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邦楽のベテラン・アーティストがみんな即刻ストリーミングに楽曲提供を行うべき理由

どうも。

 

今日は、まあ、音楽ネタではありますが、こういう話をしましょう。

 

個人的な話になりますが

 

 

 

先日、Spotifyを通して、くるりの全オリジナル・アルバムを全部聞いてみる、ということをやってみました。

 

 

なぜ、そうしたのかというと、次の週(すみません。1週延期します)に公表予定の6月の大型企画「非英語圏の101枚のロック・アルバム」の企画で、先にネタバレさせますが、そのリストの本ちゃんの方には入らなかったんですが、そこに入ったのにSpotifyにアルバムがなかったあるアーティストの代理として、この企画のSpotify用のプレイリストに「補欠」で入れる形でくるりが入るんですね。それで、「彼らの中のどのアルバムがいいかなあ」と思って、全部聞いてみたんですね。で、ここでよくやってる「fromワーストtoベスト」の企画みたいな感じでベストを選んだ結果、上の集合写真のような順位の結果(通常の目線の動き通りです)に個人的にはなったので、左上の写真のアルバムからの曲から1曲プレイリストに入ります。

 

 

でもねえ、

 

日本のアーティスト、Spotify、少なすぎだろ!!

 

 

もうね、選んでて、補欠出まくりなんですよ!特に70年代のものなんて全然なくて、1枚なんて日本のアーティストじゃ代用が効かなかったものだから、他の国に枠、あげちゃいましたからね。なので、本ちゃんの方に日本は9枚当ててるのですが、Spotifyだと1つ減ります。

 

 この、くるりに至るまでだって、運良く全アルバム揃ってるのが直前でわかったから良かったようなものの、これも彼らに補欠が決まるまで、すごく時間がかかったんですよね。本ちゃんの方に選んだのって、ある90年代のロックンロールのすごくカッコいいバンドだったんですけど、似た感じのもので選びたかったんですけど、近いタイプのアーティストの作品が、もう、とにかくSpotify にないんだ、これが。あっても、アルバムの揃い方があまりにも不完全なために、僕の欲しいアルバムがなかったりね。なので、当初、ちょっとイメージのかけ離れた宇多田ヒカルになるところだったんですよ。彼女だったら全作Spotifyにあったんで。でも、Spotifyのリストに加えて他のものと並べて聞いた時に、あまりにロックの感じがしないので「困ったなあ」と思っていたら、くるりを見つけたので、「ああ良かった」と思って入れた次第でした。

 

 

そういうことをやっていた矢先

 

 

ミスチルが5月10日に全作品を、全ストリーミング・サービスに解禁したらしいですね。これ、すごく大事なことだと思います。残念ながら、まだブラジルのSpotifyには入ってないんで、「どういう手続したんだよ」とは思っているのですが(苦笑)、でも、「ストリーミング後進国」の日本にとっては、彼らほどデカいアーティストが全作品提供したということは、今後もこれに続く動きがあるでしょうからね。

 

で、お願いだから

 

 

「ストリーミングは文化破壊」なんて化石みたいな時代錯誤しないで、そろそろ日本もストリーミングを当たり前の文化にして欲しい!!

 

 前置きが長くなりましたが、そう思う根拠をこれから書いていきます。

 

 

 ストリーミングの何が良いって、これまでだったら予算が気になって「気にはなってるんだけど、お金がなあ」と思ってたタイプのアーティストでも、気軽にお金を機にすることなくバンバン聞けることです。僕自身、ストリーミングを本格的に使い始めたのはここ3年くらいですけど、その間に、40代なのにこれまで以上に音楽聴く幅が広がりましたからね。

 

 

 

 そんな僕が、「思い切って沢山聞いてみたいなあ」と前から思っていたのが実は「日本のロック/ポップスの昔ながらのアーティスト」なんですね。僕は小学校5年の時から洋楽リスナーで、そっちの方の楽曲を聴くのに忙しかったから、邦楽はあんまり聴いてません。一番聴いたのは、仕事の関係上、NHK時代、そしてフリーのジャーナリストやった1年目くらいですね。でも、邦楽のライターは自分で違和感感じて辞めちゃったんですけど、その理由の一つに「邦楽の主要なアルバムをルーツとして聴いて育っていない」というのがあったんですね。で、あの頃、2000年くらいでしたけど、「だから、それらをたくさん聞いて勉強する」ってことはさすがにできなかった。だって、洋楽でさえ、日常的に聴かなくてははならないものがたくさんあったのに、そこまで手はさすがに伸びなかったですからね。

 

 

 だって、20年くらい前の時点で、20枚くらいアルバム出してた邦楽アーティストはたくさんいたんです。そういうアーティストのアルバムを全部聴けるわけがない。だから、せいぜい、代表作かもしくはベスト盤ですよね。ましてや、邦楽のCD代高くてそんなにたくさん買えないし。だから、やるとしたら、TSUTAYAで大量レンタルしかないわけですけど、そんなの時間と移動の手間がかかるし、レンタル代だって、バカにならない。だから、できなかったんですよね。

 

 

そんなもんだから、ユーミンとか、サザンとか、山下達郎とかRCサクセションとか佐野元春とか、永ちゃんって、僕の場合、抑えててもせいぜい数枚です。80年代のバンドブームものとかも、リアルタイムですけど、B級とかカルト・アーティストになると弱いですね。強かったの、せいぜい、90sの渋谷系以降のバンドか、GSくらいなものでしたね。GSはやっぱり「ガレージ・ロックの日本的展開」として好きでしたから。

 

 だから、こういうストリーミングみたいなのがあの頃あったら、どんなに良かったか。お金を全然気にすることなく、1日の移動時間を利用して、1日2枚くらいずつ聴いていけば、2週間くらいで1アーティストの全カタログ、フォロー出来ますからね。こういうのがあの頃あったら、ひょっとしたら、まだ邦楽関係のお仕事も出来ていたのかなあ、とは思いますね。

 

 

・・というのは、僕、個人の話ではあるんですが

 

ストリーミングは、今の若い人たちにも、過去の日本の音源に触れられる最大限のチャンスのはず・・なんです!

 

 

 だって、考えてもみてください。もう、20年くらい前にデビューした、それこそ、くるりだって、もう、10枚くらいアルバム出してるんです。そんなアーティストは今やザラになってるし、それこそデビューが70年代のアーティストなんて、30枚くらいのアルバムの量でしょ?そういうアーティストのアルバムを仮に今の10代、20代の音楽に熱心な若い子が聴きたいとなったらどうします?ストリーミングさえあれば好奇心一つでドンドン聞けるのに、それがないために手が出ないで終わると考えたら、すごくもったいなくないですか?

 

 

 そういう、安価で手軽に聞く手段がないから、アルバムを聴かずにベスト盤で気軽に済ませたり、youtubeみたいな劣悪な音源で我慢したり、違法音源に対してのモラルが落ちたり、ベテラン・アーティストに対してのリスペクトの機会も減ったりするんです。そっちの方が、よっぽど、「音楽文化の破壊」ですよ。

 

 

 そのためには、

 

アルバムたくさん出してるアーティストこそ、率先してストリーミングの許可、出すべきなんです!

 

 

 これはアーティスト自身が率先してレコード会社に働きかけて、そうするべきなんですよね。もう、国外でもベテラン・クラスでストリーミング認めてないの、キング・クリムゾンくらいなものですよ。あとは、許諾を取りたくても、本人が亡くなっているから、どうしようもなくなっている人が若干いるくらいなもので。そんな状況で、日本の貫禄ある大物アーティストの作品がこぞってストリーミングにない状況って、本当におかしいですよ。前述の「非英語圏の〜」の企画でも、ひたすら音源がなくて困るの日本とドイツくらいのものだったし、そのドイツでさえ、「自分が選んだ該当のアルバムがない」というのがあっただけで、アーティストが作品そのものの提供を拒んでいるパターンはほとんどなかった。そう考えるとこれ、国際的に問題です。

 

 

 だいたい、何が問題なんでしょうね。「売り上げによる取り分」を問題視するんだったら、「もう、あなた、大概で稼いだんじゃないですか?」くらいは言いたくなりますけどね。駆け出しのインディのアーティストがそれを言うのだったらともかく、もう、年も重ねて、ライブやれば確実に人も入って、お金も十分に稼いだ人が仮にストリーミングを「アーティストの収益が尊重されないシステム」だとかで反対をするのだとしたら・・・・ちょっとね・・・って感じですけどね。

 

 

 まあ、それは概ね、JASRACとかいう守銭奴な人たちの、国際的に時代に取り残された人たちの浅はかな考えから来ているのだとは思いますが、アーティストたちもこの問題について真剣に立ち上がって戦うべきだと思うんですよね。そうしないと、今やストリーミングのおかげで音楽市場の売上もプラスに転じているのに、日本だけがCDにこだわって売る上げを下げているという、おかしな現象は止まらなくなってしまいますよ。

 

 

 音源をストリーミングに解放すれば、僕が繰り返して言うように若いファンだって確実に現状よりはつくし、加えて、他の国の人にだってファンは増えます。これは僕がブラジルに住んで思うことですけど、ブラジルの日本移民の子孫の若い子とかでも、J-Pop、これだけストリーミングの状況が悪い中でもよく知ってたりするんですよ。あと、2011年に縁あって行ったX-JAPANのサンパウロ公演に至っては日系人でさえない普通のブラジルのメタル・ファンが大挙集まって、日本語でバラードの合唱までしてました!国外の音楽リスナーの力を侮ってはいけません。ストリーミングさえしっかりやれば、こういう人たちが日本の外で日本の音楽をちゃんと広めてくれもします。

 

 

 それこそ、やれ「クール・ジャパン」だの何だの言ってるお役所の人たちが音楽業界にそれこそプレッシャーかけてストリーミングを進める、くらいのこと、やってもいいんですけどね。そういう手立ても知らないのにイメージだけでやろうとするから、そういうのもうまくいかないんです。とりあえずは「無意味化している保護」より、開かれた解放だと思うんですけどね。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 18:43
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