どうも。
本当は、全日程終わって書くつもりだったんですが、明日のはじまりが比較的遅いのと、タイトルにも書いたように、ヘッドライナーのキラーズのライブに終わったあともすごく興奮してるので、今書いちゃいますね。
ロラパルーザ・ブラジル1日目(3/29)
13:15 オルジェル(Holger)第2ステージ
到着して最初に見たのは、ブラジル国内のバンドのオルジェル。こっちのインディ界隈では3年くらい前から話題だったので1度見てみたかったバンドでした。タイプとしては、ブルックリンのインディが好きそうな感じというか、ヴァンパイア・ウィークエンドとイェイセイヤーを足した感じと言うか。ブルックリンじゃないけど、初期のフォールズみたいなトロピカルなポストパンクでしたね。ただ、歌がすごい下手なんだよな。ライブ自体は結構良かったです。
14:15 アグリドーシ(Agredoce)第1ステージ
これは、こっちですごく人気の女性ロックシンガー、ピチィが組んだ別ユニット。この人自体は国内チャートで1位取るくらいの人気者だし、このユニットのアルバムも売れてるんですけど、「ブラジルのエヴァネッセンス」みたいな売り出し方だった初期のイメージが嫌われて、音楽性徐々に変わって良くなってるのに過小評価されてるんですよね。このプロジェクトもその対策によるものと思うんですけど、昨今のUSのインディ系シンガーソングライター調のアレンジと、ちょっとかすれて味のあるピチィの歌いっぷりは良かったです。ただ、過小評価と、国内ものに妙に厳しいブラジルの欧米ロック・ファン気質があって、人の数はチャート順位を考えたら不思議なくらい少なかったです。
15:15 オブ・モンスターズ・アンド・メン 第2ステージ
この日、期待していたアクトのひとつ。彼らのCDはこちらでもリリースされてるし、ラジオでもよく流れているんですが、基本、昼までの人の出足が鈍いブラジルのフェスではめずらしく、いきなり超満員になり、さらに、出てくるときの歓声がバカデカかったですね。ものすごい期待値の高さです。
「ベル&セバスチャンとアーケイド・ファイアの間みたいな存在」だと思っていたんですが、音のイメージの印象はそこまで変わんなかったんですけど、バンドのキャラクター面では、全然違いますね。もっとナッナとラグナーのフロントの権限は平等かと思ってたんですが、完全にナッナ主導なんですね。このテのバロック・ポップで女の子主導というのがまず珍しい。で、ラグナーも力のあるSSWなんだけど、地味で損してるのをナッナがうまく拾い上げてますね。2人の別のソングライターがそれぞれに違う世界観を気づきつつ、同一グループで違和感ないのがまず光りました。
あと、バックでアコーディオンからトランペットから太鼓まで叩くおねえさんがすごく気になりました。「あ〜、この人も華があるなあ〜」と思って後で調べたら、この人、正式メンバーじゃないんですね!もったいない!今すぐメンバーに昇格させるべきですね。バンドにとっての決定的な武器になりえます。加えて、他の野郎たちの演奏がうまい。これ多分、「レイキャビク一うまい人たち」を集めて作ってると思います。
曲的には「Mountain Song」でも合唱起こってましたが、なんと言っても「Little Talks」。この日、ロラパルーザが最初に団結した美しい瞬間でした。
あと、以前はサイドカットのロングヘアでエッジィなロックねえちゃん風の風貌だったナッナは、手櫛で流したボブになってましたね。僕、こっちの方が好きです。で、このコ、やっぱかわいい(笑)。基本的にすごく活発な感じで、最後、ステージダイブしようとしてコケてやめてたのが微笑ましかったですね(笑)。
このバンドはまだ化ける力持ってると思いますね。
16:15 テンパー・トラップ 第1ステージ
続いてオーストラリアのテンパー・トラップ。デビューのときからとにかく演奏はやたらうまい人たちで、目つぶって聴けば、「ベンズ」の頃のレディオヘッドとかMUSEに近い線の見事なスケール感なんですけど、いかんせんルックスが・・。ぶっちゃけ、目つぶって聴くと、すごくカッコいいんですけどね。
ヴォーカルのダギー・マンタギなんてメタル・バンドで歌えそうなくらい高音きれいに伸ばせるし説得力はあるんですけど、バックのスキンヘッド野郎も加えて、どうも顔がオッサンくさすぎる。もっと顔出しなしで「(500)日のサマー」で「Sweet Disposition」が使われたように、もっとオシャレ露出を増やすのが得策でしょうね。
で、この後は休憩はさみながら、17:00CAKE(第2ステージ)、17:15クリスタル・キャッスルズをチラ見。CAKEは昔フジロックかなんだかで見て以来。ヴォーカルの人のルックスがおじいさんみたいになってましたね。ブラック・サバスのカバーやってたのに驚きました。あと、クリスタル・キャッスルズは、アルバムは良くなってるんですけど、やっぱこういうライブで見ると、まだマス・アピールは正直弱いですね。ファッションショーのランウェイのBGにはすごく機能的だと思うんですけど、一本調子になりやすいところはそのままかなあ。
18:15 フレーミング・リップス 第1ステージ
実はかなり意欲的なライブでした。それは、新作「The Terror」のリリース直前の、初お披露目ライブだったから。僕自身は彼らのライブを見るのは2009年のサマーソニック以来4年ぶりでしたが、それまで何度も見てるライブはどれもこれもすごく満足してたので、かなり楽しみに臨んだつもり・・・
だったんですが!
いや〜、結論から言ってしまうと、正直、ものすごくガッカリでした。いくらなんでも、これ、暗すぎでしょう。しかも、彼らのコアファンにだけ向けた空間のライブだったらこれでもいいと思うけど、フェスみたいな不特定多数を相手にする場で、ダークでアヴァンギャルドな誰も知らない曲を延々と演奏されても、それはちょっと・・・。それに今までは「変態だけど多幸的」な感じが良かったリップスなのに、そこがなくなってしまうとは・・・。おしまいの方に「Yoshimi Battles The Pink Robot」とか「Do You Realise」みたいなおなじみの曲やってましたけど、今回は新作にあわせたヴァージョンで、ヨシミにあったファンタジックな躍動感は損なわれてましたね。加えて、これまでの彼らのライブで不可欠だった「Race For The Prize」がセットリストになかったのはかなりショックでしたね。
実はうちのワイフにとって、これがリップスのライブ初体験だったんですが、露骨に嫌な顔してきて、「我慢できない」というので一緒に退場して、大映しになったモニター超しに残りは鑑賞してました。こういうとこ、欧米人って遠慮なく正直ですからね。
で、その間、休憩場所の近くには”第6ステージ”みたいなところがあって、そこでは素人ロックのど自慢が司会者と生バンドつきで行われていて、見ててやたら笑えました。クソ音痴(笑)からプロ真っ青までの人が、ビートルズやキラーズ、ブラジリアン・ロックのド定番名曲などを好き勝手に歌ってました(笑)。
20:00 パッション・ピット 第3ステージ
同じ時間に第2ステージではデッドマウ5がやっていてそちらも見たかったんですが、迷った末に、まだ1度もライブを体験できていなかったパッション・ピットを選びました。ブラジルには1度来てるんですけど、そのとき見損ねてました。
この人たちの場合、演奏うんぬんのタイプでは全くない、とにかくセンスのバンドなので、そこの冴えを見てましたが、やっぱ、彼らの場合、キーボードのカウンター・メロディが印象的な曲が本当に映えますね。「Take A Walk」「Sleepyhead」「Little Secrets」などを含め、エレクトロ界隈では屈指の名曲ですからね。
パフォーマンス自体は特別なことをやるわけではなく、マイケル・アンジェラコスが猫背で高いしゃがれ声で一生懸命ひたすら歌うというものでしたが、この人たちの場合、「曲を聴かせること」そのものがキーなバンドなので、その誠実な演奏ぶりには好感持てましたね。
アルバム2枚の現時点としては十分合格点のライブだと思いますが、今後の成長への課題としてあげるならば、現在の「必殺パターン」、つまり、「キーボードのリフ・メロディ」に引っ張るのに頼らない形での新たな代表曲の存在が欲しくはありますね。そうすれば、ショウの多様性はさらに上がっていくと思います。
21:30 ザ・キラーズ 第1ステージ
そして、ヘッドライナーのザ・キラーズですが、この日の彼らに対しての期待値は昼間の時点でかなり高かったですね。あちこち見渡してもキラーズTシャツの人であふれてましたから。キラーズ人気がうかがえない日本では考えられない光景ですごくうらやましくなりましたね。
そして開始前には、もう第1ステージの前にすし詰め状態。右側から客観的に見てましたが、壮観でしたね。公式発表では5万2000人で、去年の7万とか6万より少なかったんですが、体感として、去年の発表の方が嘘ですね(この国ではよくすること。去年が初回だしね)。初日はともかく、2日目より少なかったことはありえないから。それくらいギッシリでしたね。時間が経つたびに人の群れがドンドン前に前に集まって来ました。
そして21:35分、ザ・フーの「Eminence Front」をBGにしてキラーズが登場。のっけから最大のヒット曲「Mr.Brightside」で華やかにショウはスタートしました。
ブランドン・フラワーズはジャスティン・ティンバーレイク同様の50s風7・3リーゼントになっていましたが、まあ〜、このブランドンの歌唱力の飛躍的な上昇言ったら!声の伸び、太さ、音域、全てにわたって格段に上手くなってましたね!彼らのライブを見たのは6年ぶりでしたけど、その間の数多くのヘッドライナー・ライブで徹底的に鍛えられたんでしょうね。
そしてフェスを意識してか、ライブは「決め曲」で次々攻撃。各アルバムからのシングル曲の連打連打。加えて、新作からの非シングルの曲にはポルトガル語で「今夜、僕たちはきみたちのものだ」などと語りかけたり、コール&レスポンスを煽ったり。一番ウケたのは、「この曲で絶対に踊ってほしい。ダンシング・シューズは忘れてないだろうね」と言った瞬間、ブランドンの足下のダンシング・シューズをモニターがうつして湧いたとこですね。ものすごいサービス精神。ほとんどクイーンのフレディ・マーキュリーばりですね。
そして、曲のアレンジも進化してましたね。「Somebody Told Me」はスラッピング・ベースの長いイントロがついたものに変わっていたし、「For Reasons Unknown」ではブランドン自らがリード・ベースを弾く(ギターうまくないの本人わかってますからね、笑)見せ場をつくり。
さすがにこれだけ煽りゃ、会場が合唱にならないはずがなく、アンコール前ラストの「All These Things I've Done」やラストの「When You Were Young」の盛り上がりは圧巻でしたね。
最新作の「Battle Born」をあまり気に入ってなかった僕ですが、いや〜、さすがにこれだけ圧巻の、ヘッドライナー以外にありえない完璧なショウを見せられると全く不安は残らなかったですね。ものすごい成長ぶりです!ビックリしましたね。ヒシヒシと感じたのは、ブランドン・フラワーズの、「大きなショウ」というものに対しての徹底したプロ意識と責任感の高さですね。これがこのバンドを大きく成長させる原動力となっていると思います。シンセを使った、個人プレイがそこまで期待できないタイプのバンドのライブとは思えない、力技で圧倒する、今まで聴いたことのないたぐいのものでしたね。過去に彼らのライブは4度見てますが、これまでの記憶が全く参考にならないほど、別人レベルのライブでした。
このリアリティが日本に場所を変えて見てみたくなったなあ〜。