位をつけているんですが、これが1位ですから。ほとんどのメディアでトップ10入ってますしね。彼らが言うには「プリンスにオマージュを託し、LGBTに対してのポジティヴな強いメッセージを発した」というのが評価のポイントのようなんですけど、でも、言わさせてもらうと、「でも、それって去年のセイント・ヴィンセントのMasseductionとテーマ、まるっきり同じだよ」って言いたいんですけどね。そういうことがあったので僕の評価、低いんです。ジャネールもヴィンセントも友人同士なので同じ意識強いと思うんですけど、だけど、ちょっとあまりに似すぎて聞くときに複雑になるんですよね。彼女はデビューの時から大好きですが、ファーストとセカンドほど感動は正直しなかったです。でも、とはいえクオリティはやはり高いし、リリックが今回はグッときます。中でも「この戦いは一人ではダメ。みんなで戦おう」「私の国を持って行かないでよ。私の国は私で守る」とトランプのアメリカに苛まされた人に勇気を与えるラストの「Americans」はやはり圧巻です。

 

 

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 09:13
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沢田太陽の2018 年間ベスト・アルバムTop50  50-41位

どうも。

 

では、沢田太陽の2018年間ベスト・アルバム。今年もやりましょう。

 

 

まず今日は、50位から41位を紹介しますが、下の写真のような感じになっています。

 

 

 

では、早速、50位から行きます。

 

 

50.Camila/Camila Cabello

 

 

50位はカミーラ・カベーロの「Camila」。

 

元アイドル・グループのフィフス・ハーモニーのメンバーであることに加え、彼女たちが「XファクターUSA」という失敗したリアリティ・ショーの出身であるということを考えると、カミーラのここまでの軌跡は本当に目覚しい成長だったんだなと思います。しかも本格ソロ・デビューのヒットが、あの世界中で大ヒットした「ハヴァナ」なわけでしょ。あれは、キューバ系という彼女の血筋と、コロンビアのレゲトンやラテン・トラップといったモダン・ラテン・ダンス・ミュージックの勢いの両方を垣間見せていたしし、彼女が歌うからこそ説得力のあるオリジナリティある好ポップ・チューンで僕も大好きでした。それがゆえに、すごく期待高かったんですよね、このアルバム。ただ、それには完全に応えられてはいなかったかな。中途半端に、三流アイドルでも歌えそうなEDMっぽい曲があったりするのは余計でしたね。微妙に大衆に日和った感じがあったのが残念だったかな。でも「ハヴァナ」をはじめとしたラテン・ダンス路線には光るものがあったので、次にその良さを伸ばしていってほしいです。さらに言うと、なんでも彼女、THE 1975の大ファンなんですって。リスナーそのものとしての趣味もかなり良さそうなので、反映させてほしいです。

 

 

49.Walls/Barbra Streisand

 

 

49位はバーブラ・ストライザントの「Walls」。21歳のカミーラに対し、76歳のバーブラです。

 

このアルバムは前にもここで言いましたが、これ、反トランプを軸にしたプロテスト・アルバムです。しかも曲調は、いつも通りの彼女の路線であるブロードウェイ・スタイルのまま。おそらくポップ・ミュージック史上、最もコンサバティヴな音楽要素で構成されたプロテスト・アルバムだと思うのですが、そのギャップに意外な心地よさがあり、なんか気になっちゃうんですよね。さらに、このアルバムを作ろうとした彼女が75歳を超えているというのもね。今年の10月、ブラジルでは、元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズが極右の大統領候補が当選しそうなタイミングでブラジル各地で反極右のメッセージを持つライブ・ツアーをやって話かなりの物議を醸しました。その彼が75歳。そして36年振りに全米ナンバーワン・アルバムを出したポール・マッカートニーのアルバムにも環境問題に関してのトランプ批判があった。彼も76歳。「今の世の中、プロテストに形式や年齢は関係ないんだな」ということを、彼らの年齢の3分の2にも達していない僕は考えさせられたのでした。

 

 

48.Isolation/Kali Uchis

 

 

48位はカリ・ウチス。

 

彼女はアメリカ生まれのコロンビア移民です。基本は最近のフランク・オーシャンとかソランジュを筆頭とした温故知新系な「ネオ・ソウル」のアーティストではあるんですが、その出自を隠さずに生かして時にラテン・フレイヴァーを漂わせてみたり、さらに言えばゴリラズのデーモン・アルバーンまでもが参加する奥行きの広さがあります。「ネオ・ソウル系って、趣味の良さはわかるんだけど、下手するとどれも似て聞こえるんだよなあ」というところを、彼女はその多彩さと、サンダーキャットやケンドリック・ラマーでおなじみのプロデューサーのサウンウェイヴ、前述のデーモンもあれば、タイラー・ザ・クリエイター、ジョージャ・スミスとゲストのコーディネイトにも光るものがある。そのあたりを買ってのトップ50入りで、クオリティから行けば、同じく今年デビューのジョージャのアルバムよりも全然上でもあります。リリース時は大絶賛でした。ただ、その賞賛が発表から8ヶ月経った今、なんかこのアルバム、忘れられた印象があるんですよねえ。おそらく彼女のヴォーカリストとしての線の細さが災いしてるのではないかな。次は音楽のセンスはそのままに、タフになった部分を証明してほしいと思っています。

 

 

47.Young & Dangerous/The Struts

 

 

47位はザ・ストラッツ。

 

彼らはアメリカのマーケットを狙って活動してますが、実際はイギリスのバンドです。彼らは言うなれば、「2003年にジェットとザ・ダークネスが出てきた時に影響されたようなバンド」というイメージで、「ヴォーカルが若い頃のフレディ・マーキュリーとジュリアン・カサブランカスを足して2で割ったよう」などとも言われていますね。彼ら、アメリカのロック系のラジオでは前作から曲はかかっているんですけど、まだしかるべきタイミングが来ないからなのか、売れないバンドのままですね。ただ、僕はこの、セカンド・アルバムを聴いて、「いい素材なのに惜しいな」とすごく思ったんですよね。ぶっちゃけ、この前の週に出たグレタ・ヴァン・フリートのアルバムよりも魅力的に感じました。GVFって確かに華はあるんだけど、どこかメンバーの言動を聞いてると、「1992年以降にロックは存在しないと思ってる類?」と思えるような、古株のメタル・ファンみたいなとこを感じる時があるんですけど、ストラッツの場合は「クラシック・ロックを今やる意義」みたいのがわかっていて、あえてケシャと共演してみたり、四つ打ちとかポップ・パンクみたいなエッセンスも足すこともできる。この柔軟性は結構好きです。GVFでクラシック・ロック渇望論があるのはわかったから、後はそれのモダナイズ化だと思うんですが、それがうまくできたら、このバンド、化けるかもですよ。

 

 

46.The Louder I Call, The Faster It Runs/Wye Oak

 

 

46位はワイ・オーク。

 

この人たちは知名度が低いので知らない人も多いかとも思いますが、キャリアは長くてすでに10年くらいあります。さらに言えば、レーベルの所属は、アーケイド・ファイアとかスプーンを排出している名門インディ・レーベルのマージ(MERGE)ですよ。そこの今年のイチオシになっていた人たちでもあります。この人たちは男女2人組で、フレーミング・リップスとかテイム・インパーラみたいなメロディックなサイケデリック・サウンドに乗りながら、ソフィスティケイトされた女性ヴォーカルで歌うんですけど、やりようによってはインディの領域超えた広い支持層を得られそうなポテンシャルも持っていると思うんですけどね。サウンドもエッジがあって曲も聴きやすくていいのに当たらない。ということは、何かがきっとオフ(うまくいってない)なんでしょうね。彼らはボルチモア出身なんですが、そこってビーチ・ハウスの出身地でもあるんですよね。しかも同じサイケデリックな男女二人組だからどうしても比較されてしまうのかな。テイストそのものはいい意味で全然違うと思うんですけどね。

 

 

45.Tell Me How You Really Feel/Courtney Barnett

 

 

45位はコートニ_・バーネット。

 

もう彼女に関して言えば「安心して見ていられる」「絶対的な信頼の置ける」リスペクタブルなアーティストって感じですね。まだアルバムとしては2枚目で、年齢も31歳と若いのに大したものです。確かに「女版ルー・リード」みたいな、詩を語り、自らが繰り出すパワーコードのリフの切れ味が鋭い女性ロックンローラーって、彼女の前にも後にもハッキリした人が見えにくいから、もうキャラ得だし、これが有効であり続ける限りはしばらくは揺るがないでしょうね。このアルバムも、「新世代の女性ロックンローラー登場!」の印象を刻み込んだ2015年のデビュー作からなんら損なわれていません。ただ、個人的なことを言うと、「安心はできるけど、その分、真新しさもないかな」と思ったので、この順位だったんですけどね。しかし、欧米圏の年間ベスト、今回のこれも強いんですよね。トップ10入りしているところを結構見かけます。リリース時よりむしろ評価いいくらいです。彼女の場合、斬新さよりも「職人芸」で勝負するタイプだから、曲を染み込ませながら聴いた方がより効果があるのかな。

 

 

44.Firepower/Judas Priest

 

 

44位はメタル・ゴッド、ジューダス・プリースト。

 

僕にしては珍しいチョイスだと思う人もいらっしゃるかとも思うんですが、僕の場合、プリーストとかアイアン・メイデンとか、モーターヘッドは決して嫌いじゃないです。中でもプリーストはその中で最も盤は抑えてて、78年の「ステンド・クラス」から90年の「ペインキラー」までのエピック期は実はほとんど聞いてます。それはおそらく、「実はよく聞くと曲はコンパクトにできている」ところにAC.DCに似たとことか、ロブ・ハルフォードの突き抜けたエンタメ性にフレディ・マーキュリーに似たとこを感じるから、とかではないかな。このアルバムで久しぶりに彼らを聞いたわけですけど、もちろん「70近いのに未だパワー健在」という要因もあるとは思うんですけど、僕はむしろ、歳をとったことで逆にこれまで勢い目立っていた過剰さがいい意味で取れて、前述した「コアな部分での曲の良さ」が滲み出た作品だからではないかと思っています。実際、今となってはこれより激しいものもいくらでもある中において、「曲の手際よいまとまりが光るロックンロール」みたいな聞こえ方もしますしね。見かけで聴く人を選ぶタイプではあり続けてはいるんですが、そうした人ほど聴いた方がいいです。あと、「ファイアーパワー」って、イキがった8歳の子供が凄そうなイメージを想像してつけたみたい(笑)に聞こえますが、そういうセンスの変わらなさも彼ららしいです。

 

 

43.Hunter/Anna Calvi

 

 

43位はアナ・カルヴィ。

 

 彼女は「第2のPJハーヴィー」の呼び声高くデビューしたのが2011年のことでしたが、2013年にセカンドを出して以来、5年音沙汰がないからどうしたんだろうと思って待っていたら、自己ベストの作品を出して戻ってきましたね。決して派手な作品を作るタイプではないので解りにくい(そこもPJと同じ)印象もあるんですけど、それでも同じく過去最高の全英アルバム22位を記録していますね。音の隙間を生かした、「厚み」でなく「鋭さ」で勝負した彼女自身によるエレキギターとフォーキーな歌心のブレンドがより熟成した印象ですね。PJ、ウルフ・アリスのエリーもそうなんですけど、線の細い甲高い声で力強さが表現出来るのも魅力です。なんとなくですけど、ある時期以降のロバート・プラントにも似た雰囲気を感じさせます。このスタイルをこのまま続けるもよし、もしくはPJハーヴィー自身がそうであったように、作品ごとにスタイルにとらわれずに大胆に変身していくもよし。今回、1曲かなり、「これってラナ・デル・レイの曲になかったっけ?」と思えるようなストリングスのクセのあるバラードがあったんですけど、このあたりが案外次回以降のヒントだったりするかもしれません。

 

 

42.Twentytwo In Blue/Sunflower Bean

 

 

42位はサンフラワー・ビーン。

 

2016年にデビュー作を出した頃は、その20歳前後と非常に若かった年齢ばかりが騒がれた印象もなくはなかった、このニューヨークはブルックリンのトリオなんですけど、今回、22歳になるにあたり、グッと大人っぽく成長してきましたね。シングルにもなった「I'm A Fool」に顕著なんですけど、ソフィスティケイトされながらも少し影もある曲調に、フリートウッド・マックの影響なんかを感じさせたりもして。そこにザ・スミス時代のジョニー・マーみたいなアルペジオ・ギターを主体に曲を進めたり。ギター・バンドとしてやりたい路線も見えてきたのはすごく収穫だと思います。この感じで極めて行けば、他に似たような路線のバンドも少ないので、独自のポジションを築いていけるような気がしますよ。あとは、ヴォーカルのジュリア・カミングスがどう個性を出していくかですね。元々、モデルやってたくらい華はある人なので、そのキャラクターの生かし方次第だと思いますよ。こう言うバンドがもうすこしラジオから流れて売れるようになってくれるとかなり未来は明るいんですけどねえ。BBCは結構よくかけてましたけどね。

 

 

41.Pray For The Wicked/Panic! At The Disco

 

 

41位はパニック・アット・ザ・ディスコ。

 

 もしかしたら、年間ベストみたいなとこにこのバンドを置くのは不適切なのかもしれませんが、少なくとも僕は、ブレンダン・ウリーが2018年にロック界に果たした貢献は評価しているつもりです。とりわけストリーミングの時代になりキッズがロックを聴かなくなった時代に、唯一と言っていいくらい全米トップ10に入るシングル・ヒットを出してアルバムも長く売っているわけですから。それがいくら今日的なポップの要素を強めたものであったとしても、キッズに「ロックのもの」の存在を忘れさせなかった意味では、本当に「助かった」とさえ思っています。そして、このアルバム、すっごい変なアルバムなんですけど、聞いていくと妙にクセになるんですよね、これ。一体、どこの世界に、エモと、トラップと、1920年代のバーレスクのスイング・ジャズ組み合わせるヤツがいます(笑)?ロックとして骨があるかどうかはわかりませんが、独自性は間違いなく感じさせます。加えて、ステージ上であの「ボヘミアン・ラプソディ」の完コピに毎度挑戦できるくらい、ヴォーカリストとしてのテクニカルな才能と、「よう、やるわ」のアイディア力も見所ありますしね。気が付いたらいつの間にか大きくなっていましたけど、今後もまだ強そうな気がしてます。

 

 

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 11:39
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年間ベストに行く前に

どうも。

 

 

では、明日からいよいよ年間ベスト・アルバム、去年と同様に50位からのカウントダウンで5回にわたってやります。

 

 

その前に、「2018年の年間ベスト」をどんな風に選んだか、を語っていこうかと思います。

 

 

 兵分に可能な範囲で)バラエティに富ませてみた

 

まず、今年に関しては、というか去年もそうだったんですけど、できるだけ、自分のできる範囲でバラエティに富ませようとしましたね。

 

僕の場合、基本、インディ・ロックなわけですけど、このブログやっててもそうなんですけど、インディだけやってると疲れちゃうんですよね(笑)。職業柄、世界の批評的音楽シーンの中でどういうものが良しとされているのかは、今や情報のチェックの仕方次第でいくらでもわかりやすくなってます。僕も毎週金曜にそういうサイトの情報を頼りにして何をサブスクで聞こうか決めてますからね。

 

ただねえ、それだけだと面白くないし、情報も偏ってしまうんですよね。やっぱ僕の場合、もともとがビルボードのチャート・マニアやってただけあって、ポップなものでも知ってみたいという欲求もあるし、批評メディアの手の届きにくいとことかに手を出して聞いてもみたいですからね。

 

 あと、批評メディアでもこぞって大絶賛でも、それが必ずしも自分のテイストに合うかどうかはまた別問題で。長年音楽リスナーやってますから、だいたいのものは「なんで絶賛されているか」を理解することはできるんですが、でも中には「その理由はわかるけど、でも、それこそが好きじゃないの」ってのもあるしね(笑)。

 

 なので、僕の年間ベストの場合、「ああ、それ、他の年間でもよく見るよね」というものが大筋では多いかとも思うんですが、時々「えっ」というのもふと入っていたりしてると思います。でも、そこのところを楽しんでいただけたらと。

 

 

△匹舛蕕というと、「今年、こういうこと、あったよね」というトピックがあるものが有利

 

 あと、「シーン分析」とかするのが好きなので、「こういうこと、今年あったよね。話題になったよね」ということがあるアーティストやアルバムの方が僕には入れやすいです。ただ、「このアルバムはいい」とか「好きだ」というよりはね。実際、そうした作品に社会性がある作品の方が時代にリンクしやすいし、「時代の音」にもなりやすいですからね。

 

 

たまたま波長が合わずに選外になったアルバム

 

 

 今年の場合は、去年ほど「大物アーティストだけど外したよ」みたいなものはないし、あんまり事前に言いすぎるとリスト見るときに面白く無くなるだろうから、あまり事前に言わないようにしようかと思うんですけど、ただ前述したような基準で選んでいるから、「えっ、他でいっぱい選ばれてるのに、なんでないの!」みたいなものはありますね。

 

僕で言えば、この辺りかな。そう言われそうなの。

 

7/Beach House

God's Favorite Customer/Father John Misty

Double Negative/Low

Con Tudo El Mundo/Khruangbin

 

このあたりですかね。ファーザー・ジョン・ミスティなんて、去年トップ10なんですけどね。

 

理由は特にないんですよね。全然嫌いじゃないし。ただ、年間50に入れたい気がたまたま起きなかったというか。ただ、クルアンビンに関しては、「ヴォーカルがないってのは、やっぱ好きじゃないなあ」とかってのもありますけど。どっちかっていうと、僕の場合、「インスト」「ロウファイ」「エクスペリメンタル」はそこまで好みじゃないとこは昔からありますからね。サウンドそのものはむしろ好きな感じだったんで、歌っていれば入った気がするんですけどね。

 

 

ぁ崋禺蠅詫ザ」だけど、今年は意外と漏れてるのがある。

 

あと、Hard To Explainやってた関係もあって、ニューカマー拾うのが好きなイメージが僕にあるかもしれません。実際、そういうアーティストを探すときってやっぱり楽しいし、新鮮な表現も出てきやすいんですけどね。

 

ただ、今年は案外、入ってないの少なくないですよ。これに関しては、そんなに入れなくても苦情は出そうな気はしないので、それが何なのかは推測してください。

 

 

R&B/ヒップホップはやや抑え目かも

 

僕の知ってる範囲の日本の批評界隈ですけど、印象としては「R&B/ヒップホップに熱くなってる、元がインディ・ロックの人、多いなあ」という印象ですね。まあ、それはこの数年の流れからしたらそうもなるのかな、とは思います。

 

 ただ、今年に関して言えば、「別にそうでなくてもいいんじゃない?」とは思います。実際に、すでに欧米メディアで出ている年間ベストだと、今年そんなにヒップホップは上位で目立ってはいないですね。それよりは、マンブル・ヒップホップやエモ・トラップ系に対しての批判は本場のヒップホップの硬派なファンの間でも強くなってきてるし、トラップもちょっと均質化してるのも否めないですしね。特にミーゴスはちょっと「労働基準法違反かよ」ってくらいに働かされすぎな感じさえしますね。

 

 なので、ここに関しては、去年より若干少なめかな。それでも、それなりには入ってるかとは思いますが。

 

 

惜しくも選外になったアルバムたち

 

 では、英語圏でいわゆる「オナラブル・メンション」と呼ばれる「惜しくも選外になったアルバム」をここで。50枚の候補で考えたけど入らなかったアルバムを10。こんな感じですね。

 

Palo Santo/Years & Years

Acts Of Fear And Love/Slaves

Desperate Man/Eric Church

Bloom/Troye Sivan

Strange Fruit/Zeal & Ardor

Die Lit/Playboi Carti

The Pains Of Growing/Alessia Cara

Not All Heroes Wear Cape/Metro Boomin'

Anthem Of The Peaceful Army/Greta Van Fleet

 

こんな感じですかね。他にもまだあった気もするんですが。あと、「3ヶ月おきのトップ10」で入れたもので、このオナラブル・メンションにさえ入らなかったものもありますね。

 

で、実質上、51位だったアルバムを紹介してシメましょう。

 

これだったんです!

 

51.Marauder/Interpol

 

 

はい。インターポールだったんですよね。

 

このバンドが僕の2000年代の贔屓バンドだったことは知ってる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回、割と盛り返しててよかったんですよ。あの時代のバンドの最近のアルバムの中では良い部類でしたからね。ただ、全体のバランスで考えた際に、ちょっと外れた方がよかったかな、と思ったので涙を飲んでもらいました。

 

・・と、そんな感じですね。

 

では、明日からの年間ベスト・アルバム、お楽しみください!

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 10:09
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沢田太陽の年間ベスト・アルバム 恒例(?)の第11位先行発表

どうも。

 

今年もですね、

 

年間ベスト・アルバム、やりますよ!

 

今年も50位からのカウントダウンで。スタートは日本時間の12/4から。最終的には12/16に終わる形で全5回の形式でやります。

 

順位は結構、順調につけてて、もう20位くらいまでは選んでます。あと10日で残りの30枚を決めますが、そんなに時間はかからないような気がしてます。候補は今年の場合割と多くて、10枚くらいは外れそうな感じでピックアップもしてますしね。

 

で、昨年もそうだったんですが、ここで11位のアルバムだけ、先行で教えちゃいましょう。

 

この11位というのは、僕にとっては非常に意味があるものです。その意味は

 

もしかしたら、世間一般的にはこれが年間1位になるべきで、自分も客観的には好きなんだけど、でも「自分の主観でトップ10に入れるか?」と言われたら、それもちょっと違うアルバム。

 

そういうものです。

 

去年はケンドリック・ラマーの「DAMN」だったんですけど、今年の場合はこれでした。

 

 

はい。カマシ・ワシントンの「Heaven And Earth」です。

 

カマシは去年も20位台で選んでますね。ものすごい音楽量を詰め込んだ音楽なのに、「メロディが綺麗だから、ジャズなんて全然知らないけど聴きたくなる」みたいな、音楽聴く際の普遍性みたいなところに触れるわかりやすさもある。だから僕は彼が好きです。ただ、とはいえ、「ジャズに関しての知識がお恥ずかしいレベルの自分が年間トップ10にこれを入れるのは、やはりちょっと違うのかな」とのためらいはやっぱりどうしてもあり、そこでこの順位となりました。

 

でも、これ、今年のいろんな年間ベストで健闘すると思いますよ。MOJOでは早速1位でしたしね。

 

 

で、年間ベストに関しての他の情報も教えておきますと

 

 

現時点でトップ5、全員女性です!

 

今年はここでも女性アーティストばっかり押してたような気がするので、それを反映すべく「少なくともトップは女性」だと思っていたのですが、トップ10枚に関しては最初から決めつけずに、それらをフルで全部改めて聞き直して選ぶ方式をとってるんですが、やっぱ、こうなっちゃいましたね(笑)。

 

ジャンル的には、かなり万遍ない感じになったと思いますよ。「不作」だとは思いながらもなんだかんだでインディ・ロック、UKロックは入っているし、ヒップホップも、ヴォーカル物のエレクトロも、今年はカントリーもありますね。枚数の割合的にも、ちょうどいいかなと。

 

ただ、対象作品の締め切りは11月最後の配信日まで。今年の場合は11/30ですが、この日まではまだ逆転の可能性があります。それがトップ10に入る場合、カマシは固定の11位のままで、トップ10の何かが12位に落ちます。

 

まあ、個人的には、これ待ちなんですけどね。

 

 

THE 1975の新作が11/30リリースなんですが、これが最終的に何位になるかですね。前作は本当に大好きで何度も聞いたアルバムだったし、今作も先行シングルの出来から判断して、まず最低でも50位から外れることはないし、若干始まっているレヴューでも高評価を聞いているので、いきなりトップ10に入る可能性があります。男性でのトップ、あるいは女性で独占のトップ5の牙城を突き崩す可能性も無きにしもですね。

 

あるいは、他の何かの伏兵が突然入ったりするかもしれません。それもすべては11/23.11/30の2回の配信次第です。

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 19:34
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7月から9月のその他の好アルバム

どうも。

 

 

昨日の続きで、トップ10には選ばなかったものの、このあたりも良いと思ったアルバム、行きましょう。

 

ちょっと順不同なんですけど、こんな感じですね。

 

Acts Of Fear And Love/Slaves

Flow State/Tash Sultana

Negro Swan/Blood Orange

Hunter/Anna Calvi

Marauder/Interpol

Nearer My God/Foxing

Hive Mind/The Internet

My Mind Makes Noises/Pale Waves

True Meanings/Paul Weller

Bloom/Troye Sivan

 

こういったあたりでしょうかね。

 

 

これ、惜しかったですね。スレイヴスのアルバム。曲だけで言ったら、むしろトップ10、入れたかったんですけどね。

 

 

 

タッシュ・サルタナのアルバムはすごく期待してたんだけどなあ。これ、オーガニックR&Bのアルバムとしてはかなり出来はいいんですけど、でも、彼女って、そもそもは凄腕ギタリストでライブではサイケデリックなサウンドで勝負するアーティストなので、これだけ聞いて誤解する人、絶対いると思うんですよね。そのあたりがちょっと残念。ただ、まだ若いし、実力、こんなもんじゃないので、今後に期待です。

 

 

 

ブラッド・オレンジとかジ・インターネットって、評判はすごくいいんですけど、どうも僕がオーガニック・ソウルになると、優れた例をたくさん知っているからなのか採点が厳しくなってしまいがちなところがあります。この辺りのサウンドって、どれも雰囲気は悪くないんですよ。ただ、曲として突出してるかどうか、そこなんですよね。ブラッド・オレンジも、前から「裏フランク・オーシャン」みたいな感じがどうもしてしまうんですけど、今回はそんな彼の作品の中ではベストだったと思います。あと、もう一押しですね。年間50には入りそうな気がしてますが。

 

 

ペイル・ウェイヴスは雰囲気があって好きだし、ライブは是非見てみたいんですが、いかんせん、本家のThe 1975に似すぎてるのが問題ですね。もう少し独自性が出てくるとなあ。曲もいいんですけど、今の段階だと何曲か聞くと飽きてしまうし。次への期待を込めて、今回はちょっと辛めに評価してます。

 

 

 

これもすごく評判のよかったアルバムでしたね。ただ、トロイ・シヴァン、「時代の雰囲気にすごく合致」していることは確かなんだけど、僕としては、彼の楽曲そのものから、「同時代性」というものを超えた、彼のソングライティングのクセみたいなひっかかり、これをもっと感じたかったかなあ。聞いてすぐに彼の曲だとハッキリわかるような、いい意味での「クセ」。これに少し欠けるかなあ、という印象だったんですよね。そのあたりがハッキリしてくると、すごくいいアーティストになりそうな気がします。

 

 

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 19:52
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沢田太陽の2018年7月から9月のアルバム10選

どうも。

 

 

今日は、3ヶ月に1度の、アルバム10選、行きましょう。

 

 

今回は7月から9月で選んでいますが、こうなっています。

 

 

こんな感じでしたが、早速見ていきましょう。

 

Be The Cowboy/Mitski

 

 

 まずはじめはミツキで「Be The Cowboy」。彼女は日本人とアメリカ人のミクストなんですが、今、USインディで台頭しつつある「エイジアン・ガールズ」の勢力の中の一番のアーティストですね。彼女の場合、自身の人種的マイノリティゆえに「どこにも属せない」という孤独感を表したリリックで共感を得てきていたわけですけど、今回のアルバムを聴くに、評価すべきは決してそこだけでないことがわかります。彼女、もともとがクラシック畑の人でもあったこともあり、ポップ・ミュージックのソングライティング・フォーマットに違ったアングルを与えることができるというか。単なる「Aメロ-Bメロ-サビ」という定型パターンを踏襲してません。とりわけ2コーラス目からの省力が多く、聞いてて良い意味で何度も裏切られますが、抜群のメロディ・ラインのセンスがあるから、新鮮味がありながらもかなり聴きやすい。どんなにロックに飽きている人でも、これは聴いた方がいいと思います。

 

 

Chris/Christine&The Queens

 

 

続いてはフランスが誇る才女ですね。クリスティーン&ザ・クイーンズ。前作はフランス語作品ながらイギリスでアルバム2位まで上がるヒットになっていますが、今作も本国で2位、イギリス3位と大ヒット中です。前作は、「エレガントな才女」風なイメージでしたけど。今作では「タフな女」イメージを前面に出してきて、ユニセクシャルなキャラクター設定で、とりわけLGBTへのアピールが強い作品になっていますね。彼女はこのキャラクター設定のうまさと、ビデオやライブでのダンス・パフォーマンスがウリではあるのですが、メロディ・メイカーとしてもかなり秀逸です。前作は正統派エレ・ポップな感じでしたけど、今回は80sのアーバン・ポップ・スタイルを取り入れたレトロで新しいアーバン・ポップを展開しています。もっともっと国際的に聴かれて欲しい人の一人ですね。なお、今作、英語版とフランス語版が出ていますが、サブスクだと一度に両方聞けます。

 

 

Astroworld/Travis Scott

 

 

 続いてはトラヴィス・スコットの「Astroworld」ですが、これは個人的に今年のベスト・ヒップホップ・アルバムですね。とにかく、「トラップを前進させよう」とする気概がいい。「サイケデリック・トラップ」とでもいうべき作品を、ヒットボーイからドレイクのスタッフから、ミーゴス、フューチャー周辺の精鋭集めたプロダクションだけでもすごいのに、そこにドレイク、フランク・オーシャン、ミーゴス、ウィーケンドに加えてテイム・インパーラからジェイムス・ブレイク、さらにはスティーヴィー・ワンダーまで入ってるわけですからね。そして、そのサウンドに合わせた「地元の遊園地を失うことで生じるイノセンスの喪失」というテーマ性がまた絶妙です。これはトラップの歴史の流れの中でも一つのターニング・ポイントになるんじゃないかな。もしかしたら、これがピークになったりするかもしれない。そういうアルバムだと思います。

 

 

Swimming/Mac Miller

 

 

 

 そのトラヴィス・スコットのアルバムと同日にリリースされ、そして、これがまさかの遺作になってしまったマック・ミラーのアルバムです。これ、これまでの彼から考えたらかなり大きく飛躍した力作で、これを聴いて、この先をかなり期待したのに、その矢先の訃報でしたから本当にショックでした。26歳というのは、本当に早すぎます。ここでの彼は、これまでにエイミー・マン、ルーファス・ウェインライト、フィオナ・アップルを手がけた才人、ジョン・ブライオンを迎え、彼らしい流麗さと鋭角さが入り混じったストリングス・アレンジの中、マックが新たなオーガニックなヒップホップを模索しているのは強く理解できたし、「Jコールに対しての白人側からの回答」みたいな感じになりたいのかな(Jも参加してます)と思わせるのには十分な作品でしたからね。まだ、成長するだけの余白もたくさん残っていただけに返す返すも残念ですね。

 

Iridescence/Brockhampton

 

 

 

この人たちも今、最もホットな存在ですよね。テキサス生まれ、カリフォルニア拠点の大所帯ヒップホップ・クルー、ブロックハンプトン。去年からインディでの3枚のアルバムで話題でしたが、満を持してのメジャー・デビューで全米初登場1位にもなりました。彼らの場合は、リーダーがオープンリー・ゲイで、人種交配という、文科系イメージもあって、より、これまでヒップホップに興味のなかった層を惹きつける魅力もありますが、「いかにもインディからのたたき上げ」と思わせる、メジャーでのトレンドとなっているサウンド作りを避けた、昔ながらのセンスの良いヒップホップを丁寧に聴かせているのにも好感が持てます。その分、分かりやすい新鮮さにはやや欠けもするんですが、そのあたりにどう彼らが答えを出していくか。それが出来次第で、今後、ますます面白い存在になっていきそうな気がします。

 

 

Sweetner/Ariana Grande

 

 

続いてアリアナ・グランデの「Sweetner」ですね。ここ、もう4、5年になるのかな。今、現在で世界で最も優れたアイドル・ポップ・アルバムを作っているのは、文句無しで彼女ですね。サウンドが洗練されているというのもあるんですけど、例えば、今のBTSあたりと決定的に違うのは、サウンドの形式的な部分を超えた、メロディとかの楽曲的なコアな部分ですね。彼女の場合、これが他のアイドルのそれと比べてみても圧倒的なんですよね。今回のアルバムは特にそれがわかりやすく出ていますね。最初、正直、「地味かな」と思ってたんですけど、聴き進めば聞き進んでいくうちに中盤以降にだんだん味が染み付いてきて、終わる頃にはすごく好きになっている。彼女みたいなポップスターの場合、頭の方に目立つ曲をガンガンと持ってくる、みたいなアルバム作りを得てしてしやすいんですけど、こういう玄人向けなアーティストのアルバムみたいなことをしてくるあたりは、彼女のスタッフもかなり考えてますね。そして、そういう曲をワンランクうえに聴かせる彼女の歌唱力も見事です。また、スキットのタイトルにSNLコメディアンのフィアンセの名前を使うユーモアにもニヤリ、でした。

 

 

Egypt Station/Paul McCartney

 

 

続いて、ここからはロック、行きましょう。まずはサー・ポールのアルバムから。76歳にして、36年ぶりに全米1位になったアルバムでもあります。彼くらいの大ベテランになると、過去の作品との比較もあって、なかなか素直に絶賛する人って出にくいものではあるんですが、僕はこれ、賞賛に多いに値するアルバムだと思いますね。確かに、特に新しい何かがあるわけではありません。でも、「新しくはないけど、曲はいいじゃないか」というアルバムを、少なくとも彼は「Chaos And Creation In The Backyard」(2005)以降、コンスタントにずっと作り続けているし、それが75歳超えても一向に衰えない。これって、すごいことですよ。特に今回は、「これでもか!」というくらいにポール節が全開。冒頭の「I Dont Know」「Come On To Me」からつかんできます。まあ、確かに、売れっ子プロデューサーのライアン・テダーが絡んだ「Fuh You」みたいな、キッズ向けの俗っぽい曲は嫌われもするんですけど、最近のインディよりのロックのアーティストが恥ずかしくてできないようなことにもあえてトライできる余裕があるところも僕は逆にいいと思っています。

 

 

Ordinary Corrupt Human Love/Deafheaven

 

 

続いては、これは、インディのメタル・ファンの間では以前から話題になっていたバンドですね。デフヘヴン。彼らみたいな音楽性を「ブラックゲイズ」、つまりブラック・メタルとシューゲイザーのミックス、ということも知らないくらいに、この領域、僕は詳しくはないんですけど、そういうことをたとえ知らなくても、これ、純粋にアルバムとして展開がすばらしいし、かつ美しいと思えるので好きです。いうなれば、これ、パッと聴きはここれ、メタルというよりは、初期のレディオヘッドとか全盛期のピクシーズみたいな感じで、その曲の展開力をさらにスケール大きくインストで展開した感じですね。そこにヴォーカルのデス声が乗ってきて、そこで多少好みが分かれそうな気もするんですが、苦手な人でも、慣れてしまえばそんなに問題はないんじゃないかな。どことなくモグワイあたりも思い出すんですが、ギターのノイズに対しての好みの問題もあり、僕はこちらの方がより好きです。この形式としてはこれがベストな気もするんですが、彼ら、今後どうするんでしょうね。より歌モノにシフトしていけば、かなりビッグなバンドにもなれる気もしますが、そうすると古くからのファン離れちゃうかな。

 

 

Joy As An Act Of Resistance/Idles

 

 

 続いて、今年イギリスで最もホットなバンド、ブリストルを拠点とするアイドルズです。彼らが良いのは、もう、とにかくロックンロールを文句無しにカッコよく聴かせられることができることですね。これの前のアルバムはハードコア・パンク調で、そして今回のこのアルバムはポスト・パンク調でそれができています。甘さ一切なしの、エッジをギシギシ立てたまま最後まで疾走。どんなにロックの危機が叫ばれても、本当にカッコいいロックンロール・グルーヴを届けてくれるバンドさえ入れば大丈夫。そう思わせてくれるタイプのバンドです。加えて彼ら、パンクの原点に立ち返った、イギリスの労働階級のなんとなく不満で退屈な気持ちのリアリティもしっかり持って、それをストレートに出しているのも良いです。こう言うバンドがチラホラ出てくると、今後のシーンにも期待できそうな気がします。

 

 

And Nothing Hurt/Spiritualized

 

 

 そしてラストを飾るのは、イギリスの孤高のカリスマ、ジェイソン・ピアースのスピリチュアライズドです。彼の孤高ぶりは90年代から既にそうで、彼独自のスペース・シューゲイズで一般的な人気もかなりあった人ではあるんですが、老成ぶりも素晴らしいものがあります。2000sからゴスペルの要素もサウンドに取り入れるようにはなっていたんですが、このアルバムでは、カントリーやブルースの要素も取り入れ、彼の根底にあったソウル・ミュージックの要素を前面に出すことによって、「円熟するシューゲイズ」の見本をしっかりと示していますね。前に、「デペッシュ・モードがシンセ・ポップのまま枯れるのが美しい」というようなことをここで書きましたが、それをシューゲイザーでやっているのが彼で、枯れ具合で言えばもっと枯れてます。

 

 

 

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 19:29
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