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ライブ評 ポール・マッカートニー@サンパウロ・アリアンツ・パルケ(2017.10.15)昔、ビートルズでロックと時代の象徴。今、前人未到の最強長寿ロックンローラー!

どうも。

 

 

行ってきましたよ。

 

 

 

ポール・マッカートニー!!

 

 もう、日本では今年の4月にやったので、「もう、今さら」な人も多いかもしれませんが、そう言わないでください。僕だって、地球の裏で体験したいんですから。半年遅れてやってきましたよ。

 

 

 僕にとってはポールを見るのが、これが3回目でした。1回目はソロ初公演の1990年。2回目は2002年。ブラジルに来てから実は2回見るチャンスがあったんです。一つは2010年。その時はブラジルでのチケットの買い方が今ひとつ分かってなくて断念。そして次が2014年。今回の会場のこけら落としでもあったんですが、「行こうかな。どうしようかな」と迷っていたらソールドアウトになってしまいました。

 

 ・・というのが、表向きな「いけなかった理由」でもあったんですが、実を言うと

 

 過去の公演を美しいものとして取っておきたかった。

 

 実のところ、これが本当の行かなかった理由です。

 

 というのも

 

 2002年に見たライブがあまりにも素晴らしかったから!

 

 この時は、ポールは還暦になった年の公演だったんですけど、この時のポールの若々しさがとにかく驚異的だったんですよね。声の張りと伸びなんて30代くらいな感じだったし、加えて選曲もすごく現在進行形な感じだったんですよ。1曲目が「ハロー・グッバイ」でその次が「ゲッティング・ベター」で。あの当時の若いバンドにリスペクトされて再評価されたようなテイストがライブの全編を支配しててね。「うわっ。60代突入でこの盛り返しは、ちょっと尋常じゃないぞ」と思ったんですね。で、この時のツアーがライヴ盤にもなりまして、これもよく聞きました。

 

 ただ、僕の中では「でも、さすがにこれ以上進むと、さすがに”このまま”ってわけにはいかないよな」と思って、イメージが壊れるのが嫌だったんですね。「美しい思い出は、その絶頂の奇跡的瞬間のままで止めておきたい」。そういう気持ちがどこかにあったんですね。

 

 しかしですね。今回、75歳でのツアーで、僕の友人たちの、あまりに尋常じゃない見た後の興奮が凄まじかったんですね。いずれも僕が音楽ファンとして尊敬してるような友人ばかりで、「彼らがあそこまで騒ぐのは、やっぱきっと訳があるに違いない」と思ったんですね。で、やっぱり、もう75じゃないですか。さすがに「今後はもう、見れるチャンスはそう簡単にはない」感じにもなってくるじゃないですか。なので、思い立って、行くことにした次第でした。

 

 

 ただ、やっぱり気分は高まりましたよ。やはり、「最高のライブの思い出」と言ってももう15年前になってましたからね。そろそろちゃんと記憶のアップデイトをしたいというのがあったし、そこに加えて、絶賛の数々でしょ。「どんなことになっているんだろう」と思いましたね。だから会場にも40分くらい早く着いて、サッカー・スタジアムのグラウンドの一角で、ビートルズとポールにちなんだDJ聞きながら銅像を膨らませていました。ライブの始まる前のソワソワ感というのは僕は昔から好きで「これを忘れちゃいけない」とも思ってもいるんですが、久々に強い感じがしましたね。

 

 そしてライブは午後9時、定刻通りにスタートしました。

 

 ここからは、日本公演のセットリストとさほど変わらないので、経過で何を考えていたかを曲目とともに書くことにしましょう。

 

 

1.A Hard Days Night 2.Juniors Farm 3.Cant Buy Me Love4.Jet 5.Drive My Car6.Let Me Roll It7.I've Got A Feeling

 

  とにかくですね、

 

 序盤からいきなり飛ばすので、ビックリしました!

 

 声の方は、2007年のアルバム「Memories Almost Full」あたりから、声に震えが入るように感じられ始めていたこともあったんで覚悟はしてたんですけど、「ああ。やっぱり15年前の水準は求められないなあ」とは思いました。でも、そういう声の状態なのに、前半から高音歌い上げのシャウトも兼ねた曲を連発。「これで最後まで声、持つのかなあ」と実はちょっと心配になりました。

 

 4局目の「Jet」はポールが前半部に必ず持ってくる曲で、僕はこの曲の「♪Ah Mater want Jet to always love me」の2回目の時の2フレーズ目で「オールウェイズ・ラヴ・ミー!」とキメのシャウトを必ずやるのが好きなんですが、この日は強引になんとか出してた感じでしたね。

 

 でも、そのあとに「Drive My Car」みたいなのっけからシャウトの曲とか、「Let Me Roll It」みたいな徐々にキーが高く上がっていく曲とか、明らかに喉への負担が強い曲ばかり歌ってるんだけど、大丈夫なのかな、とハラハラしてました。ただ、そうでありながら、一旦ベースをギターに持ち替えたりすると、スムースにソロを決めたりするから、こういうところはもう、なんというか、本能が永遠のロッカーなんだな、と思ってみましたね。でも、こんなメンテナンスがなかなかに難しい曲調の曲をこの年までやり続けてることって改めてすごいことだったんだな、と改めて感心しましたね。

 

 

8.My Valentine9.Ninteen Hundred And Eighty Nine10.Maybe I'm Amazed

 

 ここはピアノの3曲。今の奥さんのナンシーに捧げた「My Valentine」でしっとり行くかなと思っていたら、そのあと2曲はまた元気に歌い上げちゃっています。すごいなあ。

 

 「Maybe I'm Amazed」もポールのライブでは絶対やる定番で、僕は2Kオーラス目のサビの「♪Maybe I'm A man and Maybe you are the only woman」の後に「who could ever help me!!」という、激烈に難しいシャウトがあるんですが、小さい声になりながらも、ちゃんとやってはいました。キーも全く下げないし。なんか、すごいな、と思い始めました。

 

 

11.We Can Work It Out 12,In Spite Of All The Danger13.Love Me Do 14.And I Love Her 15.Blackbird16.Here Today

 

 

 そして次はビートルズにちなんだ楽曲をアコースティック・ギターで。序盤がロックのアップテンポで、次がピアノで今度がアコギ。ポールの音楽の多面性を見せるにうまい進行だと思いましたね。

 

 そして、ここくらいからトークがガンガンに増えますね。元々、客とのやりとりが大好きなポールですが、用意してきた紙を見ながらポルトガル語で曲目紹介しようとして、ブラジル人の心を掴んでましたね。各国でも同じような感じでやってるみたいですけど、ブラジルにはポールが家の一つを買ったという事情がありまして、2011〜13年は、ブラジルの地方都市ばかりを交代でいくという不規則なツアーもしてたほど。ブラジルには気心も打ち解けてる感じもありましたね。パフォーマンスでは「And I Love Her」でお尻をカメラに向けて振る、なんてサービスもありました。「Blackbird」の曲紹介なんて、「公民権運動に触発されて」なんて、ポルトガル語で言いにくいものまでちゃんと律儀に紹介もしていましたね。

 

 

 そして、ここくらいから、ビートルズ色が俄然強くなりますね。ビートルズ前のクォリーメンの曲(In Spite..)、プロデューサー、ジョージ・マーティンとの思い出の曲(Love Me Do)、そしてジョンの死後に捧げた曲(Gere Today)・・。オーディエンスのセンチメンタルな気分が上がってきました。

 

 

17.Queenie Eye 18.New 19.Lady Madonna 20.Four Give Seconds

 

 ここからは「最近のポール」ですね。2002年との比較で言った場合、確実に言えることは「その時点での最新曲のレベルがずっと高い」ということですね。そこは、前に見たときより、黄金期の曲との落差を感じることなく楽しむことができました。

 

 前見たときも、最新曲、決して悪くはなかったんですけど、でも、やっぱり、ポールが「こういう曲、書いて欲しい」と言いタイプの曲がまたポンポンと書け出したのは2005年の「Chaos And The Creation In The Backyard」からだと思うんですね。その意味で、「いまのポール」がしっかり表現できているのはいいなと思いましたね。返す返すも「NEW」ってアルバムは良かったですからね。

 

 「Four Five Seconds」も、かつてスティーヴィー・ワンダーやマイケル・ジャクソンと共演した人の現在地、みたいな感じで良かったですね。

 

 

21.Eleanor Rigby 22.Iwanna Be Your Man 23.Being For The Benefit For Mr.Kite 24.Something 25.A Day In The Life  26,Obladi Oblada

 

 

 そして、いちばんグッときたのが、このビートルズ・コーナーの第2弾でしたね。今年で50周年のサージェント・ペパーズのこと、ジョージやリンゴとの思い出も交えながらビートルズの持ってた多面性を紡いでいく感じがね。

 

 ここでのポールからは「もう、直接ビートルズのレガシーを伝えられるのは自分しかいないんだ」という強い意志と責任感を感じましたね。僕も聞いてて「これがこうやって、当事者から直接聞ける時間も、もうかなり貴重だよな」と思って、身の引き締まる思いがしました。

 

 いつまで経っても不死身のポールを堪能すると同時に、「ビートルズの最終継承者」としての意地とプライドも感じられて、ここは何度もグッときましたね。

 

 

27. Band On The Run 28.Back In The USSR 29.Let It Be 30.Live And let Die 31.Hey Jude

 

 ・・と、そんな感傷的な気分になりかけた時に、間髪入れずに「Badn On The Run」ですよ。なんか、そこには「ビートルズを伝えたらそこで終わり、ってワケでもないんだよ」という、現役のバンドで走り続けポールの意地を感じましたね。そのあともロックンロールの「Back In The USSR」がそこに続いてね。

 

 そして「なすがままに(Let It Be)」、さらに「殺るか、殺られるか(Live And Let Die)」と言うのも、ポールのバンド人生のステートメントみたいでカッコ良かったですね。そして、「Live And Let Die」のおきまりの爆破演出の煙と爆音を耳を塞いで煙たがるユーモアも見せながら、アンコール前の最後はおなじみの「Hey Jude」。30曲を過ぎて、このころには、声のことなんて、すっかり忘れていました(笑)。だって、もう、ここまでしっかり歌いきってるんだもん。これ以上、何を気にすることがあろうか、という感じになっていましたね。

 

32.Yesterday 33Sgt Peppers Lonely Hearts Club Band(Reprise) 34.Helter Skelter 35.Birthday

 

 そしてアンコールはしっとりと「Yesterday」の弾き語りで始まりました。

 

 ポールがこれで下がろうとすると、ベースを渡しに来たローディが「もっと、やろうよ」と盛り立てる演出。それに押されて、最後のビートルズ・ナンバーたちを披露です。

 

 圧巻は、やっぱ、「Helter Skelter」でしたね!なんで、もうライブ始まって140分も経ってるのに、よりによって一番ハードな曲をここでやる!?ただ、もうこの段階になると。声もすっかりこなれてきて、曲の激しさなど、何事もないかのように歌い切るポールがこのころには崇高にさえ見えるようになりましたね。そしてそのまま「Birthday」とロックンロールは続きます。

 

 

36.Golden Slumer 37.Carry That Weight 38.The End

 

 

 そしてポールのライブはこれやらないと終われません。おなじみのアビー・ロード・メドレー。もちろん、大団円で終わるわけですけど、この時点でもうライブの時間も3時間近くなっていましたね。ここまで実に38曲!しかも、このセットをポール、「2日に一度のスケジュール(移動日含めて!)」でこなしているわけですからね。75歳で、なんと恐ろしい体力か!

 

 

 そして、最後に放った一言が「アテ・プロッシモ」。ポルトガル語で「またね」。ここにも「死ぬまでやるだけだよ」と、何事もなさそうな(そこが買えってすごい)ポールの屈強さを感じて「恐れ入りました」という感じでしたね。

 

 

 ビートルズはもちろん。ロックで時代を切り開いたバンDおですけれど、その中心人物は同時に、「最強不屈の最長寿ロックンローラー」としても超一流なのだなと、15年ぶりの再会で思いを改めた次第でした。

author:沢田太陽, category:ライヴ・レヴュー, 10:50
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