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全オリジナル・アルバム+α From ワースト To ベスト (第17回)ダリル・ホール&ジョン・オーツ その2 10-1位

どうも。

 

では、昨日の続き、行きましょう。

 

 

 

ダリル・ホール&ジョン・オーツ、ホール&オーツの2回目、今回はトップ10です。どんな感じになっていますでしょうか。10位からいきます。

 

 

10.Daryl Hall&John Oates(1975 US#17 UK#56)

 

10位は1975年のセルフ・タイトル・アルバム。その上の写真の下段の真ん中のヤツですね。

 

 これは彼らにとって初のヒットとなったアルバムで、ダリルの長年のガールフレンド、サラ・アレンのことを歌った「サラ・スマイル」が全米4位まで上がるヒットとなって注目されます。

 

 このアルバムですが、RCAでの移籍第1弾で、ここで彼らは本格的に「白人ソウル・デュオ」として売り出されます。ストリングスがやたら多く入ってて、この当時のフィリー・ソウル的です。あと、全体のサウンドも、このころのフュージョンっぽい、アーバン・テイストで統一されてますね。

 

 ただ、なんかですね、「サラ・スマイル」以外の曲がスーッと入ってこないアルバムなんですよねえ、これ。統一感あるアルバムで曲の出来も悪くないんですけど、どちらかというとAORファン向けな内容なのが僕の好みじゃないのかな。キレイすぎるんですよね。もう少しひねくれないと、彼らっぽくありません(笑)。

 

 

9.Three Hearts In The Happy Ending Machine(1986 US#29 US #26)

 

 9位は1986年に出したダリルのソロですね。これが彼のソロでは商業的に最も売れました。全世界的なヒットになった「ドリームタイム」が入ってますからね。

 

 このアルバムなんですが、ホール&オーツ・ファンの人も、単にエイティーズが好きな人も、勢い「ホール&オーツ」のディスコグラフィに入れることが多いくらい、人気のあるアルバムです。実際の話、ソロとは言いつつも、これまでの80年代のホール&オーツと聴き比べて違和感ない曲調だったりもしますしね。実際、「ドリームタイム」だけでなく、「Foolih Pride」「Domeone Like You」は人気曲で、たまにライブでも披露されてますしね。

 

 このアルバムでは、あの当時、プロデューサーとしても売れっ子だったユーリズミックスのデイヴ・スチュワートがプロデュースに入っているんですが、さすがにうまいですね。彼の場合、シンセの単音の音処理もそうなんですけど、カッティング・ギターやギター・ストロークのキレも、ドラムの音の入れ方もバランスがいいんですよね。ホール&オーツはそこをセルフ・プロデュースでやっちゃうから80s後半にドラムの音が不必要にデカすぎてそれで風化しちゃってるところがあるんですけど、デイヴはさすがにそこのところはプロでバランスよく録音してるから、時間をおいて聞いても全然大丈夫ですね。

 

 あと、このころはダリルのヴォーカリストとしての脂が一番乗ってる時期ですね。70sまで高音が上ずってたところが声量が付いてきたことでブレなくなった。あと、この時期はファルセットで声枯れしなかったし(90s以降、そこは結構ツラいんです、泣)。ここでかなり気持ちよくソウルフルに歌えていることが、この次の「Ooh Yeah」にもつながってますね。

 

 

8.Along The Red Ledge(1978 US#27)

 

 続いて8位は1978年の邦題「赤い断層」というヤツですね。

 

 このアルバムではもっぱら、アイデンティティ探しをしています。何せ、その直前に白人版フィリー・ソウル路線で売れかかったのに、パンクっぽいアルバムを作ってしまってブチ壊してしまった直後でしたからね。そのお手伝いをこのアルバムでしているのが、のちにAORの帝王として知られることになるデヴィッド・フォスターです。

 

 僕はAORもデヴィッド・フォスターも恐れずに言ってしまうとかなり苦手だったりするんですが(笑)、ここでの彼は自分のカラーを押し付けず、割と彼らの作りたいようにやらせてますね。別に涙チョチョ切れ系のバラードがあるわけじゃなし。結構、ロックっぽい部分はロックっぽかったりもしますから。

 

 ただ、全体にサウンドのテーマは感じさせますね。冒頭の「It's A Laugh」に顕著なんですけど、60sのフィル・スペクターみたいなボワ〜としたエコーがかかっていて。この辺りはスペクターがプロデュースした元祖ホワイト・ソウル・デュオ、ライチャス・ブラザーズへのオマージュが感じられます。それの70s版をかなり意図的に狙ったんじゃないかな。

 

 この2つ前のアルバムのパターンだった、「A面ソウル、B面ロック」のコントラストも良いです。彼らのソウル・バラードでも屈指の出来の「Have I Been Away From You So Long」みたいな隠れ名曲もあり、さらに長年人気曲だった割に披露される機会が少なかった「It's A Laugh」も近年のライブのセットリストに戻ってきたりもしますからね。

 

 

7.X-Static(1979 US#33)

 

 その「赤い断層」に続くのがこれですね。邦題「モダン・ポップ」。これもデヴィッド・フォスターのプロデュースです。

 

 これは一部で「ディスコに走った」などとの評される作品で、それで評価を低くする人もいたりするんですが、そんなことはないですね。確かに「Portable Radio」とか「WhoSaid The World Was Fair」でディスコやってますけど、こういうアプローチをとったおかげで、彼らの曲がよりオーディエンスを掴みに行く貪欲な前向きさを保つに至ったな、と思います。

 

 あと、大人気曲、「Wait For Me」があるのもこのアルバムですね。この曲や「The Woman Comes And Goes」で使ったピアノの3連譜、これで、この手法が効果的にキャッチーなのがわかったのか、来るエイティーズでこれを武器に駆使するようにもなります。

 

 ここで、彼らはきっと何かをつかんだんでしょうね。これが本格ブレイクの「蒼写真」的な作品となります。そして、ここから、もう一つ足りなかった要素を加えてセルフ・プロデュースに移行することで、彼らは黄金期を築いていくわけです。

 

 

6.War Babies(1974 US#86)

 

 6位は「War Babies」。これはまだ売れる前の、まだアトランティック・レコーズにいた時代の最後のオリジナル・アルバムですね。

 

 実はこれの前の作品が批評的に絶賛されまして、すごく期待がかかったアルバムだったのですが、方向的に意外な方向に行ってしまったせいで肩透かしになりチャンスを逃してしまった作品です。レーベルとしては、「ホワイト・ソウル路線」を望んでいたのですが、彼らが選んだのは「パンク前夜のニューヨーク」で、その中心バンド、ニューヨーク・ドールズをプロデュースしていたトッド・ラングレンだったんですね。

 

 ここでホール&オーツはパンクロック的なエッジやシンセサイザーを使った、トッド自身もソロでやっていた「プレ・ニュー・ウェイヴ」みたいなものを求めてはいたのですが、トッドがプロデュース作で他のアーティストにも嫌われる理由となった「音源お持ち帰り」をやって、「まるでトッド本人」の音に化粧直しをしてしまったものだからダリルが怒ってしまった、というエピソードがあります。ダリルも長らく嫌いなアルバムだと言ってました。

 

 ただ、ホール&オーツとトッドは歌い方とかコードとか3連符とかで共通点があるため兼ねてからファン層が、僕のようにコアなとこでかぶってたんですが、2000年代に入ってまたかなり接近します。ダリルの番組「Daryl's House」でも僕が覚えている限りでも2回出演してセッションしてるし、一緒に全米ツアーもしてるし。そういうこともあり、「Is It A Star」が近年のライブでの定番として復活したり、番組でにプレイした「Beannie G And The Rose Tattoo」がライブの登場BGとして使われたりと、ホール&オーツ自身の中で再評価が進んだことで「カルト名盤化」してます。

 

 

5.H2O(1982 US#3 UK#24)

 

 ここからはもう、どれとっても名盤だと僕は思ってます。5位は全盛期を代表するアルバムの一つですね。「H2O」。

 

 もう、このころには飛ぶ鳥落とすデュオになっていたホール&オーツ。この前までは、「ニュー・ウェイヴ」がエッセンスとしてかなり強く入れられ、そこがイギリスでも比較的成功した一因になっていたような気もしますが、ここではむしろ、この当時にR&Bの界隈(当時はブラック・コンテンポラリーと言ってました)ではやってたエレクトロ・ファンクの要素が強まってますね。ロックっぽいホール&オーツが好きな人は、それがゆえに「嫌いだ」という人があの頃、多くもあったんですが、「でも、それ、ホール&オーツの理解を根本的に履き違えてるよ」とは僕も言いたくなります。

 

 本人たちにもその意識あったんじゃないかな。シングルになったのがモータウン・リバイバルをエイティーズふうにやった「マンイーター」と、リズムボックスを効果的に使ったソウル・バラードの「ワン・オン・ワン」でしたからね。このR&Bアプローチは僕の中でのR&Bの、ある種の栄養源にもなってますね。

 

 そうかと思ったら、ダリルが兼ねてからのプログレ好きを生かして、マイク・オールドフィールドの「ファミリーマン」を彼ら風にカバーもしたりする意外性もあったりね。で、今回はそうしたひねくれたアプローチも当たった。その意味でもクリエイティヴィティ的な勢いもありましたね。この好調さは、この次に出たベスト盤「Rockn Soul Part 1」のシングル「Say It Isnt So」まで引き継がれ、同じく収録曲だった「Adult Education」の大げさすぎるシングル・リミックスによって後退していきます(苦笑)。

 

 

4.Bigger Than Both Of Us(1976 US#13 UK#23)

 

 続いては、70sの彼らの最大のヒット・アルバム、「Bigger Than Both Of Us」。

 

 これは邦題「ロックンソウル」で、奇しくも、さっき触れた、83年に出たベスト盤の原題とも重なってしまう(それでベスト盤のタイトルが謎多き「フロム・A To ワン」)のですが、当時の日本の担当さんがそうつけたくなるのもわかるように、「A面ソウル、B面ロックンロール」なアルバムに仕上がっています。

 

 とりわけA面は最高ですね。ジョンがメインでダリルとの掛け合いが史上最高の曲の一つの「ソウル・トレイン」風

の「Back Together Again」に、初の全米1位を獲得したライトな「Rich Girl」、そしてディープでダークなダリル渾身の熱唱の大バラード「Do What You Want Be What You Are」.。この3曲は未だにライブ・フェイヴァリットとしても歌い続けられてますから、これ、一つの完成系ですね。

 

 で、ロックのサイドは、これといって飛び抜けた曲がなく、そのあたりは後年の課題にはなったんですが、A面とのコントラストを取るには良いものです。ただ、この当時、ホール&オーツが不満だったのは、これをプロデューサーがスタジオ・ミュージシャンで作ってしまったことだったんですね。自前のバックバンドで、もっとライブ感を出したかった彼らは、ここから次のアイデンティティを模索して3、4年くらい苦しむことにもなります。

 

 

3.Abandoned Lanchonette(1973 #33)

 

 3位は1970年代前半の名盤ですね。「Abandoned Lanchonette」。

 

 これはホール&オーツのみならず、「70sのアメリカン・ロックの名盤」にもしばし挙げられている作品です。確かに、これ、すごく面白いんです。パッと聴きは、70s初頭のシンガーソングライター・ブームを思わせるアコースティックな感じではあるんですが、曲が進むにしたがって、ストリングスとシンセサイザーを使った、黒人のソウル・ミュージックでも当時聞かなかったような、斬新なソウル・ミュージックをやってるんですよね。で、そうかと思ったら、最後の方では、「カントリー版のプログレ?」みたいな曲もあったり、今の耳にもかなりアヴァンギャルドな作品です。そして、その中の1曲、「She"s Gone」はソウル。グループのタヴァレスにカバーされて全米R&Bチャートの1位。10CCが「アイム・ノット・イン・ラヴ」でこの曲をパクった疑惑もありつつ、1976年に「サラ・スマイル」の後に3年遅れて全米7位のヒットになっていたりします。

 

 そういうこともあり、これはよく「ホール&オーツの最高傑作」にあげる人もいます。僕も、「作品完成度としてはそうかな」と思います。では、なぜ3位なのか。一つは「結局は後で再発見されたアルバムだから」ということ。そしてもう一つは「本当に当時のホール&オーツの実力でこれが作れたのか?」ということです。僕はこれ、むしろ、プロデューサーのアリフ・マーディンの力によるものの方が大きかったんじゃないかなと思うんですよね。彼のアレンジにむしろホール&オーツが押されている感じがして。そこで、この順位が妥当なのかな、と思います。

 

 

2.Voices(1980 US#17)

 

 そして2位は「Voices」。邦題「モダン・ヴォイス」。僕が最初に聞いたホール&オーツがこれで、日本独自のシングルだった「Hard To Be In Love With You 」が記念すべき最初の出会いです。

 

 ・・という、思い出話しを長くする必要もないくらい、これ、彼らにとっては分岐点となった、非常に大事なアルバムです。ここから彼らはセルフ・プロデュースになるんですが、ここで彼らはこれまで以上にパンク/ニュー・ウェイヴ色を強めていきます。シンセの使い方よりは、ここではむしろギターですね。すごくパンキッシュというか、パワーポップ的というか。すごく削ぎ落としたシンプルでエッジィなギターなんですよね。そこがすごく、70sから移り変わりの80s黎明のニュー・ウェイヴという感じがして、今でもかなり大好きです。

 

 そして、4年ぶりに全米1位に輝いたシングル「Kiss On My List」。ここでは、とりわけ日本で非常に大きな彼らの武器になるピアノの3連符。大きな切り札もできるわけです。

 

 さらに元祖・ブルーアイド・ソウル、ライチャス・ブラザーズの「ふられた気持ち」のカバーに、ポール・ヤングがのちにカバーして全米1位になった「Everytime You Go Away」の元曲ですね。こうしたところで、しっかりソウル・アピウローチもできています。

 

 ただ、現在、アメリカのポップ・カルチャーで「ホール&オーツ・クラシック」といえば、やっぱり「You Make My Dreams」です。

 

 

 これがいちばん有名ですが、「ウェディング・シンガー」やら、いろんな映画、ドラマに使われ続けています。

 

 すいません、1位の発表なんですが、外出しなくちゃいけません。1位、もちろんアレなんですが、しばしお待ちを!

 

 

1.Private Eyes(1981  US#5 UK#8)

 

 そして1位はやっぱり、これですね。「プライベート・アイズ」。

 

 代表曲の多さとキャリアの分岐点という意味では、2位にした前作の方がもしかしたらあるかもしれないし、正直、1位は迷いました。ただ、その前作をさらに前に進めたサウンドがあったこと、彼らの名刺代わりの名曲が2曲あり、その人気が高いこと。商業的に最も成功したアルバムであること、などを鑑みて、これを1位にしました。

 

 サウンド的には、前作で見せたニュー・ウェイヴの路線を、ギター面のみならず、シンセの多様でさらに進めて、それを彼らのその後の5年の前世の礎にしましたね。これは大きかったと思います。

 

 そして必殺の代表曲。一つはやっぱりタイトル曲。彼らの3連符路線の曲の中では、とりわけ日本でもダントツの人気がありますし、もちろん全米ナンバーワン曲としても有名。そしてもう一つ、これが大事。「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」!この曲が、ビルボードの総合チャートのみならず、R&Bのチャートでも白人アーティストながら1位になったこと。これは彼らの持つソウル・フィーリングが人種の垣根を超えて通用したことの何よりの証明です。今、そういう白人アーティスト、少ないですからね。それゆえにこの曲はデラ・ソウルほか、いろんなアーティストの楽曲のサンプリング・ネタにもされていますからね。

 

 そして、やっぱり国際的にヒットしたことが大きいです。アメリカでアルバムがトップ5に入ったのみならず、イギリスでも受け入られた。ニュー・ウェイヴ大全盛のご時世で、そのサウンドに対応してイギリス人の興味を引きながら、同時に内包するソウル・フィーリングをも伝える。この後、イギリスからはソウルのエッセンスを持ったニュー・ウェイヴのアーティストがかなり出てきて、僕もそういうアーティストからも影響を受けているんですが、このアルバムのチャート実績から考えても、案外彼らが一役買っていたりするかもしれません。

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:FromワーストTo ベスト, 12:50
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