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映画「ルイスと不思議の時計」感想 今年のハロウィンに、ちょっと変なファンタジーはいかがでしょう?

どうも。

 

今日も映画評行きましょう。これです。

 

 

こないだの週末の全米興行1位でした。「The House With A Clock In Its Walls」、日本でも10月12日に「ルイスと不思議の時計」の邦題で公開されることになっています。こういうタイプが早めに公開されるということは、日本でもハロウィンがかなり根付いているということなんでしょうね。

 

 

 早速あらすじを見てみましょう。

 

 

 話は1955年。10歳の少年ルイス(オーウェン・ヴァッカーロ)が両親を亡くし、ミシガンにいるジョナサンおじさん(ジャック・ブラック)のうちに迎えられるところからはじまります。

 

 

おじさんは優しいんですが、何か変な感じです。

 

 

おじさんはフローレンス・ジマーマン(ケイト・ブランシェット)という、婚姻関係もなさそうなおばさんと二人でそこに住んでいましたが

 

 

この家は置いているものが変で、中でも壁には時計がコレクションしてあります。家具がひとりでに動き出すのも子供には奇妙でしたが、どうやらおじさんは魔法使いのようです。

 

 

一方、ルイスは学校では、親の形見で授かった大きなゴーグルメガネを肌身離さず持っているために変人扱いされます。そんな彼に、クラスの仕切り屋のタービーが話しかけてきます。タービーは「キミはあんな気持ち悪い家に住んでいるの?」と聞きますが、友達の欲しいルイスは「おじさんは魔法使いなんだぞ」と言って、彼の興味を引こうとします。

 

 

 

おじさんはルイスに次第に家の秘密を話しはじめます。それは、この家の持ち主がそもそもアイザック・イザード(カイル・マクラクラン)という、おじさんのかつての仲間の魔法使いのものだったのですが、彼がある頃から凶暴化し手に負えなくなっている間にアクシデントで死亡。おじさんはそれを譲り受けて生活しているのですが、この家自体がおじさんにも奇妙なため、絶えず点検をし、この家の秘密を探っているとのことでした。

 

 

 怖がるルイスでしたが、ある晩に夢に出てきたママの幻の言うことに従って、おじさんが禁じているあることをやったがために、恐怖を味わうことになってしまい・・

 

 

・・と、ここまでにしておきましょう。

 

 

この映画なんですが

 

 

1973年に発表された、この同名の児童ファンタジー小説が元になっています。設定が古いのはそのためなんですが、これを

 

 

今やB級ホラーの鬼才ですね。イーライ・ロスが監督をしています。彼と言えば、 彼自身の監督作もさることながら、タランティーノの「イングローリアス・バスターズ」での、ブラッド・ピットの戦隊の隊員での怪演も未だに印象に残っているものなんですが

 

 

そんなこともあり、かなり変な映画です(笑)!

 

 

これ、原作は「ハリー・ポッター」の原点がここに」なんて言われ方もされているカルト作のようなんですが、確かにハリーの持ってたダーク・ユーモアな部分は確かにルーツと言えるかもしれないんですが、

 

 

このルイスくんが変で、特に可愛らしくもないので、ハリーみたいな効果が期待できません(笑)。さらに言えば、ハーマイオニーみたいなキュートなキャラクターがいるわけでもない。ハリーだったらマルフォイだって、かなり嫌なヤツだけで、顔そのものは美形だったりするじゃないですか。そういう、「子供へのキュート・アピール」をあえてこの映画は削ってしまっています(笑)。

 

 

さらに

 

 

ジャック・ブラックも、まんま、いつものまんまのジャック・ブラックでしかありません(笑)。典型的な彼の役柄です。決してカッコいいわけじゃない。

 

あと、

 

 

 

怖いとこも、わりとしっかり怖いんです。これも、小さいお子さんが見るにはちょっと刺激が強いです。

 

 

 そういうこともあり、これ、「ハロウィンに子供客がメインの映画で、これでいいの?」と思える映画でもあるんです

 

が!

 

 

だからこそいい!

 

 

ぶっちゃけ、僕はかなり気に入ってます。

 

 

一つはこれ、イーライ・ロスの絶妙なバランス感覚ですね。「子供に見せるからなんだってんだ。手加減しねえぞ!」みたいなイキがった感じが見てて伝わるのがいい。子供に見せるから可愛く作ったら、逆に刺激がなくなってしまうし、子供だってそういうのに飽きてるかもしれないじゃないか。そんな彼の思いが伝わってくるようだし、さらに言えば「逆に、これの良さがわかるようなキミなら、かなりいいセンスしてるぜ」みたいな、挑戦的な突き放した感じがあるのが、かえってアピールになってる気がします。

 

 

そして、その意味でジャック・ブラックって、やっぱいい。まんま「スクール・オブ・ロック」なんですよね。大人社会から見たら社会に適応できない不器用なオッサンなんだけど、ユーモアのセンスも含めて子供にはすごくフレンドリーで、笑えるチャーミングなおじさん。そして、彼自身に子供に対しての深い愛が実はある。その意味で、今、一番子供向きな俳優さんかもしれませんね、彼。

 

 

 うちの息子のトムも一緒に見に行ったんですが、彼にとっては「ジュマンジに出てた面白い人」という感じで、実際に好感度あがってますね。近いうち「スクール・オブ・ロック」見せるタイミング近いかなと思います。

 

 

 あと素晴らしかったのはケイト・ブランシェットね。もう、誰もが認める、シリアスな演技での大女優さんですけど、いつもながらの演技ではあるんですが、ユーモアに富んだ演技もあの固く引き締まった顔の表情のまま柔軟に演じることができるのはさすが。今だったらさしずめエマ・トンプソンあたりがやりそうな役柄ですけど、”魔女”本来のちょっと怖いイメージも兼ね備えていることを考えれば、ケイトのこの抜擢、すごく良かったと思います。

 

 

・・と、こんな映画です。今年のハロウィンに一つ、いかがでしょう。

 

あと、この映画が仮に気に入った方は

 

 

 

原作を書いたジョン・ベラリスの他の作品にトライするのもいいかもしれません。一貫して、こうした濃いダーク。ファンタジーのようですので。

 

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 19:45
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