- スペインですごいフェスが組める理由
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2018.02.13 Tuesday
どうも。
フジロックやサマーソニックがラインナップを発表しはじめて、日本でもフェス熱が盛り上がってきています。今日はそんな中、現在、「フェス最強国」になりつつあるスペインの話をしようかと思います。
こないだコーチェラのこと悪く書いたら、日本に結構ファンがいるのか、あるいは、「ロック以外の要素が入るのを嫌うなんて」と、明らかに文章をよく読んでいらっしゃらない方も少なくなかった(ケンドリック、ビヨンセ、ウィーケンド、ドレイク、チャンス・ザ・ラッパー、ミーゴスなんかを入れるなとか、間違っても言うわけないのにね)んですが、今、「別にロック以外の要素をそこまで無闇やたらに増やさなくても良いラインナップは十分組める」ということを、スペインのフェスは証明してくれています。実際、今、アメリカのフェス・ファンの間では「今年はスペインまで行った方がいいんじゃないか」などという声も上がっているほどです。
では、どんな感じか見てみましょう。まず、一番有名な、これから。
プリマヴェーラ・サウンドですが、いや〜、これは何度見てもすごい!
ニック・ケイヴとビヨークがダブル・ヘッドライナーの日なんて、どんだけカッコいいセンスなんだと惚れ惚れしますよ。こういうこともやってない、一発ヒットしただけのポーチュガル・ザ・マンが全体の3番目にいきなり来るようなフェスティバルとは、その時点でセンスが違いすぎますよ(笑)。
そして、ザ・ナショナルとか、アークティックとか、インディ・ロックのファンから見て、「今、一番カッコいいと思える類のバンド」と、そこに合わせるようにミーゴスとかASAPロッキーとかタイラー・ザ・クリエイターとか、「この名前だったら、そうしたとバンドと並べても、”カッコいい!”という風に見えるだろう」という計算がしっかり働いている。だから、今のR&B/ヒップホップの質的な勢いも印象よく見えるんです。ヒップホップだからって、誰でもかれでも選んでいるように見えちゃうとただの「人気とり」にしか見えませんが、インディ側、ヒップホップ側の選び方のセンスが良いと、全く見え方が変わるという、端的な例です。ラインナップの3、4列目にビーチハウスとかフィーヴァー・レイとかアルカとか入れて「随分マニアックな攻め方してるなあ」と思わせるとこなんて絶妙ですよ。
そして、こっちはバルセロナのプリマヴェーラに対抗し、首都マドリーが開催するマッドクール・フェスティバルですが、こっちはもっとロック寄りですごいラインナップ組んでます!アークティックとジャック・ホワイト、デペッシュ・モードとQOTSAが同じ日とかって良い意味でありえないし、プリマヴェーラに比べると若干、あんまりよくない意味での人気取りな名前もチラホラありはするものの、それ以外がガッチリとしっかりしたバンドで選ばれているから、それほど気になりません。
ちっちゃい名前のとこにフランキー・コスモスとかギャング・オブ・ユースとか「マジか!?」と思える将来見据えた名前があるとこもツボです。
あと、国の3、4番手のフェスでさえ、このラインナップですよ!スペインたって国の面積それなりにあるから、みんな見に行くのは難しいですが、国の国内総生産の規模とか考えると、こういうロックフェス組めるのは驚異的ですよ。
で、今回、改めて不思議に思ったことなんですが、
この国、なんでこんなすごいフェス、やすやすと組めるの??
これがねえ、本当に不思議でならなかったんですよ。これ、数年前から思ってました。
国の人口だって、日本の3分の1くらいしかいない国で、なんでこんなすごいフェスが組めるのか。不思議じゃないですか。しかも、言語が英語ってわけでもないのに。しかも、どれもこれもメンツにかなりマニアックなバンドの名前も混ざってて。「これは文化背景的に絶対何かあるに違いない。そうじゃないと、いくら何でもおかしい」と思ってですね、今回リサーチかけたんです。
まず、
ロック雑誌メディアはそれなりに多い
こういう風にロックの専門誌が3つくらいはあります。最近の世界的な音楽雑誌不況を考えると多いと思います。これにプラスして、ウェブでの情報メディアも結構あります。こうしたところからも、この国でロック系(とりわけインディ)の情報流通が盛んなことがわかります
が!
一番すごいのはこれじゃない!
今回改めてわかった、この国の国民に、ロック的に最も影響を与えていたのはコレでしたね。
ラジオ局!
ここでした。
これは「Radio 3」と言って、スペインのテレビの国営放送が経営するラジオ局の一つなんですが、ここが音楽情報メディアの中で、最もツイッターやフェイスブックの登録者が多いことがわかりました。
これ、気になって、聞いてみたんですよ。ここ、ケータイのアプリでダウンロードできるので、アイフォンで聞いてみたんですけど、
ま〜あ、これがすごかった!!
まずですね
月〜金の帯番組でインディ・ロック専門の番組が3つもある!
しかも、選曲が早いんですよ。情報解禁されたばかりの、ストリーミングOKになったばかりの、今の僕のPlaylistに加えたばかりのような曲をバンバンかけるんですよ。あと、BBC(ここも新曲世界初オンエアが非常に多い)を意識したようなすごくトンがった進んだ選曲してますね。そういうのが、各1時間ずつとはいえ、月、金の帯で3つもやってたら、情報求めてる人からすりゃ、楽しくて仕方ないでしょうね。
加えて、インディでいうなら、日曜の夕方にいちばんの人気番組があるようです!
そして、インディ・ロックじゃない番組も妙に濃い。毎日、夜の7時台がガレージ/パンク系の番組(!)なんですが、ここで「ラモーンンズ特集」「ストゥージズ特集」が組まれてたり(実際に聴きました、笑)、毎日23時がメタルの時間だったり、昼の放送にもブラジル音楽専門の時間があったり、とにかく、「なんでこんな選曲が可能なんだ??」と思える番組のオンパレードです。
そういうこともあり、最近、BBCとこの局を並行でよく聴いています。スペイン語のMCがなかなか慣れないのですが、覚えたい言語でもあったので、良い勉強にもなるかなと。
ちょっとラジオに関しては別ネタも考えてますが、最近、本当によく聴いています。そして、これが世界だと、かなりの影響力を持つメディアなのだと、ここで強調して今日はシメますね。