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再掲載:祝ザ・キンクス 活動再開記念 全オリジナル・アルバム From ワースト To ベスト (第7回)ザ・キンクス その2 10-1位(2017.5.12掲載)

どうも。

 

 

では、昨日の続き、行きましょう。

 

 

 

From ワーストTo ベスト、第7回のザ・キンクスです。今日はいよいよトップ10の発表です。

 

 

早速、10位から行きましょう。

 

 

10.Lola Vs Powerman Moneygoround Part One(1970 US#35)

 

 10位は、キンクスのパイ・レコード時代の後期の代表作ですね。「ローラ対パワーマン マネーゴーラウンド第1回戦」。どうしても、この邦題で覚えてしまっています。

 

 このアルバムは、タイトルにもあるように「ローラ」の、初期ブリティッシュ・ビート期以来となる久々の世界的ヒット(全英2位、全米9位)に押される形でアルバムも注目されたんですけど、アルバムを通して言えることは、70年代にさしかかるとレイ・デイヴィスのアメリカ本格進出の野望が強くなっていて、ここで聴かれるのも南部を意識したアーシーなサウンドが目立って来ています。そういうサウンドでありながら、イギリスの音楽業界を皮肉ったコンセプト・アルバムというのも面白いし、「ローラ」はおそらくロック史上最初のトランスヴェスタイトについての歌ったヒット曲(ヒットはしてないけどヴェルヴェット・アンダーグラウンドにもあったかな?ゲイ・テーマはあるけど)とも言われていて、そこも注目すべき点ですね。

 

 

9.Low Budget(1979 US#11) 

 

 パンク・ムーヴメントやヴァン・ヘイレンのカバーによる「再発見」の効果を活かして作った、アリスタ・レコード期では最大となるロックンロール・アルバムですね。徹頭徹尾、ほとんどがアップテンポのロックンロールで、「パンクのゴッドファーザーらしいこと、やってくれよ」と願うファンの期待にようやく応えたアルバムとなりましたね。

 

 実際、このときの全米ツアーはかなりウケていて、その模様は「ワン・フォー・ザ・ロード」という、キンクスを代表するライブ・アルバムにもなって、これも全米で12位まで上がる大ヒットになりました。これゆえに、この時期を「アリーナ・ロック・キンクス」と呼ぶ人も少なくないほどです。

 

 全編、パンキッシュでスピーディなロックンロールが目立つアルバムではありますが、タイトル曲にも見られるように、アメリカン・ロック期を通過していないと表現出来ないブルージーなロックンロールが目立っているところがやはり老獪なベテランゆえのことになっていて、その意味でも興味深い1作です。

 

 

8.Something Else By The Kinks(1967 UK#35,US#153)

 

 1967年、世がサイケ期の頃に発表したアルバムで、人気の高い作品ですね。

 

 たしかに名曲多いんです。エンドを飾る、イギリス観光にもピッタリな名バラード「ウォータールー・サンセット」をはじめ、冒頭はザ・ジャムもカバーした「デヴィッド・ワッツ」、そして、このアルバムで頭角を現したレイ・デイヴィスの弟デイヴによる「デス・オブ・ア・クラウン」。デイヴはこのアルバムで3曲で貢献していますが、このときがやっぱ一番冴えてたかな。

 

 これ、キンクスにとっての、ビートルズで言うとことの「ラバー・ソウル」みたいなアルバムですね。いわゆる、得意の3コードのロックンロールというフォーマットから脱皮して、より凝ったアレンジで曲調の幅を広げる時期と言うか。キンクスの場合、スタジオ機材を駆使したエフェクトはこの当時の他のアーティストほどには使ってはいないんですけど、そのかわり、ハープシコードをはじめとした楽器類の使い方でそれを表現してますね。クレジット見ると、ハープシコードを弾いてるのはレイ本人で、彼が他にハープやマラカス、チューバまでを担当していますね。

 

 

7.Give The People What They Want(1981 US#15)

 

 アリスタ期の“復活キンクス”の中のアルバムの中では、これが一番ですね。前作「Low Budget」でのパンク路線を基本的に継承している上に、ここではときおりソフトめな曲で変化をつけ、単調に陥っていないところが良いです。初期のキンクスのアルバムにあった良い部分を、80年代初頭の空気に合わせて蘇らせたような良さがあります。

 

 中でも、自身の代表曲「オール・デイ・アンド・オール・オブ・ザ・ナイト」を、今で言うセルフ・サンプリングして新たに作ったロックンロール・ナンバーの「デストロイヤー」と、軽快さは残しながらもさわやかな「ベター・デイズ」の2曲がひときわ光りますね。

 

 ちなみに、僕がキンクスの存在を知ったのもこのアルバムでした。音は聴いてなかったんですけど、ちょうどこのアルバムの日本でのリリースの際にツアーで来日したんですけど、このときにレイがつきあって、このアルバムにも参加しているクリッシー・ハインドのプリテンダーズも一緒に来日してるんですよね。まさにこのアルバムが、プリテンダーズの持つストレートな軽快さと、胸キュンなメロウさを表現したアルバムでもあるので、相乗効果になったのかな。そして、来日公演後に2人は結婚もしますが、すぐに離婚もしてしまったところが、またレイのトホホたるゆえんでもあります。

 

 

6.Maswell Hillbillies(1971 US#100)

 

 これもいろんなところで名盤とされている作品ですね。キンクスが拠点をアメリカに移しRCAに移籍しての第1弾です。

 

 このアルバムでキンクスは本格的にアメリカの南部サウンドに接近しています。ただ、レイドバックした雰囲気も感じさせつつも、肉感的な力強さも同時にあるんですよね。このあたりの感覚は、ザ・バンドの良さをしっかりわかってる感じがするなと思って、聴いてて感心しましたね。この当時、ほかにもイギリスから南部サウンドに接近したものが少なくなかったんですけど、僕の中ではこれとストーンズの「メインストリートのならずもの」が双璧ですね。レイ・デイヴィスって、「きわめてイギリスの庶民っぽい」という言われ方をされる人ですけど、もともとはアメリカの音楽やカルチャーにすごく造詣の深い人で、その良さが出ていると思います。

 

 60年代のキンキー・ビートとはまた違う、ロックンロールの別の側面でのカッコ良さを聴かせている作品なので、実はもう少し上位も考えていたんですけど、ちょうどいい手の打ち方があったのでそれに準じました。

 

 

5.Arthur(Or The Decline Or Fall Of The British Empire)(1969 US#105)

 

 これもキンクスを語る際に外せない作品ですね。「アーサー、もしくは大英帝国の衰退並びに滅亡」。これも、ややこしい邦題ゆえに覚えたタイトルでもあります。

 

 これはキンクスの数あるコンセプト・アルバムのうち、筆頭クラスに大切なものですよね。やっぱ、「イギリス人らしさ」をテーマに据えさせるとレイは強いと言うか。いざ、話を組み立てさせたら、安っぽく終わることも少なくない彼なんですが(笑)、これに関しては、大英帝国黄金期から世界大戦、そして現在と、歴史軸もすっかりしてますしね。第2次大戦後に多く、現地で多くのアーティストも生んでいる英国人のオーストラリア移住の話なんかも「ああ、こういう感じで起こってたのね」と思えたりもして。

 

 もちろんシアトリカルではあるのだけれど、そこで彼ら持ち前のロックンロールが崩れることなく「ヴィクトリア」や「シャングリラ」といった見事なロックンロール・チューンがあるのも良いです。

 

 

4.Everybody's In Show-Biz(1972 US#70)

 

 これも「この世はすべてショー・ビジネス」のタイトルの方がしっくり来ますね。RCA移籍の第2弾で、彼らにとって初の2枚組です。

 

 これが僕、というか多くのキンクス・ファンに必要な理由。その1は「セルロイドの英雄」の存在ですね。レイが子供の頃から描いている、ショウビジネスやアメリカへの憧憬を、この時点でも既に十分美しきノスタルジアに包まれていたグレタ・ガルボなどの1920〜30年代のハリウッド・スターの話を物語ることで語るこの曲はレイのリリックの中でも最高傑作のうちのひとつですね。ライブでも欠かせない定番になっています。

 

 そしてふたつめは、やっぱりディスク2のライヴ盤ですね。すっごく骨太でシャープなライブでの彼らの真骨頂が出たものなんですけど、その中核をなしてる楽曲こそ「Maswell Hillbilies」からの曲なんですよね。こっちでのアレンジの方が良いんです。だから、こっちの方をあえて上位に選んだんですよね。

 

 

3.Face To Face(1966 UK#12 US#135) 

 

 

 ここからはジャケ写つきで行きましょう。僕はシングル・ヒットをイギリス国内で連発させていた60年代半ばのキンクスに目がないのですが、これはその後半の時期に出された重要なアルバムです。

 

 シングルとしては、ちょうど直情的なキンキー・ビートから一歩踏み出して、「A Well Respected Man」とか「Dedicated Follower Of Fashion」とか、ディランに代表されるフォークロックからの影響が感じられる曲が出はじめて、それによってレイのアイロニーたっぷりの詩人ぶりが開花しはじめた時期です。

 

 そんなときに出されたこのアルバムは、「ロック史上最初のコンセプト。アルバム」とも言われている作品ですね。まあ、コンセプトといっても大掛かりな物では決してないんですが、それでも、「ロックスターとしての喧噪」が最初で描かれ、「田舎でのスロー・ライフに憧れる」というくだりは、後のキンクスのキャリアで何度もくり返し出てくるものであり、ここにひとつの大きなアイデンティティの形成が見て取れます。そして、その話のオチが、シングルで全英1位にもなった超名曲「サニー・アフタヌーン」で、「日光浴の日差しまで税金で持って行かれる」と、優雅な暮らしだって世知辛い、というとこまで含めて完璧です。

 

 ここからがキンクスらしくなってくるのに、ここから人気が落ちてしまうのも、またキンクスらしいとこです(笑)。

 

 

2.The Kink Kontoroversy(1965 UK#9 US#95)

 

 

 2位に選んだのは1965年発表のこのサード・アルバムです。

 

 よくこういう企画だと、いわゆる1967年以前の作品って、「いわゆるアルバムの時代の前で、シングルの寄せ集め的な時期だった」として上位に選ばれない傾向があるんですけど、僕はそれに真っ向から反対です。たとえ、アルバムが優先されていなかった時期でも、収録曲が普遍的に物語る力もちゃんとあるわけで、僕はそういうのを無視したくはありません。このことは今後、60年代から活躍するアーティストを語る際にもしっかり適用していくつもりです。

 

 このアルバムは、「ユー・リアリー・ガット・ミー」からのキンキー・ビートがひとつのピークを迎えたときの作品ですね。「Everybody's Gonna Be Happy」「Set Me Free」「See My Friend」と、このアルバムには入らなかったけれど傑作シングルが連発されていた時期のレコーディング作だし、加えて本作にも入っている「Till The End Of The Day」こそ、キンキー・ビートの最高傑作だと僕は思ってます。

 

 それ以外にも、キンクスのアイロニーがキンキー・ビートと一体となった「Where Have All The Good Times Gone」や、スリーピー・ジョン・エステスのブルース・カバーながらも、そのパンキッシュなアレンジで、後にエアロスミスが子のヴァージョンを元にしてカバーした「ミルク・カウ・ブルース」など聴き所満載です。パンクやガレージを愛する人たちにこそ、50年経っても色褪せないプリミティヴなロックンロールを聴いて欲しいものです。

 

 

1.The Kinks Are Village Green Preservation Society(1968)

 

 

 そして1位に選んだのはこれです。「ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェーション・ソサイエティ」。

 

 これを1位にしたのは、これほどキンクスらしさが1枚に凝縮された作品はないから。サイケデリック大全盛の時期に「田舎が最高だ!」と叫び、結局,その後、ヒッピー的な多くのアーティストが結果的に追随するというひねくれぶりと先進ぶり。また、そうであれいながらも、ややレイドバックした感じも垣間見せつつも、キンクスらしい豪快なロックンロールは失われていないところといい、コンセプト・メイカーとしてのレイの手腕といい。ここにはみんなひとつになって入っています。

 

 特にミック・エイヴォリーのふりかぶりと手数の多くなったドラムと、シャープなアコギのギター・リフがカッコいいんですよね。「Do You Remember Walter」や「Picture Book」「Johnny Thunder」といった前半部はソレで持って行くし、後半になれば「Starstruck」「Village Green」みたいなメロで聴かせる曲が光ってくる。惜しむらくは、この時期にシングルでリリースされた名バラード「デイズ」を入れてくれれば言うことなかったんですけど、仮にそれがなかったにしても本作はアルバムとして完璧です。

 

 ただ、そんな、キャリア史上最高のアルバム(僕がそういってるだけじゃなく、多くの人がそう指摘している)にもかかわらず、これがチャートインさえされていなかったところがキンクスらしいし、その作品をベースにして壮大な続編的ロックオペラ作ったら、ファンにさえ不評の大失敗作になってしまった、というとこのオチまでキンクスらしいです(笑)。僕が「プリザヴェーション」をワーストに選んだのも、ベストのこの作品との対をなしたいと思ったからでした。

 

 

 ・・といった感じですね。

author:沢田太陽, category:FromワーストTo ベスト, 13:24
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