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ビルボードのアルバム・チャートを隅々まで見ると結構なことが学べる

どうも。

 

 

こないだ、「ビルボードのチャートの200位までには、4年以上ランクに入ってる作品が20枚以上ある」という話をここでしました。今日はその話の続きをしましょう。

 

 

別に4年じゃなくても、2年とか、1年以上入っている作品なら、もっとザラにあります。この発見は僕には新鮮でした。なぜなら、これだけリリース過多になった時代で、リスナーの方が全部を消化しきれず、結果、定番を選ぶ傾向があるのがわかったから。特に、僕が毎週チェックを入れている、批評的評判の良いインディ・ロックの作品なんかは、固定ファンだけが買ってロングヒットにならない傾向が近年強かったので、なおさら新鮮でしたね。そのせいで、「実はロングヒットしてたのに、おさえてなかった作品」がかなりの数、見つかりましたから!

 

 

今日は、そうした作品を紹介して行きましょう。

 

 

 近年では、そうしたロングセラー・アーティストがやっぱり地盤が強いんですね。わかりやすいとこで言うと、こないだも言いましたが、アデル、ブルーノ・マーズ、エド・シーランはかなりの長きに渡ってヒットしてます。彼らの初期の作品は5、6年チャートに入っています。あと、ラナ・デル・レイのデビュー・アルバムも先週かな、5周年で、まだ200位から落ちてません。彼女のあのアルバムはイギリスでも3年入ってたので、相当なヒット作だったんですね。

 

 

 ただ、まだまだロングヒットしそうな可能性があるものが、実は目白押しだったりします。たとえば、上にあげた人たちのほかにも、今、ドレイクが過去の作品含め、5枚もアルバム・チャートの200位に入っています。ウィークエンドも同様に3枚。このあたりはシングルもヒットしているのでわかりやすいかもしれませんが、実はこの人も同じようなヒットをしてたんですね。

 

 

Jコール!

 

現在、最新アルバムの「4 Your Eyez Only」がトップ10入りしてますが、そのひとつまえの「2014 Forest Hill Drive」が112週、さらにひとつ前の「Born Sinner」が93週で、まだ200位内に入ってます。

 

それに気がついて僕も聴いてみたんですが、過去作よかったんですね、これなんか特に。

 

 

 これ、すっごく好きな曲です。ラップも出来て歌えて、ソングライトも出来て、ライブもバンドでやるんですね、彼。で、「フィーチャリングを一切使わないアルバム」というのをここ2作続けてて、それで全米アルバムの1位になった、25年ぶりのヒップホップ・アルバムという記録も作りました。ドレイクみたいな派手な話題がない人なんですが、その裏で実力派として評価されてた訳なんですね。

 

 

 ラッパーだとほかに、俳優のドナルド・グローヴァーが別名でやってるチャイルディッシュ・ガンビーノの「Because The Internet」が116週、キッド・カディの「Man On The Moon」が109週、レイ・スリーマードの「Sremmlife」が106週、ビッグ・ショーンの「Dark Sky Pradise」が94週、フューチャーの「DS2」が80週、と目白押しです。これ、すごいことですよ。だって、カニエにもジェイZにも、そんな長くヒットしたアルバム、ありませんから!

 

 

あと、気がつきにくいですが、白人ヒップホップも結構ロングヒットしていました。最近だと、トウェンティ・ワン・パイロッツが、彼らもシングル・ヒットしてるのでわかりやすくて、代表作の「Blurryface」が89週でまだトップ10近くにいるのですが、その前のアルバム「Vessel」も128週で入っているのですが

 

 

 

このG-Eazyってラッパーの「These Things happen」というアルバムも128週のロングヒットになっていたのは知りませんでしたね。あとロジックっていうラッパーの「Under Pressure」というアルバムも54週入ってます。最近、ポスト・マローンという白人ラッパーのアルバムが現在トップ10に入るヒットになっていますが、ホワイト・ラッパーの人気が後押しされてる感じはこういうロングヒットにもあったわけだなと。

 

 

 まだ、あります。今度は女の子のポップシンガー、行きましょう。

 

 

ホールジー、アレシア・カラ、メラニー・マルチネスの3人ですね。いずれもデビュー作です。

 

ホールジーの「Badlands」は74週、アレシア・カラの「Know It All」は63週、メラニー・マルチネスの「Cry Baby」は76週で、しかも全部60位台より上のランクなのでまだまだヒットしそうです。彼女たちはまだすごく若くてですね、ホールジーが22、アレシアが20、メラニーが21で、しかも全員,曲、自分で書く人たちなんですね。僕、ちょっと彼女たちには期待してたりします。

 

 みんないいんですけど、メラニー、聴きましょうか。

 

 

 

この人のアルバムは完成度高かったですね。ロイリータ版のラナ・デル・レイって感じで。かなりコア・ファンついてる感じですね。彼女、17歳のときに「The Voice」の出演者だった過去があるんですけど、早めに敗退したから契約の話などはなかったっぽいんですけど、そこから新進気鋭のいいプロデューサー見つけて台頭したようです。サウンド・プロダクションがとにかくいいですからね、このアルバム。彼女、ロラパルーザでブラジル来るので見るつもりです。

 

 

 それからカントリーに行きましょう。

 

 この世界はもう、テイラー・スウィフトは昔の話になっていえ、今はイケメン・シンガー大全盛です。ロング・ヒットするのも彼らで、ルーク・ブライアン、フロリダ・ジョージア・ライン、ブレイク・シェルトンといったあたりはザラに3年くらいロングヒットするアルバムがあるんですが、僕的には

 

 

このサム・ハントという人の「Montevallo」というアルバムが気になりましたね。これは118週入って、まだ70位台ですが、これが一番モダンですね。

 

 

 

彼はエド・シーランへのカントリーからの回答、みたいな感じで売ればいいと思うんですけどね。曲がマッチボックス20みたいで、かつヒップホップの要素も混ぜれる器用さもあるんで。この人、このデビュー作からアルバム出してないんですけど、新作、今年らしいです。結経、売れるんじゃないかと思います。

 

 

 最後にロック、見ましょうか。こちらは、シングルヒットがあったものが長く売れてますね。ルーミニアーズのデビュー作が125週、ホージャーのデビュー作が116週でまだ入ってます。ルーミニアーズはその次のヤツも長く売れそうです。あと、こないだまでアークティック・モンキーズの「AM」が123週入ってたんですけどね。本国イギリスでは170週超えてまだ100位以内です。あとThe 1975ももうすぐ1年。その前のデビュー作はアメリカでも2年くらい売れてましたけど、本国イギリスでは145週でまだチャート入ってます。あとはニュー・メタルのディスターブドもサイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」の意外カバーがウケて75週でチャートインしています

 

が!

 

今回一番驚いたのはこれでした。

 

 

パニック・アット・ザ・ディスコ!

 

 

いやあ、これは驚きました。今、ビルボードのアルバム200位に、彼ら、というか、今や彼ですね、アルバムが3枚も入ってるんですよね。去年出た「Death Of A Bachelor」が54週、その前の「Too Weired To Live Too Rare To Die」が94週、そして2005年に大ヒットした「A Fever You Cant Sweat Out」が83週。

 

 

 これ、どうやら、「Death Of A Bachelor」がカルトヒットしていることから、過去のアルバムも再ヒットしてるみたいなんですね。これ、アメリカだけじゃなく、「Death Of A Bachelor」、イギリスでも同じく54週、チャートから落ちてません。しかも、ビルボードに関していえば、今週、31位から24位にあがってきてます。

 

 

 今、こんな感じなんですね。

 

 

 

 

クイーンとシナトラの要素が入ったとは、聞いていたんですけど、随分、異形に行きましたね、これは。

 

好きか嫌いかは別として、こういう感じで生き残っていくのは面白いことだと思いましたね。

 

 

こんな風に、なにかと発見、多いものですよ。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 18:50
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ビルボードのアルバム・チャートの1割は4年以上ランクインしている作品だった!

どうも。

 

今日はこういう話をしましょう。

 

先日、たまたまビルボードのアルバム・チャートをながめていてあることに気がつきました。「へえ、こんな古いのまだ入ってるんだな」「へえ、こんなのも今、入ってるんだ」と見て行くうちに、それらが実は何10年も前のアルバムだったり、5年前のアルバムだったり、そういうのが目立ってたんですね。

 

 

「これ、1年以上、ランクインし続けているアルバム、一体何毎あるんだ?」と思って調べたら

 

トップ200中、102枚もありました!

 

つまり

 

ランクされてるアルバムの半分以上が1年以上前のアルバムじゃないか!

 

 

 まあ、今がちょうど、新作のリリースが少ない年始ということもあるんだとは思いますけど、それにしても多いですね。

 

 しかも、さらに調べてみたら

 

チャート・イン100週(約2年)以上のアルバムは60枚!

 

 それも驚いたんですが、さらに

 

チャート・イン200週(約4年)以上のアルバムが22枚もあった!

 

 

 これ、カタログのチャートじゃなしに、最新のヒット動向を見るチャートでですよ!いやあ、「4年」ってなかなかチャートインしませんよ。どんなに1枚のアルバムが台ほっとして、そこからたくさんシングルきって長いツアーをしても2年が精一杯だし、もう半年、もしくは1年も持てばいい。それでやっと3年ですけど、そこからもう1年長く入るには、もう、プロモーションの力を超えた何かが亡いと、さすがに実現しにくいです。

 

 だけど、そんな特殊なアルバムの数々が、今週のビルボードのアルバム・チャートで22枚も入っていたわけです。それがどんな作品なのか、ちょっと内訳を見てみましょうか。

 

 

900週以上
The Dark Side Of The Moon/Pink Floyd 926

 

まずは、お約束です。ビルボード・アルバム・チャートの最長ロングランの記録を持っているピンク・フロイドの「狂気」が入っています。これ、実は先週は入ってなかったんですけど、僕の今回の企画にあわせるかのように、トップ200に返り咲いて来ました。このアルバム、僕がその記録に気がついたときでリリース10年後くらいで500週くらいのランクインだったと思うんですけど、そこから30数年経ってもまだ入る週があるんですからね。バケモンです。

 


400週以上
Legend/Bob Marley 452
Greatest Hits/Journey 443
Metallica/Metallica 413

 

 

 

ボブ・マーリーの、非常に高名なベスト盤「レジェンド」が9年ランクに入っていますね。これに関しては、もう随分昔からずっと入り続けている作品ですよね。僕の記憶だと、80年代半ばのイギリスのチャートではかなり上位にランクしていた記憶があります。かの国では700週を超えるヒットのはずです。

 

 

 あと、ジャーニーのベスト盤も強い!これ、80年代の末に、当時でいう新曲も一曲もなかったのに、それでもリリース当時、トップ10入ってたんですよね。そこから、「随分チャート落ちないよね」、と思ってたら、これも9年分のチャートインです。最近はロックの殿堂効果もあって再度入ったんでしょうね。

 

 

あと、メタリカのブラック・アルバムは、今日のクラシック・アルバムとして定着した感がありますね。シングルになった曲はロック系のラジオ局の大定番中の大定番ですからね。

 

 


300週以上
Greatest Hits/Guns N Roses 382
NevermindNirvana 345
The Curtain Call/Eminem 323
21/Adele  308
Doo Wop&Hooligans/Bruno Mars 306
The Eminem Show/Eminem  302

 

 

 これ、ビックリしたんですけど、ガンズのベスト盤って、もうすぐ8年くらいのランクインの大ベストセラーなんですね!これ、出た当時のこと、覚えてます。「別にベストじゃなくても、ファーストだけ持ってりゃそれで良くない?」と思ってたんですけど、案外、それ以外のアルバムからのヒットも大事なようですね。ちなみにファースト「アペタイト・フォー・ディストラクション」は、ものすごいヒットの印象もあるんですけど、チャートインは171週。200週チャートインがいかにすごいことかは、この例からもわかるはずです。

 

 あと、ニルヴァーナの「ネヴァーマインド」は、ある世代から下にとっては、メタリカ、ガンズと並ぶ、90s前後のクラシック・ロック化してますね。実際、その3つは欧米のロック・ステーションでは頻繁にかかりますからね。

 

 

 あと、

 

 

エミネムが強いんですよね。300週台に2枚ですよ!意外だなと思ったのは、ひとつがベスト盤なのはわかるとして、もう1枚がサードの「エミネム・ショウ」なんですよね。彼の最高傑作と言えば、このひとつ前の「マーシャル・マザーズLP」という印象だったり、あるいはこの次の「8マイル」のサントラも人気あるのかなと思ったら、これなんですよね。

 

 

 エミネムはこのほかにも200週台1枚、100週台3枚と、6枚が100週以上のロングヒット。リリックが「心のうた」化しています。

 

 

 それから、アデルの「21」は非常によくわかるし今後も伸びて行くと思うんですが、それに並行してブルーノ・マーズのファーストもずっと入ってるんですね。今の世代の、男女のベスト・シンガーが共に長く愛されている感じですね。

 


200週以上
Chronicle The 20/CCR 297
Hot Rocks 1963-71/Rolling Stones263
Recovery/Eminem 261
Born To Die/Lana Del Rey 258
1/The Beatles 255
The Legend Of Johnny Cash 250
Night Visions/Imagine Dragons 224
Their Greatest Hits 1971-1975/Eagles 211
good kid maad city/Lendrick Lamar219
Greatest Hits/Tom Petty&The Heartbreakers 218
Heres To The Good Times/Florida Georgia Line 205
Take Care/Drake  202

 

 

 いきなり意外だったのが

 

 

 

CCRのベスト盤の「クロニクル」ですね。60年代後半のアメリカン・ロックだとフラワー・ムーヴメントだったり、70sの前半だとCSN&Yやザ・バンドみたいなイメージってどこかあるような気がするんですけど、CCRみたいな、飾り気のない埃っぽいロックンロールの方が普遍的にわかりやすいってことなのかな。これ、あと3週で300週台突破です。今週、153位だったので、達成可能かと思われます。

 

 

 あと、ストーンズとビートルズは共に定番ベストが強いようです。ビートルズは赤盤、青盤の方が好きなんですけどね。

 

 

 そして!

 

 

 これが驚きですね。ラナ・デル・レイの「ボーン・トゥ・ダイ」!これ、発売以来5年で、ビルボードのトップ200から落ちたことがないんですね!これは思うに、すごくカルト・アルバム化してるのかと思います。やっぱり、タイトルもそうだし、曲調もすごくゴシックなダークさにあこがれを持つタイプの人にはゾクゾクさせるものがあるのは確かだし、ブラジルでの彼女のライブ見てますけど、ファンの熱狂度がすごいですもん!ブラジルでも不自由なくいろんなライブが見れてますけど、こと、ファンの団結心と、アーティストへの崇拝度で今、彼女を上回る人、いないんじゃないかと思いますからね。

 

 

 あと、レジェンドではジョニー・キャッシュ、イーグルス、トム・ペティが強いあたりはいかにもアメリカ。最近のものだと、イマジン・ドラゴンズ、ケンドリック・ラマー、フロリダ・ジョージア・ライン、そしてドレイクが入っています。

 

 

 これで22枚なんですが、後もう少しで200週なのが

 

 

 ビートルズの「アビー・ロード」が今、198週目です。オリジナルだとこれが一番長いんですね。ちなみに122位なので、達成は可能でしょう。あと、エド・シーランの「+」もあと6週で200週。今、シングルで大ブームなので、余裕で達成でしょうね。

 

 

 あと、今週、たまたまランクインを外れていますが、このほかのもチャートイン200週以上の作品はあります。全部拾えているか自信は少しないですが、こんな感じです。

 

 

Tapestry/Carole King  318 

Back In Black/AC/DC 282  
Thriller/Michael Jackson 282 

Taylor Swift/Taylor Swift  275 
IV/Led Zeppelin 269 

Greatest Hits/Queen 263 

Ten/Pearl Jam 261 

The Best Of Van Morrison  242 

The Sound Of Music/Soundtrack  238 

Teenage Dream/Katy Perry 232 

No Fences/Garth Brooks 224 

Sigh No More/Mumford&Sons 222 

Number Ones/Michael Jackson 219

19/Adele  217  

Mothership/Led Zeppelin  214 

Tailgates&Tugboat/Luke Bryan  214

Rumours/Fleetwood Mac 206 

All The Right Reasons/Nickelback 205

 

 こんな感じですね。このうち、AC/DCとクイーンは前の週にはトップ200にランクインしていました。

 

 

 あと、ここではレッド・ツェッペリンとテイラー・スウィフトの強さが目立ちます。テイラー、デビューから5作、全て100週以上のロングヒットです。あと、あの「スリラー」でさえ、282週なんだから、300週以上のランクインってすごいですよね。

 

 

 いやあ、でも、これすごいことなんですよ。例えば、U2は5枚、ブルース・スプリングスティーンとフィル・コリンズが4枚、マドンナやポリスが3枚、100週以上のロングヒットがあるのに、200週以上は1枚もないですからね。そのほか、考えうる限りのビッグ・アーティストを調べてみてもなかなか200週はないですね。

 

 

 まあ、200週以上のヒットがなくとも、コンスタントに1年くらい売れ続けるアルバムを連発出来ていたらそれでいいといえばいいのですが、リスペクトして良いことだとは思います。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 13:01
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2016年ほど音楽界が才能を失った年は他にあるか?

どうも。

 

 

いや〜、それにしても

 

 

 

 音楽界がこんなに偉大なる才能を失った年ってあるのかよ。

 

 

 世界的に見ての話題の多さなら,ボウイ、プリンス、ジョージ・マイケル、レナード・コーエンですけどね。彼らは僕の住んでいるところでの特集記事の大きさでも圧倒的でした。

 

 

 彼らだけに限らず,イーグルスのグレン・フライ、アース・ウィンド&ファイアのモーリス・ホワイト、レオン・ラッセル、エマーソン・レイク&パーマーに至ってはエマーソンもレイクも亡くなりましたからね。他にもたくさんありました。

 

 

 また映画で見ても,アラン・リックマン、ジーン・ワイルダー、キャリー・フィッシャーと続いたし、スポーツ界でもモハメド・アリがこの世を去りましたよね。政治界でもキューバのフィデル・カストロも亡くなったし。

 

 

 で、考えてみたんですが、

 

 

やはり2016年ほど音楽界が人を失った年は客観的に考えてみても他に例がないと思います。

 

 

 他にそういう年がないかと調べました。たとえば 

 

 

 

 

 

1959年2月にバディ・ホリー、リッチー・ヴァレンス、ビッグ・ボッパーの3人を亡くした飛行機事故ですね。

 

 

 

 

 あと、ジミ・ヘンドリックスとジャニス・ジョプリンを失った1970年も大きいですね。このときは69年夏のローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズとドアーズのジム・モリソンも足して考慮するべきかもしれません。

 

 

 

 それから、見過ごしがちですけど、ジョン・レノンとジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスの死亡年も同じ1980年です。

 

 

 

 

 

 あと、実はこの年も大きかった1991年。クイーンのフレディ・マーキュリーにマイルス・デイヴィスにセルジュ・ゲンズブール。スモール・フェシズのスティーヴ・マリオットもこの年ですね。インパクトで言えば、今年に近いかもしれません。

 

 

 

 

 

 2012年にはホイットニー・ヒューストンにビースティ・ボーイズのアダム・ヤウクも亡くなってますね。検索してこの写真が出て来たので思い出したのですが、ドナ・サマーもでしたね。エイミー・ワインハウスがその前の年の夏でした。

 

 

 これらの年と比べてみても、やっぱり今年のインパクトって大きいと思うなあ。近年は、ロックの一時代を築いて来たレジェンドたちが70代にさしかかる時期なので必然的に亡くなる人は増える方向にはあったんですが、それでもプリンスやジョージ・マイケルのように、まだ50代で、すぐに亡くなるとは思えなかった人まで混ざると、その悲劇性と衝撃性はさらにましますよね。

 

 

 加えて今年はBrexitやドナルド・トランプの大統領当選もあった年です。世の中的に暗い雲が立ち込める感じも、その悲劇性にドラマ性を加えているところもあると思います。

 

 

 これを指して、今年を「音楽が死んだ年」なんて言い方をする人もいます。気持ちとしてわからないではありません

 

 

が!

 

 

 そういうメンタリティは僕は大嫌いです!

 

 

 去る人もいれば、その年に素晴らしい作品を出して新たなレジェンドになる人だっているんです。そういう存在のことを忘れないようにしないといけません。

 

 

 それから、僕にとっては、娘の生まれた年でもあるわけです。そんな年に音楽が死んだなんて言ったら、彼女がかわいそうだし、彼女だってこれからの人生、自分にとってかけがえのない音楽の伝説を誰かしら持つと思うんですよね。それは4歳になる息子に関しても同様です。なので、上の世代の死を持ってあたかも良い音楽が存在しなくなるような物言いは僕は嫌いです。

 

 

 もちろん、こうして亡くなって行く人たちの音楽遺産を、子供たちも享受していくのが理想ですけどね。

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 21:15
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世界の音楽メディアの年間ベストで強い作品

どうも。

 

 

オスカーの前哨戦、結果が出始めてますね。こないだの候補作品の範疇からはみでるようなものはなく、妥当ですね。今度の日曜にでる結果をもとに月曜にまとめますね。

 

 

今日は音楽ものの今年の年間ベストを語りましょう。

 

全米映画興行成績でいつも指標にしているMetacriicが今年の音楽メディアの年間ベストの総合ランクを出していますね。今年わりと上位は固まってて、そんなに票割れしてないですね。まだ、すベて出揃ったわけではないですが、こんな感じです。1位は結構ダントツです。

 

 

はい。やっぱ、今年初頭の話題を独占したボウイですね。異論ありません。僕も1位ではありませんでしたが、10位以内にはもちろん入れてます。

 

 

続いて、同点でこの2枚ですね。

 

 

 

ビヨンセの「レモネード」とニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズの「スケルトン・トゥリー」ですね。この2枚、最高でしたね!僕も何度も聴いたアルバムでした。

 

 

それから、このあたりですね。

 

 

 

フランク・オーシャンにレディオヘッドですね。実は上の2枚とこの2枚の4枚は僕の年間のトップ5とまんま重なりましたね。

 

 

 あと目立つのはこのあたりですね。

 

 

このあたりが6〜10位で、これも10位のOh Sees以外は妥当かな。ただ、アンダーソン・パクはそこまで良いとは個人的には思ってないんですけど(汗)。ソランジュやエンジェルは20位までなら考えた作品です。アニョーニも好きです。オーシーズは、パっと聴きはかっこいいんですけど、全体でそこまでいいかなあ。

 

 

 あとはチャンス・ザ・ラッパー、イギー・ポップ、カニエ,レナード・コーエン、ボン・イヴェールと今年っぽい名前が続いていますけどね。

 

 

 これ、もっと評価してほしいんだけどなあ。

 

 

 

NMEの年間でのみ1位で、あと、悲しいくらいに入ってくれない(泣)The 1975。結構、NMEにも苦情、多かったんだよなあ。

僕の場合は、上で言及した4枚プラス、これが個人的なトップ5だったんですけどね。

 

 

 でもね、こういう若い女の子に人気のある良質なポップ・センスのあるものを締め出すようだと、今後のロックファン、僕はかなり心配ですね。シリアスになりすぎですよ。ロックの歴史ひもとけばすぐにわかることですが、ビートルズだってストーンズだってクイーンだって、若い女の子に人気あったバンドですよ・ブリットポップのときのブラーだってそうですよ。でも、そういうバンドがちゃんと歴史切り開いてきてるわけであって。こういうものをちゃんと評価しないと、ロックなんて、むさくるしいだけの一般人気のない音楽に陥ってしまうと思うんですけどね。シリアスなものを選ぶことも大切だけど、ロックってそれだけじゃないと思うんですけどねえ。

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 19:07
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「これがなかったらクイーンは今ほど評価されていなかった」と信じて疑わない3枚のアルバム

どうも。

 

 

 

今日、11月24日はフレディ・マーキュリーの25回目の命日です。亡くなったのは1991年ですけど、よく覚えています。もう直前から「もうダメだ」とは言われてて覚悟はしていたんですが、その日はちょうど月曜日(正確には日本時間では25日だと思う)で、前の日まで大学の学祭で、自分のサークルの出し物の撤去をして、横浜の自宅に帰ってテレビをつけた途端、テレビ神奈川の番組で訃報を知ってボーゼンとして、その夜は泣きましたね。何せ、クイーンが僕の人生で最初にアルバム買ったバンド、かつ、ライブ見に行ったバンドでしたからね。ショックは大きかったわけです。

 

 

・・という話は、振り返るたびに必ず出てくる話で、これだけしても進歩がないので、今回は、これまで一般に語りたくてなかなかできなかったこの話をしましょう。題して「このアルバムがなかったらクイーンは今ほど評価されていなかっただろうアルバム」。

 

 

 

 今でこそ、クイーンの評価は世界的ですけど、そうなったのは、この91年のフレディのエイズによる衝撃死がその効果を上げてしまっているのは否定はできません。実際問題、日本だと、少し忘れられた過去のバンドになっていましたからね。これは認めないといけないことです。これに関しては当時、僕、結構、怒ってました(笑)。

 

 

 日本がそうなりやすかった理由というのがあります。それが「クイーンを世界で最初に評価した国」という誇りです。そういう世代の人たちがよく言う話として「クイーンIIこそが最高だ」「ハードロックじゃなくなってダメになった」みたいなヤツですね。ただ、正直、僕はこれに関しては違和感しかありません。幼少時で70年代半ばの日本でのブームに間に合っていないこともあるんですが、ただ、もし、「クイーンII」が本当にキャリアの頂点のようなバンド(そんなこと言ってる国、日本以外にあまり聞きませんが)だったとしたら、クイーンはきっとどこかの時点ですっかり過去のバンドで終わって、80年代にヒット曲なんてなかったでしょうね。そうなったら、こんな今みたいに誰でもが知ってるバンドではなかったでしょう。

 

 

 だいたい、「クイーンII」みたいな組曲形式みたいなものがウケた時代だって長さが限られているし、プラス、そんな曲の形式にとらわれていたら、彼らが持っていたシングル・ヒットを飛ばせるソングライティングのポテンシャルを潰すことにもなったと思いますからね。ごめんなさい。なので、正直、「ビッグになって自分の手から離れていくやっかみ」程度にしか僕は思っていません。

 

 

 僕の場合、もちろん、ほぼ全世界で一般的だと思う「オペラ座の夜」最高傑作説には異論は唱えません。初期のリアルタイム世代と、中期、後期のリアルタイム世代、そして間に合わなかった世代の意見を平均してもそうなるでしょう。しかし、「オペラ座の夜」だけで終わっていても、クイーンは今ほど評価されるバンドにはなっていなかった。僕はやはりそう思うのです。

 

 

では、「何がクイーンのキャリアを救ったか」。僕が「こここそがポイント」と思えるアルバムを3枚あげることにしましょう。

 

 

まずはこれ

 

 

 

「世界に捧ぐ」ですね。77年発表。「We Will Rock You」と「伝説のチャンピオン」と、一大アリーナ・アンセムが入っていることもデカイのですが、これがあったおかげで、クイーンがハードロックの呪縛から解き放たれて、自由なソングライティングができるようになったものだと信じてます。事実、これが出た時、ロンドンではパンクの嵐が吹き荒れ、ハードロックがすっかり過去のものとなっていました。その直後、それこそピストルズの「勝手にしやがれ」とリリースが近いんですが、そこでクイーンは髪を切ってカジュアルな衣装を着るようになって、パンクにこそなりませんでしたが、来るべき時代をうまいこと乗り越えたわけです。

 

 実際、こういう曲もありましたね。

 

 

 

 

これは明らかに狙って書いたパンクでしょう(笑)。

 

まあ、これに限らず「Get Down Make Love」とか「It's Late」とか、前だったら書けなかったタイプの代表曲もありますしね。ここで芽生えたソングライティングの多様化は80年の「ザ・ゲーム」での2曲の全米1位にもつながります。

 

 

次がこれですね。

 

 

 

 

84年の「ザ・ワークス」ですね。これは、この前の「ホット・スペース」ってアルバムが大コケして心配された次作だったんですけど、これはイギリスで3年くらいチャートに入り続ける大ベストセラーになったほか、世界中でヒットします。ただ、アメリカで今ひとつだったのと、日本でも、売れはしましたけど、もう当時はデュラン・デュランとかカルチャー・クラブの新世代の台頭に押されて過去のバンド扱いになって、そのまま人気落ちてしまいましたけどね(泣)。

 

 

 このアルバムが大事なポイントは4つあります。ひとつは、このアルバムのツアーの成功によってクイーンが「世界一のライブバンド」のイメージを決定付けたこと。85年1月のロック・イン・リオ、同年7月のライブエイド。この2つでの圧倒的パフォーマンスでクイーンの評価が決定的になるんですね。クイーン自身、本当はこのアルバムで解散だったところが、あまりの好評ぶりに解散を撤回してますからね。そして、この次のアルバムでは東欧もツアーしてこれも大成功。リスナー層が世界規模であることを、この当時のクイーンは印象付けていました。僕自身、86年のツアーのライヴ・アルバム「ライヴ・マジック」が大好きで、一回さめかかったファン心理がグッと戻ってきたいきさつもあります。

 

 

 それから、この時期がフレディのヴォーカリストとしての絶頂期ですね。初期ってファルセットが多いんですけど、この時期になるといかに裏声にたよらないで高音域をパワーで歌いきるかのパフォーマンスが目立ってます。「Radio Ga Ga」にせよ「I Want To Break Free」にせよ、カラオケ難易度異常ですからね(笑)。歌えば歌うほど高くなって、サビで声、出なくなりますから(笑)。

 

 で、この歌唱力の絶頂期にソロをやって、あとは「バルセロナ」でクラシックに挑戦でしょう。声に関しての自負と向上心はこのころが一番だと思うんですよね。実際問題、この頃のフレディのソロって、今やクイーンのディスコグラフィとも遜色ない人気もありますしね。

 

 

 あと、このアピールも大きかったでしょう。

 

 

 

この「I Want To Break Free」のクリップですね。これ、曲の内容もそうなんですけど、LGBTのアンセムになりましたからね。こういうとこでのフレディのゲイ・アイコン化もカルチャー的に大きかったと思います。

 

 

 そして、これはおまけですけど、レディ・ガガのネーミングのヒントになったのが「レディオ・ガガ」だったことですね。これも、ある世代から下にはクイーンのアピールとしては効果はあったかなと思います。

 

 

 そして、もう1枚はこれですね。

 

 

 

 生前最後の、いや、遺作と言い切ってしまいましょう。91年の「イニュエンドウ」ですね。これも買ったときのことをよく覚えています。2月、大学2年の学期末テストのときに大学生協で予約して買いました。僕のいたサークルにクイーン・ファン、しかも80年代以降のが多くてですね、発売前から盛り上がっていたんです。

 

 

 実際、世界のリアクションも良かったですよ。イギリス、ドイツ、イタリア、オランダでは1位でしたしね。日本でも「ザ・ワークス」まではオリコンで必ず10位以内だったのに比べると弱いものの、その前2作の20位台よりちょこっと上の17位。それでも不満でしたけどね。雑誌の表紙なんてなんもなかったし。

 

 

 ただ、結果的に死の9カ月前に出たこのアルバムの印象が良かったせいで、クイーンのバンドとしての勢いが国際的に高いままの状態で亡くなったのは、死亡時の話題を高めるのに一役買ったところはあると思います。

 

 

 まあ、とはいえ、このアルバムでみんなが真っ先に思い出すの、今やこれなんですけどね。

 

 

これですね。これ、リリース当初はイギリスでの第4弾シングルだったんですけど、死の直前に、来るべき死について暗示したような内容だったのも話題だったし、加えてやはり、歌詞が人生の最後を前向きにしめくくるのにあまりにもピッタリと合いすぎていましたからね。

 

 今やこの事実が忘れられそうなんですが、このアルバムからの曲と言うのは、前作の「ミラクル」もそうでしたけど、フレディはすでに治療に専念していたので、ライブで披露されたことはないんですね。ただ、その後の、記念ライブとか、ロジャーとブライアンの活動によるライブでは定番曲になっているし、「アメリカン・アイドル」みたいなオーディション番組でもしょっちゅう歌われていたので、もはや「フレディ最後の曲」の印象で世界に浸透している感がありますね。

 

 

 ・・ということで、僕の中でのクイーンやフレディというのは、初期の華麗なハードロックからはじまって、こういう過程を経て、もろもろ精製されて出来ていったもの、という印象の方が強いし、それが実際のとこなんだと思っています。

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 18:49
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今のアメリカ大統領選を見て、改めてロックのあり方について考える

どうも。

 

今、たけなわですね。

 

 

 

アメリカ大統領選。僕も、これまでにないくらい注目してて、州ごとの投票状況までチェック入れてるくらいです。そんなこと、今までしたことなかったんですけどね。

 

 

それにしても、今回のアメリカ大統領選ほど、それを取り巻く社会状況と、今のアメリカ音楽界の事情が密接に結びついた選挙はないなと思って、僕は関心を持っています。

 

 

 日本だと今、国際的な音楽の話題と言えば、「CDが売れなくなった」「ストリーミングに未来はあるのか」などという、「一体いつの話をしてるんだ?」という「聴き方の変化の話」ばかりで、「音楽シーン」そのものの話をしたものをほとんど見かけないので軽く腹も経っているんですが(笑)、いやあ、今のアメリカのミュージック・シーン、社会そのものがすごく浮き彫りになっていますよ。そのことについて話したいと思います。

 

 

 今のアメリカの音楽シーンを語る際に、どこから入るとわかりやすいか。まずは

 

 

 ロックの不振

 

 

 ここから入ろうかと思います。

 

 

 ロックがなぜ今、影響力の衰えた、ふるわないものになっているか。それに関してはいろんな意見があるかと思います。僕の持論とて、決定的なものかどうかはわかりません。でも、僕がその理由として一番有力視していることとして

 

 

 ロックが、女性と人種的マイノリティを取り込むのがへたくそ

 

 

 僕は、ポイントがここだと思うんだよなあ。

 

 

 ロックの場合、やはりどこか「白人男性の音楽」というイメージがあって、それが拭えない。そうなると、リベラルの人たちの中で力をつけている女性や、白人以外の人種はやっぱりどこか参入しづらい。「自分たちの音楽として響いて来ない」。こういう風に思われても仕方がないところがあると思うんですね。

 

 

 でも、言いたいことや表現したいことは女性や黒人をはじめとしたその他の人種にもたくさんあるし、彼らがアピールすることで共感する人は、実は白人たちよりもたくさんいる。そう考えると、音楽業界というのも基本的にリベラルの人たちの集まりだし、同時にお金も稼がないといけないわけだから、どうしても、そうしたダイバーシティ(多様性)の方向に流れて行かざるをえない。ましてや、女性のポップ・ソングやヒップホップの方がジェネレーション的にもロックより若く見えるし、加えて、最近だとEDMにそれが顕著ですけど、DJやプロデューサーの立場だと、「音」だけが勝負なんで、人種も国籍も関係ないですからね。そうなると、どうしても「感覚的に若くて、開けている」ということも手伝って、そうした音楽の方がどうしても強くなる。そのことは今、世界的に売れる物を見ても、もう答えが出ていることだと思います。

 

 

 これ、政治とて同様だと思うのです。女性や非白人が共感出来る音楽が欲しいのと同様に、政治だって彼らの立場に立った人物が欲しくなるではないですか。そうなると大統領に女性や黒人が就くことが出来る状況というのも当然望まれてもくるわけです。

 

 

 そんな社会状況の中、ロックはどうするか。僕自身もそうですが、「今までが良い思いして来たんだから、そういう流れと協調してうまくやっていけば?」と思うし、もともとが「弱い物の見方を代弁したり弁護して来た」のが、とりわけパンクロックやオルタナティヴ・ロック以降のロックの姿勢だと思うので、あえて、今の流れには逆らわずに行ければいいなと思うのみです。

 

 

 ただ、そんな僕でもときには「とはいえ、もう少し白人のロックにも注目してあげてもいいんじゃないの」と思えるほど、市場のバランスの悪さを感じるときがあるのですが、これ、冷静に考えて、

 

 

「寛容性の低い人なら、’”白人が追いやられている”と思って焦る人が出ても、それも無理もないことかな」

 

 

とも思うわけです。

 

 

「以前の社会のように、自分たちが目立つことができなくなった。もう一回、あの頃のように、社会で白人たちが目立つような状況を望みたい」。そういう感覚は、僕も例えば、古き良きロックなどを聴いてると思うときがあります。実際、僕も10代までの頃、70〜80年代ですけど、海を越えた日本で、ほとんど白人ばかりのアーティストのヒットチャートを聴いてて、それを、別に人種のことなど考えずに愛していた時期もありましたから、ひとつの「ノスタルジー」として、それを感じないわけではありません。

 

 

 あと、今のアメリカみたいに、「白人にだって、生活に困っている貧しいヤツならたくさんいる」というフラストレーションもある状況なら、「女性やマイノリティばかりちやほやされやがって。自分たちの意見だって聞け!」という主張も出るのはわからないではありません。

 

 

が!

 

 

憎悪を根底に反旗を翻しても、それは醜いものにしかなりません。

 

 

 たしかに、今のアメリカの保守派とて「合衆国憲法修正19条や公民権を反古にしたい」などと考えている人はいない(いても、よほど頭がおかしい人のみ)し、人種問題で問題にしているのも、ヨーロッパ同様に昨今の移民問題や、テロへの恐れであるとは思うんです。「左側の連中は杞憂で恐怖をばらまきすぎだ」という意見も、ブラジルで左翼政権が汚職でつぶれた際に左翼寄りのメディアが必要以上に中道の現政権を無駄に極右扱いしてた状況もあったので理解もできます。

 

 

 しかし、

 

 

 その一方で、ネットみたいな顔の見えないところで、特定の人種や女性を暴力的な言葉でなじったり、宗教的な概念を後ろ盾にして保守的な言動を行なったりして、世の空気を淀ませたり不安にさせたりする人たちというのは現実に存在するし、それが反動的に社会に実践される可能性だって十分あるわけです。

 

 

 このように「仮にリベラル側の治世が終わった場合」という場合の、「来たるべき世の中」の仮定が悪いと、説得力を持たないわけです。

 

 

 これ仮に音楽界で「白人的な感性が復活して来た」と言ったときに、その象徴が白人男性カントリーだったり、クリスチャン・ロックだったり、あるいは70年代のグルーピーだったり、80年代のメタルのミュージック・ヴィデオに出てくる車の上をまたがる頭悪そうなセクシー美女の感じで女性が描かれるような感じだと、それは歓迎されないでしょうからね。女性の描き方に関しては、もう最近、ヒップホップの世界でさえ以前に比べればかなり表に目立って来なくなている感覚です。そんな物が戻って来たって、僕はうれしくもなんともないし、敬遠する人は間違いなく多いでしょう。

 

 

 また、プレイヤー側だけじゃなくて、リスナー側の意識のですね。たとえば、先日紹介したカントリー・ミュージック・アワードでビヨンセがパフォーマンスしただけで「聖域が侵された」と大騒ぎして公式サイトからビヨンセ閉め出すとか、ロックの殿堂でトゥパックがノミネートされただけで「こんなのロックじゃない」と怒るクラシック・ロック(主に80sまでの)のファンが多くいたりとかね。こういう人たちが多くいる限り、これらの今後の音楽から保守のイメージが払拭されないと思うんですけどね。カントリーはもともとそういうものかもしれないけど、ロックは少なくとも救われてほしいですからね。

 

 

 今のトランプ支持者見てると、そういう「無駄な抵抗」のような物にしか見えないですからね。トランプの場合、ミスコンの主催やってたんで、なおさら、そんな感じがしますけど(笑)。

 

 

 最近、一番理想的だと思うのは、「女性やマイノリティが表に出た社会で、白人が上手い具合に補完して助けて行くことで、いい感じになればいいんだけどな」ということですね。いみじくも、今年出たビヨンセやレディ・ガガのアルバムが、R&BとかEDMだけの人脈じゃなく、インディ・ロックの人脈も導入してアルバム作ってましたけど、あれを聞いて、「これでこれまで関心持たなかったようなリスナー層が、インディ・ロックに興味持ってくれて広がりゃいいんだけどな」と思ったものですが、マイノリティ側が白人を逆差別するように見せないで、上手く手を取っていければ一番いいですけどね。やっぱり、「ロック、もしくは昔ながらの生演奏音楽」じゃないと表現出来ない物があるのと同じように、白人なり男性だからうまく行くことも(それが何かまではわかりませんが)、あると思うしね。そういう感じになっていかないと、この先、なかなか難しいだろうなとも思いますけどね。

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 19:34
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