RSS | ATOM | SEARCH
今週のアルバム寸評

どうも。

 

 

今週はいっぱいあります。日曜恒例、アルバム寸評です。

 

Ellipsis/Biffy Clyro

 

 

 まずは全英初登場1位を獲得したビッフィ・クライロの新作から。彼ら、ライブのクオリティが間違いなく良いんですよね。その影響で、日本でもフェス出演時にファンが増えたという話を聞きます。僕も一昨年のサンパウロ公演が気に入ってファンになってますね。もうイギリスだと2007年頃からトップ3に入り出して、今や不動のヘッドライナー・クラス。「イギリスのフー・ファイターズ」みたいな感じで,特別新しいことをやっているわけじゃないんだけど、ソングライティングの旨味で飽きさせないタイプとして人気ですね。サイモン・ニールって、曲調に関わらずシャウトしないでクールなまま歌いきるし、曲は哀愁味が強ければ強いほどいいですね。今回のアルバムは2007年の「Puzzle」ほどの骨太さも09年の「Only Revolution」みたいな多様性もなく最高傑作のたぐいではないですが、それでもしっかり安定して聞かせられているのが良いですね。

 

 

Wildflowe/The Avalanches

 

 オーストラリアのサンプリングの魔術師、アヴァランチーズの実に16年ぶりのアルバムです。「SInce I Left You」での手の込み入ったサンプリング仕事に、トラックのキラキラさかげんであの当時も本当に人気でしたが、そのイメージのまま10数年消えるという、マイブラ効果みたいな感じで今回伝説化していましたね。今作も、アヴァランチーズにしか出来ない、彼らでしか鳴らしようがない、70s初頭のフリー・ソウル的なトラックをキラー・チューンにしたキラキラした世界を聞かせてくれています。今回絶賛されているのは、「待ったんだぞ!」というファンの思いが強いからでしょう。でも、僕は本音言うと、「そこまで良いかなあ」という感じです。前作ほど良いとは思わないし、何かがそこまで進んだ感じもしないので。ベーシックなロックバンドにはそんなに「変化」「進化」は期待しないんですが、彼らみたいな手法で聞かせる人たちにはもう少し何かを求めてしまうんだよなあ。

 

 

Blank Face LP/Schoolboy Q

 

 

 今回、一番好きなのはコレですね。ケンドリック・ラマーとかつて「ブラック・ヒッピー」というグループを組んでいたロサンゼルスはコンプトンのラッパー、スクールボーイQの新作ですが、やはりケンドリックという強力な仲間がいる分、刺激されているからなのか充実した一作ですね。「ブラック・ヒッピー」というイメージの通り、60s後半のロックやソウル・ミュージックの影響を受けた、ワウワウ・ギターやブルース・ギター、コッテリ、ネットリしたファンク・ビートを強いバスドラのキックでモダンに進化させたトラックの上に、ケンドリックほどの出し入れ自由なコントロールのうまさはないものの、安定感抜群でしっかりしたラップを聞かせてくれています。参加陣もカニエからアルケミストなど豪華な名前が目立ちます。ただ、ケンドリックも手がけるコンプトンのプロデューサー・チーム、Digi&Phonicsの手腕が特に光りますね。

 

 

Nothing's Real/Shura

 

 

 今回の掘り出し物は、このシューラですね。現在24歳の、またまた現れたエレクトロ女子のデビュー作ですけど、これが全曲シングル・カットが可能かと思えるほど、とにかく一曲一曲のキャッチーな完成度が見事なんですよ。ところどころ、Robynを思い出しますね。Robynほど歌は歌はうまくなく、楽曲のシャープさはないんですけど、それでもトータルで高水準の曲の数々で、とにかく歌メロが強いのがいいです。この夏なら、先々週紹介したフランスからのクリスティーン&ザ・クイーンズと並ぶ、エレクトロ・クイーンですね。今後楽しみです。

 

 

IV/BadBadNotGood

 

 これも良かったなあ。カナダはトロントのジャズ・バンドですが、すごくモダンな人たちです。ジャズといっても、今の若い人たちらしく、ヒップホップも、いまどきのインディ・ロックも、ビーチボーイズの「ペット・サウンズ」も、どういうところが良いのかわかって聞けている世代が、こうした要素を一気にまとめて演奏している感じがすごく新鮮です。今回4枚目ですが、僕自身はこれがはじめての作品なので過去との比較がまだ出来ていないのですが、こういうジェネレーションが出て来るとジャズの今後は明るいし、ジャズが最近若手中心に元気な理由もわかりますね。

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:ストリーミング・レヴュー, 19:56
comments(0), trackbacks(0), - -
今週のアルバム寸評

どうも。

 

 

昨日は映画館で2本ハシゴしました。僕、映画はたくさん見ますけど、ハシゴってしないんですよね。多分、学生の時以来じゃないかな。おいおい、それもまたレヴューしますね。

 

 

では、日曜恒例になりました、アルバム寸評、行きましょう。

 

 

Freetown Sound/Blood Orange

 

 

 

 今週、批評家界隈で一番話題だったのがこのアルバムですね。ブラッド・オレンジの3枚目のアルバム。デヴ・ハインズはテスト・アイシクルズ〜ライトスピード・チャンピオンと見て来ていますが、こちらのプロジェクトで収まりましたね。この作品なんですけど、意味的にかなり重要なのはわかります。特に歌詞ね。昨今の、アメリカにおける、止まらない白人警官の偏見に満ちた暴力とそれに対する黒人側の「Black Lives Matter」の抗議運動。その最中に本作、被害にあった黒人の目線から、あえて怒りを表現せずに淡々と彼らの心情を内省的につづっています。それだけで今年を語る際に欠かせない作品ではあるし、それゆえ絶賛されているのもわかります。僕としても、すごく愛したい一作ではあります。しかし、これはブラッド・オレンジのこれまでのアルバムもそうだったんですけど、「一部だけが熱狂的に盛り上がって、シーン全体に行き届かない」傾向は今作でも変わりません。そして、その理由もわかります。なんか彼、やっぱり「オルタナティヴR&B」として聞いた場合に、どうしても声が弱いんですよねえ〜。あと、曲調でアクセントのある変化がつけられないのも課題ですね。今回、デボラ・ハリーからネリー・フルタードまで結構多彩なゲストのはずなんですけど、今ひとつ際立たないというか。「あるポイントにはすごく刺すけど、そうじゃない人へのアピールが弱すぎる。この落差の克服は必要な気がします。良い要素がより多くのリスナーに届いて欲しいからこそ、あえて言いたいです。

 

 

black SUMMER'S night/Maxwell

 

 

 

 その意味で、僕は同じ「オルタナティヴR&B」なら、むしろこちらの方を音楽的には評価しています。マックスウェルの実に7年ぶり、さらにその前も8年ブランクがあったから、15年でわずか2枚のアルバムということになります。タイトルは実は前作と同じなんですが、大文字で強調する単語が、前作は最初の単語だったんですが、今回は2番目に来ています。次作は3番目なんでしょうね。この作品ですが、すごく印象に残るのは、生ドラムのキックの音のデカさ!これが連打されることによって、かなり新鮮な響きをサウンドに与えています。そのリズムの土台に乗り、細かく切ったジャジーでソウルフルなホーンと、レゲエ調のカッティング・ギターが、これまで彼が築き上げて来たネオ・ソウルの路線をさらなる次元に高めています。繊細な感触ながらもスモーキーなヴォーカルの説得力も磨かれてます。さすがです。このテのサウンドだと、一昨年暮れに10数年ぶりに復活したディアンジェロが目立ちますが、90年代の後半のときからそうでしたけど、対抗馬としてマックスウェルの存在も忘れて欲しくはないです。

 

 

The Bride/Bat For Lashes

 

 

 僕もすごく好きなイギリスのシンガーソングライター、バット・フォー・ラッシズこと、ナターシャ・カーンの最新作。ソフィスティケイトされながらも、いつも悲しい哀愁が漂う彼女の作品ですが、今回はコンセプト作でして、「結婚当日に恋人を交通事故で亡くす女性」という、その昔の「101回目のプロポーズ」みたいなお話です。テーマ性そのものはかなり通俗的なのですが、サウンドの方は、「やや実験的なエレクトロ・バロック・ポップ」とでも言うべき、レディオヘッドが最新作でためした、電子音とストリングスが甘くも進歩的に交錯した感じが非常に美しい仕上がりとなっています。サウンドのキレ的には過去最高かもしれません。期待されながらもどうも暗過ぎた前作(今回チャートの結果が前作より低い9位に終わったのは、このアルバムの影響だと思う)よりは断然好きでもあります。ただ、コンセプトにあまりにひねりがなさすぎるのと、楽曲的にも良いんですが、それでも彼女のブレイクのキッカケとなった前々作「Two Suns」(2009年)には及ばないところでやや落ちますけどね。

 

 

Summer 08/Metronomy

 

 メトロノミーの4枚目となるアルバム。今回は中心人物のジョセフ・マウントのひとりレコーディングとなっています。なんか、プロディジーみたいな作り方になってますね。ライブはまた違うんでしょう。この人たちって、最初にすごくヒップスターな注目のされ方をしたもんだから、セカンド以降、「えっ?」って展開して、それがまた面白かったりするんですが、今回もそんな感じで、微妙に裏かいて来ます。ただ今回は、「2008年の夏」という、ちょうど彼らがデビューする前夜くらいの、ジャスティスみたいな感じのフレンチ・エレクトロがウケたり、クラブでMGMTがものすごくかかってたりしたあのEDM前夜くらいの時期のポップで、まだ俗になり過ぎていなかった頃のグッド・メロディなエレクトロを聞かせてくれてますね。だからといって、啓蒙的に「あの頃に戻れ」というのでもなく、ノスタルジーに浸るわけでもなく。これが今にどういう意味をもたらすかもよくはわからないのですが、聞いててヌケの良い、ソングライティングの上手なアルバムだなという感じは今回もしましたね。

 

 

California/Blink 182

 

 活動休止後2作目、5年ぶりのブリンク182のアルバム、世界的にかなり売れてますね。今回、フロントマンがトム・デロングから元アルカライン・トリオのマット・スキバに代わってますけど、そういうのの影響はないようです。なんか、バンドのフロントマンが代わったのに1位取るって、僕の世代だとどうしてもヴァン・ヘイレンを思い出してしまうのですが、なんとなく構図は似ています。ヴァン・ヘイレンはデイヴ・リー・ロスというおちゃらけキャラが抜けてサミー・ヘイガーという、歌唱力はデイヴより遥かに上で安定してて幅があるんだけどショウの要素としてはどうにもつまらなくなったなという感覚だったわけですが、ブリンクの場合も、トムの、人を食ったような鼻声ヴォーカルから割と真っ当な歌い方に変わってますけど、これ、ステージでどうなんでしょうね。アルカライン・トリオに子供っぽい下ネタ・イメージ、全然かなったんですけどね。なんか印象としては、一生懸命、これまでのブリンクのイメージを保とうとしてますけど、なんか無理あるなという感じで。ブリンクの子供っぽいイノセンスさの象徴ってどうしてもトムのイメージがあるんですけど、でも、聞くところによると、どうもそのトムの方がそういうイメージをもうやめたくて、作って来る曲がコールドプレイみたいになってきたからクビ切られたみたいなんですけどね。ファンとしては、悪ガキが成熟する姿を見たかったのか、それとも、無理してでも悪ガキのままでいてほしかったのか。なんか、そのあたりでスッキリしない作品になってますね。「ラヴ・バラードを大仰にひたすら熱唱する」くらいの変わり方の方がインパクトあったけど、そんなことしたら一般的には自滅だろうしなあ(って、それ考えたらヴァン・ヘイレン、よく生き残ったね、そのあと)。

 

 

 

author:沢田太陽, category:ストリーミング・レヴュー, 19:21
comments(0), trackbacks(0), - -
今週のアルバム寸評

どうも。

 

 

今週はリリースの関係上、やや枚数少ないんですけどね。その分、来週が多いんですけど。日曜恒例、今週のアルバム寸評。

 

 

Brazy/YG

 

 まず最初が、NWA再評価で注目を浴びているロサンゼルス、コンプトン出身の若手ラッパーのアルバム。全米チャートで6位まであがっています。コンプトンと言えばケンドリック・ラマーでひときわ注目を浴びていますが、YGには彼ほどのスキルはありません。しかし、NWAからの伝統を受け継いだファンキーでヘヴィなサウンドに、シリアスな現実直視のラップをシニカルかつユーモラスに、丁寧に紡いでいるのは、「コンプトンに生まれたラッパーとしての使命」のような心意気が買えて好感持てました。ちなみにこのアルバムのベスト・トラックは「FDT」。これ、「ファック・ドナルド・トランプ」で、一部で話題呼んでますね。

 

 

A/B/Kaleo

 

 つい先日、HBOの期待の70sロック・ドラマ「Vynyl」の放送が打ち切りになったことはここで書きましたが、その唯一の収穫が主題歌をつとめたこのバンド、カレオのアルバムが全米チャートで15位まで上がったことでしょうか。彼らはアイルランドの若いバンドなのですが、今後かなりセールス的に大きなバンドになりそうな予感です。アイスランドといえば、ビヨーク、シガーロス、オブ・モンスターズ&メンと、かなり繊細な文系色の濃いバンドですが、こちらは骨太なクラシック・ロックでフロントマンのソウルフルな熱唱がウリです。ライブ的にはかなり見せ場作れそうなポテンシャルは感じさせます。ただ、前半がブラック・キーズを意識したようなブルーズ・ガレージ・ロック、後半がルーメニアーズみたいなマンドリン使ったフォーク、というアルバムの組み合わせはマーケッティング臭くてあまり惹かれなかったですね。そもそも、タイアップで出て来た人たちだけに、極力人工臭さは減らして欲しいんですけどね。ただ、売り方次第で、結構大きなバンドにはなれそうな気がします。

 

 

Johannesburg/Mumford&Sons feat Baaba Maal

 

 マムフォード&サンズの新作は5曲入りのEP。それもアフリカはセネガルのシンガー、バーバ・マールとのコラボです。「企画盤」ではあるんですが、本人たちの本気度は高く、通常のアルバムに収録されたり、今後のライブでも披露されそうなクオリティの「いつもながらのマムフォード」が聴けます。この人たち、何やっても曲調が良い意味で同じでブレないとこ、良いと思います。彼らはかねてから、「デイヴ・マシューズ・バンドに似ている」とも言われていましたが、こうしたアフリカへのアプローチなんて聴いていると、なおさらそのことが裏付けられますね。ときどき、すごくソックリになっています。

 

 

Chaleur Humaine/Christine And The Queen

 

 

 今週一番好きで聴いたのは新作ではなく、2014年のイギリスでの出し直し盤で、大好評で現在6位まであがってきているこのアルバムです。フランスのクリスティーン&ザ・クイーンズのデビュー作です。これ、一昨年にフランスで売れはじめたときから噂は耳にしていて、断片的に曲を聴いたら良かったので気にしていたのですが、今回イギリス進出に成功したのと、アイフォンでどこの国の音楽も聴けるようになったことを活かしてフルで聴いてみたところ、これ、すっごくハマってます!最近、エレクトロを使った洗練されたインディ女子は増えていますけど、その中でもっとも繊細で、メロディが柔らかく、歌いっぷりのキュートさが際立っているのが本作ですね。このジャケ写にもなっている、実質ひとりの女の子は、フローレンス&ザ・マシーンやマリーナ&ザ・ダイアモンズと違って、クリスティーンではなく、エロイーズって名前なんですけど、彼女がメインをフランス語で歌っているのに、サビになると英語であえて歌っているのが面白いです。英語が微妙にフレンチ・アクセントでそれをオシャレに効果的に使ってるし、その英詞のおかげで、リスナー人口の多さでは圧倒的な英語のリスナーにもわかりやすく歌詞世界が断片的にでも伝わるし。この成功で、次作以降の世界進出はほぼ決定したと思います。すごく楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:ストリーミング・レヴュー, 19:22
comments(0), trackbacks(0), - -
今週のアルバム寸評

どうも。

 

 

これ、もう日曜の恒例にすることにします。だって楽しいんだもん。今週のアルバム寸評!

 

 

 

 

The Getaway/Red Hot Chilli Peppers

 

 

 

 最初、「今回は割と良いかなあ」と思ってたんですけど、全部聴き終わると、「やっぱ、今回も弱いかなあ」と思ってしまいましたね。ソングライティング自体は悪くないんですが、結局のところ、今作も「ジョン・クリイングホッファってどういうギタリストなの?」とか「どういう方向性に行きたいの?」というのが、いまひとつよくわからなかったというか。特に、聴いた直後に自分で作ったレッチリのプレイリストを改めて聴いたんですけど、それと比べるとどうしても弱いんだよなあ。「Blood Sugar Sex Magik」にせよ「Californication」の収録曲って、フルシアンテのフレーズ一発だけで曲の空気を変えれるマジックがあったというか、あれを聴いてしまうと、さすがに匹敵するものがないんですよねえ、残念だけど。

 

 

 

On My One/Jake Bugg

 

 ファンの方には申し訳ないんですが、これ、2016年のワースト・アルバム候補ですね。いやあ、僕もガッカリですよ。ファーストを絶賛した身からすれば。今回のアルバム、本人いわく「リスクを冒した」みたいなんですけど、とにかく曲の並べ方があんまりにもバラバラで、しかも、曲間の音量のバランス調整もできてないから、通して聴いてると変な音量の波があるんですよね。というのも、従来のフォーキーな曲はすごくシンプルなのに、ヒップホップの要素を入れた曲や、やめて欲しかったソウルフルなアダルト・バラードにいたってはかなりのオーヴァー・プロデュースで、これらがフォークの楽曲の間に唐突に入るのがアルバムのリズムを壊してますね。プラス、ファーストのときに外部ソングライターを使ったのをノエル。ギャラガーに批判された影響で、これまで持ち味のひとつになっていたノエルっぽいメロディ感覚が後退してるしね。よくこれで全英4位まで行ったものだと逆に驚きましたけどね。軌道修正かけないと、ちょっとこの先、マズい気さえしました。

 

 

Wrong Crowd/Tom Odell

 

 これも聴いててツラかったなあ。ファーストのときから、何が良いのか今ひとつわからなかった人だけど、これはちょっと「若いのに、なんだ、この年寄りくさいセンスは」と思ってしまいました。音程が安定しないのに、アダルトなバラードを熱唱するのが「う〜ん」な上に、25歳という年齢に合わない、オーヴァー・プロデュース気味のゴスペル・アレンジはねえ。リスナー層の拡大を狙ったのかもしれないけど、何を狙いたいのかよくわからなかったですね。

 

 

25/Rick Astley

 

 今、イギリスは、かつてのユーロビートの王子様、リック・アストリー29年ぶりの全英ナンバーワンに驚いている最中です。「おや?」と思い聴いてみたのですが、なつかしの路線やカバー集とかそういう類いではなく完全に「今を生きるリック・アストリー」を全面に出している点で好感は持てました。しかも、歌唱力は人気全盛のときよりむしろ良くなってて、マイク熱く握りしめてシャウトする勢いで熱唱してますからね。ただ、これ、今回の路線、「イギリスにもこのジャンル、あったんだ」と知って驚いたんですが、コンテンポラリー・ゴスペルなんですね。歌詞があまりにも「闇の中にひざまずいているときに光が差し込んだ」みたいなものが続きすぎるタイミングで、ゴスペルのコール&レスポンスのコーラスが後ろから入り込むパターンがやや過多なのが聴いてみて共感が持てないところではあったものの、「でも、それで彼が方向性を固めたならいいこと」とは思いました。90sには「Crying For Help」というソウル路線の良い曲でイメチェン成功した曲があったんですけど、そこからの一貫性も感じたしね。ライブで「トゥゲザー・フォーエヴァー歌って!」といいにくい雰囲気の力作になってます。

 

 

Hollow Bones/Rival Sons

 

 カリフォルニアのクラシック・ハードロック・バンドの4人組のこれが5枚目のアルバムなんですけど、これはなかなか好きです。レッド・ツェッペリンやブラック・サバス直系(スネアの連打が遅れて入るのは完全にサバス仕様)なんですが、ホワイト・ストライプスとかQOTSAを通過したあとにそれをやっている、「今、この音をならす」理由がはっきり音に現れていますね。加えて、スティーヴ・マリオットみたいな歌いっぷりのシンガーにも光るものがあるし。イギリスで13位だとか北欧圏ではトップ10に入る人気なんですが、アメリカで100位にも入らないのが悲しいところです。

 

 

 

Puberty 2/Mitski

 

 

 この1週間で批評家界隈がさわいでいたのがこのアルバムですね。日本人とアメリカ人のハーフってことになるのかな、このミツキさん。これが4枚目のアルバムになるんですけど、イギリスでもアメリカでも大絶賛で、Metacriticではレディオヘッドの新作と並ぶ87点を獲得していました。これはですね、聴いていて、若いときのPJハーヴィーを彷彿させるものがあるんですよね。ノイズまみれのソニック・ユースみたいなギター・ロックと、ダークなアンビエント路線が、ちょっと不協っぽいリズムと交錯する感じとかね。しかも、楽曲のスケール感もしっかりしてるから、「なんちゃって前衛」には全く聞こえない。潜在能力はかなり高いです。ただ、ミツキさんの歌いっぷりがまだどこかシャイな感じがするので、ライブで圧倒的なカリスマ性をもってステージを支配する感じが絵として想像出来なかったので、「レディオヘッドと同じ点数」まではまだ大袈裟な気はしましたけどね。ただ、1度ライブは必ず見てみたい存在にはなりました。

 

 

case/lang/veirs

 

 

 今週1番好きなのは、これでしたね。ニーコ・ケースと、kdラングとローラ・ヴェアーズという、「オルタナ・カントリー3人娘」の共演アルバムですが、これ、聴いてて染みます。極力までシンプルにした隙間だらけのアンビエントに、トレモロかけたトワングするギターや、スネアの上でコトコトと揺れるブラシの振動が響く音色のセンスの良さがまず光るし、それ以上に3人の美しいハーモニーが光りますね。「吐息かかったkdラングのアルト声はやっぱりメイン・ヴォーカルで光るなあ」とか「声しゃがれる前のスティーヴィー・ニックスみたいな妖艶さのニーコの声はそそるなあ」とか「ちょっと甘えた感じのローラのハイトーンはコーラスで映えるなあ」とか、いろんな発見もあって。1987年に、ドリー・パートンとリンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリスのカントリー・ロック3人娘による「Trio」ってアルバムが当時大ヒットしてますが、それの現代版の趣きですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:ストリーミング・レヴュー, 12:35
comments(0), trackbacks(0), - -