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2017年4-6月のマイTop10アルバム

どうも。

 

 

2017年も半年が経ちました。本来なら「上半期」といいたいところですが、まだ総括には早い気がします。そして、1〜3月は4月7日付でもう発表してます。そこで

 

 

4〜6月のマイTop10

 

これを今回はここで紹介したいと思います。

 

 

前回同様、10枚中9枚のアルバムのジャケ写をまずは紹介したいと思います。こんな感じです。

 

 

 

こんな感じですね。前回同様、順位付けはしていません。

 

 

 

まず、この3ヶ月はこれではじまりましたね。ファーザー・ジョン・ミスティの「Pure Comedy」。英米で共にトップ10入りしましたけども。これは、こと美メロ・アルバムとしては近年でも屈指の類いですね。エルトン・ジョンとかジョン・レノンのソロとかジャクソン・ブラウンのソングライティングが2017年の現在に継承されて結実したような美しさがあるというか。でも、その美しい歌がドラッグ体験のドロドロした話がユーモアと共に語られるひねた感じもニヤリ。こと、「うた」だけで選ぶのなら、これが今年の僕のトップ10から漏れることはないですが、果たしてどうでしょう。

 

 

 

 そのファーザー・ジョン・ミスティが以前にドラマーとして在籍していたフリート・フォクシーズも6年ぶりに新作「Crack-Up」を出しましたが、ピッチフォーク・ジェネレーションのインディ・バンドの中じゃ実力の桁がひとつもふたつも違いますね。この、サイケデリアに浮かぶハーモニー、あれだけでずっと勝負出来るオリジナリティがあるものですが、今回はなんか、得意の組曲形式がさらに複雑に入り込んで、もはや「サイモン&ガーファンクルmeetsレディオヘッド」というか、「フォークロック内プログレ」というか、誰も模倣付加の領域に踏み込みましたね。惜しむらくは、まだ若いんだから、もう少しテンポよくアルバム出して欲しいですけどね。何枚目になろうがずっと注目されて行くタイプだとは思うんですが、頻繁に作品出した方がシーンも活気づきますしね。

 

 

 

続いて、これはフリート・フォクシーズと同じ日のリリースになりましたが、今年のベスト・アルバム候補ですね。Lordeの「Melodrama」。彼女はデビュー曲の「Royals」が世界的に大ヒットして、ニルヴァーナ、デヴィッド・ボウイのトリビュート・パフォーマンスもまかされ、「音楽の次代を担う少女」としての期待を寄せられていたわけですけど、その期待につぶされることなく、見事に期待にこたえましたね。ダンサブルな路線に進んだことを残念がる声もあるにはあるんですが、でも、神々しく交渉な方向性に行く方がむしろ彼女には感ん単じゃないですか。そこを、ケイト・ブッシュ的なオーラが憑依したハーモニーとリズムを抱えながら、等身大の20歳の恋愛生活を小さなコンセプト・ドラマにしてわかりやすく紹介した手際よさ。この自己演出能力の高さにはつくづく驚かされます。これ聴いてしまうと、昨今の凡百のエレクトロ女子の大半が聴けなくなりますね。

 

 

 

そして、これもLordeとフリート・フォクシーズと同じ日に出ました、ロイヤル・ブラッドの「How Did We get So Dark」。イギリスでは2作連続の初登場1位のほか、どこの国でものきなみトップ40入り。これから長いツアーにも入ってフェスの出演も増えるでしょうから、もう次の作品の頃にはヨーロッパのフェスではヘッドライナーかな、といった感じです。彼らの場合、どうしても「新しくないじゃないか」と、あのライブでの真価をちゃんと評価出来ていない人に言われがちなんですが、僕から言わさせてもらうと、どんなにアルバムが良くったって、「この人がフェスでウケる姿を想像できない」「この人、音楽は良いけどライブが見たいとは思わない」ようなアーティストは僕は評価しないし、こういうとこでは選びません。やっぱり長い目で見て「フェスで長いこと楽しみにして見続けたい」と思わせるような人が、成長や曲の良さを証明する作品を出すことも僕はやっぱりちゃんと評価したいしね。マイク・カーの圧巻の「ベースでのギター・ソロ」をはじめ、もっと注目されて良いバンドだと思います。

 

 

 

そして、ロックだとパラモアの、あらゆるメディアでかなり絶賛された「After Laughter」、これも見逃せません。「脱エモ」自体は2013年の前作にはもう果たしていて、その頃から僕も注目してみてましたけど、今回はインディ・ロックの中に混ぜてみても、もはやかなり非凡なねじれポップ・センスのあるバンドになりましたね。トロピカル感覚のエレクトロなポスト・パンク。ギタリストのテイラー・ヨークの潜在能力がより発揮されたのが大きいですが、サウンド指向が変わろうが華奢な体に似合わないパンチの利いた延びのあるビッグなヴォーカルを聴かせるヘイリー・ウイリアムスの器用な適応性も見事ですね。それからヘイリー、ここにきて、「2015年に鬱になって一時的にバンドを抜けていた」「ニュー・ファウンド・グローリーのダンナと別れた」話しが舞い込んで来たんですけど、それを知って歌詞を読んだら、たしかに恋愛関係の終わりの欲求不満をぶつけた歌詞が今回目立つんです。そして、鬱の気持ちのリハビリ中にテイラーが書く歌に徐々に興味を持って歌いはじめたら、これが出来たとか。その意味で、ヘイリー的にもすごくパーソナルに大きいアルバムのようですね。

 

 

 

 続いてR&B/ヒップホップに行きましょう。前回は半分をこのジャンルから選びましたけれど、今回も4作選んでます。

 

 まずは、やっぱこれですね。ケンドリック・ラマーの「Damn」。すさまじい絶賛ぶりで「もうすでに年間1位では」の呼び声もあるアルバムです。たしかに素晴らしいし、今、こと、ラッパーとしての実力で彼に勝てる人、いないでしょう。彼の場合、極端な話、トラックなくても、そのラップだけを聴いても十分に楽しめるというか、ジャズ・プレイヤーのアドリブ並のすごい武器になってます。「よくここまで、リズムの流れ無視し続けたラップが延々できるな」とか「いつまでラップするんだろう。よく口と腹筋が持つよね」と、もうこれ、ラップのスキル以前に「身体能力のすごさ」の次元なんじゃないか(特に口の筋肉と腹筋)と思うくらいにスキルがすごい。そこに、社会的メッセージとして深いことだったり、歌だったり、お茶目なジョーク(カンフー・ケニー!)だったり、シュールなニュアンスだったりというのも織り交ぜて、聴いていて何を繰り出して来るのかの予想もつきにくく、引き込まれます。そういうとこはさすがです。

 

 

 ただなあ〜。今回、僕、トラックそのものがあんまり好きじゃないんですよねえ。前作「To Pimp A Butterfly」みたいな、オールド・ソウルやジャズに寄った感じは好きだけど、「あれじゃないとイヤ」ということはないし、むしろあのテのサウンドは続けちゃうとお行儀よくなりすぎる危険性もあるので,マンネリ化に陥らないためにもいいんですけど、別に流行りのトラップに乗らなくても良いかなあ、とも思ったり。トラック面でもう少しなんか斬新なこと(存在の見えにくかったU2の変則的な参加は面白かったけど)やっても良かったかなと。

 

 

 カンフー・ケニーと同じTop DAWGのアーティストの作品だと、僕はむしろこの新人R&Bシンガーの彼女、SZAのデビュー作「ctrl」の方が面白かったかな。彼女はいわゆるオーガニック・ソウル系のアーティストなんですけど、「フランク・オーシャンやソランジュ以降」とでもいうべきタイプですね。何というか表現が難しいんですが、ちょっと前までのオーガニック系って、70sのソウルやジャズの雰囲気を「サンプリング」的な感性で抜き出したような感覚が感じられたんですけど、今のオーガニックって、サンプリング的な感じと言うよりは、今一度ソングライティングの原点に一から立ち返ったような手作り感が感じられるというかね。彼女の曲にもそうした生々しさを感じましたね。あと、どこのアクセントかわからないんですけど、英語がすごく訛っているのも耳を引きつけますね。

 

 

 あと、これもカッコよかった。ヴィンス・ステイプルズの「Big Fish Theory」。彼はロサンゼルスでも、派閥的にはオッド・フューチャー系の人ですね。なんか2010年代以降、すごく期待された割には思ったほど大成した感じがしないオッド・フューチャー組ですけど、ここでのエレクトロ・ヒップホップはかなりトラックとしてストイックに先進的な感じがしてカッコいいです。今度のゴリラズのアルバムで彼、フィーチャーされてもいるんですよね。まあ、デーモンがゴリラズにピックアップしてくる時点で、やっぱメインストリームよりはインディっぽい支持が強い人で、それ故か、このアルバムも全米トップ10入りは逃し(16位)ましたけど、こういうエンタメ感の薄い実直なヒップホップも今だからこそ評価されてほしいですね。

 

 

 

 そして6月30日に出たジェイZのこの新作「4;44」も素晴らしかった。というより僕的には、ヒップホップならぶっちゃけ、これが1番好きですね!というのは、これ、ひとりのプロデューサーとだけガッチリとタッグを組んだ、かなり昔ながらのヒップホップのアルバムの作り方で臨んだアルバムだから。最近、「1曲ごとにプロデューサーなんて変えて当たり前」みたいになってるとこあって、それが90sのヒップホップに慣れてる僕のようなタイプに、どこか釈然としないものとして残ってもいましたしね。コモンの仕事で知られていて、ジェイZの大事なプロデューサーのひとりでもあるNo IDが10曲すべて手がけているんですけど、これがメッセージ色濃いニナ・シモン、スティーヴィー・ワンダー、ドニー・ハザウェイといった、ジャジーでソウルフルなかなり渋めの70sのトラックだったり、ラガ色の濃い曲やってたりと、オーガニック色がジェイZのこれまでの「ブループリント」系のアルバムよりも濃厚になってますね。これがまず47歳になった彼の貫禄にスーッと馴染むのがいい。

 

あとリリックも、浮気の平謝りで虚勢を張らない弱々しい部分をあえて見せたり、レズビアンの実母を讃えたり、「仲間同士で殺しあいなんてもうやめようぜ」とポジティヴなメッセージを発したり。それでいて、プリンスの弁護士やカニエなんかに喧嘩売ったりするのも忘れない。前から話題作りはうまい人でしたけど、今回は気持ちの振幅の大きさとネタふりの豊富さで、ストーリー・テリングにも磨きがかかってます。

 

 若手がいろいろと台頭する中で、ヒップホップ界のドンが円熟の貫禄を示してくれたのはうれしいです。

 

 

 

 そしてもう1枚、ラストでこれを選びたいと思います。これはシガレット・アフター・セックスという、ドリーム・ポップ系のバンドです。彼ら出身はアメリカ南部なんですけど、それがにわかには信じられないくらい、セクシーで耽美的な浮遊感のあるサイケデリックなポップを、繊細な囁き声で歌ってます。イギリスの方で先にウケまして、このデビュー・アルバムもイギリスで27位に入ったのをはじめ、なんとヨーロッパ圏ではどこも軒並みトップ100入りしてるんですね!この、なんというか、セルジュ・ゲンズブールの世界観を思わせるようなバンド名と、このゴシックな黒のイメージがウケたのかな。この感じだと、フェスでも引っ張りだこになるのは遠くないでしょうね。

 

 というのが、この3ヶ月のトップ10ですけどね。

 

 ただ、これ以外にも好きなアルバム、結構ありました。なので並べていくと

 

Love In The 4th Dimension/The Big Moon

Capacity/Big Thief

A Kind Revolution/Paul Weller

Beautiful Thugger/Young Thug

Nashville Sound/Jason Isbell&The 400 Unit

Hopeless Fountain Kingdom/Halsey

I'm Not Your Man/Marika Hackman

 

 

 このあたりの作品も好きで聴いてましたね。まだ時間もあるし、年末にはこのあたりが逆転してたりしてね。

 

 

 さて次の3ヶ月ですが、これも楽しみです。ラナ・デル・レイ、アーケイド・ファイア、QOTSA、ザ・ナショナル、フー・ファイターズ、そしてザ・キラーズ!ほかにも、まだ知らぬ逸材の登場もあるかもわかりませんからね。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 10:42
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Comment
 初めまして いつも拝見してます。
今回この中から1枚併せて買いたいと思います。今迷ってるのが、プリンスのパープルレインの再発です。このアルバムが大好きだった。コンピューターブルーやベイビーアイムスターの繋ぎ目良かった。レッツゴークレイジーのドカスカからのテイクミー〜落差。セクハラブラックコンテンツの変身ぶり。お見事でした。当時、輸入盤ですぐ買ったから周りの人も知らなすぎて話題になったのも3,4ヶ月後でした。それも昔懐かし話です。
今回日本盤を買おうとしてますが迷ってるのが気持ちです。パープルレインのシングルバージョンが欲しいが、アマゾンで5000円代は高い。ジャケットも紙と言う事で扱いにくい。でも解説と和訳は欲しいなあ。それ以外のこの輸入盤の違いなんだろう? う〜ん悩ましい。長いコメントすいません。でも決心がつかない。
 


ニック, 2017/07/07 7:49 AM









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