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全オリジナル・アルバム+α From ワースト To ベスト (第17回)ダリル・ホール&ジョン・オーツ その1 21-11位

どうも。

 

 

では、予告通り、FromワーストToベストで今日は行きます。一昨日、思いがけないくらいに「なぜ最近の若いロックファンはR&Bが器用に聞けるのか」の話をしましたけれど、僕が個人的にR&B聞ける体質になっている理由となったアーティストを今回はやります。

 

彼らです!

 

 

はい!ダリル・ホール&ジョン・オーツ、ホール&オーツです!

 

若い洋楽ファンの人でも、名前は聞いたことあるんじゃないかな。彼らは80年代って言ったら、そりゃ、すごい人気でしたよ。アメリカでもたくさんナンバーワン曲あったし、日本でもかなりの人気でしたよ。洋楽誌の表紙にもよくなってたし、ラジオでもすごくかかってたし、来日公演あれば10公演近くやってましたからね。

 

 以前にもここで、僕が人生のある時期までホール&オーツが一番好きなアーティストだったことは、覚えている範囲で二回は書いているんですけど、でも、未だにそうなんですが、やたら意外がられますね(笑)。知人との会話で、覚えているだけで「マジで(笑)?」といって信じられなかったこともあったし、ライブに行けば「いやあ、意外ですね〜」とかも言われたことがある。やっぱ、90s以降のオルタナとかUKロック、インディ・ロックのイメージが強いんでしょうね、僕は。

 

 ただ、ホール&オーツに関しては人生でクイーンの次に好きになった洋楽アーティストで、小6の時からです。あのダリルの歌い方と、8部の3連譜のピアノが好きでして。中学の時、2回福岡公演にも行ってます。ということもあり、すごく思い入れが深いのです。

 

 今回、なぜ彼らを思い出したかというと、いろいろです。一昨日書いたことはだいぶ前から考えていて、「自分の場合、どうだったかなあ」と考えるとR&Bの入り口は間違いなくホール&オーツやユーリズミックス、インエクセスみたいなところだったなと思い返していたのと、こないだマドンナのFromワーストtoベストをやったでしょ。さらにアレサ・フラクリンが亡くなった時にアレサを知ったタイミングを思い出したりして、ちょうど80sの中ばを思い出していた。そうしたらやっぱりホール&オーツのフレーズがどうしても頭をよぎってしまった・・ということです。

 

 ということでホール&オーツですが、マドンナ同様、通常のオリジナル・アルバムだけでは物足らないのでプラスαで、ダリル・ホールのソロの分も足して、2回でお送りします。全部で21枚です。

 

 

 ではワーストから。

 

21.Beauty On A Backstreet(1977 US#30)

 

 ワーストは1977年発表の邦題「裏通りの魔女」ですね。これはホール&オーツのこのテの企画がある際、いつもワーストに入るアルバムです。

 

 ホール&オーツというのは音楽的に気難しい人たちでして、自分たちが「白人でソウル・ミュージックをやっている」という風にだけ捉えられたくない、という気持ちが強いんですね。この前のアルバムで、「現在のブルー・アイド・ソウル・デュオ」のイメージがつけられそうになったことに、とりわけダリルが反抗しまして、どこまで意識したか定かじゃないんですが、パンクロック的なアプローチで作ってます。このころ、ダリルはキング・クリムゾンのロバート・フリップともソロを作ってますしね。

 

 ただ、なんかヤケクソすぎるんですよね(笑)。極端。アナログA面がパンクかと思ったら、B面で思い出したようにソウルをやり、突然レッド・ツェッペリンの「カシミール」みたいなオリエンタルなことまでやってみたり。かなりストレス、溜まってたんじゃないかな。彼らはこれで、せっかくブレイクしかかっていたのに人気を落としてしまいます。

 

 

20.Whole Oats(1972)

 

 これがデビュー作ですね。タイトルは彼らの名前をもじったギャグで、ジャケ写には「たっぷり詰まったオーツ麦」の写真がダジャレのように使われてもいました。

 

 これなんですが、ソウル要素はほとんど見られず、むしろフォークです。60sのR&Bっぽい要素もないわけじゃなく、彼らがのちに得意とするピアノの3連譜の曲も、おそらくキャロル・キングあたりが意識にあったのか、やっていたりもするんですけど、世のシンガーソングライター・ブームに沿ったような「フォーク・デュオ」としてのアルバムです。

 

 中には「Fall In Philadelphia」みたいないい曲もあるんですけど、実力はほとんど発揮されていません。むしろ、持っているものを引っ込めているようにさえ聞こえます。

 

 ダリルって、とりわけ、自分が「ソウルの人」とだけ解釈されるのを嫌がる人なんですけど、それはホール&オーツのデビュー前にこういうことやってたからだと今にして思います。

 

 

 はい。昔は、ソウル・ヴォーカル・グループのヴォーカリストだったのです。この時代に「お前、白人なのに何やってるんだ」とからかわれたんじゃないかな。そういうことをのちに、今も続けている彼の音楽チャンネルでの番組でもほのめかしたりしてますからね。デビューの時から、「自分たちのアイデンティティ」に関しては複雑な人でした。

 

 

19.Soul Alone/Daryl Hall(1994 US#177 UK#55)

 

 これは1994年に発表した、ダリルのソロですね。1990年にホール&オーツは活動休止を宣言したので、本格的なソロの船出になる・・・はずだったアルバムです。僕も当初、すごく期待しました。

 

 ただなあ。これが蓋を開けたら、もうガッカリでしたね。「大人になる」という意味を履き違えたような、すごくマッタリとしたアダルト・コンテンポラリーでね。「ソロで本格的にR&Bを追求」というから、もっとコンテンポラリーな90sのR&Bやるのかと思ったら。メンツ的には、あの頃のロンドンのアシッド・ジャズの人脈とか関わっていたりもしたんですけど、なんかですね、これまでホール&オーツが意図的に避けてきた「シャレオツ」な感じというのを、やってしまった感じですね。ロックっぽい芯が全然なくなっちゃった。

 

唯一マーヴィン・ゲイのカルト・アルバム「離婚伝説」(1978)に入ってる曲のカバーをやったのは「渋いとこ、ついたね」って感じでニヤリだったんですけど、それだけかなあ。

 

 

18.Change Of Season(1990 US#60 UK#44)

 

 続いては1990年の「Change Of Season」。このアルバムでホール&オーツは長い活動休止に入ります。

 

 彼らはエイティーズの全盛の頃に、ちょっとサウンドで先を行こうとしすぎて、ある時期、ドッタンバッタンとかなりうるさいサウンドになったんですが、その反動か、90年代最初の年に出たこのアルバムではアコースティック路線にガラっと変わってます。シンセのところをハモンド・オルガン、エレキギターがアコースティックに変わっています。この路線は、ちょうど僕は大学2年だったんですけど、僕の友達の間ではすごく歓迎されましたね。ただ僕は大ファンを自認してたので非常に言いにくかったんですけど・・実は嫌いでした(笑)。

 

 というのはですね、さっきも言ったように、「大人になる」意味を履き違えてるというか、まったりしすぎなんですよ。保守的にしか聞こえない感じがして。あと、人気出すぎて疲れたのかもしれないけど、なんか隠居したみたいで、その姿勢も違和感あったんですよね。

 

 そして今回聴き直してみて、理由がもう一つあったのがわかりました。これ、レイドバックが不完全だったんです。せっかくサウンドがアコースティックになったのに、ドラムの音だけ、やたらうるさいんです(笑)。これがなあ〜、「でも、結局、エイティーズを拭い去れてないじゃん」と突っ込める感じになってしまったんですよね。そこのところが失敗でしたね。方向性は間違ってなかったのかもしれないけど、やり方を間違った感じはしますね。

 

 

17.Can't Stop Dreaming/Daryl Hall(1996 Japan Only, 2003 US)

 

 そして今度は96年のダリルのソロですね。

 

 90sに入って、とにかく調子の悪かったダリル・ホールなんですが、それをレコード会社が見かねてか、このアルバム、本国ではオクラいり扱いとなり、この当時、日本でのみのリリースでした。アメリカだと、2003年までリリースがなかったんですよね。

 

 そういうこともあり、僕も長いこと聴くのためらってたアルバムなんですが、R&B路線でも、アダルト・コンテンポラリー色はやや後退してます。さらに言うと「Cab Driver」という、のちのホール&オーツのライブでもたまに披露される曲が入っていたりもして、案外貴重な感じです。

 

 実はこの頃、ホール&オーツは実は再始動していて、全米ツアーやってました。僕もLAでライブ見てます。おそらくはダリルのソロでの行き詰まりと、ジョンが当時抱えていた借金苦の問題があったからだと思うんですけど、徐々にホール&オーツに戻る準備を整えていたのかな、とも思います。

 

 

16.Marigold Sky(1997 US#95)

 

 そして、これが97年に活動再開したホール&オーツのアルバムです。

 

 出た当初はもうすごくガッカリでしたね。あの当時、僕はオルタナとかブリットポップ、ヒップホップにビッグビートと聞いてて、そういう耳には、もう居場所がないように感じたアルバムで、すごく寂しかったことを覚えてます。

 

 ただ、今聞き返すと、彼らのキャリアの中では「復調」の始まりだった作品でもあったんだな、と思います。サウンドは、「Change Of Season」でのアKおースティック路線は引きずってはいるものの、ドラムの音はまともになったし(笑)、曲もロック的な前のめりさが戻ってきて。おそらく、この前の年にホール&オーツでツアーをやった影響があると思います。

 

 ただ、「忘れられてたアーティスト」の復帰作をメジャーで出す世知辛さみたいのも感じさせるアルバムです。なんか「頑張って全盛期っぽくやってみました」みたいな、代表曲「Say It Isnt So」を意識したような「Romeo Is Bleeding」とか、アダルト・コンテンポラリーのラジオ用にヒット狙って作らされたみたいな「A Promise Aint Enough」みたいな曲があったり。そういうとこは、今でも聞いててちょっと辛いかな。

 

 

15.Sacred Songs/Daryl Hall(1980 US#58)

 

 続いてはダリルの最初のソロ・アルバムですね。

 

 これは意外や意外、キング・クリムゾンのロバート・フリップのプロデュースで製作されたアルバムです。フリップといえば、これが作られた1977年に、デヴィッド・ボウイとの「ベルリン三部作」を作っていたんですけど、どの影響もあって、サウンドの質感が「ベルリン三部作」のソレに結構似てます。そういうこともあり、プログレ・ファン、古のブリティッシュ・ロック・ファンの間では「カルト名作」扱いされてるアルバムです。

 

 僕もそれは認めます。ただ、「ホール&オーツのディスコグラフィ」として考えた場合に、あまりに異質なんで、そこのところがなあ。フリップの作ったインストも入っているんですが、ぶっちゃけ、そういうのはいらなかったし(笑)。そうした違和感はレコード会社も感じていたのか、これ、一度はお蔵入りになって、3年後の1980年のリリースになったんですね。ただ、ホール&オーツの人気がかなり上がっていたこともあって、これ、そこそこヒットもしています。

 

 

14.Laughing Down Crying/Daryl Hall(2011 US#142)

 

 目下のところの最新音源ですね。ダリルのソロです。

 

 ここ10年くらいは、ダリルは自分の音楽番組「Live From Daryl's House」の切り盛りが中心なんですが、この番組は、若い人気のロック系のアーティストを中心に、たまに黒人アーティストや大ベテランもありの豪華メンツとの即興的なセッションを楽しむという、音楽ファン的にはすごく貴重で嬉しい番組です。僕もかなりたくさんのエピソードを見てます。

 

 このアルバムは、そのセッションを楽しむ感覚で作った、なかなか良質なアルバムです。ライブ感を活かして、音はかなり薄めにプロデュースされていまして、ダリルは基本的にアコースティック・ギターを持って軽快にロックするのがメインですが、中盤になると、より”らしい”ソウルフルな曲も増えてきて。

 

 これ、ちゃんとホール&オーツのアルバムとして作ったら、そこそこ良いものになった気がするんですけどねえ。そこのところがすごく惜しいです。

 

 すみません。ちょっと時間がなくなって外出しなくてはいけないんですが、続きもありますので後ほど。

 

 

13.Big Bam Boom(1984 US#5 UK#28)

 

 そして13位は「Big Bam Boom」。僕と世代の近い人は「ええええ」と思われるかもしれません。もっともヒットの記憶のあるアルバムの一つですからね。全盛期を象徴する一枚でもあるし。

 

 ただ、僕に言わさせてもらうと、このアルバムで彼らの快進撃が止まったと思っています。このアルバムは彼らが80sの初頭から築いてきた”ニュー・ウェイヴ・ソウル”が突き抜けて、ニューヨークのクラブ・カルチャーのノリを取り入れて作ったアルバムなんですけど、もう、テクノロジカルに先に行こう行こうとしすぎて、音が極度にオーヴァー・プロデュースになるんですよ。特にドラムのスネアの音の。「ズドーンッ」と、なんか暴力的な感じまでして。リアルタイムで中3でLPで買いましたけど、大好きだったのになんか違和感は感じて、あまり僕のターンテーブルには乗らなかったんですよね。だから当時から、LPをテープに落として、好きな曲だけ聴くようにしてました(笑)。

 

 あと、この当時、1年1作のハイペースで作ってて、なんとかペースを守ろうとしすぎたあまり、このアルバム、曲数が少ないんですよ。そこも物足りなかったなあ。実質8曲で、いい曲は全米1位の「アウト・オブ・タッチ」とか数曲でしたしね。オーヴァープロデュースのエイティーズ・サウンドは今、「バッド・エイティーズ」とも呼ばれてますけど、そこに陥った感じですね。

 

 

髪型もこうなっちゃってたしねえ〜。

 

12.Do It For Love(2002 US#77 UK#37)

 

 ホール&オーツのオリジナル作としては現状最後ですね。この後にカバー集とクリスマス・アルバムは出ていますけど。

 

 この前の年だったかな。VH1で「Behind The Music」っていうドキュメンタリーの題材に彼らがなって、それが結構ビターな内容だったんですけど、その時にダリルがこれのタイトル曲を弾き語りでやってて、その後にやった来日公演でもそれを披露して、「ああ、この曲にかけてるんだな」と思ったら、これが結構当たりましたね。アダルト・コンテンポラリーのチャートで1位になりましたからね。

 

 このアルバムですが、だいぶ曲がロックよりになって、全盛期の時みたいな軽快さが戻ってきました。路線は「Change Of Season」の時からのアコースティックと生ピアノが主体ではあるんですが、そこにゆるくエレクトロのリズム・トラックを加えることによって、いい意味での軽さも加えてコンテンポラリーになっているのも交換もてましたね。

 

 あと、最大の山場は親友トッド・ラングレンを迎えてのニュー・ラデカルズの「Someday We'll Know」のカバーですね。ニュー・ラディカルズって1999年に「You Get What You Give」の大ヒット出した時から「ホール&オーツじゃないか!」と僕は飛びついたものでしたが、本人たちもそれに気づいてトッドに「ちょうど俺らとキミの間みたいなことやってる若いのがいるからデュエットでカバーしない?」といって企画が実現しています。トッドとダリルの声が似てて区別が難しくはあるんですが(笑)、両者の古くからのファンとしては嬉しい瞬間でした。

 

 

11.Ooh Yeah(1988 US#24 UK#52)

 

 そしてトップ10にあともう一歩の11位は「Ooh Yeah」でした。

 

 このアルバムがこれまでほど売れなかったことで、ホール&オーツは落ち目の印象を持たれてしまいます。これがレーベル移籍の第1弾だったんですけど、先行シングルの「Everything Your Heart Desires」を全米3位のヒットになったんですけど、あとが続きませんでしたね。

 

 ただ、このアルバム、内容的にはいいんですよね。この前のアルバムまでみたいに、”ニュー・ウェイヴやはやりのクラブ・サウンド”を意識した作りではないんですけど、その分、80年代に入ってからだと一番ソウルフルに作ったアルバムです。本人たちもリリース前に「バック・トゥ・ルーツ」と言ってましたしね。

 

 これも「Big Bam Boom」以降にちょっと困ったことになっていた「ドラム問題」は解消されてなくて、スネアが「パシャーン」って言ってちょっとうるさいんですが、16ビート多めで曲がややゆったりしてるせいなのか、今聴いても安定して聞ける感じはありますね。歴代でも、ここまでソウルに徹した作品もそうはないです。

 

 

では、この後はトップ10を次の投稿でいきます。

 

 

author:沢田太陽, category:FromワーストTo ベスト, 11:16
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