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映画「The Lost City Of Z」 実在した”アギーレ” エル・ドラドに魅せられた男

どうも。

 

 

映画評、たまってるので出して行きましょう。今日はこれです。

 

 

この「The Lost City Of Z」という映画。これは今年の上半期、アメリカの映画評ですごく評判だったこと、監督のジェイムス・グレイが期待されている人、ブラッド・ピットのプランBがバックアップしてることで興味を持ちました。主演がチャーリー・ハナムってとこもなかなか惹かれました。どんな映画なのでしょう。

 

 

早速あらすじから行きましょう。

 

 

舞台は20世紀初頭。パーシー・フォーセット(チャーリー・ハナム)は野心溢れる気鋭の将校でした。才能はありながらも、出生の秘密上、出世できずにいた彼には、愛する妻ニーナ(シエラ・ミラー)と幼い子供ジャックの存在がありました。

 

 

 そんな彼に、ある日、ある任務が舞い込みます。それは、南米のボリビアとブラジルが領地を巡って紛争をしている地域の調査に行ってこい、というものでした。

 

 

 

 パーシーはブラジルに向かいますが、その課程でジャーナリストのヘンリー・コスティ(ロバート・パティンソン)に会います。彼はどうやら南米のエキスパートのようでしたが、彼の知識で一行の探検がかなり助けられます。

 

 

 ついてみると、そこではヨーロッパからの移民がいて、大きなプランテーションも行なわれていたのですが、文明的にはまだ未開の地と言って良い状況でした。

 

 

 

 探検の課程で彼らは、原住民に襲われます。しかし、生き抜くためのコミュニケーションが天才的に上手い彼は、原住民とコミュニケーションをたくみに行ないます。そして、探検の現地ガイドから彼は「ここに黄金郷が存在する」という伝説を聞かされますが、この地で目にする美しい工芸品などを見て行くうちにパーシーは「エル・ドラド」が実在するものだと信じるようになります。

 

 

 パーシーは帰国して記者会見まで開いてエル・ドラドの存在を説きますが、一笑に付されただけでした。ただ、探検家のジェイムス・マーレイの興味を持たれ、パーシーはヘンリーやマーレイなどを連れて再度エル・ドラド発見に向け南米に渡ります。

 

 

 しかし、そこでは前回の探検以上に過酷な道程が待ち受けていました。そこでマーレイは弱音を吐きますが、「弱気ものは去れ」的なパーシーの一方的な振る舞いが目立つようになります。

 

 

 

 また帰国すれば、3人に増えていた子供、とりわけ長男のジャックに、家を不在にしてばかりで呆れられ、なつかれなくもなります。

 

 

 そして時代は第一次世界大戦を迎え・・。

 

 

 と、ここまでにしておきましょう。

 

 これはですね。

 

 

 

 20世紀の前半に実際にあった実話を元にした話です。パーシー・フォーセット本人もいて、彼は本当にエル・ドラドを信じ、命がけの旅を何度も行なっています。

 

 

 これを見ていて、僕はなんかなつかしいものを見ているような、そんな気になりましたね。真っ先に思い出したのがこれですね。

 

 

 

 この「アギーレ 神の怒り」ですね。

 

 これは1972年に公開された、ウェルナー・ヘルツォーク監督による、ドイツ映画の金字塔的な作品として映画史に残るものになっているんですけど、この名優クラウス・キンスキー演じるアギーレも、エル・ドラドを信じるあまりに利己主義に走り、仲間も捨て去り、最後は孤独になっていく姿を演じていましたけど、まさにこれを思い出しましたね。

 

 あと

 

 

 

 

 舞台設定でいうばら、1986年のこの「ミッション」ですね。こちらは、南米の全く同じ地域にキリスト教の普及に行く宣教師を描いた話でしたけど、原住民と相対しながら過酷なサバイバルを生き抜く点では似てますね。

 

 

 まずは、このテの映画が久しぶりに作られたんだなあ、と感心しながら見ていたんですけど、これ

 

 

 やっぱり、かなりいいです!

 

 

 というのも

 

 

 このチャーリー・ハナムの説得力がすばらしいんです。かねてからすごく良い役者さんでしたけど、ここに来てすごくリードで映えるようになりましたよね。これと全く同じ時期に「キング・アーサー」で主役をつとめて話題になっていましたけど、今後もっと台頭してくると思いますよ。もともと、あの「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」でクリスチャン・グレイを演じる予定だったのが彼だったんですよね。それを降りて、もっと本格的な映画に的を絞った結果がこれなら正解だったと思いますね。「フィフティ〜」のさんさんたる評判を知ってしまった今となってはなおさらそう思います。

 

 

 ここでの彼が演じてる役って、10年前だったら間違いなくレオナルド・ディカプリオが演じるタイプの役ですね。そういう「煮えたぎる男のロマン」演じさせたら今レオの右に出る人がいない、というか、彼が演じる仕組みにハリウッドがしてますけど(笑)、その路線の後継者に、このハナム、なれるんじゃないかな。そういう期待も抱かせる演技でしたね。今後注目していい人だと思います。

 

 

 あと、いつになく地味なロバート・パティンソンの抑えた演技も良かったし、妻役のシエナ・ミラーも良くなって来ましたね。彼女はイーストウッドの「アメリカン・スナイパー」から、こういう「待つ女」のイメージの役が続いてますけど、その昔の、どこかプラスティックなカチコチした感じのイメージからは完全に抜け出ましたね。主演取るほどの力はまだかな、とは思いますけど、助演で力つけて欲しいですね。

 

 それから

 

 

この監督、ジェイムス・グレイにとってもステップアップになったと思います。この人、昔から「才能ある」と評価され、カンヌでパルムドール対象作品でエントリーしてるくらいに認められてはいたんだけど、どうも一般の作品評がそれについて来ない印象もあったんですけど、これでやっと一般認知に向かって行くかな、という感じですね。ストーリーテラーとして、すごく良い監督だと思いますね。この人も期待していいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 19:11
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