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アメリカとイギリスのアルバム・チャートでストリーミングはどう加算されているか

どうも。

 

 

昨日に引き続いて、今日もストリーミングの話です。

 

 

最近、チャート見て、すごく不思議だったことがあります。特定の同じアルバムがずっと上位にいて変わらなかったり、ロック系の新作が全米トップ10に入ったのに、翌週には下手したら100位圏外に近いとこまで落ちることが相次いだり。そして、インディ・ロック系の新人の作品の初登場の数がすごく減っている。これはどうしたことなのか。

 

 

 だって、おかしいと思いません?ロック系の話題の新作って、どんなに話題作でも、プロモーションの勢いが落ちた2週目とか3週目になると、ガンズ&ローゼズのベスト盤とか、ジャーニーのベスト盤より順位が低くなるんですよ!いくら、これが定番ロングセラー作品だからと言っても、前は、多少の話題作ならそんなことはすぐには起こらなかった。それが最近は発売されて2、3週で起こっている。

 

 これは絶対になんかおかしい・・と思っていたら、思い当たったのが

 

 

 ストリーミング換算

 

 これでした。

 

 調べてみると、これ、ビルボードだと2014年の12月に導入されてるんですよね。この、ウィキペディアのページによると(こちら)、2014年12月13日付のチャートより、これまで単純に、アルバムの売り上げそのものの集計だったアルバム・チャートに、ストリーミングの数が加えられるようになったんですよね。これ、つまりどういうことになったかというと

 

 

 前なら、「CD買ったら、もう後はチャートの集計に関係なし」だったところが「アルバムを買った後も、それを聴いた回数がチャートに集計されるようになった」んですね。従って、リスナーの動向が「アルバムを買ったときだけ」集計されるのではなく、「アルバムを聴くそのタイミングまで記録されるようになる」ということなんです。

 

 

 これ、ある意味、「消費される価値」の計算としては正しく見えます。では、今、ストリーミングがアメリカのアルバム・チャートに同計算されるか、説明しましょう。

 

 

 スポティファイとかアップル・ミュージック、こういったストリーミング・サーヴィスは今、結構な数ありますが、そこであるアルバムの曲が一曲ストリームされたとしますよね。そうするとそれがポイント1になるんですが、そのポイントの合計が1500になったらアルバム1枚と見なします。

 

 

 つまり、1枚で10曲収録のアルバムなら、150回聴かれたらアルバム1枚を買ったことになる、と言う計算です。

 

 

 「150回も聴かれないと、アルバム1枚買ったことにならないのか」と思うと、気が遠くなるかもしれませんが、そうでもありません。たとえば、強いヒット曲なんてものを持っていれば、そうしたものはすぐに稼げます。プラス。「今、話題だからちょっと聴いてみたいな」という浮動票が入るから、そんなの、知名度があるメディアで名前が乗りやすいアーティストが圧倒的に有利になるわけです。つまり、大量のライトユーザー票が入りやすくなる。これは、「買ったら集計」にはなかったチャート基準ですよね。

 

 

 これ、どういう影響が出るかというと、「一般には知られてないけど、コア・ファンがいつの間にかついたアーティスト」にすごく不利なんですよね。たとえばCDの時代の、特に後期の方でしたけど、コア・ファンがついてるインディのアーティストのアルバムが突然チャートのトップ10に入ることが多かった。それはなぜかというと、そういうアーティストには、「CDを買ってくれるファン」というのがいたから、それだけでチャートの順位があがりやすくなったわけですけど、今や、「一般に聴かれる」行為がチャートに入りやすくなったせいで、そうした突然の突出が起こりにくくなる。そうしたら、「ある日突然、こんなアーティストがポコッと上位に入って来た!」というドラマ性がチャートで起こりにくくなる。それはすごく寂しいことですよね。

 

 

 あと、この、「もし、買ってでしか聴けなかったアルバム」が「興味本意で好きでも嫌いに関係なく聴いてみた」という票が入るだけでもかなりチャートが変わるわけですが、僕自身がそれよりもさらに気になるのが、「リピートして聴く回数の、リスナーの世代別による差」です。これが大人と子供で平等なわけがないんですから!

 

 

 子供なら大人よりも時間の自由が聴くし、流行っているポップソングの話題だって共有することは頻繁でしょう。一方、大人にはそんな時間もだいぶ限られるし、ましてやポップソングの話題を日常で共有することも減る。それはどんな音楽好きだってそうです。なので、曲をリピートして聴いたり、ストリーミングしたりする回数なども、大人のユーザーの何倍もあっておかしくないはずなんです。これも「何回聴こうが、アルバム1枚買ったらそれが1票」の時代には起こりえないポイントの換算になるわけです。こんなの絶対、「子供に人気のアーティスト」の方が有利になるに決まってるじゃないですか!

 

 

 だから僕としては、望むらくは、そのストリーミングに、「ユーザーの年齢」を割り出して、若年層によるストリーミングに変数をかけて大人のリスナーの差を縮めることをやったらどうかとおもうんですけどね。だって、大人だって音楽好きであることには変わりないのに、その人たちの票が子供のそれより圧倒的に少ないんじゃ、そんなの世の反映にはなりませんよ。どうりで最近、アメリカでダンス・ポップばっかりが上位に入るわけです。大学から20代にファンの多いインディ・ロックとか、それ以上の年齢のクラシック・ロックだったりアダルト・コンテンポラリーのリスナー支持のあるアーティストが割を食ってもこれなら仕方ありません。

 

 

 でも、このやり方が続いたら、今ある音楽、「子供に届くようなアプローチをした方が勝ち」ということになってしまいます。これだと妙な迎合が生まれたりする原因にもなってしまうと思うんですよね。ちょっと心配でもあります。

 

 

 一方、イギリスも2015年3月にチャート改正して、ストリーミング換算がアルバム・チャートではじまっているんですが、こっちのシステムはちょっと変則的です。

 

 

 

 

 

 この票にその集計方が載っているんですが、それによると、ストリーミングによるアルバムの集計は、アルバムは単純なストリーミングの合計ではありません。ここで対象にされるのは、「収録曲の中のストリーミング人気が高い12曲」だけが対象となります。

 

 そして、その12曲の収録曲のうち、上位2曲のストリーミングの実数を無視するんです!そしてそれを7番目に人気の曲と全く同じ数にします!

 

 

 なんでそんなややこしいことをするのかというと、彼らによると、人気1、2位の曲は「アルバムが好きだから聴いたのかどうかが疑わしい」

 

 

ということなんですね。単に、その曲に興味があって聴いただけであって、アルバムに興味があったとは限らない。本当にアルバムで好きなら、他の曲のストリーミングも高いはずだ。そういう論理によって換算が決まります。そして、そのストリーミングの数を1000で割ってアルバム1枚購買とカウントします。

 

 

 これでどういう効果が具体的にあるかというと、これが意外と大きいんですよね。

 

 まずひとつが

 

 ロック系のアルバム初登場1位、初登場トップ10が減っていない。

 

 ここは、ロックにとってはホッとするとこで、翌週以降もアメリカみたいな不自然な大幅ダウンもない。

 

 

 二つ目以降は実数で証明しましょう。

 

 

アメリカで初登場1位だったホールジーとケイティ・ペリーが、前者で12位、後者で6位だった、

 

 この辺りのセンスは、やはり、「曲に興味があっても、アルバムに興味があるか疑問」な票が抑えられての結果ですね。

 

 

三つ目は

 

 

 アメリカで10位代で終わったロジャー・ウォーターズ、リンジー・バッキンガム&クリスティン・マクヴィーのアルバムが前者が3位、後者が5位だった。

 

 

さらに

 

アメリカで40位だった、グレン・キャンベルとチャック・ベリーの人生最後のアルバムがイギリスでは共にトップ10に入った!

 

 

 この比較で見て。どっちが音楽リスナー全体で見て良心的に平等だと思います?若い意見ももちろんすごく大切ですが、「音楽への愛」はどの層でも変わらないわけで。ストリームの換算はこれからもっと重要になりますが、「気まぐれ票」はなるべく外す方向でやっていただきたいです。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 19:24
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いよいよ、いなくなって来たストリーミング拒否組。最後まで抵抗するのは誰か?

どうも。

 

今日はこういう話をしましょう。

 

こないだの金曜の配信が新作としてすごかった話はしましたが、その日はこの他にも

 

 

 

アップル・ミュージック以外でのストリーミングを拒否していたテイラー・スウィフトが遂にどのサービスでも聴けるようになりました。

 

 

それだけじゃありません。

 

 

これまでレーベルとの権利関係でもめてたことが理由でストリーミングをやってなかったロックの殿堂入り者であるボブ・シーガーも10作品限定ではありますが、スポティファイとアップル・ミュージックでストリーミングを解禁しました。

 

 

 ちょうどシーガーに関しては、僕は個人的に興味ありましたね。というのはここ最近、彼、カントリーの今の男性シンガー・ブーム「ブロ(brotherのこと)・カントリーの父」と呼ばれて再評価されてるんですね。これまで「スプリングスティーンと芸風かぶってる人」というイメージしかなかったんですけど、「スプリングスティーンとウィリー・ネルソンの間かな」と思い、ちょっと興味が出て来ていたところでした。

 

 

 あと、テイラーに関しては、聴きたくなったので、将来的な「FromワーストToベスト」の対象にしようかとさえ思ったのですが、やめときました。だって、そんなに遠くないうちに新作が出るだろうし、だったらそのタイミングまで待った方がいいんっじゃないかとも思いまして。

 

 

 ただ、このテイラーとシーガーのWストリーミング成立は大きかったと思います。ここ数年、ストリーミングの登録者というのは全世界的にうなぎのぼりに増えています。新しいもの、実態のよくわからないときはユーザーでも抵抗を示す人もいたものですが、しかしそれも、2015年にAC/DCとビートルズが解禁になって、16〜17年に、ちょっともめたことで配信が一部だけに限定されていたプリンスとニール・ヤングも今やどこでも聴けるようになりました。

 

そうこうしてるうちに、まだストリーミングに手を貸さないアーティスト、これくらいになっちゃいました。

 

 

 

キング・クリムゾンとTOOLとガース・ブルックスですね。

 

その中で一番、「今度こそストリーミング解禁か!?」となにかとネタにされるのがTOOLですね。他の2つに比べユーザー年齢がまだ比較的若いのが理由だと思うんですけどね。

 

あと、日本だとクリムゾンって大物みたいな印象ありますけど、欧米圏ではカルト・アーティスト扱いなので、ストリーミングが遅れてても、さっき例をあげたビートルズたちほどには影響ないかもしれません。ただ、僕は個人邸に入れて欲しいですけどね。TOOLとともに。

 

ガースは正直好みじゃないんですけど、ベスト盤くらいは1回通して聴いておきたいなというのはあります。

 

 

でも、、もう本当にそれくらいしかストリーミング拒否のアーティスト、いないんですよ!

 

 

 そういう事実をやっぱ一番わかって欲しいのが、日本の音楽業界なんですけどね。国を越えたブラジルでも、最近はちらほらアップル・ミュージックなどで日本のアーティストの名前、見るようにはなりましたけど、もう、あらゆるアーティストの作品が入っているのが普通の状況なので、今もなお散見される「ストリーミングなんかに加担したらCDが売れなくなる」みたいな、化石同然の古い考え方はやめて、現実に目を向けてほしいですね。

 

 

 だいたい、日本のアーティストの方が元来、ストリーミング・サービスと相性良いはずなんですよ。だって、今やもう、そこまで年食ってないアーティストとかバンドでも、キャリア史上で10枚以上アルバム出してるアーティストなんて普通でしょう。そういうアーティストに興味持ちたくても、アルバムがそこまでたくさんあったら何を聴いていのかわからないし、手を伸ばしたくても出しにくくなるじゃないですか。そういうときに、各々のサービスのプレイリストなどで解消出来るシステムがあるというのは良いことだと思います。

 

 

 あとは国境を越えて、世界中の人たちに自分たちの音源聴かせることの出来る貴重な共有も可能なわけですからね。

 

 

本当は「日本のアーティスト」というのが、上の3組よりしぶとくストリーミングに反対したりして。

 

 

 

author:沢田太陽, category:音楽ニュース, 13:30
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最新全米チャート

どうも。

 

 

では,水曜恒例、全米チャート、行きましょう。

 

 

SINGLES

1(1)Despacito/Luis Fonci&Daddy Yankee feat Justin Bieber

2(3)I'm The One/DJ Khaled feat Jusin Bieber,Quavo&Chance The Rapper

3(2)That's What I Like/Bruno Mars

4(4)Shape Of You/Ed Sheeran

5(5)Humble/Kendrick Lamar

6(6)Mask Off/Future

7(8)Something Just Like This/The Chainsmokers 

8(9)It Ain't Me/Zedd feat Alessia Cara

9(10)Congratulations/Post Malone feat Quavo

10(7)XO TOUR Llife/Lil Uzi Vert

 

またしてもトップ10、変動なしです。

 

もう圏外に行っちゃいましょう。23位上昇中のこの曲で。

 

 

決してトーキング・ヘッズの「サイコ・キラー」ではありません(笑)。

 

でも、これ、彼女がこれまで出して来た中で一番良い曲だと思います。全然印象残らなかったからね、音楽だと。これは良いステップアップになるんじゃないかな。

 

まあ、今、ウィーケンドとつきあってるんで、そのうち、曲が回ってくるとも思いますが。

 

 

では、アルバムに行きましょう。

 

 

 

ALBUMS

1(-)Witness/Katy Perry

2(2)Danm/Kendrick Lamar

3(-)ctrl/SZA

4(-)Heart Break/Lady Antebellum

5(6)More Life/Drake

6(7)÷/Ed Sheeran

7(1)Hopeless Fountain Kingdom/Halsey

8(10)24k Magic/Bruno Mars

9(-)Wolves/Rise Against

10(12)Stoney/Post Malone

 

ケイティ、初登場で1位です。

 

ここ最近、髪型をはじめ言動が変になろうが、テイラー・スウィフトに一方的にけんか吹っかけよう(本人はディスられたからと言ってますが)が、昔の彼氏のランクつけようが、アルバムの曲の中身が良くなかろうが1位です。ただ、これ、長くは売れない気がするけどね。

 

僕的に注目は3位初登場のR&Bのニュー・スター、SZAですね。これは是非知っていただきたいです。聴いてみましょう。

 

 

 

彼女、ケンドリック・ラマーのレーベル、Top Dawgが送る新人なんですけど、すばらしいです。曲がもう、いかにも、「フランク・オーシャン&ソランジュ以降」と言った感じの、ソングライティングの基本に立ち返ったようなすごく練られた、かつ、オーガニックな手触りでね。あと、このすごい曲名ね(笑)。これ、なんでこのタイトルになったかというと、ドリュー・バリモアの代表映画のひとつである「25年目のキス」に影響されたからだそうです。こういう感性でも面白いです。

 

ここ最近、良い作品が続々と出てますが、これ、アルバムごと素晴らしいのでオススメです。

 

4位はカントリーというか、アダルト・コンテンポラリーですが、レディ・アンテベラムのニュー・アルバム。そして9位にはハードコア・パンクバンドのライズ・アゲインストが入ってきています。

 

 

author:沢田太陽, category:全米チャート, 10:31
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Lordeとフリート・フォクシーズとロイヤル・ブラッドが同じ日にリリースって歴史に残りそう

どうも。

 

 

いや〜、もう最近、この3つばっかり聴いてますよ。

 

 

 

Lordeとフリート・フォクシーズとロイヤル・ブラッド。奇しくも新作が全て6月16日に出たんですけど、いや〜、彼らが三つ巴ってことを考えると、なんか急に音楽の未来が明るくなったような気がしました。

 

だって、これ

 

将来のフェスのヘッドライナーがそろい踏みしたすごさですよ!

 

少なくとも、それだけは間違いない気がしますね。

 

 

Lordeに関しては、もうこのブログでも「Royals」がヒットしはじめたときから騒いでます。ポップなものばかりが居並ぶ中で、あんなストイックかつマニアックな曲を、ニュージーランドの10代の女の子が何週も1位にしたのはやっぱり衝撃でしたからね。その後も、ニルヴァーナとボウイのトリビュート・パフォーマンスをロックの殿堂と、ブリット・アワードのステージでまかせられて完璧にキメる恐るべき才能。すでに未来が託されている観さえあります。

 

 

 そしてセカンド・アルバムの「メロドラマ」も、今や批評メディア軒並み絶賛です。あの諸手を上げての絶賛ぶりって、今年のケンドリック・ラマーのアルバムに並ぶんじゃないかな。それくらい、誰もがほめてますね。先行シングルの「Green Light」で既に予感させていましたけど、ケイト・ブッシュ化したヴォーカル・ハーモニーとポリリズムなリズムに、同世代の女の子が共感出来るストーリーを乗せてポップに昇華しきっているところが見事です。ややもすると、ケイトとかビヨークとか、いつ浮世離れしてもおかしくなさそうな神秘で孤高な雰囲気があるのに、テイラー・スウィフトともマブダチでいられる器用さを、絶妙な大衆性に活かせているところがすごいです。でも、よく考えたら、ボウイもカート・コベインもそういうアーティストだったし、だからマスでもアンダーグラウンドでも評価されてたんですけどね。

 

 ひとつだけ悔しいのは、すごく個人的なことですけど、来年の3月から彼女が全米ツアーはじめるので、来年のロラパルーザ南米版に参加出来ないことです(泣)。あ〜、これは本当にマジでショックです。絶対来て、準ヘッドライナーか、夕方のメインだと思っていたのでアテをひとつ失ったことになります。デビューして間もないときには来てくれて、いいライブで僕もすごく楽しんだんですけどね。

 

 

そしてフリート・フォクシーズの3枚目「クラック・アップ」もすごいアルバムですよね、これ。彼らって、2000年代後半くらいからの「ピッチフォーク世代」のアーティストの中では、アーケイド・ファイアとボン・イヴェールと並んで、実力的には圧倒的に抜きん出ている印象は最初からありました。やっぱり、あの聴いて誰かすぐにわかるサイケデリックなハーモニーとアコースティックの曲の美しさは唯一無二でしたからね。

 

 それが今作ではもう、曲の構造がジグソー・パズル化してますね。前から「2部局」みたいな不思議な曲の作り方してましたけど、それが複雑に入り組んでしまったというか。なんか、「サイモン&ガーファンクルmeetsレディオヘッド」というか「フォークロック内プログレ」というか、聴いたことのない世界観ですね。なんか曲の途中途中で彼らの中の「インナー・マイルス・デイヴィス」とか「インナー・ブライアン・ウイルソン」がうごめくというか。”クリエイティヴィティ”の観点で言えば、冗談抜きにレディオヘッド以降の逸材じゃないのかな。もっとリスペクトされて欲しいですね。

 

 

 あと、ロイヤル・ブラッドもですね。僕も彼らはデビューのときから、映像であのマイク・カーの、「ベースでギター・ソロを弾く」という、あの超絶合体技を見て以来大好きで、そのときから太鼓判押してましたけどね。「曲が普通のハードロック」などと揶揄されようが、やっぱり、ライブであの芸当を一度見てしまうと、それはもう、メタリカから、トム・モレロからデイヴ・グロールまで絶賛するわけです。モレロに関しては、「ロックンロールの未来を見た」とまで言いましたからね。実際、今回のアルバムのツアーでも、イギリスがアット・ザ・ドライヴ・インを従えて(!)のヘッドライン・ツアーに、アメリカでクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジの前座で胎動して回ります。出世コースは着実に歩んでいるわけです。

 

 

 で、イギリスの最新チャートの中間発表の時点では、ロイヤル・ブラッドがLorde、フォクシーズを抑えて現時点で1位です!

 

 これ、意外に感じているような人も結構いるみたいなんですが、実は僕はこれ、予想していました。というのは、彼らのセカンドが出ると決まった瞬間から、イギリスのアルバム・チャートでファーストが再ランクインして、チャート上がって来てたんですね。もうチャートイン数も85週くらいになるんですけど、セカンドに引っ張られてまだまだヒットしそうで、トップ100の100週ランクインが決定的なんですね。このように、結構もうイギリスでは固定ファンがガッチリついてるんですね。

 

 

 あと、ここ最近、ロック系の人気者がみんなしてエレクトロっぽいもの入れようとするでしょ?欧米人のいろんな書き込み見るに、あれに焦りを感じてる人が多いんですよね。「なんだよ、どいつもこいつもダンスに走って」と、たとえばアーケイド・ファイアの新曲に文句言ったり、マーク・ロンソンとQOTSAが組むことを悲しんだり、「元がそもそもシンセ・ポップじゃねえか」というのに、キラーズの新曲を「ポップになってセルアウトした」とか言う類いの人が結構多いんですよね。僕からすりゃ、ちょっと頭が固すぎるんじゃないかとも思うんですけど、ただ、「ガツンとしたギター・ロックが減って行く」ことに焦燥感を覚える気持ちも理解出来るんですね。その意味で、そうした「ロックらしいロックを残したい!」という願望の強い人にとってのよりどころになりやすい。これは大きいんじゃないかな。最近、ウルフ・アリスがエラくパンキッシュなニュー・シングル発表して話題でしたけど、あれも、この線ですね。今、頑固にギター・ロックをガツンとやるのはかえって新鮮で有効だと思いますよ。

 

 

 あっ、アメリカではどうやらLordeが初登場で1位になりそうな感じですけどね。やっぱり、女性アーティストの地位がこの国はやたら高くなってますね。これでホールジー、ケイティ・ペリーと3週連続でアルバム1位ですからね。

 

 

・・といった感じですね。

 

 

本当は、この週、そして、この1週前の6月9日の配信にはまだまだ「おっ、これは年間ベストクラス!」と快哉をあげたいものもあったんですけど、それはまたおいおい。それより先に、この3組の若きカリスマにまずは注目してほしいですね。

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:音楽ニュース, 12:31
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最新全米映画興行成績

どうも。

 

 

 

サンパウロでは今日、ゲイパレードやってましたね。僕の住んでるところは開催場所から遠いので目撃はしませんでしたが、今日1日その話題でしたね。

 

 

では、月曜恒例、全米映画興行成績、行きましょう。

 

 

 

1(-)Cars 3

2(1)Wonder Woman

3(-)All Eyez On Me

4(2)The Mummy

5(-)47 Meters Down

6(4)Pirates Of The Caribbean; Dead Men Tell No Tales

7(-)Rough Night

8(3)Captain Underpants The first Epic Movie

9(5)The Guardians Of The Galaxy Vol.2

10(6)It Comes At Night

 

 

初登場で1位はピクサーの最新作です。「カーズ3」。公開週の興収は5300万ドル。ピクサーの映画のシークルとしてはあんまり大きくないですね。

 

これ、全世界同時公開かと思いきや、ブラジルは一ヶ月先です。というのも、この2週間後に「怪盗グルー」の公開が控えているんですが、あの黄色いミニオン、あれがブラジルの子供たちにことのほか人気なんですね。ピクサーの作品じゃ太刀打ちならないくらいの異常人気です。なので公開時期すらしたんですよね。そのおかげで今日、ワイフが「家庭内で大事な仕事するから子供を映画にでも連れてって」と頼まれても良い子供用の映画がなくてですね、それで仕方なく、スペイン製のいまひとつなアニメを見ざるを得ませんでした(笑)。そういうこともあるので極力延期して欲しくないんですけどね(笑)。

 

 批評家ウケの良いのがウリのピクサー映画ですが、この「カーズ」のシリーズだけ、どうも批評家ウケはいつもいまひとつなんですよね。でも、こうやって第3弾まで出てしまっているのはひとえに子供人気が高くてキャラクター・グッズが売れるからだと思うんですが、そんな「カーズ」は第3弾になっても評価が上がりません。メタクリティックで59点、ロットントマトーズで65点。ほぼいつもと同じペースです。

 

 

3位初登場は「All Eyez On Me」。これは96年9月に射殺により世を去った伝説のラッパー、2Pacの伝記映画です。このタイトルになったのと同じ名前のアルバムも、その亡くなった年の前半に本当によく流行ってたので、僕もすごく生々しく覚えてるものです。

 

 

 一昨年には、同じ90年代のギャングスタ・ラップを世に知らしめたLAのNWAの伝記映画が「ストレイト・アウタ・コンプトン」の形で世に出され大ヒットし、批評的にもかなり大絶賛されていただけに、この映画も続きたかったところなんでしょうけど。

 

 ただ、これ、評判はすこぶる悪いんです。メタクリティックで38点、ロットントマトーズで24点。正直、主役の顔見た時点で僕はダメでした(笑)。史実にすら基づききっていないようですね。

 

5位初登場は「47 Meter Down」。これはイギリス制作のサスペンス映画のようでした、深海に泳ぐサメの恐怖を描いたようなんですが、主演はこれ、マンディ・ムーアですね。最近、ドラマ「This Is Us」でカムバックしたばかりですけどね。

 

 

 こちらの評判は「まずまず」といった感じでしょうか。メタクリティック、ロットントマトーズ共に56点です。

 

 そして7位初登場はガールズ・コメディ「Rough Night」。これは、一晩のハメをはずした女性たちの友情コメディなんですが、他が全員女性コメディアンの中でスカーレット・ヨハンソンが混ざっているのがミソです。ただ共演は「サタディ・ナイト・ライヴ」の現在の女王ですね、ケイト・マッキノン。評判のいいTVコメディ「ブロード・シティ」のラナ・グレイザー、あと、最近、この人も映画でチラホラ見かけます。「22ジャンプ・ストリート」で悪役やった人、で通じるかな。ジリアン・ベルですね。

 

 評判の方は賛否両論ですね。メタクリティックで51点、ロットントマトーズで52点。僕は個人的に見に行きたいんですけどね、これ。

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:全米映画興行成績, 10:09
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全オフィシャル・アルバム From ワースト To ベスト (第10回)グレイトフル・デッド その2 10−1位

どうも。

 

 

 

では、From ワースト To ベスト、グレイトフル・デッドのその2、トップ10行きましょう。10位はこれです。

 

 

10.Anthem Of The Sun(1968 US#87)

 

 10位は1968年発表のセカンド・アルバムですね。これは、なんとなく世間が持ってるデッドのイメージをある程度体現したアルバムなんじゃないかと思います。思いっきり60sのサイケでジャズっぽくって、長尺の演奏がある感じで・・。と、ある意味そうだと僕も思います。

 

 ただ、僕が今の耳で聴いて思うに、この当時の彼らのライブを現すのに、このスタジオ盤でもまだ足りてないんじゃないかな、と思いましたね。意欲はあるけど、追いつききっていないようなもどかしさがあるというか。曲は「The Other One」や「Born Cross Eyed」とか、良いのあるんですけど、せめてこのアルバムにシングルで出た「Dark Star」の長いヴァージョンが入っていたらなあ。この当時の技術の制約が悔やまれるとこです。その分、ライブで表現しようの気持ちが強くなったところもあると思います。

 

 

9.Wake Of The Flood(1973 US#18)

 

 これが初代キーボードのピッグペンが亡くなって、レーベルをワーナーを離れて自主レーベルで出した最初のアルバムですね。ここからしばらくキーボードがキース・ゴッドショーと言う人になって、彼の奥さんのドナがバック・ヴォーカルとして参加するんですけど、この加入でいきなり違うバンドみたいになるんですよ。この当時のカーティス・メイフィールドみたいなソウルとか、レゲエとかにトライしてね。これまでのヒッピーでサイケだったりレイドバックしたイメージから、ガラッと洗練されます。中でも「Eyes Of The World」って曲に至っては、なんか渋谷系みたいです(笑)。これ、この当時のファン、戸惑ったんじゃないかなと思うんですけど、僕はすごく歓迎な変化ですね。

 

あと、こういう路線になると、名手ジェリー・ガルシアのギター・テクニックが冴えますね。彼の中のジャズの素養も引き出されるというか。

 

 

8.Terrapin Station(1977 US#28)

 

 自主レーベルでのリリースをやめて、アリスタに移籍した第1弾ですね。このとき、アリスタってCBSの総裁だったクライヴ・デイヴィスが作ってたんですけど、デッドの他にもキンクスやルー・リードもこの頃に移籍してるんですよね。そう考えると、アーティストの狙いはすごくカッコいいんですけどね。このアルバムですが、「洗練されたデッド」というキース・ゴッドショー加入以後の路線は継ぎつつも、すごく骨太でファンキーになってて、この感じだと、ちょっと離れていたデッドヘッズも戻るんじゃないかなと思えるほど、ソフィスティケイトされつつも硬派な感じがあります。

 

 このアルバム、ヴォーカル面でいうとボブ・ウィアーが全部やってて、1曲はドナ・ゴッドショーが全部ヴォーカルという点でもすごく異色です。B面の組曲はジェリーですけどね。このあたりの手腕は、当時売れっ子プロデューサーだったキース・オルセンの手腕かな。

 

 

7.Working Man's Dead(1970 US#28)

 

 デッドのレイドバック路線の最初のアルバムでもあり、いわゆる「歌もの」のデッドのアルバムの中でも人気の作品ですね。

 

 デッドって、元々がグリーングラス(カントリーのルーツみたいなもの)のバンドだったので、このとき流行りはじめたカントリー・ロックの対応は難しいことではなく、その奥深さを見せてますね。あと、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングばりのヴォーカル・ハーモニーも全然負けてません。「Uncle John's Band」をはじめ、名人級のフォーク、カントリーが聴けますが、よく聴くとリズムが案外骨太でR&Bっぽかったりするのもミソです。

 

 

6.Europe 72(1972 US#24)

 

 これはロック史にも残る名作ライヴ盤です。なので、本当はもっと高くしようかとも思いましたが、あえてこの順位で。

 

 なぜかというと、この1972年のヨーロッパ・ツアー、実は全音源録音されてて、それが全部配信で聴けるんですよね。なので、そっちを聴いた方が、72年にリリースされたこれよりも圧倒的に良いんですよねえ。というのも、このときに出たヴァージョン、ハイライトの抜粋で、曲間が全部フェイドアウトしてるんですよ。なので、ライヴ会場にいるみたいな臨場感が今ひとつ伝わらないというか。

 

 それよりは、ネットで評判調べて、このヨーロッパ・ツアーのベストのものを聴いた方が良いと思います。よく評判を聴くのは、ツアー最終日のロンドン公演の人気が高くて、あとはフランクフルト、パリあたりも人気が高いですね。

 

 

5.The Grateful Dead(1967 US#73)

 

 今から50年前の1967年3月にリリースされたデビュー作です。いわゆる名盤選にそこまでの頻度で載る作品ではないんですが、僕はこれ、ものすごく良いアルバムだと思いますよ。バンドのポテンシャルの高さをこの時点ですごく感じます。おそらく、人によって評価がさほど高くないのは、彼らがこの時点でガレージ・ロックのバンドみたいに聞こえるからじゃないかと思うんですが、大のガレージ・ロック好きの僕にはそれだからこそ好きだし(笑)、そこに先ほども言ったようにブルーグラスからの影響も感じさせるし、ソウル・ミュージックの雰囲気もあるし、さらにはこの当時の他のガレージのバンドにはなかったフリー・フォームのジャズっぽさを早くも垣間見せるときもあって。特にオルガンがこのアルバム、大活躍するんですけど、これを弾いてるのがピッグペンですね。この当時はジェリーのギターよりもむしろ良いくらいです。これはもっと評価されていいんじゃないかな。

 

 

4.Grateful Dead(Skull&Roses)(1971 US#25)

 

 これも定番のライヴ盤です。世間一般の評価ではこの次の「Europe 72」の方が高い気もするんですけど、僕が15年ほど前にデッドにハマった際は、こっちのアルバムの方をよく聴いてましたね。

 

 なんて言うんだろう。こっちの方がアルバムの起承転結があって、ひとつのライブをそのまま聴いてるような感じがするんですよね。こっちも曲間はフェイドアウトなんですけど、いろいろくっつけてあるわりには全体があたかも順番でもあるかのように聞こえるしね。あと、「Bertha」をはじめここだけで聴ける新曲もいいし、定番化するボブ・ウィアーのソロ・アルバム「Ace」からの「Playing In The Band」もいいし、マール・ハガードをはじめとしたカントリーのカバーも、そしてそしてデッドお得意の18分の長尺ジャムも。もっと評価高くても良いんですけどね、これ。

 

 

3.Aoxomoxoa(1969 US#73)

 

 

いわゆる「サイケの時代のデッド」のスタジオ盤だと、間違いなくこれが最高傑作ですね。

 

 この一つ前の「Anthem Of The Sun」ほどフリー・フォームを利かせてないんですけど、この当時のスタジオ盤で制約で表現出来そうにないことをあえてやるよりは、長くて5〜6分の尺で出来る楽曲で、「少し長くジャムりもするけど、根本的な楽曲がいい」というタイプの曲で名曲を多く生んでいるのがいいです。「St.Stephens」「Doin'That Rag」、そして「China Cat Sun Flower」に「Cosmic Charlie」。デッドにとっては不可欠な曲ばかりです。歌メロのコード感でも、すごくデッドらしい感覚を感じやすいアルバムだと思います。

 

 

2.American Beauty(1970 US#30)

 

 

 デッドのスタジオ盤での最高傑作に一般的にあげられますけど、僕もそれは同意しますね。

 

 これは1970年に2枚発表された、デッドのアーシーなレイドバック路線のアルバムの2枚目ではあるんですけど、やっぱ先の「Worklng Man's Dead」よりはこっちの方が上ですね。ライブやベスト盤の定番にもなる「Sugar Magnolia」「Truckin」「Ripple」「Friend Of The Devil」そして「Box Of Rain」と5曲もあるわけですけど、カントリーっぽさは、とりわけ「Ripple」に顕著なように前作よりも濃くなっているにも関わらず、その一方で「Box Of Rain」みたいな、その後のソフィスティケイト路線を先駆けたみたいな曲もあって、しかもそれが違和感なく収まっているのもいいんですよね。特に「Box Of Rain」は今の耳で聴いても新鮮なんじゃないかな。

 

 

1.Live/Dead(1969 US#64)

 

 

 1位はやっぱりこれですね!1969年の名作ライヴ盤、「Live/Dead」。

 

 まず、なにがいいかって、「これを聴いてからこそのデッド!」と思える長尺演奏がのきなみ目立つことですね。「Dark Star」で23分、「Turn On Your Love Light」で15分、「Death Dont Have No Mercy」で10分。そして、ギターのフィードバックだけで8分ですよ!これ以降のオフィシャルのライブ盤って、曲を聴かせることにも力を入れてるのもわかるんですけど、ここまでそのジャム部分を醍醐味もって聴かせたアルバムはないですからね。

 

 加えて、それがこの当時のデッドのみならず、「60年代という時代」そのものを象徴しているのもいいですね。この時代の、ロックそのものがどんどんフリー・フォームになって拡張して行く様子。これをドキュメンタリーのように捉えた生々しさもあります。60年代、サイケ、サンフランシスコ。これを巧みに象徴している本作がナンバーワンでよいと思います。

 

 

・・といった感じでしょうか。

 

 

次回ですが、早ければ来週にもやりますが、今回とはガラッと違いますよ。

 

 

author:沢田太陽, category:FromワーストTo ベスト, 14:31
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