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映画「Love,Simon」感想 これぞ最新モードのアメリカン・ポリコレ青春コメディ!

どうも。

 

 

予告していた通り、今日と明日は映画レビュー、行きますが、今日はこれです!

 

 

 

この「Love,Simon」という映画。これはつい先日アメリカでも公開されたばかりで、全米興行成績でもトップ10に入るヒットになっていた映画で、久々にヒットした青春コメディですね。キャスト的にもすごく新鮮で興味深いものがありました。個人的に、ここ最近では最も見たかった映画です。果たして、どんな映画なのでしょうか。

 

 

さっそく、あらすじから見てみましょう。

 

 

舞台はアトランタの郊外。主人公サイモン・スパイヤー(ニック・ロビンソン)はなかなかハンサムな一見普通の高校生。

 

 

彼の父親のジャック(ジョッシュ・ドゥアメル)はフットボール育ちのマッチョな野郎で、母親のエミリー(ジェニファー・ガーナー)も学生の頃は典型的にモテたコンサバな感じの女性です。あと、料理好きな妹のノラがいます。

 

 

 

そして学校生活では、幼馴染のすっごく可愛いリア(キャサリン・ラングフォード)と同じく親友の黒人青年のニック(ジョージ・レンデボーグ)、そして最近学校に転校してきた演劇部所属の女の子でニックが思いを寄せるキュートな黒人の女の子アビー(アレクサンドラ・シップ)の4人でハイスクール・ライフをいつも一緒に過ごしていましたが

 

 

そんなサイモンには、そのいつもの仲間にさえ言えない秘密がありました。それは彼がゲイであること。まだカミングアウトは、彼なりの理由があるゆえに誰にもしていません。

 

 

 

そんなサイモンはある日、gmailで見つけた、同じ高校に通うゲイの少年からメールを受け、恋心がときめいてしまいます。サイモンは古いポップ・ミュージックの大ファンで、ハンドル・ネームをキンクスの「Waterloo Sunset」の歌詞の一節から引用するなどという、かなり通な一面も見せます。もう授業も上の空でケータイのメールのことばかりが気になってしまい、

 

 

 

ちょっと変なユーモアのセンスを持ったワース先生(トニー・ヘイル)にケータイでメールしている姿を見つかり下校時間まで没収されたりもしますが、先生にはメールの内容を見られていなくて一安心。

 

 

しかし、ある日、サイモンは学校のパソコンでその謎の少年とメールのやり取りをした際、内容を消し忘れて、次にパソコンを使ったマーティンにその内容を見られてしまいます。マーティンは演劇部の超キモいウザい変人として有名だった男だったので、ことは非常に面倒になります。マーティンは、メールの内容を人に言いふらさない代わりに、自分を早くも演劇部の華になっていたアビーと引き合わせるようサイモンに命令します。アビーと親友ニックの間柄を知っていながら、ゲイであることを知られたくないサイモンは、しぶしぶマーティンの脅しに乗ってしまうことになりますが・・。

 

 

・・と、ここまでにしておきましょう。

 

 

これはですね

 

 

2015年に発表されたこのYA小説「Simon Vs The Homo Sapiens Agenda」を映画化したものですが

 

 

非常によくできてます!

 

これ、感触として、いわゆる1980年代のジョン・ヒューズもの、いわゆる「ブレックファスト・クラブ」とか「プリティ・イン・ピンク」みたいな、その当時のポップ・カルチャーと絶妙に歩調を合わせたヒップな青春コメディですね。あるいは10年くらい前に起こった、まさにジョン・ヒューズ・リバイバルな感じだった「スーパーバッド」とか「JUNO」に似た感じもあるんですが

 

 

 

この映画は、現在のポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)の時代の空気感を掴んだ、今あるべき最新型のアメリカン青春コメディになっています!

 

 

 

まず主人公のサイモンをこのニック・ロビンソン君が非常にうまく演じています。僕は彼はこの映画の前までは知らなかったのですが、これから、同じくゲイの少年役を「君の名前で僕を呼んで」で演じていたティモシー・シャラメや、「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートと並ぶアンダー25の人気スターになりそうな予感がしますね。

 

 

さらに

 

 

 

この映画はメイン・キャラクターに2人の黒人を据えたことがすごく効果的だったと思いますね。このテの白人の子が主役のアメリカの青春ドラマで、黒人の子がここまでメインで目立ったことって、ちょっとすぐには思い出せませんからね。

 

 

特にアビー役を演じたアレクサンドラ・シップは輝いてます。彼女、以前はちょっと地味というかもう一つ押しが弱いなという印象があったんですけど、「Xメン」でモヒカンにした手前、髪がショートになって芸域広がった気がしますね。これから彼女もひっぱりだこになる気がしています。

 

 

それから

 

 

サイモンの幼馴染のベスト・フレンド役を演じたリオ役のキャサリン・ラングフォードは相変わらず美しいですね。彼女はネットフリックスの「Thirteen Reasons Why」で自殺しちゃういじめられる女の子を演じて注目された子ですけど、なんか久々に現れた、ロングヘアがすごくハマってるタイプの正統派美人というかね。

 

 この映画だと、役柄の関係上、やや引いた立ち位置になっているんですけど、存在感は残せているので、彼女も今後も楽しみですね。

 

 

それから

 

 

 先生役で出てくるトニー・ヘイル。この人、今のアメリカン・コメディ映画の脇役で凄く存在感のある人です。「アレステッド・ディヴェロップメント」で注目されて、エミー常連の「VEEP」でのジュリア・ルイス・ドレイファス演じる女性大統領の秘書役でいい味出してエミーも助演で取ったんじゃなかったかな。彼の存在がワン・ポイントで面白いのも特徴です。

 

 

 

ジョッシュ・ドゥアメルとジェニファー・ガーナーもよかったですね。ジョッシュの方は、「ファーギーのダンナ」のイメージばかりが強い、器用さに欠ける役者さんだなあという印象だったんですけど、その不器用さがこの映画では効果的でしたね。ジェニファー・ガーナーに関しては、「もう、こんな大きな子供のお母さんを演じる年齢になったのかあ」と驚きがまずありますね。やっぱり、アイドル女優のイメージでしたから。でも、元の演技力が高い人なので、うまくこなせていたところはさすがでしたね。

 

 

 このように出演者がかなり魅力のティーン・ムーヴィーですけど、これ、ストーリー・ラインもいいんですよ。基本は、「サイモンがメール交換しているのは結局、誰?」ということになるんですけど、その謎解きでストーリーが追えるし、ちょっとした繊細なことで仲良しが衝突を起こしたりなどする「ああ、青春だなあ」と懐かしく思えて胸がキュンとなる瞬間があったりね。

 

 

あと、やっぱり話の内容的にどうしてもサイモンが本当の自分を見せなくてはならなくなるのですが、その時にどういう反応、どういう気持ちで、その勇気ある告白を周囲が受け入れるのが理想か。それもこの映画はしっかりと指南してくれています。

 

 

あと、この映画

 

 

このサントラも、趣味のいいいまどき感があって、すごくいいです。The 1975の「Love Me」がすごく印象的なシーンでかかる時、「おっ!」とつかまされもするんですが

 

 

サントラを全編担当しているのが、ブリーチャーズ。もう今や売れっ子プロデューサーですね。ジャック・アントノフのソロ・プロジェクトのことです。彼は去年、Lordeとセイント・ヴィンセントをプロデュースしたことで一気に知名度あげましたけど、元はfunのギタリストで、「Girls」のレナ・ダナムの、もう別れちゃったけど、5年くらいにわたっての彼氏で有名でしたね。そんな彼も、これから女性のインディ・アーティストを中心に引っ張りだこになりそうなクリエイターになっていますね。ブリーチャーズ名義だと、どうしてもプロデューサー時よりはなんか地味になる印象があったんですけど、このサントラでようやくブリーチャーズとしても開花しそうな予感をさせています。

 

 

こうした点も諸々含めて、この映画、オススメです!

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 14:14
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