RSS | ATOM | SEARCH
時間をかけてラナ・デル・レイに恋した理由

どうも。

 

 

ここ最近、僕の中でこの人への熱がすごく上がってます。彼女です。

 

 

 

はい。ラナ・デル・レイです。前から好きだったんですけど、ここ最近、彼女のことをチェックする頻度が上がってますね。なんか、出て来た当初より、今の方が確信もって「ああ、彼女は本物だったんだ」「今,活躍してるアーティストの中で最も自分の個性をしっかり持ったアーティストだ」と思える人に、時間をかけてなって来たな、という実感があるんですよね。これもこの人が持つ魅力なんでしょうけど、徐々に引きずり込むような力があるというかね。

 

 

では、なんでそういう風に僕がなったのか。その理由を語って行こうかと思います。

 

 

仝把螢侫.鵑稜意が桁外れにすごい!

 

 

 

これが僕が彼女のことを意識しはじめたキッカケなんですけどね。2013年11月のことです。このときに彼女はブラジルにやってきて、ブラーとベックと同じ1デイ・フェスみたいのをやったんですね。ただ、そのときに集まった客が完全にラナ目当てで、彼ら、彼女らの狂信的なノリが笑っちゃうくらいにすごかったんですね(笑)。

 

 もう、会場につくなり、周囲が頭に花のティアラを刺した男女で溢れかえっていたんですね!それだけでもかなり異様な光景だったんですけど、まだ出て来てもいないのに、野郎たちが「ラナ・デル・レイ!ラナ・デル・レイ!」と叫ぶんですね。歩きながらでも。これ、本当の話です。

 

 で、ステージに出て来たら出て来たで、野郎とゲイ(この比率もかなり高いはず)の「ウワーッツ!」って怒号と、アイドル時代のビートルズに狂乱する女の子みたいな顔で「キャーーーー」って叫ぶ女子に包まれました。特にブラジル人はエモーショナルなので、ラナ自身、圧倒されて引きつった笑顔浮かべてましたね(笑)。歌の間中もうるさかったしね。ブラジル人の異様なノリって、たとえばブルーノ・マーズが「何なのキミら」みたいにウケまくってて、The XXが感極まって泣いたくらいにすごくはあるんですけど、僕がこの国で見た中で頭一つ抜けてましたね、あの熱狂ぶりは。

 

 それ以降も、たとえば「ロラパルーザとか、ロック・イン・リオで見たいアーティストは?」ってアンケートがあるとするでしょ?そしたら、いつも1位は決まって彼女です。僕はあの熱狂ぶりを見てたので、全く意外じゃなかったですね。というか、「これだけ熱狂的なファンがついてるんだったら、この人の人気、簡単には落ちないだろうね」とも思いましたね。そしたら、それが案の定、当たりましたけどね。

 

 

▲妊咼紂嫉の大ダメージを自力ではねのけた

 

 

 

 あと、僕が彼女に惹かれた次の理由は、彼女がデビュー時のテレビ出演の際に大失敗をして社会的にバッシングを受けたのに、いつのまにか人々がそれを忘れたかのように大物になってきていることですね。

 

 

 2012年1月、彼女はすさまじいバズと共にメディア露出をはじめ、「サタディ・ナイト・ライブ」に出たんですけど、そのときに「なんだ、この音痴の見知らぬ女性は!」ってことで騒動になったんですね。たしかに良いパフォーマンスではなかったんですけど、あれで、「この女はメディア・ハイプだ!」ってことにされちゃって、それで出たばかりのデビュー作「ボーン・トゥ・ダイ」もあのときかなりの酷評レヴューがついたものです。正直なところ、僕は「フィオナ・アップルみたいで良いな」と思ってたくらいだったんですけど、さすがのバッシングの多さに「作られたスター?」くらいの疑問は持ちました。

 

 

 しかし、それが5年経った今、「ボーン・トゥ・ダイ」は以後、1度たりともビルボードのアルバム200位から落ちた週がありません!もうすぐ300週くらいになるんですけどね。あれだけ叩かれ、酷評もされたアルバムが、もう今やこの10年を代表するロングセラー・アルバムになってしまっているという、この時代における最大の逆転劇を彼女は演出してしまったわけです。これ、すごいと思いましたね。そうとうな屈強がないと、これは実現できなかったと思います。だって、デビュー時にみんながちやほやして、4枚目までに消えたロックバンドって何組います?それを考えたら、なおさらです。

 

 

6覆鯲婿困垢襯據璽垢とにかく早い

 

 

 

 そんな彼女が証明した実力の中でとりわけ強いと思えるのが、曲の創作ペースですね。最近のアーティストは、リリースに3年とか4年とか平気であけますけど、彼女のは異例なまでに短いのが特徴です。

 

 1stと2ndアルバムの間隔は2年5ヶ月ではあるんですけど、間に「追加増強EP」が出てるので、実質、その間にもう1枚アルバムが出てる計算になるでしょ。で、2ndと3rdのあいだが1年3ヶ月、そして3rdと今回のアルバムまでが1年10ヶ月。しかも2ヶ月延期してそれでしたからね。アルバムに2年かけない人なんですよね。

 

 で、最近、驚いたことに、「まだ25曲、未発表曲があるので直に発表したい」って言ってるんですよね!こういう早さで作品出すアーティストって、昔のプリンスとか、ライアン・アダムスとか、野郎の天才肌が多かったんですけど、女性でこういうのって、ちょっと記憶にないというか。それだけでも、かなりの才能です。

 

 というか、これ、最近の女性アーティストでは出来ないことです.最近の女性アーティストって、外部ライターとのコラボが大半で、どういうプロセスで曲を作っているのかきわめて見えにくいです。アーティストによっては「ちょっと歌詞を書くだけ」で終わってる人も実際いるし、そういう人の方がむしろ多いはずです。そういう作り方をしてる人は、外部頼みですから、そんなに作品が早くできるわけがありません。

 

 ところが、ラナ・デル・レイの場合は完全に彼女が主体です。彼女も共作者はついてるんですけど、共作者の証言によると、いつも彼女の方が一方的に仮歌を送って来ては「音合わせしよう」ということで一緒に合わせていたら、気がついたときには歌詞の完全ヴァージョンができあがってて、あっという間に曲が出来てるんですって。こういう話を聞いても、「ああ、やっぱ、すごいんだ」と思わされますね。

 

 

な顕重な博識ぶりがすごい

 

 

 

 あと、彼女の作品に触れた場合、ちょっとした知的体験ができるのも魅力です。

 

 この人のライブをはじめてみた時思ったのは、「これ、デヴィッド・リンチみたいだな」ということでしたね。まさに「ブルー・ヴェルヴェット」の世界観。1960年代へのノスタルジーがありながら、そこにミステリアスでゴシックな怖さと狂気がうずまいてる感じというか。そうしたら彼女、実際に影響を受けた音楽にリンチ、あげてるんですね。とりわけ「ツイン・ピークス」のサントラ。あと、映画だとフェリーニも好きだとか。

 

 あと、音楽的な引用のとこでも、レナード・コーエンやディランを頻繁にカバーしたり、50sのジャズや60sのガールグループのカバーやったりね。そういうとこは、エイミー・ワインハウスの趣味をさらに文化的に発展させた感じですね。そこにニルヴァーナとかエミネムとか、彼女なりになんか共通するエッセンスを感じるものをミックスさせてるみたいですね。それから文学だとギンズバーグみたいなビート文学とかウォルト・ホイットマンとかね。

 

 あと、最新作でも不意にサイモンとガーファンクルの「スカボロー・フェア」とかジョン・レノンの「ウォチング・ザ・ホイール」の一説を使って、後者ではショーン・レノンとデュエットする手の込みようです。こういう楽しみ方させてくれるアーティストって、今、なかなかいないので、そういうとこでも興味深いです。

 

 

ァ屮薀福Ε妊襦Ε譽ぁ廚鮗己演出して楽しんでる

 

 

 

 

 あと、自分の美貌をいかした演出ぶりも見事ですね。ファンの中の多くはこの要素のファンだと思うのですが、徹底してます。ファッション・シュートの写真はいつも凝ってますけど、ここまでキャラクターを絞って演出してる人も珍しいです。どれもコンセプチャルなんですよね。とりわけ「ゴシックなシクスティーズ・イメージ」は守ってますね。

 

 ただ、この人、面白いのは、明らかにキャラクターを演じてるのがわかることなんですね。昔の写真とか、今でもオフとかでは、きわめてカジュアルなリズ・グラント(本名)感を割と平気で披露してたりしてます。

 

 

 

こういうウヤツですね。デビュー前のリズ・グラント期は地毛のブロンドです。あと、普段は割と無頓着な感じで歩いてるとこ、よく写真撮られてます。こういうとこでもわかるんですけど、ラナ・デル・レイって、完全に作ったイメージなんですよね。で、いざ、スイッチ入ったときの陶酔的な顔の表情とか、ものすごくゆっくりした動きとかね。あれ、過剰過ぎて時々笑っちゃうんだけど(笑)、そのツッコミどこ満載なとこも魅力です。あと、歌声ね。実際の声、割と高めですからね。あれ、アクセル・ローズと逆のパターンというか、ある意味同じというか、違う声で歌ってる分、ライブで声があたたまるのに時間がかかるタイプなんですよね。SNLでの失敗って、そのせいだったのかと僕は思ってます。

 

 

世界的な浸透度と根強さ

 

 

 

 あと、この人の人気と言うのは世界的なもので、かつ、持続してますね。

 

 彼女って、いわゆるシングル・ヒット曲って、「サマータイム・サッドネス」くらいしかなく、セレブ系ポップシンガーが多く集まるところにも出て行かないので謎めいたままのイメージなんですけど、セールスの世界的な幅広さは、ある意味、そうしたアーティスト以上です。

 

 それが証拠に今回のアルバムもイギリス、オーストラリア、スペイン、北欧圏で1位、アメリカもトップ3のうちのどれかで、フランスで3位、デンマークで5位、イタリアで6位、ドイツで8位とかです。

 

 しかも、これ、今回4枚目でしょ?たとえば,同じデビュー時から「才女」的な感じで騒がれた人って、ノラ・ジョーンズもそうだし、アリシア・キーズもそうだったけど、4枚目くらいになると人気下がってたんですよ。そこをラナの場合、人気がほとんど変わってないんですね。同じフォーマットの音楽でややもすると飽きられる可能性、低くはないのに。そこに今回の新作の評価がすごく高い。次のリリース・タイミングでよほどガッカリさせるようなことがない限り、安泰です。

 

 

Х覿匹里箸海蹇⊆匆颪鮓る目がまともだったことを示した

 

 

 最後に、今回のアルバム「ラスト・フォー・ライフ」で、彼女、地味にポリティカルな姿勢を打ち出してたりするんですね。

 

 彼女は、これまで特に政治的な発言はしてこなかったし、「フェミニズム否定者なのではないか」と疑われた言動もあったりして、そこのところどうなのか、という問題もあったのですが、最近になって、実は反トランプ派であることを明らかにしてます。その一例が、「もう、アメリカ国旗を使うのは、間違った愛国心にとられる可能性があるので辞めた」ってことですね。

 

 あと、アルバム中でも「コーチェラ」でコーチェラとウッドストックとの比較を行ない、現在が自由に欠けた生きにくい世の中になったことを憂いたり、「When The World At War We Kept Dancing」では、気がつかないうちに世が暗い空気になってきたことへの不安を口にし、「God Bless America And All The Beautiful Women In It」では,あらゆる世界での女性リーダーの不足を語ったり。

 

 デビュー時が「Born To Die」で、そういうとこが世界の悩める人たちにとってのダークなカリスマ女神みたいになってたとこがあった彼女ですが、それも社会の流れとともにシフト・チェンジできることを示せた意味で、今回のアルバムすごく意味があったと思いますね。なににせよ、「死ぬために生まれた」から「生への欲望」に変わったわけですからね。それを、「ラナ・デル・レイ」というキャラクターのイメージを守ったままやり遂げたことが立派かな。

 

 

・・といった感じでしょうかね。まだまだハマって行きそうな気がしてます。

 

author:沢田太陽, category:評論, 19:30
comments(2), trackbacks(0), - -
Comment
曲自体は好きなのですが、
記事でもご指摘の通りの
デビュー時のうさんくささと
アンチフェミニズムとも取れる発言のせいで
個人的に微妙な立ち位置のアーティストでした。
(雑誌「BUST」でも相当叩かれてました・笑)

新作聞いてみますね。たいへん参考になりました。
fab, 2017/08/02 10:05 PM
ありがとうございます。

「BUST」を読まれてるというとこに「おっ」と思いました。最近はウェブだけですが、以前、購読してました。
太陽, 2017/08/04 11:17 AM









Trackback
url: http://themainstream.jugem.jp/trackback/3151