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ロラパルーザ・ブラジル2017感想  その1 

どうも。

 

見て来ましたよ。

 

 

 

 

僕の生活には欠かせないものです。ロラパルーザ・ブラジル。今年もこれをレポートしましょう。

 

 

今年で6回目で年々、サンパウロ市内での注目度も非常に高くなってきているんですが、今年遂に動員が19万人に達しました!これまで16万とかだったはずですが、一気に伸びましたね。やっぱ、メタリカ、ストロークスとヘッドライナーが大きかったからだと思います。

 

 

 ただ、今年は運営側にとって大きな年にしたいとするあまり、かなりトラブルもありました。それがチケットの売り方や、リストバンドのモダン化に伴う大混乱で,実は僕も巻き込まれています。

 

 

 今年一番驚いたのは、過去5回、当日の券だけ持って行って、入り口でリストバンド交換をするというのが習慣でしたが、今年から急に「リストバンドの方式を変えたから、引き換えるには両日のチケットが必要」ということに急になったんですね。困ったことに僕は1日分しか持っていませんでした。そして、受付で言われたまさかの言葉。

 

 

「取りに帰ってください」

 

 

ガーン!

 

 

 正直、おまけしてもらえると思っただけにものすごいショックでしたね。しかも午後2時半で、これからステージが活発しはじめるときだったのに。

 

 

 幸いにして、僕のアパートは会場のインテルラゴス・サーキットから車で30分程度の距離だったのでなんとかなりましたが、それでもウーベルの往復と、リストバンド交換で食った時間は3時間近く。あやうく、僕がその日最も見たいと思っていたThe 1975のライブを見そこねるとこでした。ただ、まだマシな方です。これが市外の人とか、別の州から来た人に同じことが起こったとしたらゾッとします。

 

 

 そのリストバンドなんですけど、すごくモダンなものでして、リストバンドに課金して、中の飲食がバーコード読み取るみたいに機械でピッとこすれば買えるシステムなんですね。まあ、たしかに使い慣れると便利なんですが、導入して間もない場合は、非常にやっかいでしたね、これは。

 

 

 そうこうしているうちにロスが3時間。リストバンドが交換し終わったのは5時30分でした。そのせいで、グラス・アニマルズを完全に見れず、ケイジ・ジ・エレファントは外で音聴いて、最後の曲だけ生で通りかかりましたが、これで3回目の出演の彼ら、第1ステージでものすごい動員になってましたね。あ〜あ、見たかったよ。

 

 

<17:30 The 1975 第2ステージ>

 

 そして第2ステージへ。ここがゲートから一番遠くにあるステージなので、たどり着くのに一苦労。着いたときにはもう1975ははじまっていて、オープニングの「Love Me」が半分くらい聴けませんでした。くやしかったけど、ウーベルで帰ったのでこの程度の被害で済んだことにはむしろ感謝しましたが。

 

 

 で、1975、僕、今回初めて見たんですが、彼ら自身,初のブラジルでした。ただ、正直、お客さんの入れはもうひとつだったかな.ブラジルの新聞は「いっぱい入ってた」と書いてははったんだけど、3年前に同じ場所での同じ時間帯で、イマジン・ドラゴンズのすさまじい人の入りを覚えている感じからは、それの6割ほどでしたね。彼らはイマジン・ドラゴンズと違って、サンパウロのFM局のサポートを余り受けなかったんですが、そういうとこでの差でしたね、これは。

 

 ただ、女の子を中心に噂にはなっていたのか、黄色い歓声でキャーキャー言って騒がれてましたね。フロントマンのマット・ヒーリー、モニターで大写しになると、確かに男前でしたね。ブランドものっぽいロング・スリーヴのシャツをあけて歌ってましたけど、大写しになった顔を見るや、僕の大学のサークルのときの友人にそっくりだったことを思い出してハッとしました(笑)。目とか鼻筋とか、体型とかがソックリで。「ああ、あいつ、やっぱイケメンだったんだな」と思ったのに加え、「マット、やっぱりそういうセンスでも80sっぽいのかな」と思ったりもしましたね。

 

 ライブそのものは、ほぼ音源通りを忠実にやってる感じでしたね。サポートにサックスがいるとこまで、ちゃんと再現出来ててね。彼らの場合、サックスと、あのカッティング・ギターとシンセでの80sっぽさって肝ですからね。あと、地味ながらギターとシンセを1人2役でやってるアダム・ハンにミュージシャンとしての才能を感じましたね。

 

 彼らのソングライティングの、80sから現在のエレクトロ、R&Bも拾えるレンジの広さは僕もかねてからこのブログで絶賛していることで、その点に関しては楽しめました。ただ、マット、体調よくなかったのかな?あれだけ華のあるセクシーなフロントマンの割にはそこまで客を掴みにいってはいなかったし、煽りが少なかった。そこはまあ、そこまで問題ではないのですが、気になったのは歌唱ですね。前から映像での姿を拝見した際も、「シンガーとしてはちょっと線が細い感じがあるかな」と思っていたのですが、この日は曲が進めば進むほどに声が出なくなってましたね。終盤のハイライトにしないといけなかった「The Sound」で声枯れも起こしてましたが、ちょっとこのあたりは今後に課題を残したのかな、という感じでしたね。

 

 

<19:30 The XX 第2ステージ>

 

 The 1975が終わって、1時間ほど休憩して、次のThe XXへ。その間、第1ステージでは、意外にもブラジル初上陸だったランシドが結構盛り上がったライブをやってましたね。ご飯食べながら横目で聴いてて「Ruby Soho」とかをなつかしいなと思いながら聴いていました。

 

 で、The XXですが、今回の準ヘッドライナーです。「第2ステージ」といってもバカにしてはいけません。実は、人の収容の数で言えば、第1よりも大きいんです。ここはステージが谷底になっていて、そこの収容人数こそは多くないんですけど、斜面がやたら広くて、そこに数万人規模、多分全部で5万人くらいの人が入れそうなんですよね。そういうとこでのシメを彼らがつとめる訳ですが、駆け出しの頃を覚えているだけに、「大きくなったなあ」の感慨には浸りましたね。

 

 ただ、実はブラジルでも結構人気があることはわかってました。2013年に彼ら、サンパウロの3000人くらいのホールでライブやってるんですが、そのとき数日で売り切ってましたからね。僕もたかくくってたら、発売日に「もう半分以上売れた」と聞いてあわてて買いに行ったくらいでしたから。

 

 で、開演前から人がゾロゾロ集まるのなんの。やっぱり人気は本物だったんだな、と改めて思いましたね。そしてXXの3人が登場すると、その時点でもう割れんばかりの大歓声。スタジアム・ライブ級の興奮になっていましたね。

 

 

 

 

 ロミー、オリー、ジェイミーの3人が定位置について、新作「I See You」からの「Say Something Loving」でスタートすると、そこからは大合唱の嵐でしたね。「Crystalized」「Islands」と定番人気曲を立て続けたこともあって、それが加速された感じでしたね。

 

 ジェエイミーは相変わらずDJ、ドラム、鍵盤で、ロミーとオリーの紡ぐストーリーの音の演出家として息を飲むような芸達者ぶりを発揮していましたが、この日の主役はロミーとオリーでしたね。2人のシンガーソングライターとしての説得力が上がってるのなんの!前は2人して本当に暗く内向的なイメージだったけど、観衆に心開いて訴えられるようになってきたというかね。2人とも声が前に出てくるようになったし、特にロミーはよく動くようになってギターのフレージングもよくなりましたね。

 

 

 そしていつも仏頂面だったオリーが笑うようにもなって。彼、2013年にサンパウロのホールでライブやったときに、終始無愛想のままだったのに、最後になって「僕たち初めてここに来たのに、こんなにも熱い歓声飛ばしてくれるなんて・・」と感極まって涙声になったんですね。それが今回は、さらに倍加した熱狂的歓声に驚きながら笑顔で返せるようになった。「変わったな。そして大きくなったな」と思いましたね。

 

 

 ただ、どんなに今作でサウンド的に多用となり、開かれて行こうと、心の奥底の孤独に語りかけるようなスタイルも変わらないですね。ロミーの、地声っぽいんだけど、つややかで響きの良い声でこれをやられるとやっぱり強いですね。

 

 

 選曲的には今回の3枚目と、今のモードで進化したデビュー作、そしてたまに2枚目の曲を挟む感じでしたけど、後半のクライマックスは「Loud Places」で来ましたね。ジェイミーのソロ作でロミーをフィーチャリングしたアッパーな曲ですけど、ここで客が大団円になりましたね。これ見て、「ああ、このお客さんはクラブ界隈でつかんだんだ」としっくり来ましたね。あと、お客さんに黒人が多かったんですけど、R&B/ヒップホップのファン層の受けも良さそうですね。

 

 

 このあとにライブは「Om Hold」でもうひとあがりあったあとに「Angels」でしっとりとシメました。

 

 

<21:30 メタリカ 第1ステージ>

 

 

 そして、この日のヘッドライナーはメタリカでした。彼らはブラジルには最低でも2年に1回、来るときは毎年来てる人たちで、そのたびにチケットも売れるので、今回のロラもまずは集客的には安全パイと言われて来ました。実際、この日だけで10万人集客しましたから。

 

 

 ただ、その場に居合わせた実感からしたら、そんなに会場、メタルヘッドが集まってた印象はなかったし、むしろ古株のメタル・ファン、少なかったんですよ。彼らのうちの頑なメタルファンはむしろ来てなかったですね。あと、50近くの彼らのファンは、第1ステージの縁のところで体操座りして見てました。だから入場の時、入るの大変でした(笑)。このステージはフロア部分が非常に広くて、たとえるなら幕張メッセの野外版みたいな感じなんですけど、そのフロア部分の後ろはモッシュが出来そうなくらいに開いてたし、実際にやってた人、いました(笑)。

 

 

 どっちかというと、メタリカと同じ時間に裏でやってたチェインスモーカーズの客と相乗効果になって多かったんじゃないかと思います。例年EDM系の客はものすごく多いので。ブラジルのメディアの報道、そこを見落としちゃうんですけどね、いつも。

 

 

 僕はここで何度も言っているようにチェインスモーカーズってすっごく嫌いなので(笑)、それで腹決めて「今日はメタリカ、全部見よう!」と決めて来ました。彼らのライブは2003年に「セイント・アンガー」のときに代々木体育館で見ただけだったんですが、正直、その時の印象が良くなかったのでためらったんですけど、今回改めて、新作と、リアルタイムでそこまで熱心に聞いてなかった1枚目と2枚めを重点的に聴いてライブに備えました。そしたら、それが見事に功を奏しました、

 

 

 

 ライブは最新作の「Hardwired」から「Atlas Rise」へ立て続けて流れる展開ではじまりましたが、これがまず良かった。前に代々木で見た際に「随分丁寧な演奏するんだな」と思った僕の印象を吹き飛ばすように、良い意味で不規則で雑な演奏を、年齢お超越したスピードで展開。「ああ、これよ、聴きたかったの!」と思い、引き込まれました。「セイント・アンガー」の時期って、後にドキュメンタリーになったくらい、彼ら的には最悪な時期だったわけですけど、これが本来の姿だったんだなと思いました。

 

 

 そして、事前にチェックしていたセットリスト通り、やはり初期の曲、多くてですね。まあ、大ファンの方からすれば「それは昔からよくやってるよ」という「For Whom The Bell Tolls」「Fade To Black」「Whiplash」「Seek And Destroy」といったあたりなんですけど、今回の「Hardwired To Self Destruct」がその頃のエナジーを意識した作品なので、食い合わせが良かったんですよね。新作からのプレイが、彼らほどの大ベテランにしては多い5曲。そこにプラス、その4曲ですから、セットリストのほぼ半分が高速ナンバー。もちろん、おなじみの「マスター・オブ・パペッツ」や「ブラック・アルバム」からの曲もやったわけですけど、印象としては、やっぱ速さで攻めてる曲の方が目立つ。そう思わせただけで、彼らの勝ちな感じがしましたね。

 

 

 そうした彼らのプレイぶりもさることながら、今回僕がいたく気に入ったのはジェイムス・ヘットフィールドのMCでしたね。この人のMC、噺家みたいですごく面白いのね(笑)。「キミたちがどこから来たか知らないが、ここに集まったからには、(ここから絶叫)キミたちは家族も同然だ!!」、「ノッてるか(Are you alive),、サンパウロ!!」「Do you like heavy? Do you want heavy? (ここから、ゆっくりと絶叫)DO YOU NEED,,HEAVY!!!」とか、こういうやりとりで(笑)。このテンションの高さで、会場、結構、メタルと無関係そうな若い人も多かったのに、これで一気につかんでましたね。これ見て、こういうショーマンシップ、必要だなあと思いましたね。昨今のロックに足りないことだとは確かに思います。

 

 

 この日は彼らもゴキゲンだったのか、2時間の予定だったステージが、制限時間の11時になっても終わったのがやっとアンコールの前。普通、この時間過ぎたら音鳴らしちゃいけない契約のはずなんですけど、そんなこと無視して最後の「Enter Sandman」まで、アンコールは3曲もしっかり長いヴァージョンでやってました(笑)。おかげで家路に着くの、結構大変だったんですけどね(笑)。

 

 

 

author:沢田太陽, category:ライヴ・レヴュー, 00:12
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