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「ライブが伝説として受け継がれて欲しい現存するアーティスト」を選んでみたらキリがなくなった

どうも。

 

 ちょっと今週までは、先週行ったライブの余胤に浸った内容で生かさせてください。

 

 でも、そうなるのも無理はないですよね。だって、

 

1週間のうちにポール・マッカートニーとU2のライブ、同時に見たんだから!

 

 ロック史における伝説を一気に2本見たわけです。こういう風に思ってもしょうがないと思っています。

 

 

 でも、これこそがロックの誇るべきところなんですよね。ただ単に音源で伝説になることもあるけど、さらに本物のアーティストはライブで聞かせても人間業を超えている!それに関しては、20世紀後半に人類が作った最大のアートだと僕は思っているし、それに魅了された人が全世界で何億もいたからこそ、世界中でライブハウス、スタジアム、フェスでロックを楽しみレジャー・カルチャーだって育まれてきたのです。

 

 

 僕がポールやU2を見て「伝えたい!」という衝動に駆られたり、「彼らはもう結構な年だけれど、こういうレガシーはちゃんと後世に伝わっているのか」とすごくあせらされる気分になるのは、こうした優れたアーティストの生み出してきた生での奇跡的な表現の歴史や伝統が受け継がれなくなったらどうしようという焦りがあるからです。だから、ボウイやプリンスが昨年亡くなった時もとにかく焦ったのです。

 

 

・・と、ここまで書いてきて、「ライブを後世に残したいアーティスト」というものを選んでみたらですね

 

 

リストが軽く30くらいになって止まらなくなってしまいました(笑)。

 

 やっぱ、こういうのはいざやってみると、「ああ、あれが外れた」「これも選ばなきゃ」というのが出てくるので本当に難しいです。

 

 なので、すみません。今回は、僕がライブを見て好きな瞬間の動画を貼って、お茶を濁します(苦笑)。

 

 

 

 やっぱ、こういうのが残って欲しいというか、受け継がれて欲しいというか。最近のを多めにしたのは、やっぱ「伝説は気がつかないうちに生まれているよ」ということが言いたいのでね。最近のだったらQOTSA、フローレンス&ザ・マシーン、ロイヤル・ブラッドも考えたんですけどね。みんなキャリアを長くして、なくなることが惜しまれるようになって欲しいなあ。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 18:34
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U2、スプリングスティーン、パール・ジャムは日本でライブを見せて正当に評価させるべきだ

どうも。

 

 

いや〜、まだ余韻は続いていますよ。

 

 

 

U2!

 

本当に素晴らしかった。彼らのブラジル公演も、昨日終わったばかりで、サンパウロ市民的にもU2ロスが確実に残った感じですね。何せ、いくらサンパウロのみの4公演と言っても、1回につき6万7000人の会場、4日とも即完にしたわけですから!

 

 

 この感じだと、次のツアー、また来ますね。

 

 

 ただ、同時に、こういうことにも気が付きました。

 

 

 U2、日本にもう12年、行っていない!

 

 寂しいですよね〜。

 

 調べたらですね、U2のブラジル公演って、今回で5回目なんですよ。でも、最初に来たのは1998年なんですよね。同じ年に日本でツアーで行ったのは通算4回目。U2って昔から

 

 

 

この放送、僕も中学生で見てましたけど、この「夜のヒットスタジオ」の出演が、日本への印象を悪くした説があって、彼らのにほんへ行く足を鈍らせてるという話があります。でも、1983年以来、なんだかんだで日本に行ってはいたんです。

 

が!

 

21世紀突入以降、ブラジルには4度行ってるのに、日本には1度しか行っていない!!

 

 

これは本当に問題だよなあ〜。

 

 

 そして、これ、別にU2だけに限った問題でもないんですよね。だって

 

 

 

 

パール・ジャムも2004年以来、日本に行っていない!

 

彼ら、ブラジルだと、2010年代だけですでに3度、来年もくるの決まってるから4度も来るのに!

 

さらに

 

 

ブルース・スプリングスティーンも20年、日本に行っていない!

 

 しかも、1997年に行ったのは1人だけの弾き語りですよ。バンドを引き連れたライブだと、32年、行ってません!

 

 これもなあ〜。彼の場合はブラジルでも、そんなに人気はないんですが、それでも2013年にきてくれ、サンパウロとロック・イン・リオですっごい熱い、高水準のライブやってくれて、ブラジルのメディア、大熱狂でしたからね!

 

 

 これ、ぼく思うにですね、来ない大物ロック・アーティストの共通点みたいのがある気がするんですよね。

 

 

 それをまとめると、こうですね。

 

 

)槓のライブをする

△修離薀ぅ屬、年輪を重ねれば重ねるほど凄みを増している

アートっぽい雰囲気とか、斜に構えた雰囲気がなく実直

た箸硫鵑蠅里海箸ら、時に社会的なことも歌う

 

 

やい亡悗靴討蓮∨佑發錣らないではありません。というのも、ある時期から日本のロック・メディアが参照にしているイギリスのNMEのような音楽メディアにこういう要素を軽視する傾向が強いから。特にブリットポップ以降、この傾向、強いですね。グランジでも、ニルヴァーナだけを推したがるような傾向を取ってもそう。やっぱり、どこか世をはすに構えたオアシスみたいな感じとか、レディオヘッドみたいな究極のアート思考で進歩的な何かを示してくれる存在とか、そういうタイプが好きなんですよね。僕も、こういう趣味はこれはこれで好きなので特に文句を言う気もありません

 

が!

 

それでも、U2、スプリングスティーン、パール・ジャムって、イギリスでも一般的にかなり人気はあるんだよなあ・・。

 

 

 それがなぜそうなるか。その答えとなるのが、やっぱり,任△雖△覆鵑任垢茵△笋辰僂蝓彼らの場合、ロックバンドとしてのアンサンブルの安定感と、力強さが若い時から頭2つ3つ抜けてます。だから、若い時分から固定ファンがしっかりついてるし、さらに自己メンテナンスがすごくしっかりしてるので、年を重ねても貫禄あるライブをしっかり披露できる!

 

 

そこのところが、ただ単に、「雰囲気のイケてる」感で人気が出たバンドとの差になって、年取った時に出てくるんですよね。で、結局、年取れば取るほど強くなっていく。

 

 

 あと、日本人のロックファンの場合が、本国イギリスのメディアよりも、そうした外面上のイメージを重視しすぎているようにも感じますね。あまりにもファッション的機能性を優先しすぎている気がするというか。僕も、ある程度は意識すべきだとは思うんですけど、ちょっと行きすぎかな、と。

 

 

 なので、結局、さっきあげた3つのアーティストって今、「固定ファンが見えない」→「だから、日本でライブやっても外国のように客が集まらないようで怖い」→「結局、来ない」という悪い循環ができて、その結果、

 

 

彼らの若い時を知ってるファンだけが残って新規の若いファンもつかない、

 

 

という状況になるんだと思います

 

 

でもなあ〜、そこを踏ん張って

 

 

「レジェンドだから」で無理やり押し切って招聘する努力も必要!

 

だと、思うんだけどなあ。

 

 

 だって、彼らみたいな人たち呼ばないと、何が本当に素晴らしいロックのパフォーマンスなのか、その審美眼が確実に鈍る、かつ、偏ったものになりかねませんからね。

 

 

 ここはひとつ、

 

20000年代にザ・フーやAC/DCを呼んで日本でも評価を上げたようなこと、そろそろやるべきじゃないの?

 

 とは、思いますねえ、やっぱ。

 

 この2つも、「世界屈指のライブ・アクト」と数10年呼ばれていたのに、フーは2004年になるまで来日がなく、AC/DCも20年近く日本に行かなかった。だから、「日本では人気が出ないバンド」のレッテルを勝手に貼られてたんですけど、でも、1回呼べば、2つとも割と若い層に聞かれるようになって、横浜アリーナだ、埼玉スーパーアリーナでライブできたりするようになりましたからね。そこはやっぱり努力ではないかと。

 

 

もっともU2に至っては、潜在的な人気は日本でもあるわけだし、12年前はスーパーアリーナで3公演とかやってるわけですからね。昔はドームでもやってるし。恐れることはないはずなんですけどね。

 

 

 

 洋楽ロックを見る目の多様性養う意味でも、さっき言った人たちの来日公演は実現させるべきです。 

author:沢田太陽, category:評論, 12:42
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ヒップホップに関する微かな不安と、R&Bへの期待の高まり

どうも。

 

 

今日も昨日に続いて、ここ3ヶ月のベスト・アルバムに付随する話です。

 

 

 今年に入ってから、というかもうここ数年ですね、ヒップホップがすごく調子がいいことになっていますね。アメリカのヒットチャートを見る限りにおいては、今が何度目かの最高潮にあるかのようにも見えます。

 

 

 僕自身もやっぱりそれは評価してますよ。10年ひと昔前はもう完全に業界がクリエイティヴィティじゃなくてビジネス一本やりみたいになってたから、その頃はよく友達と、「ヒップホップではインディみたいなものは存在できないのかね」という話を実際によくしてましたね。「この世界でカート・コベインみたいなヤツって、出る可能性ないのかな?」とかね。そうしたら、「そういうの出てきたら、殺されるんじゃないですか?」なんて返事が返って、それがオチになるようなとこもありましたね。

 

 

 ところがそのヒップホップ盤石状態が2000年代の終わりから10年代の頭にかけて陰りが見えて落ちてきて、EDMに人気の音楽の座を奪われた時くらいからようやくインディというか、アンダーグラウンドで展開されてたものが注目を浴びるようになってきて。それは西海岸のコンプトンのケンドリック・ラマーだったり、同じくウェスト・コーストのタイラー・ザ・クリエイターだったり、東海岸のASAPクルーだったり、カナダのドレイクの一派だったり、シカゴのチャンス・ザ・ラッパーだったり、アトランタ周辺のトラップの一派だったり。そうした、地道にやってきてた人たちが、むしろこれまでヒップホップに興味なかったような人たちの後押しも受けてより広く盛り上がってきた。2013年くらいから今の流れって、そんな感じだったと思うんですね。去年からはそこにロンドンのグライムの新世代も入ってきたりもしてね。

 

 

 基本的にそれは今も引き続いて起こっている・・・かのように見えます

 

 

が!!

 

 

なんかですね、

 

 

「悪貨が良貨を駆逐する」みたいなことがもう起こり始めているんじゃないか・・・。

 

 

 そんな不安がここ最近、僕の中でよぎってきています。

 

 

それが何なのか。ちょっと指摘していくと

 

 

,笋燭蕕肇薀奪僉爾肇廛蹈妊紂璽機爾1枚のアルバムに詰め込みすぎ

 

 僕が今、いちばん危惧していることがあるとすれば、ズバリこれですね。真面目な話、今年出た新作で売れたヒップホップにこのテの作品がなんか目立つんですよね。

 

 それはラッパーを2枚組で20人くらいつぎ込んでしまったDJキャリドもそうだし、ラッパーでもフレンチ・ンタナとかミーク・ミルみたいな、10人以上ゲスト・ラッパーをつぎ込んだ作品があって、そういうのに限って売れてるとかね。フレンチ・モンタナとか、2コーラスめになるまで本人出てこないで、聞いてて「えっ??」ってなったりしますからね。

 

 

 あと逆に、アルバムを構成する曲が、あまりにも1曲1曲で違うプロデューサーが付きすぎてるのも気になります。まあ、トラップの人たちは、「たくさんクリエイターがいる中で競争させる」的な意義を感じるものも中にはあったりもするんですが、それが感じられず、「ただ人気のある人を漫然と集めてるだけじゃん」と思えるものもあったりとかね。

 

 

 そして、こういうアルバムの作り方をしてると、そのうちアルバム1枚を自分で作る体力、なくなっちゃいますよ。

 

 

 だから、僕は

 

 

 

Jコールとか最近のジェイZみたいな、ゲスト極力少なめで、アルバム一枚通して同じクルーで作るようなアルバム制作を行っている人にすごく惹かれます!

 

 Jコールなんて2枚連続でフィーチャリング・ゲストなしのアルバム作ってますからね。そうやって、ごまかしのきかないところに自分を追い込んで作る、というのはすごくいいことです。このJコールの方法論をプロデューサーのNo.idが見習って作ったのがジェイZのこないだのアルバムである「4;44」だったりもしますからね。ちょっといい時代でバブルっぽくなりかけている時期だからこそ、僕はそういうのを評価したいです。

 

 

▲瓮妊アがアイドル的なラッパーを推しすぎ

 

 あと、インディのメディアは、ちゃんとアンダーグラウンドのシーンとか、音楽的な面を見てニューカマーをおしたがるものですが、そこがヒップホップのメディアが必ずしもそうじゃありません。

 

 

 特にこうやって、ヒップホップのメディアが「ニュー・スクールの期待のラッパー特集」で紹介したようなラッパーであればあるほど、なんかあんまり信頼できないものの方が目立ちます。なんかアイドルっていうか、「歳の若さ」ばかりをアピールした感じのラッパーが目立ちますね。

 

 

 今年もこういうものの中から、コダック・ブラックとか、リル・ヨッティとか売れましたけど、彼らって若い層にはいいんだけど、どうやらヒップホップのリスナーの中にも世代差はあってですね。年が上のヒップホップのファンが若い子をバカにするときなんかに「お前はコダックとかヨッティでも聞いてろ」みたいな言葉を使っていて結構僕も目にしましたね。

 

 

 そして、その決定版がこれですよ。

 

 

 それがこのエクスエクスエクスタシオンだったりするんですけど、もうっ、大っ嫌いです!

 

 何が嫌かって、聞いていただくとわかると思うんですけど、もう全然ヒップホップでもラップでもないんですよ。アルバム全体がアコースティック・ギターかピアノによる正味2分くらいの曲の集まりで、ラップより圧倒的に歌が多い。しかも、どこかの部屋でただ録音しただけの劣悪な音でね。こんなのミックステープならぬデモ・テープですよ!

 

 

 で、彼が話題になったのは、自殺だか殺されたカノについての曲を歌ったからで、それが「リアリティある」とかなんとかで、ただそれだけで「ニュー・トゥパック」みたいな言われ方までしてね。トゥパックの一体何がわかってるって??しかも、彼は別にトゥパックみたいなフェミニストなわけでも何でもない、女性への素行にも非常に問題があったと言いますからね。

 

 なんか、こういうのは、ソーシャル・ネットワークが流行る中で、表面的なとこだけで「おお、すげえ」と騒ぐ子供たちの悪いとこが出た感じかな。まあ、ヒップホップに限らず、80年代のニュー・ウェイヴとかメタルとかも人の事言えたものじゃないですけど、子供主導だと、ひどい流行りも生まれちゃいますからねえ。

 

 

「水で薄めたホワイト・ラッパー」の出現が増えそう

 

 あとドレイクの登場以降、顕著になった動きとして「ボーダーレス化現象」、これがあると思います。

 

 彼によって、ヴォーカルなのかラップなのかだとか、ジャンルとか、時間軸とか、そういうバリアーがすごくとき放たれた感じになったと思うんですね。それ自体はすごく歓迎すべきことだと思うんですが、それによって

 

黒人以外の人種の人でもヒップホップに参入し易くなった

 

これ自体も良いと思います。

 

が!

 

節操無く成りすぎて、根無し草的にもなりやすい!

 

「これが起こる危険性はあるよなあ」と少し前から思っていました。

 

そしたら、出てきましたよ、こういうのが。

 

 

 

このポスト・マローンですね。なんか彼は僕、ちょっと「う〜ん」というか。

 

なんかですね、すごく「水で薄めた」感が強いというか、デジャヴ感が強いというかですね。あと、彼の場合は界隈ではその出自が嫌われてますね。彼は裕福な白人家庭の出身で、親が音楽界への進出に投資してキャリアの道を開いた、という話ですね。そういうとこを捕まえて彼のことを「ヒップホップ界のドナルド・トランプ」という人もいるほどです。

 

 

 まあ、別に思想がそういうものではない(というか、それだったら受け入れられない)と思うし、そこはキッド・ロックではないと思うのでよいとは思うのですが、なんか、同じ白人ラッパーでも、マック・ミラーとかロジックの方が「黒人の世界の中で這い上がってきた白人ラッパー」的なイメージをまだ感じるんですけど、この人にはそういうものがほとんど感じられないというかですね。

 

 ただなあ、確かに全てがボーダーレス化した状況だと、「音楽的にいろんなことに対応する幅広さ」でいうと、白人の方がバックグラウンド的に有利なのは確かなんだよね。ブラック・ミュージックしか聞かない黒人が多すぎるのもまた問題なんですけどね。例えばロックとかカントリーとかのレファランスとっても白人の方が黒人よりは自然にできちゃうわけでしょ。そうなると、確かにこういうのでやすいよなあ、とは思うんですよね。

 

 

 ・・と、こんな風にヒップホップに対してはちょっと不安もあるんです

 

が!

 

R&Bに対してはすごく期待感を持っています!

 

 

R&Bの方はですね、こっちは結構長いこと、キツいなあ、難しいなあと思ってたんですね。というのもあまりに「アーバンR&B」というのがフォーマット化しすぎてて、同じようなマンネリな感じになっていて。「なんだ、歌い方まで一緒じゃん」という風に思って、2000年代の終わりに、例えばニーヨーのことなんかは見てましたね。面白いと思ってたの、エレクトロをバキバキに入れたリアーナくらいの時期が結構長かったし。

 

 

 それが、さっき言ったドレイクとかウィーケンドが出てきたあたりから、ちょっと作風変わってきたなあ、と思ってはいたんですけど、その時期だけだとまだ彼らくらいしか面白いのもなくて。あと、ロック、エレクトロ畑の人を使い出して面白くなったビヨンセか。そのくらいかなあと思っていたんです

 

が!

 

去年、この二つが出てきて、というか、その前からもちろんいましたけど、1年で揃って2枚出たことで面白くなってきましたね。

 

 

 

このフランク・オーシャンとソランジュのアルバムですね。

 

 

 フランクは2012年に出てきた時から、孤高なまでに突出した作りしてましたけど、このアルバムがまた格別に進化した感じでしたね。R&B聞く面白さの中に、「曲のコード感」というのもあるんですけど、例えば70sなんかはこういう楽しみ方、できたんです。聞いてて、「う?このメロディとか、後ろのピアノのコードとか、ちょっと変わった感じだけど、なんだろう」と気になる感じ。特にスティーヴィー・ワンダーとかアイズリー・ブラザーズ、白人でもスティーリー・ダンだったりトッド・ラングレン、ローラ・ニーロとかを聞いたら感じたもので、実際調べてみたら、メジャー・セブンスだ、分数コードだ、とやっぱ通常と違うことやったりしてたりするんですけど、フランク・オーシャンの曲って、久々にそういうことを探りたくなるような非常に凝ったR&Bなんですよね。彼はセヴンスと、フラットが主体となったコードを使うのが好きなことはネットで譜面サーチしてわかりましたけどね。彼もサウンド的には、時間軸もジャンルも全部飛び越えるというかそういうタイプなんですけど、それに加えてこのコードの凝り方ですからね。すごく労力使った、入り組んだR&Bを作ってきます。

 

 

 また、ソランジュもそういう感じですね。彼女は元来、60sとか70sのトラディショナルなソウルが好きなんですが、同時にニューヨークのインディ・ロックのシーンに遊びに顔だして友達になって。だからここでもTVオン・ザ・レディオとかダーティ・プロジェクターズとか参加してるんですが、それと、90sのR&Bで、僕がさっき言ったような「コード感」みたいなとこに一番凝ってたタイプのアーティストであるトニ!トニ!トニ!のラファエル・サディークを共同プロデューサーに迎えるセンスの良さですよ。この時のアルバムも、クラシック・ソウルとエレクトロとインディ・ロックが交錯した絶妙な出来でしたからね!時代もジャンルも、曖昧になんとなくではなく、すごく咀嚼しまくって(そこんとこがさっき言った安易なドレイク・フォロワーと違うとこ)新しいの作ってる感じがします。

 

 

ぶっちゃけ、この2人から、R&Bの方向性がガラリと変わってきた。最近、そんな風にも思います。

 

 

 それが今年に入ってから

 

 

 

こういったあたりを聞くと、「最近のR&Bは変わったなあ」と改めて思いますからね。

 

 

そして、この流れで、最近特に気に入ったのはこの二つでしたね。

 

 

 

一昨日から話してるジュネイ・アイコですね。これなんかはさっき言った「コード感」の面白さがすごく強く出た曲。アルバムもだいたい、こんな感じで、もっと評価されないかな、と思ってます。

 

 

 

 

でも、驚異だったのは、このモーゼズ・サムネイですよ!!

 

 これ、R&B突き抜けて、去年のレディオヘッドのアルバム並みの凝り方ですよ!なんかストリングスのサイケデリックな使い方とエレクトロの混在のさせ方とかですね。あとヴォーカルがジェフ・バックリーとかシガーロスの領域に入ってますしね。この人、一体何者なんだろうと思ってるとこです。カリフォルニアの人なのはわかってるんだけど、いまひとつ素性がわかんなくてですね。

 

 

 

 

あと来年に向けては、このカリ・ウチス、とフィーチャリングで出てくるジョージャ・スミス、この2人に非常に期待してますね。

 

カリ・ウチスはアメリカ在住のコロンビア人で、最近流行りつつあるラテンのエッセンスを入れるのがうまいし、ジョージャはUKR&Bの人なんですけど、彼女も非常に越境的センスがあるというか、すでにその才能をドレイクの目に付けられてて、付き合ってる説までありましたが、続いているのかな。2人とも来年の大きなリリースになると思うので要注目です。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 14:05
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最近、活字批評媒体よりBBCラジオの方が気になる理由

どうも。

 

 

今日と明日に関して書くことは、昨日書いた「7月から9月の10枚のベスト」というのに密接につながることでもあるので、改めて見返してもらえると嬉しいです。

 

 

 僕の最近の音楽の日常ですが、もう、もっぱらストリーミングですね。ここのところはもっぱらDEEZERとTIDALの併用で、Apple Musicの頻度が激減しています。解約してSpotifyを第3のサービスとして使おうかな、などとも考え始めています。

 

 

 ただ、それに加えて今回大きいのは

 

 

 オンラインでBBCラジオの放送を聴き始めたことなんですね。

 

 

「もうCDの時代でもなく、ストリーミングの時代なのに、ラジオなんて聞いてるのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに昨今、ラジオの熱心のリスナーが洋楽のマニアックなファンというイメージは日本ではちょっと考えにくいシチュエーションですよね。

 

 

 でも、欧米圏って、ラジオの影響力が強いんです。それは僕の住んでるサンパウロでもそうだし、他の国でもそう。ロックの専門局なんて、主要な市にはだいたいありますからね。アメリカなんて、ここ最近、影響力のあるロック局が亡くなったことがロックの失速招いているくらいですからね。

 

 そこに行くと、なんだかんだでロックのヒットが出続けているイギリスというのはすごいです。なんせ、BBCだけで6局ラジオがありますからね!

 

 

 その内訳を言うと、BBCのラジオ1が一般の流行り物、2が大人向け。この2局先日、創立50周年を迎えました。そして3がジャズ、4がコメディとかドラマとか声ですね。5がニュース。そして6がインディです。

 

 

 特に6なら。

 

 

 このスティーヴ・ラマックの番組がやっぱり有名というか、人気ですよね。僕のブログをHard To Explain経由で聴いてる人なら、間違いなく好きなんじゃないかと思います。

 

 彼の番組は月曜から金曜の午後4時から7時までの3時間の帯でやってるんですけど、選曲がですね、もうインディ・ロック好きの見本というかですね、「ああ、こういう音楽の趣味した大人になりたい」と思わせるようなものです。ここ最近のセットリストだったら、ホラーズ、ベル&セバスチャン、ビヨーク、フー・ファイターズ、ウルフ・アリス、LCDサウンドシステム、ザ・ナショナルあたりは毎日のようにかかってましたね。これでいいのは、アルバムの発売タイミングの前から推し曲をバンバンかけてくれるから期待が高まるんですよね。そして、まだ一般的な存在じゃないアーティストでも、早いうちから推しのものはかかるから、すごく物知りになったような気分にもなれる。

 

 彼が最近、よくかけてるものの中には

 

 

 

 

 こういうニューカマーもあります。このバンド、ヴォーカルの女の子、日本の大学生ですけどね。しかもアメリカの東海岸だったかな。そちらの在住の人です。これが今のドミノ・レコーズの推しですね。これに限らず、「これから」という存在のものが、こうした番組ではかかります。

 

そうかと思えば

 

 

 こうしたスパークスみたいな大ベテランの曲もかかったりね。こうしたベテランは大人向けのラジオ2でもかかるんですけど、こうしたプロモーションもあるかtら、最近、ベテランのチャート・アクションがすごくいいんです。スパークスも43年ぶりの全英トップ10だったし、ゲイリー・ニューマンとか元ソフト・セルのマーク・アーモンドも、アルバム・タイミングの直前にBBCのゲストに出て、それが結果的にいいチャート・アクションを引き出したりもしています。

 

 

 こうした情報って、例えばピッチフォークとか、そういう音楽サイトを覗いているだけじゃなかなか入らないじゃないですか。しかも、放送というフィルター通して他の曲との比較で聴けるから、客観的な立ち位置もわかるしね。それがサイトだけだと、そういうことができないから、ちょっと聞きにくいタイプの曲でもなんとなく良く聞こえてしまう。そういうのが好きじゃないから、僕はあんまりそのテのサイトの推しって聞かなかったんですよね。サウンドクラウドあたりだと、ゴミみたいな曲も多いから時間が無駄になるような気もしてたし。やっぱ、信頼の置ける誰かのフィルターを通して、客観的な比較ができた上で新しいもの聴けるのはいいですよね。

 

 

 あと、ピッチでもいいし、コンシークエンス・オブ・サウンドとかステレオガムとか、そういうレヴュー系のサイト、確かに良いアルバム、紹介してはいるんですけど、レヴュワーの趣味が地味にマニアックすぎるからなのか、推奨されているものの何割かは「とは言っても、こんなの売れるわけないじゃん」みたいなものが結構多いんですよね。でも、やっぱり気になるから、一回はストリーミングをダウンロードして通して聴いては「ああ、やっぱり長く聴くとツラいね」みたいなアルバムも少なくない。ラマックの番組を習慣的に聴いてると、こうした手間が省けます。

 

 

 僕の場合、どうしても、80sのまだ日本のFMがバンバン洋楽を流していた時代に育ってるし、キャリアの初めがラジオの番組制作だし、後、ライブ番組とか、自分のライブ・イベントの主催とかやってきてますから、どうしても「より広いオーシエンスに聞かせてみてどうか」というのはどうしても考えちゃうんですね。それにはやっぱり、ある程度、曲はちゃんとしてて欲しいとか、そういう感覚がどうしてもあるというか。だから、こういうこと言うんですけどね。

 

 

ただ!

 

僕がBBCに今惹かれている一番の理由はラマックではありません!

 

 

むしろ、この人の番組です。

 

 

 

アニー・マック!

 

アニーは現在、月曜から金曜のBBCラジオ1の午後7時から9時まで、つまりBBCラジオ全体での最も聞かれるゴールデンの時間帯の担当なんですが、いや〜、彼女の番組、ストリーミング時代におけるラジオ番組の理想ですね!

 

 

 彼女の番組の何がすごいかって、かかる曲が完全なるノン・ジャンルなんですよ。インディもエレクトロもかかるし、そうかと思えばいきなりメタルコアに飛ぶ(何気に毎日かかってる)は、ヒップホップもかかる(というか結構比重として多い)はR&Bもかかるは。それを、彼女はプロの回す方のエレクトロのDJでもあるんですが、そうした本来ジャンルがバラバラな曲を絶妙にうまい具合につなげるんですよね。いや、これ、衝撃ですよ!

 

 

 彼女の番組、毎日聴いてたりすると、ちょっとした音楽の物知りになったような気分になります。かけてるものが本当に多岐にわたってるし、そこでの代表的なアーティスト覚えるのにすごく役に立ちます。こういうのって、ストリーミング・サービス聞くだけだと、どうしても自分の趣味の枠内だけでやるからプレイリストで聞こうったってジャンルの幅にどうしても限界があるんですけど、彼女の番組はそういうのを飛び越えてくれているから聞いてて楽しいし、つなぎがカッコいい。

 

 

 あと、ロシアン・ルーレット的な楽しみもあるんですよね。ラマックの番組だと、センス良すぎてそつがなさすぎて、逆にそれが聞いててつまんなくなる瞬間でもあるんですけど、アニーの場合、かける曲に外しも結構少なくない(笑)。およそ僕自身の趣味じゃない曲もやっっぱりかかりますしね。でも、そのリスクと引き換えに、今まで知らなかったものに対しての発見も多い。だからなんかすごくそそるんですよね。

 

 あと、やっぱり、ゲストのトークとか、さらにスタジオ生ライブ、そういうのはストリーミングじゃ体験できないじゃないですか!そういうのを売りにできるのもラジオ局の強みです。

 

 そこに行くと、アニーの番組での生ライブとゲストのセンスがいいんです。

 

 

 

 そもそも僕が何でBBCのアニ−の番組に行き着いたのかというと、「PVRISってなんで全英初登場でいきなり4位になったんだよ」と思って調べたら、直前にアニーの番組でスタジオ生パフォーマンスやってたからなんですね。それと同じタイミングでレディング&リーズのフェス出演してウケたのも大きかったようなんですけど、こういうのって、批評メディアとか雑誌だけ見てても絶対つかめないじゃないですか。

 

 

 それから

 

 

 全英初登場2位になったナッシング・バット・シーヴスも同じように直前にアニーの番組で生パフォーマンスやってます。そして、これが僕的には度肝でね!これ、ジェフ・バックリーの伝説の名作「グレース」に入ってる人気曲の一つのカバーなんですけど、これ、見事ですよ!ヴォーカル的に非常に難易度の高い曲目白押しのジェフ・バックリーの中でも、この曲は特に難しい曲なんですけど、ここのヴォーカルのコナー・メイソンはほぼ完コピですよ!これ聞いて、すごい実力の持ち主だなと思って、それが僕の高評価にもつながりました。

 

 こういう、ここでしか聞けない発見をさせている意味で、この番組、相当貴重ですよ!

 

 

 だから、ここ最近、ずっとベタに張り付いて聴いてるわけじゃないですけど、極力、この番組を聴くか、悪くてもセットリストを後からチェックするようにしています。昨日のトップ10に入れたジュネイ・アイコもこの番組聴いて「こんなに良かったんだ!」と発見して入れたものでもあるのでね。

 

 

 あと、BBCだったら6のローレン・ラバーン、2のジョー・ワイリーと、2人とも女性のDJですけど、彼女たちのも選曲いいですね。ローレンはブリットポップの時にケニッキーてバンドのヴォーカルやってた可愛い人ですけどね。

 

 

 BBCの番組、生で聞けなくても、後日ストリーミングが、確かオンエアの1ヶ月後まではできるので、ぜひ試しに聞いてみてください。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 12:28
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2017年7〜9月のマイTop10アルバム(順不同)

どうも。

 

 

今日はこれをやりましょう。

 

 

今年になって、3ヶ月ごとにやっています、10枚の個人ベストを10枚選ぶ企画。7月から9月をやりますけど、この3ヶ月は今年に入ってから間違いなくベストですね。では、早速行きましょう。今回も例によって順不同です。

 

 

 

Lust For Life/Lana Del Rey

 

 まずは7月リリースのラナ・デル・レイのこの4枚目から始まりましたね。彼女はゴシックなバロック・ポップ路線は最初からすでにしっかりと確立されているため変化は難しいところがあるんですけど、今回はウィーケンド、スティーヴィー・ニックス、ASAPロッキー、ショーン・レノンとの積極的なコラボで、R&B方面だったりフォーク方面に曲の幅を広げて、さらにトランプ政権下で感じる不安や憂鬱から、メッセージがポジティヴな生への希望に転じて曲の生命力が強まった。今、最も首尾一貫したオリジナリティを持つ多作家アーティストの彼女がワン・ステップ確実に進化したのを僕はすごく評価しています。

 

 

 

Science Fiction/Brand New

 

 この3ヶ月は、この前の半年とガラリと違って、ロックを聴くのが本当に楽しかったものですが、その口火を切ったのが8月18日にリリースされた、ブラン・ニューのこのアルバムですね。彼ら、今もファンベースはポップ・パンク〜エモ系なんですけど、2作目のアルバムからとにかく暗く、今回はSEに精神病棟でのクリニックの様子が組み込まれていて、曲調もほとんどピンク・フロイドとか、アリス・イン・チェインズとか、そういう淀んだ出口の見えにくい、緊迫した暗さが漂っています。半分くらいアコースティックなんですけどね。その張り詰めた心情を表現するのに、ギターのメロディとフレージングが絶妙な役割を果たしてるんだよね。ギター・ロックであることにすごく意味がある作品だとも思いました。

 

 

 

American Dream/LCD Soundsystem

 

 引退宣言撤回のジェイムス・マーフィーのLCDサウンドシステム7年ぶりのアルバムでしたけど、いやあ、全くブレない!さすがですね。彼とか、エイフェックス・ツインのアルバムを聴くという作業って、もう、その一音一音の音の高級素材を聴くこと自体がすでに一つの”体験”だったりするんですけど、その最高のエレクトロのグルーヴに乗る、切れ味鋭いポスト・パンク・ギターに、トランプ政権下の社会の保守化に警鐘を鳴らすブラック・ユーモアに溢れたポリティカルなリリック。なんか、25年くらい前にU2が「アクトン・ベイビー」でやってたようなことを今。ジェイムス・マーフィがやってる感じですね。こういうのが出てくると、ロックもまだまだ安心できるんですけどね。

 

 

 

Sleep Well Beast/The National

 

そしてLCD の翌週にはこのザ・ナショナルですよ。彼らは本当に遅咲きのインディ・バンドだったんですけど、それを逆手にとるように、中年男性の色気とダンディズム、セクシーさを表現できるバンドになってますね。そういうのが表現できた人って、歴史的に見てもそんなに多くないですよね。ブライアン・フェリーとか、ニック・ケイヴとか、そんなもんじゃないかな。それでいて、昔からのポスト・パンク的なキレの良さも健在で、そういう曲では、もうキングス・オブ・レオンとかインターポールみたいなバンドが初期に持っていたキレをまだ表現できてもいるしね。この2週前に出たウォー・オン・ドラッグスの新作があまりにもエイティーズ風のAORでちょっと拍子抜けしちゃったとこがあったんですが、やっぱ、「尖ると尖ってセクシー」ってことで言えば、やっぱ断然こっちですね。あと、相変わらずメロディとヴォーカルの説得力が素晴らしいです。それから、猫も杓子もエレクトロな昨今で、自分たちにふさわしい形でカッコよく電子音をキメてるのもカッコいいです。

 

 

 

Concrete&Gold/Foo Fighters

 

 そして、ザ・ナショナルが出た翌週がこのフー・ファイターズ。今回、フー・ファイターズは、弟分のジョッシュ・ホーミ匹いるクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジとリリースが3週しか違わなかったんですね。最近、もっぱら批評的にはQOTSAの方がフー・ファイターズよりは圧倒的に良い印象があったのでデイヴ、キツいかなと正直思っていたんですが、フタを開けてみたら、僕はこっちの方が圧倒的に好きですね。これ、ビックリしました!というのもQOTSAの場合、行き着いた方向性自体はすごく良くて、2007年の「Era Vulgaris」っていう、XTCがハードロックやったみたいな路線で良かったんですけど、曲そのもののキレがなんかもう一つかな、と思ったんですよね、今回。あとマーク・ロンソンがプロデュースでかんだ割にはその面白さがあんまり発揮されている感じがしなかったというか。逆にデイブの方が、アデルのプロデューサーとして名を馳せたグレッグ・カースティン使って、サビでハモッタリとか、エフェクトを多用してギターやベースをゆがめたりとか、いじりたい放題で、デイヴもそれを楽しんでるのが感じられて痛快でしたね。それでいて「The Sky Is A Neighborhood」とか「The Line」みたいな、歌い出しとサビがものすごくハッキリした彼ららしいアンセムもちゃんとあるしね。あ、カースティンのギターのアレンジが良くて、何げにスプーンみたいな、後期ビートルズ的な渋さも出てたりもして。なんか、これから後の彼らのターニング・ポイントにもなりそうな気がしてそこも好きなんですよね。

 

 

 

Vision Of A Life/Wolf Alice

 

 あと、出たばかりのウルフ・アリスのセカンド・アルバムですね。ここ最近、イギリスからビッグ・ムーンとか、マリカ・ハックマンとかいい女性ロッカー出てきてますけど、ここの紅一点のエリー・ロズウェルの方が一枚上だし、やっぱ華がありますね。生真面目な音楽性を難しく見せない技があるというかね。彼女、一本気でストレートなロックンロールができて、それが一つの売りにもできるタイプでもあるんですが、それと同時に、そこだけに凝り固まるでなしに、エレクトロを使った曲も十分にポップにこなすこともできる。なんか見てて、初期のPJハーヴィーが持ってた柔軟性を思い出すんですよね。今のご時世、どっちかに絞って才能発揮できる子ならいくらでもいるんだけど、それだけじゃやっぱり見てて限界感じるし、面白くないじゃないですか。エリーを見ていると、この先もまだまだ面白い方向に才能を広げていくことができそうな気がして楽しみなんですよね。

 

 

 

All We Know Of Heaven, All We Know Of Hell/PVRIS

 

 次の2枚はあんまり選んでる人いないと思うし選んだ僕自身が驚いています(笑)。まずはPVRIS(パリス)。この人たちは、メタルコアのバンド出してるレーベルの、ゴス系のエレクトロ・バンドなんですけど、本国のアメリカではそんなでもなかったのに。イギリスで2枚目のこのアルバムで4位のヒットになって注目されています。僕、これ、なんかすごくツボついてきたというか、なんか「ホールジー+ガービッジ+エヴァネッセンス」みたいな、なんかいびつなミクスチャーぶりがなんか気になるんですよね(笑)。後、ヴォーカルで曲も作ってるリン・ガンって女の子のヴォーカリストの歌いっぷりと、アンセミックなメロディメイカーぶりもすごく光るものがあってですね。なんか、スマパンの「アドア」あたりにありそうな曲を歌ってくるというか。そういう点ですごくスターになれる逸材だと思うんですけど、これがラウドロック界隈だけでしかまだレヴューされてないのはなんか解せないです。割と絶賛されてるんですけどね。

 

 

 

Broken Machine/Nothing But Thieves

 

 あと、前衛初登場で2位になったこのナッシング・バット・シーヴスも僕、面白いと思ったんですね。この人たち、デビューの時はなんかすごくMUSEのバッタモノっぽく感じてたんですけど、今回聞いてみると、最近の本家より全然いい曲かけてるし、そういう次元を超えたオリジナリティ出せてきてますよ。彼らの場合、やっぱりウリはヴォーカルのコナー・メイソンで、彼のヴォーカル・レンジとパワー活かせる曲が書けたらそれなりにかなり武器になるし、実際にそれができてるからかなり聞き応えのあるアルバムになってるのにね。「Amsterdam」とか「Sorry」「Soda」とアンセミックな曲もゴロゴロしてるしね。PVRISもそうなんだけど、「ポップで売れ線」とか判断してレヴューの対象から外されているような印象を覚えるんですけど、でも、たかだかこの程度のポップさで過剰に売れ筋意識して相手にしない、今のロックの批評媒体もどうかと思いますけどね。いい時代だった90sですら、売れて批評にも上るロックでこういう感じのもの普通にたくさんあったのにね。イマジン・ドラゴンズがロック代表として売れてる現状考えたら、それより全然健全ですらあると思うんですけどね。

 

 

 

Aromanticism/Moses Sumney

 

 ただ、最後はR&B2枚でシメましょう。今回はヒップホップは考えたんですけど外しました。ただ、歌もので外せないものはあって、その一つがカリフォルニアから出てきたモーゼス・サムニーという新人ですね。彼のサウンドはいわゆる「フランク・オーシャン、ソランジュ以降」と呼べるもので、凝ったコード進行のもと、時間軸をぶった切って、古めかしいホーンやストリングスもエレクトロも全部つぎ込んだようなケイオティックな美しさが、この新世代のR&Bのウリかなと思っているんですけど、このモーゼスに関してはそれがもはや当たり前で、彼の場合すごいのは、その次元すら超越して、シガーロスとかジェフ・バックリーの域までチンじゃってる事ですね。ここまで複雑かつ雄大な事ができるニューカマーというのもそうはいません。今年のサプライズ・リリースだし、このまま成長したらどうするんだろう、と思ってゾクゾクします。

 

 

 

Trip/Jhene Aiko

 

 そしてラスト、タイラー・ザ・クリエイターにしようか、これにしようか、散々迷ったんですが、日系人女性R&Bシンガー、ジュネイ・アイコのこのアルバムでシメようかと思います。彼女、名前自体は5年くらい前から知ってて、その頃からアルバムが全米トップ10に入るくらい売れてはいたんですけど、今回も全米で5位、イギリスで50位台のヒットですね。これも、サウンド的には「フランク・オーシャン以降」な感じの曲が今回すごく目立っていてですね、とりわけフィストカフスっていうソングライターが絡んだ曲がすごく幻想的でいい曲です。印象派、って感じでね。「これ、なんでもっと注目されないんだろう」と思っていたら、彼女、ラナ・デル・レイの今度の全米ツアーのオープニング・アクトに決まってますね。彼女と、カリ・ウチスっていう、これも来年、かなり力入れて押されそうなラテン系の女性シンガーがいるんですが、この2人がラナの前座っていうとこで、ラナのセンスの良さを改めて感じてるとこでもあります。

 

 

 でも、今回、自分で選んでみて、結構意外なものが選外になって自分でも驚いてます。だってこの3ヶ月って、アーケイド・ファイアもあったし、HAIMもあったし、QOTSA、ウォー・オン・ドラッグス、ザ・キラーズと目玉続出だったのにですよ!でも、正直、今、名前を挙げたものならば、ちょっと入らなかったかな。ぶっちゃけ、アーケイド・ファイアとHAIMに関してはガッカリしてます。

グリズリー・ベアとかエヴリシング・エヴリシングとかもそうかな。ホラーズはわりに良かったけど、トップ10まではいかなかったかなあ。

 

 

 あと選外だったものの、候補に考えたものとしてじゃ

 

 

Flower Boy/Tyler The Creator

Mura Masa/Mura Masa

To The Bone/Steve Wilson

Hippopotamus/Sparks

Antisocilites/Alvvays

 

 

 このあたりもよく聞きましたね。

 

 

 次はもう、年間ベストを具体的に考えないとけないですね。10、11月のも加わるから選ぶの大変そうですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 13:27
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マーク・ボランも没後40年

どうも。

 

 

今日、9月14日は

 

 

グラムロックのパイオニア、Tレックスのマーク・ボランの命日でもあります。この日に29歳で自動車事故で亡くなっています。

 

奇しくも、こないだここで書いたエルヴィスと没年が同じなんですよね。共に1977年です。エルヴィスの場合は、親が反応したのでリアルタイムで覚えてますけど、さすがに彼の場合は当時は知らなかったですね。

 

 ただ、幸いにして、その3年後には地元のラジオ番組の影響で知ることになりましたけどね。聴いた曲はこれでした。

 

 

 

やっぱ、これでしたね。1980年に1972年の曲を聴いたわけでしたけど、流行のサイクルの早い時代でしたけど、スンナリ入ったというか、当時から、小学生でしたけど、このストリングスといい、痙攣声といい、なんか不思議な魅力のある曲だなと思いましたね。

 

 僕の住んでた福岡県って、Tレックスが伝説化してたんですよ。おそらく、地元でライブしに来たのが大きかったと思うんですけど、珍しく僕の住んでた北九州市にやってきたこともあって、年の離れたロック好きの人と話すと「見に行ったんだよ」なんて話も聞かされたりもしましたね

 

 

 

あと、僕の当時買ってたミュージック・ライフでも、振り返りの特集をよくやってくれたおかげで、マークの妖艶な魅力もよく目にしてたんですよ。「ああ、こういうのがアダム・アントとか、ボーイ・ジョージの元祖だったんだな」と思いながら見てました。「化粧をする男性」というか「女装する」とか、この当時だと目にしないわけではなかったんですけど、「歴史的にそういうのの走りだったんだな」というのは、なんとなくわかりましたね。

 

あと、

 

 

 

 85年にこういうカバー・ヒットもありましたね。これも愛しのデュラン・ネタなんですけど、今冷静に聞くと、あんまりいいカバーじゃないなあ(苦笑)。

 

 

 ただ、音楽をまとめて聞くのはもう少し時間を要しましたね。僕がじっくりカタログを聞くキッカケになったのは1989年くらいですね。ちょうどCDでTレックスの作品がまとめて廉価になった時で、この頃に

 

 

この「テレグラム・サム」を聴いて、文字通りに電撃サムなショックを受けるわけです。この生々しい、ジージー、ガンガンにかかったエレキのファズに、タメの効いたうねりのあるリフに、簡略的な短い楽曲。当時、メタルがすごく人気で、そっちの方面も全く聞かなかったわけではないんですが、やっぱり、僕のロックの趣味を割に決定的にしたところはあったような気がします。同じ頃にレッド・ツェッペリンとかザ・フー、ハードロックでも、エアロスミスとかAC/DCみたいなリフ主体のロックンロールが好きになりましたからね。この頃、邦楽でビートパンク流行ってましたけど、音に厚みのあって腰から踊れる分、こういうタイプの方が好きでしたね。

 

 

 

あとTレックスの場合、呪文みたいな不思議な英語の語感とか、低い声で「イエーッ!」とか「ルアアアアア」とかいう不思議な呻き声とか、ああいう無駄な尾鰭の部分にも惹かれましたね。ああいう感覚、今でさえも他では体験できないものですからね。

 

 

これ、僕の持論なんですけど、彼のこういう感覚が

 

 

やっぱプリンスなんですよね。「Cream」なんて曲も「Get It On」の言ってしまえばパクリでしたからね(笑)。

 

プリンス、公言してませんけど、歌い方なんてほとんど同じだったし、あの呻きと「ウアアアア」なヴィヴラートとかもソックリで。あと、このあとに「Peach」っていう、曲そのものがグラム・ロックの曲もあるんですけど、あれが93年だったんですけど、その当時から「プリンス、マーク・ボラン説」は僕、ずっと言ってましたね。そのあと、プリンスが昨年亡くなったあとに、「黒人版ジギー・スターダストだった」なんて称する英米のジャーナリストも結構いたんですけど、その時に「ね?やっぱり、そうだったでしょ?」と思いましたもん。で、さらに「ボウイじゃなくて、ボランだったと思うけど」とも思いましたけどね。

 

 

で、ボウイとボランに関しては、入りやすいのがボランだったんですけど、時間かけて聴いていけば、ボウイの曲の方が単調さがなく楽曲そのものに奥行きがあるし、後、そのあとの多岐にわたる音楽的な拡張とドラマ性がある分、長く魅了されましたね。僕のボウイ好きはここでもかなり強調して書かれてますけど、やっぱりグラムってデカいんです、僕の場合。

 

 

 

その2人の共演がマークの死の直前に実現してたんですよね。当時、彼は自分のショーをテレビでもってたんですけど、そこでね。収録が死の直前でオンエアが死後になってますけどね。今はユーチューブがあって、こういうのが簡単に見れるようになって本当にいい時代です。昔、この話を聞いたときは、もう見たくてしょうがなかったものですが。

 

 

それから、僕が2000年代にやってた「Club Hard To Explain」で、この曲かけると、とにかく盛り上がってね。ホワイト・ストライプスと続けてかけたら、もう、効果的でしたね、大団円になって。あと、オアシスの「シガレット&アルコホール」も続けてかけるといいんですよ、これ。そういう後のロックの定番と相性も抜群なほど、普遍性もありましたね。

 

 

 

そして、本当につい最近ですけど、「ベイビー・ドライバー」でも、Tレックスの「デボラ」が効果的に使われました。こういう風にして、確実に残って行っているものなのです。

 

 

今回はとにかく曲を聞いて欲しかったので、こういう感じで行きましたが、FromワーストToベストも出来る準備はしてます。ただ、タイミング悪いことにマーキュリー・プライズの発表があるんですよね。どうしようかな。

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 14:01
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