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全オリジナル・アルバム From ワースト To ベスト (第13回)アリス・クーパー 何でもやった約50年 その1 27−11位 

どうも。

 

あいだがかなり空いてしまいましたが、今日はこれ行きましょう。

 

今回が一番マニアックです。これです!

 

 

元祖ショック・ロッカーこと、アリス・クーパーで行きます。

 

実は一昨日のポストが伏線だったんですね(笑)。7月以降、僕は世界でヒットした主要なアルバムの順位をエクセルに記録して補完する妙な習慣をはじめたんですけど(笑)、そこでですね、アリス・クーパーの新作がですね、イギリス、オーストラリア、ドイツ、スウェーデンでトップ10入りした姿を見て、驚いたんですね。で、その新作そのものも僕は、特に新しさがあったわけではなかったものの、「こういう素朴なハードロックいいなあ」と素直に感動したんですね。

 

 

 で、13回目でしょ?本当は予定、ブラック・サバスだったんです。やっぱ悪魔の数字なんで(笑)。ただ、とはいえ、今、サバスであんまり話題性がないし、僕がこれまでやってきたこの企画の中では群抜いてメタルでしょ?僕自身はサバス大好きなので問題はなかったんですけど、でも、やったところでオジー礼賛だけにしかならないしなあ・・とおもって、二の足踏んでたら、出来なくなっていたんです(苦笑)。

 

 で、勢いでアリス・クーパーのファーストから最新作までを全部聴いてみたところ

 

なんか、いろいろやり過ぎで、面白いなこのオッサン!

 

 とおもって、「紹介するの、今回アリだな」とおもってやることにしました。

 

 

 とはいえ、27枚もあって大変なんですが、なるべく奇蹟をわかりやすく紹介したいかなとおもいます。

 

 

ではワーストから。

 

 

26.Constrictor(1986US#59UK#41)&Raise Your Fist &Yell(1987 US#72UK#48)

 

ワーストは2枚あります。1986年の「Constrictor」と翌年の「Raise Your Fist&Yell」です。

 

これは70年代のアメリカでのグラムロックスターだったアリスが80年代の空前のメタル・ブームに乗って復活しようとしたアルバムですけど、いかんせん、これがひどいのなんの!音が今聴いても、いや、当時の耳でもすっごく安っぽくてですね。さらにひどいのはギタリストね。アリスが歌ってる最中から、これ見よがしの「ピュー!」「グォオオン」みたいなオカズをやたら入れたがって、曲を聴かせるのを邪魔するんですよね。これ、ホント無惨です。このあとアリスはメタル復活第2弾を別のプロダクション・チームと行ないますが、そうなっても仕方がない内容です。

 

 

24Lace&Whisky(1977 US#42UK#33)

 

 続いては77年作の「lace&Whisky」。ここでは、70年代前半までのグラム〜ハードロックのブームが世代交代になり、キッスとかエアロスミスが出て来るのを横目に、アイディアの尽きた観もあったアリスが、アダルト・コンテンポラリーに走った一作です。ハードロックだとダミ声で歌う彼が、ここでは朗々とした美声でバラードを歌い上げています。この中の「YOU&ME」という曲は全米チャートでトップ10に入るヒットになっているんですが、実はこの時点で、アルバム3枚連続で続いたバラード・ヒットでもありました。

 

 

23.Zipper Catches Skin(1982)

 

 80年代前半はニュー・ウェイヴ期のアリスでした。その路線で彼、4枚アルバムを作っているんですが、その中の3枚目。前作まではいい感じだったんですけど、ここで疲れちゃったか、かなりテキトーな方向性の見えない作品を作ってしまいました。この頃、アリスのドラッグの状態がかなりピークに近いくらい悪かったのも事実ですけど。チャート実績を書いていないのは、ホントにヒットしなかったからです。

 

 

23.Brutal Planet(2000 US#193 UK#38 )

 

この当時で6年ぶりとなった2000年のアルバムです。この当時、彼が影響を与えたマリリン・マンソンがインダストリアル・ロックで売れていたので、それに便乗してます。この当時、インダストリアルも含めたニュー・メタルの全盛だったので、その選択は一見正しいようにも見えました。ただ、当のアリス先生がどうも楽しそうじゃないんですね、このアルバム。たしかに、アレンジから何から完全に外部の人が持ち込んだものでしたからね。その「借り物感」が本人的にもイヤだったんじゃないかな。

 

 

22.Hey Stupid(1991 US#47 UK#4)

 

1991年、前作のメタル復活計画第2弾が大成功した後に出されたアルバムですね。その前のアルバムでは、ボン・ジョヴィの制作チームとの共作でしたけど、今回は組むプロデューサーを超えて臨んだものです。重低音の安定感、曲を聴かせる力のあるソングライターもついて。そう考えると成功しているかのようにも見えるんですがかねてから「ボンジョヴィは甘口すぎる」との批判もあがっていたんですけど、昨今、この当時の流行りのメタルの音を聞き返してもはずかしいですか。

 

 

21.The Last Temptation(1994 US#68 UK#6)

 

その次のアルバムですね。もう、メタル・ブームも去り、次の波をどう生き残るかがカギだったんですけどね。

 

 このアルバムではサウンドガーデンのクリス・コーネルがバックシンガーをつとめるなど、グランジに対応したアルバムだったんですけど、同時にエアロスミスの「ゲット・ア・グリップ」を手がけたソングライティング・チームなどが参加しているために、なんか全体がすごくエアロスミス的というか、その2番煎じな感じが否めないんですよね。

 

 

20.Dragontown(2001 US#197 UK#87)

 

 23 位のアルバムの続編です。ただ、前作でのインダストリアル路線のウケが良くなかったこともあり、チャートはもうランクインするのでやっと、という、ちょっとその後の活動に暗雲が高まる感じですね。

 

 アリス本人、やっぱり借り物のインダストリアル(といっても、そこまでバルバリなインダストリアルでもない)にどうしても慣れないのか、みずから70年代時の黄金期にタッグを組んでプロデュースをつとめたボブ・エズリンと久々の共演がついています。やっぱり、「自分が慣れた表現のものじゃないと気持ち悪い」と言う感覚はやっぱり生きてたんですかね。

 

 

19.Pretties For You(1969 US#193)

 

 続いて紹介するのが、なんとデビュー作です!アリスは1969年にデビューしてて、その頃はしばらくは「アリスの名前を生かした5人組バンド」だったんですけどね。

 

 ただ、この当時、彼、ハードロックでもなんでもなかったんですよね。ギターのかき鳴らしは激しいんですけど、すごくアヴァンギャルドなタイプのサイケデリック・アルバムで、ハッキリ言って曲がメチャクチャ覚えにくいです。それもそのはず、これ、もともと、フランク・ザッパのレーベルからデビューしたわけですからね。その時点で、まともなことはかなり控えるはずです。

 

 60年代のサイケ盤なので、根本的に曲が一筋縄ではいかない感じなのがねえ。

 

 

18.Easy Action(1970)

 

 デビュー作よりはだいぶ聴きやすくはなったものの、まだサイケ路線ですね。ときおり、後のアリスらしいロックンロールも顔を除かせはするんですけどね。あと、このアルバムはジャケのセンスの悪さもなかなかのものがあります。

 

 このセカンドはチャート実績も全然あげられなかったことで次作に勝負がかかることになったんですけど、これの次から才能を開花させて行きます。

 

 

17.Along Came A Spider(2008 US#53UK#31)

 

 この前2作で感覚的に復活して、70sの黄金期に近い音を鳴らすようになって自信を持ったんでしょう。これは70sの頃のような、シリアル・キラーを題材にしたコンセプト・アルバム。ただ、シアトリカルに戻ったせいだったのか、前2作で鳴らしてなかったギター・ソロを戻してしまい、ソリッドな感じが後退したのはちょっと残念だったかな。ただ、前2作の評判と、彼らしいコンセプト・アルバムの制作と言う話題性で、チャート的には後押しにはなったようですね。

 

 

16.Welcome 2 My Nightmare(2011 US#22)

 

 これが前作ですね。これは70sのときのプロデューサー、ボブ・エズリンが本格的にアルバム1枚プロデュースするにあたって、1975年のアリスの代表作「ウェルカム・トゥ・マイ・ナイトメア」の続編を作ろうと言うことになって出来たアルバムです。その話題性が効いたかアメリカでは22位まで上がる久々のヒットとなりました。

 

 これ、意気込みはすごくわかるし、それゆえのディスコ・チューンやらバラード、そして驚きのケシャとのデュエット(意外といいんだ、これ)にまでつながったと思うんですが、「過去最大のバラエティ作」にいつの間にかテーマがすり替わっていて、「前作を上回る悪夢」がどこかに消えてしまったのが問題です(笑)。まあ、前向きにサービス精神見せただけ評価しますけどね。

 

 

15.Dada(1983 UK#93)

 

 ニュー・ウェイヴ期最後のアルバムはコンセプト・アルバムですね。このアルバムはですね、1990年だったかな。ワーナーが彼の過去作をCD化した際、「日本初音源化」という名のもとに売って、子供心に「おお、レアだ!」と興奮したのを覚えてます。

 

 これ、たしかにしっかりと作られてはいて、ファンのあいだでは「幻の名作」として語られ、こういうチャートでも上位に入ることが少なくないんですが、いかんせん、当時のアリスが完全にドラッグにハマってて、作ったこと覚えてない作品なんですね、これ(苦笑)。ライブでも1曲も披露されたことがありません。僕、ライブでやる頻度は重視するので、そこがマイナス点になってこの順位です。

 

 

14.Special Forces(1981 US#125UK#96)

 

 同じニュー・ウェイヴ・アルバムなら、その路線の2枚目のこっちの方が好きですね。その路線で、もっとも本格的にニュー・ウェイヴになってて、イギー・ポップの「イディオット」みたいな感じもあってカッコいいです。ただ、若干、他の彼のアルバムの中では浮いてて、そのせいで人気はないですね。もうちょっとギター・ロックがあるくらいが一番バランスは良いんでしょうね、彼の場合。

 

 

13.Paranormal(2017 US#32UK#6)

 

 目下のところの最新作。16位の前作から6年ぶりのアルバムです。基本、2003年のアルバム以降は全盛期の頃の70sスタイルの音作りなので、これも外してません。僕が「昔ながらのシンプルなハードロックでかっこいいじゃないか」と思ってはみたものの、その路線で既に5枚目だったことを考えると、マメなチェックって必要だな、過去に実績のあるアーティストの現在の作品を「余生」的な扱いには決して出来なくなったんだな、と改めて思いました。これが10年ひと昔前だったら、「今の旬なアーティスト王だけで手一杯だよ」となってたんですけど、ストリーミング・カルチャーの利点のひとつですね。そういうのがあるから、このチャート実績なんだとも思うし。

 

 トップ10に入れるまではしなかったものの、敬意を評して彼らしい”13”の順位にしておきましょう。

 

 

12.Muscle Of Love(1974 US#10UK#36)

 

これはまだアリスが、グラム〜ハードロックの頂点にいた頃の作品ですね。通常、その勢いで上位につける作品です。ただ、これ、その前2つのキャリア史上の最大ヒット作がコンセプトを持ったバラエティに富んだ作品だったのでシンプルに作ろうとしたのはわかるんですけど、シンプルすぎて味がプレインになってしまったアルバムですね(笑)。この人、振れ幅が極端な人なのが、キャリアを全編追うとわかって結構楽しいですよ。

 

 

11.Alice Cooper Goes To Hell(1976 US#27UK#23)

 

 これは先ほどの触れた代表作「Welcome To My Nightmare」の次に、同じようなコンセプトで作ったアルバムですね。通常、そうした、「前作の延長線上」というアルバムは得てして評判良くないのですが、これの場合は、彼がこの当時、ディスコ、ファンクものにも少し乗ろうとした好奇心を買って、この順位にしました。

 

 あと、ここからこの前のアルバムに続いてバラード「I Never Cry(邦題「俺は泣かない」)」が全米チャートの12位まであがるヒットになり、この頃の彼のAOR路線を築くことにもなります。

 

 

author:沢田太陽, category:FromワーストTo ベスト, 12:12
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最新全米チャート

どうも。

 

 

では、手短に全米チャート、行きましょう。

 

 

SINGLES

1(1)Despacito/Luis Fonci&Daddy Yankee feat Justin Bieber

2(2)Wild Thoughts/DJ Khaled feat Rihanna&Bryson Tiller

3(3)Bodak Yellow(Money Moves)/Cardi B

4(5)Believer/Imagine Dragons

5(6)Attention/Charlie Puth

6(4)Unforgettable/French Montana feat Swae Lee

7(7)There's Nothing Holding Me Back/Sean Mendes

8(8)That's What I Like/Bruno Mars

9(9)Shape Of You/Ed Sheeran

10(24)Rake It Up/Yo Gotti feat Nicki Minaj

 

 

ヨー・ゴッティが入った以外は変わらないですね。この曲、悪くないですね。

 

来週はテイラー・スウィフトが入って来ますが、その前の嵐の前の静けさですかね。

 

 

では、そのテイラー、聴きましょうか。

 

 

 

まあ、試聴回数とストリーミングで記録を作ったとのことで、来週のチャート、世界的に1位だとは思うんですが、う〜ん・・。

 

 

僕だけじゃなく、「これはいくらなんでもやり過ぎなんじゃない?」な声は目立ちますね、今回。「オールド・テイラーは死んだ」と言ってるんですが、新しいテイラー、これで本当に良いのかねえ。この曲も、なんかパーツパーツを無理にくっつけて曲としての一貫性として単純に覚えにくいし、ひとつひとつのパートも光るとこがない。それでもスウィフティーズの皆さんは肯定して聴くんだろうとはおもうんですけど、これ聴いた後に、それはそれは完成度の高かったカントリー・ポップの少女のアルバムが聴きたくなりました。

 

 

では、アルバムに行きましょう。

 

 

ALBUMS

1(-)Science Fiction/Brand New

2(-)Project baby 2/Kodak Black

3(2)Damn/Kendrick Lamar

4()The Peace And The Panic/Neck Deep

5(1)Rainbow/Kesha

6(4)American Teen/Khalid

7(3)Grateful/DJ Khaled

8(6)Divide/Ed Sheeran

9(-)Paranoia A True Story/Dave East

10(9)Evolve/Imagine Dragons

author:沢田太陽, category:全米チャート, 10:40
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ロックをインディ・ロックだけに頼るのには限界があるのかもしれない

どうも。

 

今日はこういう話をしましょう。

 

 

毎年、8月というのは、リリースがちょっと小休止になるタイミングなので、本来なら大きなトピックがないはずのタイミングです。

 

が!

 

今年は違いました。僕にとっては

 

 

ロックの見方の目からウロコが落ちる1週間になりました!

 

 

ちょっと、今週の世界のヒットチャートにおけるロックでそれぞれ驚くようなことが次々と起きたんですよ。

 

 

まず、これ、明日もう1回改めて発表しますが、アルバムで1位になったの、これだったんですよ。

 

 

 

 

 

このブラン・ニューってバンドですね。彼らはエモ/ポップ・パンク系のバンドとそもそもは解釈されてるバンドなんですけど、上の曲を聴いてもおわかりのように、エラく暗いでしょ?これ、彼らの8年ぶりの新作だったわけですけど、それにしても僕はビックリしましたね。だって、彼らのアルバム、2003年だったかな、駆け出しの頃、批評的にほめられていたから買ったことあったんですよ。そのときはまだ典型的なポップなエモって感じだったのに、今回のアルバム、なんかもう、ピンク・フロイドみたいっていうか、レディオヘッドの90年代みたいというか。僕が一番近いと思うのは、アリス・イン・チェインズがアコースティックな曲調やるときから、猟奇的な感じを差し引いた感じというかね。そういうのに一番近いなと思ったんですよね。

 

 このアルバム、ちょっとした話題性もあったんですよ。それは、このアルバムの中で合間合間に聴かれるSEがサイコセラピーを受けている人のインタビューで。で、上の動画がジャケ写なんですけど、「えっ、それって、どこから逃げてるの?」という感じもなかなか想像すると怖くて。そんな雰囲気の中、大半がアコースティックで、気持ちが高ぶったときにエレキのファズがかぶったり、ブルージーになったり。すごく、ギターの表現力が意味のある作品というか、ここ数年で一番良いんじゃないかと思えるくらいのギター・アルバム(もちろん内省的な歌詞も見事なんですが)だと思いましたね。

 

 これ、やっぱり内容的にこれだけ濃密だったこともあって、批評媒体の絶賛もすさまじいんですよ。一番縁遠く見えるピッチフォークまでもがBEST NEW MUSICっていう、いわゆるオススメ作品にピックアップしましたしね。僕もこれ、今年の自分の年間ベストのトップ10に入れることはもう決定済です。本当に素晴らしいですよ。

 

 

 

 あと、今週はこのブラン・ニューだけじゃなくて、もうひとつパンクバンドがなんと、イギリス、アメリカ、オーストラリアの3つのチャートで一気にトップ10入りしてるのがあったんですね!ブラン・ニューでもアメリカとオーストラリアだけだったんですけどね。それがウェールズのネック・ディープというバンドです。このバンド、デビューが2010年代の若いバンドで、フロントマンがまだ23歳と言う若さです。

 

 サウンドは、まあ、まだいかにも典型的なフォーマット通りのポップ・パンクという感じなので、まだ僕個人的にはそこまで強くは推せないのですが、ただ、その若さで、そんな英米豪のチャート全てでトップ10入ると言うのは並のことではありませんからね。それは客観的に認めるのと、あと、これですね。

 

 

 

シングルにもなったこの曲のレベルの曲がアルバムの半分くらい埋められるようになると、もう一皮むけると思います。これは素直に良い曲だと思うし、これだけアルバムの初週で売れるんだったら、これをプッシュ曲にしてロック系のラジオ局でかけてもらうと良いんですけどね。このバンドの場合良いのは、ドラマーがかなりうまくて、その分、立体的な曲が作れるとこなので、面白い存在だと思います。

 

 

 そして、イギリスのチャートですが、今週、これも驚きましたね。

 

 

 

 

 

 こないだの全英チャートでも紹介しましたけど、このスティーヴン・ウィルソンですね。この上のジャケ写の「To The Bones」という作品がですね、こないだのイギリスのチャートで初登場3位だったんですね。彼、現在、49歳なんですが、その年にして、ヒットの自己最高を大幅に更新しました。それまでがこの前のアルバムの13位でしたから。

 

 いや、それだけじゃありません。なにせ、このアルバム

 

 ドイツだと初登場2位です!

 

 さらに

 

 フィンランドだと1位です!

 

 もっと言うと、イタリア、フランス、スウェーデン。オーストラリアと、トップ30にも入っています。

 

 なぜ、こんなにヨーロッパで結果が良いのかというとですね、彼はもともと

 

 

 このポーキュパイン・トゥリーというバンドのフロントマンだったんですね。このバンドは、プログレ・マニアの中では、「90年代以降の若手バンドの筆頭格」みたいな評価を得ていたバンドで、2000年代に入ったくらいからジワジワ売れはじめてきて、2008年に発表した「Fear Of A Blank Planet」という、ラッシュのアレックス・ライフスンやキング・クリムゾンのロバート・フリップも参加したアルバムがあったんですが、これがヨーロッパ全土で大ヒットしたんですね。大ヒットといっても、イギリスで31位、アメリカで59位とかだったので地味ではあったんですけど、その代わり、どこの國でもチャート・インしたんですね。

 

 このバンドは2010年に活動休止になって、スティーヴンはソロに転じて、そこから5枚アルバムを出すんですけど、出すたびにチャート実績良くなってて、前作の時点でポーランドでは2位まで上がるヒットにもなっていました。

 

 ただ、上の曲を聴く分には、そんなにプログレっぽい感じはしないでしょ?それはスティーヴン本人も言ってることで、「父親がプログレ好きで、母親がアバとかカーペンターズが好きで、僕は両方好きだったんだよ」と普通に受け答えしているインタビューもあるし、基本はポップ・ソングです。ただ、本人いわく「プログレとは物語を語る音楽で、そんもストーリーがときに長くなることもあるんだよ」と、アルバム内の10分を超える長尺曲の説明をしてたりします。

 

 

 僕、プログレは強くないんですけど、彼の場合は世代もすごく近いし、「テャイーズ・フォー・フィアーズとかケイト・ブッシュも好きだった」と語ってるくらいに変に「プログレ史上主義」的なところもなく親しみ易いですね。上のアルバムも、年間トップ10に入れたいとまでは思わなかったですが、もう2回通しで聴いたくらいに愛聴はしはじめているし、ソロとポーキュパイン・トゥリーのアルバムはひととおり聴いてみようかな、とは思っています。結構、枚数、多いんですけどね。ちなみにポーキュパイン・トゥリーの¥キーボードは、なんとあの元ジャパンのリチャード・バルビエリですよ!上の写真の左はじです。

 

・・なんてことを知ったのは、つい最近なんですけどね(笑)。ポーキュパイン・トゥリー自体は、昨年の今頃に、ポーランドのitunesのチャートに入っていたのを見て、「これ、現地のバンド?えっ、イギリス?」と思って知ってウィキペディアで調べて興味を持ったのが最初でしたね。

 

 

 でも、それにしても、今週のこの結果は意外だったなあ〜。

 

 

 だって予想では

 

 

 

グリズリー・ベアのこの新作が注目を浴びるだろうと思われていましたからね。あと。イギリスだとエヴリシング・エヴリシングも出ていました。インディ・ロックの目線だと、この2枚が注目盤であり、一般評価も決して悪い感じはしませんでした。ただ、ゴメンナサイ、僕には本っ当につまんなかったんです!

 

 なんかですね、もう、「インディのバンドがエレクトロの要素取り入れてみました」みたいのに、そろそろ本格的に飽きて来てるというか。あと、ロウファイ系ギターのバンドとか。どっちもアメリカに多いタイプですけど、なんかいかにもmyspaceのときからかわらない、メガネ面でファッションに気を使わないタイプのバンドがちょっと様式化してるのがなんか嫌になって来たというかね。プログレがプログレッシヴじゃ全然なくなったように、インディも、鳴らしてる音楽の存在自体がもはやインディペンデントなんかじゃ全然なくなってる。誰かの人まねに終始してる感じがしてきてるんですよね。

 

 

 すると、どうやら僕みたいに飽きて来てる人が実際に少なくなかったからなのか、グリズリー・ベアは2枚続けてトップ10に入った全米でさえそこまでウケず、ここまでトップ10入りした国がゼロ。エヴリシング・エヴリシングも、イギリスで5位に入っただけで、他の国、かけらも入ってません。

 

 

 上にあげた人たちと比べて、結果が随分さみしいと思いません?でも、これが現実なんだと思います。

 

 

 なんで、こんなことが起こっているのか。これ、別に「インディ・ロックのファンが減って、エモやプログレのファンが増えた」とか、そういう単純なことではないと思います。これ、むしろロックファンの中に

 

 

 ジャンルや世代の違うアーティストを、ストリーミングと検索で見つけやすくなっているから

 

  

 僕はそういうことなんじゃないかなと思っています。

 

 

 たとえば、今週はたまたまそういうことが起こっていないんですけど

 

 

 

 

この3週前には、なんと元祖ショック・ロッカー、アリス・クーパーのニュー・アルバムがですね、イギリス、オーストラリア、ドイツ、スウェーデンでトップ10に入る事態が起きています!

 

 

 これに限らず、昨今、クラシック・ロック系の復活、すごいんです。そして、それは2000年代の半ばからはじまってることでもあります。

 

 

 何からなんでしょうね。ハッキリとはわからないんですが、たとえばアイアン・メイデンなんかは40代後半になったくらいからセールスが自己最高を記録しはじめ、ここ数作はもう全世界的にナンバーワンになるような事態が続いてます。あと、彼らに比較的世代が近いとこだとスレイヤーとかドリーム・シアターにも同様の現象があるし、ベテランだと、ジューダス・プリースト、KISS、そしてディープ・パープルね!パープルの今年出たアルバムも、ドイツで1位でイギリス、イタリア、フランスでトップ10に入ってましたからね。彼らが昨年に遅れてロックの殿堂入りしたのは、最近のこの活躍が後押ししたからでしょう。あとモーターヘッドも。レミーがなくなった際、結構大きな話題になったのも、ここ最近のアルバムが自己最高に近いチャート・アクションをヨーロッパ各地で記録していたからです。

 

 

 あと、別ジャンルだと、デペッシュ・モードの今年のアルバムはフランス、イタリア、ドイツで1位だったし、デュラン・デュランも英米トップ10のイタリア1位とかですし、ペットショップ・ボーイズあたりも国際的に売れますからね。それからソロシンガーだと、レナード・コーエンは昨年に亡くなる前からここ数作はヨーロッパでは軒並みヒットしていたし、トム・ウェイツ、ヴァン・モリソンも出せば国際的に必ず売れますね。

 

 

 こうしたことからもわかるように、最近では、年齢に関係なく、充実した作品を作り続けていたら再評価がついてくる世の中になっています。もう、今頃は何歳でロックしてようが関係ありませんから、面白いとさえ思えば、若い人だって手を伸ばします。そして、今やそれが、「いくら聴いても料金が同じ」なストリーミング・サーヴィスの発達で手を伸ばして聴きやすいようになった!

 

 

 これが大きいんですよね。たとえば、10年くらい前だったら、もう、Hard To Explainもやってる状況だったし、インディ・ロックを決め打たないことには、どうしようもなかったんですよね。ほかのジャンルも、欧米の批評メディアが話題にするもの。こういうものを買うのに予算が手一杯になってしまって、たとえば今回みたいなエモとかプログレとか、ひと昔前のベテランなんて、聴きたくても金と時間と機会が全くなかった。それが今や、情報をえ次第、ストリーミングの検索のとこで調べてすぐにアルバム1枚単位でフルで聴くことができるし、そのアルバムの詳細なデータ関係も、英語版のウィキペディアを読めばしっかり出てくる。僕がさっきから言っているチャート資料もそうですけど、そういう細かい有益なデータもしっかり織り込まれるんですよね。

 

 

 世の人みんなが僕のようなリサーチをかけているわけではないともちろん思うんですけど、その何%とかでも情報って今だったら耳に入りやすいし、「検索してみて興味を持つ」という機会が増えるわけじゃないですか?そうした、「ふとした情報から湧く興味」が、「ジャンルの決めうち」より面白くなったりする時代なのかな、とも思うわけです。

 

 

 となると、「画一化した特定ジャンル」より、「聞いたことないけど、なんか違う個性は確実にあるもの」の方に流れて行くのも自然だと思うんですけどね。

 

 

 今回、長くなっていますが、これでシメではありません。もうひとつ紹介してシメに行きたいと思います。

 

 

 ここまでは、「ジャンルや世代を超えて面白いロック」の発見の話をしてみましたけれども、とは言え、なんだかんだで若くて勢いがあって、将来大物化しそうなバンドやアーティストを見つけた方が、それはやっぱりワクワクしますよね。

 

 

今週、オーストラリアで初登場1位になったバンドに僕はそういう逸材を見つけました。

 

 

まあ、これはれっきとしたインディ的なバンドではありますが、これです!

 

 

 

 

 いや〜、これはカッコいいですね。言うなれば、ザ・ナショナルがU2の曲をやったような雄大さ。そこに部分的にスプリングスティーンのエッセンスが加わる感じ。文学性と熱い誠実さのあるパワフルなロックという感じじゃないですか。

 

このバンドはですね

 

 

 

ギャング・オブ・ユースといってですね、これが2枚目のアルバムになるんですが、それが発売の時点でオーストラリアのローリング・ストーンでは表紙になっています。このバンド、左から2人目のフロントマン、デイヴ・ルオーペペというカリスマのワンマン・バンドみたいなんですけど、一昨年にデビュー作が出た時点から既に大型新人と話題で、その年のオーストラリアの音楽賞をテイム・インパーラとコートニー・バーネットと堂々と並んで争った、という話まであります。

 

 

 彼らライブも良さそうだし、これ、本国だけにとどめず、インターナショナルでちゃんと勝負しないかな。サウンドの持つ広がりと包容力なら、最近のアメリカのインディのバンドの何倍もありますからね。フロントマンはまだ25歳と若いバンドですけど、このサウンドなら上の世代にも訴求は十分可能でもありますしね。若いヘッドライナー候補が全体的に不足している現状なら、マイペース型のバンドより、カリスマ性のあるバンドを育てるのは急務でもありますからね。これは気がつかれて欲しいバンドですね。

 

author:沢田太陽, category:評論, 12:59
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最新全米映画興行成績

どうも。

 

 

今日、MTVのヴィデオ・ミュージック・アワードが、よりによって「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズン・ファイナルの真裏でやってましたね。当然、後者を選びました(笑)。今、GOTの裏出やるのなんて野暮ですよ。あと、なんか女の子のセレブ押しにしてるのが、すごく時代遅れというか。それはもう、最近のセールス動向にもしっかり出てるのにね。

 

 

あと、映画は今週と来週がレイバー・デイ直前なので枯れてます。でも、やっておきましょう。全米映画興行成績。

 

 

 

1(1)The Hitman's Bodyguard

2(2)Annabelle : Creation

3(-)Leap!

4(10)Wind River 

5(3)Logan Lucky

6(4)Dunkirk

7(7)Spiderman Homecoming

8(-)Mayweather Vs McGregor

9(4)Birth Of The Dragon

10(6)The Emoji Movie

 

今週は1位がわずか1000万ドルの売り上げと、大低調です。

 

そんな中。3位で初登場が「Leap!」。これは元がフランス制作のアニメで、実は他の国では公開は去年だったんです。実はブラジルでも今年の1月公開で僕らも家族で見に行ってます。さらに言えば結構ヒットしたんです。

 

それがアメリカでは、なんか受け入れが厳しくて、カナダ版で英語吹き替えを既に作ってあるのに、それからさらにアメリカ版用に部分的に声優を変えて作りなおすなんてかなり謎のことをしていて公開が遅くなりました。

 

これは1880年代のパリを舞台に、孤児を抜け出た女の子がパリでバレリーナを目指す話で、ぶっちゃけ「バレエ版ベストキッド」な感じで,それはそれで割と楽しめたんですよね。

 

ただ、声優交代などの余計なことが響いたか。アメリカ版の評判が悪く、メタクリティックで50点、ロットントマトーズで37点。これ、ロットン、実はカナダ版の際の採点も持っていてこっちだったら73点だったんですよ。一体何があったんだろう?

 

ちなみにこれ、カーリー・レイ・ジェプセンの歌う主題歌の評判がやたらいいんです。

 

 

 

僕、彼女はちょっと過大評価な気がしてるので推してはないんですけど、この曲はそれでも高揚感の強い良い曲だと思います。

 

 

あと8位、これは映画興行成績に入れていいのかな。こないだの土曜のボクサー、フロイド・メイウェザーの総合格闘家コナー・マグレガーとの試合の生中継です。本当に映画のネタがなかったんだな。

 

 

9位初登場は「Birth Of The Dragon」。これはブルース・リーがサンフランシスコに香港から上京した頃の話を描いたものなんですけど、特に実話に基づいているわけではなく、その頃のことを想像して作ったフィクションなんですって。

 

その設定から微妙な空気が流れますが、評判は案の定、よくありません。メタクリティックで37点、ロットントマトーズで27点でした。

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:全米映画興行成績, 12:25
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風邪をひきました

どうも。

 

 

すみません。ちょっと風邪をひきました。

 

熱とかなないんですけど、だるさがあって、喉と鼻の調子がいまひとつです。

 

 

書きたいネタがあったんですけど、時期的にもう少し後の方が良いかなとも判断したので延期します。

  

 

全米映画興行成績は予定通りやりますのでお待ちを。

author:沢田太陽, category:-, 21:36
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最新全英チャート

どうも。

 

これ、夏休み最後の週末なんですね、北半球は。楽しい夏は過ごされましたか?

 

では、土曜恒例、全英チャートです。

 

 

SINGLES

 

1(1)New Rules/Dua Lipa

2(-)Friends/Justin Bieber&Bloodpop

3(2)Feels/Calvin Harrid feat Pharrell Williams,Katy Perry,Big Sean

4(5)What About Us/P!NK

5(-)Reggaeton Lento/CNCO feat Little Mix

6(7)Sun Comes Up/Rudimental feat James Arthur

7(6)Despacito/Luis Fonsi feat Daddy Yankee&Justin Bieber

8(12)Mi Gente/J Balvin feat Willy William

9(8)Back To Us/Louis Tomlinson feat Rexha and Digital Farm

10(16)More Than Friends/James Hype feat Kelli-Keigh

 

今週は多いなあ。

 

2位はビーバーのニュー・シングル。ブラッドポップはガガのこないだのアルバムでソングライティング・パートナーをやってた人ですけど、この曲、良いと思います。すごくメロディックで。

 

CNCOはマイアミに拠点を置く、ラテン系のボーイバンドですね。Jバルヴィンと合わせて、イギリスの少年少女、ラテン・ブームですね。

 

10位はこれ、アン・ヴォーグの1996年のヒット「Don't Let Go 」の替え歌ですけど、これはひどい。原曲まで殺しやがって、一番嫌いなタイプのエレクトロものですね。

 

では、アルバムに行きましょう。

 

 

ALBUMS

1(1)÷/Ed Sheeran

2(2)The 50 Greatest Hits/Elvis Presley

3(-)To The Bone/Steven Wilson

4(-)The Peace And The Panic/Neck Deep

5(-)A Fever Dream/Everything Everything

6(-)Live For The Moment/Sherlocks

7(-)Tribe/Chase&Status

8(5)Human/Rag N Bone Man

9(3)Adios/Glen Campbell

10(7)Dua Lipa/Dua Lipa

 

実はこのアルバムにかなり語ることがあります。

 

中間発表の時点で1位になりそうになった3位のスティーヴン・ウイルソン、聴いてみましょう。

 

 

 

この人、ポーキュバイン・トゥリーっていう、2010年まで活動したプログレ・バンドの中心人物で、ソロでも5枚目なんですけど、このポーキュパイン・トゥリーっていうのが、イギリス以外のヨーロッパで人気がありましてね。で、イギリスでも遅れて火がついて、前のソロは13位まであがってたんですけど、今回一気に3位になって本国でもすごく注目されてます。

 

良いメロディ書く人ですよね。僕もこのアルバム、新しさはないけど、すごく良いと思います。よく聴いてますよ。

 

あと数日後に、彼を含めた特集を考えてます。

 

 

4位はウェールズのポップパンク・バンドのネック・ディープ。若くて、なかなか力のある曲、書きます。5位はインディ・バンドのエヴリシング・エヴリシング。4枚目だったかな。正直、僕、今回のはあんまり好きじゃないです。エレクトロ使うバンドにちょっと飽きて来てます。

 

 

6位初登場は新人バンドのAザ・シャーロックス。聴いてみましょう。

 

 

 

タイプとしてはキャットフィッシュ&ザ・ボトルメンみたいな感じですね。こういうストレートなロック、新しさは全然ないんですけど、今聴く分には嫌いじゃないです。あとは決定的な決めアンセムが生まれるといいですよね。

 

7位は、チェイス&ステイタスの新作。ちょっと旬は過ぎた感じかな。

 

 

author:沢田太陽, category:全英チャート, 11:12
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