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ニューヨーク映画批評家協会賞発表とインディペンデント・スピリット・アワードのノミネート
 どうも。


先日、「ナショナル・ボード・オブ・レヴューがオスカー最初の前哨戦」と書いたばかりですが、こっちの方が先に出てしまいましたね。


ニューヨーク映画批評家協会賞


他のアワードより、ややエッジのあるチョイスをする傾向の強い映画賞なんですが、作品賞に輝いたのはコレでした。




The Artist!


オスカーにまぎれたフランスの無声映画、取りましたね〜。よりによって「英国王のスピーチ」の配給を手がけたワインスタイン・カンパニーがバックアップというのが個人的にあんまり良い気はしないのですが、少なくとも「英国王〜」よりは斬新でクールな感じがするので、僕的にも非常に楽しみな作品です。


ニューヨーク映画批評家協会賞、その他の部門の結果はこんな感じです。


最優秀監督:ミシェル・ハザナヴィシウス(The Artist)
最優秀主演男優:ブラッド・ピット(マネーボール&ツリー・オブ・ライフ
最優秀主演女優:メリル・ストリープ(The Iron Lady)
最優秀助演男優:アルバート・ブルックス(Drive)
最優秀助演女優:ジェシカ・チャステイン(ツリー・オブ・ライフ&The Help&Take Shelter)


非常に面白い結果だと思います。まず




ブラッド・ピットの受賞、個人的には祝福したいですね。なんかジョニー・デップと比較して、最近あたかもピットにヒットがないような言い方をする人が意外と多いんですけど、この10数年、ちゃんとした作品選びをしてたのは圧倒的にピットの方です!もっと「ファイト・クラブ」とか「ジェシー・ジェイムス」の頃にそういう評価されるべきだったと思いますが、ようやくその眼力がこの2作の批評的な評価で正当に評価された感じですね。申し訳ないけど、デップってこの10年でジャック・スパロウと過剰化するだけのティム・バートン・キャラ以外に何かありました?昔好きだっただけに、ここはどうしてもこだわります。


そして、「ツリー・オブ・ライフ」でピットの奥さん役をやったジェシカ・チャステインが、「The Help」「Take Shelter」と、3本もアワード絡みの作品があることも後押し材料となり助演女優賞受賞ですね。この人、まだ20代後半で、本格的ブレイクは本当に今年なんですよね。これから大女優化しそうな予感大です。


そして主演女優は、まだアメリカでも見ている人がかなり限られている、イギリスのサッチャー首相の伝記映画「The Iron Lady」からメリル・ストリープ。この人、もちろんオスカー最多ノミネートの記録保持者(15回!)なんですが、受賞自体となると、実はもう30年近くないので、そろそろ受賞あっても良いと思いますよ。これまでオスカーは主演と助演1回ずつですが、5回くらい取っててもおかしくない人だもの(笑)。



続いて、インディペンデント配給の映画対象のインディペンデント・スピリット・アワードのノミネートもありました。こんな感じです。


最優秀作品
50/50
Beginners
Drive
Take Shelter
The Artist
The DescendantsD


ここでもオスカー最有力の呼び声高い「The Artist」と「The Descendants」が争ってますね。ジョセフ・ゴードン・レヴィットの「50/50」は大健闘だと思います。これ、見たいのに、なんでブラジル来ねえんだ?あと、ライアン・ゴスリングの「Drive」も評判相変わらずいいですね。「21世紀の未知との遭遇」の呼び声高い「Take Shelter」、そしてゴッサム・アワードを受賞したイギリス映画「Beginners」と、前評判通りのノミネートだと思います。


最優秀監督
ミシェル・ハザナヴィウス(The Artist)
マイク・ミルズ(Beginners)
ジェフ・ニコルズ(Take Shelter)
アレクサンダー・ペイン(The Descendants)
ニコラス・ウィンディング・レフィン(Drive)


最優秀主演男優

ダミアン・ビシール(A Better Life)
ジャン・ジャルジン(The Artist)
ライアン・ゴスリング(Drive)
ウディ・ハレルソン(Rampart)
マイケル・シャノン(Take Shelter)

なんと「The Descendants」のジョージ・クルーニー落選!


最優秀助演男優
アルバート・ブルックス(Drive)
ジョン・ホークス(Martha Mercy May Marlene)
クリストファー・プラマー(Beginners)
ジョンCライリー(Cedar Rapids)
コーリー・ストール(Midnight In Paris)

ニューヨーク批評家協会賞受賞のアルバート・ブルックスと「息子よ。実は父さんはな、ゲイなんだぞ!」という「はあ?」な役柄を演じた「Beginners」のクリストファー・プラマーが一騎打ちの様相ですね。「Beginners」、マジで見たいんだよなあ〜。あと、「Midnight In Paris」ってインディ扱いなの?


最優秀助演男優
ジェシカ・チャステイン(Take Shelter)
アンジェリカ・ヒューストン(50/50)
ジャネット・マクティアー(Albert Nobbs)
ハーモニー・サンタナ(Gunhill Road)
シャイリーン・ウッドリー(The Descendants)

ジェシカ・チャステイン、ここでも強いですね。「The Descendants」のジョージ・クルーニーの娘役の子、強いですね。


最優秀外国映画
A Separation(イラン)
メランコリア(デンマーク)
Shame(イギリス)
The Kid With A Bicycle(ベルギー)
Tyranosaur(イギリス)


これ楽しみです!ニューヨーク映画批評家賞の同部門受賞の「A Separation」に、ヨーロッパ映画賞をリード中の「メランコリア」に、マイケル・ファスベンダーがヴェネツィアの男優賞を受賞した「Shame」にダルデンヌ兄弟のカンヌ特別グランプリ受賞の自転車少年。見応えあります!


という感じです。明後日のナショナル・ボード・オブ・レヴューが楽しみになってきました。


author:沢田太陽, category:映画, 10:21
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最新全米映画興行成績
どうも。


今週は実はこのブログとして伝えないといけないことがたくさんです。そちらで言う12/1にはグラミー賞のノミネートの発表があるし、翌日にはオスカーの本格的な最初の前哨戦であるナショナル・ボード・オブ・レヴューの結果も出ます。そう考えると、なかなか大変です。


そんな慌ただしさは、今日のブログにも象徴されています。



と言うことで、火曜日恒例、全米映画興行成績、行きましょう(ポスターをクリックするとトレイラーが見れます)。 



1(1)The Twilight Saga :Breaking Dawn Part 1
2(-)The Muppets



3(2)Happy Feet Two
4(-)Arthur Christmas


5(-)Hugo


6(4)Jack And Jill
7(3)Immortals
8(5)Puss In Boots
9(10)The Descendants
10(6)Tower Heist


先週に引き続いて1位は「ブレイキング・ドーンPart1」。先週は1億3800万ドルというとてつもない数字でしたが、その3分の1以下に数字が落ちたとは言え、それでも4100万ドル
という、ビッグ・バジェット映画の初登場1週目並の数字というのはすごいですね。



それに続いて2位となったのは、これまた2900万ドルという高得点で「The Muppets」ですが、いや〜、これは僕的には本当に楽しみな一作です!


もともとシリーズ自体が人気カートゥーンであるというのもそうですが、人間側の主役を張るのが



ジェイソン・シーゲルとエイミー・アダムスという時点で最高すぎます!


幼い頃からマペットを愛し、信じ続けた夢見る男に巨体でボーッとしながらもユーモアとハートに溢れたジェイソンはピッタリだし、そんな夢見がちな男を支えるキャラとしてエイミーは完璧。この2人の配役については去年の今頃から知っていましたが、やはり絶妙だと思います。


ストーリーは、主人公が幼い頃に愛したマペットの劇場が悪徳実業家に買い取られ、それをマペットたちと取り返すコメディ…という話みたいですが、これは批評的にも大絶賛の声が高いです。Metacritic採点では、このテのコメディとしては最高部類に入る76点。Rotten Tomatoesに至っては98%ですよ!これ、この週に限らず、クリスマス・シーズンのあいだずっとヒットしそうな気がします。


そして、これ、今週末、僕の国でも公開されます!とにかく、「ポルトガル語吹き替えのみ」という、去年「塔の上のラプンツェル」がやった、愚かな子供客対策だけは心の底からやめていただきたいです。頼むから!



そして4位は意表をついたクリスマス映画「Arthur Christmas」。これも話聞くからにかなり面白そうです。これは、サンタクロースの息子、アーサーの物語。現代のサンタ・クロースは、コンピューターで子供たちのリクエストをデジタル・インプットしたハイテク作業。元気な高齢化社会に生きるサンタは引退などするそぶりも見せないため、欲深いアーサーの兄、スティーヴは自分が世襲できないことに苛立を覚え、そしておっとりして心優しいアーサーは、人々からの心のこもったものこそを信じ…。


…と言った、なかなかに気が利いた、現代らしいおとぎ話。これ、トレイラーを見てもらってもわかるようにコッテコテのイギリス映画で、主役のアーサー役の声はジェイムス・マッカヴォイ、兄のスティーヴに「Dr.ハウス」のヒュー・ローリー、サンタにジェームス・ブロートベント、さらにサンタの親父にビル・ナイ…と、英国TV/映画界の重鎮たちが勢揃いしております。


そんなこともあり、これも評判が良くMetacritic採点では68点。Rotten Tomatoesに至っては92%!ほとんどの人が満足出来る映画のようです。



そして5位ですが、巨匠マーティン・スコセッシ期待の新作「ヒューゴの不思議な発明」。これは、1930年代のイギリスを舞台にした児童文学「Hugo Cabret」を映画化したもの。発明好きの少年ヒューゴがパートナーの女の子と共に、謎のおじさんからもらった不思議なパワーで冒険するお話なんですが、も〜う僕としては注目は俄然コレですね!




やっぱクロエ・モレッツしかいないでしょう!


今回、この役を得るに際して、クロエは特訓したブリティッシュ・アクセントで臨み、スコセッシ自身がイギリス人だと本当に勘違いしたという逸話まで残しています。そう考えると、この子、本当にすごいよね!


この映画ですが、オスカー・ノミネートの期待がここに来てグンと高まって来ていますが、それもそのはず、Metacriticでは83点、Rotten Tomatoesでも96%と、状況としてはノミネートされてもおかしくないものとなりましたね。


そしてオスカーの期待がかかる作品も次々と限定で公開されています。


まずはじめは、やはりこれでしょう!




このブログでも既に何度か紹介しているフランスの無声映画「The Artist」。まだ全米限定4館のみの公開ですのでそこまで話題になっていませんが、Metacritic採点では早速87点と、オスカー・ノミネートはほぼ当確でしょう。


続いて




現在の若手女優ナンバーワンの呼び声もすっかり高くなったミッシェル・ウィリアムズの新作「My Week With Marilyn」。写真でもわかるようにマリリン・モンローの、しかも全盛期の時代だった頃の彼女の私生活を描いた作品。この写真でも十分想像出来ますが、このなり切りぶりは見事だと思います。


こちらはMetacritic採点では68点と、作品賞を狙うには難しい点ですが、昨年に続く主演女優賞ノミネートは十分ありえると思います。




続いて、鬼才デヴィッド・クローネンバーグが描くユングとフロイトという、20世紀最大の精神学者の半生を描いた「A Dangerous Method」。オスカー前哨戦のさらにその前の映画祭で思った評価が得られず、それもあって「作品賞ノミネート戦線」から離脱したという向きが多いですね。Metacritic採点も74位と、そこまでよくはありません。


ただ、演技賞のノミネートに関しては、ヴィゴ・モーテンセン、マイケル・ファスベンダー、キーラ・ナイトリーに可能性があると言われています。


…と、今週はエラく盛り上がったアメリカ映画界でした。


そして、こうして待ってる間に、「インディ映画のアワード」、ゴッサム・アワードの結果が出ました。作品賞に輝いたのは


「ツリー・オブ・ライフ」と「Beginners」!


正直、あまりオスカーの行方を左右するような結果ではないですね。「ツリー・オブ・ライフ」に関して言えば、ナショナル・ボード・オブ・レヴューでどういう結果になっているかで、状況は少し変わって来る気もしないではないですが。

author:沢田太陽, category:全米映画興行成績, 10:06
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最新全英チャート
どうも。


さきほどブラジリアから自宅へ戻りました。これがサンパウロ以外のブラジルを体験する初の機会でしたが、楽しいと同時に勉強にもなりましたね。未来はどうなるかはさっぱりわからないですが、少なくとも自分の意思では生活拠点をここに置くつもりでいるので、いろいろ学ぶうちの最初のステップなんだなと改めて感じた次第でもあります。


では、行きましょう。月曜恒例、全英チャート。

 

SINGLES

1(1)We Found Love/Rihanna feat Calvin Harris
2(-)Dance With Me Tonight/Olly Murs
3(2)Good Feeling/Flo Rida
4(-)Levels/AVICII
5(4)Earthquake/Labrinth feat Tinie Tempah
6(-)Down For Whatever/Kelly Rowland feat The Wavs
7(5)Lego House/Ed Sheeran
8(7)Moves Like Jagger/Maroon 5 feat Christina Aguilera
9(12)Take Care/Drake
10(-)Nothing's Real But Love/Rebecca Ferguson


さすがに年度末会計のギリギリゆえに、各レコード会社が出しておきたかったものがここに来てドドーンと出た感じですね。


1位リアーナは変わらずですが、2位で初登場は2009年の「X Factor」の準優勝者、オリー・マーズ。2ndアルバムからの2枚目のシングルです。得てしてこの番組は、番組の結果通りに出世しないことの方が多いんですが、この人も、優勝者だったジョー・マッケルダリーよりも売れてますね。


そして4位で初登場はスウェーデンのDJ、AVICII。読み方わかりません(笑)。でもスウェーデンもスウェディッシュ・ハウス・マフィア以降、すっかりクラブ大国ですね。こっちでもうすぐデカいクラブ系のフェスがあるんですけど、スウェディッシュ・ハウス・マフィア、ニュー・オーダーおさえてヘッドライナーですからね!



そして6位は、ケリー・ローランド。アルバム「Here I Am」からの6枚目のカットとなりますが、この人も実は「X Factor」絡み。現在この番組のUK版の審査員やってるんですよね。ただでさえ「ビッグ・イン・UK」の傾向は強かった彼女ですが、これで決定的になった気がします(笑)。


そして10位もこれまた「X Factor」絡み。昨年の準優勝者のレベッカ・ファーグソン。渋いストリート・フォーク系の女性シンガーで、同じシーズンの3位だったワン・ダイレクションほど盛り上がりは感じませんが、地味に人気を獲得しそうな感じです。


今日はトップ10だけで4つ動画使っちゃったので、アルバムに行きましょう。


ALBUMS

1(-)Talk That Talk/Rihanna
2(-)Up All Night/One Direction
3(1)Christmas/Michael Buble
4(-)Greatest Hits/Westlife
5(-)50 Words For Snow/Kate Bush
6(2)Jukebox/JLS
7(4)Mylo Xyloto/Coldplay
8(7)+/Ed Sheeran
9(8)21/Adele
10(-)Here And Now/Niclelback


1位はリアーナ、予想通りです。売り上げ自体は16万枚とそこまで大きくなかったですが、それでも貫禄の1位と呼んで良いと思います。


ここでせっかくなんでリアーナ聴いていただきましょう。

 


アルバムからのタイトル・トラックの「Talk That Talk」。この曲もシングル・チャートで今週25位初登場でした。


2位はシングルで結果を出していたワン・ダイレクション。相手がリアーナと手強かったのですが、それでも2位は立派です。


4位はウエストライフ。これ何枚目のベスト盤?そして5位は、ケイト・ブッシュの今年2枚目のアルバムにして純粋なニュー・アルバム。ここ2〜3枚のアルバムの沈黙の空き方が長かったので、こんなに活発になられると逆に違和感あります。そして10位はニッケルバック。アルバムごとに必ず1曲、1年近くチャートに入る演歌的ヒットで知られる彼らですが、今回のアルバムからはそれが生まれるか?


さて、今週はリアーナがシングル、アルバムの両方を制したわけですが、全英チャートにおいて、それを年に2度、違う組み合わせで達成したのは(その前がシングル「What's My Name」とアルバム「Loud」)1972年以来の快挙なんだそうです。今日はそれを39年前に達成したアーティストの曲でシメることにしましょう。これだったんですね!僕も知ってかなりビックリしてしまいました。

 


いや〜、カッコいいなあ、Tレックス。ちなみに詳細を言うとシングル「Metal Guru」とアルバム「Bolan Boogie」、この「Telegram Sam」とアルバム「Electric Warrior」という組み合わせだったようですよ。

author:沢田太陽, category:全英チャート, 08:13
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伝説のロック・シティでもあるブラジリア
 どうも。


今日はブラジリア観光をしてました。ブラジリアとはこんな街です。




この写真だとわかりにくいかもしれないんですが、この街の政府や公共、教会関係の建物はすべて20世紀のモダニズム・アートで作られてるんですね。ブラジリアというのは、1960年に作られた人工的な首都ということもあり、モダンさを意識して建造されたわけです。今日は、左下の教会で写真を取ったし、他の建物も車窓から全部バッチリ見えました。これは、ブラジルが誇る伝説的建築家、オスカー・ニーマイヤーによって設計され、それをもとに驚くほどの計算で作られました。まあ、それがあまりにも計算されすぎたのか、使った金も非常に膨大なもので、それがブラジルを以後20年近く経済的に苦境にも追い込むわけですが(苦笑)、しかしこの、まさに”アート”が街の空気を作り上げたと呼んでもいい唯一無二の都市設計がゆえに、ブラジリアは都市として世界遺産にも選ばれています。



そして、カルチャー的にもブラジリアは大きな貢献をしています。そう、ブラジリアはブラジルのロック史上に残るとても重要な街なのです!


ブラジルという国のカルチャーを引っ張るのは、やはり南部、というか、南米を代表する大都市であるサンパウロとリオ・デ・ジャネイロ、もしくは北部最大の都市のサルバドール(バイーヤ)です。ブラジリアというのは、そのどちらでもない中央の方に位置する都市で、文化的には”外様”な感じなんですね。だけど、外様であるがゆえに、メインストリームなリオやサンパウロにはない独創的なことも出来るわけです。…ということで、「主流に逆らう」ということで、ロックやパンクのメンタリティには非常に適していたわけです。


ということもあり、1980年代のブラジルで起こったロック・ムーヴメントで最大のバンドとなったのがこのバンドです。




このブログでも過去に何度か紹介してますレジァオン・ウルバーナ。このバンドはブラジルのここ数10年のカルチャーを語る上で非常に重要です。軍事政権の統治が終わり、若者たちが言いたいことが言えるシチュエーションが訪れ、それを「ロック・イン・リオ」という一大イベントで後押しされた1985年というタイミングは、ブラジルという国がロックで自己主張をするのに絶好のタイミングでした。そのタイミングで求められたのは、時代的にはパンク〜ニュー・ウェイヴで、そのサウンドに乗りながら社会的なメッセージを同時に発せられるカリスマだったわけです。それにはこのレジァオン・ウルバーナほど最適な存在はいなかったわけです。

 


これらに代表される楽曲を1985〜87年にかけてことごとくチャートの上位に彼らは送り込みます。牽引者となったのは、まるで哲学者のような風貌の小柄のメガネ男、ヘナート・フッソ。曲を聴いてもらっておわかりだと思うのですが、すごくU2やザ・スミスを意識したサウンドなんですけど、この人自身がマイク・スタンドに花をさしてクネクネ踊りながら歌います(笑)。ただ、当時のブラジルではダントツだった音楽的な先進性に加え、国民意識を昂揚させる社会的な歌詞。それがあれば、時代を制すのも十分納得です。



そして、このレジァオン・ウルバーナに少し遅れてデビューしたのが、このバンド。




最近の写真になってしまいますが、このキャピタル・イニシアル。このバンドはイケメンのヴォーカリストのジーニョ・オウロ・プレット(右から2番目)が看板のバンドではあるのですが、それよりも大事なことは、ベーシストとドラマーがこれ以前にレジァオン・ウルバーナのヘナート・フッソとバンドを組んでいたことです。


そういうこともあり、彼らの初期のヒットはヘナート・フッソと一緒に書いた曲でもありました。

 


これもカッコ良い曲です。「Fatima」。この曲を皮切りにキャピタル・イニシアルも人気バンドのひとつの仲間入りを果たしますが、ただ、この頃の人気で言うと、レジァオン・ウルバーナが1番人気のバンドだとしたら、キャピタル・イニシアルが6〜10番目くらいの立ち位置だったと言っても過言ではありませんでした。


しかし、運命のめぐりあわせが不思議な偶然を呼び起こします。90年代に入ると80sのロック人気が嘘のように萎んでしまい、トップ人気だったレジァオン・ウルバーナでさえ苦戦する日々でした。そして96年、ヘナート・フッソがエイズによって急逝してしまい、レジァオン・ウルバーナはその歴史に幕を閉じてしまいます。


これはブラジルのロックにとっては大きな損失でしたが、その後の期待を託されたのが、既に人気が失墜していたキャピタル・イニシアルでした。彼らは2000年にブラジルMTVの「MTV Unplugged」に出演してライブ・アルバムをリリースしたところ、これが80年代当時の人気をも凌ぐほどの大ヒット。それ以降、オリジナル音源も次々とヒットを重ね、気がつけば80sブラジリアン・ロック勢の中で最大の人気バンドになっていました。


そして、こういう立場になっても、キャピタル・イニシアルのレジァオン・ウルバーナへの友情と感謝の気持ちは途絶えたことはありません。それは、レジァオン・ウルバーナの最大の代表曲であるこの曲をライヴで必ずと言っていいほど、もはや、彼ら自身のオリジナルのように歌い続けていることでも明らかです。

 


「Que País é Esse」。直訳すると「なんだこの国は!」という意味の、きわめてブルース・スプリングスティーン的な愛国的自国批判アンセムで、ブラジル・ロック史上に残る重要な1曲です。これ、こないだの「ロック・イン・リオ」でも演奏されて非常に盛り上がってました。歌の前のMCでブラジルの腐敗政治家にこの曲を捧げていたのも印象的でした。


そしてつい最近なんですが、こんなドキュメンタリー映画もありました。




その名も「Rock Brasilia」。あ〜、これ見に行っておけば良かったな。その名の通り、ブラジリアのロックに関してのドキュメンタリーで主要になるのはもちろんレジァオン・ウルバーナとキャピタル・イニシアルなんですが、それともうひとつ、当時、この2バンドの真裏に隠れることになった裏カリスマ・バンドのプレーベ・フージというバンドがあるのですが、今日はこのバンドの曲でシメましょう。


このプレーベ・フージは、まさに「ブラジリアの裏カリスマ」として君臨してるバンドで、「上の2つよりもさらにパンクっぽいバンドだった」と、うちのワイフも言っていました。そう聞いて「へ〜」と思っていたら、つい先日決定した、来年4月のロラパルーザ・ブラジルに出演することも決まっています!では、そんな彼らの曲で。

 

author:沢田太陽, category:ブラジル, 10:34
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ブラジリアに着きました。
 どうも。


ちょっと接続が悪いところにいるので、また後で書きますが、ブラジリアにつきました。


では、手短に、後ほど。

author:沢田太陽, category:-, 10:54
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最新全米チャート
どうも。


明日からブラジリアに旅行してきます。中学・高校の地理の時間に「ブラジルの首都は?」という質問で覚えさせられたところです(笑)。ただ、こちらでも、そう強調しないと忘れられがちなところです。都市の規模で言うと、多分、「5位以下10位以上」な感じなので。


でも、ブラジリアはすごく特徴的な街で、世界遺産にもなっているところなので、そのことをまた語ろうかなとも思います。


では、金曜恒例、全米チャート、行きましょう。


SINGLES

1(1)We Found Love/Rihanna feat Calvin Harris
2(2)Sexy And I Know It/LMFAO
3(3)Someone Like You/Adele
4(4)Without You/David Guetta feat Usher
5(9)It Will Rain/Bruno Mars
6(5)Moves Like Jagger/Maroon 5 feat Christina Aguilera
7(8)Good Feeling/Flo Rida
8(6)Stereo Hearts/Gym Class Heroes feat Adam Levine
9(-)Take Care/Drake feat Rihanna
10(15)The One That  Got Away/Katy Perry


また、上位変わらずの傾向ですね。上位4つが先週と変わらずです。


9位、10位は今週初のトップ10入りですね。9位はドレイク。ニュー・アルバムの評判がほんとうに抜群に良いんですが、これはその中からリアーナとの共演。


10位はケイティ・ペリー、アルバム『Teenage Dream』からの第6弾シングル。PVで何をやるかもすっかり楽しみになってきたケイティ。今回は自ら老け役を演じ、「永遠の愛」を体現しています。


では、 圏外行きましょう。今週は惜しくもトップ10入りを逃し、11位初登場だったこの曲で。

 


「Glee」の曲がここで貼れるのって前あったっけ?以前は結構厳しかったんですけどね。シーズン3になってあまり話題を聞かなかった「Glee」ですが、アデル・ウィークはさすがにウケたか、かなりのハイ・ランクで入って来ましたね.特に「Rumour Has It」はアルバム中もっともパンチのある曲で、アデル自身もシングルでは出して来てない曲だったので、いい線ついたのではと思います。


では、アルバムに行きましょう。



ALBUMS

1(-)Take Care/Drake
2(2)Christmas/Michael Buble
3(5)21/Adele
4(-)Concerto: One Night In Central Park/Andrea Bocelli
5(6)Under The Mistletoe/Justin Bieber
6(-)Glee:The Music:Christmas
7(3)Now 40/Various Artists
8(4)Twilight Saga:Breaking Dawn Part1/Soundtrack
9(8)Mylo Xyloto/Coldplay
10(7)Someone To Watch Over Me/Susan Boyle


ドレイクが予想通りナンバーワン。売り上げは63万枚。今年に入ってレディ・ガガ、リル・ウェインにつぐ高い数字となりました。


そんなこともあり、今週はドレイク・ウィークということで、シングル・チャートにも18位でもう一曲ドレイクの曲が入っておりました。その曲をここで行きましょう。

 


もともと「リル・ウェインのレーベルからデビュー」という肩書きが利いてたドレイクですけど、そのうち立場が逆転しかねない勢いとなっています。


あと4位にはイタリアの盲目セミ・クラシック・シンガー、アンドレア・ボチェッリのライヴ・アルバム。6位には、やっぱひところより勢い落ちて来たかな。「Glee」のクリスマス・エディションが入って来ています。


ちなみに先週初登場1位だった新人ラッパーのマック・ミラー、今週はなんと24位にダウン!そこまで激しく1位がダウンしたのって記憶にないですね。



さて、今日のラストですが、日付はちょっとずれちゃったんですけど、11/24はかのフレディ・マーキュリー20回忌となります。本当は記事にして別個に書くべきだったかもしれませんが、逆にフレディともなると思い入れがありすぎて、止まらなくなる可能性もあったので、今のところはこれだけで行かせてください。


フレディが亡くなった日のことはよく覚えてます。大学3年のとき、月曜日だったんですけど、文化祭の出店の撤収作業のあと、サークルの友人2人と川崎のボーリング場に行った帰りに、そのうちの1人がそのまま僕の家に泊まりに来るはずだったんですね。で、いざ僕のアパートまでついてテレビつけたら、テレビ神奈川で追悼番組をやってて。その直後、サークルの先輩から電話がかかって来て、泣きそうな勢いで話していたら、気をつかった友人がそっと帰って行った…。昨日のことのように覚えてます。


クイーンは僕にとっては最初に好きになった洋楽アーティストで、最初にライブを見に行ったアーティストでもありました。もちろん、アルバムも全部(ポール・ロジャーズをカウントしないならば)持ってるし。そんなこともあり、ちょっと一言では語り尽くせません。


ここでの一曲は、ちょっと悲しくはあるけど、フレディ生前最後の名アンセムだと思います。これを残して世を去ったのは、さすがは稀代の名エンターティナー、フレディたるゆえんでさえあると思います。もちろんこの曲です。


 


author:沢田太陽, category:全米チャート, 08:56
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