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近頃の若いロック・ファンがなぜR&B/ヒップホップを器用に聴けるのか、自分の実体験を思い出しながら考えてみた

どうも。

 

今日のお題はですね。これは、ここしばらくずっと考えていたことです。

 

 

近頃の若い人がR&B/ヒップホップを柔軟に聴けるようになっている件について!

 

 

ですね。

 

 

これ、正直、驚くんですよ。例えば最近、普段、割とインディ・ロック・リスナーのイメージの強い人でも、ケンドリック・ラマーとか、チャンス・ザ・ラッパーあたりに対して、すごく自分のフェイヴァリット・アーティストのように喜んで語るような人、結構いますよね。これ、10年くらい前だったら、なかったことなんですよね。中には、ちょっとこれ、具体的にその例が脳裏にあったりするんですけど(笑)、「あれ、昔、キミ、R&Bとかヒップホップとか全然聞いてなかったじゃん」みたいな人までそうなっていたりするから、不思議です。

 

 別にそれが悪いというわけではなく、「リスナーとして聴く幅が広がるのならいいことじゃん」と僕はそれ自体は肯定しますけど、でも、これ、10年、いや20年前もだな、それを考えると隔世の感がありますね。

 

 

 では、なんで、近頃の若いロックリスナーがR&B/ヒップホップに、このように柔軟になれたか。ちょっと自分なりに考えてみました。

 

 

.ぅ鵐妊・ロック/UKロックにあまりに長いこと、R&B的な要素がなかったので、今聞くとかなり新鮮だった

 

 これ、僕は絶対にあると思うんですよね。

 

 というのは、ロックに関して言えば、かなり長いこと、R&Bのフレーバーをサウンドに取り込まない状況が続いていましたからね。特に90sね。ブリットポップにもUSインディにもそれを感じてたんですけど、ブラック・ミュージック的な要素があるバンドってほとんどなかったですからね。なんか機能が完全に別れてしまっていたというか。「そういうの聞きたきゃ、R&Bとかヒップホップ聴けば?」みたいな感じになっててね。だから、特に90sですね、僕の場合は両方聞かざるをえない感じでした。

 

 ただ、それ以前に80sを体験していると、90sのそういう状況って、正直なところ、違和感もあったんですよね。というのは

 

 ニュー・ウェイヴ聴いてても、「ブラック・ミュージックを体感する瞬間」って、結構あったから。

 

例えばこんな感じでね。

 

 

 

 

 こういう感じのものを、普通に、そんなに意識しないで聞いててすごく好きだったんですよ。こういう曲を聴いて「ソウルフル」だとか、「R&Bっぽさ」というのを無意識に吸収してたんですよね。これが大体、中学から高校の時だったんですけど、こういうの体験していたおかげで、もう少し大人になって、「60sとか70sのソウルのレジェンド、聞いてみたい!」となった時に、かなりすんなり移行できたし、コンテンポラリーなR&B/ヒップホップにしても、1990年前後からだったと思うんですけど、抵抗なく聴けるようになっていましたね。

 

 あと、上にあげたものとかもそうだし、あとワム!のジョージとかもそうなんですけど、歌い方がすごく好きだったんですよ。ハイノートを踏ん張って張り上げる感じとかね。それがまさにソウルっぽい歌い方っていうヤツだと思うんですけど、それだったものだから

 

実はリアルタイムだと、ザ・スミスとかニュー・オーダーとかより上の動画の人たちの方が全然好きだったんですよ(苦笑)。

 

 

 それもあったんで、昔は別にUKギター・ロックどっぷりってわけでもなかったんですよね。

 

 

で、それが、マッドチェスターとシューゲイザーが流行ったあたりかな。その辺りから、UKロックにソウルフルな匂いってかなり後退するんですよね。マッドチェスターはグルーヴこそファンクでしたけど、リアルタイムであの歌い方がどうしてもねえ〜。恐れずに言ってしまうしまうと音痴だったじゃないですか(笑)。だから、今だから言いますけど、ちょっと苦手だったんですよね、あの当時。

 

 そこから、イギリスにせよ、アメリカにせよ、インディとかオルタナティヴとかのロックにR&Bエッセンスのある人って、極端にいなくなっちゃったんですよ。アメリカだと、オルタナティヴにはほとんどなかったなあ。ファンクの影響を取り入れたレッチリみたいなタイプはいたけど、せいぜいそれくらいであれもアンソニーの歌い方は全然ソウルのそれではなかったし。イギリスでも、スタカンの流れを受けたポール・ウェラー周辺に若干黒っぽさを求めるものってあったけど、せいぜいそれくらいだったでしょ。ジャミロクワイも当初はUKロックのくくりで語られもしたけど、途中からは除外されましたからね。ゴリラズとかもあったわけだけど、あれもデーモンの歌い方には限界あるんで「本格的なR&B/ヒップホップへの接近」という感じでは、特に最初の方はなかったしね。

 

 

 で、2000sに入っても、そこのところが解消されずに進んでいった結果、UKロックとかインディ・ロックとかが、表現的に似たり寄ったりで行き詰まってしまった。そのタイミングでピッチフォークやらが、ドレイクとかウィーケンドとかフランク・オーシャンとかを紹介していて聞いてみたら「これまで聞いたことのない新鮮さを覚えて良いと思えた」、そういう人が多かったんじゃないかな。

 

 実際の所、洋の東西問わず、歌下手になってましたからね、ロックバンド。あと、R&Bって、「コード進行の技巧」みたいなところでも勝負できる音楽だったりするんですけど、そうした妙味もロックから消えて久しくなっていましたからね。コードの点でそれができてたのって、ダフト・パンクとフェニックスくらいでしたからね。あっ、だから彼ら、2010sにウケたのか。

 

 

⇒弔ず△北軌媼韻里Δ舛R&Bとヒップホップを耳にしていて実は免疫があった

 

 

,離僖拭璽鵑犬磴覆ゃ、この△な、とも思います。

 

 例えば、リスナーの想定を20代、もしくは30代だと仮定します。そうなると、もう世の中的には、小学生の頃と言ったらとりあえずアイドルとかダンス・ポップを否応なく聞きますよね。その影響があるかもしれません。

 

 その意味で、日本のリスナーの場合、案外ここがデカいんじゃないかなと思うのは

 

 小学生の頃に、安室奈美恵、SPEED、宇多田ヒカルのブームを体験した

 

 こういう世代の場合、R&Bの要素が無意識のうちに刷り込まれている可能性、あるのかな、と思います。

 

 で、この世代の前後くらいに、和製のヒップホップも流行ってますよね。90sの終わりから2000sの始めですけど、その頃に小学生というと、計算してみると生まれが80sの後半から90sになるんですよね。で、僕がイメージしてる「R&B/ヒップホップへの対応がうまい若いロックファン」というのはこの辺りの世代のことを指してますから、ちょうど合致するんですよね。やっぱ、ここ大きかったのかなあ。

 

 僕の世代の場合、さっきも言ったように、「洋楽ロックを聴く人が、無意識にR&Bの要素を吸収していた」というパターンはあったんですけど、「歌謡曲でR&Bを吸収する」なんてことは表向きには少なくともなかったすからね。厳密に言えば、「いや、筒美京平にはフィリー・ソウルの影響がある」というのは事実なんですが、そんなこともよほどのマニアが後付けで気づくもので(笑)、リアルタイムでそんなことを表向きにいう人は日常的にはいなかったですからね。

 

 おそらく、日本のロックファンで、R&B的に最も恩恵を受けなかった世代が、おそらく僕の5歳から10歳くらい下の世代かなと思います。この世代だと日本のアイドル低迷期に小学生で、洋楽ロックの聴き始めが僕が,埜世辰浸期なので、体験しそこなった世代かな。もちろん中には「異ジャンルに挑戦」みたいな気分で聞いた人もいたとは思うんですけど、あの当時だとファッションでジャンル分けされる要素も強くなっていたから、かなり敷居も高く入りにくい状況もありましたからね。

 

 

・・という、2つのパターンなのかな、と思います。

 

 

 ただ、これ、あくまでも「推測」なので、「いや、自分の場合は違います!」という方は是非意見も聞きたいですね。リスナー観測上、興味深い話なのでね。

 

 

 ・・で、実はこれが壮大な枕詞です(笑)。これを受けて、明後日から、またFromワーストToベストをやるわけですが、そこでは僕自身が、「R&Bやソウル・ミュージックに興味を持つキッカケになった、実は最初は”ロック”だと思って聞いていたアーティスト」をやります。上の動画の人たちもそういう人たちなんですが、あえて最大のものを抜かしてます。だいたい、ニュー・ウェイヴでは直接的にはなかったですからね。

 

 

 さあ、誰でしょうね?

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 19:32
comments(11), trackbacks(0), - -
Comment
僕の感覚だとゼロ年代後半のブルックリン勢にみんな夢中になってたのが大きい気がします。連中の色々な要素が混ざってるけど軽やかな音楽を浴びたおかげで頭が柔らかくなったというか。
1988年生まれ, 2018/08/29 12:38 AM
たしかにグリズリー・ベアとかヤイセイヤー聴いたときにR&Bの影響は僕も感じましたね。
太陽, 2018/08/29 12:54 AM
こんにちは!Twitterから飛んできました。
私は正しく△離織ぅ廚任江
高校生くらいから自分はブラックミュージックが好きなんだと自認して今日まで追いかけ続けているのですが、高校生前から宇多田ヒカル、SPEED、安室ちゃん好きでした!もっと言えば久保田利伸も好きでしたね〜。その時はブラックミュージックだと思って聞いていないのですが。その他子供の頃好きだった曲を作った人が、今自分が好きなブラックミュージックのアーティストやプロデューサーのファン、影響受けたと公言している人が多いので子供の頃の音楽体験って重要なんですね。
judy(1991年生まれ), 2018/08/29 9:13 AM
私は90年代に青春を過ごしたロック・ファンですが、ヒップホップやR&Bも好きでよく聴いてました。
ヒップホップに関してはあの当時ベックやビースティーズ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとかがいたのでロック・ファン側からも入りやすかった気がしますね。ヒップホップ・サイドもウータンとかア・トライブ・コールド・クエスト、サイプレス・ヒルとかがロック・ファンにもわかりやすいアプローチをしてたし。
R&Bはネオソウルのブームがあったじゃないですか。個人的にはディアンジェロがナイン・インチ・ネイルズのHurtをカバーしたの聴いて興味を持ったのが最初ですね。
ただ仰る通り、UKロックに関してはブラック・ミュージックの影響感じさせるのってポール・ウェラーくらいしか記憶にない。でもあの頃はビッグビートやトリップホップが盛んだったから、そこからヒップホップやR&Bに繋がっていた気はします。

長々と失礼しました。
j-ramone, 2018/08/29 9:48 AM
>judyさん

△離僖拭璽鵑和燭さいするんですよ。子供時分に無意識で聞いてたサウンドって、どこか後年も引きずるところがあるというか。僕自身も結構そういうところあるので。
太陽, 2018/08/29 11:48 AM
>j-ramoneさん

それはかなり聴きこまれていますね。

ベックとRATMは個人的にはあまり黒っぽさは感じてないんですよね。ヒップホップの要素こそあったものの。ベックはフォークの方が好きで、RATMはモレロのプレイが直線的な感じがして。リヴィング・カラーのヴァーノン・リードの方がソウルフルなプレイだった気がしてます。

ビースティは実はかなりソウルフル(特にオルガン・インスト)なんですが、そこが過小評価されてたかな。

ヒップホップはウータンとATCQは確かに「ロックファンにもオススメ!」みたいな勧められ方してましたね。僕も聞いてました。あの頃がヒップホップ最強だったと今も思うし、今日のヤツもまだあそこには及んでないと思ってます。









太陽, 2018/08/29 12:09 PM
続き。

ネオ・ソウルはもう大好きでした!フージーズ、ディアンジェロ、トニ・トニ・トニ。ソランジュのこないだのアルバムでラファエル・サディークが大活躍して本当に嬉しかったですもん。

トリップホップはあの当時、最もソウルっぽかったものの一つですね。ただ、いろんなものを飲み込みんで非常に奥の深い音楽でもありましたけどね。
太陽, 2018/08/29 12:11 PM
はじめまして、いつも読ませていただいています。

私は現在27歳なのですが、リンキンパークから洋楽を聞き始めて、今は自分の世代のための現代ロックとはなんだろうと考えて、このブログやストリーミングサービスを行ったり来たりしています。

グランジに音楽的ルーツを持つニューメタルまでは激しいロックがロックのメインストリームだったようですが、ニューメタルは評論家受けが非常に悪い、産業的なロックだという事も知っています。

かと言ってストロークス、アクモンはリバイバルとしてのロックですし(ディスってはいません)、そうなると2000年代、2010年代にはグランジの後を継ぐ音楽性を持ちつつ、音楽メディアからも評価される若手ロックバンドはいなくなってしまったのではないかなと思います。

リバイバル勢やアーケイドファイアが質の高いロックをしているのは分かりますが、やはりグランジまでのロックが持っていた荒々しさや若者の苦悩とはまた違う、洗練されたアート指向の強いものですし。

正直、ロックに期待できなくなったから、代わりに自分たちの世代の音楽を求めた結果が、ヒップホップやR&Bでした。

消極的な理由ですが、ロックが衰退してしまったからヒップホップに活路を見出したという単純な動機です。
鳥(1991年生まれ), 2018/08/29 3:44 PM
たびたびのコメント申し訳ありません。

ディアンジェロがNINのカバーしてたのは、もしかしたら私の記憶違いかもしれません(汗)。やってたような気がするんですけど、ネットで検索してもヒットしない。
でも彼やエリカ・バドゥ、あとやっぱりフージーズ(ローリン・ヒル)の存在は大きかったですね。私の友達はローリン・ヒルの影響モロに受けてロックからブラック・ミュージックに鞍替えしたくらいですから(笑)

そして今はもうすっかりいい年齢になっちゃいましたけど、アークティック・モンキーズの新作もケンドリックもフランク・オーシャンもすごくいいなと思って聴いてます。これは間違いなくストリーミングの恩恵ですね(^^)
j-ramone, 2018/08/29 11:18 PM
すごく興味のあるトピックです。同世代の人のコメントも面白いなと拝見しました。

私の場合は、今29歳ですが、2000sのヒップホップって、ビギーもパックも亡くなった後で、全然魅力的じゃなかったんです。商業主義的なギャングスタ系ばっかで辟易してました。なのでヒップホップそのものにいい印象が無かったし、それに90sの黄金期のアーティスト達は黒人のカルチャーの一部、というイメージが強く、敷居も高かった。(一方、90sのR&Bは比較的普通に聴いていました)

大人なってから、そういう90s年代のヒップホップアーティストも聴くようになりました。そして今、その系譜を継ぐケンドリックとかが出てきて、今度は「自分のお気に入り」として聴いている、そんな感じかなと自分では思います。
kon, 2018/08/30 8:51 PM
続)すみません途中になってしまいました。

なので、ケンドリック達は、2000sのヒップホップしか知らない層にとっては新鮮ですし、90sのヒップホップもしくはR&Bを後追いしていた層にとっては、自分達の世代のヒップホップアーティスト、という感じがするのだと思います。
長々と失礼しました。
kon, 2018/08/30 9:21 PM









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