- 最新全米チャート
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2016.08.31 Wednesday
SINGLES
1(1)Closer/The Chainsmokers feat Halsey
2(3)Cold Water/Major Lazer feat Justin Bieber&MO3(2)Cheap Thrills/Sia
4(4)Heathens/twenty one pilots
5(6)Ride/twenty one pilots
6(5)This Is What You Came From/Calvin Harris
7(8)Don't Let Me Down/The Chainsmokers feat Daya
8(7)One Dance/Drake feat Wizkid&Kyla
9(10)Send My Love(To Your New Lover)/Adele
10(12)Treat You Better/Shawn Mendes
ALBUMS
1(-)Blond/Frank Ocean2(2)Views/Drake
3(1)Suicide Squad/Soundtrack
4(-)I Told You/Tory Lanez
5(-)Brave Enough/Lindsey Stirling
6(5)Blurryface/twenty one pilots
7(8)25/Adele
8(9)ANTI/Rihanna
9(7)Major Key/DJ Khaled
10(11)Hamilton/Soundtrack
- ジーン・ワイルダー死去〜伝説のコメディ俳優を振り返る
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2016.08.30 Tuesday
どうも。
いやあショックですよ。
ジーン・ワイルダーがなくなってしまいました。ハリウッドを代表するコメディ・レジェンドでした・・。
いやあ、ショックですよ。僕は年齢的には、洋画に興味を持つ頃には彼は徐々にリタイアの方向にあったから、リアルタイムではそんなに黄金期には間に合ってませんでしたけど、それでも名前はなんとなく耳にはしてたかな。
僕が本格的に彼のことを知ったのは、上の写真でも明らかなように、ティム・バートン&ジョニー・デップが「チャーリーとチョコレート工場」を発表したときですね。だから2005年かな。ちょうどこの年から今のワイフとつきあいはじめたんですけど、「オリジナルの方が全然いい」との紹介で、ジーン・ワイルダー・ヴァージョンの1971年版を見たんですけど、飄々としたワイルダーのウイリー・ウォンかがたちまち好きになりましたもんね。デップには気の毒ですけど、彼がコスプレ俳優として空回りをしはじめたのは、このリメイクがいまひとつだったくらいからのような気がしています。
それから、結構近い時期じゃなかったかな、60年代のコメディ「プロデューサーズ」がリメイクされたのも。これもレンタルで見ましたね。ワイルダーのやった、落ち着きのない銀行家の役はマシュー・ブロデリックがやってましたけどね。これもやはりオリジナルが気になって借りてみて気に入ったものでした。
それからほどなくして
1984年のスティーヴィー・ワンダーの大ヒット曲「心の愛」。これが「ウーマン・イン・レッド」なる映画の主題歌だったことは中学3年だったこのときから知っていましたが、それに主演していたのがジーン・ワイルダーだったのを知ったのは20年くらいあとでしたね。これを知ったときに、彼への関心がまたもあがったものでした。
そして忘れちゃならないのが
「プロデューサーズ」を監督したコメディの巨匠メル・ブルックスの70年代の一連のヒット作でした。これはぼくがちょうどジャド・アパトウにハマりまくって、アメリカのコメディについて掘り下げたくなったときに、コメディ映画のオールタイム・ベストみたいなものを調べた際、必ず上位にあがるのがブルックス作品でのワイルダーの主演作だったんですね。それはたとえば
この西部劇バカ・コメディの「ブレージング・サドル」。これなんかオールタイムの大常連作ですけど、見るとあまりにシュールすぎておかしく、涙流しながらゲラゲラ笑いましたけどね(笑)。
これが出たのと同じ、1974年にまたも傑作を出してるんですよね。
これもすっかりコメディ・レジェンドの一作になってますね。「ヤング・フランケンシュタイン」ですね。この「踊るリッツの夜’」のパフォーマンスでもすっかり有名になってますよね。
それから
70年代後半からは、もっぱら、この当時最大人気の黒人コメディアン、リチャード・プライアーとのコンビでの作品がメインでしたね。
1976年のこの「大陸横断超特急(Silver Streak)」をはじめ、プライアーとは4本だったかな。共演してますね。今やワイルダーだけじゃなく、プライヤーも、この映画でのヒロインだったジル・クレイプールも今やこの世にいません。
それから、ネットでのファンの言及を見てると、これも多いですね。
80年代の後半に結婚したギルダ・ラドナーのことです。このギルダという人は
もともとは「サタディ・ナイト・ライヴ」の初代メンバーのコメディエンヌだったんです。ちょうどチェヴィ・チェイスやらジョン・ベルーシ、ダン・アイクロイド、ビル・マーレーあたりと共演しています。
この人は、今で言うティナ・フェイやらクリステン・ウィグの先駆的存在でした。実際に彼女を「女性コメディアンのレジェンド」
とする向きが多かったものです。ジーンとの映画での共演も80s後半以降増えていました。
しかし、その矢先にギルダは癌を煩い、1989年に43歳の若さで亡くなってしまいます。ジーンがこのあと、仕事をセーヴして行く方向になったのも、このギルダの死が大きかったと見る向きも多いですね。だから今回のジーンの訃報でも、コメントで「もうギルダはどこにも行かないよ」「ずっとギルダのそばにいて」といったメッセージが多かったものです。
これがジーン・ワイルダーのおおまかなキャリアですけどね。飄々と大袈裟を両方表現出来る器用な演技力に、私生活も含め、コメディとは切っても切れない人生だったんだなと改めて思いますね。
彼のキャリア、たくさん見てはいるけど、フォローしきってはいないので、改めてしっかり見てみようかなと思っています。改めてご冥福をお祈りします。
- 最新全米映画興行成績
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2016.08.29 Monday
どうも。
ジーン・ワイルダーの死去があまりにショックだったので、そちらから先に書かさせていただきました。
では、月曜恒例、全米映画興行成績、行きましょう(ポスターをクリックするとトレイラーが見れます)。
1(-)Don't Breathe
2(1)Suicide Squad
3(4)Kubo And The Two Strings
4(2)Sausage Party
5(-)Mechanic:Resurrection
6(5)Pete's Dragon3
7(3)War Dogs
8(8)Jason Bourne9(7)Bad Moms
10(6)Ben Hur
初登場で1位はホラー映画「Don't Breathe」。これは、侵入強盗をやっている3人の若者が直面する恐怖を描いたものなんですが、これ、脚本と監督がウルグアイの人なんですね。アイディア採用で映画になった感じなのかな。主演のジェイン・レヴィって人は、「サバガトーリー」といって5年くらい前にABCだったかな、そこでやってたコメディの主演女優で高校生の役をやってましたね。
そういう制作のいきさつもあってか、評判はこれ、かなりいいです。Metacriticで71点、Rottentomatoesでは87点。こちらでは9月2週目公開なので、行こうかなと思ってます。
5位初登場はジェイソン・ステイサム主演のアクション・ムーヴィー「The Mechanic」の続編。これ、2011年の映画の続編ですね。アクションにはとんと疎い僕ですが、ここで紹介したのは覚えてます。そもそもはチャールズ・ブロンソンの1972年作のリメイクですね、これ。
ただ、これ以上続編が作られるかは微妙な線ですね。Metacriticで43点、Rottentomatoesでは24点。
- 今週のアルバム寸評
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2016.08.28 Sunday
どうも。
今週はやります。ただ、現在、アイフォンが急に故障したので、来週はやるかどうかわかりません。9月は新作ラッシュなので、それまでにはなおって欲しいんですが。
では、今週のアルバム寸評、行きましょう。
Blond/Frank Ocean
やっぱり今週はこれを語らないわけにはいかないですよね。フランク・オーシャンの「Blond」。彼のことは、ジェイZとカニエのアルバムに曲がフィーチャーされたときから気になった人(僕もそのクチです)が多く、前作のデビュー作「Channel Orange」でものすごく注目されましたよね。
前作ほどの話題作のあとだと、「今回どうすんの?」というところもあったとは思いますけど、いやあ、全く持って文句ないですね。十分傑作だと思いますよ!
なんか、聴感上、すごく面白いんですよね、彼の作品って。音数も少なく、ややもすればデモテープみたいにさえ聴こえる瞬間さえあるのに、そこを「世界一豪華なデモテープ」というか「文字通りの室内(というか個室)オーケストラみたい」というか、限られた音要素を多層的に響かせるのが本当にうまいですよね。これ、今、他に真似出来る人っているのかな。
あと、メロディメイカーとしても本当に抜群ですね。彼の場合、曲に基づいているコード進行がすごく洒落てて「難しそうなの使ってるな」という印象があったんですけど、今回、曲の元ネタにトッド・ラングレン、スティーヴィー・ワンダー、エリオット・スミスがあるのを見て、「道理でそうなったわけだ」と思いましたからね。全部、コードのセンスで語られる見本みたいな人たちばかりだから(笑)。しかも、スティーヴィーのネタというのはカーペンターズの「(They Long To Be)Close To You」のカバーで、それもバート・バカラックの曲なわけだから、ここにもうひとつ「コードの匠」みたいなものがあるという。スティーヴィーに関しては、他の曲でも要素感じますけどね。
あと同時に、こういうセンスが通常のR&Bの枠を超えた普遍性につながっているのかな、とも思いました。その意味でも、ジャンルを超えて「美メロ」を求める人には最適な作品だと思います。
Home Of The Strange/Young The Giant
今週もう1枚聴いたのがこれでしたね。このバンド、フュールド・バイ・ラーメンのバンドですね。このレーベル、フォールアウト・ボーイ、パラモア、funと来て、今はトウェンティ・ワン・パイロッツで当ててますけど、もはやエモの範疇を超えた、アメリカ随一の「売れるロック」のレーベルになってますね。
ここのレーベルのアーティストの打ち出し方は、初期のエモ・レーベルの頃とは全く違って、すごくオーヴァー・プロデュースなやり過ぎ感があって、どうにも好きになれないところはあるんですが、その中でこのバンドは、一番真っ当ないまどきのインディ・ロックバンドで、言われなきゃ所属レーベルはわかんないタイプですね。
やってること自体は、そこまでおもしろいものじゃないですけど、曲と歌はしっかりしてるので割と好感持てますけどね。前が割と叙情派っぽくて、今作がいまどきなエレクトロなギター・ロックで特徴がないといってしまえばそうなんですけど、ただ、別段ヒップホップにせよEDMにせよ「クオリティが良いから売れる」わけでもなんでもないし、それは80、90年代のロックだってそうだったわけですから、こういう「そこそこにポップでわかりやすいもの」がシングルヒットでも出せばだいぶ違うんだけどなあ、とは思いますね。先々週紹介したブラッサムズでも同じこと考えましたけど。
- 最新全英チャート
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2016.08.27 Saturday
どうも。
今日も1日遅れですが、全英チャート、行きましょう。
SINGLES
1(1)Cold Water/Major Lazer feat Justin Bieber&MO2(2)Let Me Love You/DJ Snake feat Justin Bieber
3(4)Closer/Chainsmokers feat Halsey
4(3)Dancing On My Own/Calum Scott
5(7)Heathens/twentyonepilots6(6)Don't Let me Down/Chainsmokers feat Daya
7(5)Perfect Stranger/Jonas Blue feat JP Cooper
8(8)One Dance/Drake feat Wizkid&Kyla
9(9)Treat You Better/Shawn Mendes
10(10)Too Good/Drake feat Rihannaこのところ、ホント、イギリスのシングル、動かなくなりましたね。あいかわらずビーバーEDM景気強しといった感じでしょうか。
では、アルバムに行きましょう。
ALBUMS
1(-)Blond/Frank Ocean
2(-)Pure&Simple/Dolly Parton
3(-)Life On The Road/David Brent
4(2)Views/Drake
5(5)Legend/Bob Marley&The Wailers
6(3)All Over The World-Best Of/ELO
7(4))Chaleur Humaine/Kristine&The Queens
8(6)25/Adele
9(8)Purpose/Justin Bieber
10(7)A Head Full Of Dreams/Coldplay実は先週までブラッサムズが2週連続1位でしたが、今週は13位に落ちています。発売タイミングが弱かったことで2週連続1位でしたが、リリース・タイミングってチャートのインパクト上、大事ですね。
初登場で1位はフランク・オーシャンの新作。これ、世界的に1位でしょうね。詳しくは次の投稿で書きますが、とにかく素晴らしいですよ、これは!
初登場で2位はカントリーの大御所クイーン。ドリー・パートン。彼女のベスト盤が何年か前にイギリスで大ヒットしたんですが、なんででしょうね?その影響かと思われます。
3位のデヴィッド・ブレントって、これ、コメディアンのリッキー・ジャヴェイスの「The Office」での役名じゃないですか(笑)。
こんな感じです。
ただのムカつく会社上司なんですけどね(笑)。ゴールデン・グローブの司会での、放送事故だらけの発言もこの人ならではでしたけど。
ちなみに彼が歌がうまいのは、こうした経歴があるためです。
80年代に、実は日本でも売りだしをかけていたシンセポップ・デュオ、ショナ・ダンシングのヴォーカルだったんですね。体が今の3分の2の美形だったんです。それが今や上のイメージですから、世の中わからないものです(笑)。
- BBCが選ぶ「21世紀の100作の映画」に入るべきだった10作
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2016.08.26 Friday
どうも。
久々に映画のオールタイム・ベストの話をしましょう。
BBCが世界中の映画批評家を対象に、21世紀以降のベスト映画を選んでランキングにしています。その結果がこちらです。
僕は、このテのオールタイム企画はよく目を通すので、よく見かける映画が多く、意外でもなかったんですけど、ここにトップ10だけ書くことにしようかな。
1.マルホランド・ドライヴ(デヴィッド・リンチ)
2.花様年華(ウォン・カーワイ)
3.ゼア・ウイル・ビー・ブラッド(ポール・トーマス・アンダーソン)
4.千と千尋の神隠し(宮崎駿)
5.6歳のボクが、大人になるまで(リチャード・リンクレイター)
6.エターナル・サンシャイン(ミシェル・ゴンドリー)
7.ツリー・オブ・ライフ(テレンス・マリック)
8.ヤンヤン 夏の思いで(エドワード・ヤン)
9.別離(アスガル・ファルファディ)
10,ノー・カントリー(ジョエル&イーサン・コーエン)
皮肉なことに、1位と2位以外は納得してます(笑)。う〜ん、リンチだったら、80〜90年代にもっと良い映画、たくさんあるじゃないかと思うんですよね。よりによって、最高傑作でもないこの映画が世紀の1位ってどうだと思うんですけどねえ。カーワイも、2016年現在で、もっとも新作が待たれる非英語圏の監督なのか、と言われると、そうじゃないと思うんですよね。
これ、見て思うに、2000年代の頭くらいから「現時点での今世紀ベストは?」という企画がやられ過ぎてて、初期から上位に入っていたこの2つがリストの上位に残り過ぎてたから起こっていることなんじゃないかと思うんですよね。
僕だったら1位はあっさり「ゼア・ウイル〜」ですね。ポール・トーマス・アンダーソンは、現在の若い映画人のあこがれというか、ものすごいカリスマになってますからね。彼の最高傑作のこれが1位になるべきだったと思います。宮崎もほぼ最高傑作だし、アニメであれに並ぶの、ピクサー黄金期の傑作くらいだから良いかなと。5位、6位も手法的にすごく対照的な21世紀作という意味で重要かな。7位はあまりにも謎多きシュール大作で伝説化してるし、8位は、本当は僕なら韓国系の作品の方がバランス取れてる気がしたんですけど、でもヤンも早折で伝説化したからありかな。9位もシリアスものではこれが1番良いですね。イラン系も勢いあるし。コーエンは1作は欲しいのでトップ10は妥当でしょうね。
これ、「良い映画を見たい!」って人にはすごくいいリストで、見る価値のあるものになってるんですけど、同時に「抜け」もかなり多いリストですね。
なにせ
コメディがほとんどないじゃないか!
21世紀って、インディのコメディがすごく評価されていた時代なのに、それが少ししか反映されてないのは、すごく残念ですね。あと、あれだけ「フランチャイズもの」が流行ったご時世なのに、そういうのをはなからバカにしすぎ。それから、時代を代表した役者の顔が見えないのも嫌ですね。だいたい、「マルホランド・ドライヴ」でナオミ・ワッツの相手役やった女優さんの名前、一体何人の人が覚えてるっていうんでしょうね。
以下に、僕が、「この10本は100位に入るべきだったんじゃないかな」というものをあげておきますね。
世界にひとつのプレイブック(デヴィッドOラッセル)
まず、この「世界にひとつのプレイブック」ですね。これ、ロマンティック・コメディという、映画草創期からあるジャンルを、映画文化誕生から100年たった今に先に進めている重要作だと僕は思ってるんですけどねえ。しかもデヴィッドOラッセルは、21世紀で3作がオスカーの監督賞にノミネートされてる重要感とだし、タランティーノも「今、もっとも重要な監督のひとり」と認めている人でしょ。彼の作品が入らないのって、おかしいですよ。加えて、ジェニファー・ローレンスは21世紀を代表する、実際に2年連続で最高額の稼ぎの女優でこの作品でオスカーも取ったこれも時代的に重要な女優ですよ。こtれがダメで、20世紀前半から半ばのハワード・ホークスやビリー・ワイルダーが良い、というのなら、僕には基準がわかりませんね。
サイドウェイズ(アレクサンダー・ペイン)
あと、アレクサンダー・ペインが漏れたのも解せないですね。今、アメリカのインディで流行りの「ドラメディ」に先鞭をつけたの、間違いなくこの人なのに。これとか「アバウト・シュミット」「ファミリー・トゥリー」「ネブラスカ」。誰もトホホなペーソスを織り交ぜた、微笑ましい、脱力感あるんだけど、でも、見終わってなんか生きててためになるようなメッセージ持った、優れた短編小説みたいな文学性もあってね。やっぱ、これが「ミリオンダラー・ベイビー」に勝ってオスカー取っておくんでしたね。そうすれば、もう少し、一般認知があがってたんだと思います。
DRIVE(ニコラス・ウィンディング・レフン)
これも欲しかったんだよなあ〜。これも感覚的にかなり新しいミステリー、サスペンス、アクションものですよね。これだけ静かに抑制効かせたこのテの作品ってなかなかないですからね。今回の投票、マイケル・ファスベンダーはやたら入ってるんですけど、ライアン・ゴスリングがほとんど入ってないのも解せないですね。あの、醒めた目線の中に潜む熱さみたいなものを演じられる、希有な役者なんですけどね。彼はこれから名作増えると思います。
ブライズメイズ(ポール・フェイグ)
21世紀は「ポリティカリー・コレクト」がうんぬん言われる時代ですけど、だったら、この傑作女性コメディは絶対入ってしかるべきです。これじゃなかったら「ミーン・ガールズ」ですね。コメディ映画って、長いこと男性優位な世界だったところなのに、ほぼ女性だけで、ここまで大胆な笑いを取りに来た映画、ないですからね、実際。しかもちゃんとプロット的に人間ドラマとしても良く出来てるし。あと、ここを拠点に、SNLのエース・コメディエンヌだったクリステン・ウィグと、巨漢ながら今やハリウッド屈指の高額女優になって、女優の基準を変えたメリッサ・マッカーシーが台頭した意味でも重要です。あと、21世紀のコメディ・キング、ジャド・アパトウがプロデュースで仕掛けているのもミソです。
灼熱の魂(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
フランス系カナダ人のドゥニ・ヴィルヌーヴも今の世界が注目すべき監督ですね。ミステリー、サスペンスものの監督で、今、ここまで独自のスタイルがあって、斬新な展開の中に社会的な問題の重さを込めれる監督、ほかに知らないですね。しかも、このあとのハリウッド進出後の「プリゾナーズ」にせよ「ボーダーライン」にせよ、いずれも、土のにおいのする感覚が一貫してるのも良いです。彼はもっと大きくなるはずだし、今のうちに代表作を入れておいた方が良いと思いますね。
ロード・オブ・ザ・リング(ピーター・ジャクソン)
いくら映画批評家たちがブロックバスター作を嫌うと言っても、これははずしちゃダメでしょ。スピルバーグでいうところの「インディ・ジョーンズ」をはずすのと変わらない暴挙だし、これとハリー・ポッターが果たした「ファンタジーと連作の2000年代の映画界」のポジティヴな側面を表現した立派な映画だと思うんですよね。立派な文学作品の上に成立し、美術だってすぐれている。「パンズ・ラビリンス」が上位に入っているのにこれはダメっておかしいですよね。
ディパーテッド(マーティン・スコセッシ)
「20世紀の映画の巨匠」で、21世紀も衰えずにすごい人を1人上げろといわれたら、僕は迷わずスコセッシを選びます。彼の作品は「ウルフ・オブ・ウォールストリート」も入っていて、あれも素晴らしい映画でしたけど、オスカーを受賞したこれも文句なしにすばらしい映画ですよ。これまでのスコセッシといえば「ニューヨークでデニーロ」というのが定番でしたけど、「レオでボストン」という、脱ニューヨークで新たなレギュラー・リーディング・アクターで創作の高みに達したのは評価すべきだし、映画そのものとしても、最後まで息の抜けないサスペンスであり、レオ、マット・デイモン、マーク・ウォールバーグ、ヴェラ・ファーミガの演技のぶつかりあいも熱い。実際問題、あるサイトが「21世紀のオスカー作品賞の中でベストなものを選べ」という投票をアメリカのある映画サイトがやったとき、1位になったの、これでしたからね。信じない人はもう一回見て欲しいです。
ゼロ・グラヴィティ(アルフォンソ・キュアロン)
メキシコが誇る「スリー・アミーゴス」も、21世紀の映画を語る際に不可欠です。ギレルモ・デル・トロ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、そしてアルフォンソ・キュアロンですが、キュアロンの場合、「天国の口、終りの楽園」や「トゥモロー・ワールド」が入っているのに、オスカーで7部門で勝利したこの映画が入ってないのって絶対おかしいでしょう。これ、あまりにリアリティのある、21世紀以降を見据えた素晴らしいディズアスター映画ですよ。宇宙映画がファンタジーにならず、もはや現実の人災になりうる作品であることを、たった2人の役者だけで表現した見事な映画だったと今も思います。なんか、世界各国の映画評論家の無意味な「反体制としてのアンチ・オスカー」な姿勢がチョイスに見れるんですけど、無駄な抵抗はやめてほしいですね。
バードマン(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ)
今回、イニャリトゥが一作もないんですよね?なんで??彼も21世紀を代表する重要な監督ですけどね。彼の場合、丹念なドラマツルギーと、キュアロンとシェアしている、現在最高の撮影監督、エマニュエル・ルベスキのカメラワークの2つは特筆すべきところですね。そして、これは、「ミッドライフ・クライシス」を描いた映画として、大ヒットしたテレビ・シリーズの「ブレイキング・バッド」や「ソプラノス」同様に21世紀らしい優れ方をしているし、21世紀のハリウッドの内幕ものとしての完成度も高いです。ルベスキのカメラしか良くなかった「レヴェナント」はともかく、この映画でのオスカーの作品賞と監督賞は評価すべきだと思いますけどね。