RSS | ATOM | SEARCH
グレン・キャンベルもランクイン 沢田太陽が選ぶ60sポップ裏名曲10選

どうも。

 

この話もしないといけなかったんですよね。

 

 

 

 

アメリカの偉大なカントリー・シンガーで、かつ、60年代の西海岸ポップスの重要セッション・ミュージシャンでもあったグレン・キャンベルが亡くなってしまいました。彼の名はカントリーを知らなくても、ビーチボーイズ絡みで知っていたり、ちょっと年齢の上の方だと、コカコーラの日本のみのCMソング(実は僕、これは知らなかったのですが・・)でご存知の方もいらっしゃると思います。¥¥

 

 

僕は、このグレン・キャンベルと言う人はですね、彼が60年代の末に発表したある1曲が、自分的な琴線に刺しまくって、それでもうすごく好きになった経緯のあるアーティストです。なので、彼の追悼特集で代表曲を紹介するということも考えたのです

 

が!

 

 

実は僕にはそういう60年代の裏的存在のアーティストや曲で好きなのがたくさんあるじゃないか!

 

 

ということに気がついたんですね。ビートルズとかディランとかストーンズとかみたいなビッグネームじゃない、ちょっとマニアじゃないと知らないタイプのものだけど、でも、実はすごくシクスティーズらしいアーティストや曲って多いんだよな。そういうのが、ちゃんと紹介出来なくてもどかしいな、と思ってもいたんですね。

 

ということで、今回は

 

 

僕の選ぶ「60sポップの裏名曲のプレイリスト」、その10曲を紹介したいと思います!

 

 

では、早速行かさせていただきます。

 

Wichita Lineman/Glen Campbell(1968)

 

 

1曲目はやっぱこれですね。グレン・ギャンベルの「ウィチタ・ラインマン」。

 

 

これは1968年に全米3位まで上がる大ヒット曲なんですけど、僕がどうしてこれを知ったかというと、90年代の前半にですね、なんかで読んだ本で「60年代の後半に、ジミー・ウェッブという優れたソングライターがいた」ということで紹介されてて、そこで代表作としてこの曲があったんですね。それで、NHKの資料室で調べたらちゃんとあって、聞いてみて、まず、このストリングスとホーンのアレジにまず圧倒されたんですね!そしてグレン自身が物語るように遠距離恋愛の先にいる彼女に語りかける物語性。あいだに、信号音と郷愁をイメージしたような、あれ何の楽器で出してるのかわからないサビ終わりのリフ、そして2コーラス目が終わった後にグレンが弾く、ひずんだ音で単音で弾くAメロ繰り返しのギター・ソロ。そして曲が終わりに近づけば近づくほど、ストリングスのアレンジに緊迫感と幻想感が加わっていくんですよね。「ああ、なんてカッコいいんだ」と思って、20年以上大好きな曲です。

 

 グレンはこの頃、この他にも同じくジミー・ウェッブ楽曲の「By The Time I Get To Phoenix」「Galveston」「Where's The Playground Susie」や他の人の曲でも、「Gentle On My Mind」もすごく良い曲だし、あと、ブライアン・ウイルソンが提供した、山下達郎のフェイバリット曲でもある「Guess I'm Dumb」ね!こういう曲がことごとく大好きです。この頃の彼の作品は、アル・デ・ローリーという、60年代の前半にフィル・スペクターのプロデュース作品でキーボードやってた人がアレンジャーやってて、彼のストリングスとホーンのアレンジは本当に見事なんですね。グレンも優れたギタリスとかつ、見事なハイトーンを持つシンガーなんですが、ウェッブの曲もあいまって、1971年くらいまで強いケミストリーを持ちます。ただ、ローリーとウェブが離れちゃってから、あんまりカッコよくない曲で全米1位2曲出して、そっちはあんまり好きじゃないんですけどね。

 

 

Walk On By/Dionne Warwick(1963)

 

 

 続いては、若きディオンヌ・ワーウィックによるこの曲です。これは別に裏じゃなくても有名ですけどね。

 

 ただ、ディオンヌというよりはやっぱり曲を書いたバート・バカラックです。60年代前半は、ロック史的には、「フィル・スペクターがプロデュースしたアイドルの時代」という定義のされ方をされがちなんですが、僕、フィル・スペクターより、同じ時期に大活躍したバカラックの方が圧倒的に好きなんですね(苦笑)。なんかスペクターって、まず殺人犯だったり、スタジオでピストルちらつかせたとかの逸話も嫌だし、歌詞が露骨に男尊女卑だし・・っていうのもあるんですが、分厚い音の壁はともかく、その骨格となってる曲の部分で面白いと思ったことがあまりないんですね。

 

 その点、バカラックの方が、洒落てかつ意外性のあるコード進行があるし、合いの手で入れるストリングスやホーン、女性コーラスが効果的だし(この曲の2コーラス目の出だしなんて、その典型!)、あと、どことなくヨーロピアンな影のあるテイストがあるというか。そこに、上手いんだけど、なんか「ソウルフル」と呼ぶには線の細い感もあったディオンヌの声って絶妙に合ったんですね。彼女がバカラックにとってのミューズに60年代の終わりまで結局なったのもよくわかります。

 

 あと、ヨーロピアン・テイストが強く感じられたせいなのか、ディオンヌがバカラックと、この曲とか「Anyone Who Had A Heart」(こっちにしようか、散々迷った)みたいな曲で築いた路線って、イギリスの「女の子版ブリティッシュ・ビート」、具体名を上げるとダスティ・スプリングフィールドやサンディ・ショー、シラ・ブラック、ルル、マリアンヌ・フェイスフルといったガール・ビートシンガーたちの楽曲のお手本フォーマットとしても機能しました。その影響もあって、これ、大好きなんです。

 

 

Wedding Bell Blues/Fifthe Dimension(1969)

 

 

 

 続いてフィフス・ディメンション。この人たちは黒人のヴォーカル・グループですが、「黒人版ママス&パパス」とも呼ばれたようにソウル・ミュージックの括りで語られたことはなく、歌ってたのも白人のソングライターが多かったですね。それがいみじくも、ジミー・ウェッブでもあり、バカラックでもあり・・って、うまくつなげてるでしょ(笑)。

 

 そして、彼ら最大のヒット曲だった、これは聞いたことある人も少なくないでしょう、ミュージカル「ヘアー」の中の「輝く星座(アクエリアス)」の次に出た曲で、これも全米1位を当時獲得している「ウェディング・ベル・ブルース」。僕は、洒落たコード進行でゆっくり跳ねるピアノとコール&レスポンスのハーモニーが大好きなんですけど、これを作ったのがローラ・ニーロ。まだ、この当時、年齢的に大学生くらいだった白人の天才少女です。これは彼女の代表曲としてもすごく有名ですね。

 

 

Eli's Coming/Laura Nyro(1968)

 

 

 

 その、「ウェディング・ベル・ブルース」を書いたローラ・ニーロですね。彼女はこの当時、ソングライターとして売れっ子だったんですが、同時にシンガーとしてもアルバムを出していました。その、シンガーとして出していた曲を、フィフィス・ディメンションなりがカバーしてヒットに到らしていたものです。この曲も、この当時の「いいソングライターのカバー専門バンド」、スリー・ドッグ・ナイトが後にヒットさせて有名になっています。

 

 彼女の曲の場合、基本的にソウル・ミュージックとゴスペルの影響が強いので、黒人アーティストが歌うとそのニュアンスが出るんですが、彼女自身が甲高い声で歌うとソウル臭がしなくなる上に、歌に没入するとかなりしつこく耽美的な方向に走るので、緊迫感と怖さが一気に高まります。かなり呪術的で、そこのところをいやがる音楽ファンも結構います。特に同時代のキャロル・キングやジョニ・ミッチェルが好き、みたいなタイプの人でも、彼女は苦手だと言った意見は割と耳にします。

 

 でも、それ、正しいと思います。だって彼女、イメージとしてどちらかというと、そうしたあの当時の「フォーキーでナチュラルなシンガーソングライター」というよりは、後のケイト・ブッシュ、フィオナ・アップル、Lordeの先駆、といった方がニュアンス近いですもん。いわゆる「髪の長い天才少女の系譜」ですね。面白いことに全員そうですもんね(笑)。今回聞き返して思ったんですけど、ケイト・ブッシュは思った以上に似てましたね。

 

 

How Can I Be Sure/Young Rascals(1967)

 

 

 

 

 続いてヤング・ラスカルズ。その後のラスカルズですね。

 

 彼らの場合もローラと同じ、ニューヨーク内のイタリアン・コミュニティの出身です。この当時のニューヨークやニュージャージーのイタロ系は伝統的にドゥワップとかソウル・ミュージックの影響が非常に強いんです。フォー・シーズンズとか、ディオンとかの例もあるようにですね。ただ、「自分たちが実際には黒人ではない」ことがわかっているから、その分、開き直ってというか、白人のテイストも同時に活かしたユニークなものも作り得たんですね。この当時のローラなりラスカルズなりの「ブルー・アイド・ソウル」のはしりみたいなアーティストにはそうした自由さが感じられて僕はすごく好きですね。この流れはその後にホール&オーツなりトッド・ラングレンなりにもつながって行きます。

 

 

 この曲ですが、彼らの最大のヒット・アルバムの「グルーヴィン」に入っている3曲目のヒットで、アコーディオンを使った、ちょっとシャンソン風なおフレンチな感じもあって、そこが変化球になって面白いニュアンスが出せていますね。これ、ヴォーカルがリードシンガーのフェリックス・キャヴァリエーリ(この映像でキーボード弾いてます)ではなく、もうひとりのエディ・ブリガッティでもあります。フェリックスの方が本格的なソウルシンガー然としてて上手いわけですけどね。

 

 

Wear Your Love Like Heaven/Donovan(1967)

 

 

 

  続いて、この人も僕は大好きですね。ドノヴァン。

 

 もともとは「イギリスのディラン」と言われた人ではあるんですけど、彼はインド哲学にすごく走っちゃったとこでも垣間みれるようにすごく実験精神が旺盛な人で、フォークの垣根を超えて何でもやっちゃうとこが魅力でしたね。最初は「サンシャイン・スーパーマン」みたいなインド楽器のシタールを使ったところからはじまって、「メロー・イエロー」なんて名前からしていかにもおクスリ関係なことをサイケに歪ましたサウンドで表現したりしてるうちにそれが幻想的な方向に走ったり、60年代のおしまいの方だとジェフ・ベックとかデビュー前のツェッペリンと組んだり、振れ幅も非常に激しい人でしたね。

 

 この曲はそんな最中、1967年の後半に出た、幻想路線の曲ですね。曲名からしていかにもフラワー・ムーヴメントっぽかったりしますけど、この人のホーンやストリングス、チェンバロ、シロフォンといったアレンジの仕方って、どこか、彼の故郷でもあるスコットランドの雰囲気に合うというかな。この感じが30年後に郷里の後輩のベル&セバスチャンにもつながって行くのはすごく自然な気もしてます。

 

 

Blackberry Way/The Move(1968)

 

 

続いてこれもイギリスはバーミンガムの誇るバンドですね。ザ・ムーヴ。

 

僕は無類のブリティッシュ・ビート・バンド好きで、今回はそこからはあえて選ばないようにしたんですけど、ザ・ムーヴに関してはギター・バンドの枠を超えたポップさがあるので選んでみました。その観点だとゾンビーズとか,アメリカですけど、モンキーズの中期以降も捨てがたいんですけどね。

 

 この曲はそんな彼ら最大のヒット曲で1968年に全英1位になっています。こないだ出た、チープ・トリックのアルバムでもカバーされてましたね。お聞きのように、思いっきり中期ビートルズなんですけど、中心人物のロイ・ウッドのすごいところって、瞬間的に「本家以上かも」と思わせる瞬間があることです。残念ながら、ジョージ・マーティン的存在がいなかったからなのか、アルバム単位でそれが持続しなかったのが難点ではあるんですけどね。

 

 このバンドにはこの後ジェフ・リンと言う人が入りまして、それがそのままエレクトリック・ライト・オーケストラ、つまりELOに発展します。ただ、そこでもロイ・ウッドは一枚で辞めて、カルト・アーティストとして生きて行きました。

 

 

andmoreagain/Love(1967)

 

 

 続いては,またアメリカに戻りますが、ロサンゼルスのLoveですね。

 

彼らは「悲劇のバンド」とも言われてますよね。もともと、当時新進気鋭だったエレクトラ・レコーズがイチオシする予定だったのが、レーベルの後輩のドアーズが想定外に売れてしまったために押されなくなって、なかば「幻のバンド」化してたんですけど、この3枚目の「フォーエヴァー・チェンジズ」というアルバムは伝説化していて。現在でも、欧米圏のオールタイム・ロック・アルバムのランキングで、今やもう、あの当時のスターだったジェファーソン・エアプレインとかよりは確実に上位に入るし、ドアーズより上のものも見かけるときもあります。

 

 このバンドはアーサー・リーという、「裏ジミヘン」とも称される黒人アーティストがフロントマンのバンドなんですが。やってることは実に多彩で。かなり濃いめのガレージロックやサイケから、ソウルもあ利、そして一番得意なのは、この曲に代表されるストリングスを多用したバロック・ポップですね。これか、今日までカバーの非常に多い「Alone Again Or」にしようかか迷ったんですけど、よりファンタジックな分、こっちにしました。

 

 このバンドは、かのロバート・プラントが熱烈なファンで有名なのをはじめ信奉者多いんですけど。アーサー・リーが正当な評価をされきらずに亡くなったのが残念です。

 

 

The Seventh Seal/Scott Walker(1969)

 

 

 続いて、彼も今や本当にすごいカルト・アーティストですね、スコット・ウォーカー。

 

 もともと、ウォーカー・ブラザーズといって、ソウルやバカラックみたいな曲を、すごく低音の魅力のバリトン・ヴォイスで歌ってそれでロックの時代になったのに異色の人気があって、圧倒的なルックスの良さも手伝って60年代後半に日本でものすごいアイドルになって、こういうCM(クリック)にも出てたほどです。

 

 その後もソロになってから、彼は、ジャズやシャンソン.フラメンコみたいな非ロックの音楽を、ちょっとしたリズムの使い方や、このキレの鋭いカッコいい美声で独自にロックする路線を歩んだんですけど、この「スコット4」というアルバムは中でもサイケ色が濃くなって、よりその独自性が高まって、今やカルト名盤ですね。中でも、この曲は人気です。最初の闘牛士みたいなイントロから、REMの「Losing My Religion」みたいな緊迫感溢れるフォーキー・サウンドになって、不気味なエコーのかかったハーモニーに包まれる。この曲はイングマル・ベルイマンの名作映画「第七の封印」を歌にした、神と人間の死を扱ったヘヴィな曲でもあります。

 

 スコットは、デヴィッド・ボウイやパルプのジャーヴィス・コッカーをはじめ、熱烈なファンがトップ・アーティストにいたおかげで今日でもイギリスでは伝説化されていて、たまにアルバムが出ては話題(今や実験音楽!)になり、ドキュメンタリーの題材にもなってますね。

 

 

Way To Blue/Nick Drake(1969)

 

 

 

 そしてシメはこれです。ニック・ドレイク。没後40数年経っても、というかむしろその後に大物カルト・アーティスト化してますね、ブリティッシュ・フォークシンガーです。

 

 僕も長年いろんな音楽聴いてますけど、彼ほどウェットで、かつ美しいフォーク・ミュージックというのは、生まれてこのかた、聞いたことないですね。その吐息のようにささやく、悲しげな歌声とメロディ。その存在だけで十分に神経が一点に集中されてしまいます。

 

 生前に出た3枚のアルバム、どれも素晴らしいんですけど、あえて1枚選ぶなら、これです。デビュー作の「Five Leaves Left」。彼の場合、とりわけ、変則チューニングの曲か、ストリングスをまじえた美しい曲か、そのどちらかのときに輝きがフルに発揮されるんですが、それでいくとやっぱこれか、カバーも多い「River Man」か、どちらかかなあ。この次元に近いアーティストって、後でもエリオット・スミスとか、気持ちが内省モードに入ったときのベックか、そういうとこでしか聴けないものですね。

 

 

ボーナス・トラック Initials BB/Serge Gainsbourgh(1968)

 

 

 

 で、終わろうかと思ったんですけど、プレイリストらしく(?)ボートラをつけましょう(笑)。

 

 シメのシメはセルジュ・ゲンズブールです。ここまで選んでみて思ったんですけど、やっぱ僕の場合、ソウルとバロック・ポップが組み合わさって。そこにフォーク的な物語性が加わると目がないですね(笑)。だとしたら、このゲンズブールなんて、思いっきりソレでしかありません。ヨーロッパの黒人音楽好きで、しかも退廃的な文学の香りもする感じとかね。

 

 彼の場合、やっぱこのタイトルの元にもなったBBことブリジット・バルドーとの関係にあったときにこうした路線が一気に開花してますね。その前のジャズ路線も良いんですけど。あと、ジェーン・バーキンとの「ジュテーム」以降、「メロディ・ネルソンの物語」とか、あの辺りが絶頂でしょうね。

 

 あと、この映像、50年ほども前とは思えないくらいにカッコいい!やっぱこの当時の、ヌーヴェルヴァーグ系の関連者の映像美って、アート的にも、ファッション的にも最強ですね。

 

 

・・といった感じでしょうかね。

 

author:沢田太陽, category:評論, 11:45
comments(1), trackbacks(0), - -
Comment
やっぱ沢田さんの音楽ネタはキレがいいですね
nefertiti, 2017/08/11 4:29 PM









Trackback
url: http://themainstream.jugem.jp/trackback/3161