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データで見る「平成ガラパゴス洋楽史」(終)現在のガラパゴス・アーティスト
どうも。


「平成ガラパゴス洋楽史」、10回目の今回でいよいよ最終回です。
とは言え、時間がとにかくかかってしまいましたね。当初、このタイトル通り、もっとデータ重視にして5回くらいで終える予定だったのですが、「やっぱ、この話はちゃんと分けて話した方がいいよな」とか「あっ、あれも話しておきたい」とか考えて付け加えて行ったら全部で10回まで膨れ上がってしまいました。しかも個人の体験談が長いという(苦笑)。


で、今日はラストなので、「現在、どのアーティストが日本で”ガラパゴス”で得をし、損をしてるのか」、そのことについて書こうと思います。


日本の場合、80sアーティストと様式美系メタル・アーティスト、(1)で語ったような初期J-Waveに愛されたオシャレ系アーティストは日本でかなり特殊な立ち位置を占めるに至ってはいますが、近年はそれが「オリコンのアルバム・チャートの上位に居座る」ような状態はなくなってきてるので、今回はもうその辺りはいいかな、と思って語らないことにします。


では、まず、「現在の日本のガラパゴスで得をしているアーティスト」、これから行きましょう。最初はこのアーティスト。



・バックストリート・ボーイズ


やっぱ、まずはこれでしょうね。特に2005年以降ですね。そこから4枚アルバムを出してるんですが、その間、日本では全てオリコンのトップ5に入っています。

「何言ってんだ。その4枚ならアメリカでもトップ10入ってるじゃないか」。そういう反論はあるでしょう。たしかにそうだし、ドイツやスイス、カナダでも同様の結果は出てます。ただ、アメリカでの売り上げが10〜20万枚なのに対し、日本では20〜30万枚売っています。


これに関して、「日本、ちょっとおかしいんじゃないか?」と思われるさらなる状況は、このBSBの売れ方をジャスティン・ティンバーレイクの各国でのソレと比べるとすぐわかります。基本的に、2枚目のソロ、「Futuresex/Lovesound」以降、ジャスティンのアルバムの最高位というのは大概の場合1位で、悪くともトップ3内という感じです。それはBSBがいまだにトップ10に入るようなドイツやカナダでも状況は同じです。

しかし!

日本の場合、
ジャスティンがオリコンのトップ10に入ったことは今日に至るまでありません(自己最高は11位)!


この認識の違いはさすがに驚きですね。BSBがもう10年近くヒットシングルがない一方、ジャスティンの方はアルバムを出したら世界的にチャートのトップを狙えるくらいのシングル・ヒットが毎作2〜3曲は必ずあるという状況なのに、それが全然反映されてないわけですからね、日本でだけ!



続いては、このバンドですかね。


・サム41


これも日本での人気が突出して高いですね。彼らも、2004年以降の3枚のアルバムで、オリコンで3枚連続でトップ10に入ってますが、2007年には1位にさえなっています。彼らのアルバムがそこまでのチャート・アクションを示すのは、本国のカナダ以外、他にはありません。2011年のアルバムはデビュー以来もっとも売り上げが悪く、どこの国もたいがいが20〜30位台という結果だったのに日本では7位(カナダでは9位)でしたからね。


これが異例なことは、今度はパラモアのアルバムと比較して語ることにしましょう。パラモアのアルバムは2009年の時点で英米初登場1位で、オーストラリアでも1位、カナダで3位、ドイツで7位などのチャート・アクションを誇っています。僕の住んでるブラジルでも、2010年頃はヘイリーがいろんなティーン雑誌の表紙になっていました。もう、あの時点で、サムのデリックの元妻、アブリル・ラヴィーンの人気は食いそうな勢いでした。


にもかかわらず、パラモアは日本では2009年のアルバムで19位、今年13年のアルバムで21位が最高ですよ!これじゃ、日本におけるBSBとジャスティンの関係と同じで、日本でアヴリルの人気がヘイリーに食われる瞬間というのはもしかしたらやって来ないかもしれません。


続いては、こちら行きましょう。



・アンダーワールド


この人たちの場合、イメージとしては、「批評家ウケが良さそう」な感じがあるかもしれませんが、この人たちも「ビッグ・イン・ジャパン」の印象は今となっては残念ながらぬぐえません。この人たちも2007年のアルバムがオリコンで6位、2010年のアルバムが5位と、この時期のアルバムが世界で唯一トップ10入りした国となってしまいました。本国イギリスでは2007年のが47位、10年のが26位。その他の国ではそれ以下です。そういう状況にもかかわらず、2007年のフジロックではヘッドライナーでした。


たしかに、「ボーン・スリッピー」がでた1996年には時代の寵児にはなったし、ケミカル・ブラザーズ、プロディジー、ファットボーイ・スリムと並んで「ビッグ・ビート四天王」だったこともたしかです。でも、もう既にビッグビートのブームなんて終わっていて、ポスト・パンクもニュー・レイヴもEDMもあったのになぜ?とくにクラブという世界は「新陳代謝」が必要な環境だとも思うので、もっとも「昔の名前で」という概念が本来通用しない領域のはず。そこで「実績重視」されてしまったのは、とりわけフジロックのトリの際にはなんかすごく引っかかってしまいましたね。



あと、続いてはこちらですね。

・フーバスタンク

実はこれに関しては、その実態を知ったのが、今回の特集をやるにあたってはじめてだったので、個人的に非情に驚いています。この人たちは2004年に「Reason」って曲が世界的にヒットしてそれで有名になりましたね。その時点では日本でのオリコン最高位は35位と、まずまずな順位だったわけですが、驚いたことに、2006年に出た次作が世界唯一のトップ10入り(8位)を果たしてしまいました!これはおそらく、他の国が「ラッキーな一発ヒット」くらいに思っていたところ、日本が売りに行った結果、そうなった、という感じだったのでしょうか。しかし、それよりもさらに驚いたのは、2009年のその次のアルバムではさらに6位に上がってます!もう、さすがにこの時期になると、アメリカからのヒットの状況も入ってこない(26位だったようです)し、他で入った国もオーストラリアくらい(88位)なので、ビックリですね。う〜ん、「日系人がフロントマン」という要素はここまで効果があるんでしょうかねえ。


ちなみに2011年のアルバムは日本でもさすがに18位でしたが、あとはせいぜい本国アメリカで66位を記録しただけでしたね。


では、今度は視点を変えて「その売り上げではフェスのヘッドライナーなんてとても望めないアーティスト」。困ったことに、今の日本だと、この例が増えてきています。見てみましょう!



ザ・キラーズ(オリコン最高24位)
アーケイド・ファイア(オリコン最高40位)
キングス・オブ・レオン(オリコン最高45位)
クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ
(オリコン最高66位)
ヤーヤーヤーズ(オリコン最高54位)
インターポール(オリコン最高88位)



う〜ん、キツいなあ〜。

特に上の3つに関しては、英米だけじゃなく、ドイツ、カナダ、オーストラリア、オランダ、北欧あたりでもトップ5に入ってる人気ですからね。

ここにあげた人たちの場合は、2000年代の半ばあたりから人気があって、売り上げももう、少なくとも英米ではトップ10に入るし、フェスでも、YYYsやインターポールを除けばヘッドライナーやっててもおかしくないところにある人たちばかりです。


そして今度はさらに、ここ5年くらいでフェスのヘッドライナー・クラスになった人たちの日本でのオリコン最高位、これを見てみましょう。



マムフォード&サンズ(オリコン最高97位)
フローレンス&ザ・マシーンズ(オリコン最高122位)
ブラック・キーズ(チャートイン記録なし)



いや〜、これもなかなかキツい結果ですね。


ここ5年の中だったら、ヴァンパイア・ウィークエンド(最高13位)とフェニックス(最高18位)は日本でも大丈夫な感じがあるんですけどね。


それ考えると、(9)でも書きましたけど、ジェイムス・ブレイクの(最高12位)ってすごい成績ですけどね!彼の場合は批評的に国際的に見て非常にガチなアーティストなので心配する必要は一切ないと思います。ただ、その一方、(最高13位)と、これまた驚きの結果を出しているザ・ストライプスはまだ、やや「ビッグ・イン・ジャパン」化が心配される要素は残されてはいますけどね。


・・といったところが、平成の四半世紀に見る、「日本の洋楽のガラパゴス的な独自傾向」といった感じでしょうか。


「日本独自の判断で音楽価値を育てる」こと自体が決して悪いことだとは思いません。ただ、「惰性のひいきの引き倒し」で昔からいるアーティストを押すあまり新しいアーティストの育成を妨げたり、国際的な状況をずっと無視し続けて本当にステイタスのあるものを伝え損ねて平気でいられるような感覚は、やはり大問題だと思います。


その意味で、平成になってからの方がこと海外カルチャーに関して言えば伝達の問題がネットもあるにもかかわらずさらに悪くなった感が否めないんですが、ただ、海の外には厳然とした「事実」もあるわけで、それを情報として享受しようとする人たちも決していなくはならないこと。これも忘れてはいけないことだと思います。なんとかしなくちゃね。


これでやっと、「ガラパゴス洋楽史」、終わりますが、今回のこの連載、「ガラパゴス」という名でサイドバーにカテゴリーを作っておきましたので、興味のある方は是非まとめて読んでみてください!
author:沢田太陽, category:ガラパゴス, 10:45
comments(6), trackbacks(0), - -
Comment
ザ・ストライプスが日本で人気である理由の一つに、4月に来日した際にMステに出演したことがあるかなと個人的には思っています。

ちょうど先週今週とストライプスは日本ツアーで各地回ってますが、Mステ出演前の4月のライブと客層が結構(より大衆的な感じに)変わってるという話も聞こえて来ました。

それだけが理由では無いとは思いますが、やっぱりテレビなどでプッシュされるとそれなりの影響がある気がします。


くろもん, 2013/10/17 7:14 PM
いつもブログを楽しく拝見しております。
計10回にも及ぶ連載お疲れさまでした。
音楽評論家の一個人の意見が見られて、感慨深くなりました。
日本の大衆はテレビに出ないと洋楽のみならず、日本人ミュージシャンにも興味示さない、
良くも悪くもテレビの影響が大きい、と連載を読んで考えました。
多分キラーズが月9ドラマの主題歌を歌ったら日本でもバカ売れしますよ、きっと。
アンダワキヨシロプライマル, 2013/10/17 11:08 PM
くろもんさん、自分もストライプスの売れ方について 全く同意見です。

僕も先日 彼らのライブに行ってきたのですが、やはり客層は大衆的で、幅広い年齢層、一部70代、60代の方も少数いらしてました。(これは『スッキリ!』の影響でしょうか。)

一方で、片田舎の高校生にも人気があったり、洋楽に触れない層から「ストライプス良いね!」と反応があったり。

たった数回でも テレビに出ると こんなにも影響があるものなのか、と実感した事例でした。
としお, 2013/10/17 11:12 PM
日本のJPOPとオリコンチャートは廃れてきてる現象が感じるのは気のせいでしょうか?
私個人が洋楽ファンだからかもしれませんが、ビルボード等の海外チャートのヒット曲とそれに伴うアーティストは現代のファッション文化とも密接なつながりがあると思います。直感的にオシャレでカッコイイってなところから興味がわくことによりファンが拡大するとも思います。それはもちろん外国映画(洋画)も含めてです。日本はなかなか追いつきませんよね
オリコンチャート及びJPOPは毎年の若い世代の子らにまかしとけばいいと感じられます。
個人的には洋楽、洋画(海外ドラマ)、それに伴うファッション文化が日本国内にもどんどん広まっていけばいいと思います。
kazu, 2013/10/18 6:32 AM
管理者の承認待ちコメントです。
-, 2013/10/19 12:16 AM
管理者の承認待ちコメントです。
-, 2013/10/19 12:28 AM









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