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沢田太陽の2018 年間ベスト映画 Top 10

どうも。

 

 

では、昨日のポストで予告したように、映画の年間ベストをやろうかと思います。

 

 

今まではですね、映画はあんまりやる気なかったんですね。というのはやはり、映画って国によって公開時期が全然違うし、日本とブラジルでも全然違う。で、僕の場合、今年は子守が忙しかったこともあって、家から遠い短館系でしかやってない、ヨーロッPやアジア系の映画をたくさん見損なっていて、そこもすごく悔いが残るところなんですよね。

 

ただ、今年の場合、幸いだったのは、「いい映画がたくさん思いつくくらいにあった」ということなんですよね。

 

では、今回はささっと行きましょう。トップ10はこんな感じです。基準はブラジルでの2018年の公開に合わせています。

 

 

こんな感じでした。

 

では、今回はカウントダウン的に手短な言葉でササッと行きます。

 

10.ブラックパンサー

 

 

10位は、もう世界のどこでも大ヒットした「ブラック・パンサー」ですね。これに関しては、もう、「黒人にスーパーマンは演じられない」とするハリウッドで100年くらい前からある定説を、黒人のアート美学と現状の最高の黒人映画スタッフを集結させて、最高の形で覆した意味でもう歴史的に大きいですね。マイケル・ジャクソンの「スリラー」の時みたいな高揚感があります。そのオーラがあるから多少の映画的なアラも許せちゃうほどのカリスマティックな勢いがあります。ただ、外せない作品ではありつつも、今年リリースのブラック・ムーヴィーでは僕のトップではなかったですね。なので、この位置です。

 

9.アリー/スター誕生

 

 

9位は現在日本で公開中ですね。「アリー/スター誕生」。これはレディ・ガガとブラッドリー・クーパーの想像を超える高い歌唱力と演技力に多くの人が釘付けになってますけど、僕的には、何度も映画化された定番作なのに、そこにLGBTや人種の問題といった今日的なソーシャル・イッシューのエッセンスや、今日のアメリカの音楽業界に対して一石を投じるリアリティ溢れる批評性を感じさせる点ですごく計算された、「今の時代に生きる古典」として息吹が吹き込まれたのがいいですね。この「解釈の力」によって、これ、傑作になってしまっていますね。

 

 

8.Love,Simon

 

 

8位は「Love,Simon」。これは軽いタッチで描かれた青春映画ですけど、ティーン・ムーヴィー好きとしては入れたい一作。これは主人公の少年が、葛藤がありながらも徐々にゲイであることをカミング・ストしていく作品で、メールのやり取りで心を惹かれた「カレ」を探し求めるお話。その、たどり着くまでの過程がひねりがあって退屈させないし、その間に起こる友人たちとの対立のシーンなんかを見ていると、「それこそ、青春らしい姿だよね」と微笑ましくなります。普遍的な要素も強くありつつ、新鮮さが感じられるのが良いですね。

 

 

7.レディバード

 

 

7位は「レディ・バード」。これは昨年の映画賞でも多くの賞をとり、オスカーでも高く期待された作品でしたね。”インディの女王”、まだ35歳に成ったばかりの女優、グレタ・ガーウィッグのほぼ自伝的な内容の。遠隔地の大学に行くことになる女の子の18歳の日常を描いた作品なんですが、もう、それこそ誰にでも起こりうるような話を、主演のシアーシャ・ローナンの説得力溢れる演技と、話のユーモア、人生教訓に溢れた深い言葉さえあれば、日常の些細なことで立派なドラマになりうることを証明した意味ですごく大事な作品だし、こういう日々のディテールから何から鋭くかぎとること自体に今後の「物語作り」の将来がかかっているのだなと強く思わされました。

 

 

6.犬ヶ島

 

 

6位は「犬ヶ島」。今年、というかここ数年は、まだ息子と娘が小さいので彼ら用の映画を多めに見ている時期なんですが、その中でも結構良いの多いんですよ。ピクサーの「リメンバー・ミー」、つい先日見た「メアリー・ポピンズ・リターンズ」、そしてギャグ・アニメ「ティーン・タイタンズGO!」まで良かった(笑、マジです)んですけど、やっぱり1作選ぶならこのウェス・アンダーソンの奇妙な一作でしょうね。この、黒澤明と、「AKIRA」と第二次世界大戦を奇妙にミックスさせた、子供向けの作品という(笑)。で、しかも犬の話というね。どうやったら、こういうの思いつくんだろうなあ。ウェスに関して言えば、新作があるたびに子供に映画館で見せ続ける監督になるでしょうね。ただでさえ、ワイフが「ラシュモア」以来の大ファンでもあるので。

 

 

5.フロリダ・プロジェクト

 

 

5位は「フロリダ・プロジェクト」。アメリカの新型のプア層の現状を描いた作品としては、フランシス・マクドーマントの「スリー・ビルボード」がパッと上がりやすいんですけど、どうもコーエン兄弟のモノマネ感が引っかかるそれよりは、僕は断然こっちの方が好きなんですよね。自分の住宅が持てず、安モーテルで違法の商売でその日暮らし。しかも幼い子供もいるのにドラッグまみれの生活。これがアメリカの現実なのかと思うとリアルにゾッとさせられるわけなんですが、キュートな、まだ7歳くらいの女の子のヒロインの、まだ何も知らない純粋無垢さがこの映画の救いだし、「これが、そのうち汚される瞬間が来るんだなあ」と思うと怖くもある作品でしたね。

 

 

4. The Hate U Give

 

 

 

4位は「The Hate U Give」。これは日本ではまだ未公開の映画ですが、素晴らしいです。今年は「ブラック・パンサー」を筆頭に、おそらくは25年ぶりくらいに黒人の意識の高揚を目的とした映画が目立った年なんですけど、この中でこれは、今の黒人の最新の現実を描いた作品として見逃せませんね。これはヒロインの幼馴染の青年が、白人警察官から乱暴な取り締まりを受け、誤解されて射殺された事件のあと、不利な裁判展開が予想される中、まだ未成年のヒロインが抗議運動を起こす話なんですが、こういうのを見ていると2012年のトレイヴォン・マーティン事件が黒人コミュニティにとっていかに傷跡の大きな事件だったかがうかがえます。25年くらい前に「ボーイズ・ン・ザ・フッド」と云う似たヴァイブの黒人青春映画の名作があったんですけど、思い出しましたね。そしてヒロインを演じるアマンドラ・スタンバーグの成長ぶりが嬉しい。あの「ハンガーゲーム」にでてた小学生の女の子、順調に成長してますよ。

 

 

3.ファントム・スレッド

 

 

3位は「ファントム・スレッド」。ランクインしている映画はやっぱり最近の時勢を反映してソーシャル・イッシューを扱ったものが多くなりがちなところは自分でもあるんですが、ポール・トーマス・アンダーソンの映画がすごいなあといつも思うのは、彼は逆にそういう類の映画を一切作らないところですね。時代を無作為に選んで、ただある人の人生のストーリー・テリングを行う。で、その話の中に「一体、何が言いたかったのだろう」という想像の余白を見る人に必ず残して、100人100様の感想を抱かせる。この、1950年代の、一流デザイナーの不思議なラヴ・ライフを描いた一作も同様ですね。本当にイン対策になるのかはわからないですが、現代の名優ダニエル・デイ・ルイスは「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」以来のPTA映画でのケミストリーを見せていますが、その奥さん役の、静かな笑みを浮かべながらも実は怖い奥さん役の女優さんがすごくきになる映画でもありました。あと、アートワークの豪華絢爛さが優雅で目に眩しい作品でもありました。

 

 

2.ブラック・クランズマン

 

 

2位は「ブラック・クランズマン」。3本目のブラック・ムーヴィーなんですが、僕がそもそも黒人映画好きになったキッカケというのが他でもない、スパイク・リーの影響なんですよね。「ドゥ・ザ・ライト・シング」、「ジャングル・フィーヴァー」、そして「マルコムX」。大学生の時に見たこれらの映画を通じて、僕はヒップホップや60s、70sのクラシック・ソウルにもずいぶん凝ったものでしたけど、そのスパイク・リーが、久々にその得意の主題に真正面から戻ってきたのはやはり嬉しかった。しかも、「ブラック・パワー」の70年代前半の時代で、彼が本来得意とするえげつないブラック・コメディだったのが嬉しかったですね。黒人なのに電話で姿を偽ってKKKに入党し、代わりに親友のユダヤ人をKKKアジトに送って、その行動をスパイさせる。基本的にすごく笑えるのに、最後の方はどこかゾッとしてしまう。この味こそ、スパイク・リー・ジョイントです。ファンとしてこう言う映画を本当に何年も見たかったです。しかも主人公、そのスパイク・リー映画の主演常連の一人だった、かのデンゼル・ワシントンの息子でもありますからね。ただ、スパイクがこう言う映画を作らないといけない時は、黒人差別の問題があるという意味でもあるので、そこはちょっと複雑でもあるのですが。

 

 

では1位に行きましょう。これです!

 

 

 

1.君の名前で僕を呼んで

 

 

1位は「君の名前で僕を呼んで」。今年はいい映画、多かったんですけど、もう、これは自分の中で別格の位置を占めますね。これはLGBT映画というよりは、イノセントな少年の心情を描いた美しき青春ロマンティック・コメディであり、うるわしき文学作品でもありますねこの表現、何度か使っているんですけど、名作小説家つ映画の「ベニスに死す」の美少年タジオが別のタジオを見つけてその美しさに魅了されるような作品ですね。あと、舞台となったイタリアの片田舎の風光明媚な美しさと、所々にオブジェで出てくる帝国ローマ時代の石造彫刻の肉体的な凛々しさが、このゲイ・ロマンスを美しく盛り立てるのもいい。さらに言えば、これ、1983年が舞台というのも絶妙なんですよね。なぜなら、この年にエイズの症例が初めて世に発表されているわけで、ゲイたちがそういうことを恐れず(もちろん別の社会的な恐れはあったはずですが)に男を愛せた最後の時代でもあったわけで。しかも、ティモシー・シャラメ扮する主人公がこの映画でミドル・ティーンの設定のはずなんですが、僕とまんま同世代でもあるんですよね。その意味で、なんか自分にとってはどうしても避けて通れないものがあったというかね。劇中でかかるサイケデリック・ファーズの「Love My Way」が僕の1983年の日本での生活で巷でかかりこそしませんでしたけど、「時代の雰囲気」を彩る意味で違和感は全くないし、自分の中2時代を思い出して、劇中でこれが耳に入るとゾクゾクッとなったものでした。もう、これは何度見てもいい、「人生の100本」入りした映画ですね。

 

 

 

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 12:16
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