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現在のアメリカでのロックがいかんともしがたい7つの理由

どうも。

 

 

昨日は「アメリカでヒップホップの方がロックより売れるようになった」という統計が出て、「今頃そうなったんだ」と驚いたと同時に、「でも、アメリカ以外だと、ヒップホップ、そこまで強くないよ」ということを書きました。

 

 

今日は、「でも、今のアメリカでのロックの売り出し方、やっぱ最悪だよ!」という話をしたいと思います。とにかく、これに関しては僕は不満いっぱいです。

 

 

では、「どうダメなのか」、それを箇条書きして行こうかと思います。

 

 

ヽ荵、放送、興行で押したいバンドがバラバラ

 

 

まず一番は、これが一番腹立たしいですね。活字媒体と、ロック系のラジオと、フェスをはじめとしたライブ興行。この3つで推したがっているバンド、アーティストが、もうバラバラなんですね。

 

 

 今、世界のどこの国でもそうですけど、世界各国で行なわれているフェスで、どのあたりのスロットで演奏しているかで、そのアーティストのステータスが決まっているところがあります。そして、それを裏付けるためのものとしてアルバムのセールスというものがある。少なくとも、やっぱりアルバムのチャートで初登場のかなり上位に来るようなアーティストがヘッドライナーをつとめる。これがやっぱり、当たり前の筋道だと思うのです。このあたりの感覚はイギリスは全然ブレません。やっぱり、フェスで目立ってアルバムが売れるようなバンドを優先して普通推します。

 

 

 しかし!

 

 今のアメリカでは、この論法が通用しません!

 

 ヨーロッパや、最近アメリカでも全米各地で増えて来たフェスでヘッドライナーをする、あるいはそこに近いとこで演奏する。そういうバンドが新作を出したら、そこでとりあえずはメディアが盛り上げる・・。そういう風にして、ファンの関心も強く引きつけるはず・・なんです。

 

 

が!

 

 

 最近のアメリカの活字メディアは、もうなんだか、「推したいもの」が見えず、批評家たちのわがまま勝手が目立ちます!

 

 

 なんか、推してるものもですね、「うん。そりゃ、たしかにいいんだけど・・、でも、一般的に考えて、それ、将来的に売れると思うの?」みたいなアーティストにレヴューの高得点をやりすぎですね。それが、ライブもアピールする力があって、最終的に先に広がりが見えるようなタイプなら僕も文句は言いません。でも、最近、というかピッチフォーク的なものがブームになってから以降ずっとですね。なんか、格好とかにあまりに無頓着すぎるようなロウファイのインディ・バンドみたいなのを基本的に推し過ぎです。あれを見て、「あんなのロックじゃねえ〜」と共感持てない、年齢層が比較的上のロック・ファン、欧米圏、結構いるのにね。なので、こういうバンドが、いくら批評的に良かったからって、それがラジオとかでかかるようなシナジーはほとんど存在しません。

 

 

 ただなあ、今、同じくらい、ロック系のラジオでかかるものも相当問題です。

 

 

このリンクを見ていただきましょう。こちら。

 

 

これはビルボードのオルタナティヴ・ソングスのチャートです。これは基本的にロック系のラジオのエアプレイ数がかなり反映されたものになっているんですが、「えっ、それ、誰?」という名前が結構並んでません?ポーチュガル・ザ・マンとか、ブリーチャーズとか、ザ・リヴァイヴァリスツとか。こういうアーティストの曲の方が、もうすぐ新作の出るキラーズやミューズ、フー・ファイターズといったフェスのヘッドライナー格のバンドの曲よりランクが上って、なんか不思議じゃないですか?しかもキラーズとか、フー・ファイターズ、ここんとこずっと同じ順位なんですよ。3週くらい。その上のものも同じくらい順位が動いてません。しかも、どんなに批評家がほめても、評判のいいインディの新人なんてかからないし、メジャーで契約した誰も知らないような新人ばかりが優先される変なシステムになっています。

 

 

 でも、なんか変ですよね。これがラジオ局が一般の人からのリクエストの数に応じてランクを決めるようなやり方を仮にしてたとすると、こんなこと絶対起きるわけがありません。余裕でキラーズやフー・ファイターズのリクエストが集まってすぐに1位に決まってます。ただ、イマジン・ドラゴンズはまだわかるとしても、ポーチュガル・ザ・マンやブリーチャーズがそんなに盛り上がっているアーティストかとえいば、全然そうではありません。アルバム・チャートでも初登場30〜50位台くらいのアーティストにしかすぎません。その程度のアーティストなのに、曲が上位に長く入るほど売れていると言うのは、ラジオの選曲家の趣味ではなく、何らかの力が働いた結果でそうなっているでしょうからね。しかも、売れてる曲の入れ替えのスピードも遅い、遅い。なので、ロックのチャートが不思議な力は働いたものになっているうえに停滞してるんですよね。こんなのでロックのチャートそのものが活気づく訳ありません。

 

 

イギリスだと、NMEみたいなメディアが好きで推して人気の出そうなものをBBCが推し、それをグラストみたいなフェスに出してさらにあてる・・みたいな、「人気バンドを育てるための協力体制」みたいなものがしっかりあります。2010年代以降、いわゆる”ロックシーン”みたいなものが見えにくくなった今でさえ、イギリスから確実に売れるバンドが出続けているのは、こうしたところに一切のブレがないからです。

 

 

◆嶌膿靴離蹈奪のヒットはこれだ!」と伝える気構えがメディアにない

 

 これは、放送も含めて全体にそうなんですけど、アメリカの中で、「ロックの、最新のヒット」を伝える気構えがありません。

 

 それが証拠に、これを見てみましょう。こちら。

 

これはビルボードによる。ロックのストリーミング・チャートなんですけど、このあまりの感覚の古さが僕にはちょっと衝撃でした。

 

 トップ10はイマジン・ドラゴンズとか、トゥウェンティ・ワン・パイロッツ、チェスターの自殺の余波でのリンキン・パークというのはわかるんですけど、驚くべきは11位以下です。

 

ジャーニーの「ドント・ストップ・ビリーヴィン」!ホワイト・ストライプスの「セヴン・ネーション・アーミー」!!ジェイソン・ムラーズの「アイム・ユアーズ」!!!レーナード・スキナードの「スウィート・ホーム・アラヴバマ」!!!!フォスター・ザ・ピープルの「パンプト・アップ・キックス」!!!!

 

 

 なんで、5年前以上、しかもものによっては30、40年前のものがトップ25に入っちゃってるんでしょうね??これがまぎれもなく、最近のアメリカのロックファンが、今のロックの新作に疎くなっている決定的な証拠です!

 

 

 最新の人気アーティストの新作の曲とか、新人とかがほとんどない状況。こんなにエキサイトメントに欠けた状態で、ロックなんて流行るわけないですよ。

 

 

若いインディのバンドに、「時代の切り替え」が出来ていない

 

 あと、メディアだけじゃないですね。ロックをやっている側にも問題があります。10数年前の感覚を今に引きずっています。

 

 その感覚で象徴的だなと思うのは、「今の時代を、まだmyspaceの時代と勘違いしているバンドが多い」ということですね。2000年代という時代は、インディのバンドにとっては追い風が吹いていた時代でした。「レコード会社などを通さなくても、ネットで話題になりゃ、そこそこの儲けが出来る」。そういうことが夢というか、美談として語られてもいました。サイトで気に入られてCDやitunesで音源を購入してくれたらそれで御の字の時代でした。

 

 

 ところが今はストリームの時代で、もう直接的なCDの売り上げではなく、どれだけ人の話題になりシェアされるかが重要な時代になってきました。つまり、話題になるためには、「人と音楽を共有したい」ということを一番したい世代にどれだけアピールするか、いいかえれば、「キッズにどれだけアピールするか」を積極的に働きかけないと売りにくい時代になった。もっと言っちゃえば、「音源をポンとあげといて、受動的にリスナーの反応を待つ」だけでは通用しない時代になったわけです。

 

 残念ながら、今の若いバンドで、こういうことに意識的になって動こうとしているバンドが見当たりません。実績のあるバンドでも、アピールしようとしてるのって、イマジン・ドラゴンズぐらいのものでしょ?残念ながら、あのバンドも、最近の音源、「楽器要らないんじゃないの?」みたいなポップな曲ばっかりですけどね。あそこまで、キッズに踏み込んでいかないと動かないのかと思うとツラいものもあるんですけど、なんとかならないものかと思ってます。

 

 

ぁ崘笋譴茲Δ箸垢襪海箸悗離肇薀Ε沺廚鯆垢抱え過ぎ

 

 あと、「売れようとすることがカッコ悪い」という、アメリカのロック史の中に残るトラウマを抱え過ぎですね。

 

 

 ニルヴァーナとか、パール・ジャムが出て来て以降のグランジ/オルタナティヴのムーヴメントは、「成功すりゃ大スター!」とばかりに、パパラッチに追われるセレブ化さえもしていたエイティーズのロッカーを蹴落として、もっと、ロックリスナーの日常の現実に立ち返らせたムーヴメントとして、今に語り継がれるものになった・・わけですけど

 

 それって、もう25年前の話ですよ!!

 

 で、その後に売れようとしたバンドの例も良くなかった。それはリンプ・ビズキットとかキッド・ロックがやったような、エイティーズへの回帰的反動というか、「ヒップホップ・スターがやっていることを白人がやるとどうなるか」みたいな感じのことを、そういうことを嫌う人が多くなっていたロックファンが多い中やってしまって強い反感を読んでしまった。あるいは、ポップ・パンクが、極端に若い層、小学生の低学年くらいまでにマーケッティングの層を人工的に下げてしまったせいで、ディズニーのアイドルまで便乗するようなものにまでなってしまった。ああいうのを見て、「キッズにアピールして売るの、ばからしい」という空気も生まれてしまったのも否めません。

 

 その間もなあ〜、イギリスだと普通に良いバンドがフックアップされて、音楽誌と放送とライブ現場で育てようとする感じがあったんですけどねえ。アメリカではそういうのがないまま雑然として、ただ、強引なマーケッティングだけがまかり通ってましたからねえ。

 

 

ザ罰βΔ、いびつなポリティカル・コレクトネスにこだわりすぎ

 

 あと、これも2000年代入ったあたりからずっと思ってることなんですが、音楽業界が妙なポリティカル・コレクトネスにこだわりすぎですね。なんか、黒人と女性へのこれまでの不公正を何とか償おう、とそれしか考えてませんね。

 

 

 それが結局、行き過ぎたヒップホップと、セレブ系女性アイドルの強大化にしかつながらなくなったんですけど、彼らの音楽の持つウィーク・ポイントを補えないまま大きくなってるのが問題です。それがやっぱ、プロデューサー依存度の高い、自分で曲を作らないアーティストを増やすことになってしまった。自分で演奏し、自分で曲を書き、アルバムをひとりのプロデューサーで作るのが当たり前で育ってきているロックファンには、そこのところの欲求不満がすごくたまってしまっています。これは、欧米圏のロックファンが、ポップものに意固地になっている要因のかなり大きなものになっていますね。

 

 

Α屮蹈奪が他の国、非白人にも人気あるジャンル」ということが理解されていない

 

 あと、今のアメリカのロック業界が良くないのは、「自分たちの国のこと」しか考えていなくて、ロックという音楽の持つ国際ヴァリューに関して理解していないことです。ヨーロッパだって、アジアだって、南米だって、かなりのロックの市場はあるし、そういう人たちにアピールすれば、まだいくらでも売りようはあるのにね。

 

 

 ロックのヒット曲がでなくてもアルバムは売れ、フェスもあるし、世界的に見ればダンス・ポップ系よりも売れてることの方が珍しくない。そういう価値に気がついてないんですね。7月7日の投稿でも書きましたけど、そういうとこ、アメリカが現実から取り残されてるとこなんですけどね。

 

 

Ь紊寮ぢ紊紡个垢襦∈の世代の反抗期

 

 

 あと、キッズの立場からしてみれば、ヒップホップとかEDMに「自分たちのジェネレーションの音楽」というアイデンティティを抱きたい時期、というのもあるでしょう。彼らにしてみれば、「じいちゃん、ばあちゃんがロック」、「パパママがオルタナティヴと昔のヒップホップ」という感じでしょうか。だいたい、子供というのは、親の代とは違うカルチャーを持ちたがりますからね。それはある意味、健全とは言えるんですけどね。

 

 

ただ、ちょっとバランス悪いかなあ。まあ、僕らの頃にも、「良いから売れてるわけじゃない」ロックってたくさんあったもののそういうのがロックの層を広げる役目してましたけど、今のヒップホップとEDMにもそういうもの、ありますね。キッズでものが流行る際の代償ではあるんですけど。

 

 ・・といったとこでしょうかね。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 13:17
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Comment
ひとつだけ伺いますが作った曲が売れる売れないと出す前にどうやってわかるのでしょうか?
売れた売れないはただの結果にしかすぎないのではないですか
エアプ太郎, 2017/07/30 4:59 PM
すみません。質問の意図が分からないので、もう少し具体的にお願い出来ないでしょうか。
太陽, 2017/07/30 8:38 PM









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