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エンタメ界も動いた、アメリカの中間選挙

どうも。

 

 

 

昨日はアメリカの中間選挙でしたけど、民主党が8年ぶりに下院で過半数を超えました。上院で敗れたのと、下院もそこまで楽勝でなかったことを考えると、まだまだトランプ政権根強いなとは思ったんですけど、それでも、「議会も全然負けてる」という状況からは脱することになったわけだし、デモクラットが活気付く意味ではいいことだと思います。トランプにやられっぱなしが続くというのも、やっぱ良くはないですよね。プラス、大統領選に向け、「気の緩み」が抑えられる程度の勝ち方でもあったしね。その意味でも良かったかな。

 

 

 今回はねえ、やっぱ、僕の住んでる国で、トランプの、もう本当に悪いものまねしたキチガイみたいなやつが大統領になっちゃったでしょ。もう、そのトラウマもあったので、やっぱり気にしてしまいましたね。悲しいかな、まだ南米の国みたいな成熟しきっていない国だと、「アメリカで起こってること」って、なんか先進的に見えちゃうところがまだ国民にあるようなんですよね。ぶっちゃけまだ「極右」そのものがなんなのかわからないで投票してた人が多かった。こんな風にして、政治的な影響力って、悲しいかな、まだ国際的に持ってるんですよね、アメリカって。そういうこともあるので、早く終わって欲しいんですよね、トランプ政権って。

 

 そして今回も、エンタメの世界は政治的に動きました。ほとんど民主党にですけどね。

 

 特に支持を受けていたのが

 

 

このベト・オルーク。テキサスの上院選挙狙って、共和党のテッド・クルスと戦って僅差で負けちゃったんですけどね。でも、エッド・クルスって言ったら、2016年の時にトランプと共和党の大統領選争った人ですから、その人に「あわや」だったわけなんでかなりすごいことなんですけどね。

 

 で、彼、エンタメ界の注目も高いんですけどね、何故そうなのかというと。彼

 

 ハードコア・パンク上がりだから!

 

 彼、僕より2つ年下なんですけど、聞いてきたものが、SSTとかディスコードとかのなんですよね。彼曰く、「ライト・オブ・スプリングやマイナー・スレットにハマッていた」って言うんですけどね。

 

 

それが証拠に

 

 

20代の時には、のちにアット・ザ・ドライヴ・インのメンバーになる人とバンドやってました。この映像でベース弾いてるのが彼です。

 

それから20数年の今は

 

 

 

永遠のアウトロー・カントリーのウィリー・ネルソンの支持を得て、ステージで共演しました。カントリーって圧倒的に共和党支持が多いんですけど、その中においてウイリー・ネルソンって筋金入りのデモクラットで、70年代の彼の全盛期の時からジミー・カーターを始め、ビル・クリントンやオバマなどずっと民主党推しだったんですけど、今回、こうやってベトを推してます。

 

 ベトは今回の活躍で一躍2020年の大統領選の民主党の候補の一人に名前挙げられてますね。まだ、他の候補のこともあるし、それぞれのバックグラウンドをしっかり確かめたわけではないから軽はずみなことは言えないんですけど、ロック好きとしては愛さざるをえない人なのは確かです。僕的には同じ、オルタナティヴ・ロックの世代なんでね、特に。

 

 

 

 それから、僕が本当に大好きなコメディアン、ウィル・フェレル、彼もかなりのデモクラットなんですが、彼はジョージア州知事選に出馬した黒人女性、ステイシー・エイブラムスの支持を表明し、この動画のようにジョージアで抜き打ちでお宅訪問して、キャンペーンをやってました。ウィルって出身、カリフィルニアなんですが、思うところあったんでしょうね。

 

 さらに、黒人女性候補ということもあり、

 

 

当然のようにオプラも動いて、一緒に壇上に立って支持を表明しています。オプラの場合、彼女自身が民主党の大統領候補になればいい、という声も上がるくらいの人ですけどね。

 

で、このステイシーさん、まだ43歳と若く、共和党地盤の強いジョージアで、かなり健闘しましたが一歩及ばず。ただ、ここも善戦したことは評価されてます。さっきのベトもそうですけど、テキサスやらジョージアで勝つくらいになると、民主党、今後に向け、かなり強固な地盤固めになりますからね。だいたい、あの党、基盤が海岸沿いに集中してますからね。

 

 

ただ、今回の選挙が注目されたのって

 

 

テイラー・スウィフトがテネシーの上院選でフィル・ドレスデンを推薦したことで、とりわけ若い層の投票が促進された、ということにあるんですけどね。

 

テイラーって、これまで政治的意志表示を一切しないので、勝手に右翼説やらトランプ・サポーター説が上がっていたんですけど、それが覆されたことでも話題になりましたね。ただ、この写真を見るからに、ドレスデンとのつながりはかなり前からあったっぽいですね。このテイラーのファッション、2010年くらいのものですからね。

 

 

 

こうやって「投票しろよ」と呼びかけるハリウッドの人たちもいたわけです。上はジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラント、下はライアン・レイノルズとブレイク・ライヴリーの夫婦。「エミリー・ブラントってイギリス人なのに投票権あるの?」と思ったんですが、彼女、国籍、二重っぽいですね。そんなことはさておき、彼らだけでなく、すごくたくさんの人がこう言う呼びかけしてましたね。

 

 エンタメの人たちのこう言う行動に、最近は眉をしかめる人が多いことも事実ではあります。「オマエらがうるさくサポートするから、その反動で負けるんだ」みたいな意見もあります。でも、僕はそうは思いません。選挙で勝つか負けるかというのは、その時の時代的な問題であり、セレブとかロッカーがどういったからというのは本来関係ないですから、負ける時は、どうやっても負けるものです。実際、「ロックが一番暑かった」なんてよく言われる1969年から70年代の前半って、アメリカだとニクソンの共和党政権だし、80年代のイギリスも、すごくプロテスト・ソング、たくさん生まれた時期ですけど、マーガレット・サッチャーのトーリー(保守党)が10数年、政権握って動かなかったわけだから。

 

 

 勝とうが負けようが、「抑圧的な政治家と戦った」という記憶を後々にまで覚えさせることが、根本的には大事だと僕は思いますからね。僕は本来は政治的にはかなりのん気な方です。どの党が政権握ろうと、「基本的人権」が守られていると思う限りは、そこまで政治のことは語らないし、関心持ってなかったのがこれまでの人生ですからね。

 

 

 ただ、昨今、その「守られてあたりまえ」だと思っていたものが、世界のいろんなところで脅かされることになってきたなと思っているので、そんな抑圧をしかねない政治勢力には「NO!」を突きつけたい。そういう気持ちはやっぱり自然に出てきますよね。「セレブだと、それがどうしても左寄りになる」と文句言う人もいますけど、それであたりまえです。だって、職業選択の時点で、一般の会社とかに就職しないで、自分の芸術的才能だけを信じて安定しない生活に飛び込むような人たちですよ。保守になりようがないじゃないですか(笑)。そういうとこでも、「理解してやれよ」と僕は思います。

 

 

 あと、ブラジルの大統領選で、極右大統領の台頭と、それを支持するワケのわからない連中の意見をたくさん聞かされるような体験すると、海の向こうからアーティストやセレブやらが国籍関係なく、「あんな政治家はダメだ!」と結構な数の人たちが言ってくれたのって、やっぱ、かなり嬉しいものなんですよ。あれ、誰かしらは必ず励まされるものなんですよね。元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズなんて、大統領選期間中に2週間くらいずっとブラジル・ツアーしてて、行く公演地の先々でその極右大統領候補のボウソナロの批判をステージで毎回やっては激しいブーイングにもあっていましたけど、でも、逆にロックのマインド持った人たちとの心のつながりはより強固になったし、その人たちには一生の思い出になるわけですからね。僕もウォーターズでなく、ニック・ケイヴのライブで同じ体験しましたけど、やっぱり、絶対忘れられないもん。自分がいざ、苦しい立場に置かれた時にやられると、こういうことってわかりますよ。

 

 

 今回の中間選挙があると、国際的に見て次に大きな選挙は2020年のアメリカの大統領選ですね。それまでは議会の早期解散でもない限りは、選挙はないので、あまり政治的な話をする機会もないでしょうけどね。プラス、そうした話をあまりしなくていいような状況も望みたいですけど。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:社会, 11:35
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思えば「Xメン」も「猿の惑星」も人種差別問題の産物だったな

どうも。

 

 

ちょっと語りたいことが2件ほど出て来ましたが、こちらから。

 

 

 

もう、ご存知の方も多くいらっしゃるとは思いますが、アメリカのヴァージニア州シャーロッツヴィルで、極右の集団の行進が行なわれました。もう、こういうのに参加した人たちの顔も見たくないので、こういう風に引きの絵で見せてますけどね。彼らの主張と言うのが、反黒人、移民、LGBT、ユダヤ人とかで。

 

 

僕自身、アジア人が人口の2割いないところに住んで7年も経ちますからね。こういう、マイノリティが差別を受けることには許せない、というか、こういう感覚のことに関して言えば、もう、幼い頃から一貫して許せないですね。

 

 

自分にとって、何がそうした差別を許せない心が出来たのかな、とハタと考えた場合に、僕の場合はやっぱり、音楽とか映画の力が大きいですね。ほら、日本の高校の世界史って、20世紀の歴史、すっとばすじゃないですか。だから、学校で得た知識じゃないんですよね。それよりは、自分が好きで聴いてる曲とか、映画とかで。

 

 

最初は世代的にはこれでしたよね。

 

 

 この1985年の「サンシティ」ですよね。これは南アフリカ共和国でのアパルトヘイトに反対したアーティストによるプロテスト・チャリティ・ソングでしたけど、このときにネルソン・マンデラのことも知って。そのことはマンデラの追悼記事のときにもここで書きましたけど、ただ、あのときは、「もう、こうした人種差別の問題は、文化の発達していないところで起こるものなんだ」とばかり思っていたら

 

 

今から25年くらい前ですね。このスパイク・リーの映画で、90年代に入るか入らないかの時点での黒人たちの置かれていた状況のリアリティを彼の諸々の映画で知り、65年に実施にこぎつける公民権をどのような過程で実現にまで到らしたか、そこに到るまでにいくつの命や血が流れて来たか、ということも知った次第でした。ちょうど1992年に起こったロスの黒人暴動の際に僕も興味を持ちましたからね。

 

 

 で、このときに、ちょうどパブリック・エネミーとか、NWAとか、黒人たちの怒りと現実を乗せたリリックのヒップホップにも触れ、同時に公民権法施行前後からのサム・クックの「A Change Is Gonna Come」からはじまって、スライ&ザ・ファミリー・ストーンとか、カーティス・メイフィールドとか、マーヴィン・ゲイの「What's Going On」もそうですよ。ちょうど、こうした問題意識でいた1993年の11月に、僕がNHKで自分で台本書いた最初のラジオ番組が今言ったような曲をかける番組だったんですね。それもあるから、なおさら、こういう問題には黙ってられないんですよね。

 

 そうした問題を遡って調べて行くうちに

 

 

 ああ、これも写真見るだけで気分が悪くなります。今から102年前の1915年に、DWグリフィスという監督の「国民の創世」という映画がありまして。このグリフィスという人は、映画技法的には「映画の父」と呼ばれる、この当時としては画期的な映像編集を編み出した人で、それがモンタージュ手法と呼ばれるものなんですが、この映画はそれがはじめて大々的に使われたことで歴史に残るものになっているんですが、問題と今もなり続けているのはこの中身です。だって

 

 

KKKが黒人を一方的に黒人を討伐するのを英雄として描いてるんですから。

 

 

 しかもそれが、単に黒人の出演者が白人女性に恋心を示した、とか、そのレベルで暴力ですよ。これ、初めて見たときにものすごく気分が悪くなって、「見なきゃ良かった」とさえ思ったのを今でもハッキリ覚えています。

 

 

 それがほぼ一世紀前でしょ?そこから公民権が施行されたのがちょうど50年後の1965年。その頃にさきほども言ったような「ブラック・パワー」のムーヴメントが起こってそれがソウル・ミュージックの歌詞の意識を社会的に昂揚させていったし、映画でもシドニー・ポワチエがハリウッドのAリストの主演級スターになって社会的問題作にたくさん出はじめたような時期ですが、

 

これらも

 

 

この「Xメン」とか「猿の惑星」だって、公民権運動の産物ですからね。

 

「Xメン」はまさに1963年と、公民権運動まっただ中のときにスタン・リーが意識して作った話は有名です。ミュータントは「黒人」、人間を「白人」に見立てた話で、プロフェッサーXがキング牧師で、マグニートがマルコムXだったんですよね。

 

 

また、「猿の惑星」に関しては、厳密に言えば公民権ではなく、フランス人の作家のピエール・ブールが第二次大戦中に日本軍の捕虜になったことをアイディアにしたストーリーだったんですが、映画がハリウッドで制作されたのが1968年。その際に、「猿が人間を下等な生き物として差別して扱う未来」として描かれた際に、これがハリウッドのあるアメリカだとどうしても「黒人と白人の立場がいつか逆転する社会」として見られてしまった。しかも、虐げられる人間を演じたのがチャールトン・ヘストンでね。この人、いわゆる史劇のヒーロー役が代表的な役者で、しかも異人種を討伐する役が多かったんですよね。しかも、私生活では銃推進者で。どう考えても、当時のアメリカの白人の象徴的な役者だったから、そう見えたのはなおさらだったでしょうね。

 

 

 そうしたことがあって、25年後に再度、さっき言ったような「世の中、良くなってないじゃないか」という厳しい現実の突きつけがあって、その次の25年のあいだには黒人の社会進出がかり進んで、ついには黒人大統領まで生まれるようになった。

 

 

にも関わらず

 

 

まだ「Black Lives Matter」と黒人側が叫ばずにはおれず、こんなKKKまがいの行進が行なわれるというのもなあ・・・。

 

 

 しかも今回、その矛先が黒人に限ったことじゃなくて、なんかナチも一緒になっちゃってユダヤ人とか、LGBT、さらに中南米の人たちまでくっついてるわけでしょ?アジア人だってウカウカしてられないですよ。アメリカのIT産業からアジア系減らそうって話もあるくらいですからね。

 

 

 ナチとか、ユダヤ人へのホロコーストとかに関しても、

 

 

 

いうまでもなく、「独裁者」なり「シンドラーのリスト」なり、もう、戦争映画の題材的には本当にキリがないくらいにあるものです。

 

 そして、近年では、毎年のようにLGBTの傑作映画も生まれてますよね。今年のオスカー取った「ムーンライト」にせよ、その前の年の僕のすごく好きなトッド・ヘインズの「キャロル」とかもそうですけどね。あと、黒人問題におけるソウル・ミュージックやヒップホップのみならず、LGBTのアンセムもすごく強調されて言われるようになってきてますよね。なんか、長く取り留めもなくなって来てはしまいましたが、シメはLGBTのアンセムとして知られつつも、曲のタイトル聞いたら、「あっ、すべての問題に当てはまるな」と思える曲の動画でシメましょうかね。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:社会, 05:05
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