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沢田太陽の2018 年間ベスト・アルバムTop50  40-31位

どうも。

 

 

グラミー賞のノミネート発表が延期された関係で、こちらの発表、繰り上げます。2018年間ベスト・アルバムTop50。今日は2回目ということで、40位から31位までをやりますが、こんな感じです!

 

 

 

こんな感じになりましたけど、それぞれどういうアルバムなんでしょうか。早速40位から行きましょう。

 

 

40.Black Panther/Soundtrack

 

 

40位は「ブラック・パンサー」のサントラ。

 

もう、映画の方が、もう長きにわたって「黒人にはスーパーヒーローの役は演じられない」と映画史がはじまって以来100年くらい言われていたことを、マーヴェルという一大フランチャインズに乗って、それを記録的なセールスを伴う形で覆すという、歴史的快挙を成し遂げました。今やもう、「オスカーの作品賞ノミネート、あるか」というところまで来ています。映画そのものも、今現在最高の黒人の役者陣に加え、アフリカ伝統芸術にまで連なるアート感覚を最大限に表現していましたが、その「黒人カルチャーとしての最高を目指す」姿勢は、このサントラにも相通じていたと思います。現在最高のラッパー、ケンドリック・ラマーを中心に、今日のR&B・ヒップホップのクリエイティヴ面においてのオールスター・チームを集結させた点において、これまた非常に有意義でした。さらには南アフリカのラッパーたちを参加させて、「魂の故郷」であるアフリカとの連帯を示せていたところも見逃せません。90s前半以来に再活性したブラック・カルチャーの最盛の象徴の一つとして、長く解釈されるものになるような気がします。

 

 

39.Vide Noir/Lord Huron

 

 

39位はロード・ヒューロン。

 

知ってる人、少ないと思うんですけど、実はこれ、今年の全米アルバム・チャートのトップ10に入っているアルバムです。彼らはLAを拠点としたバンドで、2010年代前半のインディ・フォークの時代に運良くメジャー・レーベル契約するのに成功しています。そういうこともあり、売り方がいかにもメジャー流のやり方で、ティーンが好んで見そうなテレビ番組の挿入歌とのタイアップで人気を上げていきました。とりわけ有名なのはネットフリックスの「13の理由」ですね。こう言う感じの売り方だったがために、インディ・ロックの音楽メディアから相手にされない傾向が強かったんですが、「なんでこれがトップ10に?」と思って聞いてみたら、これが意外と面白いんですよ。このアルバムなんて、プロデュース、デイヴ・フリッドマンですからね。古くはフレーミング・リップスとかモグワイ。それからMGMTのファーストの。彼がロード・ヒューロンを使って、エコーとかバリバリにかけまくって、すごくサイケデリックでガレージなサウンドを駆使して、このバンドのコンフォート・ゾーンをかなり刺激して大胆になっているんですよね。「ドラマで流れる、ちょっと気になるバンド」以上の価値のある存在に、このアルバムでなれているような気がします。

 

 

 

38.Trench/twenty one pilots

 

 

38位はトウェンティ・ワン・パイロッツ。

 

レーベル・メイトのパニック・アット・ザ・ディスコが、現在のトラップを主体とした今日の流行りに自分を近づけることで新たな支持を獲得するのに成功したのとはまったく逆に、彼らは前作での、ちょっとチャラチャラした感じを自ら戒めるように、あえて硬派に作ってきましたね。ソングライティングのチームにミュートマスのポール・ミーニーを迎え、想像以上にバンド色を強くしたサウンドに仕上げてきました。昨今、もうホワイト・ラッパーも珍しくない世の中だから、世のトラップ・ブームに乗りでもしたらそこそこ成功したような気もしますが、彼らはそういう安易なことを選択せずに、自分たちの基本であるヒップホップ・バンドに立ち戻った感じですね。それでいて、従来の「バンド+ヒップホップ」にありがちな、パンクやメタル的なフォーマットに流れるわけでもなく、あくまで「これからのミクスチャー・ロック」を模索するような真摯さが伺えたことは好感が持てます。それにしても去年のパラモアもそうだし、今年のパニック!と彼らもそうだけど、フュールド・バイ・ラーメンのバンドたちが予想以上に個性的に成長していってますね。10年ちょい前のエモ・ブームの時は「キッズに媚びてセルアウト」した印象もあって好きじゃなかったんですけど、ブームを超えてからの生き延び方が良いと思います。

 

 

37.Ordinary Corrupt Human Love/Deafheaven

 

 

37位はデフヘヴン。

 

彼らは数年前から「インディ界隈で盛り上がっているメタル・バンド」として注目されていましたね。確か、これの前々作の時に聞いたことがあって、その時は「僕にはちょっと・・」というタイプのバンドでした。ただ、今作を聴いてみて、これまでのファンの方にはわからないですが、「いい意味でだいぶ聴きやすくなったな」という印象で一気に好感度上がりましたね、僕の中で。この人たち、楽曲の構築能力はすごくスケール感が大きくて美しいです。なんか初期のレディオヘッドとかピクシーズを聞いてるみたいで。歌がデス声で入ってくるまでは全くメタルには聞こえませんからね。サビになると、言葉になってないデス声で叫ぶんですけど、7分から10分強あるドラマティックな曲展開があるおかげで、その声とのコントラストがやがて心地よくなるから不思議でもあります。彼らのような音楽性を「ブラックゲイズ」っていうみたいですね。その昔、例えばモグワイとかゴッド・スピード・ユー・ブラック・エンペラーみたいなバンドが日本のインディ界隈ではやったことがあった時に、「ファンの言ってるカタルシス、なんかメタルっぽいんだけど」と思っていたんですけど、なんかそれが拡大成長した感じですね。なんとなくですけど、今後さらにわかりやすくなって、彼らかそのフォロワーがメジャー化しそうな予感がしてます。

 

 

36.KOD/J.Cole

 

 

36位はJコール。

 

彼は昨年(というか一昨年の12月)のアルバムも20位台に入れているんですが、それに続いての2年連続のランクインです。Jコールというのは、アメリカだと「魂に来るエモーショナルなラップをする」ということで「ケンドリックの次の実力派ラッパー」とも言われる人なんですが、これまで作品発表がメディアの注目しにくい12月に多かったことや、「ラップはうまいんだけど、サウンドがプレイ・イット・セーフ(無難)」とか言われて、なかなか正当な評価されてなかったんですよね。今回、ようやくそれを挽回するチャンスとばかりに4月にリリースして、最初の週にはSpotifyでのストリーミングの記録も作ったんですけど、今度は「説教しすぎ」というので批評的には高くありません。でも、成長は確実に感じさせるんですけどね。彼、トラックメイカーでもあるんですが、ジャジーでソウルフルなその路線はさらに本格的に磨かれているし、スピードにも横ノリにも余裕で対応出来るラップのスキルもさすがだし。中でもすごいのは、「フィーチャリング・ラッパー」まで自分で演じてしまうことですね。彼、前々作からゲストを一切呼ばないアルバムを作り続けているんですが、今回珍しくゲスト入りかと思ったら、それが本人だったという(笑)。こう言う今時珍しい、ギミック一切なしの頑固なガチンコ・ラッパー。もっと注目されてしかるべきです。

 

 

35.A Star Is Born/Soundtrack

 

 

35位は「アリー スター誕生」のサントラ。

 

これも「ブラック・パンサー」同様、エンターテイメント性と批評性が両立した作品で、今日を代表するポップ・ミュージックが大活躍する映画ですよね。そういう作品が年に2本も出たところは2018年の特筆すべき点の一つなので入れてみることにしました。ただ、やはり音楽ものの映画ということ、その現在の音楽界の描き方が絶妙ゆえに、順位はこちらの方がやはり高くつきますね。これ、「ガガの今」を代表する作品としての魅力もさることながら、同時にブラッドリー・クーパーの声を表向きに使って、今のオルタナ・カントリーのいきの良さをしっかり大衆にアピールできているとこなんて絶妙な目の付け所です。今の世の中、オーディエンスの数で行ったら、こう言うロッキンなカントリーの方がインディよりもアリーナにはフィットしますしね。そしてやっぱりガガね。彼女が、演技でも歌でも「下積み」「注目される瞬間」「ソロとしてのスターダム化」をしっかりと演じ分け、歌い分けしている器用さには驚かされますね。元来、ピアノ一本で歌わせても十分に迫力を持って聞かせられる人でそこもしっかりアピールできている上に「ガガとはちょっと違うアリー」というフィクショナル・キャラクターを演じるのに、「自分の薄口ペルソナ」に合わせた曲もちゃんと器用に作れるしね。この二つの全くタイプの違う音楽性を一枚で堪能できるのもすごくお得感があります。

 

 

34.Hope Downs/Rolling Blackouts Coastal Fever

 

 

34位はローリング・ブラックアウツ・コースタル・フィーヴァー。

 

イギリスやアメリカがパッとしなくても、オーストラリアという国からはいいバンド、出てきてます。去年、ここで20位以内に入れたギャング・オブ・ユースとか、来年あたりでてきそうなキング・ギザード&リザード・ウィザードとかあるんですけど、この非常に長い名前のRBCFもその一つですね。メルボルン出身のこの5人組は、イメージとしては80sの初頭にMTVとかで地味に流行ってた、文系のパワー・ポップっぽいギターバンドって感じですね。ギタリストが3人いるんですけど、この3本のギターがいずれもシャープで厚みはないんですけどスリリングでカッコよく、この3本の絡みがメインのメロディと同じくらいの効果を持ちます。「久々にギター・サウンドをメインに聞かせるバンド」として評判かなりいいですね。年間ベストでも、とりわけイギリスの早耳のメディアのものではかなり上位に入ってきています。ちょっとルックスに華がないのと、「ここからロックが変わりそう」という感じのカリスマ性がないのがやや物足りなくはあるんですが、でも、そこそこはシーン活性化のために活躍してくれるんではないかと期待しています。

 

 

33.Little Dark Age/MGMT

 

 

33位はMGMT。

 

今年「カムバック賞」を誰か一アーティストにあげろと言われれば、僕は迷わずMGMTにあげたいですね。もうね。待ってました、こういうアルバム作ってくるの!2008年に名作ファーストを作り上げて「Time To Pretend」「Electric Feel」そして「Kids」とヒットさせて一躍「インディの寵児」としてもてはやされましたね。セカンドの出る、2010年の期待値なんてかなりの高まりぶりでしたけどね。ただ、「スターダム」というものを極度に恐れすぎたのか、あるいは学生気分の延長でやってたところにあまりにも成功が早く来すぎてしまったからなのか、彼ら自身がそれについていくことができなかったのかな。妙にヘンテコリンなアルバム作って、やる気なさそうにライブしたりしてね。見ててなんか「幼いなあ」とまで思って歯がゆかったんですが、30代も半ばになってようやく腹をくくったか、自分たちにポップなメロディ書くセンスがあったことを急に思い出したように、すごくメロディックな、ファースト以来の好アルバムを出してくれました。タイトル曲とか「Me And Michael」(ユーロビートみたいなセンスが絶妙!)とか、ようやく先の3曲に並ぶ曲が出てきてね。こういうのがセカンドの時に出てたら今頃はフェスでもヘッドライナーの大物になってたと思うし、それを考えるともどかしくもあるんですが、ここから取り戻していただきたいです。

 

 

32.Premonitions/Miya Folick

 

 

2位はミヤ・フォリック。

 

ミヤはLAを拠点に活動する女性アーティストで、母方は日系人ですね。彼女はすごく美人で、ファッション的にもモードな感じの短髪だったりしたことから、今回デビュー・アルバムを出す1年以上前から、先物買の音楽メディアでは結構話題になってましたね。僕も今年の初めくらいには顔も名前も知ってたので。で、10月にようやくアルバムが出たんですけど、いやあ、すごい才能ですよ、この人。サウンドは割といまどきよくあるといえばあるエレ・ポップ風ではあるんですが、もう、なんといっても声ですよ!かなり高いファルセットをここぞという時に思い切り伸ばすことができる、かなりレンジの広い歌が歌えます。これ、予想ですけど、彼女、EDM系のDJからフィーチャリングで声がかかるにも時間の問題でしょうね。「次の時代のSia」くらいにはすぐなれそうな気がしてます。あと、歌詞のセンスもなかなか面白いものがあります。「あからさまにバカな人のidiosyncrasy(アホさ加減)について語るのはだいたい嫌い」とか「あなたのバスルームで頭を剃って髪をかき集める」とか、他で聞いたことのないようなセンス持ってます。もっともっと注目されてしかるべき人ですよ。

 

 

31.Dirty Computer/Janelle Monae

 

 

31位はジャネール・モネエ。

 

どうやら世間一般では、このアルバムが今年のナンバーワン・アルバムのようですよ。Album Of The YearだとかMetacriticが今年のメディアが出した年間ベストを整理して順位をつけているんですが、これが1位ですから。ほとんどのメディアでトップ10入ってますしね。彼らが言うには「プリンスにオマージュを託し、LGBTに対してのポジティヴな強いメッセージを発した」というのが評価のポイントのようなんですけど、でも、言わさせてもらうと、「でも、それって去年のセイント・ヴィンセントのMasseductionとテーマ、まるっきり同じだよ」って言いたいんですけどね。そういうことがあったので僕の評価、低いんです。ジャネールもヴィンセントも友人同士なので同じ意識強いと思うんですけど、だけど、ちょっとあまりに似すぎて聞くときに複雑になるんですよね。彼女はデビューの時から大好きですが、ファーストとセカンドほど感動は正直しなかったです。でも、とはいえクオリティはやはり高いし、リリックが今回はグッときます。中でも「この戦いは一人ではダメ。みんなで戦おう」「私の国を持って行かないでよ。私の国は私で守る」とトランプのアメリカに苛まされた人に勇気を与えるラストの「Americans」はやはり圧巻です。

 

 

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 09:13
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