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最近、活字批評媒体よりBBCラジオの方が気になる理由

どうも。

 

 

今日と明日に関して書くことは、昨日書いた「7月から9月の10枚のベスト」というのに密接につながることでもあるので、改めて見返してもらえると嬉しいです。

 

 

 僕の最近の音楽の日常ですが、もう、もっぱらストリーミングですね。ここのところはもっぱらDEEZERとTIDALの併用で、Apple Musicの頻度が激減しています。解約してSpotifyを第3のサービスとして使おうかな、などとも考え始めています。

 

 

 ただ、それに加えて今回大きいのは

 

 

 オンラインでBBCラジオの放送を聴き始めたことなんですね。

 

 

「もうCDの時代でもなく、ストリーミングの時代なのに、ラジオなんて聞いてるのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに昨今、ラジオの熱心のリスナーが洋楽のマニアックなファンというイメージは日本ではちょっと考えにくいシチュエーションですよね。

 

 

 でも、欧米圏って、ラジオの影響力が強いんです。それは僕の住んでるサンパウロでもそうだし、他の国でもそう。ロックの専門局なんて、主要な市にはだいたいありますからね。アメリカなんて、ここ最近、影響力のあるロック局が亡くなったことがロックの失速招いているくらいですからね。

 

 そこに行くと、なんだかんだでロックのヒットが出続けているイギリスというのはすごいです。なんせ、BBCだけで6局ラジオがありますからね!

 

 

 その内訳を言うと、BBCのラジオ1が一般の流行り物、2が大人向け。この2局先日、創立50周年を迎えました。そして3がジャズ、4がコメディとかドラマとか声ですね。5がニュース。そして6がインディです。

 

 

 特に6なら。

 

 

 このスティーヴ・ラマックの番組がやっぱり有名というか、人気ですよね。僕のブログをHard To Explain経由で聴いてる人なら、間違いなく好きなんじゃないかと思います。

 

 彼の番組は月曜から金曜の午後4時から7時までの3時間の帯でやってるんですけど、選曲がですね、もうインディ・ロック好きの見本というかですね、「ああ、こういう音楽の趣味した大人になりたい」と思わせるようなものです。ここ最近のセットリストだったら、ホラーズ、ベル&セバスチャン、ビヨーク、フー・ファイターズ、ウルフ・アリス、LCDサウンドシステム、ザ・ナショナルあたりは毎日のようにかかってましたね。これでいいのは、アルバムの発売タイミングの前から推し曲をバンバンかけてくれるから期待が高まるんですよね。そして、まだ一般的な存在じゃないアーティストでも、早いうちから推しのものはかかるから、すごく物知りになったような気分にもなれる。

 

 彼が最近、よくかけてるものの中には

 

 

 

 

 こういうニューカマーもあります。このバンド、ヴォーカルの女の子、日本の大学生ですけどね。しかもアメリカの東海岸だったかな。そちらの在住の人です。これが今のドミノ・レコーズの推しですね。これに限らず、「これから」という存在のものが、こうした番組ではかかります。

 

そうかと思えば

 

 

 こうしたスパークスみたいな大ベテランの曲もかかったりね。こうしたベテランは大人向けのラジオ2でもかかるんですけど、こうしたプロモーションもあるかtら、最近、ベテランのチャート・アクションがすごくいいんです。スパークスも43年ぶりの全英トップ10だったし、ゲイリー・ニューマンとか元ソフト・セルのマーク・アーモンドも、アルバム・タイミングの直前にBBCのゲストに出て、それが結果的にいいチャート・アクションを引き出したりもしています。

 

 

 こうした情報って、例えばピッチフォークとか、そういう音楽サイトを覗いているだけじゃなかなか入らないじゃないですか。しかも、放送というフィルター通して他の曲との比較で聴けるから、客観的な立ち位置もわかるしね。それがサイトだけだと、そういうことができないから、ちょっと聞きにくいタイプの曲でもなんとなく良く聞こえてしまう。そういうのが好きじゃないから、僕はあんまりそのテのサイトの推しって聞かなかったんですよね。サウンドクラウドあたりだと、ゴミみたいな曲も多いから時間が無駄になるような気もしてたし。やっぱ、信頼の置ける誰かのフィルターを通して、客観的な比較ができた上で新しいもの聴けるのはいいですよね。

 

 

 あと、ピッチでもいいし、コンシークエンス・オブ・サウンドとかステレオガムとか、そういうレヴュー系のサイト、確かに良いアルバム、紹介してはいるんですけど、レヴュワーの趣味が地味にマニアックすぎるからなのか、推奨されているものの何割かは「とは言っても、こんなの売れるわけないじゃん」みたいなものが結構多いんですよね。でも、やっぱり気になるから、一回はストリーミングをダウンロードして通して聴いては「ああ、やっぱり長く聴くとツラいね」みたいなアルバムも少なくない。ラマックの番組を習慣的に聴いてると、こうした手間が省けます。

 

 

 僕の場合、どうしても、80sのまだ日本のFMがバンバン洋楽を流していた時代に育ってるし、キャリアの初めがラジオの番組制作だし、後、ライブ番組とか、自分のライブ・イベントの主催とかやってきてますから、どうしても「より広いオーシエンスに聞かせてみてどうか」というのはどうしても考えちゃうんですね。それにはやっぱり、ある程度、曲はちゃんとしてて欲しいとか、そういう感覚がどうしてもあるというか。だから、こういうこと言うんですけどね。

 

 

ただ!

 

僕がBBCに今惹かれている一番の理由はラマックではありません!

 

 

むしろ、この人の番組です。

 

 

 

アニー・マック!

 

アニーは現在、月曜から金曜のBBCラジオ1の午後7時から9時まで、つまりBBCラジオ全体での最も聞かれるゴールデンの時間帯の担当なんですが、いや〜、彼女の番組、ストリーミング時代におけるラジオ番組の理想ですね!

 

 

 彼女の番組の何がすごいかって、かかる曲が完全なるノン・ジャンルなんですよ。インディもエレクトロもかかるし、そうかと思えばいきなりメタルコアに飛ぶ(何気に毎日かかってる)は、ヒップホップもかかる(というか結構比重として多い)はR&Bもかかるは。それを、彼女はプロの回す方のエレクトロのDJでもあるんですが、そうした本来ジャンルがバラバラな曲を絶妙にうまい具合につなげるんですよね。いや、これ、衝撃ですよ!

 

 

 彼女の番組、毎日聴いてたりすると、ちょっとした音楽の物知りになったような気分になります。かけてるものが本当に多岐にわたってるし、そこでの代表的なアーティスト覚えるのにすごく役に立ちます。こういうのって、ストリーミング・サービス聞くだけだと、どうしても自分の趣味の枠内だけでやるからプレイリストで聞こうったってジャンルの幅にどうしても限界があるんですけど、彼女の番組はそういうのを飛び越えてくれているから聞いてて楽しいし、つなぎがカッコいい。

 

 

 あと、ロシアン・ルーレット的な楽しみもあるんですよね。ラマックの番組だと、センス良すぎてそつがなさすぎて、逆にそれが聞いててつまんなくなる瞬間でもあるんですけど、アニーの場合、かける曲に外しも結構少なくない(笑)。およそ僕自身の趣味じゃない曲もやっっぱりかかりますしね。でも、そのリスクと引き換えに、今まで知らなかったものに対しての発見も多い。だからなんかすごくそそるんですよね。

 

 あと、やっぱり、ゲストのトークとか、さらにスタジオ生ライブ、そういうのはストリーミングじゃ体験できないじゃないですか!そういうのを売りにできるのもラジオ局の強みです。

 

 そこに行くと、アニーの番組での生ライブとゲストのセンスがいいんです。

 

 

 

 そもそも僕が何でBBCのアニ−の番組に行き着いたのかというと、「PVRISってなんで全英初登場でいきなり4位になったんだよ」と思って調べたら、直前にアニーの番組でスタジオ生パフォーマンスやってたからなんですね。それと同じタイミングでレディング&リーズのフェス出演してウケたのも大きかったようなんですけど、こういうのって、批評メディアとか雑誌だけ見てても絶対つかめないじゃないですか。

 

 

 それから

 

 

 全英初登場2位になったナッシング・バット・シーヴスも同じように直前にアニーの番組で生パフォーマンスやってます。そして、これが僕的には度肝でね!これ、ジェフ・バックリーの伝説の名作「グレース」に入ってる人気曲の一つのカバーなんですけど、これ、見事ですよ!ヴォーカル的に非常に難易度の高い曲目白押しのジェフ・バックリーの中でも、この曲は特に難しい曲なんですけど、ここのヴォーカルのコナー・メイソンはほぼ完コピですよ!これ聞いて、すごい実力の持ち主だなと思って、それが僕の高評価にもつながりました。

 

 こういう、ここでしか聞けない発見をさせている意味で、この番組、相当貴重ですよ!

 

 

 だから、ここ最近、ずっとベタに張り付いて聴いてるわけじゃないですけど、極力、この番組を聴くか、悪くてもセットリストを後からチェックするようにしています。昨日のトップ10に入れたジュネイ・アイコもこの番組聴いて「こんなに良かったんだ!」と発見して入れたものでもあるのでね。

 

 

 あと、BBCだったら6のローレン・ラバーン、2のジョー・ワイリーと、2人とも女性のDJですけど、彼女たちのも選曲いいですね。ローレンはブリットポップの時にケニッキーてバンドのヴォーカルやってた可愛い人ですけどね。

 

 

 BBCの番組、生で聞けなくても、後日ストリーミングが、確かオンエアの1ヶ月後まではできるので、ぜひ試しに聞いてみてください。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 12:28
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