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映画「スパイダーマン:スパイダーバース」感想 アメコミに回帰しての旅立ち

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どうも。

 

約束通り、映画評ですが、今回はこれです!

 

現在も世界的な大ヒットであるのに加え、オスカーのアニメ部門にもノミネートされた「スパイダーマン;スパイダーバース」です。すでに実写のスパイダーマンがシリーズとして存在しているのに、これをあえてアニメでやるというのは、どういう意図があったのでしょうか。

 

早速あらすじから見てみましょう。

 

本作の主人公は黒人青年のマイルス・モラレスです。彼はスパイダーマンに憧れる高校生ですが、警察官の父親はスパイダーマンをすごく敵視しています。

 

ある日マイルスは、叔父アーロンと共に、寂れた地下鉄の駅にグラフィティを描きに行きましたが、そこで放射能を浴びた蜘蛛に噛まれてしまいます。

 

これで特殊な能力を身につけたマイルスでしたが、それをコントロールできずに、せっかく上手くいきそうだった高校で気の合う女の子、グウェン・ステイシー相手にヘマをやる始末。ただ、そんな矢先、マイルスはスパイダーマンが戦いに敗れ、瀕死の場面に出くわします。マイルスは死にそうになっていたスパイダーマンこと、ピーター・パーカーからUSBスティックを受け取ります。

 

 

「ピーター・パーカーは死んだ」。ニューヨーク、そしてマイルスが悲しみにくれます。マイルスは「自分がスパイダーマンになろう」と決心しますが、その矢先にもらったUSBが壊れ、そこから別ヴァージョンのピーター・パーカー、パーカーBが現れます。そのピーター別ヴァージョンは、ピーターを殺した敵、キングピンことウィルソン・フィスクの野望を知ります。

 

 

それを阻止しようと、マイルスとパーカーBが動きますが、その過程でマイルスは、自分の他に、たくさんのスパイダーマンが異次元で存在していたことを知ります・・。

 

・・と、ここまでにしておきましょう。

 

これはですね

 

原作はありまして、マーヴェル・コミックから2014年に刊行された「Spider Verse」をもとにしています。マーヴェルの中ではかなり新しい原作となります。

 

それを

 

「LEGO MOVIE」などで精鋭ぶりを発揮しているクリエイター、フィル・ロードとクリストファー・ミラーがプロデュースを担当しているのですが、これ、まず

 

カッコいい!

 

 

まず、ストーリーそのもの以前に絵がかっこいいですね。アニメの場合、通常の映画以上に絵のアイデンティティが重要視されるものだと思うのですが、この映画の場合、CGと、昔ながらのアメコミの手書きの、新旧の合わせ技が新鮮ですね。それプラス、この写真でもわかるように、コミックの歴史をリスペクトした形で多面的なキャラクターを出してきているのもクレヴァーな感じがしましたね。

 

あと、ストーリーそのもののポリティカル・コレクトな感じも評価できますね。これ、「Xメン」を60年代に作っていたマーヴェルならではだと思うんですよね。「Xメン」のプロフェッサーXとマグニートの二人がマーティン・ルーサー・キングとマルコムXをモデルにしたというのは有名な話ですが、それから約50年して、今どきの黒人青年を、ここまで大きくなった会社の作品の主人公に据えるというのもいい。この主人公マイルスに合わせて、音楽をトラップにしてあるところとかも最新な感じでいいとは思います(90s末の「マトリックス」みたいに音楽の風化が早い可能性はありますが)。

 

 そして

 

 

ピーター・パーカーが年取ってつかれたキャラクターというのもユーモアがありますね。これもなんかポリティカル・コレクトに、最近の白人男性の社会における位置を示したような感じですね。でも、なんで、こういう顔に?このヒゲの剃りあとの青さだと、モリッシーとか、長嶋茂雄みたいですけど(笑)。

 

 さらに、僕がこの映画を気に入っている理由として、マーヴェルがここにきて今一度アメコミの原点に立ち返っていることですね。前にもこれは書きましたが、マーヴェルって、ライバルのDCに比べて大きく立ち遅れていた歴史があるんですね。設立年度からして大体差があったし、テレビのカートゥーンに進出したのも、映画で上手く行き始めたのも、すべて遅れをとってましたからね。それがここ10数年でようやく追いつき、近年ではヒットの数も批評的な評価でも上回るようにもなってきた。

 

映画でもかなり深い表現ができるようになってきたマーヴェルではありましたが、そんな今だからこそあえてコミックに立ち返ることがあってもいいのではないか。そういう感じだったんじゃないかな。アメコミにしかできない、アメコミだからこそ表現可能な表現もあるんじゃないか。そういう気持ちがあったからなのか、今回のこのアニメからは、すごく初期衝動的な実験的なトライが感じられ、そこがすごく好感が持てますね。

 

で、そんなタイミングで

 

マーヴェル総帥、スタン・リーが世を去ったのも、運命的なものを感じさせます。この映画がおそらくは最後の、おなじみのキャメオ出演でしょうね。

 

この映画、前哨戦から強かったですけど、オスカーのアニメ部門でも受賞がかなり有力視されています。その背後には、こうしたアメコミへの原点回帰の姿勢がクリエイティヴな側面から評価されたこと。そして、リーへのセンチメンタルなオマージュを捧げたくなるからじゃないでしょうかね。

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 22:08
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