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2018春ポップ・ミュージック雑感(3)どの名門インディ・レーベルも、今や切り札は女性ロッカー!

どうも。

 

では、先週からやっている2018春ポップ・ミュージック雑感。そのラスト、行きましょう。

 

 

今日のテーマはこれです!

 

どの名門インディ・レーベルも、今や切り札は女性ロッカー!

 

これで行きましょう。

 

 

いやあ、もう、最近、本当にそう思うんですけど、今、インディ・ロックは女性アーティストの存在抜きではやっていけなくなっています。しかもそれは、

 

老舗や人気のインディ・レーベルになればなるほど、その傾向が強い!

 

いやあ、これ、もう本当にそうなんですよ!ちょっとザッと見ていくことにしましょう。

 

まずは、これから聞いてみましょう。

 

 

 

 

 もう、今年の前半、もう何度聴いたことか。現時点で僕の今年の5本の指に入るくらい好きなサッカー・マミー。僕だけじゃなくて、彼女、ソフィー・アリソンのアルバム「Clean」を今年のインディ・ロックのワン・オブ・ベストにあげてる人、結構見ますね。彼女はこないだニューヨークの通ってた大学を辞めたばかりの、20、21歳くらいの女の子なんですが、とにかくソングライティングの手腕に天性のものがあります。彼女はパラモアの全米ツアーのサポート・アクトも決まっていて、さらに知名度上げそうです。

 

 そんな彼女は、ブラック・キーズやジョン・スペンサー・ブルース・イクスプロージョンを生んだガレージ・ロック系の老舗インディ、ファット・ポッサムのアーティスト。このレーベルなんですが、6月にもう一人オシの女の子がいます。

 

 

これ、大好きな曲なんですよ。スネイル・メイルの「Heat Wave」。彼女もすごくフレッシュなタイプの、鮮やかなインディ・ギターロックを表現してくれます。6月のアルバムがすごく楽しみです。

 

 

 そして、今の名門のインディ・レーベル、ファット・ポッサムだけじゃありません。今、どのインディ・レーベルもオシのアーティストは女の子ばかりです!

 

 

 その証拠に、続いてニューヨークのマタドール.。過去にペイヴメントやインターポールを輩出していますが、

 

 

ここも去年の後半、このジュリアン・ベイカーという女の子を猛プッシュして話題でした。彼女もサッカー・マミーと同じ年頃です。

 

続いて、ニルヴァーナを始め、21世紀に突入後もシアトルの老舗としてお馴染みのサブポップですが

 

 

ここも、フランキー・コスモスという、女性がメインのバンドを押してますね。

 

 

フロントはこの坊主の女の子ですね。彼女はグレタ・クラインと言って、あの俳優のケヴィン・クラインと、日本でも一時すごい人気のアイドル女優だったフィービー・ケイツの娘さんだったりします。そういう血筋ゆえなのか、すっごい繊細でアーティスティックなギター・ポップやってますけどね、彼女。

 

 続いてはアーケイド・ファイアとかスプーンを輩出したマージ・レコーズ、見てみましょう。

 

 

これも今年の前半の素晴らしいインディ・ロックのアルバムでしたね。スペイシーなサイケデリック・エレポップのワイ・オーク。この人たちも

 

 

このジェン・ワズナーという女性がフロントの2人組。このマージ、昨年も

 

 

ワクサハッチーという、ケイティ・クラッチフィールドという人が中心のバンドですけど、昨年の後半の話題のアルバムでした。

 

 

続いて、アメリカ中西部の名門、ブライト・アイズを生んだサドル・クリークを見ても

 

 

 

このビッグ・シーフという、アドリアンヌ・レンカーという女性をフロントに据えたバンドが去年、アメリカのインディではかなり話題でした。スピン誌の年間ベストでは2位でしたし、僕も去年の年間でトップ20に入れました。このサドル・クリーク、今年に入ってもホップ・アロングという、女性フロントのバンドがかなり好評でした。

 

 

あと、ボン・イヴェールを輩出したインディアナの名門ジャグジャグワーも、このエンジェル・オルセンとかシャロン・ヴァン・エッテンなどを出していますよね。

 

 

 それからさらに

 

 

ここ最近、台頭が著しいデッド・オーシャンズというレーベルからは日系人のミツキが出ています。彼女はレーベル・メイトのジャパニーズ・ブレックファストという韓国系の女の子のアーティストだったり、レーベル違いますけどジェイ・ソムというフィリピン系の女の子とツアーをして、アジアン・インディ女子の輪を広げようとする、興味深い動き見えています。これは一昨年の曲ですが、そろそろ新作、あるんじゃないかな。

 

 

そして、イギリスでもその事情は変わらないです。

 

 

 

まずはペイル・ウェイヴス。彼女たちはThe 1975、そして女性フロントのバンドの先輩でもあるウルフ・アリスのレーベル、ダーティ・ヒットの後輩バンドでもあります。すごく華はあるんですが、あとはいかにこれから出るであろうアルバムの曲の内容、ライブの出来がカギを握るかと思います。

 

 

 

 

そして、古くはザ・スミス、21世紀以降にはストロークスやリバティーンズを生んだラフ・トレードゴート・ガール。彼女たちは今話題のサウス・ロンドンのシーンを、最高の野郎バンド、シェイムとともに牽引する存在です。このシーンは男女アーティスト共にシーンを形成しているようですね。詳しいことは、サイン・マガジンで僕の長年の友人でもある小林祥晴くんの書いたこの渾身のレポートに詳しいので興味のある方は是非読んでください。

 

 

あと、「名門レーベル」ってことで言えば、アークティック・モンキーズのドミノ・レコーズ所属のスーパーオーガニズムもそうですね。この人たちの場合は、「女性」ってことよりも、「男女関係ない民主主義」っぽさの方が重きにある感じがしますけど、でも、これも大事なことです。

 

そしてそして

 

 

これも大好きなバンドです。ドリーム・ワイフなんですが、彼女たちのいるラッキー・ナンバーというレーベルは、さしずめ女性ロックバンド専門レーベルって呼んでも差し支えない感じに今なっていますね。彼女たちの他にハインズ、サンフラワー・ビーン、そしてミドル・キッズと、今年だけで4つのガールズ・バンドのアルバム出しています。

 

 

 これだけじゃないですよ。カナダにはオールウェイズがいるし、オーストラリアではコートニー・バーネットにタッシュ・サルタナにキャンプ・コープ。もうですね、ぶっちゃけ

 

 

「期待の男子インディ・アーティスト」でも、こんなにスラスラ名前出ません(笑)。

 

 

だって、男で期待してるのなんてシェイム、カーシート・ヘッドレストとか、オーストラリアのギャング・オブ・ユースとかキング・リザードとかは大好きなんですけど、あと、「誰がいたっけ?」ってなりがちですからね。

 

 

 こうなってしまった背景には、やっぱり、今回の連載の(1)で言ったように、男のインディ・バンドの野心の華のなさ、これが全ての原因なんだと思いますよ。みんながオタク臭くなって前に出なくなってるうちにインディが全然売れなくなって、そうしているうちに華もやる気もある女子たちがドドッと出てきた、というのがあると思います。

 

 

 まあ、ロックのポリコレ化を考えても、これは非常に良いことですけどね。それから、やっぱ女の子の場合、「チアリーダー・タイプの女の子が好みそうなアイコンならいるけど、自分の価値観を表してくれる人たちはいないのか」の渇望感みたいなものが、今なら野郎よりも強くしっかりある感じもしますからね。そういうとこでも強いでしょうね。

 

 

 あとはいかに、こうして台頭を続ける女性のインディ・ロッカーたちをメディアが把握し、保守的なアメリカのロック系のラジオとかでもかけさせるか、にかかっていると思います。ぶっちゃけ、これやらなかったら、少なくともアメリカのロック、実情が反映されることがなくなってしまうと思います。

 

 

そして、おそらく、これも関係してるんじゃないかな。最近のシューゲイザーとかドリームポップの再評価って。多分に女性シンガーが強みを見せていたジャンルですからね。まだ、このお姉様方も全然若いので、復活が立て続く彼女たちにも期待してシメます。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 13:14
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