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相次ぐ不適切キャンペーン 本気で洋画界、考えた方が良いと思う

どうも。

 

 

今日は久しぶりに問題提起系の話、行きましょう。

 

 

ここ数日、あまりにも日本の洋画公開に関し、おかしなことが立て続いているのを見聞きしました。そのことについて書くことにします。

 

 日本の洋画界の情報伝達の欧米に比べての半周、1周遅れのいらだちに関して言えば、僕もこのブログをはじめた2010年くらいからずっと言っています。ただ、なかなか気持ちが届かないもどかしさがありました。ここ、最近、その話題をしていなかったのですが、ここに来てそれが再燃することが立て続けて起こっています。

 

 

まずは、この映画のことに関して、日本で話題になっているのを目にしました。

 

 

 

これは「Hidden Figures」といって、全米映画興行成績でも1位、オスカーでも3部門で候補になった作品です。僕もこれは、この2月にここでレヴュー書いてます。この映画が日本でも公開になることが決まったことは良いことです。ある時期は、僕も知人越しに「日本公開、見送りになるんじゃないか」とも聞いていたので、公開されるだけ良かったね、と思っていました。

 

 ところが、公開されると言っても、僕はまずここに怒ったのですが、公開日がオスカーから半年以上過ぎた9月末であるうえに、「邦題でクレームがついてもめてる」という話を耳にしました。

 

 

 詳しくはここのBUZZFEEDにも書かれていますが

 

https://www.buzzfeed.com/jp/harunayamazaki/rocket-girls-machiyama?utm_term=.tcBR6xDgZ#.kb3J9n42K

 

 

これは、「まだ根強い黒人差別があった時代に、黒人の女性の数学者たちがその差別を乗り越え、NASAの宇宙開発の陰の立役者になったのに、それを現した邦題じゃない」うえに「アポロ計画じゃなく、マーキュリー計画での話」という、根本的な情報ミスもあり、邦題変更に追い込まれたものです。

 

 しかもこれ、「変な邦題がついてるぞ」というタレコミがアメリカ本国にわたったことがかなり大きかった感じですよね、上のリンクを読むと。これ、こういう「外圧」めいたことが仮に起こらなかったら、このまんまの邦題で公開されていたところです。

 

 この件に代表されるように、日本の洋画関係者の無防備が目立つんですよね。昔は、情報がそんなになかった頃だったら、半年とか、1年とか公開が遅れても日本人の多くがあんまり気づかないで終わることも普通だったと思うんですけど、ネットの時代になって、僕もこうやって毎週、発表されたと同時の最新の全米映画興行成績を紹介しているわけだし、アメリカでの公開状況知ろうと思えばいくらでも知れるんですよね。加えて今は、海外旅行の飛行機の国際便の機内放送でもアメリカで公開されて日の浅い映画がかなり頻繁に流されます。僕のもとにも、「この映画、機内放送で知って面白かったんだけど、日本ではなんでやらないんですかねえ」と書き込んでいらっしゃる人も少なくなかったですしね。かなり熱心なファンになると、「日本の公開待てないから、韓国まで行ってみて来た」とか「輸入のDVDをアマゾンで予約して買った」とか、そういう話を聞くのも珍しいことではありません。洋画業界の方たちが、こうした現実をどのくらいご存知なのか。正直、かなり疑問ですよね。

 

 

 あと、これだけじゃなく、上のバズフィード読んで僕も知って腰を抜かしたものがあるので、ここでも書きますね。

 

 これも相当ヒドい!

 

 

 

 これ、何の映画だか、パッと見てわかります?これ、イギリスで婦人参政権求めて戦った人たちの伝記ですよ(笑)

 

 なんで、こんなことになるのかなあ。「女性だから」ってソフトなイメージで宣伝したら、全く逆効果jじゃないですか。これ、すごく洋画界の中のマチョイズムを感じさせて嫌ですね。

 

 

 女性がらみの映画の日本での宣伝のひどさでいえば、これを思い出しましたね。

 

 

 この「SPY」ですね。これ、2015年の大ヒット映画ですよ。それなのに、これ、日本ではDVDスルーで終わった上にこのポスターですからね。これ、パッと見て、「太った中年女性が大活躍するアクション映画」ってニュアンス、伝わります?これじゃいかにも、「ルックスのイケてないヒロインの映画なんて、当たるわけないだろ?」という、配給会社の上役が勝手にイメージすりかえて世に出したようにしか見えません。主演のメリッサ・マッカーシーって、「太った中年女性でも、ハリウッドの主演女優として成功できるんだ」と、ハリウッドの基準変えさせた人として、2010年代で重要な女優さんのひとりですよ。そうした新しい価値観を紹介するチャンスを保守的な考えでねじ伏せてますよね、これなんか。

 

 

 あと、上のバズフィード(「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のリミックスも問題にしてますね。僕もレヴューした際にネタにしてます)のネタ以外にも、まだひどいと思ったものがありますね。

 

 これ、なんかも。

 

 

 

この「20センチュリー・ウーマン」。これ、赤文字の「母と息子のラヴ・ストーリー」ってコピーで、意味通じます?これ、たしかに母親役のアネット・ベニングも大事な役ではあるんだけど、同じかそれ以上にグレタ・ガーウィッグとエル・ファニングがすごく大事な映画です。それが証拠に、そこに英語で書いてる原題「Women」でしょ?なんで、3人の女性をもっと目立たせるコピーにしなかったのか??

 

 

 しかも、これ、劇中でブラック・フラッグやトーキング・ヘッズなんて単語が頻繁に登場するくらい、パンク/ニュー・ウェイヴにかなり突っ込んだ内容です。しかもマイク・ミルズって「サムサッカー」の頃から、日本の単舘系映画ファンのあいだではファンがそれなりについてる監督なんですよね。なんでもっと、サブカル系のコア層を刺激する宣伝展開にしないのか?「コア層以外の人にも裾野を広げないと」という考えはわからないではないのですが、本国でさえ元々がどインディな映画でそんなことやっても無駄です。これじゃ、本来日本で見てもらえるはずだった人、かなり逃しちゃいますよね。

 

 

 あと、今度はポスターじゃなくトレイラーですけど、これもねえ。

 

 

 

オスカーでも2部門で受賞した、非常に評判の高い作品ですね、「ハクソー・リッジ」。これは僕もすごく好きな映画です。

 

 

 これ、日本だと6月下旬公開で、もうトレイラーも出てますが、これ

 

 

 戦場の舞台が沖縄なのに、そのことがひとことも触れられてない!

 

 どういうことなんでしょう。「日本が舞台」ってことで見に行く人だって間違いなくいるでしょうに。

 

 そんなに右翼が怖いんですかね?そんなこと言ったら今後、第二次世界大戦を描いた戦争映画、日本で公開できなくなりますよ。

 

 しかも、この映画、「兵士を一人として殺さなかった人」が主人公の映画じゃないですか。日本兵、誰も,少なくとも主人公には殺されてないし、見ればわかると思いますが、特に日本軍を悪者風に描いてもいない。いくら監督がユダヤ人差別主義者で知られるメル・ギブソンだからって、日本人を目の敵にしたような表現、ないですよ、これ。

 

 

 皮肉にもこれ、舞台となった浦添市はこの映画のこと、こんなに宣伝してるのにね。こちら

 

 

 日本の洋画に関して短期でこんなにたくさん、「おいおい」なもの見かけるの、ちょっと記憶にないですね。

 

 

 それから公開タイミングもあいかわらずひどいですよね。こないだの2月のオスカーでも、作品賞ノミネートの作品で、日本公開が授賞式に間に合ったのは「ラ・ラ・ランド」ひとつのみ。プラス、大ヒット作品に関しても、今年に入って「LOGAN」が全世界的に3月の頭の公開だったのに日本だと6月。今、大ヒット中の「ワンダー・ウーマン」にしたって、日本だとお盆過ぎた8月25日。前から思うんですけど、「公開遅らせたからと言ってヒットに必ずしもつながっているのか」という疑問も消えません。さっきも言ったように、ネットや飛行機から公開状況の情報を知る人だっていくらでもいる世の中です。宣伝、公開、ともに、そろそろいい加減で対策を願いたいです。

 

 

 

author:沢田太陽, category:映画, 13:26
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-, 2017/07/09 1:19 PM









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