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祝・Spotify日本上陸!

どうも。

 

 

 

 

いや〜、良かったですねえ〜。Spotify、ようやくの日本上陸。これは大きいですよ。これでやっと、今の音楽の聴き方において、完全に国際的に取り残されていた状況から脱するための条件が揃ったと思うので。

 

 

 たしかに日本でも既にストリーミングのサービスはあります。ただ、僕がこれまで話を聞く限り、アップル・ミュージックを除いては、選曲数にかなり限りがあったり、特定レーベルに偏った運営をしていたようなので、「そんなんじゃ広まるわけがない」と思っていました。

 

 

 それプラス、やっぱり世界一の大手が市場参入しない状況でいくら競争を煽ったところで、それはなんというか、「マクドナルドを抜きにしたハンバーガー・チェーン戦争」みたいなものというか、なんか真実味がないと言わざるを得ないと言うか。「本来、一番のものがないと、そりゃ、盛り上がらんわな」とずっと思っていました。

 

 

 まあ、日本の場合、「邦楽をどこまで選曲に取り込むか」という、「なんで今の世の中、そこまでストリーミングに渋るわけ??」という、他の国の人には理解出来ない特殊な事情があるので、定着するにはそこがカギとなる特殊な事情があったりはするんですが、Spotifyが国際的に築いて来たブランド力があれば、ちょっとがんばればそこもクリアできるはずなので、僕は期待していますよ。

 

 

やっぱりSpotifyの場合、「基本的に使用料がタダ」というのが最大の武器です。無料使用なのに、曲のストックが一番多い。ここが最大のウリになるわけで、これで日本の楽曲が一番揃う、とかになるとかなり強いはずです。

 

 

とは言え!

 

 

実は僕はSpotifyユーザーではありません。

 

 

僕がSpotifyの日本上陸を喜ぶ本当の理由。それは

 

 

それにより、他の大手の進出が呼びこめるから!

 

 

それができてこその本当の競争だし、そこまで出来ないと、世界のストリーミングの波に対応したことになりません。

 

 

僕はさっきSpotifyをマクドナルドと例えましたが、これには意味があります。それはここのサービスが基本的に薄利多売で成り立っているからです。Spotifyの場合、利用者のほとんどが無料利用なんですね。これはどういうことか。つまり、ユーザーのほとんどがPC上での利用になるわけです。つまりそれだと、Wi-fiが効かないとこまではカバーしていません。ということは「外出中にケータイのアプリで聴くのは出来ない」というわけです。

 

 

 外でスマホで聴きたい場合は、Spotifyとて有料サービスで聴かなくてはなりませんが、有料版のクオリティには課題があります。

その最大のものが「アルバムを1曲目から曲順通りに聴くのがややこしい」ことです。Spotifyは基本が無料会員に合わせてあるため、アルバム試聴が全てシャッフルなんですね。これが有料会員にまで、ちょっと手のこんだセッティングをしない限り適用されます。僕はズバリ、これが嫌なので利用してません。

 

 

 あとは音質ですね。なんか圧縮がキツくて、ちゃんとした音源を聴いてる気分になれないときがある。これも有料だとクオリティはカスタマイズできるんですが、僕もお試し期間中に試したんですが、にわかに音が良くなったような実感がなかったんですよね。

 

 

 そう考えたら、アップル・ミュージックの方が、使用料はかかりますが、ケータイに関して言えば良いと思います。あと、アップル・ミュージックの場合、プレイリストがすごく音楽に焦点が合わされていて、「プロが選んでる」感じがします。僕はアップル・ミュージックのそこが好きで利用もしてますが、実はここも僕が一番使っているサービスではありません。

 

 

僕が普段一番使っているのは

 

 

DEEZERとTidalです。

 

 

ぶっちゃけ、スマホのアプリで聴くなら、この2つが圧倒的に良いです。何が良いかって、ズバリ音質ですね。2つとも有料になりますが、一回この2つの音質に慣れると、他のがちょっと聴きにくくなります。ここに関してはアップル・ミュージックでもかないません。

 

 

選曲的にもDEEZERは、レディオヘッドとメタリカがない、という大ポカはありますが、それ以外ではむしろ一番曲が多いくらいです。音質的には、イコライザー内蔵になっていて、音楽ジャンル別に音質が選べる仕組みになっています。音に関して追えば、ここが最強です。

 

 

Tidalははじまった当初は「料金高い割りに選曲が少ないな」と不満だったんですが、プリンスとニール・ヤングの独占配信はじめたくらいから選曲数も問題が減って来たし、加えて、なぜか映画のサントラに強いという隠れたポイントがあったりもします。最近は企画も良くなって来てるし、あと、デザインに関しては一番ですね。曲がかかってる最中に、アナログ・レコードが回転してるイメージになっててオシャレです。

 

 

 もう、欧米諸国では実際問題、「Spotify,Apple Music,DEEZER,Tidal」が上位を占めてる感じになっておりますが、日本でもそれが普通になっていただきたい!

 

 

その手始めとしても、Spotify進出は大いに歓迎すべきことなのです。

 

 

 

author:沢田太陽, category:音楽ニュース, 19:26
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ロラパルーザ・ブラジル2017発表

どうも。

 

 

ロラパルーザ2017のブラジル版のラインナップです。

 

 

 

 

 

率直な感想として「まずまず」と言った感じですね。

 

 

去年はフローレンス&ザ・マシーン、マムフォード&サンズ、テイム・インパーラ、アラバマ・シェイクスと、かなり良い並びで、いずれも期待に応えていました。今年は、そこまでではないにせよ、それでもウィーケンド、XX、1975なので満足です。

 

 

あと、このテのフェスって、「いかに夕方になるまで退屈しないか」というのも気になるところですが、今年はティーガン&サラ、グラス・アニマルズ、キャットフィッシュ&ザ・ボトルメン、ヴァンス・ジョイ、シルヴァーサン・ピックアップスとあるので、退屈はしないでしょうね。

 

 

 あと、ヘッドライナー的には立派だと思います。メタリカにストロークス。この2つだけで十分に客は来るでしょう。本音言えば、メタリカのとこがレディオヘッドだったら言うことなかったんだけど、まあ、メタリカも新作引っさげてのライブなので、価値はあります。あと、おそらく、裏ステージでのトリなんじゃないかと思う、ランシドやデュラン・デュランというのも面白いし、特に熱烈なデュラニーズだった僕にとって、彼らがどこに出て来るかは非常に重要な意味を持ちます。

 

 

 強いて言えば、ブラジルの国内組が今回いまひとつなのと、Tove LoとかMOとかのエレクトロ・ガール枠がファントグラムとCHVERCHESだったら最高だったんですけど、まあ、そこは次回のお楽しみですかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:フェス, 19:05
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最新全米チャート

どうも。

 

では、水曜恒例、全米チャート、行きましょう。

 

SINGLES
1(1)Closer/The Chainsmokers  feat Halsey
2(2)Heathens/twenty one pilots

3(3)Cold Water/Major Lazer feat Justin Bieber&MO

4(6)Let Me Love You/DJ Snake feat Justin Bieber

5(4)Cheap Thrills/Sia

6(8)Treat You Better/Shawn Mendes

7(5)Don't Let Me Down/The Chainsmokers feat Daya

8(12)Broccoli/D.R.A.M feat Lil Yanchy

9(13)We Don't Talk Anymore/Charlie Puth feat Selena Gomez

10(7)This Is What You Came From/Calvin Harris

 

チェインスモーカーズ、相変わらず強いですね。

 

今週はトップ10に2曲入ってますね。

 

8位の「ブロッコリー」は、たまに入ってくる「お尻」ソングですね。一発屋ネタ街道まっしぐらな感じでしょうか。

 

9位は、女性セレブの体の良いデュエット相手になっているチャーリー・パスがセレーナ・ゴメスを伴って入ってきました。

 

では圏外に行きましょう。40位初登場のこの曲です。

 

 

ウィーケンドの新曲はダフト・パンクとのコラボになります。髪を切ったことも話題ですね。

 

まだそこまでピンと来る曲ではないんですが、染みて来るでしょうか。

 

 

ではアルバムに行きましょう。

 

 

ALBUMS
1(2)Views/Drake

2(-)Divine Feminine/Mac Miller

3(3)Suicide Squad/Soundtrack

4(-)Sinner/Aaron Lewis

5(-)Hard II Love/Usher

6(1)They Don't Know/Jason Aldean

7(6)Birds In The Trap McKnight/Travis Scott

8(12)Blurryface/twentyonepilots

9(-)The Very Next Thing/Casting Crowns

10(10)Dig Your Roots/Florida Georgia Line

 

ドレイク、1位奪還です。強いよねえ。

 

2位初登場は白人ラッパーのマック・ミラー。

 

4位は、ポスト・グランジで一時人気ありました、ステインドのシンガー、アーロン・ルイス。今回もカントリー路線なんでしょうか。

 

 

5位はアッシャー。意外に低いので驚きです。

 

9位はクリスチャン・ロック系の今や大物なのかな。キャスティング・クラウンズ。これがなにげに6枚目のトップ10アルバムだったりします。

 

 

 

author:沢田太陽, category:全米チャート, 13:12
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今こそ「Idiocracy(26世紀青年)」はちゃんと見られるべきだ

どうも。

 

 

ゆうべ、ヒラリーとトランプのディベートをCNNで見たんですけど、まあ〜、こりゃ、ひどいですね、トランプ。世の中の最近のネットの保守が言ってるものを象徴化させたような感じというかね。相手が自分の理解に及ばないこと言えば「これまで政治家とマスコミは嘘をつき続けて来た」と言うし、自分らが思いやりや思慮に欠けたこと言えばそれは「正直でいい」と正当化されるんですからね。ある意味、すごく合理的で楽だよなあ。でも、20世紀の歴史経た後でこんなんで良いの?とは思っちゃいましたけどね。

 

 

 まあ、ブラジルでも、立場は逆で極左で似たこと起きてますけどね。元大統領の政党が様々な証拠をもとに次々と汚職がばれて逮捕までされてるのに、それを「この国のマスコミや警察、司法のレベルが低いんだ」とか言い訳してますからね。なんでも「世の中が嘘を教えてる」と言えば済んじゃうような世の中ってのは、ちょっと考えものですね。

 

 

 まあ、そんな最中、アメリカではこれが一部ですけど、劇場再公開がはじまって話題になってますね。

 

 

 

この「Idiocracy」ですね。これ、日本だと、「26世紀青年」という、非常に安易なタイトルでDVDリリースされているので、そっちのタイトルではあんまり紹介したくないんですけどね。「バス男」並のワースト邦題なので。

 

 

 これは、2006年にアメリカで公開された、あのMTVの「ビーヴィス&バットヘッド」のクリエイターで知られるマイク・ジャッジの映画ですけど、これ、すごく良く出来たブラック・ユーモア満載の近未来SFコメディです。

 

 

 

 話を簡単に言ってしまうと、これは、「世の夫婦が、知識層が子供を産まなくなり、教育をちゃんと受けてない人ばかりが子供を生むようになると、500年後は政治家も含めバカばかりになる」という映画です。

 

 

 これ、時代をあまりにも先駆け過ぎたのか、リリース当初、アメリカでも相手にされてなかった映画なんですよね。ただ、僕はこれ、すごくそそらたんですよね。と言うのは、僕自身、日本の少子化をかなり前から問題視してたんですよね。90年代の終わりに一度結婚経験があったんですけど、そのときに住んでたアパートに住んでたのが新婚カップルばかりだったんですけど、その際に、いわゆる「公園デビュー」系の、髪を金髪、茶髪にしたヤンキーなママばっかりだったんですよ。あれを見たときに、「今って、こういう人しか子供生まなくなってるんだなあ」と思って、気味が悪くなったものです。そして、ちょうど、この映画をDVDで見たときに、「ゆとり世代」と言う言葉が頻繁に使われ出した時代でもあって、「ああ、あのときに近所に住んでたような人の子供ばかりが育つと、ああなっちゃうよね」と思っていたところでもあったんですよね。

 

 

 だから、この映画のメッセージはかなりダイレクトに僕には響いたんです。ただ、話があまりにもチープでバカバカしすぎたので理解されなかっただけなんです(笑)。

 

 

 

 この作品、映画としては、題材が面白いのに、なんか後半、パワーダウンして、やや尻切れとんぼっぽく終わっちゃうんですよねえ。加えて、主演のルーク・ウイルソンが、この映画の前まではそれなりに売れっ子だったのに、これを最後にヒット作がパタッとなくなって、今もインディ映画の主演しかやってない印象になってるし。相手役のマヤ・ルドルフがそれなりに売れてるのとは対照的です。兄さんのオーウェンに負けないくらい人気も代表作もあった人だったんですけどねえ。

 

 

 あと、この映画、「バカ大統領」役のテリー・クルーズが見事な怪演をしてます(笑)。彼にとっては逆に良い足がかりになった映画だったんじゃないかな。その後もそれなりに「良い味」出すコメディ・アクティングでは良い仕事しますからね。

 

 

 これ、本当にカルトな作品で終わっていましたけど、上のような経緯もあって、僕の中ではずっと印象に残ってたんですね。見るキッカケになったのは、当時つきあいはじめたワイフがツタヤからリリースされたばかりのDVD借りて来たからなんですけど、その後も話が「子づくり」「子育て」に及んだ際に、この映画の話はよく出て来てたんですよ。「教育受けた人がしっかり子供生まないとダメだね」とかって言って。10数年前の結婚の際には子供作るなんてこと全く考えられなかったこの僕が、今、2児の父になっている遠因に、この映画の存在が何%かはあるのを、今、ここで白状しておきます(笑)。

 

 

 

 で、この映画が昨年からのトランプの大統領選での急台頭以降、アメリカで再評価する声が高まっていたんですよ。「あれは500年後ではなく、10年後を予期していた映画だったのか」なんて言われてね。僕もまさしく「その通りだ!」と思っていました。

 

 

 なのでアメリカ人の多くの人が、今、この映画を見るのは本当にオススメしたいし、日本でもこのタイミングでツタヤでもいいし、ネットのストリーミングでもいいし、見たら良いと思うんですけどねえ。

 

 

 

author:沢田太陽, category:-, 19:33
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最新全米映画興行成績

どうも。

 

 

1日遅れましたが、月曜恒例、全米映画興行成績、行きましょう(ポスターをクリックするとトレイラーが見れます)。

 

 

1(1)The magnificent Seven

2(-)Storks

3(1)Sully

4(3)Bridget Jone's Baby

5(4)Snowden

6(2)Blair Witch

7(5)Don't Breath

8(7)Suicide Squad

9(6)When The Bough Breaks

10(9)Kubo And The Two Strings

 

 

初登場で1位は1960年の有名な西部劇「荒野の七人」のリメイクです。元ネタが黒澤明の「七人の侍」というのはあまりに有名ですね。正直、「荒野〜」は僕も見てますが、「名作」っていうくらいいい映画かなあ、という印象はありますね。

 

 

今回のリメイクはデンゼル・ワシントンやクリス・プラット、イーサン・ホークなどが主体になってやってますね。僕もこの配役そのものは良いと思います。監督は「トレーニング・デイ」のアントン・フークアですが、それゆえにデンゼルとイーサンが再び組んでるわけですね。

 

 

これ,興行は3500万ドルとまずまずなんですが、評判はそこまで良くないですね。Metacriticで54点、Rottentomatoesで64点。

 

 

2位初登場はこれはワーナーのアニメですね。「Storks」。これは、赤ちゃんを運んでくれるコウノトリのお話ですね。これ、思い切り赤ちゃんの話なので、我が家には直撃です。見に行く予定です(笑)。これ、監督が「Neighbours」のニコラス・ストーラーだし、期待する要素も多いので。

 

 

ただ、評価はそこまでじゃないですね。Metacriticで55点、Rottentomatoesで64点。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:全米映画興行成績, 19:39
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「ネヴァーマインド」から25年

どうも。

 

 

遅くなりましたが、この日から25年だったんですね。

 

 

 

 

ニルヴァーナの「ネヴァーマインド」のリリースから25年ですよ。この1ヶ月、実はかなりのものがリリース25年だったんですよね。レッチリの「ブラッドシュガーセックスマジック」もパール・ジャムの「テン」も、メタリカの「ブラック・アルバム」も、国が違えばプライマル・スクリームの「スクリーマデリカ」も。要は、25年前の8月から9月にかけては、「ロックの潮流が決定的に変わった瞬間」でもあるわけです。

 

 

 もう、このアルバムに関して、そして変えたものに関しては、自分の音楽ジャーナリスト人生の中で最も語って来たことで、本人自身、かなり言い飽きてるところもあったりするし(苦笑)、ある世代から下の人にしてみれば「もう、それが普通のもの」として育って来ている人も今はむしろそっちの方が多いので言う必然性もなくなっては気つつはあると思うんですけど、簡単に言っておきましょうかね。

 

 

 出て来た時代背景を先に言うより、今はビフォー&アフターを言うことの方がわかりやすいような気がしてます。少なくとも、このアルバムが現象となって以降、「ロックをやる」ということに関して変に身構えて武装でもするかのような感覚の人とか、ステージ上で妙にカッコつけて「浮世離れした特別な存在」を気取るような人がいなくなりましたね。

 

 

 30年くらい昔って、バンドをやってる人って、印象としてはクラスの目立ちたがり屋か、クラスで地味な存在の人でも、いざ、ステージにあがればビックリするような格好でみんなビックリ・・みたいなタイプの人がむしろ多かったものです。普通の感じの人もいないわけではなかったのですが、むしろそっちの方が少なく見えたものです。僕は小学生だった1970年代の後半からロックはずっと聴いてましたが、「ロック好きだからと言って、変にカッコつけたりする、あの感覚は嫌いだなあ」と思って、メタルとか、日本のバンドブームとか、傍観して見てたクチです。そりゃ、中には、そういう物の中に好きな物もあったりはしたんですけど、やっぱり、その辺りに違和感感じて、のめり込みまではしませんでしたからね。

 

 

 それが、ニルヴァーナが世に出てあたったくらいのところから、「ああ、もう、人前でそんなに目立ちたいわけではないような人たちが、普通のカッコして、リスナー煽らないロックやってもいいんだ」と思って、そこですごく共感を惹かれたわけです。

 

 

 また、その直前までの、日本のバブル社会というのが、僕的にはどうしても苦手でね。男も女も肩パッドのスーツして、女の子がボディコンにソバージュにトサカ前髪で、男がトゥー・ブロックの重たい髪型が流行ってた時代です。僕はただのナードっぽい少年でしたけど、あれにもすごく違和感があってですね。あの頃に撮られた、当時のテレビ映像とか見てもらえるとわかると思うんですけど、画面上がなんかピカピカしてて、そこに映る人たちも、少しでも汚したらいけないような動きにくそうなファッションしてるでしょ?実際、街歩けば「アーバン・ポップス」が洋楽でも邦楽でも強かったですからね。思い切り疎外感でしたよ(笑)。

 

 

 そこにニルヴァーナとかグランジが、重く、汚れたギターで、世に食い込んで来たわけです。そんな世の中の空気そのものは、あの当時、欧米でも似たようなものでしたからね。そこが欧米圏だと、「こんな浮かれた感じじゃもうダメなんだ」ってことになったんですけど、日本って、「バブルはじけた」って1991年くらいに言われはじめたものの、世の空気そのもの自体は1994年になるまで、変わらず「享楽の時代」が続いてましたからね。ニルヴァーナを受け入れる土壌って、ハッキリ言ってなかったですね。

 

 

 とにかく、バブル、および、その当時の大学カルチャー(しかも、1989〜92年のおぼっちゃん系の大学)がトラウマだった僕には、グランジとかヒップホップみたいな、そこらのフツーの人と同じ格好した若い人が、ステージでの体裁とか考えずに、ひたすら日常感覚的な本音を音とリリックで表現するのはすごく痛快だったし、それが決定的にその後のポップ・ミュージックの流れをみるみる変えていく姿を見るのはスリリングでしたね。そういう波が世界的に見てあったにもかかわらず、日本ではそれがなかなか定着せずに、勢力によっては、既得権益を壊したくがないために妨害する人たちまでもいた。あのときのフラストレーションがその後の僕を作ったようなものだ、ということは、自分の口から何100回出たことかわかりません(笑)。

 

 

 

 まあ、日本でも、94年になる頃には、それがだいぶ変わって来ましたけどね。渋谷系支えたコアな層自体も、「バブルな世の中への違和感」というマインド自体では共通してたし、そういう人たちは自然と、クリエーションものとかのUKロック聴いたりしてて、それがブリットポップの頃に、そこから下の世代とつながって大きくなったし、もうちょっとアクティヴなものが好きな子は、ストリート系のファッション誌とかの影響なんかもあって、メロコアとかミクスチャーとか聴きはじめるし。あの頃にようやく、「ネヴァーマインド」が蒔いた種が日本でも芽を出し始めたな、と思ってホッとしたものでしたね。それが、フジロック以降のフェス文化で拡大した感じもありますね。そこくらいからだと思うんですが、むしろクラスにいるフツーな子が、フツーのカッコして、「うまいメンバー集める」とかそんなことなしに、気のあった仲間と自然にバンド組むような感じになったのは。それが自然と邦楽のロックでも、V系とかよりも目立つものになって、標準的なものとして定着したのかな、と思ったりもしてます。

 

 

 ただ、今は、もうそれがあまりに自然になりすぎて、「地味な文系肌の人がやる音楽」になりすぎちゃって、自己主張のない音楽になっちゃってるのかな、という観もありますけどね。「ネヴァーマインド」以前の感じに反動的に戻って欲しくはないんですけど、ニルヴァーナの頃は、ロックそのものがバブリーにデカくなり過ぎた世の中だったからこそああいうカウンターが効いたわけであって、ロックがただでさえ存在感の薄いものになりつつあるのに、目立った表現出来る人材が少なくなって行ってるのは寂しいかな。「そんな25年後」といった感じですかね。

 

author:沢田太陽, category:音楽ニュース, 21:25
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