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グレン・キャンベルもランクイン 沢田太陽が選ぶ60sポップ裏名曲10選

どうも。

 

この話もしないといけなかったんですよね。

 

 

 

 

アメリカの偉大なカントリー・シンガーで、かつ、60年代の西海岸ポップスの重要セッション・ミュージシャンでもあったグレン・キャンベルが亡くなってしまいました。彼の名はカントリーを知らなくても、ビーチボーイズ絡みで知っていたり、ちょっと年齢の上の方だと、コカコーラの日本のみのCMソング(実は僕、これは知らなかったのですが・・)でご存知の方もいらっしゃると思います。¥¥

 

 

僕は、このグレン・キャンベルと言う人はですね、彼が60年代の末に発表したある1曲が、自分的な琴線に刺しまくって、それでもうすごく好きになった経緯のあるアーティストです。なので、彼の追悼特集で代表曲を紹介するということも考えたのです

 

が!

 

 

実は僕にはそういう60年代の裏的存在のアーティストや曲で好きなのがたくさんあるじゃないか!

 

 

ということに気がついたんですね。ビートルズとかディランとかストーンズとかみたいなビッグネームじゃない、ちょっとマニアじゃないと知らないタイプのものだけど、でも、実はすごくシクスティーズらしいアーティストや曲って多いんだよな。そういうのが、ちゃんと紹介出来なくてもどかしいな、と思ってもいたんですね。

 

ということで、今回は

 

 

僕の選ぶ「60sポップの裏名曲のプレイリスト」、その10曲を紹介したいと思います!

 

 

では、早速行かさせていただきます。

 

Wichita Lineman/Glen Campbell(1968)

 

 

1曲目はやっぱこれですね。グレン・ギャンベルの「ウィチタ・ラインマン」。

 

 

これは1968年に全米3位まで上がる大ヒット曲なんですけど、僕がどうしてこれを知ったかというと、90年代の前半にですね、なんかで読んだ本で「60年代の後半に、ジミー・ウェッブという優れたソングライターがいた」ということで紹介されてて、そこで代表作としてこの曲があったんですね。それで、NHKの資料室で調べたらちゃんとあって、聞いてみて、まず、このストリングスとホーンのアレジにまず圧倒されたんですね!そしてグレン自身が物語るように遠距離恋愛の先にいる彼女に語りかける物語性。あいだに、信号音と郷愁をイメージしたような、あれ何の楽器で出してるのかわからないサビ終わりのリフ、そして2コーラス目が終わった後にグレンが弾く、ひずんだ音で単音で弾くAメロ繰り返しのギター・ソロ。そして曲が終わりに近づけば近づくほど、ストリングスのアレンジに緊迫感と幻想感が加わっていくんですよね。「ああ、なんてカッコいいんだ」と思って、20年以上大好きな曲です。

 

 グレンはこの頃、この他にも同じくジミー・ウェッブ楽曲の「By The Time I Get To Phoenix」「Galveston」「Where's The Playground Susie」や他の人の曲でも、「Gentle On My Mind」もすごく良い曲だし、あと、ブライアン・ウイルソンが提供した、山下達郎のフェイバリット曲でもある「Guess I'm Dumb」ね!こういう曲がことごとく大好きです。この頃の彼の作品は、アル・デ・ローリーという、60年代の前半にフィル・スペクターのプロデュース作品でキーボードやってた人がアレンジャーやってて、彼のストリングスとホーンのアレンジは本当に見事なんですね。グレンも優れたギタリスとかつ、見事なハイトーンを持つシンガーなんですが、ウェッブの曲もあいまって、1971年くらいまで強いケミストリーを持ちます。ただ、ローリーとウェブが離れちゃってから、あんまりカッコよくない曲で全米1位2曲出して、そっちはあんまり好きじゃないんですけどね。

 

 

Walk On By/Dionne Warwick(1963)

 

 

 続いては、若きディオンヌ・ワーウィックによるこの曲です。これは別に裏じゃなくても有名ですけどね。

 

 ただ、ディオンヌというよりはやっぱり曲を書いたバート・バカラックです。60年代前半は、ロック史的には、「フィル・スペクターがプロデュースしたアイドルの時代」という定義のされ方をされがちなんですが、僕、フィル・スペクターより、同じ時期に大活躍したバカラックの方が圧倒的に好きなんですね(苦笑)。なんかスペクターって、まず殺人犯だったり、スタジオでピストルちらつかせたとかの逸話も嫌だし、歌詞が露骨に男尊女卑だし・・っていうのもあるんですが、分厚い音の壁はともかく、その骨格となってる曲の部分で面白いと思ったことがあまりないんですね。

 

 その点、バカラックの方が、洒落てかつ意外性のあるコード進行があるし、合いの手で入れるストリングスやホーン、女性コーラスが効果的だし(この曲の2コーラス目の出だしなんて、その典型!)、あと、どことなくヨーロピアンな影のあるテイストがあるというか。そこに、上手いんだけど、なんか「ソウルフル」と呼ぶには線の細い感もあったディオンヌの声って絶妙に合ったんですね。彼女がバカラックにとってのミューズに60年代の終わりまで結局なったのもよくわかります。

 

 あと、ヨーロピアン・テイストが強く感じられたせいなのか、ディオンヌがバカラックと、この曲とか「Anyone Who Had A Heart」(こっちにしようか、散々迷った)みたいな曲で築いた路線って、イギリスの「女の子版ブリティッシュ・ビート」、具体名を上げるとダスティ・スプリングフィールドやサンディ・ショー、シラ・ブラック、ルル、マリアンヌ・フェイスフルといったガール・ビートシンガーたちの楽曲のお手本フォーマットとしても機能しました。その影響もあって、これ、大好きなんです。

 

 

Wedding Bell Blues/Fifthe Dimension(1969)

 

 

 

 続いてフィフス・ディメンション。この人たちは黒人のヴォーカル・グループですが、「黒人版ママス&パパス」とも呼ばれたようにソウル・ミュージックの括りで語られたことはなく、歌ってたのも白人のソングライターが多かったですね。それがいみじくも、ジミー・ウェッブでもあり、バカラックでもあり・・って、うまくつなげてるでしょ(笑)。

 

 そして、彼ら最大のヒット曲だった、これは聞いたことある人も少なくないでしょう、ミュージカル「ヘアー」の中の「輝く星座(アクエリアス)」の次に出た曲で、これも全米1位を当時獲得している「ウェディング・ベル・ブルース」。僕は、洒落たコード進行でゆっくり跳ねるピアノとコール&レスポンスのハーモニーが大好きなんですけど、これを作ったのがローラ・ニーロ。まだ、この当時、年齢的に大学生くらいだった白人の天才少女です。これは彼女の代表曲としてもすごく有名ですね。

 

 

Eli's Coming/Laura Nyro(1968)

 

 

 

 その、「ウェディング・ベル・ブルース」を書いたローラ・ニーロですね。彼女はこの当時、ソングライターとして売れっ子だったんですが、同時にシンガーとしてもアルバムを出していました。その、シンガーとして出していた曲を、フィフィス・ディメンションなりがカバーしてヒットに到らしていたものです。この曲も、この当時の「いいソングライターのカバー専門バンド」、スリー・ドッグ・ナイトが後にヒットさせて有名になっています。

 

 彼女の曲の場合、基本的にソウル・ミュージックとゴスペルの影響が強いので、黒人アーティストが歌うとそのニュアンスが出るんですが、彼女自身が甲高い声で歌うとソウル臭がしなくなる上に、歌に没入するとかなりしつこく耽美的な方向に走るので、緊迫感と怖さが一気に高まります。かなり呪術的で、そこのところをいやがる音楽ファンも結構います。特に同時代のキャロル・キングやジョニ・ミッチェルが好き、みたいなタイプの人でも、彼女は苦手だと言った意見は割と耳にします。

 

 でも、それ、正しいと思います。だって彼女、イメージとしてどちらかというと、そうしたあの当時の「フォーキーでナチュラルなシンガーソングライター」というよりは、後のケイト・ブッシュ、フィオナ・アップル、Lordeの先駆、といった方がニュアンス近いですもん。いわゆる「髪の長い天才少女の系譜」ですね。面白いことに全員そうですもんね(笑)。今回聞き返して思ったんですけど、ケイト・ブッシュは思った以上に似てましたね。

 

 

How Can I Be Sure/Young Rascals(1967)

 

 

 

 

 続いてヤング・ラスカルズ。その後のラスカルズですね。

 

 彼らの場合もローラと同じ、ニューヨーク内のイタリアン・コミュニティの出身です。この当時のニューヨークやニュージャージーのイタロ系は伝統的にドゥワップとかソウル・ミュージックの影響が非常に強いんです。フォー・シーズンズとか、ディオンとかの例もあるようにですね。ただ、「自分たちが実際には黒人ではない」ことがわかっているから、その分、開き直ってというか、白人のテイストも同時に活かしたユニークなものも作り得たんですね。この当時のローラなりラスカルズなりの「ブルー・アイド・ソウル」のはしりみたいなアーティストにはそうした自由さが感じられて僕はすごく好きですね。この流れはその後にホール&オーツなりトッド・ラングレンなりにもつながって行きます。

 

 

 この曲ですが、彼らの最大のヒット・アルバムの「グルーヴィン」に入っている3曲目のヒットで、アコーディオンを使った、ちょっとシャンソン風なおフレンチな感じもあって、そこが変化球になって面白いニュアンスが出せていますね。これ、ヴォーカルがリードシンガーのフェリックス・キャヴァリエーリ(この映像でキーボード弾いてます)ではなく、もうひとりのエディ・ブリガッティでもあります。フェリックスの方が本格的なソウルシンガー然としてて上手いわけですけどね。

 

 

Wear Your Love Like Heaven/Donovan(1967)

 

 

 

  続いて、この人も僕は大好きですね。ドノヴァン。

 

 もともとは「イギリスのディラン」と言われた人ではあるんですけど、彼はインド哲学にすごく走っちゃったとこでも垣間みれるようにすごく実験精神が旺盛な人で、フォークの垣根を超えて何でもやっちゃうとこが魅力でしたね。最初は「サンシャイン・スーパーマン」みたいなインド楽器のシタールを使ったところからはじまって、「メロー・イエロー」なんて名前からしていかにもおクスリ関係なことをサイケに歪ましたサウンドで表現したりしてるうちにそれが幻想的な方向に走ったり、60年代のおしまいの方だとジェフ・ベックとかデビュー前のツェッペリンと組んだり、振れ幅も非常に激しい人でしたね。

 

 この曲はそんな最中、1967年の後半に出た、幻想路線の曲ですね。曲名からしていかにもフラワー・ムーヴメントっぽかったりしますけど、この人のホーンやストリングス、チェンバロ、シロフォンといったアレンジの仕方って、どこか、彼の故郷でもあるスコットランドの雰囲気に合うというかな。この感じが30年後に郷里の後輩のベル&セバスチャンにもつながって行くのはすごく自然な気もしてます。

 

 

Blackberry Way/The Move(1968)

 

 

続いてこれもイギリスはバーミンガムの誇るバンドですね。ザ・ムーヴ。

 

僕は無類のブリティッシュ・ビート・バンド好きで、今回はそこからはあえて選ばないようにしたんですけど、ザ・ムーヴに関してはギター・バンドの枠を超えたポップさがあるので選んでみました。その観点だとゾンビーズとか,アメリカですけど、モンキーズの中期以降も捨てがたいんですけどね。

 

 この曲はそんな彼ら最大のヒット曲で1968年に全英1位になっています。こないだ出た、チープ・トリックのアルバムでもカバーされてましたね。お聞きのように、思いっきり中期ビートルズなんですけど、中心人物のロイ・ウッドのすごいところって、瞬間的に「本家以上かも」と思わせる瞬間があることです。残念ながら、ジョージ・マーティン的存在がいなかったからなのか、アルバム単位でそれが持続しなかったのが難点ではあるんですけどね。

 

 このバンドにはこの後ジェフ・リンと言う人が入りまして、それがそのままエレクトリック・ライト・オーケストラ、つまりELOに発展します。ただ、そこでもロイ・ウッドは一枚で辞めて、カルト・アーティストとして生きて行きました。

 

 

andmoreagain/Love(1967)

 

 

 続いては,またアメリカに戻りますが、ロサンゼルスのLoveですね。

 

彼らは「悲劇のバンド」とも言われてますよね。もともと、当時新進気鋭だったエレクトラ・レコーズがイチオシする予定だったのが、レーベルの後輩のドアーズが想定外に売れてしまったために押されなくなって、なかば「幻のバンド」化してたんですけど、この3枚目の「フォーエヴァー・チェンジズ」というアルバムは伝説化していて。現在でも、欧米圏のオールタイム・ロック・アルバムのランキングで、今やもう、あの当時のスターだったジェファーソン・エアプレインとかよりは確実に上位に入るし、ドアーズより上のものも見かけるときもあります。

 

 このバンドはアーサー・リーという、「裏ジミヘン」とも称される黒人アーティストがフロントマンのバンドなんですが。やってることは実に多彩で。かなり濃いめのガレージロックやサイケから、ソウルもあ利、そして一番得意なのは、この曲に代表されるストリングスを多用したバロック・ポップですね。これか、今日までカバーの非常に多い「Alone Again Or」にしようかか迷ったんですけど、よりファンタジックな分、こっちにしました。

 

 このバンドは、かのロバート・プラントが熱烈なファンで有名なのをはじめ信奉者多いんですけど。アーサー・リーが正当な評価をされきらずに亡くなったのが残念です。

 

 

The Seventh Seal/Scott Walker(1969)

 

 

 続いて、彼も今や本当にすごいカルト・アーティストですね、スコット・ウォーカー。

 

 もともと、ウォーカー・ブラザーズといって、ソウルやバカラックみたいな曲を、すごく低音の魅力のバリトン・ヴォイスで歌ってそれでロックの時代になったのに異色の人気があって、圧倒的なルックスの良さも手伝って60年代後半に日本でものすごいアイドルになって、こういうCM(クリック)にも出てたほどです。

 

 その後もソロになってから、彼は、ジャズやシャンソン.フラメンコみたいな非ロックの音楽を、ちょっとしたリズムの使い方や、このキレの鋭いカッコいい美声で独自にロックする路線を歩んだんですけど、この「スコット4」というアルバムは中でもサイケ色が濃くなって、よりその独自性が高まって、今やカルト名盤ですね。中でも、この曲は人気です。最初の闘牛士みたいなイントロから、REMの「Losing My Religion」みたいな緊迫感溢れるフォーキー・サウンドになって、不気味なエコーのかかったハーモニーに包まれる。この曲はイングマル・ベルイマンの名作映画「第七の封印」を歌にした、神と人間の死を扱ったヘヴィな曲でもあります。

 

 スコットは、デヴィッド・ボウイやパルプのジャーヴィス・コッカーをはじめ、熱烈なファンがトップ・アーティストにいたおかげで今日でもイギリスでは伝説化されていて、たまにアルバムが出ては話題(今や実験音楽!)になり、ドキュメンタリーの題材にもなってますね。

 

 

Way To Blue/Nick Drake(1969)

 

 

 

 そしてシメはこれです。ニック・ドレイク。没後40数年経っても、というかむしろその後に大物カルト・アーティスト化してますね、ブリティッシュ・フォークシンガーです。

 

 僕も長年いろんな音楽聴いてますけど、彼ほどウェットで、かつ美しいフォーク・ミュージックというのは、生まれてこのかた、聞いたことないですね。その吐息のようにささやく、悲しげな歌声とメロディ。その存在だけで十分に神経が一点に集中されてしまいます。

 

 生前に出た3枚のアルバム、どれも素晴らしいんですけど、あえて1枚選ぶなら、これです。デビュー作の「Five Leaves Left」。彼の場合、とりわけ、変則チューニングの曲か、ストリングスをまじえた美しい曲か、そのどちらかのときに輝きがフルに発揮されるんですが、それでいくとやっぱこれか、カバーも多い「River Man」か、どちらかかなあ。この次元に近いアーティストって、後でもエリオット・スミスとか、気持ちが内省モードに入ったときのベックか、そういうとこでしか聴けないものですね。

 

 

ボーナス・トラック Initials BB/Serge Gainsbourgh(1968)

 

 

 

 で、終わろうかと思ったんですけど、プレイリストらしく(?)ボートラをつけましょう(笑)。

 

 シメのシメはセルジュ・ゲンズブールです。ここまで選んでみて思ったんですけど、やっぱ僕の場合、ソウルとバロック・ポップが組み合わさって。そこにフォーク的な物語性が加わると目がないですね(笑)。だとしたら、このゲンズブールなんて、思いっきりソレでしかありません。ヨーロッパの黒人音楽好きで、しかも退廃的な文学の香りもする感じとかね。

 

 彼の場合、やっぱこのタイトルの元にもなったBBことブリジット・バルドーとの関係にあったときにこうした路線が一気に開花してますね。その前のジャズ路線も良いんですけど。あと、ジェーン・バーキンとの「ジュテーム」以降、「メロディ・ネルソンの物語」とか、あの辺りが絶頂でしょうね。

 

 あと、この映像、50年ほども前とは思えないくらいにカッコいい!やっぱこの当時の、ヌーヴェルヴァーグ系の関連者の映像美って、アート的にも、ファッション的にも最強ですね。

 

 

・・といった感じでしょうかね。

 

author:沢田太陽, category:評論, 11:45
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時間をかけてラナ・デル・レイに恋した理由

どうも。

 

 

ここ最近、僕の中でこの人への熱がすごく上がってます。彼女です。

 

 

 

はい。ラナ・デル・レイです。前から好きだったんですけど、ここ最近、彼女のことをチェックする頻度が上がってますね。なんか、出て来た当初より、今の方が確信もって「ああ、彼女は本物だったんだ」「今,活躍してるアーティストの中で最も自分の個性をしっかり持ったアーティストだ」と思える人に、時間をかけてなって来たな、という実感があるんですよね。これもこの人が持つ魅力なんでしょうけど、徐々に引きずり込むような力があるというかね。

 

 

では、なんでそういう風に僕がなったのか。その理由を語って行こうかと思います。

 

 

仝把螢侫.鵑稜意が桁外れにすごい!

 

 

 

これが僕が彼女のことを意識しはじめたキッカケなんですけどね。2013年11月のことです。このときに彼女はブラジルにやってきて、ブラーとベックと同じ1デイ・フェスみたいのをやったんですね。ただ、そのときに集まった客が完全にラナ目当てで、彼ら、彼女らの狂信的なノリが笑っちゃうくらいにすごかったんですね(笑)。

 

 もう、会場につくなり、周囲が頭に花のティアラを刺した男女で溢れかえっていたんですね!それだけでもかなり異様な光景だったんですけど、まだ出て来てもいないのに、野郎たちが「ラナ・デル・レイ!ラナ・デル・レイ!」と叫ぶんですね。歩きながらでも。これ、本当の話です。

 

 で、ステージに出て来たら出て来たで、野郎とゲイ(この比率もかなり高いはず)の「ウワーッツ!」って怒号と、アイドル時代のビートルズに狂乱する女の子みたいな顔で「キャーーーー」って叫ぶ女子に包まれました。特にブラジル人はエモーショナルなので、ラナ自身、圧倒されて引きつった笑顔浮かべてましたね(笑)。歌の間中もうるさかったしね。ブラジル人の異様なノリって、たとえばブルーノ・マーズが「何なのキミら」みたいにウケまくってて、The XXが感極まって泣いたくらいにすごくはあるんですけど、僕がこの国で見た中で頭一つ抜けてましたね、あの熱狂ぶりは。

 

 それ以降も、たとえば「ロラパルーザとか、ロック・イン・リオで見たいアーティストは?」ってアンケートがあるとするでしょ?そしたら、いつも1位は決まって彼女です。僕はあの熱狂ぶりを見てたので、全く意外じゃなかったですね。というか、「これだけ熱狂的なファンがついてるんだったら、この人の人気、簡単には落ちないだろうね」とも思いましたね。そしたら、それが案の定、当たりましたけどね。

 

 

▲妊咼紂嫉の大ダメージを自力ではねのけた

 

 

 

 あと、僕が彼女に惹かれた次の理由は、彼女がデビュー時のテレビ出演の際に大失敗をして社会的にバッシングを受けたのに、いつのまにか人々がそれを忘れたかのように大物になってきていることですね。

 

 

 2012年1月、彼女はすさまじいバズと共にメディア露出をはじめ、「サタディ・ナイト・ライブ」に出たんですけど、そのときに「なんだ、この音痴の見知らぬ女性は!」ってことで騒動になったんですね。たしかに良いパフォーマンスではなかったんですけど、あれで、「この女はメディア・ハイプだ!」ってことにされちゃって、それで出たばかりのデビュー作「ボーン・トゥ・ダイ」もあのときかなりの酷評レヴューがついたものです。正直なところ、僕は「フィオナ・アップルみたいで良いな」と思ってたくらいだったんですけど、さすがのバッシングの多さに「作られたスター?」くらいの疑問は持ちました。

 

 

 しかし、それが5年経った今、「ボーン・トゥ・ダイ」は以後、1度たりともビルボードのアルバム200位から落ちた週がありません!もうすぐ300週くらいになるんですけどね。あれだけ叩かれ、酷評もされたアルバムが、もう今やこの10年を代表するロングセラー・アルバムになってしまっているという、この時代における最大の逆転劇を彼女は演出してしまったわけです。これ、すごいと思いましたね。そうとうな屈強がないと、これは実現できなかったと思います。だって、デビュー時にみんながちやほやして、4枚目までに消えたロックバンドって何組います?それを考えたら、なおさらです。

 

 

6覆鯲婿困垢襯據璽垢とにかく早い

 

 

 

 そんな彼女が証明した実力の中でとりわけ強いと思えるのが、曲の創作ペースですね。最近のアーティストは、リリースに3年とか4年とか平気であけますけど、彼女のは異例なまでに短いのが特徴です。

 

 1stと2ndアルバムの間隔は2年5ヶ月ではあるんですけど、間に「追加増強EP」が出てるので、実質、その間にもう1枚アルバムが出てる計算になるでしょ。で、2ndと3rdのあいだが1年3ヶ月、そして3rdと今回のアルバムまでが1年10ヶ月。しかも2ヶ月延期してそれでしたからね。アルバムに2年かけない人なんですよね。

 

 で、最近、驚いたことに、「まだ25曲、未発表曲があるので直に発表したい」って言ってるんですよね!こういう早さで作品出すアーティストって、昔のプリンスとか、ライアン・アダムスとか、野郎の天才肌が多かったんですけど、女性でこういうのって、ちょっと記憶にないというか。それだけでも、かなりの才能です。

 

 というか、これ、最近の女性アーティストでは出来ないことです.最近の女性アーティストって、外部ライターとのコラボが大半で、どういうプロセスで曲を作っているのかきわめて見えにくいです。アーティストによっては「ちょっと歌詞を書くだけ」で終わってる人も実際いるし、そういう人の方がむしろ多いはずです。そういう作り方をしてる人は、外部頼みですから、そんなに作品が早くできるわけがありません。

 

 ところが、ラナ・デル・レイの場合は完全に彼女が主体です。彼女も共作者はついてるんですけど、共作者の証言によると、いつも彼女の方が一方的に仮歌を送って来ては「音合わせしよう」ということで一緒に合わせていたら、気がついたときには歌詞の完全ヴァージョンができあがってて、あっという間に曲が出来てるんですって。こういう話を聞いても、「ああ、やっぱ、すごいんだ」と思わされますね。

 

 

な顕重な博識ぶりがすごい

 

 

 

 あと、彼女の作品に触れた場合、ちょっとした知的体験ができるのも魅力です。

 

 この人のライブをはじめてみた時思ったのは、「これ、デヴィッド・リンチみたいだな」ということでしたね。まさに「ブルー・ヴェルヴェット」の世界観。1960年代へのノスタルジーがありながら、そこにミステリアスでゴシックな怖さと狂気がうずまいてる感じというか。そうしたら彼女、実際に影響を受けた音楽にリンチ、あげてるんですね。とりわけ「ツイン・ピークス」のサントラ。あと、映画だとフェリーニも好きだとか。

 

 あと、音楽的な引用のとこでも、レナード・コーエンやディランを頻繁にカバーしたり、50sのジャズや60sのガールグループのカバーやったりね。そういうとこは、エイミー・ワインハウスの趣味をさらに文化的に発展させた感じですね。そこにニルヴァーナとかエミネムとか、彼女なりになんか共通するエッセンスを感じるものをミックスさせてるみたいですね。それから文学だとギンズバーグみたいなビート文学とかウォルト・ホイットマンとかね。

 

 あと、最新作でも不意にサイモンとガーファンクルの「スカボロー・フェア」とかジョン・レノンの「ウォチング・ザ・ホイール」の一説を使って、後者ではショーン・レノンとデュエットする手の込みようです。こういう楽しみ方させてくれるアーティストって、今、なかなかいないので、そういうとこでも興味深いです。

 

 

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 あと、自分の美貌をいかした演出ぶりも見事ですね。ファンの中の多くはこの要素のファンだと思うのですが、徹底してます。ファッション・シュートの写真はいつも凝ってますけど、ここまでキャラクターを絞って演出してる人も珍しいです。どれもコンセプチャルなんですよね。とりわけ「ゴシックなシクスティーズ・イメージ」は守ってますね。

 

 ただ、この人、面白いのは、明らかにキャラクターを演じてるのがわかることなんですね。昔の写真とか、今でもオフとかでは、きわめてカジュアルなリズ・グラント(本名)感を割と平気で披露してたりしてます。

 

 

 

こういうウヤツですね。デビュー前のリズ・グラント期は地毛のブロンドです。あと、普段は割と無頓着な感じで歩いてるとこ、よく写真撮られてます。こういうとこでもわかるんですけど、ラナ・デル・レイって、完全に作ったイメージなんですよね。で、いざ、スイッチ入ったときの陶酔的な顔の表情とか、ものすごくゆっくりした動きとかね。あれ、過剰過ぎて時々笑っちゃうんだけど(笑)、そのツッコミどこ満載なとこも魅力です。あと、歌声ね。実際の声、割と高めですからね。あれ、アクセル・ローズと逆のパターンというか、ある意味同じというか、違う声で歌ってる分、ライブで声があたたまるのに時間がかかるタイプなんですよね。SNLでの失敗って、そのせいだったのかと僕は思ってます。

 

 

世界的な浸透度と根強さ

 

 

 

 あと、この人の人気と言うのは世界的なもので、かつ、持続してますね。

 

 彼女って、いわゆるシングル・ヒット曲って、「サマータイム・サッドネス」くらいしかなく、セレブ系ポップシンガーが多く集まるところにも出て行かないので謎めいたままのイメージなんですけど、セールスの世界的な幅広さは、ある意味、そうしたアーティスト以上です。

 

 それが証拠に今回のアルバムもイギリス、オーストラリア、スペイン、北欧圏で1位、アメリカもトップ3のうちのどれかで、フランスで3位、デンマークで5位、イタリアで6位、ドイツで8位とかです。

 

 しかも、これ、今回4枚目でしょ?たとえば,同じデビュー時から「才女」的な感じで騒がれた人って、ノラ・ジョーンズもそうだし、アリシア・キーズもそうだったけど、4枚目くらいになると人気下がってたんですよ。そこをラナの場合、人気がほとんど変わってないんですね。同じフォーマットの音楽でややもすると飽きられる可能性、低くはないのに。そこに今回の新作の評価がすごく高い。次のリリース・タイミングでよほどガッカリさせるようなことがない限り、安泰です。

 

 

Х覿匹里箸海蹇⊆匆颪鮓る目がまともだったことを示した

 

 

 最後に、今回のアルバム「ラスト・フォー・ライフ」で、彼女、地味にポリティカルな姿勢を打ち出してたりするんですね。

 

 彼女は、これまで特に政治的な発言はしてこなかったし、「フェミニズム否定者なのではないか」と疑われた言動もあったりして、そこのところどうなのか、という問題もあったのですが、最近になって、実は反トランプ派であることを明らかにしてます。その一例が、「もう、アメリカ国旗を使うのは、間違った愛国心にとられる可能性があるので辞めた」ってことですね。

 

 あと、アルバム中でも「コーチェラ」でコーチェラとウッドストックとの比較を行ない、現在が自由に欠けた生きにくい世の中になったことを憂いたり、「When The World At War We Kept Dancing」では、気がつかないうちに世が暗い空気になってきたことへの不安を口にし、「God Bless America And All The Beautiful Women In It」では,あらゆる世界での女性リーダーの不足を語ったり。

 

 デビュー時が「Born To Die」で、そういうとこが世界の悩める人たちにとってのダークなカリスマ女神みたいになってたとこがあった彼女ですが、それも社会の流れとともにシフト・チェンジできることを示せた意味で、今回のアルバムすごく意味があったと思いますね。なににせよ、「死ぬために生まれた」から「生への欲望」に変わったわけですからね。それを、「ラナ・デル・レイ」というキャラクターのイメージを守ったままやり遂げたことが立派かな。

 

 

・・といった感じでしょうかね。まだまだハマって行きそうな気がしてます。

 

author:沢田太陽, category:評論, 19:30
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現在のアメリカでのロックがいかんともしがたい7つの理由

どうも。

 

 

昨日は「アメリカでヒップホップの方がロックより売れるようになった」という統計が出て、「今頃そうなったんだ」と驚いたと同時に、「でも、アメリカ以外だと、ヒップホップ、そこまで強くないよ」ということを書きました。

 

 

今日は、「でも、今のアメリカでのロックの売り出し方、やっぱ最悪だよ!」という話をしたいと思います。とにかく、これに関しては僕は不満いっぱいです。

 

 

では、「どうダメなのか」、それを箇条書きして行こうかと思います。

 

 

ヽ荵、放送、興行で押したいバンドがバラバラ

 

 

まず一番は、これが一番腹立たしいですね。活字媒体と、ロック系のラジオと、フェスをはじめとしたライブ興行。この3つで推したがっているバンド、アーティストが、もうバラバラなんですね。

 

 

 今、世界のどこの国でもそうですけど、世界各国で行なわれているフェスで、どのあたりのスロットで演奏しているかで、そのアーティストのステータスが決まっているところがあります。そして、それを裏付けるためのものとしてアルバムのセールスというものがある。少なくとも、やっぱりアルバムのチャートで初登場のかなり上位に来るようなアーティストがヘッドライナーをつとめる。これがやっぱり、当たり前の筋道だと思うのです。このあたりの感覚はイギリスは全然ブレません。やっぱり、フェスで目立ってアルバムが売れるようなバンドを優先して普通推します。

 

 

 しかし!

 

 今のアメリカでは、この論法が通用しません!

 

 ヨーロッパや、最近アメリカでも全米各地で増えて来たフェスでヘッドライナーをする、あるいはそこに近いとこで演奏する。そういうバンドが新作を出したら、そこでとりあえずはメディアが盛り上げる・・。そういう風にして、ファンの関心も強く引きつけるはず・・なんです。

 

 

が!

 

 

 最近のアメリカの活字メディアは、もうなんだか、「推したいもの」が見えず、批評家たちのわがまま勝手が目立ちます!

 

 

 なんか、推してるものもですね、「うん。そりゃ、たしかにいいんだけど・・、でも、一般的に考えて、それ、将来的に売れると思うの?」みたいなアーティストにレヴューの高得点をやりすぎですね。それが、ライブもアピールする力があって、最終的に先に広がりが見えるようなタイプなら僕も文句は言いません。でも、最近、というかピッチフォーク的なものがブームになってから以降ずっとですね。なんか、格好とかにあまりに無頓着すぎるようなロウファイのインディ・バンドみたいなのを基本的に推し過ぎです。あれを見て、「あんなのロックじゃねえ〜」と共感持てない、年齢層が比較的上のロック・ファン、欧米圏、結構いるのにね。なので、こういうバンドが、いくら批評的に良かったからって、それがラジオとかでかかるようなシナジーはほとんど存在しません。

 

 

 ただなあ、今、同じくらい、ロック系のラジオでかかるものも相当問題です。

 

 

このリンクを見ていただきましょう。こちら。

 

 

これはビルボードのオルタナティヴ・ソングスのチャートです。これは基本的にロック系のラジオのエアプレイ数がかなり反映されたものになっているんですが、「えっ、それ、誰?」という名前が結構並んでません?ポーチュガル・ザ・マンとか、ブリーチャーズとか、ザ・リヴァイヴァリスツとか。こういうアーティストの曲の方が、もうすぐ新作の出るキラーズやミューズ、フー・ファイターズといったフェスのヘッドライナー格のバンドの曲よりランクが上って、なんか不思議じゃないですか?しかもキラーズとか、フー・ファイターズ、ここんとこずっと同じ順位なんですよ。3週くらい。その上のものも同じくらい順位が動いてません。しかも、どんなに批評家がほめても、評判のいいインディの新人なんてかからないし、メジャーで契約した誰も知らないような新人ばかりが優先される変なシステムになっています。

 

 

 でも、なんか変ですよね。これがラジオ局が一般の人からのリクエストの数に応じてランクを決めるようなやり方を仮にしてたとすると、こんなこと絶対起きるわけがありません。余裕でキラーズやフー・ファイターズのリクエストが集まってすぐに1位に決まってます。ただ、イマジン・ドラゴンズはまだわかるとしても、ポーチュガル・ザ・マンやブリーチャーズがそんなに盛り上がっているアーティストかとえいば、全然そうではありません。アルバム・チャートでも初登場30〜50位台くらいのアーティストにしかすぎません。その程度のアーティストなのに、曲が上位に長く入るほど売れていると言うのは、ラジオの選曲家の趣味ではなく、何らかの力が働いた結果でそうなっているでしょうからね。しかも、売れてる曲の入れ替えのスピードも遅い、遅い。なので、ロックのチャートが不思議な力は働いたものになっているうえに停滞してるんですよね。こんなのでロックのチャートそのものが活気づく訳ありません。

 

 

イギリスだと、NMEみたいなメディアが好きで推して人気の出そうなものをBBCが推し、それをグラストみたいなフェスに出してさらにあてる・・みたいな、「人気バンドを育てるための協力体制」みたいなものがしっかりあります。2010年代以降、いわゆる”ロックシーン”みたいなものが見えにくくなった今でさえ、イギリスから確実に売れるバンドが出続けているのは、こうしたところに一切のブレがないからです。

 

 

◆嶌膿靴離蹈奪のヒットはこれだ!」と伝える気構えがメディアにない

 

 これは、放送も含めて全体にそうなんですけど、アメリカの中で、「ロックの、最新のヒット」を伝える気構えがありません。

 

 それが証拠に、これを見てみましょう。こちら。

 

これはビルボードによる。ロックのストリーミング・チャートなんですけど、このあまりの感覚の古さが僕にはちょっと衝撃でした。

 

 トップ10はイマジン・ドラゴンズとか、トゥウェンティ・ワン・パイロッツ、チェスターの自殺の余波でのリンキン・パークというのはわかるんですけど、驚くべきは11位以下です。

 

ジャーニーの「ドント・ストップ・ビリーヴィン」!ホワイト・ストライプスの「セヴン・ネーション・アーミー」!!ジェイソン・ムラーズの「アイム・ユアーズ」!!!レーナード・スキナードの「スウィート・ホーム・アラヴバマ」!!!!フォスター・ザ・ピープルの「パンプト・アップ・キックス」!!!!

 

 

 なんで、5年前以上、しかもものによっては30、40年前のものがトップ25に入っちゃってるんでしょうね??これがまぎれもなく、最近のアメリカのロックファンが、今のロックの新作に疎くなっている決定的な証拠です!

 

 

 最新の人気アーティストの新作の曲とか、新人とかがほとんどない状況。こんなにエキサイトメントに欠けた状態で、ロックなんて流行るわけないですよ。

 

 

若いインディのバンドに、「時代の切り替え」が出来ていない

 

 あと、メディアだけじゃないですね。ロックをやっている側にも問題があります。10数年前の感覚を今に引きずっています。

 

 その感覚で象徴的だなと思うのは、「今の時代を、まだmyspaceの時代と勘違いしているバンドが多い」ということですね。2000年代という時代は、インディのバンドにとっては追い風が吹いていた時代でした。「レコード会社などを通さなくても、ネットで話題になりゃ、そこそこの儲けが出来る」。そういうことが夢というか、美談として語られてもいました。サイトで気に入られてCDやitunesで音源を購入してくれたらそれで御の字の時代でした。

 

 

 ところが今はストリームの時代で、もう直接的なCDの売り上げではなく、どれだけ人の話題になりシェアされるかが重要な時代になってきました。つまり、話題になるためには、「人と音楽を共有したい」ということを一番したい世代にどれだけアピールするか、いいかえれば、「キッズにどれだけアピールするか」を積極的に働きかけないと売りにくい時代になった。もっと言っちゃえば、「音源をポンとあげといて、受動的にリスナーの反応を待つ」だけでは通用しない時代になったわけです。

 

 残念ながら、今の若いバンドで、こういうことに意識的になって動こうとしているバンドが見当たりません。実績のあるバンドでも、アピールしようとしてるのって、イマジン・ドラゴンズぐらいのものでしょ?残念ながら、あのバンドも、最近の音源、「楽器要らないんじゃないの?」みたいなポップな曲ばっかりですけどね。あそこまで、キッズに踏み込んでいかないと動かないのかと思うとツラいものもあるんですけど、なんとかならないものかと思ってます。

 

 

ぁ崘笋譴茲Δ箸垢襪海箸悗離肇薀Ε沺廚鯆垢抱え過ぎ

 

 あと、「売れようとすることがカッコ悪い」という、アメリカのロック史の中に残るトラウマを抱え過ぎですね。

 

 

 ニルヴァーナとか、パール・ジャムが出て来て以降のグランジ/オルタナティヴのムーヴメントは、「成功すりゃ大スター!」とばかりに、パパラッチに追われるセレブ化さえもしていたエイティーズのロッカーを蹴落として、もっと、ロックリスナーの日常の現実に立ち返らせたムーヴメントとして、今に語り継がれるものになった・・わけですけど

 

 それって、もう25年前の話ですよ!!

 

 で、その後に売れようとしたバンドの例も良くなかった。それはリンプ・ビズキットとかキッド・ロックがやったような、エイティーズへの回帰的反動というか、「ヒップホップ・スターがやっていることを白人がやるとどうなるか」みたいな感じのことを、そういうことを嫌う人が多くなっていたロックファンが多い中やってしまって強い反感を読んでしまった。あるいは、ポップ・パンクが、極端に若い層、小学生の低学年くらいまでにマーケッティングの層を人工的に下げてしまったせいで、ディズニーのアイドルまで便乗するようなものにまでなってしまった。ああいうのを見て、「キッズにアピールして売るの、ばからしい」という空気も生まれてしまったのも否めません。

 

 その間もなあ〜、イギリスだと普通に良いバンドがフックアップされて、音楽誌と放送とライブ現場で育てようとする感じがあったんですけどねえ。アメリカではそういうのがないまま雑然として、ただ、強引なマーケッティングだけがまかり通ってましたからねえ。

 

 

ザ罰βΔ、いびつなポリティカル・コレクトネスにこだわりすぎ

 

 あと、これも2000年代入ったあたりからずっと思ってることなんですが、音楽業界が妙なポリティカル・コレクトネスにこだわりすぎですね。なんか、黒人と女性へのこれまでの不公正を何とか償おう、とそれしか考えてませんね。

 

 

 それが結局、行き過ぎたヒップホップと、セレブ系女性アイドルの強大化にしかつながらなくなったんですけど、彼らの音楽の持つウィーク・ポイントを補えないまま大きくなってるのが問題です。それがやっぱ、プロデューサー依存度の高い、自分で曲を作らないアーティストを増やすことになってしまった。自分で演奏し、自分で曲を書き、アルバムをひとりのプロデューサーで作るのが当たり前で育ってきているロックファンには、そこのところの欲求不満がすごくたまってしまっています。これは、欧米圏のロックファンが、ポップものに意固地になっている要因のかなり大きなものになっていますね。

 

 

Α屮蹈奪が他の国、非白人にも人気あるジャンル」ということが理解されていない

 

 あと、今のアメリカのロック業界が良くないのは、「自分たちの国のこと」しか考えていなくて、ロックという音楽の持つ国際ヴァリューに関して理解していないことです。ヨーロッパだって、アジアだって、南米だって、かなりのロックの市場はあるし、そういう人たちにアピールすれば、まだいくらでも売りようはあるのにね。

 

 

 ロックのヒット曲がでなくてもアルバムは売れ、フェスもあるし、世界的に見ればダンス・ポップ系よりも売れてることの方が珍しくない。そういう価値に気がついてないんですね。7月7日の投稿でも書きましたけど、そういうとこ、アメリカが現実から取り残されてるとこなんですけどね。

 

 

Ь紊寮ぢ紊紡个垢襦∈の世代の反抗期

 

 

 あと、キッズの立場からしてみれば、ヒップホップとかEDMに「自分たちのジェネレーションの音楽」というアイデンティティを抱きたい時期、というのもあるでしょう。彼らにしてみれば、「じいちゃん、ばあちゃんがロック」、「パパママがオルタナティヴと昔のヒップホップ」という感じでしょうか。だいたい、子供というのは、親の代とは違うカルチャーを持ちたがりますからね。それはある意味、健全とは言えるんですけどね。

 

 

ただ、ちょっとバランス悪いかなあ。まあ、僕らの頃にも、「良いから売れてるわけじゃない」ロックってたくさんあったもののそういうのがロックの層を広げる役目してましたけど、今のヒップホップとEDMにもそういうもの、ありますね。キッズでものが流行る際の代償ではあるんですけど。

 

 ・・といったとこでしょうかね。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 13:17
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「アメリカでヒップホップがロックのシェアを今抜いた」と言われて、むしろ逆のことに驚いた

どうも。

 

 

今日話すことは、ここで4月11日と、7月7日に書いたことと重複するんですが、一応改めて書いておこうかと思います。

 

 

ちょっと遅れてしまいましたが、先週、こういう報道がなされました。

 

 

アメリカで遂にヒップホップのシェアがロックを上回った!

 

 

これ、フォーブスの記事だったのかな。それによると、アメリカのニールセンによる調査白書で、同国内での音楽消費において、ヒップホップが25%で、23%のロックを抜いた、というニュースだったんですね。

 

 

この記事、結構、数日に渡って、アメリカ経由のフェイスブックのニュースで話題になってたんですよね。これに関して、いろんなとこで長い議論がなされていましたね。特に白人のロックファンがムキになって答えてる姿が目立ちましたね。

 

 

で、僕がこれに対し、最初にどう思ったかというとですね

 

 

えっ!それが起こったのって、今なんだ???

 

 

って、感じでしたね(笑)。

 

 

正直、僕の意識の中では、

 

 

90年代の終わりくらいから既にそうなのかと思ってたから!

 

 

 だって、もう、シングルだともう20年くらい前からビルボードで1番売れてたものってヒップホップだったし、アルバムだってたくさん初登場1位のラッパー、たくさんいましたからね。ロックなんてアメリカじゃヒット曲も「トップ10になにか入りゃ快挙」くらいの感じになっていたし。なので、てっきりもう抜かれてひさしいのかと思っていましたね。

 

 

 でも、わかんないものですね。これ、「チャートの上位独占」ってことでいえばヒップホップなんだろうけど、「チャートに直接反映されないとこでの消費」で見たらロックが依然多い、ということなんですね。

 

 

 おそらく、それを支えているのがロングセラーのクラシック・ロックの消費なのかなと思います。現に、今週のビルボードのアルバムのトップ200にも、現在になってもなお、ジャーニーやガンズ&ローゼズ、クイーン、CCR、トム・ペティのベスト盤やら、メタリカの「ブラック・アルバム」やビートルズの「サージェント・ペパーズ」やフリートウッド・マックの「噂」、ピンク・フロイドの「狂気」、AC/DCの「バック・イン・ブラック」やら、何100週経とうがずっとランクインしてますからね。そこに行くと、ヒップホップの場合、そうしたカタログで定番ヒットになっているのはまだエミネムの各アルバムと、トゥパックやノトーリアスBIGのベスト盤くらいですからね。その辺りの、目に見えにくい、「伝統としての聞かれ方」まで含めると、ロックの方が多く聞かれていた、ということですね。事実、こと「アルバムの消費」ということで言えば、ロックが40%のシェアでダントツなんですってね。

 

 

 不思議なものですね。そんな「過去の遺産」が消費にそこまで貢献していたとは!アメリカのメディアにせよ、アメリカの白人のリスナーにせよ、本来は「ほら!ロックは今、こんなにヒップホップに脅かされてるんだぞ!」というとこで反応したはずなんですけどね(笑)。むしろ、あれだけチャートを席巻しまくってて、その逆転が起こったのが今ってことで、ロック消費の裾野の広さを逆に痛感することになろうとは、正直僕も予想外でしたね(笑)。

 

 

 ただ、7月7日の投稿でも書いたんですけど、アメリカでこれなら’

 

 

ヨーロッパはなおさらだろうな

 

 

 そのときの投稿では、「DJキャリドやトラップなど、アメリカを席巻しているヒップホップは他の国ではそれほど売れていない」と書きましたが、これ実際にそうです。ビルボードのアルバム・チャートで初登場で1位、2位をとっても、他の国だと、一番ウケのよいスウェーデンでトップ20くらいで、イギリスでトップ40、オーストラリアもそのくらいかな。で、その次がフランスですね、黒人人口も多いので。で、ドイツ、イタリア、スペインだとかなり難しくなります。ここだと100位にでも入れば御の字ですから。

 

 

 そういうものより、こないだの投稿ではイマジン・ドラゴンズがこうした国で全て4位以上を記録したと書きましたが、’フェスでヘッドライナーを穫っているようなロック系のアーティストの方が、ヨーロッパやオセアニアでは圧倒的に売れています。

 

 

さらに売れてる旧譜もやはりアメリカと同じような感じですね。ヒップホップとか、それ以前のブラック・ミュージックの旧譜はそこまでロングヒットしてません。せめてマイケル・ジャクソンとかホイットニー・ヒューストンのベスト盤くらいのものです。

 

 

 これ、どうして、こういうことが起こるのか、というとですね、こういうところでヒップホップが全然人気がない、ということではありません。ヒップホップは人気はあります。

 

 

が!

 

そこで売れるヒップホップはローカル・シーンのものがメインです!

 

 

やはりヒップホップの場合、言葉に頼るところがメインですからね。非英語の場合は当然のこと、イギリスやオーストラリアの場合でも、発音の感覚とかが全然違いますからね。そうなると、そうした自国言語に対応したものがどうしても優先され、アメリカでの流行りはその後になります。「ローカルのものなんて。話にならん!」というくらいのクラスにならないとなかなか売れない、ということです。

 

 

 あとですね、ヒップホップやR&Bには、「ダンス・ミュージックとしての消費要素」というものがあるのですが、このポイントが、他の国ではアメリカほど稼げないのも大きいです。なぜなら、ヒップホップがやって来る以前に、他の国には固有のダンス・ミュージック文化があったから。

 

これ、僕もブラジル住んで同じことがあるので、非常によくわかります。たとえば、ヨーロッパだと、70年代の頃から、ディスコ〜エレクトロというのがずっと強かった。南米の場合も、ラテン圏の伝統的なダンス・ミュージックやエレクトロがあって、その次にヒップホップですからね。だから、どうしても「ダンス・ミュージックとしての優先順位」が低くならざるを得ないんですね。

 

 

 あと、ブラジルでヒップホップがどう見られているかというと、「黒人がやらないとリアリティが出ない」「歌詞が社会的でシリアスなことをリリックにしてないといけない」と、良い意味ですごく崇高な音楽の捉え方をされてるんですね。なのでローカル・シーンでも、きわめてコンシャスなアーティストしか浮上して来ません。後は、エレクトロと組んで、すごくサウンドがユニークなヤツとか。そうなってくると、大きなポピュラリティというのは、なかなか持ちようがありません。もっと気楽に楽しめるものの方が売れるに決まってます。

 

 

 ただ、これ、結局のところ、日本とかアジアも含めてそうだと思うんですけど

 

 

 国で一番売れる音楽って、その国のローカルのダンス・ミュージックなのでは?

 

 

と思うんですけどね。

 

 おそらく日本の場合は。ダンス・ミュージック以前からあった、アイドル文化の方が先に来ちゃうんではないかと思うんですけどね。ブラジルでもそうですけど、気楽に踊れる音楽の方が、一般消費としてはされやすいものです。そういう意識もあったから、別に「ロックが国で一番消費される音楽じゃない」と言われても、そこまでおおごとな感じは正直感じなかったんですけどね。

 

 

 ただ、とはいえ、今の、とりわけアメリカでのコンテンポラリーなロックの消費、これはもう、いかんともしがたく問題です。明日はそのことについて書きましょう。

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 13:50
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ヨーロッパで知らぬ間に進んでいる、日本のロック黎明期の驚くべき再評価

どうも。

 

 

そうこうしているうちに、結構語りたいことがたまってきています。今日もその一つを話しましょう。

 

 

まずは週末に起こったことから。歌謡曲の作曲家で有名な平尾昌晃さんが亡くなられましたよね。もちろん僕も知ったのは「カナダからの手紙」なわけですけど、彼がもともとは日本におけるロカビリー・ブームのパイオニアだったことは知っているわけです。ただ、今回はApple Musicに「カナダからの手紙」があるかな(日本では配信されてるみたい)と思って調べてみたところ、こんなものが出て来たんですね。

 

 

この「Nippon Go West」というコンピですね。ここにはですね、平尾氏のロカビリー時代の洋楽カバーが満載なほかにですね、「ロカビリー三人男」と呼ばれた山下敬次郎にミッキー・カーチス、坂本九、ザ・ピーナッツ、中尾ミエ、小坂一也といったビートルズ以前の60年代初頭の、すごくキレのある洋楽カバーが一斉に収録されてるんですね。これはビックリしました。僕がNHKのときに愛用していた何でもあった音楽資料室にも、youtubeでもお目にかからなかったものばかりですからね!

 

 これ、調べたら、2013年から配信されてて、リリース元はスペインのレーベルだということがわかりました!一体どうやって・・。

 

 

 ・・と思っていたら、こういうものまで出て来ました。

 

 

 

 同じく2013年に、イギリスのエース・レコーズから発売されていた、平尾氏のベスト盤です!こんなものが出てたんだなあ。日本って、世界的に見て50年代のうちにエルヴィスのフォロワーが出た国として非常に貴重なんですよね。他の国の例で言っても、イギリスのクリフ・リチャードやフランスのジョニー・アリデイ、オーストラリアのジョニー・オキーフ、イタリアのアドリアーノ・チェレンターノの、せいぜいそのくらいなんですよ。ようやくこれで日本にもそういう存在がいたんだと、世界に示せるうれしい盤ですね、これ。残念ながら配信されてなかったんですけどね。

 

 

あと、配信ではこういうものを見つけました。

 

 

 同じくスペインのレーベルから。これは50年代の、日本のカントリー・バンドがいかにロカビリーになるかを紹介した、これまたマニアックなコンピ。それから

 

 

 

これは平尾さんのベスト盤を編集したハワード・ウイリアムスと言う人が編纂したもうひとつのコンピで、日本の60年代のガールズ・ポップスを収めたものです。

 

 

 それにしてもヨーロッパで、日本のレコード会社でもやってない、こういう日本のポップスのルーツを遡る作業がやられていたとはね。これ、実は今にはじまったことではありません。90年代には、日本のギター・ロックの元祖、GSで同様の動きがありました。

 

 

この2枚は僕に当時すごく影響を与えてます。これ、配信されてるので興味ある人は聞いて欲しいです。すごくカッコいいから。

 

あと、10年ほど前には

 

 

 

1970年代初頭の、はっぴいえんどらの「日本語ロック」の陰に隠れてしまった、英語で日本の新しいロックを目指した「ニュー・ロック」をイギリスの80sのニュー・ウェイヴ・ロッカー、ジュリアン・コープが編纂した本「ジャップ・ロック・サンプラー」が話題になったこともありました。

 

これらのものがもっと日本人の中で浸透するといいんだけどなあ。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 20:24
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アメリカの常識はもはや必ずしも通じない!今の世界の本当の国際的ヒット・アルバム

どうも。

 

 

今回も、昨日に続いて上半期の音楽シーンを振り返る企画なんですが、ちょっとこんな例を出してみましょう。

 

 

 

今週のアルバム・チャートの首位を争ったヒップホップのDJキャリドと、ポップ・ロック・バンドのイマジン・ドラゴンズ。全米チャートでは僅差でキャリドの方が勝って1位になりました。でも、僕の中ではこんな疑問がわきました。

 

 

でも、国際的には、これ、どっちが売れてるんだろう?

 

 

 そう思い、国際的にデカい音楽市場である、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ドイツ、フランス、イタリア。この6カ国での売れ方で両者を比較してみることにしました。なぜ、この6国かというと、これ、アメリカのアーティストが国際的なシェアを広めていくときの順番です。アメリカでウケたらまずは手っ取り早く、イギリス、同じ英語圏の市場ということでオーストラリア、そしてヨーロッパ大陸で最も市場のデカいドイツ、さらにフランス、イタリア・・。もう、この6つでヒットしたら、他の国もおのずとヒットはついてきます。実際、スペインとかスウェーデンのヒットも、大体、調べたら、これらの国のあとですからね。

 

 

では、それがどんな結果を、エクセルのグラフのコピーを張ります。それぞれのマスに最高位を書き、その順位を合計して、少ない方が結果が上、ということにしますが、これが自分でも驚きました。表示は見にくくてすみません。順位がみんな国に対して右寄りになっています。

 

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
Dj Khaled 1 10 7 35 10 76 139
Imagine Dragons 2 3 4 3 3 3 18

 

えっ!

 

イマジン・ドラゴンズのすごい圧勝!

 


 

 

過去のチャート実績もあるからイマジン・ドラゴンズだとは思ったものの、ここまでとは!

 

というか

 

 

全部の国で4位以上ってすごくないか!!

 

ちなみに調べたら、スペインとスウェーデンでも3位だったんですよね。

 

 

いやあ、これ、すごいですよ。だって

 

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
Adele 1 1 1 1 1 1 6
Ed Sheeran 1 1 1 1 1 1 6
Eminem 1 1 1 1 2 2 8
Metallica 1 2 1 1 1 4 10
Coldplay 2 1 2 3 4 2 14
Justin Bieber 1 2 1 3 8 1 16
Beyonce 1 1 1 3 7 5 18
Arana Grande 2 1 1 6 8 1 19
Taylor Swift  1 1 1 4 9 5 21
Maroon 5 1 4 4 6 6 2 23
Lady Gaga 1 3 2 6 9 2 23
Linkin Park 1 4 3 3 14 6 31
Bruno Mars 2 2 3 9 2 14 32
Rihanna 1 7 5 3 6 10 32

 

 

 思いつく限り、いろんな世界的大物アーティストの現時点での最新作の最高位と比較してみても、この数字、いいんだもん。全部の国で1位になるのって、今、アデルとエド・シーランくらいなんだけど、イマジン・ドラゴンズの成績って、ジャスティン・ビーバーとかと変わらない最高位のインパクトですよ、これ。テイラー・スウィフトとかマルーン5よりも各国での最高位にバラつきもないしね。

 

 

 逆にキャリドの方は、いくら最近、ビーバーやリアーナのフィーチャリングでウケてようが、国によってヒットにバラ付きがありすぎるし、ましてや、

 

 

アメリカほどヒットしてる国がない!

 

そこで今回思ったのが、もしかして

 

 

今、「アメリカでのヒット作」ってそんな感じなのか??

 

 

 というのも、ちょっと心当たりがあったから。

 

 

たとえばキャリドと同じ、R&B/ヒップホップ。これにすごい世界各国とアメリカの差を前から感じてました。たとえばですよ、

 

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
Kendrick Lamar 1 2 2 6 3 15 29
Drake 1 2 2 7 5 14 31
Weeknd 1 5 1 10 11 38 65

 

ケンドリック・ラマー、ドレイク、ウィーケンドあたりだと、まだ浸透してるんですよ。ウィーケンドが若干落ちますが、それでもイタリア以外ではウケてるわけですから。

 

でも、これが、たとえば最近アメリカで流行りのトラップ系のヒップホップになると

 

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
Future 1 15 42 53 43 圏外
Migos 1 16 26 63 44 圏外
Travis Scott 1 19 10 圏外 37 42
Rae Stemmurd 4 圏外 83 圏外 66 圏外

 

 とたんにこんな感じです。主要アーティストをあげてみましたが、6カ国全部でヒットしてる人、いません。しかも、アメリカじゃ1位取るのに、イギリスだとトップ20、あとはオーストラリアがまちまちで、黒人が比較的多いフランスでトップ50程度。最近のアメリカでのトラップ勢の上位独占と比べるに、かなりの認知差です。もちろん時差をつけて今後伝わる可能性もあると思います。だけど、その前にブームがひょっとしたら・・というのも考えられなくはありません。僕自身はモノによってはすごく好きではあるんですけど。

 

 

あと、最近のアメリカで、「ちょっと他とズレてない?」と思うものは他にもあります。たとえば

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
Katy Perry 1 6 2 10 4 6 29
Lorde  1 5 1 11 29 8 56
Halsey 1 12 2 27 83 15 140

 

 

6月のアルバム・チャートで3人の女性アーティスト、ホールジー、ケイティ・ペリー。Lordeが1位を3週続けて独占したんですが、彼女たちのアメリカでの最高位と他の地域の最高位にちょっと差がありすぎるんですね。このあたりにも、僕がここ数年感じていた、「ちょっと女性のポップものを過剰に優遇し過ぎてね?」という違和感が現れているというか。実際、アメリカでもちょっとリスナーが女性アーティストに飽きはじめていて、彼女たちのシングルが売れなくなりはじめていると言う話もありますからね。

 

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
Chainsmokers 1 3 4 11 25 8 52
Zedd 4 42 19 50 圏外 51

 

 

あとEDMでも思い当たるフシが。チェインスモーカーズなんて、シングルで1年くらいビルボードのトップ10に入り続けてアルバムでも1位取ったじゃないですか。ゼッドもアメリカでシングル・ヒット多いですよね。でも、世界各国で見たら、そんな威力を感じるほどの売れ方でもないんですよね。もうすぐキャルヴィン・ハリスの新作も入りますね。あれも今回入れたかったんですが、ギリギリ間に合わず。ただ、彼も前作は英語圏ではトップ5でしたけど、非英語圏では20位程度のヒットでしたね。

 

 

 なんかこういうのを見てると、今のアメリカの音楽マーケッティングが「今の若い子たちはこういうのを好きで聴いてるに違いないんだ!」というマーケッティング誘導がちょっと行き過ぎてるのかな?と思わざるを得ません。

 

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
Luke Bryan 1 47 4 圏外 圏外 圏外
Chris Stapleton 2 22 20 圏外 圏外 圏外
Miranda Lambert 3 70 26 圏外 圏外 圏外
Keith Urban 4 圏外 1 圏外 圏外 圏外

 

 

あと、毎度の「アメリカン・ローカル・ミュージック」のカントリーもそうですね。でも、これでもカントリーは国際市場を最近見つけはじめていて、実際、イギリスとオーストラリアのチャートでは「カントリー・チャート」のカテゴリーもあって、その影響もあってか、最近、以前よりアメリカのカントリー、ランクインするようになったんですよね。オーストラリアは、そこの表にも入れましたけど、キース・アーバンを生んだ国でもありますし。あと、イギリスだと、アメリカよりも批評家の好みそうだな渋好みのカントリーの方がウケやすくなってますね。クリス・ステイプルトンがかなり上に入ったとこを見ると。

 

でも、英語圏以外に今後広がるかなあ〜。というのはあります。

 

 

 では

 

逆にどういうのが、アメリカも含めて国際的にヒットしてるの?

 

 

そう思う人のために、こういう表も作りました。

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
Muse 1 1 1 3 1 2 10
RHCP 2 2 1 2 3 1 11
Lana Del Rey 2 2 1 4 3 2 14
Radiohead 3 1 2 3 5 2 16
Gorillaz 2 2 4 3 2 3 16
Arctic Monkeys 6 1 1 3 4 4 19
Black Keys 1 2 1 6 4 6 20
The XX 2 1 1 1 5 11 21
Arcade Fire 1 1 3 6 3 8 22
Green Day 1 1 2 2 16 1 23
Florence&The Machine 1 1 1 3 13 7 26
QOTSA 1 2 1 7 8 11 30
Foo Fighters 2 2 1 2 18 7 32
The Killers 3 1 1 2 29 7 43
Blur 24 1 5 3 3 7 43
Jack White 1 4 3 5 9 28 50
Kings Of Leon 1 1 3 2 38 14 59
Mumford&Sons 1 1 1 2 54 5 64

 

 

 

 これも、いずれも、名前をあげたアーティストたちの、それぞれの国での最高位をあげたものですけどね。これ、ズバリ、ヨーロッパのロック・フェスでヘッドライナー取る、あるいは取れそうな人たちなんですけど、ここにあがった人たちがこんなに売れてるって知ってました?

 

 ラナ・デル・レイなんて全ての国でトップ5だし、アークティック・モンキーズやアーケイド・ファイアの前作もすべての国でトップ10入りですよ!あと、フローレンス&ザ・マシーンとかQOTSAとかもなにげに、あわや全6国でトップ10入りですよ。このあたりは日本の業界にも聞かせてやりたい話ですよ(笑)。

 

 

 あと、最近のリリースだとゴリラズね。彼らも全てトップ5入り。あと、ゴリラズ効果で、ブラーの目下のところの最新作もアメリカ以外では本当にヒットしてるんですよね。それからThe XXも今や大物ですね。

 

 

 アメリカでもヨーロッパ・スタイルのロック・フェスが定着したから、ある程度は対応できてはいるんだけど、

 

 

 だったら、もう少し、普段から彼らの曲、一般に紹介しろ!!

 

 

 本当にそう思いますよ。最近なんて、ロックのヒット曲、なんにもないけどさ。それがせいぜい、イマジン・ドラゴンズくらいなんですけど、彼らが世界であんなに売れるんだったら、他にももっとアーティストもいるんですから、もっとラジオとかシングル・チャートで紹介しろって感じですよ。

 

 で、早速、アメリカ、やらかしちゃってるんですよ。今、ヨーロッパだと

 

 

このラグ・ン・ボーンマンが「男アデル」みたいな感じで大ブームで、シングル・ヒットも出てます。くくりはロックとして紹介されてもいます。アメリカでもそれに倣えば良いのに、彼のデビュー・アルバム、こんな感じですよ。

 

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
Rag N Bone Man 圏外 1 3 2 1 12

 

 

なんと、アメリカだけ100位にさえ入っていない!

 

 

 別に彼のことは好きじゃないんだけど、これだけの国でここまでウケてるんだったら、もう少し根入れてプッシュしてもいいのにね。アダルトなファン、絶対反応すると思うんですけどね。これもなんかチャンスのがしてると思います。

 

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
John Mayer 2 16 5 44 圏外 50
Incubus 4 35 20 20 圏外 44
311 6 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外

 

 

少なくとも、こういう感じのを推すよりは効果あると思うんだけどな。

 

 

 今日は「国際ヒットを知るために、こういうチャートの見方もあるんだよ」という話しでしたけどね。もちろん、僕の好みで物を行ってるところもありますけど、でも、世界で万遍なく受けるためには、やっぱ、ちゃんとした実力持った人を支持した方が絶対良いと思うんですけどね。

 

 

最後にオマケとして。国際ヒットするには、「カルト受けする」という要素も必要です。そんな例でシメましょうか。

 

 

US UK Aus Ger Fra Ita Total
David Gilmour 5 1 2 2 1 1 12
Iron Maiden 4 1 2 1 2 1 11
Slipknot 1 2 1 2 8 6 20
Depeche Mode 5 5 14 1 1 1 27
Placebo 98 13 9 3 3 2 128

 

 

最後のプラシーボなんかは「アメリカ以外ではすごいよ」という例ですね、これ。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 13:09
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