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映画「Search/サーチ」感想 アジア系が主役の、もう一つのミステリーの秀作

どうも。

 

 

では、今日は映画レヴュー、いきましょう。

 

これから、僕の住んでるところでは11月にかけて毎週のように話題作が公開されていきます。その中にはレディ・ガガの「スター誕生」なども含まれてますが、日本時間の日曜か火曜にレヴューをアップできたらろ思っています。今日はこれです。

 

 

 

本国アメリカでも最近公開されて話題になった映画です。「Search/サーチ」(原題「Searching」)、こちらのレヴューいきましょう。

 

この映画はミステリー映画で、主演をアジア系のジョン・チョウ、彼は「スタートレック」などで顔なじみの人もいるかと思うんですが、彼がとうとうハリウッド映画の主演までたどり着いたことを示す映画でもあります。

 

早速あらすじから見てみましょう。

 

 

 

デヴィッド・キム(ジョン・チョウ)はシリコンバレーの街、サンホセに妻のパムと一人娘のマーゴットとともに生活していました。現在16歳に成るマーゴットは、生まれた時からコンピューターの最新型を持つのが好きなデヴィッドの影響もあり、家族の貴重な瞬間を写真や動画に収め、コンピューターやケータイを通じてコミュニケーションを図る生活をしてきました。

 

 

 

しかし、2015年に妻は癌で他界。これにショックを受けたデヴィッドとパムは、これまでのように日常の連絡をこのようにコンピューターやケータイで交わします。ただ、ある木曜日の晩、「友達のグループと生物の勉強をしてくる」と連絡して以来、パムは消息を絶ちます。

 

 

1日を経ても全く連絡がなくデヴィッドは心配になります。続く金曜、デヴィッドは心当たりのあるところに連絡を取りますが、学校は欠席、さらに、幼い頃から習っていたはずのピアノのレッスンを、マーゴットは半年以上前に止めていたことまで判明します。

 

 

デヴィッドは本格的な捜査を依頼しますが、探偵ローズマリー・ヴィック(デブラ・メッシング)が担当をすることになりました。デヴィッドと彼はマメに連絡を取り合い、彼女の指示に従って、マーゴットが持っていたSNSに、デヴィッドはパスワードを変えて入っていくことになりますが

 

 

 そこにはデヴィッドの知らなかったマーゴットの姿が映し出されていました。

 

 

マーゴットは、SNSを通じ、これまで聞いたこともなかったような人たちとコミュニケションをとっていたのでした。

 

 

マーゴット失踪事件はやがてテレビにも取り上げられ、全国的に有名にもなります。気ばかりが焦るデヴィッドはSNSの独自のサーチで見当をつけた怪しいと思える人物に迫り、喧嘩もふっかけるなど、行動もエスカレートしていきます。そして、事件は思わぬ方向へと進んでいき・・。

 

 

・・と、ここまでにしておきましょう。

 

この映画ですが

 

 

その昔、「ハロルドとクマー」という、B級おバカ・コメディがあって、これ、なかなか面白いんですけど、これのハロルドを演じていたジョン・チョウが、こんなシリアスなスリラーの主演を演じられるまでに出世したんだなあ、というのが、まずは一番の感想ですね。

 

 

愛する娘のために、我を忘れて必死に成る献身的な姿、これは熱演で、かなりの説得力があります。これを見るだけでも、まず、この映画、観る価値がありますが、

 

 

一番の魅力は、優れた脚本ですね!

 

 

 

まず、ミステリーに、コンピューターのこの15年の発展史を組み込み、「21世紀の最初の20年らしい」、最新の、世界のどこでも起こっている生活のリアリティを込めたのがいいですね。このように、話そのものがずっとコンピューター画面で進んでいくという手法もすごく新鮮なんですが、それが新しくもあり、かつ、今の世に自然。こうした「時代の変化」を取り入れていくことがいかに映画の脚本そのものに多様性を与え、「物語」というものをネタに尽きないものにし続けるか。その見本みたいな映画です。

 

 

 そして、話に文学性があるのもいいです。コンピューターやネットで四六時中、密に連絡を取り合うと、「プライヴェートがなくなる」みたいな錯覚にとらわれることもあるのですが、やはり人間のプライヴェートが完全にさらされるということはどんなにテクノロジーが発展してもなく、思わぬコミュニケーション・ツールで、ますますミステリアスでダークな秘密を持つに至る。こう言う現在社会の持つ危険性も、この映画は示しています。

 

 

 それから「これって、本当にあった事件なの?」と思わせるくらい、ニュースの取り上げられ方の様がすごくリアルでもあります。これに関しては僕も、「これって実話に基づいたものなの?」と思いましたからね。そんなニュースに対するSNS上での人々の反応のリアルさ、さらに、そうした人々の持つ浅はかな現金さ。こういうところもすごくうまく描かれています。

 

 

  さらに、まだ、あります。これ、ミステリーの基本でもある、話の逆転、再逆転の展開も見事です!ぶっちゃけ、ここだけでももう秀作として機能してるんですが、そこに加えて前述までの流れなので、かなり面白いことになっています。

 

 

 それにしても

 

 

 

 

「Crazy Rich Asians」がアメリカで興行収入で3種連続1位という、アジア系では異例の成功を収めたのと同じ時期に、アジア系の主演のハリウッド映画で、こんな力作も同時にリリースされている。なんか、そう考えると、すごく嬉しくもなりますよね。

 

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 20:39
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