- 映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」感想 真実を求める人たち
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2018.02.08 Thursday
どうも。
今日も映画レビューですが、こちらです。
オスカーにもノミネートされています。スティーヴン・スピルバーグの新作「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」。こちらのレヴュー、行きましょう。ここのところ、ジャーナリスティックな題材多めのスピルバ−グですが、これはどうでしょうか。
早速、あらすじから見てみましょう。
1966年、軍事評論家のダニエル・エルスバーグはベトナム戦争に帯同し、その惨状を目の当たりにします。にもかかわらず、国防長官のロバート・マクナマラがベトナムからアメリカに帰る飛行機の中でリンドン・ジョンソン大統領にヌルいレポートを行っているのを目の当たりにした彼はその姿勢に幻滅します。
その数年後、ランド研究所で働いていたエルスバーグは、そこに隠されていた第二次大戦後のトルーマン大統領から20数年に及ぶ大統領の機密文書を見つけ出し、それをニューヨーク・タイムスにリークします。
その一方、タイムスのライバル紙、ワシントン・ポストではオーナーの交代劇が起こっていました。そもそものオーナーだった父、そしてそれを受け継いでいた夫の相次ぐ死で、キャサリン・グレアム(メリル・ストリープ)が回shを継ぐことになっていました。彼女は慣れない仕事で忙殺され、自分を見失いそうになっていました。
一方、ポストの編集長のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)はタイムスに負けまいと必死でした。ただ、その一方でマクナマラ国防長官はキャサリンの一家とは古い付き合いで、リークされた機密文書の報道に身が虫をつぶしていました。こういうこともあり、なかなか、機密文書の報道に踏み込めないでいました。しかし、そうしたマスコミの姿勢が世の不満を高めていたのも事実でした。
するとある日、ポストのアシスタントのベン・バディカン(ボブ・オデンカーク)はエルスバーグを追跡することに成功。機密文書の秘密に迫ることになりますが・・・。
・・と、ここまでにしておきましょう。
これはですね
1970年代初頭に、ペンタゴン・ペーパーズの真実に迫った報道を行ったワシントン・ポスト紙の裏側に迫ったドキュメンタリー的な内容を、ちょっとスリリングに味付けした映画ですね。
これ、僕が面白いと思ったポイントはですね
こんな風に、自分に不利な報道していることに「フェイク・ニュース」と罵る情けない人がいるわけじゃないですか。こういう人に対して、「プロのマスコミがいかに真剣に真実を求めているか」を喉元に突きつけているようなことが感じられて、そこはすごく説得力がありましたね。
やはり、そこは
ヒューマニズムを徹底して描いてきたスピルバーグらしい意地ですね。それを強く感じました。こういう姿勢に難癖つける人もいるとは思うんですけど、彼の場合はもう何10年もこういう姿勢に関しては徹底しているし、今のご時世だからこそ、そういうのを緩めないでほしいとも思っています。
あと、メリルが絡んでいることで
外面上の再現性も見事でしたね。
それから、スピルバーグのストーリーテリングで途中で見飽きることというのは基本的にないんですけど、最後まで見ごたえのあった話だとは思います。
が!
主役が彼である必然性はなかったかなあ〜。
トム・ハンクス、スピルバーグの前作の「Bridge Of Spies」でもそうでしたけど、ちょっと演技を抑えすぎですね。もう少しアピールしても良かったんじゃないかと。だから、なんかもう一つ映画に締まりがなかったというか。彼がもう少しアピールしてたら、この映画の評価ももう少し上がっていたような気がします。
その一方で
「ブレイキング・バッド」のソウルで知られるボブ・オデンカーク。彼は良かったですね。彼の演技に関しては助演男優賞の候補になってもおかしくはなかったかなあと思ってましたが、ライバルがちょっと今回は多すぎたかな。
ただ、いずれにせよ
ちょっと淡々と描きすぎたのと、役者一人一人の熱量の不足ゆえに、一昨年のオスカー・ウィナーの「スポットライト」にはかなわない内容になってたかなあ。せっかく題材自体は素晴らしいのに、そこのところがもう一つ勿体無かったなと思います。
スピルバーグ、ここのところ安定して佳作を出し続けているところは、彼のキャリアや年齢からしたらかなり立派なことですが、最後にもう一回オスカーで大輪咲かせたいなら、このあたりが課題かなと。