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全オリジナル・アルバム From ワースト To ベスト (第3回)デュラン・デュラン

どうも。

 

やっとロラパルーザのレポを書き終えてホッとしていますが、その勢いのあるうちに、今日はこの企画をやります。

 

 

 

 

去年のプリンス、先週のデペッシュ・モードでやってすごく好評だったので、これ、定番企画化しちゃいますね。全オリジナル・アルバム FromワーストToベスト。もう、ルール勝手に作ってですね(笑)、上の9分割に足るだけの数のアルバムを出したアーティストなら対象にしようと思っているのですが、今、ロラ直後でものすごくマイ・ブーム再燃ということで(笑)、3回目の今回はデュラン・デュランで行きます。

 

 いやあ、「デュランで良いのか!」との声もいただきそうですが(笑)、ここ数日で全アルバムに耳を通したので勢いのあるうちにと思いましてね。実はこの企画、去年にボウイやディランでもやろうとして、全部耳に通したとこまでは行ったんですが、ちょうど書こうとしたそのときにすごく忙しくなって書かないでいたらアルバムの印象が狂ってきたので、結局辞めちゃったんですね。なので、アルバムの印象の記憶が濃いものをやろうと思いまして。あと、こないだも書きましたけど、南米のロラパルーザでデュラン、すごくリスペクトを受けて大好評だったんですね!で、そのあともアイルランドのフェスにThe XXやトライブ・コールド・クエストとヘッドライナーで出演してチケットがすぐ売り切れたなんて話もあって。新作は英米でもトップ10に入りましたけど、かなり再評価、あがってきてるんですね。なので、ここはやはり、長年の大ファンとして、そういうとこもアピールしていかなきゃダメなのかな、とも思いまして。

 

 なのでデュランのオリジナル・アルバムと、もう1枚(それがなにかは、上の写真でわかる人にはわかる、笑)の計15枚の、僕自身によるカウントダウンになります。まずは15位から。

 

 

15.Liberty(1990 UK#8 US#46)

 

 ワーストに輝いたのは、1990年のアルバム「Liberty」。これはやっぱダメですね(苦笑)。ちょうど80sの終わりに人気が下降し出して、本人たち自身もどうしたら良いのかわからなくなってた時期の作品ですね。何がしたいのか、全然わかんないですもん。微妙にハウス入れてみたかと思ったら、厚めのギター鳴らしたりとかね。ジョン・テイラーが後に「どうやって作ったのか、全く記憶にない」と語っているのですが、要はドラッグでハイになっているときに勢いで作って自分たちでもビックリ、というパターンだったようです。このアルバムはなぜか運良くイギリスではトップ10に入ったんですけど、アメリカでは46位まで人気が落ちました。これがデュランが味わう、1回目の危機です。

 

 ただ、こんなアルバムでも1曲だけ嘘みたいにキレの良い「Serious」って曲があるんですけど、これは彼らの定番ベスト盤である「Greatest」で聴くことが出来ます。

 

 

14.Red Carpet Massacre(2007 UK#44 US#36) 

 

 これは、オリジナル・ラインナップで再始動をはじめた2枚目のアルバムですね。このときの話はちょっと悲惨でした。

 

 このアルバムはレコード会社から「ティンバランドのプロデュースでアルバムを作ろう」と勧められてやってみたら、ティンバランドは自分の弟子にこのアルバムをプロデュースさせ、かつ、彼らは生楽器をどうやって録音するかわかってなさそうでバツが悪そうに見えた、と後にサイモン・ル・ボンが語ってますけどね。

 

 これ、録音はですね、やっぱり弟子とはいえティンバランドの息のかかった人物だったので、エレクトロ・ファンク風の音はすごくいいんですよ。ただ、そのエレクトロのビートは、どこかこう事前にプリ・セットされたみたいな音で、今も昔も基本はバンドのデュランらしい生身の感覚が全くゼロなんですね。だから聴いていて、「カッコよくは聴こえるけど、どこか生気がなく気持ち悪い」作品になってしまいました。この失敗で彼らはメジャーとの契約を失い、3度目の危機を迎えました。

 

13.Thank You(1995 UK#12 US#19)

 

 この一つ前のアルバムが久々に大ヒットしたこともあり、勢いで自信持って作ったはずの、95年発表のカバー・アルバム。ただ、これがフタをあけてみると、イギリスの雑誌Qから「史上最悪のアルバム」と酷評されてしまい、それが今日に至るまで伝説となってしまいます。

 

 まあ、おそらく、その理由は、その10年一昔前まではアイドルとして知られたバンドが、やれ、スライ&ザ・ファミリー・ストーンだ、ルー・リードだ、レッド・ツェッペリンだ、ボブ・ディランだとカバーしたのが「お前らの分際で何事か!」な評価だったと思うんですけどね。ただ、それでも、グランドマスター・フラッシュの「ホワイト・ラインズ」のカバーはヒットしていまだにライブの定番曲になってるし、ルー・リードの「パーフェクト・デイ」のカバーはルー自身がすごく好きだと語ってもいますしね。

 

 ただ、僕自身がそこまで評価しないのは、これ、意味不明なまでにハードロック・ギターが炸裂したアルバムなんですよね(笑)。あとにも先にも、こんな作り、彼ら一作もないんですよ。元々がそういうバンドでもないのに、カバーになるとなんでこんなことに?そうした、不透明な方向性ゆえに好きじゃないですね。弾いてたのウォーレンだったけど、どうしたんだろう。

 

 

12.Astronaut(2004 UK#3 US#17)

 

 これはオリジナル・ラインナップでの再始動第1弾アルバムでした。当時ものすごく、「リバイバル・ブームに乗っての華麗なカムバック」を期待してたのですが、そうならずにひどく落胆したものです。

 

 ただですね、嫌な予感はその前年も来日公演からあったんですよね。戻って来たのは良いものの、農家から戻ったロジャーのドラムはおぼつかなく、アンディはやたらとここぞでハードロック・ギターを弾きまくろうとしたがる。なんか見てて複雑だったんですよね。

 

 そして、フタをあけて登場したこのアルバムも非常に中途半端な作品でしたね。微妙に「80sリバイバル」を意識、もしかしたらしているのかな、みたいな曲が少しあるだけで、でも、かといって、「今の自分たちはこうなんだ!」と強い主張も感じない。どっちつかずの中途半端なアルバムになりましたね。当時、せっかく、キラーズとかシザー・シスターズみたいな、80sシンセ・ポップ・リバイバルみたいな大きな波があったのに。全英では3位と復活したんですが、全米は17位止まりでしたね。

 

 

 ただ、オリジナル再結成を強く押し進めた張本人としての責任感からなのか、サイモンのヴォーカルはすごく良くなってたし、「(Reach Up For The)Sunrise」「Nice」と、捨てがたい曲はありましたね。

 

 

11.Notorious(1986 UK#15 US#12)

 

 これは世間一般より、僕の評価が低い作品だと思います。たしかにタイトル曲は当時大ヒット(全米2位)したんですけどね。

 

 この時期はサイモン、ニック、ジョンの3人体制でしたけど、なんかジョンの意見が強かったんじゃないかな、と思えるアルバムですね。すごくブラック・ミュージック寄りで、ホーン・セクションもバリバリで。この頃のファッションがスーツにもなってたし、すごくカフェバーっぽいUKソウル寄りのアプローチだったんですよね。プロデューサーもナイル・ロジャース(ダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」で有名な彼です)だったし。

 

 ただなあ〜。このスタイル、正直、デュランには微妙だったんですよね。一番合ってないのはサイモンでしたね。このアルバムで彼、なんか終始、これまでに出したことのないような高いキーで歌わされてるんですけど、この頃のサイモン、高音のコントロールがすごく悪くてですね、聴いてて非常にツラかったんです(苦笑)。後にも先にも、ここまで黒っぽい要素の時代はないですね。

 

 

10.Meddazaland(1997 US#58)

 

 カバー・アルバムのあと、ジョン・テイラーが脱退した後に出された作品です。

 

 デュランって、その昔はジョン・テイラーがバンドの顔のイメージが非常に強かったもので、その彼を失うというネガティヴな印象が暗い影を落とし、レコード会社にも押されず、イギリスでは発売され見送られ、アメリカでやっと58位という内容ですね。

 

 しかしですね、このアルバム、実は内容、悪くないんです!ここでのデュランって、すごくブリットポップのバンドみたいなこと、やってます。ちょうどこの頃、エラスティカとかパルプみたいな、アナログ・シンセ使って80s初頭みたいな雰囲気出そうとしていたバンドも少なくなかったんですが、それに近いことやってたんですね。そこんとこ、ニック・ローズはトレンド、抑えてたようですね。

 

 

9.Big Thing(1988 UK#15 US#24)

 

 80年代前半のような人気はなくなりつつも、でも、まだ「I Dont Want Your Love」みたいな全米トップ10シングル・ヒットは出せるよと証明した88年作。

 

 前作のときのようなカフェ・バー・ソウルっぽい、妙に大人っぽく洒落たテイストはなく、もっとファンキーでハジけたテイストのアルバムですね。彼らのブラック・ミュージックの路線では、前作よりもこっちの方が合ってると思います。

 

 これもジョンの好みが出たタイプの作品だとは思うんですけど、このあと、ジョンが急速にデュランに対して興味を失って行き、アルバムの貢献度がガクンと落ちるんですよね。それで一回脱退して戻って来る訳なんですけど、それ以降も、表には立たなくなりましたからね。でも、申し訳ないけど、そうしてくれた方がデュランにはプラスというか、より”デュランらしい”ものが作れる気が、今から振り返ってもしてます。このアルバムでも一番好きなのは「All She Wants Is」っていう、ちょっとデペッシュ・モードみたいなダークなシンセ・ポップ。やっぱ、ニックのシンセが活躍しないと、デュランっぽくはどうしてもならないんです!

 

 

8.Pop Trash(2000 UK#53 US#135)

 

 ジョンが抜けた体制での2枚目。古巣のEMIでの契約を失い、一応メジャー・レーベルなものの配給の強くないハリウッド・レコーズでリリースした結果、商業的にはかなり苦しいものでした。ここが第2のバンドの危機ですね。

 

 ただ、前作同様、作風は悪いどころか、前作よりさらに良くなってるんです。前作でのブリットポップ路線は、ビートルズっぽいメロウな曲から、ストリングスを配したラウンジ・ポップ系の曲、さらにはファットボーイ・スリムみたいなビッグビートも聴いているのかな、と思えるようなアレンジも光っていましたね。

 

 ただ、どんなに充実して良いものを作っても、注目されないことに堪え兼ねてしまったのか、サイモンはジョン、ロジャー、アンディを呼び戻し、これまで不遇機を支えて来たギタリスト、ウォーレンを切ってしまいます。「ギタリストとしての腕も立ち、ソングライティングもこなせるウォーレンを切ったのは却って損だったのでは」とは、その後に、メタルっぽいフレーズなんかを無理していれようとしたがる復帰後のアンディを見て思ったものでした。

 

 ただ、オリジナル再結成も思いつかずに今も活動を続けていたら、「良い味のベテラン」にこそなったかもしれませんが、今日のような大きな復活があったか、と問われると難しいとこですね。

 

 

7. So Red The Rose/Arcadia(1985 UK#30 US#23)

 

 はい。デュラン以外で番外的にランクインしたのは、このアルバムでした。これは85年当時、ジョンとアンディのロバート・パーマーとのハードロック・ダンス・プロジェクト、パワー・ステーションが大成功(全米トップ10シングルが2枚)したのに対抗した、残ったサイモン、ニック、ロジャーの3人が作ったバンドです。

 

 ただ、こっちは売れなかったですね。「エレクション・デイ」って曲が少しヒットしたくらいで、アルバムも売れませんでしたからね。しかし、高校1年だった当時の僕にしてみれば「こっちの方が圧倒的にいいじゃん!」と大好きになったのがアーケイディアでしたね。だって、このプロジェクト、これまでのデュランのサウンドの要素を、ただ単純に濃くしただけに過ぎないんだもん(笑)。ストリングスを交えたりしてゴシックにセクシーな風にはなりましたけど、そのサビで裏返るサイモンの声も、妖艶なシンセを奏でるニックも、「ああ、ここがデュラン・サウンドの中心なんだな」と思えるようになりましたね。

 

 そして、この10年後、デュランはそのときの2人、ニックとサイモンのプロジェクトとなり、最低2枚は、このアーケイディア体制(そしてウォーレン)で作ることにもなりました。僕が本作をデュランの作品として含めたのはそれが理由です。作ってる人が人なだけに、結果的にデュラン名義の作品よりデュランっぽくさえなってしまったというね。

 

 さらに、このアルバムでもそうでしたけど、不遇の時代の2枚も含め、ニックとサイモンのケミストリー上では、ブラック・ミュージック的なサウンドって一切生まれてないんですよね。やっぱり、あれはジョン経由のものだったのかなと。

 

 あと、コケたプロジェクトの割に再評価は高くて、2000年代の終わりくらいにデジタル・リマスターでちゃんと再発されもしましたね。

 

 

6.Paper Gods(2015 UK#5 US#10)

 

 目下のところの最新作で、鮮やかな復活を印象づけたアルバムです。イギリスで5位、アメリカで10位ですからね。

 

 僕としては、この一つ前の方がアルバムとしては好きです。あっちのアルバムの方がよりデュランっぽいし、実際に曲も、あっちの方がよく書けていたと今も思います。

 

 ただ、結果論なんですけど、前作で「らしさ」を取り戻した後に、ただの懐古主義に陥らず、前作で再確認したアイデンティティをもとに、つんのめりながらもEDMに挑戦もすることで、さらにサウンドを進めて行く。この方法論の方が、たしかにより有効ではあるのかな。

 

 嬉しいことには、今回、ナイル・ロジャースと組んで、黒人女性シンガーのジャネール・モネエと共演したりした「Pressure Off」みたいな楽曲がありながらも、「ノトーリアス」のときみたいに、それまでのデュランのカラーを一切損なうような形でのトライではもうないし、「Last Night In The City」なんてチャラいEDMではあるんだけど、デュランらしい、クセの強いマイナー調メロディなのもすごくらしいなと。このまま「らしさ」がしっかりコントロールしたままで進化出来たらすごく良いですよね。

 

 

5.Seven And The Ragged Tiger(1983 UK#1 US#8)

 

 「Union Of The Snake」「New Moon On Monday」「The Reflex」と、3曲の英米共にトップ10入りの大ヒット・シングル3枚を擁した、自信最大のヒット期での作品。中学2、3年生だった僕はLPでこれ持ってて、何度もくり返して聴いたものです。勢いのある時期の作品なので、もちろん悪いはずがありません。聴いていると、自分の中学時代の甘い思い出がフィードバックされていきます。はじめて行った彼らのライブも、このときのツアーだったりしますからね。

 

 ただ、今、冷静に聞き返すと、意外と穴も少なくなかったアルバムなんですよね。構成上、今ひとつなところがあると言うか。たとえばアナログでいうA面はシングル・ヒットした冒頭の2曲以外が弱いとか、B面も2曲目が弱い上にすぐにインストに行ってラストのバラードに入るので、全体的にちょっとスカスカに聴こえるんですよね。もうちょっと、曲数増やした方が良いタイプだったのかもしれません。あと、前2作に比べるとロック的なエッジがなさすぎかな。

 

 そして、何があったかはわかりかねますが、オリジナル再結成後、大ヒット作だったにも関わらず、彼らはここからの曲を積極的にはプレイしようとしませんね。

 

 

4.Duran Duran(The Wedding Album)(1993 UK#4 US#7)

 

 90年代の前半に放った起死回生の傑作ですね。これはかなり好きなアルバムです。今聞き返しても、大ヒットして、いまだにライブのセットリストから絶対にはずれることのない「Ordinary World」「Come Undone」の2曲は、歴代でも出色の出来だと思います。

 

 ヒットした当時は「アダルト路線、バラード路線に行って成功した」なんて言われ方もしていましたが、アルバムの内容をちゃんと聴くと、そういう安易な作りでもありません。いうなれば、「バック・トゥ・ベイシックス」な感じですね。それは、サウンドが80s前半に戻った、というわけではなく、彼ら本来の「同時代のクラブ・サウンドを意識する」「デュランらしいメロディの曲を書く」というのが実践出来たアルバムですね。特に功を奏したのが、グラウンド・ビートの導入ですね。これは「Come Undone」とか「Love Voodoo」といった曲で使われてますけど、ベースの強いレゲエ・テイストのリズムは、デュラン得意のマイナー調の妖艶なメロディ・ラインにすごく良く似合います。方向性が何も見えなくなっていたワースト作「Liberty」からよくここまで立て直しができたものだと思います。

 

 そこに加えて、どういうわけで実現したのかいまだによくわからない、ブラジルのMPBの大御所、ミルトン・ナシメントを迎えたグルーヴィー・フォーク・チューン「Breath After Breath」が入っていたりするなど、これまでになかった意外なポイントも垣間見せたりもして。あと、「Come Undone」でのリフも自身が考案しているように、前作で正式メンバーになったウォーレンのソングライティングでの貢献も目立ちはじめた作品でもありました。

 

 

3.All You Need Is Now(2011 UK#11 US#29)

 

 デュランが本当の意味で現在につながる復活をしたのはこのアルバムですね。これはもう、出たときから本当に嬉しい作品でした。オリジナル再結成という、話題性の切り札を切っても当の本人たちがピリッとしなかったのはすごく歯がゆかったりもしたんですが、それが再集結で10年近い月日が経って、ようやく戻って来たのは奇跡的でさえありましたね。

 

 きっかけは、このアルバムをプロデュースしたマーク・ロンソンから「デュラン・デュランに聴こえる曲を書いて欲しい」という注文を受けてハッとしたようなんですね。彼ら曰く「そこをむしろ一番避けようとしていたところがあった」とか言って。前も言ったように、結構、あらゆる時期にいろんなこと試してるでしょ?本人たち的には音楽の流れに着いて行っている自負があったし、懐メロで食って行く意識はなかったと思うんです。

 

 ただ、彼らが80s前半で鳴らした音というのが、今やしっかりポップ・ミュージックの世界においてリスペクトされる対象にしっかりなった後ですからね。そこに立ち戻ることは、決して後ろ向きでもないし、むしろ「本家」である彼らにこそ人々がやってほしいと願うものにもなっていた。そのタイミングで、その答をしっかり出したアルバムでしたね。

 

 一番の強みはやはり、80s初頭のニックらしい、流麗でちょっとひねくれたアナログ・シンセのフレーズが戻って来たことです。これでこそ、デュランというものです。そして、そこに呼応するようにかぶさるジョンのスラップ・ベース。このコンビネーションはやっぱり彼らだけにしかできないことです。この感覚が活きたタイトル曲、「Girl Panic」「Safe」といった曲は本当に良いですね。

 

 さらに、その黄金期のサウンドに対し、サイモンの声が劣化することなく、昔と同じトーンと響きで聴けたのも良かった。彼、シンガーとしてはうまくないと言われ続けていて、実際、90sの頃は伸び悩みも感じられたんですが、再結成後、一番成長したのは彼です。再結成を押し進めた責任感からか、プロ意識が強くなって、歌も、ライブでのショーマンシップも上がりましたからね。彼のこのプロフェッショナルな意識がなかったら、今回のようなサウンドに立ち返ったとしてもダメだったと思います。

 

 そして、前作で予想通り再脱退したアンディの代わりにサポート・ギタリストで入ったドミニク・ブラウンが才人だったのも良かったです。彼、ソングライティングでも貢献しているんですよね。正式メンバーにしてあげてもいいのにね。

 

 ひとつだけ惜しむらくは、彼らのカムバックの原動力になった作品だけに、今のライブで最低でも1曲はやってほしいですね。「Paper Gods」でも悪くはないですが。

 

 

2.Duran Duran(1981 UK#3 US#10)

 

 そして、デビュー・アルバムが2位ですね。これも傑作です。

 

 2000年代前半に「ポストパンク・リバイバル」なるものがあって、デュランもリスペクトされる対象のひとつになりましたが、そのとき、ポストパンクっぽいのはむしろこっちのアルバムでしたね。デュランというと、一般的にはシンセポップのイメージが強いんですけど、ここでの彼らはファンキーなベースラインというのも既に武器だったし、そして何より、アンディがちょっとエッジの立ったギター・リフを弾いてたんですよね。なので、この1st、今から振り返って聞くと案外ロックっぽいんですよね。その意味で、その次や2作後での世界ブレイクの時よりも評価する声というのも実際にあります。

 

 たしかにポストパンクのひな形的な「グラビアの美少女」は今聞いてもカッコいいんですけど、ただ、まだサイモンのヴォーカルに表情がないのと、楽曲全体に堅さがあって大衆に開かれた感じはしないかな。デビュー曲の「プラネット・アース」で芽生えはじめていた屈託のないポップ性が本格的に開花するのは、やはりこれの1作後でしたね。

 

 

1.Rio(1982 UK#2 US#6)

 

 やっぱりデュランと言えば、どうしてもこれです!永遠の代表作ですね。

 

 ここで彼らは「シンセポップ;ポストパンク=8;2」くらいのバランスの、良い案配な彼ららしいシグネチャー・サウンドを手に入れますね。加えて、彼らに影響を与えたジャパンやロキシー・ミュージックが持っていた妖艶なポップ・エッセンスを、その良さを殺さないで大衆化させることにも成功しました。メロディメイカーとしての芽生えが見事です。ファンキーで軽快な「リオ」、パンキッシュなエッジもある「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」、そしてシンセポップ・バラードの決定版の「セイヴ・ア・プレイヤー」に「ショーファー」。バランスも完璧です。

 

 そしてこのアルバムは音楽だけじゃない。ジャケ写のアートワークは、80s初頭のイメージを現すときの実例のひとつにもなっているほどだし、さらにスリランカで撮影した一連のミュージック・ヴィデオ!これがあの当時の勃興期のMTVが求めていたイメージとしっかり重なったことで、彼らはあの当時の時代の寵児にもなってしまうわけです。映像でポップ・ミュージックを楽しむ時代の格好のアイドルとなったわけです。

 

 アーティストのいわゆる最高傑作って、マイケル・ジャクソンのスリラーとかもそうなんだけど、音楽以外の時代的な要素も加わって、それらがケミストリーを起こしたものにどうしてもなるんですよね。それが連鎖反応的にパタパタと起こったのがこのアルバムだったし、ぶっちゃけ、これが故に彼らが忘れられない存在になっていることも事実です。

 

 

 ・・でも、長年のファンながら、中学のときの自分にとってのアイドルが、3回も忘れられる危機があったのにそれらを乗り越えて、いまだに大きい会場で新作のためのツアーをやれて、さらにはフェスの何万人もいるデカい会場を沸かすことのできるバンドになるなんてことは、これっぽっちも考えたこと、なかったですけどねえ。

 

 

 ・・といった感じです。この企画、第4回目を早ければ来週にもやります!予定のアーティストは、ガラッと変わりますよ。

 

 

author:沢田太陽, category:FromワーストTo ベスト, 11:30
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Comment
いつも読ませて頂いています。この企画大好きです。次回は是非パール・ジャムでやってください!「パール・ジャムの事が気にはなってるけど何から聴いていいか分からない」という人にとって指標になると思うので。
j-ramone, 2017/03/31 9:08 PM









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