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映画「Battle Of The Sexes」感想 70年代のテニス界伝説の女王の2つの戦い・・なんだけど

どうも。

 

では、今日も映画レヴュー、行きましょう。今日はこれです。

 

 

 

この「Battle Of The Sexes」。これ、行きましょう。

 

これは、1973年、アメリカのテニス界の伝説の女王、ビリー・ジーン・キングの伝説の試合、元男子のせ怪チャンピオン、ボビー・リグスとの世紀の一戦にまつわる頃を描いた映画です。ビリー・ジーン・キングといえば、クリス・エバート・ロイドとか、ナブラチロワの前に、日本でも「キング夫人」と呼ばれ、有名だった人ですけどね。女子テニスが世界的に注目されるようになった頃の偉大な選手ですが、これを「La La ランド」でオスカーの主演女優賞を受賞したばかりエマ・ストーンが演じることでも話題です。さて、どういうお話なのでしょうか。

 

 

早速、あらすじから見てみましょう。

 

 

 

 1972年、テニス界の女王、ビリー・ジーン・キング(エマ・ストーン)は選手としてのキャリアの頂点にありました。テニスのグランドスラムのうち、ウィンブルドンなど3つを制覇。まさに最強のテニス女王でした。

 

 

 

 しかし、これほどまでの強い選手でも、収入に恵まれているとは言えませんでした。その理由は全米テニス協会の会長ジャック・クレイマーとの対立です。クレイマーは、女子が手にする賞金を男子の8分の1に定めようとしていたのです。彼曰く、「女子では客を呼べない。人は注目しない」というのですが、男子と同じだけ客を集めていたビリー・ジーンにその理屈は納得できません。これを不服としたビリー・ジーンはマネージャーのグラディス・ヘルドマン(サラ・シルヴァーマン)とともに、女子のテニスの組合を作ります。

 

 

 

 その団体を女子選手たちと立ち上げ、「さあ、これから新しい人生」とばかりに選手たちとヘアサロンに行った際、髪をセットしてもらっている最中に、ビリー・ジーンはこれまでに感じたことのない胸の高鳴りを感じたのでした。

 

 

 

 

 一方、かつてのテニスの男子世界チャンピオン、ボビー・リグス(スティーヴ・カレル)は、引退後も富豪の娘と結婚し、金には一生困らない生活を送っていたはずでしたが、引退後の空虚感ゆえか、刺激を求めてギャンブル癖を悪化させ、妻から顰蹙を買ってしまい、生活の危機にありました。

 

 

 そんなボビーはある日、ビリー・ジーンや彼女の団体の選手の試合を見ていき、さらに友人たちのちょっとしたアイデアも加わって、「この俺が、今の女子のプロの選手を試合をして稼ぐっていうのはどうだ?」と思いつき、それを実行に移します。

 

 

 

 まさにその頃、ビリー・ジーンは、ヘアサロンでときめきを感じたマリリン(アンドレア・ライズボロウ)とただならぬ仲になっていきます。マリリンはいつしかビリー・ジーンの団体の専属のヘアドレッサーになりますが、彼女ら2人の様子は、不意に宿舎を訪れたビリー・ジーンの夫ラリーにも「何かおかしいぞ」と感づかれてしまいます。そうしたことがビリー・ジーンを焦らせ、彼女はある試合を落としてしまいます。

 

 

 

 すると、ボビー・リグスは、そのビリー・ジーンに勝った選手、マーガレット・コートに試合を挑みます。リグスはすでに55歳でしたが、マーガレットに危ないところを見せることなく圧勝してしまいます。

 

 

 

 当初、リグスの挑戦を、「女子テニスを見世物にしている」と相手にしていなかったビリー・ジーンでしたが、マーガレットの惨敗を目の当たりにし、「女子選手のプライドを見せなければ」とリグスの挑戦を受けて立つことにしました。これには全米のマスコミも飛びつき、巨額のファイトマネーもつきました。そして1973年9月20日に世紀の一戦を迎えますが・・。

 

 

 と、ここまでにしておきましょう。

 

  この映画はですね

 

 

 

 

 監督をしたのは夫婦コンビ、ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス。この2人はかつてオスカーの候補にもなった「リトル・ミス・サンシャイン」で有名になった人たちですね。この人たちの2作目が「ルビー・スパークス」と言って、昨日も紹介したポール・ダノとゾーイ・カザンの2人を主役に、かつての天才売れっ子作家とロボットの女の子とのロマンスを描いていましたね。

 

 このように、基本はコメディ、というか、それ以前は実はMTVの監督として有名だった2人なんですけど、それだからか、エフェクト関係は強い強い!

 

 この映画、何が一番良かったか、となると、もうダントツに映像です!

 

 もう、これは実例見せたほうが早いでしょうね。

 

 

トレイラーですけど、「どこの70年代の記録映像だよ」って感じじゃないですか(笑)?これはすごいと思いましたね。

 

なんか見ていてですね、70年代のブラウン菅のテレビ見ているような錯覚に陥りましたね。もしかしたら、その当時のカメラとかフィルム使って撮影したんじゃないかとさえ思いましたから。

 

 そこに加えて、メイク、衣装も立派でしたね。だって

 

 

 

エマがこんな感じで、さらに

 

 

 

スティーヴ・カレルに至ってはこれですからね!カレルのはよくここまでボビー・リグスに似せたものだと思いましたね。

 

 

 あと、やはりコメディ畑の監督なので、話がスカッとわかりやすく、話のテンポもいいから最後まで飽きさせません。見ていて、ダレるとか、飽きるといった類のこともなく、最後まで楽しく見れます

 

が!

 

正直な話、

 

 

 

ビリー・ジーン・キングその人の伝記としては、今ひとつかなあ。

 

 

なんか見ていてですね、すごく尊敬すべき人なんですよ。女性テニス選手の地位向上のために、賃金改正させたのは永遠に評価されるべきことだと思うし、さらに有名人でレジビアンの先駆者でもありますからね。フェミニズム的にすごく描きがいのあるアイコンだとは思うんですけど、

 

なんか、サラッと普通に描きすぎてて、「共感や尊敬できるポイント」がつかめず、感情移入しにくい!

 

 ここが問題ですねえ。

 

 実はビリー・ジーンに関しては

 

 

 

これも偶然、昨日の映画とつながっちゃうんですけど、ホリー・ハンターが2001年にテレビ映画で、まさに今回の試合の頃の彼女の伝記で主役を演じてるんですね。この時は完全に、「女性テニス選手の地位向上のために戦った」ところだけが描かれて、同時進行していたレズビアン・ロマンスに関しては描かれてなかったということです。ただ、「それだからこそ、的が絞れてて、素直に見やすかった」と、テニス好きのうちのワイフのアメリカ育ちのママが僕に教えてくれました。

 

 

 まあ、つまりはですね

 

ビリー・ジーンのレズビアンとしての描き方と、その展開がなんか今ひとつなんですよね。

 

 

今回の映画見たときに思ったのは「えっ、でも、70年代だよね??」ってことですね。なんかですね、周りの人が、ビリー・ジーンとマリリンのロマンスにあまりに簡単に感づいていたんですよね。これは正直「えっ??」と思いました。だって、70sの初冬の時点って、

 

レズビアンとかバイ・セクシャルって、当時はまだそんなに世間一般に認知されたものではなかったから。

 

 その頃に、ただホテルの部屋の行き来をしているだけで、そんなに簡単に勘づく人、いたのかなあ。そういう疑問がどうしても湧いたんですね。アメリカでさえ、そこまで理解されていた概念じゃなかったはずなんだけどなあ、と。

 

 その疑問を、先ほどのワイフのママにぶつけてみたんですね。そうするとですね

 

「あの当時、知ってる人でバイセクシャルの人はいたことは痛んだけど、こっちとしては”バイ・セクシャル??それ何??”って感じだった。ビリー・ジーンのことも、そういうことが知れたのはだいぶ後のことだった」というんですよね。

 

 

 確かに、そうしたレズビアン・ロマンスに関しても、その当時のビリー・ジーンの人生の事実だったとは思うんですね。だけど、ドラマ盛り上げよう、話を分かりやすくしようとするあまりにちょっと現実とは違う脚色をやりすぎちゃったかな、とは思いましたね。わからない話ではないんですけど、そこは伝記なので、忠実な方が良かったかな。

 

 

あとですね、レズビアンのロマンスとはいえ、

 

 

形としては「不倫」だったわけですよね?

 

 なんかですね、見ていて「男性とケッコンしているはずの自分が女性に恋してしまった」戸惑いとか、夫に関する罪悪感とか、そういう点の描き方が今ひとつ甘いから、せっかくレズビアンの面を取り上げても共感ポイントがどうしても下がっちゃうんですよね。ここはもう少し丁寧に描いて良かったんじゃないかな。なんか、せっかく取り入れたのに、中途半端な感じになっちゃったんですよね。

 

 

 まあ、とはいえ

 

 

 

ビリー・ジーン・キングというテニスの伝説、フィーメール・アイコンを知るキッカケとしてはいい映画です。

 

なお、世紀の一戦ですが

 

 

 

この映像で、実物が一瞬見れます。興味のある方は是非。

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 03:24
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