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映画「ファントム・スレッド」感想 こういう映画こそ、もっと見たい!

どうも。

 

では、いよいよ、オスカーの作品賞ノミネート、今年最後の作品、行きましょう。これです!

 

 

 

 

ポール・トーマス・アンダーソンの新作ですね。「ファントム・スレッド」。このレヴュー、行きましょう。

 

PTアンダーソンといえば、今の映画界にとっては、とらえどころのない鬼才というか、今。もっともカリスマ感のある映画作家として知られていますけど、さて、今回はどんな映画なのでしょうか。

 

 

早速あらすじから見てみましょう。

 

 

 

 

舞台は1950年代のイギリス。レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ・ルイス)は一流のカリスマ・ファッション・デザイナーとして知られていました。

 

 

 

彼は姉のシリル(レスリー・マンヴィル)を制作パートナーとして、かなりの富豪も顧客に持つ有名デザイナーとして活躍していましたが、同時にかなり神経質で、人を近づけないオーラに溢れていました。

 

 

 レイノルズの生活は緊張感の連続で、創造性をキープするために、生活も同じような感じできっちりと管理されていました。姉のシリルも、それに忠実に従うだけです。

 

 

 

 長く独身を続けていたレイノルズでしたが、ある日、彼は田舎のレストランで見つけたウェイトレス、アルマ(ヴィッキー・クリプス)のことを気に入ります。なんとなく話の波長が合うというのもあったし、彼にとっては彼女の体型も完璧だったようで

 

 

 自分の作るドレスのモデルに彼女を起用することもしばしばです。アルマはいつしか、レイノルズと暮らすようになっていましたが

 

 

 

 そこにはいつものように、シリルがガッチリとついていました。

 

 

 

 アルマはレイノルズの制作現場で、裁縫師たちとともに働くようにもなりますが、一緒に暮らしてはいるものの、レイノルズは2人きりのロマンティックな時間をくれないし、普段の習慣が狂うのを極端に嫌います。

 

 

 こういうのを何か変えたい。アルマはある料理を作るところから、抵抗を始めてみますが・・。

 

 

 ・・と、ここまでにしておきましょう。

 

 

 この映画はですね

 

 

ポール・トーマス・アンダーソンが「21世紀最高の名作」の誉れ高い「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」でコンビを組んだダニエル・デイ・ルイスと10年ぶりに組んだ映画、さらに「ダニエル・デイ・ルイスの最後の出演映画(ほんとかいな?)」という触れ込みで話題になっていますが、これ、どっちかというと

 

 

アルマ役のヴィッキー・クリスプの目線による映画で、実質上の主役は彼女だと思います。そういうこともあり、今回のデイ・ルイス、過去に3回もオスカーの主演男優賞に輝いているのに、今回の受賞がなさそうなのはそういうことです。

 

 

 ただ、これ、

 

「えっ、一体何の映画?」って思いません(笑)?

 

 

 実は、これ、見終わっても、ハッキリした答えがありません。でも

 

 

 だからこそ、最高なのです!!

 

 で、さらに言うと

 

 「ああ。だから、僕はポール・トーマス・アンダーソン、好きなんだな」と確信しました!

 

 

 よく考えてもみてください。最近、オスカーで話題になる映画って、誰かの伝記か、現代の社会世情に問題意識を提示した作品ばかりだと思いません?

 

 でも、

 

 

ポール・トーマス・アンダーソンって、そういう類の映画を作ったことがありません!

 

 

 過去に「モデルにした人物」というのは、「ブギーナイツ」のマーク・ウォールバーグだったり、「マスター」のフィリップ・シーモア・ホフマンとかありましたけど、それでも必ず架空の人物にして、その人の生涯を描いているわけではない。描いているのは、「ある登場人物の、ある時の話」に過ぎず、「そこにまつわる人間模様」をただ描いているだけ。そこに、「今日的な問題意識」とかをぶつけるやり方でなく「人間の性」そのものを描いている。彼の作り方って、いつもそうです。

 

 

でも、よく考えてみたら

 

 

昔の映画作家の巨匠って、ほとんどがそうです!

 

 

 それがフェリーニにせよ、イングマル・ベルイマンにせよ。キューブリックにせよ、その作品が誰かの伝記だったり、直接的にジャーナリスティックなものだったりというのはない。あくまでも描いているの「人間模様」で、そこに独自の映像美術をつけて物語を語っている。

 

 

今回だって

 

 

この美術センスなんて、息を呑むような美しさですよ!なんかその昔のルキノ・ヴィスコンティの映画見てるような絢爛さがあります。

 

ぶっちゃけ、映画の内容追わなくても、この映像美を見てるだけでもすごく魅了されます!

 

 

そして、ちょっとシュールでさえある、不思議なストーリー・ラインね。これが多様な感想を見た後で見る人に委ねさせる、大きな原動力にもなっています。これ、ジャーナリスティックなことをテーマにした映画だと、あまりにも伝え方、伝わり方がダイレクトすぎて、感想に多様性が少なくなりがちなんですよね。もちろん、そうしたジャーナリスティックな映画も必要だし、僕も好きなものもたくさんあります。でも、なんか、「いい作品=シリアスで時事的」みたいな方程式が固まりすぎると創造性を狭めてしまうし、物語にも膨らみが出ないし、ストーリーの独自性も限定されてしまう。その意味でこの映画、現状の映画製作に、無意識に一石を投じてもいます!

 

 

 ただ、それでも、この映画の感想には「なんか、意味わかんない」というのが少なくなさそうなんだよなあ(苦笑)。そこが世知辛いところでもあるんですが

 

 

 そういう人は

 

 

 

この2人の人生や愛に何を感じるか

 

 

 もう、ズバリ、それだけでいいんじゃないかと思うし、考えて学ぶところも決して少なくはないですよ。

 

 

 もっと、こういう、「直接的なアンサー」を持たない、見る人に自由な発想の余地を残す映画、もっと見たいですけどねえ。

 

 

 あと、それから

 

 

 

レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが手がけた、印象主義クラシックみたいなピアノの旋律も最高の演出をしていますよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 20:05
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Comment
今作も音楽ジョニーなんですね。なんかもうすっかりタッグ組んでるんですね、フィンチャーとトレントレズナーの様にぴったりの相棒だと思うけど、内心マンネリしないか不安です。(そんなレベルの人たちじゃないですけど笑)
アカデミーを明日に控えて、作品賞ノミネート作品で日本公開されてるものは全て見ましたが、9作中4本だけです。ファントムスレッドは5月末だしレディバードなんて6月です。既に公開したものもほぼ半年遅れ…どうしてこんなに遅いのか。とことん嫌になりますorz
しろひと, 2018/03/04 1:09 PM









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