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BTS(防弾少年団)の新作を「非英語圏の重要な101枚のロック・アルバム」に選ばなかった理由

どうも。

 

今日は旬な話題をしましょう。

 

 

ビルボードで、アジア系アーティストで初の全米アルバム・チャートの1位に輝いたBTSですね。日本だと防弾少年団っていうんですか?なんか違和感あるけど、とりあえず、BTSで統一して話をしますね。

 

 

このBTSのアルバム、「Love Yourself Tear」が昨日発表になったビルボードの最新のアルバム・チャートで1位になりました。さらに

 

 

このシングル「Fake Love」も全米シングル・チャートで初登場で10位になりました。いやあ、すごいことだと思います。

 

 

ただ、このアルバムが1位になるであろうことは、発売の時点で予想されていて、そういう記事も出回っていたので驚きはなかったんですよね。かなり大きくプロモーションもしてたしね。これが出たばかりのタイミングでビルボード・ミュージック・アワードに出て、大きくフィーチャーもされていましたからね。

 

 

で、これが出たのが5月18日のことでした。で、すぐに1位になることもわかっていました。

 

そこで

 

えっ?

 

と思った、あなたは鋭いです!

 

だったら、「非英語圏の101枚の重要なロック・アルバム」に入れるの間に合ったんじゃない?

 

そう思われるかもしれませんね。はい、そうです。実はですね、今回

 

 

そのことを事前に知っていながら、あえてそこにBTSを選ぶことをしませんでした!

 

「え〜、なんで〜。ドンピシャのタイミングだったのに、もったいないじゃん!」と思われる方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、なぜ、僕がこのアルバムを選ばなかったのか、それについて話すことにしましょう。

 

 

とはいえですね、これ、実は最初から無視していたわけではないんですよ。だって

 

 

一応、「聴いてみて、よかったら差し替えで入れる」ことは考えましたから。

 

 

差し替えるに当たっても、ちょうどよかったんですよ。なぜなら、今回のリストの最後は韓国のヒョゴだったし、いずれにせよ、今の世界の音楽シーンでの勢い上、韓国勢で最後を締めることは最初から決めていましたから。

 

 

そこで、BTSとヒョゴとの比較となったわけですが、それにプラスして

 

 

この、セイ・スー・ミーという、4月にインターナショナル・デビューした韓国のシューゲイザーのバンドのアルバムがあって、これがなかなかよかったんですよね。なので、彼らも加えて聞いてみることにしました。

 

 

まず、BTSですが、聞いた印象は

 

「R&Bのアメリカでの流行りは一通りやってるな」

 

という感じでしたね。そのクオリティも悪くない。出来としては良いです。

 

が!

 

「この3ヶ月のトップ10に入れたい」とか「年間アルバムTop50に選びたい」とまでは思わなかったんだよなあ・・。

 

なんかですね、どれも「及第点」ではあるんですけど、病みつきになりそうなくらい好きな曲が見つからなかったんですよね。そこが物足りなかったなと。

 

 ・・と、そういう状態なのに、本来、「ど真ん中でロック」をやってるわけでもないアーティストを、いくら「非英語」ってとこでタイムリーな瞬間ではあるものの、自分のロック観まで良くない意味で変えてしまいかねない判断をするのはどうなのかな、と思いましてね。

 

 僕はもともと、「70年代の昭和の日本の歌謡アイドル」で育った(ここが80年代じゃないところに微妙に差別化の意味があります)からアイドルということにはそこまで否定的ではないし、洋楽でも、マイケル・ジャクソンとかマドンナで育った世代です。そんな僕にとって、マイケルとマドンナはもう余裕でロックとして「アリ」です。両方とも存在が「ジャンル」とかそういうのを超えた規格外のエンターティナーだし、音楽も、マイノリティの立場を逆転させるような革命児的な要素もあるし。でも、マイケルとマドンナはアリでも、ジャネット・ジャクソンは微妙にアウトで、ホイットニー・ヒューストンならキッパリ入れない。そういうこだわりもあります。それはいうと細かくて、「ジャネットは、ついてるプロデューサーは先進的だと思うけど、本人自身は果たしてすごいのか?」、ホイットニーなら「別にR&Bとしても先進的なわけじゃなかった」というのが理由かな。

 

 で、今日のアイドルで、僕が個人的に「この水準に達してるか近かったら、オッケーにしよう」と目安にしている作品が2枚あります。それがコレです。

 

 

 

ジャスティン・ティンバーレイクの「Justified」にリアーナの「Good Girl Gone Bad」。この2枚が世に出た時のインパクトに匹敵するくらいのクオリティが果たしてあるか。そう考えた時に「ううむ」となるんですよねえ。これに関しては、アリアナ・グランデとかカミーラ・カベーロとかも、いい線は行ってるんですけど、まだ彼女らとて追いつくレベルだとは個人的には見ていない。なので「キツいかなあ」と思ったんですね。

 

 

あと、2010年代以降に、インディの聴き手が急にアイドル評価し始めたのとかも個人的には違和感あってですね。僕としては「アイドルなのにいい」というスタンスはずっと変える気はないし、「やはり自作自演こそが理想的」と思うタイプなんですが、最近のそういう人たちのアイドル評価の中に、ややもすると「いや、アイドルの方が方法論として今は優れているんだ」みたいなものをすごく証明しようとする類の人までいるでしょ?そういうのも、したければすればいいとも思うんですけど、僕は正直関心ないです。

 

 

あとですね、もうそれより先に

 

 

もうすでに、Spotifyリストのみですが、Bigbang をすでに入れてしまっているから、というのもあるですよね。

 

 

Bigbangは90年代のソテジというアーティストの代理で入れてます。実はこれはかなり意味のある代理選出なんですが、詳しくはソテジのレヴューで語ることにして、そういうこと抜きでも、今の韓国のボーイバンド、ガールバンド・ブームの中でもBigbangって先駆者じゃないですか。そこを評価したのと、G-DRAGONのラップって、一度耳にしたら忘れない強い個性も感じられる。だから、こっちは割とスンナリとリストに加えられたんですけどね。

 

 

でセイ・スー・ミーとヒョゴで選ぶことにしたんですが、バンドとしてはセイ・スー・ミーの方が洗練はされてます。だけど、割と型どおりの女の子シューゲイザーという感じで、もう少し独自性を感じたかったんですね。今のままだと、一部のインディ好きだけが聞いて終わって、韓国本国での人気にもフィードバックされないだろうと思ってですね。その意味でヒョゴの方が、オリジナリティを持ちながら、広がるところには広がる気がしたので、結局、当初の予定どおり変えないことにしました。

 

 

 

 

 まあ、でも、これ、あくまで「2018年5月の判断」に過ぎないですけどね。もしBTSがこの先、ものすごく革新的で先進的な存在にでもなろうものなら、その時には差し替えるかな。でも、それは今回のアルバムではないとは思いますけど。

 

 

 でも、誤解のないように言っておくと、BTSの全米アルバム・チャート1位、これは素直にすごく嬉しいんですよ。やっぱ、「ポップ・ミュージックの世界って、言語の格差、ちょっと大きすぎるよね」と思うからこそ、「101枚」の企画を思いついたわけだし、今回の偉業により、少なくともアジア系のアーティストには間違いなく励みになるわけですからね。

 

 

author:沢田太陽, category:非英語圏のロック・アルバム, 14:03
comments(2), trackbacks(0), - -
Comment
何年もブログは拝見させて頂いて、辛口も興味深く納得出来ますし、参考にさせて頂いております。
今回の記事も大変面白かったです。こだわりが素晴らしいです!
追伸
もしや血液はB型ですか?(笑)
又、毎度楽しみにしております。
rabbit, 2018/06/03 7:30 AM
音はR&Bを良く研究し戦略も練られ、他国に自然と入り込むのは政治的にも同様試行で流石である。日本は言葉的にリズムが合わないのかなぁ? リードされた感と言うか劣等感を味わった気がします。此処でも取り残されたと思ったのは私だけかあ?
ニック, 2018/06/03 8:14 PM









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