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ついにマドンナまで参加!ブラジルのMe Too運動こと、「Ele Nao(Not Him)」とは

どうも。

 

 

こないだからチラチラと触れてるブラジルの大統領選ですが、昨日29日

 

 

 

ブラジル全国の約60都市で、極右大統領候補ジャイール・ボウソナロに対しての、女性たちをメインとした抗議運動が行われました。これ、サンパウロでの抗議集会を空撮したものなんですが、すごいでしょ。

 

 

 

近くで見ると、こんな感じですね。

 

これ、キャッチフレーズがあって、「Ele Nao」、英語で言うと「Not Him」なんですが、どういう意味かというと

 

 

 

このボウソナロという大統領候補がですね、過去に女性、黒人、LGBTの蔑視発言が、まあ、これがあまりに酷いからなんですね。

 

過去に実際に発言した例として

 

「(女性議員に向かって)お前なんてレイプの値打ちもない(しかも2度、別のシチュエーションで)」

「自分の子供がゲイだったら、死を望む」

「黒人の女と自分の息子はデートさせない」

「原住民の保護区など1センチたりとも作らせやしない」

 

 有名になった、物議を醸した発言だけでも、これだけあります。

 

 

あと、彼は軍隊出身で、70年代の軍事政権の時に軍の司令部で、政治犯に拷問をかけ、殺害したのに行方不明の報告などをしたウストラ将軍というのを礼賛する発言も行っています。

 

 あと、銃の自由化の提唱者なんですが

 

 

 

選挙キャンペーンでは、こういう風に、カメラの三脚でマシンガンのカッコをして撃つ真似をするなどして問題になっていました。こういうことばっかりやってるものだから

 

 

 

このマシンガンの動画から3日くらいあとのキャンペーン中、ナイフで刺されました。

 

 

で、これ、オチがあるんですけど、普通、「大統領選で支持率1位」なんていう候補が刺傷事件なんてあったら、支持率、ドカンと跳ね上がると思うじゃないですか。彼、この直後に5%も支持率上がらなかったんですよね(笑)。この4年前に、飛行機事故である候補がなくなった時、その代理に候補になった人、8%の支持率から21%に2・5倍くらい上がったのに、彼は20%前半だったのが20%後半になっただけでした。

 

 

で、入院中の最中でも

 

 

こんな風に銃のポーズ取って挑発するもんだから、アンチの運動が止まらなくなってですね。彼、とりわけ女性からのアンチが強かったわけですが、ついには

 

 

 

こんな風に、サイト上に「ボウソナロに反対する女性の会」というのができまして、これが数日でに100万人超えるくらいの人数になったんですね。

 

 

で、ボウソナロの信者というのが、これが酷い連中で、僕は彼らの方がもっと嫌です。彼らはこの「反対する女性の会」に対して2度のハッキングを行って潰してきました。

 

 

ブラジルの芸能界はアメリカと同じようにほとんどがリベラル派なので、当然、この「Ele Nao」に参加するわけなんですが、もう、意見を封じ込めようとして、これはマリリア・メンドンサという人なんですが、彼女がEle Nao運動に参加すると表明したユーチューブの動画をハッキングして、大量の「よくないね」をつけたりもしたんですね。こういう被害にあう女性芸能人がブラジルには続出しています。

 

 

ただ、そういうことやってしまうと、そういう悪い噂って、伝わりやすくなるじゃないですか。だから世界に拡大したんですよね。

 

 

まず、世界で火をつけたのはドゥア・リパのツイートで

 

 

イマジン・ドラゴンズのダン・レイノルズも、Tシャツを着てEle Naoへの賛同を示しました。

 

 

そこからディプロ、ブラック・アイド・ピーズ、エレン・ペイジ、ティーガン&サラ、シェールなどがこれに参道を示して、金曜だったかな

 

 

 

マドンナまでが、こういうポスター作って、Ele Naoに賛同を示して話題になりました。

 

 

 そういうこともあったので

 

 

 

昨日の抗議運動、ブラジルだけじゃなく、ニューヨ〜ク、ロンドン、パリ、ブエノスアイレスなどを始め、世界的に実施されてもいたんですよね。

 

 

 ただ、これも凄い皮肉といえば、皮肉なんですよね。元々、ボウソナロというのは、左翼政権が起こした大政界スキャンダルに乗じて台頭してきてたんですよね。ただ、それが穏健派の右の政党にまでスキャンダルが及んじゃったもので、特に政界で影響力があったわけでもなく、ただの窓際下院議員に過ぎなかったボウソナロが、「ネトウヨ発言」みたいなので人気を集めて、それでネット界隈から盛り上がって台頭してきてたんですよね。

 

 僕も左翼性政権のスキャンダルに関しては批判的で、前にこのブログでも、2014年の選挙でその党の大統領が当選した時、一昨年にその大統領が罷免にあった時も支持してます。

 

 ただ、その「汚職を撲滅したい」なんて言っている勢力の化けの皮がだんだんハゲてきてですね、ボウソナロの支持者が、単なるゲイ差別、女性差別、黒人差別者で、原理キリスト教に基づいて、自分の立場を広げたいだけに過ぎない連中なのがわかられても来て、それで反対運動が激しくなってるんですね。支持者がネット上でやってるヘイト、酷くなってきてましたからね。ヤツらのフェイクニュースの捏造もひどいし。そういうこともあり、ボウソナロ、支持率も30%前後ありますが、不支持率も45%あります

 

 

 そして、「正直な候補者」というのも通じなくなってきていて

 

 

金曜には、莫大な不動産資産を隠匿していたことが、10年前の奥さんとの離婚裁判の資料で出てきた、というスキャンダルもすっぱ抜かれました。それプラス、二つの不正疑惑も浮上して、少なくとも「正直な候補者」という持ち上げはできなくなっても来ています。

 

 

 そうしているうちに、”腐敗政権”と言われていたはずの、元々人気のあったリベラル左派の党が勢い取り戻して、そこの候補が今2位で支持率も縮まってきてます。僕、個人的には、今、支持率で3位の、左派の2番手候補の支持なんですけどねえ。

 

 

 さて、どうなるか。僕としてはボウソナロ、絶対、嫌(割愛してますが、経済政策とか、アホすぎる副大統領の失言とかもひどいんですよ)ではあるんですが、反対運動がこれだけ強く、世界が「気をつけろ」と目をつける存在になっているだけでもマシというか。大きな期待は避けつつ(トランプ当選前の楽観とか思い出したくないし)、反抗する力は保っておこうかなと思っています。

 

 

author:沢田太陽, category:音楽ニュース, 21:56
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最新全英チャート

どうも。

 

では、全英チャート、行きましょう。

 

SINGLES

1(1)Promises/Calvin Harris feat Sam Smith

2(2)Eastside/Benny Blanco feat Halsey&Khalid

3(3)I Love It/Kanye West feat Lil Pump

4(5)Happier/Marshmello feat Bastille

5(4)Body/Loud Luxury feat Brand

6(6)Taste/Tyga feat Offset

7(10)Electricity/Slick City feat Dua Lipa

8(8)In My Mind/Dynoro feat Gigi Dágostino

9(11)All I Am/Jesse Glynne

10(-)Falling Dowm/Lil Peep feat XXX Tentacion

 

大きく動きはありません。

 

ただ、9位にはジェス・グリンのニュー・シングル。10位はともに他界したエモ・ラップの人気者、リル・ピープとエクスエクスエクステンタシオンの、これは共演だったのか、マッシュアップだったのか、確認してませんが、入ってきています。

 

 

では、アルバムに行きましょう。

 

 

ALBUMS

1(1)Kamikaze/Eminem

2(3)The Greatest Showman/Soundtrack

3(-)Chris/Christine&The Queens

4(-)Living The Dream/Slash feat Myles Kennedy

5(-)The Blue Hour/Suede

6(-)Bridges/Josg Groban

7(-)Redemption/Joe Bonamassa

8(4)Mamma Mia  Here We Go Again/Soundtrack

9(5)Sweetner/Ariana Grande

10(2)True Meaning/Paul Weller

 

エミネムが引き続いて1位です。

 

3位初登場は、僕も本当に大好きです。フランスのクリスティーン&ザ・クイーンズ。聞いてみましょう。

 

 

 

前作もイギリスで2位まで上がってるんですが、前作はすごくフレンチなエレガンスで売ってたイメージがあったんですが、今回はコンセプトをガラリと変えてタフな女性像で、すごくユニセクシャルなイメージで、LGBT支持層もかなり刺激する感じでアピールしてますね。また、今回のアルバム、英語ヴァージョンとフランス語ヴァージョンの二つを同時にリリースする凝りよう。曲も確実に進化してるし、本当に才女ですよ。大好きです。

 

4位はガンズ&ローゼズのスラッシュのソロですね。今回はとうとうマイルス・ケネディを正式にフィーチャリング扱いでアーティスト名にしてしまいましたね。

 

 

5位はスエードのニュー・アルバム。6位はセミ・クラシックのジョッシュ・グローバン。7位にはブルースロック・ギタリストのジョー・ボナマッサが入ってきています。スエード聞きましょうか。

 

 

 

らしいといえばらしいのですが、今回のアルバム、どの曲もサビからがエラくゴージャスなアレンジの作風になってますね。そういう気分だったのだとは思いますが、ちょっと大仰すぎるかなあ、という印象も受けました。

 

 

author:沢田太陽, category:全英チャート, 11:54
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全オリジナル・アルバム From ワースト To ベスト (第18回)ポール・サイモン/サイモン&ガーファンクル その2 10-1位

どうも。

 

では、昨日の続き、行きましょう。

 

 

 

ポール・サイモン、そしてサイモン&ガーファンクルのFromワーストToベスト、行きましょう。今回はトップ10です。どのような感じになったでしょうか。10位から行きましょう。

 

 

10.Stranger To Stranger(2016 US#3 UK#1)

 

10位は、純粋なオリジナル・アルバムとしては最新作ですね。2016年の「Stranger To Stranger」。

 

 これまでもワールド・ミュージックのプリミティヴなリズムは得意としてきたポールでしたが、ここでは音を極限まで削って、ハンドクラップの音だけでも成立しうるような、究極なオーガニック・リズムのアルバムを作ってきましたね。この人が、「究極のリズム・アルバム」を作るならここに行き着くだろうなと思える、大胆なアルバムです。このアルバムが出る頃までには僕もスマホで毎週金曜に新作聴く習慣を身につけてましたが、これを聞いた時にビックリしたのをしっかり覚えてますね。

 

 ただ、一つだけ注文をつけさせてもらうなら、「曲」そのものでキラーなものが1、2曲あれば完璧でしたね。でも、70過ぎたアルバムでこの気鋭ぶりはさすがに彼らしいですね。

 

 

9.Rhythm Of The Saints(1990 US$4 UK#1)

 

 9位は1990年発表の「Rhythm Of The Saints」。

 

 これは前作「Graceland」が2年連続してグラミー賞の主要部門を受賞するなどして特大ヒットになったのを受けて製作されたアルバムですね。前作がアフリカなら、今回は南米に飛んで、大規模な打楽器隊を引き連れて、ただ単にラテン音楽をやるのではなく、そこに数百年前の、言うなれば、アフリカから黒人が連れられてきた時代から存在しているようなプリミティヴなビートをここでは展開しています。もう、このあたりは、ポールの凝り性ぶりが徹底してますね。すごいです。

 

 あと、同時にフュージョン・ジャズ的でもあるんですが、それも功を奏してると思います。とりわけブラジルの名シンガー、ミルトン・ナシメントをフィーチャーした「Spirit Voices」が光ります。

 

 

8.Still Crazy After All These Years(1976 US#1 UK#6)

 

 8位は1976年作の大ヒット・アルバムですね。

 

 このアルバムからは「50 Ways To Leave Your Lover」が全米1位のヒットになっているんですが、これに加えてアルバムのタイトル曲もそうなんですが、リリックのユ=モアのセンスがすごく冴えたアルバムです。大都会ニューヨ〜クに住む男の、神経質さとユーモアに溢れた日記みたいな感じで。ちょうど同じような時期に、彼も出演していた、ウディ・アレンの「アニー・ホール」の大ヒットもあったから、なおさらそう思えるところもあるのかもしれません。

 

 

 そしてこのアルバムからしばらく、ちょっとアーバン・テイストのアルバムが続くんですが、このアルバムがその路線ではベストのような気もします。ただ、彼の場合、その中にゴスペルの要素を奥底に込めることができたりするんですよね。だから、根っこはすごく泥臭い。そこがわかるで気になっていて良いのです。

 

 

7.Paul Simon(1972 US#4 UK#1)

 

 7位は1972年の本格的ソロ・デビュー作「Paul Simon」。

 

 このアルバムでは、サイモンとガーファンクルでのラスト・アルバムですでにやろうとしていたラテン・ビートへの接近がかなり本格的に実践に移された作品ですね。ここでの最大の代表曲「Mother And Child Reunion」はいきなりレゲエですしね。1972年でレゲエって言ったら、ボブ・マーリーがアイランド・レコーズから本格的に世界デビューしたばかりの年ですよ。そのタイミングでレゲエというのがいかに早いか。この2年後にスティーヴィー・ワンダーが「Boogie On Reggae Woman」って曲を出した時にタイトルが「レゲ・ウーマン」だったくらいに、レゲエ、世界的に知られてなかったですからね。

 

 あと、サイモンとガーファンクルでの、美しい風景描写や世代意識みたいなところから離れて、よりパーソナルに自分の過去に向かい合って語られるストーリー・テリングもすごく光るアルバムです。

 

 

6.So Beautiful Or So What(2011 US#4 UK#6)

 

 6位は2011年のアルバム「So Beautiful Or So What」ですね。

 

 僕はこれ、彼のキャリアの終盤での最高傑作だと思ってますね。いわゆる「グレースランド」でのワールド・ミュージック・ブームがひと段落してあとの作品だと、間違いなくこれだと思います。

 

 手法としては、この一つ前のアルバム「Surprise」での、ちょっとインディ・ロックみたいな路線が続いてはいるんですが、ここで彼は、削ぎ落としたリズミックなロック・アプローチに加えて、実はなかりのギター名手の彼らしく、すごくキレのいい音色で、西アフリカのブルースを基調にしたリフをこのアルバムでは多用してて、彼の鋭い弾きっぷりとともにすごく新鮮な感覚を与えています。

 

 それに加えて、このアルバム、ここ20年くらいのアルバムではキラー・チューン目白押しのアルバムでもあるんですよね。ハイライトは、この当時、テレビでのパフォーマンスで頻繁に演奏された「Rewrite」ですね。この曲のイントロアコースティックのリフは、この新たな黄金時代を象徴するものですね。彼のサヨナラ公演でも、このアルバムからは「Rewrite」「Dazzling Blue」「Questions For The Angeles」の3曲が選ばれるほど、彼自身の思い入れの強いアルバムでもあります。

 

 

5.Parsley Sage Rosemary And Tyme(Simon&Garfunkle)(1967US#4 UK#13 )

 

 トップ5、第5位はサイモンとガーファンクルでの「パセリ・セージ・ローズマリー&タイム」です。

 

 このアルバム・タイトルは彼らの代表曲の一つ、「スカーボロー・フェア」の中の有名な一節です。これだけ聞くと、「すごく香ばしい森にでも行くのかな」と思うんですけど、大人になった時に「えっ、これってドラッグのこと?」などとも思うようにもなりましたね。「あの頃ペニー・レインと」で、フランシス・マクドーマントが「こんなクスリの歌、汚らわしい」と言って、娘役だったゾーイー・デシャネルが「これはポエムよ!」と言い返すのも、確かこの曲だったはずです。

 

 ということからも想像できるように、このアルバム、かなりサイケデリックなアルバムです。他にこの時期、ハーパーズ・バザールにもカバーされた「59番街の歌」もこのアルバムに入ってますしね。どうしても、「1967年のサイケ」というと、サンフランシスやロサンゼルスみたいな西海岸は思い出されがちですが、これは見事な東海岸からの回答であり、セールス的にも、実はこちらの方が売れていたりもします。

 

 

4.There Goes Rhymin Simon(1973 US#2 UK#4)

 

 4位は本格ソロ第2弾の「There Goes Rhymin Simon」。1973年のヒット作です。

 

 このアルバム、一般的に印象が地味なんですけど、実は70sの彼のソロではこれがベストです。実際、「僕のコダクローム」や「Loves Me Like A Rock」のビッグなシングル・ヒットも2曲ありますしね。

 

 それに加えて、このアルバム、80年代を待たずして、彼がいかにブラック・ミュージックの造詣が深いかがしっかり証明した、すごくグルーヴィーでソウルフルなアルバムになっているんですよね。とりわけゴスペル、ブルース、そしてニューオーリンズ周辺のグルーヴも。実際、「Take Me To Mardi Gras」という曲もここにはありますしね。これの前作にあたる、本格ソロ・デビュー作でも、そういうリズミックな実験は行われていましたけど、これがさらに徹底されたのがこのアルバムで、なおかつ、楽曲そのもののクオリティが高い。文句なしです。

 

 なんでしょうね。どうしてこれが、これまで、特に日本ですけど、「70年代のアメリカン・ロックの名作」として語られていなかったのかが不思議です。絶対、「ウェストコースト・ロック偏重」だったのだと思います。

 

 

3.Bridge Over Troubled Water(Simon&Garfunkle)(1970 US#1 UK#1)

 

3位は、このタイトルでもう言うまでもないですね。「明日にかける橋」。S&Gでのラスト・アルバムです。日本でも、この当時、できたばかりのオリコン・チャートで長期にわたって1位になったくらいにブームにもなっている作品です。

 

 そういう「一般的現象世界ヒット」を記録してしまったが故に、なんかイメージが大衆的な感じになっている彼らと、このアルバムなんですが、内容そのものはそんな感じでは全然ないです。タイトル曲は「傷ついたときには僕がついてる」という、6sのヒッピー幻想の終焉を先取ったタイプの曲ですが、やたらとその例でジェイムス・テイラーの「君の友達」がよく言われるんですけど、出たの、こっちの方が先です。そういう意味でこれ、しっかり、60sの挽歌なんですよね。

 

 加えて、もう、このアルバムから、もうポールの方は、この先に開花する、「グルーヴ」「南米」への意識が芽生え始めている作品でもあります。「コンドルは飛んでいく」と「セシリア」に顕著ですけどね。僕がこのアルバムを「S&Gとしての最高傑作」にしないのは、もう、素手のポールの気持ちが別のとこに向かっちゃってる感じがするからなのですが、それでも、ポール自身のキャリアで言えば、しっかり、この位置の作品ではあります。

 

 

2.Bookends(Simon&Garfunkle)(1968 US#1 UK#1)

 

 そして2位、並びにS&Gの作品としては1位なのが、この「Bookends」ですね。

 

 このアルバムは、モノクロで2人並んでる写真が有名で、よくパロディにもされていたりもしますが、これ、フォークロックとしてのサイモンとガーファンクルの傑作、というだけでなく、この時期、1968年の「ポスト・サイケデリック」、コンセプト・アルバムとしての完成度が見事です。なぜ、その観点でもっと語られてきていなかったのかが不思議です。

 

 コンセプト・アルバムとしては冒頭のオーヴァーチュアみたいな感じから、スケールの大きな名曲「アメリカ」までの展開が壮大ですね。これだけで、まず引き込まれるんですが、そこに彼らのロックンロールでの名曲の「Fakin It」やバングルズのカバーでもおなじみの「冬の散歩道」みたいなロックンロール・ナンバーが効果的に挿入され、映画「卒業」であまりに有名になったアッパーなフォークチューン「ミセス・ロビンソン」で一つの高まりを迎える。彼らとしては精一杯、攻めたアルバムで、もしかしたらポールとしては、ここでS&Gをやりきった気持ちがあったかもしれません。それくらいの名作だと思います。

 

 

1.Graceland(1986 US#3 UK#1)

 

 

 そして1位はやっぱり、これですよね。「Graceland」。1986年の、ワールドミュージック・ブームの火付け役です。

 

 このアルバム、リアルタイムだと、「難しい」と思って、しばらく手をつけなかったアルバムなんですよね。なんか、わかったふりしてスノッブがるのも抵抗あったし。でも、いざ聞いてみるとですね、このアフリカのビートというものを、ポール、かなりわかりやすく咀嚼して、「黒人起源なんだから、ロックンロールと変わらないよ」とばかりに、すごくグルーヴィーに、敷居低くプレイしてくれているのがわかって、それですごく「カッコいい」と後から思えるようになりましたね。やはり、「理屈」ではなく「体」で感じるべきものなんだと思います。そこのところは、もう、お手上げですね。

 

 加えて、これ、リリックも秀逸ですね。彼らしいセンス・オブ・ユーモアで現地のアフリカ人とコミュニケートするおかしさもある一方、アフリカに生きる人たちの、過酷で苦しい生活の様もしっかり描写もできていて。ちょうど時代は、「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」やアパルトヘイトへの反対運動が盛り上がっている頃ではありましたが、そのアフリカの生の生態をここまで見事に描写できていたアルバムもないんじゃないかな。その意味でこのアルバム、この時代の世界のジャーナル作としてもかなり秀逸です。

 

 彼としては、若き日のS&Gでの大成功がありながらも、もっと成就させたかった音楽と詩の一つの到達点がここにあるような気がしますね。

 

 

 

author:沢田太陽, category:FromワーストTo ベスト, 11:08
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全オリジナル・アルバム+α From ワースト To ベスト (第18回)ポール・サイモン/サイモン&ガーファンクル その1 19-11位

どうも。

 

 

 予告も何もしていませんでしたが、今日と明日はFromワーストToベスト、行きましょう。

 

今回のお題は、この人です!

 

 

 

先日、地元ニューヨークで最後のライブ・パフォーマンスを行ったポール・サイモン。彼のキャリア総括及び、サイモンとガーファンクル時代のオリジナル・アルバム、こちらのランキングをつけたいと思います。

 

 

 僕はポール・サイモンに関しては、ちょっと奥手でしたね。なぜ、そうだったのかは解説の中で語ろうと思うのですが、今となっては大好きなんですよね。ワーストとかベストとか言ってますけど、今回取り扱うものは、実はそこまで嫌いな作品って実はありません。それくらい、キャリアを通じて、常にクオリティの高いものを築き上げてきた人だと思います。

 

 

 では、今回はその第1回目。

 

 

19Wednesday Morning 3AM(Simon&Garfunkle)(1964 US#30 UK#24)

 

 19位はサイモンとガーファンクルのファースト・アルバム。「水曜の朝、午前3時」。

 

 まあ、これ、結果的にワーストにしてしまいましたけれど、これ、何かが悪いわけではなく、ポール・サイモンの場合、これが一番青かったというか、アーティストっとしてまだ未成熟の時にこれが出ちゃったのかな、という感じですね。まだ、「ディランに憧れている2人のフォーク青年」の域を出ていないというか。まだ、曲にアイデンティティが生まれてない気がするんですよね。

 

 ただ、「ポール・サイモンの作品」として考えずに、「60sのフォークのアルバム」として考えると、決して悪い作品ではありません。運悪く、ポールの他のアルバムが良すぎた、それだけのことだと思います。

 

 

18.Songs From The Capeman(1997 US#42 UK#83)

 

 18位は1997年発表のアルバム、「Songs From The Capeman」。

 

 これは「駄作」というよりは「失敗作」ですね。これはミュージカルの作品でして、50年代の虐げられたプエルトリコで生きるサルバドール・アグロンなる青年を描いた作品で、カリブ海のリズムとドゥワップ、ロックンロールが主なサウンドになっています。ただ、誰もが「ニューヨークのジューイッシュ」だと知っているポールが「僕はプエルトリコで生まれて」なんて歌う歌詞にはあまりbにも無理があるし、その前のアルバムまでの「アフリカ 、南米」ときてカリブ海という流れも図式的すぎるし、それまでの2作と比べてサウンド的にもあまり新鮮味がなかった。その意味ではちょっと辛いですかね。

 

 

17.Paul Simon Songbook(1965)

 

 17位は「Paul Simon Songbook」。これはサイモンとガーファンクルがデビューして間もなく、一回、解散状態になっていた時にポールが出したソロ作ですね。

 

 これ、僕、お恥ずかしい話、かなり長いこと、「後に出た未発表作」だと勘違いしていた作品です(苦笑)。その理油は、「サウンド・オブ・サイレンス」「アイム・ア・ロック」「4月になれば彼女は」と言った、後にサイモンとガーファンクルで有名になる曲の前段階の曲が入っているからなんですね。そして、これ、レコーディング自体も粗くて、それが未発表作だと思わせてしまう理由にもなっています。

 

 ただ、一回解散の危機を迎え、「ソロで、やっていく」と腹くくってたこともあってか、ソングライターとしてのモチベーションが高まっていたことはすごく感じる作品でもあります。

 

 

16.In The Blue Light(2018 US#70 UK#10)

 

 16位は、目下のところの最新作、出たばかりの「In The Blue Light」。

 

 これは、彼がソロになって以降の、比較的知られていない曲を、アレンジを変えてセルフカバーしたアルバムです。試みとしては面白いんですけど、正直な話、アレンジが面白くないんですね、これ、クラシックの現代音楽風とかジャズ風がほとんどで。彼のサウンドの持ち味でもある、プリミティヴなリズムはここでは全くなし。そういう意味ではちょっと肩透かしだったかな。このアレンジでも、もう少し何か決定的なオリジナリティがあれば面白かったんですけどね。

 

 せっかく、ニューヨ〜クでのサヨナラ公演の直前のアルバムだったのですが、このアルバムがそのクオリティゆえに話題になり損ねてしまったのは、ちょっと残念です。

 

 

15.You Are The One(2000 US#19 UK#20)

 

 15位は2000年発表の「You Are The One」。

 

 これは前作「Songs From The Capeman」の反省があったのか、久々にコンセプト優先ではなく、主題は特に置かずに自分の中から自然に湧き出た曲を集めた作品ですね。それがゆえに、やや楽曲的には地味な印象も受けるんですが、ただ、「グレイスランDド」以降に培ったワールドビートが随所に光る、なかなかのフォーク・アルバムです。「Old」「ダーリン・ロレイン」といったあたりはなかなかの佳曲です。

 

 

14.One Trick Pony(1980 US#12 UK#17)

 

14位は1980年発表の「One-Trick Pony」。これは、同名の彼が主演を務めた映画のサントラでもあります。

 

 映画でのポールは、昔、一発だけヒット曲のある落ち目のフォーク歌手で、今ではライブの前座しか仕事のない生活を送っていましたが、レコード会社が、なんとルー・リード(!)ふんする売れっ子プロデューサーをあてがってカムバックをはからされる・・と言った感じの映画です。

 

 映画そのものは僕は見てないんですけど、ただ、肝腎なアルバムそのものはそんなに面白くないですね。彼、この前のアルバムでちょっとソフィスティケイトされた方向に行って、それ自体は悪くはなかったんですけど、その前のアルバムで良かった部分が消えて、ちょっとAORみたいになっちゃってるのが引っかかりはします。ただ、それでも、そこまで順位を下げなかったのは、このアルバムから全米トップ10のヒットになった「Late In The Evening」があるからですね。パーカッシヴのリズムにすごくストリート感があって、80年代以降の彼の作品のある種の原型みたいなものが感じられます。

 

 

13.Suprise(2006 US#US14 UK#4)

 

 13位は2006年の「Surprise」。

 

 これ、その名の通り、かなりビックリするアルバムです。ポール・サイモン史上、最もロックしてるアルバムだから。これ、制作にブライアン・イーノが絡んでいて、ギターにビル・フリーゼル、ドラムにスティーヴ・ガッドという錚々たるメンバーで作ったんですけど、サウンドはもう削れるところまで削ったシンプルな音作りで、ガッドのタイトな手数の多いリズムを主体とした、すごく鋭角的なロックをやってます。この時期のインディ・ロックの影響が何かしらあったのかもしれません。

 

 このアルバムは、1990年の「リズム・オブ・ザ・セインツ」以来のヒット、特に全英トップ10に返り咲くくらい、作風が話題になったアルバムです。ここから彼の、通算何度目かの全盛期が始まることにもなりました。

 

 

12.Sounds Of Silence(Simon&Garfunkle)(1966 US#21 UK#13)

 

12位は「サウンド・オブ・サイレンス」。映画「卒業」でのイメージが強い曲ですが、ヒットしたのは映画公開の前年の1月。此のアルバムは、そのヒットに合わせて急きょこしらえたアルバムで、これで解散状態だったふたりが戻るきっかけにもなりました。

 

 タイトル曲が、デビュー・アルバムに収められたヴァージョンのフォーク・ロック・アレンジで売れたように、ここでは、この当時流行りだったフォークロック調の曲が目立ちます。ただ、それをやるには後発組だったこともあってか、そんなに強いオリジナリティは感じません。ただ、上にも書いたように、ポールが「Songbook」であたためていた「アイ・アム・ア・ロック」「4月になれば彼女は」がここで完成しているように、彼のソングライターとしての本格的な目覚めが始まっているアルバムでもあります。

 

 

11.Hearts And Bones(1983 US#35 UK#34)

 

11位は「Hearts And Bones」。1983年のアルバムです。

 

このアルバムは、この2年前にサイモンとガーファンクルのリユニオン・ツアーが大成功し、誰もが再結成アルバムを期待した矢先に、それがかなわずに出たアルバムだったこと、これまでの彼の作品からガラッと変わって、シンセを主体としたエイティーズ・サウンドだったことから、出たばかりのときは非常に不評でした。中2でしたが、よく覚えてます。

 

 ただ、これ、今となっては、ポールの最もパーソナルなアルバムとして、再評価が高いんですね。そのもとになってるのは、最初の妻、ペギー・ハーパーとも別離と、この頃につきあいはじめた「レイア姫」ことキャリー・フィッシャーとのロマンスですね。そうしたこともあり、かなり感情の起伏の激しい一作になっていたりして、リリック読むと、この当時、彼がどんな精神状態だったのかが垣間見れて非常に興味深いものがあります。

 

 

では、明日はトップ10を。

 

 

 

author:沢田太陽, category:FromワーストTo ベスト, 11:16
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最新全米チャート

どうも。

 

では、全米チャート、行きましょう。

 

 

SINGLES

1(2)Girls Like You/Maroon 5 feat Cardi B

2(1)In My Feelings/Drake

3(-)Killshot/Eminem

4(5)Lucid Dreams/Juice WRLD

5(4)Better Now/Post Malone

6(3)I Like It/Cardi B,Bad Bunny&J Balvin

7(6)I Love It/Kanye Weat&Lil Pump

8(7)FeFe/6îx9ine feat Nicki Minaj&Murda Beatz

9(8)Sicko Mode/Travis Scott

10(11)Youngblood/5 Seconds Of Summer

 

1位はマルーン%とカーディBのコラボでしたね。

 

3位初登場はエミネムの「Killshot」。これは若手白人ラッパー、マシンガン・ケリーへのDIsソングです。これ、先週かな、結構話題でしたね。「お前、マシンガンなんていう名前でマン・バン(頭のダンゴのやつですね)か?」「俺は45歳だけど、オマエよりまだ売れてる。29だって?その頃俺はもう何千枚も売ってたぜ」って感じですね。

 

 

では、圏外に行きましょう。

 

 

イマジン・ドラゴンズのニュー・シングルですね。14位に上がっています。

 

僕ですね、ここのヴォーカルのダンには、今、本当に感謝しています。それはですね

 

 

この彼が着ているTシャツのハッシュタグ。これはですね、前、ここでチラッと触れた、ブラジルの極右大統領候補に対するアンチ運動なんですね。「Ele Nao」、別名「Not Him」って言うんですけど、「アイツが大統領になっちゃダメ!」というものです。このハッシュタグが、もう1週間ぐらい国際的に出回ってます。ブラジル版のMe Too運動みたいになってます。

 

 

というのもですね、ボウソナロっていうその大統領候補が、極度の女性、黒人、LGBT差別者なんですよ。「お前なんてレイプの価値もない女」だとか「黒人の女性と自分の息子はデートさせない」とか、もっとあるんですけど、そうした発言をボウソナロがしてたことを知って、ツイッターで「これは僕の知ってる大好きなブラジルじゃない」とツイート。その翌日に、アメリカでのラジオのイベントで早速これを着て登場したんですね。

 

 

 ダンは兼ねてから、ゲイを攻撃する言動とかに対して許せない人で、それに対しての反論を積極的に行っていた人ですからね。それがこんな形でも証明されたのは本当に嬉しいです。

 

 

 もう、このelenaoをネット上で支持した人としてドゥア・リパ、ブラック・アイド・ピーズ、ディプロ、ケラーニ、ティーガン&サラ、エレン・ペイジなどがいます。今週の土曜に、ブラジルの全国で、一大デモも行われます。

 

 

では、アルバムに行きましょう。

 

 

ALBUMS

1(-)Cry Pretty/Carrie Underwood

2(2)Kamikaze/Eminem

3(-)East Atlanta Love Letter/6lack

4(5)Scorpion/Drake

5(7)Astroworld/Travis Scott

6(8)beerbongs&bentleys/Post Malone

7(10)Sweetner/Ariana Grande

8(1)Egypt Station/Paul McCartney

9(11)Queen/Nicki Minaj

10(12)Goodbye&Good Riddance/Juice WRLD

 

キャリー・アンダーウッドが初登場で1位です。アメリカン・アイドルで優勝したの、10年以上前なのにまだ人気あるんだなあ。

 

3位にはラッパーの6lackが入っています。

 


 

 

author:沢田太陽, category:-, 13:08
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映画「ルイスと不思議の時計」感想 今年のハロウィンに、ちょっと変なファンタジーはいかがでしょう?

どうも。

 

今日も映画評行きましょう。これです。

 

 

こないだの週末の全米興行1位でした。「The House With A Clock In Its Walls」、日本でも10月12日に「ルイスと不思議の時計」の邦題で公開されることになっています。こういうタイプが早めに公開されるということは、日本でもハロウィンがかなり根付いているということなんでしょうね。

 

 

 早速あらすじを見てみましょう。

 

 

 話は1955年。10歳の少年ルイス(オーウェン・ヴァッカーロ)が両親を亡くし、ミシガンにいるジョナサンおじさん(ジャック・ブラック)のうちに迎えられるところからはじまります。

 

 

おじさんは優しいんですが、何か変な感じです。

 

 

おじさんはフローレンス・ジマーマン(ケイト・ブランシェット)という、婚姻関係もなさそうなおばさんと二人でそこに住んでいましたが

 

 

この家は置いているものが変で、中でも壁には時計がコレクションしてあります。家具がひとりでに動き出すのも子供には奇妙でしたが、どうやらおじさんは魔法使いのようです。

 

 

一方、ルイスは学校では、親の形見で授かった大きなゴーグルメガネを肌身離さず持っているために変人扱いされます。そんな彼に、クラスの仕切り屋のタービーが話しかけてきます。タービーは「キミはあんな気持ち悪い家に住んでいるの?」と聞きますが、友達の欲しいルイスは「おじさんは魔法使いなんだぞ」と言って、彼の興味を引こうとします。

 

 

 

おじさんはルイスに次第に家の秘密を話しはじめます。それは、この家の持ち主がそもそもアイザック・イザード(カイル・マクラクラン)という、おじさんのかつての仲間の魔法使いのものだったのですが、彼がある頃から凶暴化し手に負えなくなっている間にアクシデントで死亡。おじさんはそれを譲り受けて生活しているのですが、この家自体がおじさんにも奇妙なため、絶えず点検をし、この家の秘密を探っているとのことでした。

 

 

 怖がるルイスでしたが、ある晩に夢に出てきたママの幻の言うことに従って、おじさんが禁じているあることをやったがために、恐怖を味わうことになってしまい・・

 

 

・・と、ここまでにしておきましょう。

 

 

この映画なんですが

 

 

1973年に発表された、この同名の児童ファンタジー小説が元になっています。設定が古いのはそのためなんですが、これを

 

 

今やB級ホラーの鬼才ですね。イーライ・ロスが監督をしています。彼と言えば、 彼自身の監督作もさることながら、タランティーノの「イングローリアス・バスターズ」での、ブラッド・ピットの戦隊の隊員での怪演も未だに印象に残っているものなんですが

 

 

そんなこともあり、かなり変な映画です(笑)!

 

 

これ、原作は「ハリー・ポッター」の原点がここに」なんて言われ方もされているカルト作のようなんですが、確かにハリーの持ってたダーク・ユーモアな部分は確かにルーツと言えるかもしれないんですが、

 

 

このルイスくんが変で、特に可愛らしくもないので、ハリーみたいな効果が期待できません(笑)。さらに言えば、ハーマイオニーみたいなキュートなキャラクターがいるわけでもない。ハリーだったらマルフォイだって、かなり嫌なヤツだけで、顔そのものは美形だったりするじゃないですか。そういう、「子供へのキュート・アピール」をあえてこの映画は削ってしまっています(笑)。

 

 

さらに

 

 

ジャック・ブラックも、まんま、いつものまんまのジャック・ブラックでしかありません(笑)。典型的な彼の役柄です。決してカッコいいわけじゃない。

 

あと、

 

 

 

怖いとこも、わりとしっかり怖いんです。これも、小さいお子さんが見るにはちょっと刺激が強いです。

 

 

 そういうこともあり、これ、「ハロウィンに子供客がメインの映画で、これでいいの?」と思える映画でもあるんです

 

が!

 

 

だからこそいい!

 

 

ぶっちゃけ、僕はかなり気に入ってます。

 

 

一つはこれ、イーライ・ロスの絶妙なバランス感覚ですね。「子供に見せるからなんだってんだ。手加減しねえぞ!」みたいなイキがった感じが見てて伝わるのがいい。子供に見せるから可愛く作ったら、逆に刺激がなくなってしまうし、子供だってそういうのに飽きてるかもしれないじゃないか。そんな彼の思いが伝わってくるようだし、さらに言えば「逆に、これの良さがわかるようなキミなら、かなりいいセンスしてるぜ」みたいな、挑戦的な突き放した感じがあるのが、かえってアピールになってる気がします。

 

 

そして、その意味でジャック・ブラックって、やっぱいい。まんま「スクール・オブ・ロック」なんですよね。大人社会から見たら社会に適応できない不器用なオッサンなんだけど、ユーモアのセンスも含めて子供にはすごくフレンドリーで、笑えるチャーミングなおじさん。そして、彼自身に子供に対しての深い愛が実はある。その意味で、今、一番子供向きな俳優さんかもしれませんね、彼。

 

 

 うちの息子のトムも一緒に見に行ったんですが、彼にとっては「ジュマンジに出てた面白い人」という感じで、実際に好感度あがってますね。近いうち「スクール・オブ・ロック」見せるタイミング近いかなと思います。

 

 

 あと素晴らしかったのはケイト・ブランシェットね。もう、誰もが認める、シリアスな演技での大女優さんですけど、いつもながらの演技ではあるんですが、ユーモアに富んだ演技もあの固く引き締まった顔の表情のまま柔軟に演じることができるのはさすが。今だったらさしずめエマ・トンプソンあたりがやりそうな役柄ですけど、”魔女”本来のちょっと怖いイメージも兼ね備えていることを考えれば、ケイトのこの抜擢、すごく良かったと思います。

 

 

・・と、こんな映画です。今年のハロウィンに一つ、いかがでしょう。

 

あと、この映画が仮に気に入った方は

 

 

 

原作を書いたジョン・ベラリスの他の作品にトライするのもいいかもしれません。一貫して、こうした濃いダーク。ファンタジーのようですので。

 

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 19:45
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