RSS | ATOM | SEARCH
今年も1年ありがとうございました。
どうも。


2013年最後の投稿になります。


こちらはまだ大晦日の午前の時間帯なので、まだそこまで実感がないんですけど、さっきテレビつけたら、NHK(引っ越してから契約なくなったと思ってたら復活してた)で紅白やってたので、「ああ、本当にそうなんだなあ」と思った次第です。


ただ、そんな年の瀬に大瀧詠一さんが亡くなったことは非常に残念ですね。追悼文はFBの方で書いたのですが、日本のポップ・ミュージックの礎を、はっぴいえんどの頃から生成して来た貢献者の一人だっただけにですね。これから年明けにかけて、改めてその業績の再評価が進むことになると思います。


では、そういうことで今年はこれでシメます。あえてここは湿っぽくならないように。

 

 
author:沢田太陽, category:-, 22:53
comments(0), trackbacks(0), - -
最新全米映画興行成績
どうも。


大晦日なんですよね。全然そんな雰囲気がこっちにはなく、なんか変な感じです。


では、今年最後の全米映画興行成績、行きましょう(ポスターをクリックするとトレイラーが見れます)。


1(-)The Hobbit The Desolation Of Smaug
2(3)Frozen
3(2)The Anchorman 2:The Legend Continues

4(4)American Hustle
5(-)The Wolf Of Wall Street


6(5)Saving Mr.Banks
7(-)The Secret Life Of Walter Mitty


8(6)The Hunger Games:Catching Fire
9(-)47 Ronin


10(7)Tyler Perrys A Madeas Christmas


上位3作は若干順位が動いただけで大きくは変わっていません。僕としては「俺たちニュースキャスター」の健闘がうれしいです。



5位初登場はマーティン・スコセッシの最新作「The Wolf And Wall Street」。主演は後期スコセッシ作品ではすっかり常連主役のレオナルド・ディカプリオ。これは、ウォール街でカリスマ・ストックブローカーとして活躍したジョーダン・ベルフォートの回想録を映画化したもので、ウォール街の一幕を暴露したコメディ仕立てになっています。かなり山あり谷ありなバブリー人生っぽそうな感じですけどね。


この作品ですが、オスカー候補の一角に数えられているだけあって評判はいいです。Metacriticで75点、Rottentomatoesで76点。多少、賛否は分かれているようですが、まずノミネートは間違いないような気がします。


そして7位は、ベン・スティラー監督主演作の「The Secret Life Of Walter Mitty」。これは、戦前のハリウッドの人気コメディアン、あの谷啓さんのネーミングの元にもなったダニー・ケイの代表作「虹を掴む男」(1947年)のリメイクです。


この映画、当初、監督としてのベン・スティラーの評価の高さと有名作のリメイクということで「オスカーも狙えるのでは」みたいな見られ方をしてましたが、いざふたを空けてみると全然そんなことはありませんでした。Metacriticで46点、Rottentomatoesで48点と、評判はどちらかというと悪いです。そして、実は僕、この映画を映画館で既に鑑賞済みなのですが、その理由はハッキリわかってます。僕もオリジナルを見て知ってる作品でもあったので、正直これは「う〜ん」という内容でした。近いうちにレヴューします。


そして9位で初登場は「47 Ronin」。これはあの日本の赤穂浪士の討ち入りを突如としてハリウッドのビッグ・バジェット・ファンタジー映画に転化させたものです。日本ではこう公開されているのかな。僕はこれはだいぶ前から話を聞いてたし、トレイラーを見た時点で「なんだ、この金の無駄遣い!??」と思ってたし(だいたい、なんだ、このアイディア!)、公開がズルズル伸びてもいたのでダメなんだろうと思ってましたが、やっぱそのようでして、評判は散々。Metacriticで28点。Rottentomatoesに至っては11点ですよ!これはラジーのノミネートにリーチかかったと思います。また、久々の主演作がこれだけコケると、ちょっとキアヌ・リーヴスのこの先の仕事もキツいですね、これは。


さて、レギュラー関係のチャートものは今年はこれでおしまいです。みなさん、今年も1年ありがとうございました。また2014年も変わらず紹介していきますので、よろしくお願いしますね!

 
author:沢田太陽, category:全米映画興行成績, 09:32
comments(0), trackbacks(0), - -
最新全英チャート
どうも。

今年最後の全英チャート、行きましょう!

SINGLES
1(2)Happy/Pharrell Williams
2(1)Skyscraper/Sam Bailey
3(5)Hey Brother/Avicii
​4(8)Trumpets/Jason Derulo
​5(9)The Monster/Eminem
6(6)Somewhere Only We Know/Lily Allen
7(7)How Long Will I Love You/Ellie Goulding
8(15)Roar/Katy Perry
9(10)Story Of My Life/One Direction
10(22)Counting Stars/Onerepublic

ファレルが1位獲得です。今年のファレルはダフト・パンクとロビン・シックの特大ヒットで完全復活状態でしたね。

あとはトップ10入りも、いずれも再浮上組。語ることは特にありません。



では、アルバムに行きましょう。


ALBUMS
1(1)Swings Both Ways/Robbie Williams
2(3)Since I Saw You Last/Gary Barlow
3(2)Midnight Memories/One Direction
4(5)Beyonce/Beyonce
5(4)Right Place Right Time/Olly Murs
6(6)Halcyon/Ellie Goulding
7(14)The Marshall Mathars LP 2/Eminem

8(9)Christmas/Michael Buble
9(8)To Be Loved/Michael Buble
10(10)Direct Hits/The Killers


こっちも特に動きないですね。ロビーはやっぱり本国じゃ圧倒的に強いですね。ビヨンセが3週目でも4位なのもイギリスならではですね。

ホリデー・シーズンに強いブーブレが今週も2枚をトップ10に入れています。


 
author:沢田太陽, category:全英チャート, 04:55
comments(0), trackbacks(0), - -
映画「ドン・ジョン」感想〜だから文系女子はジョーに惚れるんだろうな
どうも。

では、年末映画レヴューの第2弾行きましょう。これです!

Don_Jon_Poster.jpg

ジョセフ・ゴードン・レヴィットがはじめて自ら監督・主演を果たした映画でもあります。「ドン・ジョン」。こちらのレヴュー、行きます。


これはもう以前にも話したことではありますが、僕の周囲、Hard To Explainの女子チームや、HTEをツイートしてくださっている方たちの中で、”ジョー”の愛称で知られる彼は、もう本っ当に抜群の人気がありますね。僕のブログ読んでいただいてる方の中だったら間違いなく一番人気あると思います。以前、彼にフォーカスした記事を書いたことがあるんですが、それも結構長いこと検索数の高い、よく読まれた記事になっていますからね。この映画も見たがっている人、すごく多いんじゃないかと思います。




では、あらすじから行きましょう。ジョン(ジョセフ・ゴードン・レヴィット)は究極のプレイボーイ。体はいつも丁寧にビルドアップされ、刈り込んだヘアスタイルもバッチリとキマってます。そんな彼は、いざ男友達とクラブにでも出かけると、まず口説いて失敗することがなく



このように、その中でもとびきりの美女、バーバラ・シュガーマン(スカーレット・ヨハンソン)でも問題なく夢中にさせることができます。普段、理想の高いジョンではありますが、このバーバラは「極上」と見定めたのか、行きずりの恋では終わらせずにfacebookで身元も確かめて真剣につきあうことにしました。


しかし、そんなジョンには秘密がありました。それは



ポルノを毎晩のように見ては、それで処理してしまうことでした。ジョンにとってはポルノ女優のプロのテクニックこそがl彼をイカせてくれるものであり、どんなに「最高だ」と思って付き合いはじめた女性でも、ポルノを超えたことはありません。


また、同時に一応経験なクリスチャンでもあるジョンは、教会の懺悔の時間にこの趣味についての赦しまで毎回求めてさえいます。




そんなジョンですが、同じく筋骨隆々のプレイボーイ・タイプの父親と、ノリの軽い母親に新しい恋人が出きたことを告げると




バーバラを迎えて一家揃って教会に行くほどでした。

ただ、バーバラは、ジョンの秘密についてなんとなく勘づきます。




一方、夜学の学生でもあるジョンは、そこで出会った孤独な中年女性、エステル(ジュリアン・ムーア)に近づかれます。最初は奇妙に感じるジョンでしたが、やがて・・。


・・と、ここまでにしておきましょう。続きは後ほど。


これですね、

いいとこついてる、と思いました。


最初の方はですね、見てて少し違和感もあったんですよ。なんで、ちょっと前に流行ったMTVの「ジャージー・ショア」に出て来るタイプの、女の子にモテることしか考えないマッチョなバカ男の役を、それとは全く正反対のジョーがやるのか、最初はちょっと掴めなかったんですね。それに、いくら鍛えたからと言っても、それでも体はヒョロヒョロなわけで。正直なところ、この役を演じるにはちょっと無理があるかな、などと思っていました。「同じ役なら、マッチョでも頭の回転が良く、ユーモアのセンスもあるチャニング・テイタムとかの方が良いのでは」と思いました。

しかし!


やはり、この役がジョーでないとダメなことは、終盤になればなるほどわかっていきます!


結局のところ、彼がこの映画を通じて訴えたいことは、ジョンが求めていた女性像やセックス像ではなかったことはハッキリとわかります。


続きは後ほど。

 
author:沢田太陽, category:映画レビュー, 12:13
comments(0), trackbacks(0), - -
最新全米チャート
どうも。

今日はトムにとって初の電車の小旅行でした。と言っても、地下鉄乗り継いで1時間くらい遠くに行っただけなんですけどね。


で、そのあとにメキシカン・レストランに行ったんですけど、1歳8ヶ月になったばかりのトムは、ケサディアを盛った皿を一気に平らげました(笑)。すごい食欲です。彼の父親は、世界でどの料理よりもメキシカンが一番好き(マジで「生まれた国、間違ったかな」ってくらい好きです)なんですが、その遺伝子のなせる技かもしれませんね。顔はもうほとんど似てない感じになってますが(苦笑)。

では、1日遅れで発表されました、今年最後の全米チャート、行きましょう。

SINGLES

1(1)The Monster/Eminem feat Rhianna
2(2)Timber/Pitbull feat Kesha
3(3)Counting Stars/OneRepublic
4(4)Say Something/A Great Big World&Christina Agulera
5(5)Royals/Lorde
6(6)Demo ns/Imagine Dragons
7(9)Let Her Go/Passenger
8(7)Wake Me Up/Avicii
9(8)Wrecking Ball/Miley Cyrus
10(10)Story Of My Life/One Direction


毎年そうなんですけど、年末、チャート動きません。トップ10入りゼロなうえに、6位までは先週と全く同じです。


では、圏外に行きましょう。18位上昇中のこの曲で。

 


Lordeの2ndシングルも、もう18位まで上がってきました。すごいですね!もう、「Royals」だけの一発屋では済まなくなっている上に、前のシングルより神秘的でマニアックなタイプの曲をヒットに導いてるんだから。彼女のこういう現象を見てると「マスだって、まだ良い曲をしっかり求めているんだな」ということが伺えてホッとするものです。トップ10入ってほしいですけどね、これも。

では、アルバムに行きましょう。


ALBUMS
1(1)Beyonce/Beyonce
2(2)Blame It All On My Roots:Five Decades Of Influence/Garth Brooks
3(5)Midnight Memories/One Direction

4(6)Duck The Halls Robertson Family Christmas/The Robertson Family
5(3)Wrapped In Red/Kelly Clarkson
​6(8)The Marshall Mathars LP 2/Eminem
7(9)Prism/Katy Perry
8(10)Frozen/Soundtrack
9(13)Christmas/Michael Buble
10(14)Crash My Party/Luke Bryan


こちらも動きないですね。1月もリリースは例年少ないですから、ビヨンセがしばらく1位かもしれませんね。

ビヨンセ、こっちではもうCDとDVD、売ってるので買いました。楽しんでDVDの方を見てます。

あとはまだ集計期間の関係上、クリスマスものが強いですね。このあたりの盤が来週以降でガタッと落ちるから、そのあたりでチャートが動くでしょうね、きっと。でも、入ってくるのは再浮上ものになるでしょうね。
author:沢田太陽, category:全米チャート, 05:06
comments(0), trackbacks(0), - -
映画「ブルージャズミン」感想〜2008年以降の「欲望という名の電車」
どうも。


まだ全米チャート、正式に出てませんね。記事だけは更新されてたんですが、チャートになるのは明日になるようです。


で、実はレヴューできる映画が4本たまっていたりします。なので、たまり過ぎちゃう前にそろそろレヴューをはじめます。


まずはじめは、こちらです。

220px-Blue_Jasmine_poster.jpg

ウディ・アレンの最新作「ブルージャズミン」、こちらで行きましょう。この映画、主演のケイト・ブランシェットにオスカー主演女優の呼び声が高まっています。




さっそくあらすじから行きましょう。ヒロインのジャズミン(ケイト・ブランシェット)はニューヨークからサンフランシスコへ向かう飛行機の中で、ひとりで自分自身のことについて隣の乗客にひとりで語りかけます。


どうやら彼女、かつては裕福だったようですが、文無し状態になって腹違いの妹のジンジャー(サリー・ホーキンス)のところに行くようです。





そもそもジャズミンは成功していたニューヨークのビジネスマン、ハル(アレック・ボールドウィン)の妻でした。


bj3.jpg

そんなジャズミンは気前良く、シスコに住むジンジャーとその夫を呼びます。2人は貧しいくらしでしたが、宝くじに当たったばかりで、その投資の手伝いをハルに求めました。


しかし、ハルはやがて詐欺罪で逮捕され、ジャズミンもジンジャーも金をすっかり失った状態になってしまいました。しかもジャズミンはハルに不倫をされていたことも発覚してしまいました。


bj4.jpg

そうした過去を吹っ切るべくジャズミンはシスコのジンジャーのところに渡りますが、ジンジャーの新しい恋人である、粗暴で教養のないチリ(ボビー・カンナビル)の行動を蔑んだ目で見ています。


まだ、上流階級気分の抜けないジャズミンは、インテリア・デザイナーになるべく大学に通います。その間、彼女はバイトで歯医者の受付係をやりますが、患者とのコミュニケーションが不起用な上に、雇い主である歯医者にはセクハラまがいに言い寄られ、そのまま引っぱたいてその職を辞めてしまいます。



bj5.jpg

ただ、そんなジャズミンに吉報が舞い込みます。彼女はあるパーティに誘われた際、妻を癌で亡くしたばかりの富豪、ドワイト(ピーター・サースガード)を紹介されます。ドワイトは出版関係の富豪で、将来的に政治家になる野望を持っていました。そんな彼に対しジャズミンは自身の過去を偽り、ドワイト好みの女性像に合わせることで彼の気を惹いて行きます。


bj6.jpg

一方、同じパーティでジンジャーもレコーディング・エンジニアのアル(ルイCK)といい感じになり、激情家で迷惑ばかりかけるチリの代わりに、洗練された雰囲気を持ったこの男性に惹かれていきますが・・・

・・と、ここまでにしておきましょう。


これですね。まず最初からズバリ言いますと


久々に「深さ」を感じさせるウディ・アレン作品だと思います!

たしかに、ここ10年くらいで「マッチ・ポイント」もあったし、「それでも恋するバルセロナ」もヒットしたし、一昨年の「ミッドナイト・イン・パリ」では10数年ぶりにオスカーの作品賞にノミネートもされました。でも、僕個人的に言わさせてもらうなら、それらの作品よりは、こっちの方が手法的、メッセージ的により深いものとなっています。


まず、上のあらすじではわからないと思うのですが、実はこれ、ストーリー自体は必ずしもあらすじの通りではありません。なぜなら、これ、話の順番は実はかなりバラバラだから。これ、話が急に予告もなく、過去に戻り、なんかのきっかけで急にある時点に飛んだかと思ったら、また過去になり、いきなり現在になる・・みたいな感じで話が進みます。

これは俗に言う「意識の流れ(Stream Of Conciousness)」という、20世紀文学で使われる有名な手法で、これを使うことによって、ある人の頭の中の世界を描いたりするのに使われたりするものですが、これをすることにより、見る人がジャズミンやジンジャーの過去をパズルで埋め合わせて行くように能動的に考えながら見ることが出来るので、結構刺激的なんですよね。で、パズルのピース自体が決して難解なものでもないので、つなぎあわせること自体もそんなに難しくもないし。ただ、ジャズミンの過去を最初あえて薄く紹介していたりもするので、後の方になればなるだけ、彼女の実態が浮かび上がって来るような設定にもなっています。

さらに言うと、これはですね



「欲望という名の電車」と、ストーリーがかなり似ています。


「欲望という名の電車」(Streetcar Named Desire)は、アメリカの舞台界ではトラディショナルな戯曲で、映画でも1951年にエリア・カザン監督、ヴィヴィアン・リー主演のものがおなじみですね。この映画版は、ヴィヴィアン・リー自身が実生活で心身バランスを崩したのと映画での役柄が奇妙に一致してしまっていること、そして、まだデビューして間もないマーロン・ブランドの危ういキャラクターが何度も強烈な見せ場を作ることでケミストリーが生まれた作品です。ハリウッドの映画史にも間違いなく残る名演だと思います。


この「欲望〜」も、かつて金持ちだった姉が一文無しの状態になって妹のところに行くも、妹は激情的な夫と荒んだ生活を送っていて、それを姉はすごく蔑みます。で、いつまで経っても金持ちだったころの感覚が抜けきれないまま、金持ちの男性との恋愛に期待をかけますが、その彼女の性格故に・・みたいなお話です。ぶっちゃけ、話、同じでしょ(笑)?


違う点で言えば、今回、「欲望〜」で言うところのマーロン・ブランド演じたスタンリー役にあたるチリがそんなに目立った役ではなく、代わりに妹役の方をすごく際立たせた形にしてることですね。もともと、女性描かせたらかなり上手なウディ・アレンだけに、そちらの方が僕も説得力があったと思います。


そして、今、この「欲望〜」を持ち出すことによって何が説得力あるかと言えば、やはりこれ、2008年の経済危機以降のニューヨークにそのままあてはまるんですよね。たしかにニューヨークになら、2008年以降、「欲望〜」でヴィヴィアン・リー演じたブランチ、今回のジャズミンみたいな女性がかなりの数いるでしょうからね。この60年近く前の戯曲の設定が不思議とピタリと当てはまっているのは奇妙ですが「時代は巡る」という感じですごく興味深いです。きっとウディ本人もそう思ったからこそ、あえて持ち出したのでしょう。


加えて、それがウディのニューヨークに戻っての第1弾作品なのも絶妙です。ご存知の方も多いように、ウディ・アレンは一貫してニューヨークを描き続けて来た人です。それが2000年代に入って以降はニューヨークを離れ、ヨーロッパの観光地を旅行するように映画を撮って来ました。この作風の変化、正直僕には残念だったのですが、きっと本人的にはニューヨークを題材にし続けることで煮詰まったところや、創作のモチベーションが上がっていかなかったところなどがあったのでしょう。それが、「欲望〜」を現在のニューヨークに当てはめることで、今のニューヨークの姿をそのまま表現した、本来彼こそが描かなければならなかった世界が描かれた。ウディが本来描くべきだった世界が強い動機を持って帰ってきたのは大きいです。この感じで、もう少し、今のニューヨークを彼なりの視点で描いてほしいんですけどね。


さらにこれ



ケイト・ブランシェットにとっても大きなターニング・ポイントになりうる役です。

少なくとも、僕がこれまで見て来た彼女の役で、こんなにカッコ悪い役、ないから。彼女って、シリアス系のドラマの、カッコ良くて威厳のある役回りがほとんどでそれがカッコ良かったりするんですけど、今回みたいなドラメディで、しかも情けない役をこなしたことって少なくとも僕の記憶ではありませんね。この人は僕と同い年なんですけど、その年齢でもうかなりの数のオスカー・ノミネーションをされていて、メリル・ストリープの記録を抜くとしたら彼女が最右翼だとも思うんですけど、そうなるためにも、この役柄の拡大は非常に意味があったと思います。で、カッコ悪い役でも、やっぱりカッコ良いんだよね、この人。


個人的には「ゼロ・グラビティ」のサンドラ・ブロックを応援したくはあるんですが、ここまでの演技をケイトにされてしまっては、たしかになかなか難しいかもしれませんね。

あと、個人的には



ジンジャー役のサリー・ホーキンスも良かったんだよね。彼女はマイク・リーの映画の出身で、コメディもドラマも両タイプこなせる人なんですけど、そういう意味でウディ・アレンとは間違いなく相性いいはずなんですよね。「ハンナとその姉妹」のときのダイアン・ウィーストみたいな味わい。この人なら出せそうな気がします。今後もウディ作品に出てほしい女優さんですね。


そんな感じで、この映画、後期ウディ作品の中でも人気は高くなりそうなんですが、オスカーのノミネートはどうやらケイトだけになりそうな雲行きです。中途半端に「ミッドナイト〜」が久々にオスカー絡みの映画になってしまっていたから、「もう、それで充分でしょう」という感じなのかな。映画としては「カイロの紫のバラ」の焼き直しだった「ミッドナイト〜」(それはそれでおもしろくはあったんだけど)「ミッドナイト〜」よりはずっと意味のある作品だと思うんですけどね。
author:沢田太陽, category:映画レビュー, 11:33
comments(0), trackbacks(0), - -