RSS | ATOM | SEARCH
ロラパルーザ・ブラジル2017 感想その2

どうも。

 

 

では、今年のロラパルーザ・ブラジル、2日目について語りましょう。

 

 

日曜は終わりの時間が土曜より1時間早いので、開演が早いんですね。なので、昼一には会場についていないといけない感じです。僕もこの日は12時40分には会場に入っていました。

 

 

 そして一番最初に見たのはブラジルの女性アーティストのセーウ。現在30代半ばで、これまでのノラ・ジョーンズみたいなスタイルから一転してエレクトロ・グラム・クイーンに変身して大好評。そんな彼女が第1ステージの最初をやってました。新作からの感じはすごく良かったんですけど、ただ、昔の曲になると途端に退屈になるとこが課題かな。昔からのファンはそこを取っておいてほしいとは思うから難しいとは思うんですが。

 

 

<14;10 キャットフィッシュ&ザ・ボトルメン 第2ステージ>

 

 そして、この日、本格的に最初に見たのがキャットフィッシュ&ザ・ボトルメンだったんですけど、これ、僕、楽しみでした。イギリスではもう2枚連続でロングヒット。2013年のファーストは3年くらい全英チャートに入ってて、昨年出たセカンドは全英初登場1位になり、1年くらいたってもまだ100位から落ちる気配なし。UKロックの弱体化が叫ばれて久しい中、これは特筆すべきことだと思ってましたからね。しかも、批評的にはそんなに評価高くないバンドですからね。一体、何が良いのか。この目で確かめたかったのです。

 

 このフェスに限らず、サンパウロのこうしたフェスって、昼の早い時間はガラガラで普通。ということもあり、広大な第2ステージには半分くらいしか人はいませんでした。しかし、その半分が彼らの大ファン。しかも女の子ばっか!確かにサンパウロのロック・ステーションでは結構曲はかかっていたんですが、いつのまにそんなファンが?そういうとこも早速不思議でした。

 

 

 

 

 そして、いざ、本人たちがステージに立つと、そのサプライズはさらに進みました。彼ら、演奏、うまいわ!しかも歌も、曲も、なにか目新しさとか斬新さがある訳では全然ないんだけど、安定感があって飽きずに聴ける。

 

 

 しかも、ヴォーカルのヴァン・マッキャンがかなりしっかり歌えるうえに、ロックスター然とした客の煽りがうまいのね。堂々としたものです。前から、「ラジオ受けはしやすそうな曲、書くな」とは思っていましたが、ライブ現場でもここまで堂々としていたら、好まれるでしょうね。ラジオ、ライブってとこに、国を問わず批評家って判断するのうまくないんですけど、そういうとこでしっかりフォローできているのは立派だと思いましたね。そして、この安定感があれば、かつてレイザーライトとか、クークスが超えられなかった、イギリスでの安定したフェスのヘッドライナー・クラスと、アメリカでの成功も決して夢じゃないですね。だいたい、セカンドも現時点でアメリカで28位まで上がってましたからね。

 

 

 それにしてもブラジルでの彼らのワーキャーな女の子の人気、すごいな。中にはポルトガル語で「脱いで!」なんてボード持った子までいて(笑)。The 1975のマット・ヒーリーが久々に現れたセクシー系のロックのフロントマンと思っていましたけど、このヴァンのアイドル人気もなかなかですね。彼、まだ24歳と若いのも良いです。今後が楽しみになってきました。

 

 

〈16;30 デュラン・デュラン 第2ステージ〉

 

 

 そして続いて見たのは、デュラン・デュラン!わが中学時代の最大のアイドルですよ!中学2年のとき、はじめて彼らのライブを新幹線にひとりで乗って見に行った1984年。それから33年後。地球の真裏で、まさか、こんな大きなフェスの、日曜の夕方なんてすごくオイシいスロットで彼らのライブが見れるとは!もう、それだけで感動でしたね。

 

 

 だって、その間、少なく見積もっても計3度、「ああ、もう、これで懐メロ・アーティスト、決定だな」という瞬間があったんですよ。でも、彼らはそれを乗り切って、いまだに新作を主体としたツアーをアリーナ・クラスの会場で続けているだけでなく、最新アルバム、英米でトップ10に返り咲いてますからね!それだけでも嬉しかったんですが、まさか、こんなにこだわり派のリスナーを抱えたロラみたいな大きなところで呼ばれるほどにまでなるとは全く予想もしませんでしたね。

 

 

 ただ、ブラジルでの反応、出演決定のときから全然悪くないんですよ。「昔のアイドル」なんて言う人は全然いなくて、「実績のあるちゃんとしたベテラン」といったリアクションをちゃんとしてくれる。中には、まあ年寄りではあるんですが、「ちゃんとしたバンドはメタリカとデュランだけ」なんて言ってくれる人もいて。そんな感じだったので「とりあえず人は入るんじゃないかな」と思っていたら、期待以上でした!

 

 

 

 

これが演奏中、モニターに映ったデュランの客ですが、すごいでしょ、これ?地平線の向こうにも人がいて!しかも、リアルタイマーだけじゃなく、結構年齢もバラバラで。そして男女比も50・50でしたね。昔は95;5で女の子しかいなかったのに、今日は前方にハゲたおじいさんまでいましたからね(笑)。僕はかなりステージに近い位置で見たんですけど、後ろ見たら続々人が詰めかけるので、とにかくゾクゾクしましたね。

 

 

 

 

 そしてメンバーはゾロゾロと入場し、その時点で大歓声があがります。そして位置にスタンバイすると、サイモン・ル・ボンとジョン・テイラーがマイクを奪い合うようにして「Wild Boys」を歌いはじめ、ここからがヒットパレードのスタート。これに続き「Hungry Like The Wolf」「A View To A Kill」と80sの代表曲が畳み込まれたので、僕も熱唱カラオケ状態が止まらなくなります(笑)。

 

 

 でも、往年の、しかも80sのヒットだけじゃなかったんですよね。90sの「Come Undone」や00sの「Reach Up For The Sunrise」、そして最新作「Paper Gods」からのEDMナンバーの「Last Night In The CIty」。同じく新作からの先行シングル「Pressure Off」で会場が大団円になるのを見て僕はウルッと来ちゃいましたね。だって、僕、デュランのライブは今回が7回目だったんですけど、そのうち4回が、オリジナル再結成はしてみたものの、うまくいかなかった苦難の時期でしたからね。あれを見てた身からすると、こんな大勢の人の前で、最新作からの曲でこんなに盛り上がるなんて絶対想像できませんでしたから。

 

 

 そして、それを可能にしていたのが、サイモンのヴォーカルですね!オリジナル再結成は彼が主導になって動いたものだったんですけど、その責任感から、「00sから歌がうまくなったよな」の意識はあった(絶対、ボイトレはじめましたね、これ)んですが、歌は文句なく過去最高でしたね!「こんなに歌、うまかったっけ、サイモン?」とまで思いましたから。

 

 

 そして後半のハイライトは90sのデュラン最大のヒット、「Ordinary World」。この2コーラス目を、さっき冒頭で触れたセーウが突然ステージに入って来て歌う演出。これは盛り上がりましたね。

 

 

 そしてライブは「グラビアの美少女」、「リオ」と、ライブの終盤での定番曲でシメました。1時間強で、フェスのこのスロットなら納得のものだったんですが、「セイヴ・ア・プレイヤー」と「リフレックス」やらなかったんですね。僕にしてみれば、あの大定番を抜きでも満足して成立させられた今のデュラン、すごいな、だったんですが、帰って関連の記事の書き込みみたら、「デュランほどの大物にあんな短い時間しか与えないなんて」「トリでも良かったくらいだ」なんて嬉しい不満の声があがっていて、アンケートでも「2日目のベスト」で1位、もしくは2位というすごい大好評ぶり。これだけの評判取れるライブが出来るんだから、まだ、これから再評価、上がって行きそうな気がしますね。前日のメタリカと並んで、これは今年のロラのファインプレーでしたね。

 

 

〈18;50 The Weeknd  第2ステージ〉

 

 

 デュランが終わって、第1ステージではトゥ・ドア・シネマ・クラブ,第3ステージではMOがやてましたけど、今年に関しては、いろいろつまみぐいをするよりはひとつをじっくり見たいため、空いた時間はあえて食料補給に充てました。そうじゃなくても、今年は人が本当にいっぱいで、フードのところは長蛇の列の連続でしたからね.リスクはあえて避けました。

 

 

 そして、間違いなく激混みが予想されるザ・ウィーケンドのライブに早めに行きましたが、開演20分前にはかなりの人数でしたね。しかも若い人を中心に。そりゃ、そうでしょう。サンパウロはトップ40のヒット・アーティストがただでさえ強いし、ましてやそれが,今、もっともヒットの多いアーティストのひとりですからね。開演時間の頃にはデュランを上回る人のやまになってましたね。

 

 

 

 

 ライブそのものはやや押して19時頃にはじまりました。ステージは、高く組まれたバックバンド用の台に、ギター、ドラム、キーボードのわずか3人がエレクトロっぽいパフォーマンス。そして、ステージのフロアは大きく開いて、そこにたったひとり、ウィーケンドがキャップをかぶりながら,中央に一本だけ置かれたスタンドマイクに向かって歌いはじめました。曲はおなじみ「Starboy」.もちろん、のっけから大合唱です。

 

 

 彼のパフォーマンスは生では初めてでしたけど、テレビや動画ではよく見てました。その印象では「そこまで圧倒する歌唱力という訳でもないな」という印象でしたけど、この日は彼特有の甲高い声がびんびん響いて好調でしたね。特に彼が「ハイ!」「ホー」と叫んで、自分の中のインナー・マイケル・ジャクソンを呼び起こすとノッて来る感じでしたね。

 

 あと、演奏、編曲にも好感持てましたね。R&Bのアクトがこうしたフェスに出る場合、急ごしらえで大所帯バンドを組んで、場に微妙に合わない大仰なアレンジ組んだりして相性の悪さを感じさせやすいものなんですが、彼の場合はもとがエレクトロっぽい楽曲だし、そのアレンジを活かしたシンプルなバンド編成だったので、ロックファン的にも入って行きやすかったですね。

 

 

 後、選曲は凝ってましたね.彼くらい、一般的には一昨年に急に人気者になったパターンだと、ここ最近の2枚のアルバムだけ聴いてるという人が多くても不思議じゃないんですけど、この日は、永遠のレディキラー・チューン、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の「Earned It」は当然のこと、インディで話題になった「ハウス・オブ・バルーンズ」の曲もやった上に、ラッパーのフューチャーのアルバムでコラボした曲という、結構ヒップホップを聞き込んでないとわからないことまでやってましたね。僕はドレイクとの「Crew Love」はやってくるんじゃないかと思っていたのですが、そっちじゃなくてフューチャーでした。

 

 

 そして、どの曲のあいまでやったのかちょっと記憶が曖昧なんですが、左右両脇のモニターに、一瞬、彼の控え室がうつったんですけど、そこに

 

 

 セレーナ・ゴメスがどアップで映し出されました(笑)!

 

 この瞬間、女の子たちから悲鳴に似た「キャーッ!!!」って歓声があがったんですけどね(笑)。まあ、欧米圏だと、今もっともホットなゴシップのひとつですからね。セレーナが南米のロラパルーザに来たことは、今現在、アメリカでも報じられています。アルゼンチンに移動しているはずです。

 

 

 楽曲的なハイライトは残り20分で披露した「Secrets」、そして最大のヒット曲の「Cant Feel My Face」のメドレーですね。ティアーズ・フォー・フィアーズの「ペウル・シェルター」をサンプリングした新作からの、これからのプッシュ曲になりそうな前者から、歌詞を変えただけで一気に「Cant〜」に変わったのは鮮やかで、直前の「フーッ!」の所も含めて、サビは大合唱でしたね。そしてライブはヒット中の「I Feel It Coming」、そして「The Hills」で大団円となって幕を閉じました。

 

 

<20;40 ザ・ストロークス 第1ステージ>

 

 

 そして今年のもうひとつのヘッドライナーがストロークスでした。

 

 今回のフェス、世間一般的にはメタリカということにされていましたが、ストロークスの動員もかなりのものでしたよ。この日は9万人の動員で前日より数は少なかったんですが、ヘッドライナーのときに直接会場に集まった人の数だけ見たらストロークスの方がむしろ多かったです。

 

 

 なぜ、そういうことが起こるのかというと、ストロークスのメンバーにひとりブラジル国籍者がいるためです。それがドラムのファブリツィオ・モレッティなんですけど、マイク・シノダが日本でのリンキン・パークの人気があがるのに貢献しているようなことがブラジルでファブを理由に起きてるのは事実です。

 

 

 今回の再始動は貴重ですよ。ライブでの再始動そのものは2014年からフェス出演をメインにやってますけど、年に5回前後しかやりませんからね。かなり限定した数でしかやらないし、今のところアルバムの話もなし。「ライブやってくれただけマシ」なラッキーな場所に今年たまたま南米が選ばれた、ということですね。

 

 

 そういうわけで嬉しくはあったんですけど、心配もありました。それは「ちゃんとまじめにやってくれるかな」という懸念ですね。彼らのライブは過去に4回ほど見てますけど、3回目、4回目は「ふざけないで、ちゃんとやれよ」とちょっとムッと来るものでしたからね(3回目というのは2006年のフジロックですが)。彼らの場合、才能は文句なしなんだけど、問題はライブにおけるプロ意識の欠如の問題です。ダラダラーとやって、コミュニケーションもうまくとらずに自己満足的な緩慢なパフォーマンスをやらないか。僕はそこのところが心配だった訳です。

 

 

 

 

 そして、残念ながら、僕の懸念の方が当たってしまいました。ステージのセットは、なんとなく「Last Night」のセットをまぶしきモダンにしたようでカッコよかったし、一曲目がいきなり「Modern Age」だったのは燃えました。ぶっちゃけ、目をつぶって音だけに集中すれば、今もかなり優秀なバンドであることもたしかです。だって、「Is This It」から15年経ってるのに、いまだにあんな軋んだギターに、パスパスなドラムで演奏出来るバンド、一つたりとも出て来てませんからね。これだけときが流れてなお唯一無二というのは、彼らの当時の才能がいかに異質で抜きん出ていたかの証明です。この音のイメージが故に、今回の彼らのライブを絶賛するメディアもブラジルでは少なくはなかったです。

 

 

 ただなあ、演奏の音色はカッコよくても曲のあいだのしまりのなさは、今回もいかんともしがたかったですね。あいかわらず、ゆるゆる〜としたライブで、一曲終われば、そこで休憩。そしてあいかわらずジュリアンの酒量が多いのか、客にわかるような会話をせずに、内輪でうけているのかもわからないひとりごとみたいな会話を進めるだけ。「ああ、またなのかよ」と思いましたね。

 

 

 曲目は「Is This It」からほとんどに、2枚目から「Reptilia」や「Automatic Stop」「12;51」、と良いとこを取ったものの、3枚目は「You Only Live Once」や「Juicebox」がなく、4枚目はゼロでしたからね。そこもあんまりファン向けではなかったかな。去年でたシングルから2曲はやりましたけど、盛り上がりには欠けましたね。

 

 

 ブラジルのメディアでは「ウケてた」と書かれてありましたけど、実際、現場で見てるとそうでもなかったです。1時間くらい過ぎた時点で帰りはじめた人が多かった。とりわけアンコールに入る前の「Last Night」が終わった時点でゾロゾロと帰った人が多かったのは,見ててちょっと残念でしたね。まだ、予定の終わりの時間まで15分近くあまってたから、アンコールはいくらでもせがめたんですけどね。

 

 

 で、アンコールで出て来て3曲やったものの、これがサードからの「Heart In A Cage」、そして5枚目からの「80s Comedown Machine」と、客が待っていたとは思えない展開になって、帰る客がさらに増えてしまいました。まあ、最後は人気曲の「Hard To Explain」ではあったんだけど、でもここも、昔から彼らのライブを見てる立場からすれば「Take It Or Leave It」じゃないのかよ、とは思いましたからねえ。後味の悪いもり下がりでの終わり方でしたねえ。前の日のメタリカの大団円見てる立場からすればなおさらです。

 

 う〜ん、これから再始動するのかなあ。それも一向に見えない内容でしたけどねえ。

 

author:沢田太陽, category:フェス, 00:03
comments(2), trackbacks(0), - -