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沢田太陽の2018年1月から3月のアルバム10選

どうも。

 

 

これ、去年もやったんですけど、今年もやります。

 

これです!

 

沢田太陽の2018年1〜3月のアルバム10選

 

 

これを4〜6月、7〜9月もやって、今年の年間ベストにつなげたいと思っています。

 

 

今年も、最初の3ヶ月のトップ10、と言っても明確な順位はまだないんですけど、10枚選んでみたらこうなりました!

 

 

 

 

 

こんな感じで、面白い10枚が選べたと思っています。今回の場合、明確な順番はまだないと言いましたが、頭に思いついた順番にかなり直感的に選んでます。なので、最初の2枚くらいは実は順番があり、今回はこの分割画像でも、その思いつき順で作っていたりします。

 

 

では、その、最初に思いついたアルバムから見ていきましょう。

 

 

 

Golden Hour/Kacey Musgraves

 

 もう、まずはこれですね。というか、1位はこれしかない!それが出たばかりのケイシー・マスグレイヴスのアルバム「Golden Hour」。

 

 彼女は何年か前にグラミー賞の新人賞にノミネートされててそこでパフォーマンスもやってたので覚えてましたが、その時は「すごくガーリーな雰囲気のある子だけど、正統派なカントリー」という印象でした。ところがこのアルバムでは、基本線はカントリーらしさを残しつつも、アレンジがとにかく絶妙なんですよ!声をオートチューンっぽく加工したり、スネアが末期ビートルズみたいな余白の多いスカスカ感を出していたり、ペダル・スティールにファズをかけたり、曲によっては16ビートのディスコ調があったり。完全なる「オルタナティヴなカントリー」です。ぶっちゃけ、テイラー・スウィフトがあんなカッコ悪いラップなんてやらなくてこう言う路線で行くべきだったんですけどね。最近のテイラーに失望している僕みたいなタイプの人が引き合いに出してくることに宿命的になるような気がします。

 

 加えてこれ、アレンジだけじゃなくて、曲そのもののクオリティが抜群に高い。なんかすごく職業作曲家みたいな、絶妙なポップソング書くんですよね。最初、元ニュー・ラディカルズのグレッグ・アレクサンダーが曲書いてるのかと思ってクレジット調べたほどですもん。書いてはなかったんですけど、彼が好んで使いそうなコードの曲が2曲くらいはありましたね。2、3年前くらいにカーリー・レイ・ジェプセンのアルバムがソングライティング絶賛されてましたけど、僕から言わせてもらえば、あれよりは断然こっちの方が上ですね。「ダイヤの原石」じゃないスキルがちゃんと伴った感じがあるというか。

 

 これ、クレジットよく見たら、一緒に作ってるの、ザ・ビーズでした。彼らは200年代の中頃に出てきて注目されたアメリカ南部のインディ・ロックバンドで、60sのマニアックなガレージロックっぽいことやってアルバムが評価され、確かフジロックにも来てるはずですが、そんな彼らがこのアルバムでは全編に渡ってプロデュース。曲も7割がた彼女と一緒に書いています。そういう意味でも、知名度だけある人を色々取っ替え引っ替えして作ったんじゃなしに、確かな実力のある人たちと腰を落ち着けて作った意味でもすごく好感が持てます。

 

 今、いたるところで大絶賛を受けていて、来週、英米で共にトップ10以内で初登場もしてくると思うので是非注目しててください。最近はもう、こればっかり聞いています!

 

 

 

Songs Of Praise/Shame

 

 あと、これも大好きですね。ロンドンのバンド、シェイムのデビュー・アルバム。年明けはこればっかり聴いてた時期がありました。

 

 彼らはまだ20歳そこそこくらいのすごく若いバンドでかなりイキのいいロックンロールを聞かせてくれています。言うなれば、ジョー・ストラマーがエコー&ザ・バニーメンの曲を激しめのアレンジで歌ったような、そんな熱さとメランコリーが同居したタイプのサウンドを聴かせてくれています。曲自体もすごくよく書けていて、「One Rizla」「Tasteless」「Gold Hole」とステージ・アンセムになれるような曲が多いですね。

 

 これだけの才能がありながら、イギリスでのメディアの注目の遅れや、現在のUKロックに対しての世間全体の期待値が低くなっていることもあって大絶賛されながら全英で最高32位でした。ただ、それ以降もメディアから注目されているし、フェスのブッキングも少なくないし、おそらくはマーキュリー・プライズの頃にまた注目されると思います。

 

 これに関して、例えば「2000年代にこういうのよくいたじゃん。まだ、こういうことやってるの?」みたいなことを言う人もいるかとは思います。わからないではありません。でも、彼らがここで繰り出しているグルーヴや刹那的なスピード感、これはロックの中のk狭義のジャンルを超えたもので、いわゆる「普遍的なロックンロール」というヤツです。表面的なサウンドにこだわるあまり本質を見誤らないようにしなくちゃならないなと、彼らを聞くたびに思いますね。

 

 

 

Dream Wife/Dream Wife

 

 あと、シェイムと同じ頃にこれもよく聞きましたね。UKロックの新人では、シェイムと、このガールズ3人組のドリーム・ワイフでしたね。

 

 彼女たちもシェイム同様、アルバム・タイミングまでメディアの注目が遅れて、全英で60位とチャート的にはパッとはしなかったんですけど、このアルバムもすごく絶賛されて次に期待を残しましたね。そのあとで積極的にツアーしているのもいいです。

 

 彼女たち、なんで注目がそんなに遅れたのか謎なくらい、バンドとしての華、すごくあるんですけどねえ。ちょっと男役チックなカッコいい系のオネエさんをギターとベースに従えて、映画「クルーレス」でのアリシア・シルヴァーストーンを思わせる、ブロンド・ロングヘアの女の子がフロントというフォーメーションがまずいい。そして、すみません、この子、未だに名前の読み方がよくわかってないんですけど、アイスランド出身のヴォーカルの子の、舌ったらずな、よくわからないけどすごくクセのある耳に強烈に残る「ワッ、パ〜ッン」っていう歌い方。すごく個性あると思うんですけどね。

 

 あと、このアルバム、ガールズ・バンドによるザ・ストロークス解釈でこれの右に出るもの、ないですね。ギターのフレージングとパスパスのドラムの取り方が非常によく研究されていると思います。この辺りの感覚に関して言えば、今時の野郎のバンドよりも数段上です。

 

 

 

Twin Fantasy/Car Seat Headrest

 

続いて、アメリカのバンド、行きましょう。まず一つは、これはもう文句なしにカーシート・ヘッドレストですね。昨年はちょっと前にピッチフォークで期待された類のUSインディ・ロックバンドが軒並み大惨敗みたいな印象を残した年でしたが、そうした中でUSインディの若手に救世主的存在を求めるとするなら、このヴァージニアの鬼才、ウィル・トリード率いる彼らがベストだと思いますね。

 

 彼ら、というか、ウィルに関しては僕は前作の「Teen Of Denial」の時から非常に高く買ってましたね。サウンドそのものは、ストロークス、ペイヴメント、彼の声ゆえにベックといった、USのインディ・ロックの王道も王道を歩むタイプのバンドではあったんですが、曲に抜群のスケール感があり、それを長尺でフリー・フォームに発展させることができるところに、かなり非凡な才能を感じ、その年の僕の年間トップ10に入れさせてもらいました。

 

 今回のアルバムは、これまで短期間に大量に自主制作同然の状況で発表してきたアルバムの中から、2011年、彼がまだ10代の時に作ったアルバムのリメイクという形で発表されたものですが、その元は僕は聞いていないんですが、もう、純然たる新作として聞いてききごたえがあったし、前作で垣間見せた楽曲構築力とスケール感は前作を上回る勢いで進化していましたね。今のアメリカのインディで、ここまでギター・ロックを自在に表現、発展させることのできるバンド、ズバリないです。

 

 才能の割に一般的になかなか注目されないなと思っていたら、今回のアルバムでようやく英米で共にトップ100にランクイン。ここを機に、まだまだ成長して行って、アメリカのインディの顔にまで最終的にはなっていくバンドだと僕は信じてます。

 

 

 

Twenty Two In Blue/Sunflower Bean

 

 アメリカからもう一つ行きましょう。それがニューヨークはブルックリンの紅一点ヴォーカルのトリオ、サンフラワー・ビーンのセカンド・アルバムですね。

 

 彼らは2016年にデビューしてて、その時にも聞いていますが、まだその頃は、「10代」という話題性の方が先行している感があって、まだ曲のクオリティが追いついてないなと思ったんですが、タイトルの通り、22歳を目前に作ったこの2枚目で大きく伸びましたね。

 

 前作の頃には、彼らがどういうバンドになっていきたいかのヴィジョンみたいなものが正直見えなかったのですが、今作はわかりやすく言うならザ・スミスのような繊細なギター・サウンドに乗って、フリートウッド・マックのようなソフィスティケイトされたギター・ポップをやりたいんだな、というのがしっかり伝わりましたね。ジュリア・カミングスの透明感あふれる歌声はそれをやるのにすごく向いているし、時折ぶっきらぼうなヴォーカルと、意外とガッツのあるフレージングのギターを弾くニック・キヴレンの地味ながらも光るセンスも、まだリンジー・バッキンガムには遠く及びはしないものの将来を期待させる何かは確実にあります。

 

 この一作で、インディ界隈に他にいないタイプのバンドにうまく成長したと思います。惜しむらくは本国アメリカの現在に彼らを受け止めるマーケットがないこと。幸いイギリスで注目され始めてて、全英で39位まで上がったので、ヨーロッパを中心にファンをつけて行って欲しいですね。

 

 

Gamboot Soup/King Gizzard&The Lizard Wizard

 

続いては、キング・ギザード&リザード・ウィザード。本国オーストラリアではすでにカリスマで、英米でもまだ少数ながら熱心なファンベースを持つバンドです。

 

 この名前やジャケ写のセンスから判断して「かなりクセのありそうなマニアックなバンドそう」と思われた方、あたりです(笑)。彼ら、まだ若いとは思うんですけど、アルバムで展開される世界は60sのガレージ・サイケで、そこにジェスロ・タルを彷彿とさせるフルートが乗ってきて、プログレ的な味わいも添えています。唯一違うのは手数の多いリズミカルなドラムで、そのグルーヴ感ゆえに現代性を保持している感じですね。

 

 で、このアルバム、実は昨年の暮れに出たアルバムではあるんですが、これが彼らが昨年出した5枚のアルバムの5枚目なんですよね(笑)。これだけでかなり多作であることがわかると思うんですが、これだけ出してようやくソングライティングがほぐれてきたか、すごくメロディックでいい曲は揃ったアルバムなんですよね、これ。しかもサイケデリックな気鋭の実験精神はそのままで。今、オーストラリアといえばテーム・インパーラが国際的なフェスでもかなりビッグな存在になっていますが、この過去と現代を交錯させる感覚や、ミニマルなグルーヴと繊細なメロディを組み合わせる妙味とか、いったいどこで学んで体得しているんでしょうね。

 

 去年の年間ベストの後に出た作品なので今年の対象作としてこれを選んでいますけれど、年内には次のアルバムが出て、そちらと入れ替えることになるんじゃないかと思っています。

 

 

 

Black Panther/Original Soundtrack

 

 今年最初の3ヶ月で最大の話題の映画となると、誰に聞いてもそれは「ブラック・パンサー」だと思うんですけど、優秀なのは映画だけでなく、このサントラも同様でしたね。

 

 映画の方も、今のアメリカの黒人映画界の若手の精鋭たちのオールスター・チームで臨んだ意気込みが感じられてそこも人気の理由の一つになっていると思っているのですが、このサントラも、結局全曲で何らかに関与したケンドリック・ラマーを中心として、今のR&B/ヒップホップの選りすぐりの精鋭たちが一同に会した、「今の黒人の若いジェネレーションの優れた音楽を聴いてくれ!」と言わんばかりのパッケージ感覚がこれまた素晴らしいです。ウィーケンド、SZA、カリード、フューチャー、スウェイ・リー、トラヴィス・スコット、ヴィンス・ステイプルズ、ジョージャ・スミスに加え、アフリカの架空の国ワカンダを舞台にした映画らしく、南アフリカのR&B/ヒップホップのアーティストを数多く参加させ、黒人たちんハートがアメリカとアフリカで離れていながらもしっかりつながっていることをアピールするかのような連帯アピールもよかったですね。

 

 それからサントラらしく、劇中での映像イメージがちゃんとサウンドに反映されていて、アフリカの伝統的なリズムと掛け声、「影の技術大国」ワカンダを象徴するようなエレクトロ・ビート。これらにもすごく説得力がありましたね。

 

 この、「今のブラック・カルチャーの最高の旬どころ」を初心者にもわかりやすくアピールしたことこそがこの映画の最大の魅力でもあります。ただ、この3ヶ月はそれが強すぎたか、他のR&B・ヒップホップの存在感が勢い小さくなった気もします。

 

 

 

Clean/Soccer Mommy

 

この3ヶ月で全く予期しなかった思わぬ収穫といえば、このサッカー・マミーですね。シンガーソングライター、まだ学生なのかな、ソフィー・アリソンによるプロジェクトです。

 

 僕は彼女のことは、このアルバムのレヴューが出るまで知らなかったのですが、他のところで賛否が割れてるところにピッチフォークが絶讃していたのでどんなものかと思って聞いてみたら、これがあたりでしたね。僕にとって、今年あのメディアと初めて波長があったなと思った瞬間でもありました。

 

 彼女、とにかく歌が下手でパフォーマンス自体はかなりヘロヘロなんですが、とにかく、曲の完成度と構成のセンスが抜群です!おそらくは本人もクセで無意識のうちにたまたま抑えてしまっているシャレたギターのコードで思わぬ名曲を書いている。そんな趣ですね。彼女自身の演奏でどこまで掴むかは現状の実力上、まだ難しいかなとは思うのですが、これ例えば、ソングライターとして外部に提供でもすればかなりの注目を集められそうな気がしています。

 

 

 チャートなどには入っていませんが、方々で「今年のベストの1枚」としてこれを選んでいる人が多いので、彼女の天性の才能が理解されるのは案外に近いのかもしれません。

 

 

 

Victory Lap/Nipsey Hussle

 

 チャート上では国際的に猛威を振るっていたR&B/ヒップホップでしたが、ただ、そこまで内容が良かったのか、となると、この3ヶ月は正直なところ弱かったですね。その中で何か1枚あげようと思ったら、このロサンゼルスのラッパー、ニプシー・ハッスルのアルバムになりましたね。

 

 このアルバム、何がいいかというと、今時猫も杓子も誰でもやるようになっているトラップやマンブル・ラップに陥ることなく、「現代版Gファンク」ともいうべき90sのウェスト・コースト・ラップをエレクトロのビートの鮮度を上げ、そこにオーガニックな感じも加えて進化させた趣は良いですね。あと、ラッパーとしてのライムの歯切れがこの人、すごくいいんですね。流行りのサウンドやラップ・スタイルに惑わされることなく、確固とした自身への実力の自信を感じさせるアルバムでしたね。

 

 参加メンツもケンドリックからシーロー、さらにはパフ・ダディと、豊富でバラエティに富んだものとなっていますね。ニプシー自身、すでに30歳を超えたベテランなので、ガチな実力勝負にこだわるのがよくわかりますね。

 

 今のトラップ勢でも、良い曲はたくさんあるとは思うのですが、波に飲まれない芯の強さみたいなところには共感しますけどね。

 

 

 

Tearing At The Seams/Nathaniel Rateliff&The Night Sweats

 

 最後の1枚、何にしようか迷いましたが、ナサニエル・レイトリフのアルバムで。

 

 今回、入れたいアルバム、もっとあったんですよ。詳しくは明日書きますが、10枚に対して20枚近くのアルバムを候補として考えていたほどなんですね。

 

 その中では、これがその中のどれとも違う魅力があるので、選んでみました。タイプとしては、ここ最近のクリス・ステイプルトンとかスタージル・シンプソンみたいな、「カントリーには属しているけど、クラシック・ロックやインディ・ロック界とのコラボも歓迎」みたいなアーティストに近い立ち位置ではあるんですが、ナサニエルの方はもっと60sと70sのサザン・ソウルにこだわっている向きがあります。その証拠に、彼が現在所属しているレーベルは70sのサザン・ソウルの名門レーベル、スタックスですからね。権利関係はよくわかりませんが、名義を復活した記念すべきレーベルの代表的アーティストとしてアピールしているとこですね。

 

 現在、アメリカのラジオ局では、この中から「You Worry Me」という曲がよくオンエアされていて、実は僕もそのタイミングでナサニエルのことは発見しています。この曲が、キングス・オブ・レオンとデイヴ・マシューズを足して2で割ったみたいでカッコよく、それで「アルバムまで聞いてみたいな」と思った矢先に出たのがこれだったんですよね。アメリカではもう少しでトップ10入りの11位のヒットとなっています。

 

 最近は本当に、新人でも自分より年上、というケースまであったりするのですが、本当に音楽をプレーする世代が多様化し、多少歳を食っていても「今からでも遅くない」とばかりにいろんな才能がウェエルカムされていますね。ナサニエルも40手前でのブレイクとなっています。

author:沢田太陽, category:2018年間ベスト, 13:17
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Comment
ケイシー最高ですね。1stから好きでしたが今作も珠玉の楽曲の数々。先行シングルが良くて期待してました。既にメディアに比較が出てるみたいですが「golden hour」ってタイトルでBECKの「golden age」が思い起こされました。目のつけどころが◎。
紹介された他のアーティストも聴いてみます!これからだとチャーチズの新作が楽しみです。こちらも先行が良いので期待大♪
ALI, 2018/04/06 1:55 PM









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