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沢田太陽の2018 年間ベスト・アルバムTop50  50-41位

どうも。

 

では、沢田太陽の2018年間ベスト・アルバム。今年もやりましょう。

 

 

まず今日は、50位から41位を紹介しますが、下の写真のような感じになっています。

 

 

 

では、早速、50位から行きます。

 

 

50.Camila/Camila Cabello

 

 

50位はカミーラ・カベーロの「Camila」。

 

元アイドル・グループのフィフス・ハーモニーのメンバーであることに加え、彼女たちが「XファクターUSA」という失敗したリアリティ・ショーの出身であるということを考えると、カミーラのここまでの軌跡は本当に目覚しい成長だったんだなと思います。しかも本格ソロ・デビューのヒットが、あの世界中で大ヒットした「ハヴァナ」なわけでしょ。あれは、キューバ系という彼女の血筋と、コロンビアのレゲトンやラテン・トラップといったモダン・ラテン・ダンス・ミュージックの勢いの両方を垣間見せていたしし、彼女が歌うからこそ説得力のあるオリジナリティある好ポップ・チューンで僕も大好きでした。それがゆえに、すごく期待高かったんですよね、このアルバム。ただ、それには完全に応えられてはいなかったかな。中途半端に、三流アイドルでも歌えそうなEDMっぽい曲があったりするのは余計でしたね。微妙に大衆に日和った感じがあったのが残念だったかな。でも「ハヴァナ」をはじめとしたラテン・ダンス路線には光るものがあったので、次にその良さを伸ばしていってほしいです。さらに言うと、なんでも彼女、THE 1975の大ファンなんですって。リスナーそのものとしての趣味もかなり良さそうなので、反映させてほしいです。

 

 

49.Walls/Barbra Streisand

 

 

49位はバーブラ・ストライザントの「Walls」。21歳のカミーラに対し、76歳のバーブラです。

 

このアルバムは前にもここで言いましたが、これ、反トランプを軸にしたプロテスト・アルバムです。しかも曲調は、いつも通りの彼女の路線であるブロードウェイ・スタイルのまま。おそらくポップ・ミュージック史上、最もコンサバティヴな音楽要素で構成されたプロテスト・アルバムだと思うのですが、そのギャップに意外な心地よさがあり、なんか気になっちゃうんですよね。さらに、このアルバムを作ろうとした彼女が75歳を超えているというのもね。今年の10月、ブラジルでは、元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズが極右の大統領候補が当選しそうなタイミングでブラジル各地で反極右のメッセージを持つライブ・ツアーをやって話かなりの物議を醸しました。その彼が75歳。そして36年振りに全米ナンバーワン・アルバムを出したポール・マッカートニーのアルバムにも環境問題に関してのトランプ批判があった。彼も76歳。「今の世の中、プロテストに形式や年齢は関係ないんだな」ということを、彼らの年齢の3分の2にも達していない僕は考えさせられたのでした。

 

 

48.Isolation/Kali Uchis

 

 

48位はカリ・ウチス。

 

彼女はアメリカ生まれのコロンビア移民です。基本は最近のフランク・オーシャンとかソランジュを筆頭とした温故知新系な「ネオ・ソウル」のアーティストではあるんですが、その出自を隠さずに生かして時にラテン・フレイヴァーを漂わせてみたり、さらに言えばゴリラズのデーモン・アルバーンまでもが参加する奥行きの広さがあります。「ネオ・ソウル系って、趣味の良さはわかるんだけど、下手するとどれも似て聞こえるんだよなあ」というところを、彼女はその多彩さと、サンダーキャットやケンドリック・ラマーでおなじみのプロデューサーのサウンウェイヴ、前述のデーモンもあれば、タイラー・ザ・クリエイター、ジョージャ・スミスとゲストのコーディネイトにも光るものがある。そのあたりを買ってのトップ50入りで、クオリティから行けば、同じく今年デビューのジョージャのアルバムよりも全然上でもあります。リリース時は大絶賛でした。ただ、その賞賛が発表から8ヶ月経った今、なんかこのアルバム、忘れられた印象があるんですよねえ。おそらく彼女のヴォーカリストとしての線の細さが災いしてるのではないかな。次は音楽のセンスはそのままに、タフになった部分を証明してほしいと思っています。

 

 

47.Young & Dangerous/The Struts

 

 

47位はザ・ストラッツ。

 

彼らはアメリカのマーケットを狙って活動してますが、実際はイギリスのバンドです。彼らは言うなれば、「2003年にジェットとザ・ダークネスが出てきた時に影響されたようなバンド」というイメージで、「ヴォーカルが若い頃のフレディ・マーキュリーとジュリアン・カサブランカスを足して2で割ったよう」などとも言われていますね。彼ら、アメリカのロック系のラジオでは前作から曲はかかっているんですけど、まだしかるべきタイミングが来ないからなのか、売れないバンドのままですね。ただ、僕はこの、セカンド・アルバムを聴いて、「いい素材なのに惜しいな」とすごく思ったんですよね。ぶっちゃけ、この前の週に出たグレタ・ヴァン・フリートのアルバムよりも魅力的に感じました。GVFって確かに華はあるんだけど、どこかメンバーの言動を聞いてると、「1992年以降にロックは存在しないと思ってる類?」と思えるような、古株のメタル・ファンみたいなとこを感じる時があるんですけど、ストラッツの場合は「クラシック・ロックを今やる意義」みたいのがわかっていて、あえてケシャと共演してみたり、四つ打ちとかポップ・パンクみたいなエッセンスも足すこともできる。この柔軟性は結構好きです。GVFでクラシック・ロック渇望論があるのはわかったから、後はそれのモダナイズ化だと思うんですが、それがうまくできたら、このバンド、化けるかもですよ。

 

 

46.The Louder I Call, The Faster It Runs/Wye Oak

 

 

46位はワイ・オーク。

 

この人たちは知名度が低いので知らない人も多いかとも思いますが、キャリアは長くてすでに10年くらいあります。さらに言えば、レーベルの所属は、アーケイド・ファイアとかスプーンを排出している名門インディ・レーベルのマージ(MERGE)ですよ。そこの今年のイチオシになっていた人たちでもあります。この人たちは男女2人組で、フレーミング・リップスとかテイム・インパーラみたいなメロディックなサイケデリック・サウンドに乗りながら、ソフィスティケイトされた女性ヴォーカルで歌うんですけど、やりようによってはインディの領域超えた広い支持層を得られそうなポテンシャルも持っていると思うんですけどね。サウンドもエッジがあって曲も聴きやすくていいのに当たらない。ということは、何かがきっとオフ(うまくいってない)なんでしょうね。彼らはボルチモア出身なんですが、そこってビーチ・ハウスの出身地でもあるんですよね。しかも同じサイケデリックな男女二人組だからどうしても比較されてしまうのかな。テイストそのものはいい意味で全然違うと思うんですけどね。

 

 

45.Tell Me How You Really Feel/Courtney Barnett

 

 

45位はコートニ_・バーネット。

 

もう彼女に関して言えば「安心して見ていられる」「絶対的な信頼の置ける」リスペクタブルなアーティストって感じですね。まだアルバムとしては2枚目で、年齢も31歳と若いのに大したものです。確かに「女版ルー・リード」みたいな、詩を語り、自らが繰り出すパワーコードのリフの切れ味が鋭い女性ロックンローラーって、彼女の前にも後にもハッキリした人が見えにくいから、もうキャラ得だし、これが有効であり続ける限りはしばらくは揺るがないでしょうね。このアルバムも、「新世代の女性ロックンローラー登場!」の印象を刻み込んだ2015年のデビュー作からなんら損なわれていません。ただ、個人的なことを言うと、「安心はできるけど、その分、真新しさもないかな」と思ったので、この順位だったんですけどね。しかし、欧米圏の年間ベスト、今回のこれも強いんですよね。トップ10入りしているところを結構見かけます。リリース時よりむしろ評価いいくらいです。彼女の場合、斬新さよりも「職人芸」で勝負するタイプだから、曲を染み込ませながら聴いた方がより効果があるのかな。

 

 

44.Firepower/Judas Priest

 

 

44位はメタル・ゴッド、ジューダス・プリースト。

 

僕にしては珍しいチョイスだと思う人もいらっしゃるかとも思うんですが、僕の場合、プリーストとかアイアン・メイデンとか、モーターヘッドは決して嫌いじゃないです。中でもプリーストはその中で最も盤は抑えてて、78年の「ステンド・クラス」から90年の「ペインキラー」までのエピック期は実はほとんど聞いてます。それはおそらく、「実はよく聞くと曲はコンパクトにできている」ところにAC.DCに似たとことか、ロブ・ハルフォードの突き抜けたエンタメ性にフレディ・マーキュリーに似たとこを感じるから、とかではないかな。このアルバムで久しぶりに彼らを聞いたわけですけど、もちろん「70近いのに未だパワー健在」という要因もあるとは思うんですけど、僕はむしろ、歳をとったことで逆にこれまで勢い目立っていた過剰さがいい意味で取れて、前述した「コアな部分での曲の良さ」が滲み出た作品だからではないかと思っています。実際、今となってはこれより激しいものもいくらでもある中において、「曲の手際よいまとまりが光るロックンロール」みたいな聞こえ方もしますしね。見かけで聴く人を選ぶタイプではあり続けてはいるんですが、そうした人ほど聴いた方がいいです。あと、「ファイアーパワー」って、イキがった8歳の子供が凄そうなイメージを想像してつけたみたい(笑)に聞こえますが、そういうセンスの変わらなさも彼ららしいです。

 

 

43.Hunter/Anna Calvi

 

 

43位はアナ・カルヴィ。

 

 彼女は「第2のPJハーヴィー」の呼び声高くデビューしたのが2011年のことでしたが、2013年にセカンドを出して以来、5年音沙汰がないからどうしたんだろうと思って待っていたら、自己ベストの作品を出して戻ってきましたね。決して派手な作品を作るタイプではないので解りにくい(そこもPJと同じ)印象もあるんですけど、それでも同じく過去最高の全英アルバム22位を記録していますね。音の隙間を生かした、「厚み」でなく「鋭さ」で勝負した彼女自身によるエレキギターとフォーキーな歌心のブレンドがより熟成した印象ですね。PJ、ウルフ・アリスのエリーもそうなんですけど、線の細い甲高い声で力強さが表現出来るのも魅力です。なんとなくですけど、ある時期以降のロバート・プラントにも似た雰囲気を感じさせます。このスタイルをこのまま続けるもよし、もしくはPJハーヴィー自身がそうであったように、作品ごとにスタイルにとらわれずに大胆に変身していくもよし。今回、1曲かなり、「これってラナ・デル・レイの曲になかったっけ?」と思えるようなストリングスのクセのあるバラードがあったんですけど、このあたりが案外次回以降のヒントだったりするかもしれません。

 

 

42.Twentytwo In Blue/Sunflower Bean

 

 

42位はサンフラワー・ビーン。

 

2016年にデビュー作を出した頃は、その20歳前後と非常に若かった年齢ばかりが騒がれた印象もなくはなかった、このニューヨークはブルックリンのトリオなんですけど、今回、22歳になるにあたり、グッと大人っぽく成長してきましたね。シングルにもなった「I'm A Fool」に顕著なんですけど、ソフィスティケイトされながらも少し影もある曲調に、フリートウッド・マックの影響なんかを感じさせたりもして。そこにザ・スミス時代のジョニー・マーみたいなアルペジオ・ギターを主体に曲を進めたり。ギター・バンドとしてやりたい路線も見えてきたのはすごく収穫だと思います。この感じで極めて行けば、他に似たような路線のバンドも少ないので、独自のポジションを築いていけるような気がしますよ。あとは、ヴォーカルのジュリア・カミングスがどう個性を出していくかですね。元々、モデルやってたくらい華はある人なので、そのキャラクターの生かし方次第だと思いますよ。こう言うバンドがもうすこしラジオから流れて売れるようになってくれるとかなり未来は明るいんですけどねえ。BBCは結構よくかけてましたけどね。

 

 

41.Pray For The Wicked/Panic! At The Disco

 

 

41位はパニック・アット・ザ・ディスコ。

 

 もしかしたら、年間ベストみたいなとこにこのバンドを置くのは不適切なのかもしれませんが、少なくとも僕は、ブレンダン・ウリーが2018年にロック界に果たした貢献は評価しているつもりです。とりわけストリーミングの時代になりキッズがロックを聴かなくなった時代に、唯一と言っていいくらい全米トップ10に入るシングル・ヒットを出してアルバムも長く売っているわけですから。それがいくら今日的なポップの要素を強めたものであったとしても、キッズに「ロックのもの」の存在を忘れさせなかった意味では、本当に「助かった」とさえ思っています。そして、このアルバム、すっごい変なアルバムなんですけど、聞いていくと妙にクセになるんですよね、これ。一体、どこの世界に、エモと、トラップと、1920年代のバーレスクのスイング・ジャズ組み合わせるヤツがいます(笑)?ロックとして骨があるかどうかはわかりませんが、独自性は間違いなく感じさせます。加えて、ステージ上であの「ボヘミアン・ラプソディ」の完コピに毎度挑戦できるくらい、ヴォーカリストとしてのテクニカルな才能と、「よう、やるわ」のアイディア力も見所ありますしね。気が付いたらいつの間にか大きくなっていましたけど、今後もまだ強そうな気がしてます。

 

 

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 11:39
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