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全オリジナル・アルバム From ワースト To ベスト (第15回)ジェスロ・タル その1 21-11位

どうも。

 

 

予告通り、今日は久しぶりの「FromワーストToベスト」、やります。このシリーズ、過去にプリンス、デペッシュ・モード、ドレイクはウケが良かったようで、たまにまだリツイートされたりもしてるようですが、その一方で、かなり自己満足度の高いものもあったりします(笑)。それでいうと今回は、最高に自己満足度、高いかな(笑)。これです!

 

 

 

 

はい。今回のテーマはズバリ、ジェスロ・タルです!

 

「え・・」と思われる方、いらっしゃるかもしれません。「なぜ今?」と思う人も。ただ、今、ジェスロ・タルってイギリスのクラシック・ロック系のメディアでは割とよく見るんですよ。というのも、過去の名盤の再発がイギリスのチャートでリエントリーしたり、今年は結成50周年で、それを記念して「50 For 50」 といベスト盤が出てこれがイギリス、ドイツ、イタリアでトップ100に入ったり。

 

 

あと、このシリーズでまだプログレやってないんですよね。だからやりたかった、というのもあります。僕は正直、「プログレ・ファンが好むプログレ」ってあんまり好きじゃないんですが、そこへ行くとジェスロ・タルって、そこまでプログレプログレしてないのも良かったです。なので、ちゃんと自分の言葉と素直な気持ちでレヴューできるかなと。あと、ファンタジックな風貌と音楽、これが見ていて、聞いていて、なんとなく「ゲーム・オブ・スローンズ」思い出すんですよ(笑)。だから、現代性あるかなあ、と思ってトライした次第です。

 

知らない人もいらっしゃるかと思うので、こういう人たちです。

 

 

 なんとなく言わんとしてること、わかるでしょ(笑)。この真ん中のイアン・アンダーソンという人が、ステージでフルート弾きながら踊ります。今、70超えてますが、頭ツルッぱげでニットキャップになっても同じことやってますね。

 

 

今日はトップ10圏外、彼らは全部で21枚のオリジナル・アルバムを出しているので21位から11位の僕のランキングを見てみましょう。まずワーストから。

 

 

21.Under Wraps(1984,UK#18,US#76)

 

 ワーストは1984年に発表した「Under Wraps」というアルバム。この頃のジェスロ・タルは、シンセサイザーを多用したエレ・ポップ仕様になっていたりするんですが、もう、音色のセンスがひどいんですよ、このアルバム。シンセを使うのはこのアルバムで初めての訳でもなかったし、その前はうまくいったりもしてたんですけど、このアルバム、何が悪いかって、シンセ・ドラムを使ってしまったこと。「パシャッ」っていうスネアの音がどうにもツラい。さらに言えば、ホーンをシンセで代用した安っぽい音。これもカッコ悪い。同様の企画でワーストに選ばれることもしばしばです。

 

でも、これ、この時期の流行りの弊害なんですよね。まったく同じ頃にデヴィッド・ボウイも「トゥナイト」ってアルバム出して、まったく同じ失敗してるので。時代は時として罪なことをするものです。

 

 

20.Rock Island(1989,UK#18, US#56)

 

 続いては、これも80sのアルバムですね。実は、これと、ワーストに選んだ「Under Wraps」の間のアルバムが傑作だったりするんですが、その前後が良くなかった。こっちは、ちょっとこの当時のメタル・ブームを意識してて、特にギター・ソロがそういう感じで、曲全体もあの当時のハートとかアリス・クーパーが復活したときみたいな感じで、なんかダサいんですよね。前作もそれに近いと言えば近いんですけど、前作に感じられた大人の色気が消えてるし、そのアルバムにあったタル本来のエキゾチックな感じも消えてる。その前のアルバムはいったい何だったんだ、と言った感じの安っぽい作品です。

 

 

19.A Passion Play(1973,UK#16, US#1)

 

 これは全米1位にも輝いたタルの全米最大のヒット作の一つでもあるんですけど、大嫌いですね、このアルバム。彼らの場合、いわゆる「テクニック志向の長い組曲形式」の、いわゆる「ザ・プログレ」なアルバムは実はキャリア上、2枚しか出していないんですけど、これはそのネガティヴな面が噴き出したアルバムですね。さして表現したい主題があるわけじゃないのに、曲が無駄に長く、これ見よがしに変拍子みたいなテクニカルなプレイをチラつかせてね。しかも曲に入るまでが長くて退屈なんですよ。彼らの場合、基本にフォークがあり、歌心が非常にあるバンドなんで、歌に入るまでがこんなに長いんじゃダメなんですよ。もう、聞いててとにかく「早く終わらないかな、これ」と思いますもんね。

 

 実際これ、アメリカじゃ、「これまでのヒットからの期待値」ということで最高位1位ですけど、レヴューはこの当時、コテンパンに叩かれましてチャートからはすぐ落ちました。実際、イギリスはこれでキャリア史上、最高位が初めてトップ10から落ちましたしね。

 

 彼らはこの失敗以降、こういう組曲みたいな作品は2度と作らなかったのですが、早いうちに失敗して方向転換しておいて良かったと思います。彼らがやったこの失敗の3、4年後、パンクが出てきてプログレのまさにこのアルバムの欠点みたいなことを否定したわけですから。それで軌道修正できなくて終わったバンドが一体いくつあったことか。その意味では、「やるべき失敗」だったのかもしれません。

 

 

18.Stormwatch(1979, UK#27,US#22)

 

 タルの場合、先ほどの「A Passion Play」以来、時として、フッと気の抜けるアルバムを作る時が時としてあるんですよね。先述の「Rock Island」が割とそんなアルバムだし、これもそうですね。これなんかも、その前2つのアルバムがせっかくうまい具合に内容もよく成功していたのに、同じような作品を作ろうとして、なんか曲を置きに行って結局何もしなかったみたいなアルバムですね。まったく曲の印象が残らないんです。それで「北海油田の謎」というテーマだけがむなしく残ってしまいました。

 

 このアルバムが失敗したことで、タルはこの後、大きな転換にも出ることになります。

 

 

17.A Christmas Album(2003)

 

 目下のところの最新作ですね。タイトルの通り、クリスマス・アルバムです。

 

 順位は高くないですが、それは企画アルバムだからであって、内容はこれ、割といいんですよ。半分近くはセルフカバーでもあるんですが、新曲もテーマ縛りはあるとはいえいい曲書けてるし、クリスマスらしいトラッド・フォークの渋みは、彼らのキャリアの年季も相まってすごく味があるんですよ。彼らには一度、ストレートなブリティッシュ・トラッドなフォーク・アルバムを作って欲しかっただけに、「なぜこのタイミングでそれを作らなかったのかなあ」と非常に惜しまれる作品です。

 

 これ以後はツアーはやるものの作品はイアンのソロしか出さず。今日はイアン名義でタルのツアー、やってますしね。

 

 

16.A(1980, UK#27,US#22)

 

 これは異色作品扱いされてるアルバムですね。

 

 これはタイトルが示す通り、イアン・アンダーソンのソロ・アルバム(Aは彼の名前の頭文字)として作られるはずがタルのアルバムに発展したものです。ここで彼は大胆にシンセサイザーを導入して、ソロ作で作るはずだったが故に、プログレバンド、UKのエレクトリック・ヴァイオリニスト、エディ・ジョブソンを多くの曲で参加もさせたりして、通常のタルのアルバムとは作り方も随分違います。

 

 ただ、今の耳で聞くと、そういう作り方云々以前に、イアンの方が新しい方向性にシフトするのに、まだ準備ができてなかったのかな、という感じがします。なんか、そこまで言うほどエレポップな作品ではないし、振り切れてない。イアンのソロの名義のままで良かったかもしれません。でも、これがなかったら80s以降のタルも存在しなかったわけで、痛し痒しです。

 

 

15.War Child(1974 UK#14,US#2)

 

 先ほどの「A  Passion Play」の次のアルバムです。このアルバムは通常の曲作りに戻ったためにそこまで批判を受けることはなかったのですが、ただ、どの方向性に軌道修正していいのかわからないような迷いがこのアルバムからは感じられますね。どういうアルバムにしたかったのかが今ひとつ伝わりにくいです。

 

 ただ、シングル・ヒットもした「Bungle In The Jungle」(US#12)みたいなわかり易いヒット曲はあるのでそこが救いではありますね。

 

 

14.Catfish Rising(1991,UK#27,US#88)

 

 91年9月発表のアルバムですね。パール・ジャムの「Ten」とかニルヴァーナの「Nevermind」と同じような時期に出たんですね。

 

 そんなグランジの波など知ることもなく、前2作と同様に世のメタル・ブームを横目でチェックしながら作った感じのするアルバムで、とりわけ先行シングルになった「This Is Not Love」なんかはその香りが濃厚だったりするのですが、全編聞いてみると、彼ら本来のブルーズ・フィーリングが久々にじっくり出た、いい大人のロック・アルバムですよ。これはこれで悪くないし、この感じがこのあと3枚続くアルバムに共通していたりもするから、「90sタルの基礎」となったアルバムと言えるかもしれません。だいたい、70sのかつてのプログレ・バンドと思われていた彼らが、この時期でも全英トップ30のヒットが出せていたわけですからね。立派です。

 

 

13.J Tull.Dot.Com(1999,UK#44,US#161)

 

 これも90sの「大人のコンテンポラリー・ブルース・ロック」路線ですね。その3作目です。この当時、ちょうどメジャーの契約切れて、自主レーベルからのリリースですが、その割にチャート・アクションが悪くないのは、それだけコア・ファンがいたということでしょう。このタイトルが時代を感じさせますが、この時のイアンたちの気持ちとしては、「これからは自分たちのサイトが発信地だ」くらいの気持ちがあったんでしょう。実際に「Dot Com」という曲まで作って、このアルバムでの代表曲にもしてますしね。

 

 このアルバムですが、ここ3作と同じ流れではあるものの、初期の感じが少し戻ってきてますね。初期ほどドロ臭くも、タメが聞いてるわけでもないんですけど、クリーンに音を録っていたのが少しいい意味で緩くなったというか。この路線で何枚か作っても良かったんですけどね。

 

 

12.Roots To Branches(1995 UK#20, US#114)

 

  90年代の、結果的に3分作になったものの真ん中のアルバムですけど、これが一番いいと思います。これがこの3枚の中で一番ハードだし、小細工なしで一貫したカッコ良さがあります。

 

 あと、80年代の時には、70sの頃が嘘のようにクリーンなメタル・ギターをやたら弾きたがったマーティン・バーが、コードで重低音を響かせるブルージーな奏法に戻ってきましたね。時代的にも、その方向性で良かったと思います。

 

 

11.Minstrel In The Gallery(1975, UK#20, US#7)

 

 これは過渡期の、なかなかいいアルバムですね。

 

 「A Passion Play」の失敗で我を忘れたタルが徐々に次のやりたい方向性を見つける過程で出来たアルバムで、ここでは、70s初頭に確立した、「ブルーズ・ハードロックの動」と「トラッド・フォークの静」のコントラストに戻りつつもあり、さらに新しい方向性に行くべく、答えがない中、探してる感じですね。

 

 ただ、このアルバム、光るものはかなりあります。とりわけ冒頭のタイトル・トラックのダイナミックな展開。これは鳥肌が立ちまますね。「ザ・プログレ」に挑戦した際に完全に自分のものにした手数の多いドラムに誘導されるトリッキーなプレイが、このアルバムのドラマ性を高めるのに役に立っていますね。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:FromワーストTo ベスト, 11:48
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