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エンタメ界の三刀流、ドナルド・グローヴァー(チャイルディッシュ・ガンビーノ)、10年の軌跡

どうも。

 

では、今日はこの人の特集、行きましょう。

 

 

 

もう、世界で話題沸騰ですね。ドナルド・グローヴァー。彼の、この10年の軌跡を振り返ってみたいと思います。

 

 

よくよく考えてみるに、彼ほど、当ブログにふさわしい人、いませんね。だって、音楽もやって、映画も、テレビドラマも、みんなやって成功してるわけでしょ?ここまで器用にそれをやり遂げた人、僕のこれまでのエンタメ・ファンの人生の中でもいませんよ。本当にすごいことだと思います。

 

では、その彼の軌跡を、約10年前から遡ってみましょう。

 

 

ドナルドは1983年9月生まれです。生まれはカリフィオルニアで、育ちはジョージア州です。かなり成績は優秀だったらしく、大学は名門ニューヨーク大学(NYU)です。専攻は演劇科だったみたいですね。そこで彼は脚本と、音楽活動を当時から並行してやっていたようです。

 

で、大学を卒業のタイミングで、自分のデモ脚本を「シンプソンズ」に当てはめて書いたものを送ったら、それが認められて、NBCで脚本家デビューすることになり、それがそのうち

 

 

ティナ・フェイのエミー賞受賞の傑作コメディ「30 Rock」での端役の出演につながります。「30 Rock」、この当時見てたんですけど、全く記憶にないんですよね。それくらい小さな役だった、というわけですが、2009年、彼にとっての最初のブレイクスルーが訪れます。

 

 

それが、このコメディ「Community」ですね。これはこの当時、すごく地味ながら熱心な固定ファンがいたコメディですね。これはコミュニティ・カレッジに通う、人種も、年齢もバラバラな人たちが繰り広げるドタバタ・コメディで、主要キャストがみんなしてかなり大げさな演技してナンセンスなギャグ繰り広げてましたね。 これは僕がちょうどブラジルに渡って行ったときにブラジルでも放送されていたので、ちょくちょく見てました。彼はそこで

 

 

 

トロイ・バーンズってキャラクターをやってました。いつも声裏返してエモーショナルにしゃべる役でしたけど、止まらなくそれをやるんで、見てて吹き出したこと、何度かありました(笑)。この「Community」

 

 

毎年のように打ち切りの噂がある中で、ファンの嘆願などもあって6シーズン続きました。これ、今のデイヴ・フランコの嫁さんのアリソン・ブリーとか、ネットフリックスの「Love」で主演してたジリアン・ジェイコブスとか、「ハングオーバー」でおなじみの中国系のケン・チョンとか出てましたね。ケン・チョンなんて、「中国人のスペイン語教師セニョール・チャン」っていうワケのわかんない設定でしたけど(笑)。これ、日本でも確かhuluで見られるはずです。僕のとこではアマゾン。プライムで見れるので、ひょっとしたら権利、動いてるかもしれませんが、オモロイです。

 

で、この番組が始まってしばらくして、音楽の方面から「チャイルディッシュ・ガンビーノっていう面白いラッパーが出たよ」という話を聞きます。それが

 

 

これだったわけですけど、見てみて「なんだ、コミュニティのアイツじゃないか!」と思ったんですね。で、曲名がこれ、セス・Rオーゲンとかジェイムス・フランコとか産んだ伝説の青春コメディだったものだから、「やっぱ、そっち関係か」などと、よく聞きもしないで当時は思ったものでした。

 

ただ、

 

 

このデビュー作の「Camp」、ビルボードのアルバム・チャートでトップ10目前くらいのヒットになってるんですよね。「Community」はアメリカじゃ有名なコメディだったので、「あの人がラッパーもやるんだ」という興味はこのあたりから持たれてたのかな。

 

 そうしていくうちに、2013年くらいから、彼はちょくちょく他のドラマや映画にも顔を出すようになります。

 

 

HBOの「ガールズ」では、レナ・ダナムの短期間のカレ氏役も演じてましたね。

 

そして、この後に

 

 

この曲を含めた

 

 

「Because The Internet」というセカンド・アルバムがビルボードでトップ10入りして、2014年にロングヒットします。僕的には「いいけど、薄味のドレイクみたいだな」と思ったんですが、ちょうどチャンス・ザ・ラッパーとかがインディで注目された時期とも重なって、かなりいい印象をラッパーとしても持たれ始めましたね。

 

 そして2015年くらいから、彼の快進撃が始まりまして

 

 

チャニング・テイタムの「マジック・マイク2」だとかにチョイ役で出た後に

 

 

役者として、これで当てるんですよ。リドリー・スコット監督の「オデッセー」。ここでの「天才コンピューター・ギーク」の役は、オスカーの作品賞にノミネートされたこの作品の中でもキーとなる役でしたが、ここでも映画界的にも注目され始めましたね。

 

 

 

そして、この間、「Kauai」EPというEPを出したんですが、ここでの「Sober」が注目されます。ここから彼はヴォーカルの比重を上げていくんですが、「歌を歌わせても実はかなりうまい」ということが、ここでわかりました。

 

 

そして!

 

 

 

 

自ら脚本と主演を兼ねたドラマ「アチランタ」がFXで放送され、これが大好評で大ヒットになります。これは、大学をドロップアウトして郷里のアトランタに戻ってきたドナルド扮するアーンが、いとこのギャングスタ・ラッパーやら、元ヨメや娘らの間で翻弄されるトホホで勝つ笑える日常を描いた作品です。これは「ネットフリックス」で今ならシーズン1は見れるはず(日本はどう?)ですが、彼はこれで

 

 

 

ゴールデン・グローブでもエミーでも、作品賞と主演男優賞を受賞する快挙を達成します!

 

このくらいからですね。彼が神がかって来たの。そして、そこに加えて

 

 

チャイルディッシュ・ガンビーノとしてのサード・アルバム「Awaken My Love」も大ヒットします。これはなんと、全編オールド・ファンクのヴォーカル・アルバムでして、彼の多彩さを証明するものになったんですが

 

 

ここからのシングル、プリンスのバラードを思い切り意識した「Redbone」が、大ヒットしオスカーにもノミネートされた人種問題ホラー映画「ゲット・アウト」に使われたことも手伝って、全米トップ10入りの大ヒットになります。この曲、僕はアウトロのギター・ソロが凄く好きですね。局長はオザケンの「今夜はブギーバッグ」っぽく、そこも好きです。

 

 

彼はこの作品でも、今度はなんと、今年のグラミー賞の最優秀アルバムにノミネートされます。そんな風に、ものすごい勢いだった矢先の

 

 

 

5月5日の「サタディ・ナイト・ライブ」であり

 

 

「This Is America」だったわけです!

 

 

 こういう風にして、テレビドラマ、映画、音楽を縦横無尽に動く超才人が放った、アメリカ社会の人種や暴力の問題に深くメスを入れたヴィデオだったからこそ、大きな話題となったのです。ここまで言ってきたような軌跡が仮になかったのならば、ここまで大きな話題にはなっていなかったでしょう。

 

 

 なぜ、ドナルドがこのような奇跡的な活動をすることができるのか。それはひとえに、彼の才能によるところも大きいわけですが、そこに加えて

 

 

友人との共同作業が大きいですね。音楽だと、このロン毛のスウェーデン系アメリカ人、ルードヴィッヒ・ゴランソンです。チャイルディッシュ・ガンビーノの作品は全て彼との共作です。ルートビッヒは「Community」の音楽を始め、今やテレビ界のサントラで引っ張りだこの人です。

 

 

 

そして、映像方面ではヒロ・ムライです。彼、日本生まれの日本人ですよ!9歳でLAに越したらしいですけど、彼はミュージック・ヴィデオの世界でもかなりの売れっ子で、彼の作品だけでも特集の価値があるくらい、すごいリストなんですけど、彼が「アトランタ」の映像関係も監督し、さらにあの「This Is America」ですよ!彼の今後も楽しみです。

 

 

 そして、もう来週末ですけど、

 

 

スター・ウォーズのスピンオフ「Solo」でのランド役ですよ!一説ではもう、ランド主演のさらなるスピンオフの噂まで出ています。

 

 

で、9月からチャイルディッシュ・ガンビーノとしての全米ツアーで、年末にはアルバムの噂があります。もう、来年にかけてはなんか彼一色になりそうな、そんな勢いですね。

 

author:沢田太陽, category:評論, 18:07
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アークティック・モンキーズの新作炎上騒ぎに見る、欧米でのロックに対する渇望感

どうも。

 

では、今回も、この話題、行きましょう。

 

 

アークティック・モンキーズの新作「Tranquillity base Hotel&Casino」をめぐる、ファンの騒ぎですね。日本だと僕はどういう反響なのか知らないんですが、欧米圏では、レヴューやってるサイトのフェイスブックの書き込み、どこ見ても大炎上です。困ったことに、アークティックのオフィシャルの書き込みにもそれが流れててね。「おいおい、落ちつけよ」という感じです。

 

 

だいたい、僕が理解できないのは、いくら今回、彼らが変わったとはいえ、それが決して予測不可能な変わり方ではなかったことなんですね。だって、ラスト・シャドウ・パペッツ聴いてたら、60sのムーディな雰囲気をアレックスが好んでいるのはわかるし、ピアノだって彼はニック・ケイヴのファンでもあるんだからこれも分かる。ヒップホップのダークでヘヴィなビートが好きなのは、セカンド・アルバムの時から明らかだし、彼本人が公言しています。

 

そして、どんなアルバムが今回作りたかったのかというヒントも、ご丁寧に分かりやすく出してるんですよ。アルバムの5曲めと7局めには思い切りビーチボーイズの「ペット・サウンズ」を意識したアレンジをやってるし、9曲めに至ってはビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」の最後のフレーズ、思い切り歌ってますしね。60sのサイケ期のようなトータル・アルバム作りたかったのはそこからも伺えるんですよ。

 

だから、しっかり、アルバム制作の焦点は定められているし、確信を持って作ったはずなんですよ。それなのに、いわゆるジャーナリストまでもが「ラウンジ趣味の変なアルバム」とかってレヴューしたりね。「おいおい。LSPとか、ちゃんと聞いてるか?」「楽曲構成そのものだったらHumbugの方が変なアルバムなんだけど、あれより曲が難しいか?」って突っ込みたくなるんですけどね。

 

 

 それに「ロックをやめてしまった」だの「初期のリリックにあったエモーションが失われ、今や成金趣味に陥った」とか不満を垂れる人が多いんですけど、別にギター弾くのを完全にやめて全編エレクトロになったわけでも、アフロ・ビートを導入したわけでもないのにね。あと、30も過ぎて、工業都市の退屈な日常を生きてナイトクラブから追い払われる生活描く方が変でしょう?成長とか、センス・オブ・ユーモアとかわからないのかね、と思いますね。

 

 

 もう僕的なことでいうと、まだ年間ベストはどのあたりに入れるかはまだ先すぎてわからないんですが、3ヶ月おきにやっているトップ10には、もう宣言します。必ず入れますよ。彼らのキャリアの中でも、「AM」や「Favorite Worst Nightmare」ほど好きかはわからないんですが、僕はデビュー作、好きですけど、そこまで入れ混んだ作品でのもないので、それと同じくらいかそれ以上か。残りの2枚よりは確実に好きですね。

 

 

 ただ、一点だけ、僕がアークティックが今回のアルバムを出すにあたり、一つだけ計算違いだったのは

 

リリースするタイミング

 

これが良くなかったのかなあ、とは思います。

 

それは僕がこないだ「ポップ・ミュージック雑感」で書いた、グレタ・ヴァン・フリートが密かにアメリカで売れている、という話に通じるものです。ここに詳しく書いてますけど、実はギター・ドリヴンな”ロックらしいロック”というのは潜在的に渇望されている音楽で、ロイヤル・ブラッドもキャレオもフェスでライブやればすごく人気がある、という話を書きました。

 

 

 どうやらアークティックも、その一つとしてカウントされていたフシがあるんですよね。イギリスでもアメリカでも「AM」がかなり長いこと売れた背景にもそれがあると思いますしね。実際、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョッシュ・ホーミとはサーDお・アルバム以降、懇意だったイメージもありますしね。

 

 加えて、そのアルバムから5年経っていたこと。ここ最近、そういうギターによるロックが売れてなくて、エレクトロとの折中したようなものがやたら目立っていたこと、フェスのロックバンドの出演領域が削られていたこと、往年のロッカーが次々と世を去ること、ギター・ブランドのギブソンが破産申告したことなど、ロックでいいニュースが入ってこない。そういうこともあって、

 

 

欧米のロック・ファン、かなりイライラがたまってるんだと思うんですね。

 

 

それがああいう形での炎上での爆発になった、ということなんでしょうね。もし、アークティックがハードなロック・アルバムをこのタイミングで出していたら、かなりのヒットになってたと思います。それこそ「ロックファンの数少ない頼みの綱」みたいな感じでね。

 

 

僕としては、アークティックはそうしないでよかったと思います。そんな打算に走らず、作りたいときに作りたいアルバムを作ることでバンドとして「死に体」にならないようにするのが、彼らみたいなフロントランナーのバンドには必要な姿勢なんでね。だから、今回のアルバムはこれでいいし、ファンももう少し理解と歩み寄りが必要だと思うし、もう少し時が経てば落ち着いてものが見えるような気もしてるんですけどね。

 

 

それにしても、こないだの「スター・ウォーズ」もそうなんだけど、このネットの世の中って、自分の中で吟味しきれないタイミングで「ワーッ!!」って簡単に炎上するの、なんとかならないのか、とも思いますけどね。

 

それから

 

 

 

ロック聞いてて、こういう「驚きの展開」ができにくくなるのは、それはそれですごく悲しいですけどね。アークティックの今回の方向性って、この2曲と比べてみても唐突な感じはしないし、通常の路線から別段「不似合い」な感じもないんですけどね。

 

まあ、でも、

 

 

 

イギリスでは2位から20位の売上を合計した数よりも売れてるそうです!

 

 

そこが救いだし、時間かけて噛み砕いて聴いて欲しいんですけどね。

 

author:沢田太陽, category:評論, 20:10
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邦楽のベテラン・アーティストがみんな即刻ストリーミングに楽曲提供を行うべき理由

どうも。

 

今日は、まあ、音楽ネタではありますが、こういう話をしましょう。

 

個人的な話になりますが

 

 

 

先日、Spotifyを通して、くるりの全オリジナル・アルバムを全部聞いてみる、ということをやってみました。

 

 

なぜ、そうしたのかというと、次の週(すみません。1週延期します)に公表予定の6月の大型企画「非英語圏の101枚のロック・アルバム」の企画で、先にネタバレさせますが、そのリストの本ちゃんの方には入らなかったんですが、そこに入ったのにSpotifyにアルバムがなかったあるアーティストの代理として、この企画のSpotify用のプレイリストに「補欠」で入れる形でくるりが入るんですね。それで、「彼らの中のどのアルバムがいいかなあ」と思って、全部聞いてみたんですね。で、ここでよくやってる「fromワーストtoベスト」の企画みたいな感じでベストを選んだ結果、上の集合写真のような順位の結果(通常の目線の動き通りです)に個人的にはなったので、左上の写真のアルバムからの曲から1曲プレイリストに入ります。

 

 

でもねえ、

 

日本のアーティスト、Spotify、少なすぎだろ!!

 

 

もうね、選んでて、補欠出まくりなんですよ!特に70年代のものなんて全然なくて、1枚なんて日本のアーティストじゃ代用が効かなかったものだから、他の国に枠、あげちゃいましたからね。なので、本ちゃんの方に日本は9枚当ててるのですが、Spotifyだと1つ減ります。

 

 この、くるりに至るまでだって、運良く全アルバム揃ってるのが直前でわかったから良かったようなものの、これも彼らに補欠が決まるまで、すごく時間がかかったんですよね。本ちゃんの方に選んだのって、ある90年代のロックンロールのすごくカッコいいバンドだったんですけど、似た感じのもので選びたかったんですけど、近いタイプのアーティストの作品が、もう、とにかくSpotify にないんだ、これが。あっても、アルバムの揃い方があまりにも不完全なために、僕の欲しいアルバムがなかったりね。なので、当初、ちょっとイメージのかけ離れた宇多田ヒカルになるところだったんですよ。彼女だったら全作Spotifyにあったんで。でも、Spotifyのリストに加えて他のものと並べて聞いた時に、あまりにロックの感じがしないので「困ったなあ」と思っていたら、くるりを見つけたので、「ああ良かった」と思って入れた次第でした。

 

 

そういうことをやっていた矢先

 

 

ミスチルが5月10日に全作品を、全ストリーミング・サービスに解禁したらしいですね。これ、すごく大事なことだと思います。残念ながら、まだブラジルのSpotifyには入ってないんで、「どういう手続したんだよ」とは思っているのですが(苦笑)、でも、「ストリーミング後進国」の日本にとっては、彼らほどデカいアーティストが全作品提供したということは、今後もこれに続く動きがあるでしょうからね。

 

で、お願いだから

 

 

「ストリーミングは文化破壊」なんて化石みたいな時代錯誤しないで、そろそろ日本もストリーミングを当たり前の文化にして欲しい!!

 

 前置きが長くなりましたが、そう思う根拠をこれから書いていきます。

 

 

 ストリーミングの何が良いって、これまでだったら予算が気になって「気にはなってるんだけど、お金がなあ」と思ってたタイプのアーティストでも、気軽にお金を機にすることなくバンバン聞けることです。僕自身、ストリーミングを本格的に使い始めたのはここ3年くらいですけど、その間に、40代なのにこれまで以上に音楽聴く幅が広がりましたからね。

 

 

 

 そんな僕が、「思い切って沢山聞いてみたいなあ」と前から思っていたのが実は「日本のロック/ポップスの昔ながらのアーティスト」なんですね。僕は小学校5年の時から洋楽リスナーで、そっちの方の楽曲を聴くのに忙しかったから、邦楽はあんまり聴いてません。一番聴いたのは、仕事の関係上、NHK時代、そしてフリーのジャーナリストやった1年目くらいですね。でも、邦楽のライターは自分で違和感感じて辞めちゃったんですけど、その理由の一つに「邦楽の主要なアルバムをルーツとして聴いて育っていない」というのがあったんですね。で、あの頃、2000年くらいでしたけど、「だから、それらをたくさん聞いて勉強する」ってことはさすがにできなかった。だって、洋楽でさえ、日常的に聴かなくてははならないものがたくさんあったのに、そこまで手はさすがに伸びなかったですからね。

 

 

 だって、20年くらい前の時点で、20枚くらいアルバム出してた邦楽アーティストはたくさんいたんです。そういうアーティストのアルバムを全部聴けるわけがない。だから、せいぜい、代表作かもしくはベスト盤ですよね。ましてや、邦楽のCD代高くてそんなにたくさん買えないし。だから、やるとしたら、TSUTAYAで大量レンタルしかないわけですけど、そんなの時間と移動の手間がかかるし、レンタル代だって、バカにならない。だから、できなかったんですよね。

 

 

そんなもんだから、ユーミンとか、サザンとか、山下達郎とかRCサクセションとか佐野元春とか、永ちゃんって、僕の場合、抑えててもせいぜい数枚です。80年代のバンドブームものとかも、リアルタイムですけど、B級とかカルト・アーティストになると弱いですね。強かったの、せいぜい、90sの渋谷系以降のバンドか、GSくらいなものでしたね。GSはやっぱり「ガレージ・ロックの日本的展開」として好きでしたから。

 

 だから、こういうストリーミングみたいなのがあの頃あったら、どんなに良かったか。お金を全然気にすることなく、1日の移動時間を利用して、1日2枚くらいずつ聴いていけば、2週間くらいで1アーティストの全カタログ、フォロー出来ますからね。こういうのがあの頃あったら、ひょっとしたら、まだ邦楽関係のお仕事も出来ていたのかなあ、とは思いますね。

 

 

・・というのは、僕、個人の話ではあるんですが

 

ストリーミングは、今の若い人たちにも、過去の日本の音源に触れられる最大限のチャンスのはず・・なんです!

 

 

 だって、考えてもみてください。もう、20年くらい前にデビューした、それこそ、くるりだって、もう、10枚くらいアルバム出してるんです。そんなアーティストは今やザラになってるし、それこそデビューが70年代のアーティストなんて、30枚くらいのアルバムの量でしょ?そういうアーティストのアルバムを仮に今の10代、20代の音楽に熱心な若い子が聴きたいとなったらどうします?ストリーミングさえあれば好奇心一つでドンドン聞けるのに、それがないために手が出ないで終わると考えたら、すごくもったいなくないですか?

 

 

 そういう、安価で手軽に聞く手段がないから、アルバムを聴かずにベスト盤で気軽に済ませたり、youtubeみたいな劣悪な音源で我慢したり、違法音源に対してのモラルが落ちたり、ベテラン・アーティストに対してのリスペクトの機会も減ったりするんです。そっちの方が、よっぽど、「音楽文化の破壊」ですよ。

 

 

 そのためには、

 

アルバムたくさん出してるアーティストこそ、率先してストリーミングの許可、出すべきなんです!

 

 

 これはアーティスト自身が率先してレコード会社に働きかけて、そうするべきなんですよね。もう、国外でもベテラン・クラスでストリーミング認めてないの、キング・クリムゾンくらいなものですよ。あとは、許諾を取りたくても、本人が亡くなっているから、どうしようもなくなっている人が若干いるくらいなもので。そんな状況で、日本の貫禄ある大物アーティストの作品がこぞってストリーミングにない状況って、本当におかしいですよ。前述の「非英語圏の〜」の企画でも、ひたすら音源がなくて困るの日本とドイツくらいのものだったし、そのドイツでさえ、「自分が選んだ該当のアルバムがない」というのがあっただけで、アーティストが作品そのものの提供を拒んでいるパターンはほとんどなかった。そう考えるとこれ、国際的に問題です。

 

 

 だいたい、何が問題なんでしょうね。「売り上げによる取り分」を問題視するんだったら、「もう、あなた、大概で稼いだんじゃないですか?」くらいは言いたくなりますけどね。駆け出しのインディのアーティストがそれを言うのだったらともかく、もう、年も重ねて、ライブやれば確実に人も入って、お金も十分に稼いだ人が仮にストリーミングを「アーティストの収益が尊重されないシステム」だとかで反対をするのだとしたら・・・・ちょっとね・・・って感じですけどね。

 

 

 まあ、それは概ね、JASRACとかいう守銭奴な人たちの、国際的に時代に取り残された人たちの浅はかな考えから来ているのだとは思いますが、アーティストたちもこの問題について真剣に立ち上がって戦うべきだと思うんですよね。そうしないと、今やストリーミングのおかげで音楽市場の売上もプラスに転じているのに、日本だけがCDにこだわって売る上げを下げているという、おかしな現象は止まらなくなってしまいますよ。

 

 

 音源をストリーミングに解放すれば、僕が繰り返して言うように若いファンだって確実に現状よりはつくし、加えて、他の国の人にだってファンは増えます。これは僕がブラジルに住んで思うことですけど、ブラジルの日本移民の子孫の若い子とかでも、J-Pop、これだけストリーミングの状況が悪い中でもよく知ってたりするんですよ。あと、2011年に縁あって行ったX-JAPANのサンパウロ公演に至っては日系人でさえない普通のブラジルのメタル・ファンが大挙集まって、日本語でバラードの合唱までしてました!国外の音楽リスナーの力を侮ってはいけません。ストリーミングさえしっかりやれば、こういう人たちが日本の外で日本の音楽をちゃんと広めてくれもします。

 

 

 それこそ、やれ「クール・ジャパン」だの何だの言ってるお役所の人たちが音楽業界にそれこそプレッシャーかけてストリーミングを進める、くらいのこと、やってもいいんですけどね。そういう手立ても知らないのにイメージだけでやろうとするから、そういうのもうまくいかないんです。とりあえずは「無意味化している保護」より、開かれた解放だと思うんですけどね。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 18:43
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2018春ポップ・ミュージック雑感(3)どの名門インディ・レーベルも、今や切り札は女性ロッカー!

どうも。

 

では、先週からやっている2018春ポップ・ミュージック雑感。そのラスト、行きましょう。

 

 

今日のテーマはこれです!

 

どの名門インディ・レーベルも、今や切り札は女性ロッカー!

 

これで行きましょう。

 

 

いやあ、もう、最近、本当にそう思うんですけど、今、インディ・ロックは女性アーティストの存在抜きではやっていけなくなっています。しかもそれは、

 

老舗や人気のインディ・レーベルになればなるほど、その傾向が強い!

 

いやあ、これ、もう本当にそうなんですよ!ちょっとザッと見ていくことにしましょう。

 

まずは、これから聞いてみましょう。

 

 

 

 

 もう、今年の前半、もう何度聴いたことか。現時点で僕の今年の5本の指に入るくらい好きなサッカー・マミー。僕だけじゃなくて、彼女、ソフィー・アリソンのアルバム「Clean」を今年のインディ・ロックのワン・オブ・ベストにあげてる人、結構見ますね。彼女はこないだニューヨークの通ってた大学を辞めたばかりの、20、21歳くらいの女の子なんですが、とにかくソングライティングの手腕に天性のものがあります。彼女はパラモアの全米ツアーのサポート・アクトも決まっていて、さらに知名度上げそうです。

 

 そんな彼女は、ブラック・キーズやジョン・スペンサー・ブルース・イクスプロージョンを生んだガレージ・ロック系の老舗インディ、ファット・ポッサムのアーティスト。このレーベルなんですが、6月にもう一人オシの女の子がいます。

 

 

これ、大好きな曲なんですよ。スネイル・メイルの「Heat Wave」。彼女もすごくフレッシュなタイプの、鮮やかなインディ・ギターロックを表現してくれます。6月のアルバムがすごく楽しみです。

 

 

 そして、今の名門のインディ・レーベル、ファット・ポッサムだけじゃありません。今、どのインディ・レーベルもオシのアーティストは女の子ばかりです!

 

 

 その証拠に、続いてニューヨークのマタドール.。過去にペイヴメントやインターポールを輩出していますが、

 

 

ここも去年の後半、このジュリアン・ベイカーという女の子を猛プッシュして話題でした。彼女もサッカー・マミーと同じ年頃です。

 

続いて、ニルヴァーナを始め、21世紀に突入後もシアトルの老舗としてお馴染みのサブポップですが

 

 

ここも、フランキー・コスモスという、女性がメインのバンドを押してますね。

 

 

フロントはこの坊主の女の子ですね。彼女はグレタ・クラインと言って、あの俳優のケヴィン・クラインと、日本でも一時すごい人気のアイドル女優だったフィービー・ケイツの娘さんだったりします。そういう血筋ゆえなのか、すっごい繊細でアーティスティックなギター・ポップやってますけどね、彼女。

 

 続いてはアーケイド・ファイアとかスプーンを輩出したマージ・レコーズ、見てみましょう。

 

 

これも今年の前半の素晴らしいインディ・ロックのアルバムでしたね。スペイシーなサイケデリック・エレポップのワイ・オーク。この人たちも

 

 

このジェン・ワズナーという女性がフロントの2人組。このマージ、昨年も

 

 

ワクサハッチーという、ケイティ・クラッチフィールドという人が中心のバンドですけど、昨年の後半の話題のアルバムでした。

 

 

続いて、アメリカ中西部の名門、ブライト・アイズを生んだサドル・クリークを見ても

 

 

 

このビッグ・シーフという、アドリアンヌ・レンカーという女性をフロントに据えたバンドが去年、アメリカのインディではかなり話題でした。スピン誌の年間ベストでは2位でしたし、僕も去年の年間でトップ20に入れました。このサドル・クリーク、今年に入ってもホップ・アロングという、女性フロントのバンドがかなり好評でした。

 

 

あと、ボン・イヴェールを輩出したインディアナの名門ジャグジャグワーも、このエンジェル・オルセンとかシャロン・ヴァン・エッテンなどを出していますよね。

 

 

 それからさらに

 

 

ここ最近、台頭が著しいデッド・オーシャンズというレーベルからは日系人のミツキが出ています。彼女はレーベル・メイトのジャパニーズ・ブレックファストという韓国系の女の子のアーティストだったり、レーベル違いますけどジェイ・ソムというフィリピン系の女の子とツアーをして、アジアン・インディ女子の輪を広げようとする、興味深い動き見えています。これは一昨年の曲ですが、そろそろ新作、あるんじゃないかな。

 

 

そして、イギリスでもその事情は変わらないです。

 

 

 

まずはペイル・ウェイヴス。彼女たちはThe 1975、そして女性フロントのバンドの先輩でもあるウルフ・アリスのレーベル、ダーティ・ヒットの後輩バンドでもあります。すごく華はあるんですが、あとはいかにこれから出るであろうアルバムの曲の内容、ライブの出来がカギを握るかと思います。

 

 

 

 

そして、古くはザ・スミス、21世紀以降にはストロークスやリバティーンズを生んだラフ・トレードゴート・ガール。彼女たちは今話題のサウス・ロンドンのシーンを、最高の野郎バンド、シェイムとともに牽引する存在です。このシーンは男女アーティスト共にシーンを形成しているようですね。詳しいことは、サイン・マガジンで僕の長年の友人でもある小林祥晴くんの書いたこの渾身のレポートに詳しいので興味のある方は是非読んでください。

 

 

あと、「名門レーベル」ってことで言えば、アークティック・モンキーズのドミノ・レコーズ所属のスーパーオーガニズムもそうですね。この人たちの場合は、「女性」ってことよりも、「男女関係ない民主主義」っぽさの方が重きにある感じがしますけど、でも、これも大事なことです。

 

そしてそして

 

 

これも大好きなバンドです。ドリーム・ワイフなんですが、彼女たちのいるラッキー・ナンバーというレーベルは、さしずめ女性ロックバンド専門レーベルって呼んでも差し支えない感じに今なっていますね。彼女たちの他にハインズ、サンフラワー・ビーン、そしてミドル・キッズと、今年だけで4つのガールズ・バンドのアルバム出しています。

 

 

 これだけじゃないですよ。カナダにはオールウェイズがいるし、オーストラリアではコートニー・バーネットにタッシュ・サルタナにキャンプ・コープ。もうですね、ぶっちゃけ

 

 

「期待の男子インディ・アーティスト」でも、こんなにスラスラ名前出ません(笑)。

 

 

だって、男で期待してるのなんてシェイム、カーシート・ヘッドレストとか、オーストラリアのギャング・オブ・ユースとかキング・リザードとかは大好きなんですけど、あと、「誰がいたっけ?」ってなりがちですからね。

 

 

 こうなってしまった背景には、やっぱり、今回の連載の(1)で言ったように、男のインディ・バンドの野心の華のなさ、これが全ての原因なんだと思いますよ。みんながオタク臭くなって前に出なくなってるうちにインディが全然売れなくなって、そうしているうちに華もやる気もある女子たちがドドッと出てきた、というのがあると思います。

 

 

 まあ、ロックのポリコレ化を考えても、これは非常に良いことですけどね。それから、やっぱ女の子の場合、「チアリーダー・タイプの女の子が好みそうなアイコンならいるけど、自分の価値観を表してくれる人たちはいないのか」の渇望感みたいなものが、今なら野郎よりも強くしっかりある感じもしますからね。そういうとこでも強いでしょうね。

 

 

 あとはいかに、こうして台頭を続ける女性のインディ・ロッカーたちをメディアが把握し、保守的なアメリカのロック系のラジオとかでもかけさせるか、にかかっていると思います。ぶっちゃけ、これやらなかったら、少なくともアメリカのロック、実情が反映されることがなくなってしまうと思います。

 

 

そして、おそらく、これも関係してるんじゃないかな。最近のシューゲイザーとかドリームポップの再評価って。多分に女性シンガーが強みを見せていたジャンルですからね。まだ、このお姉様方も全然若いので、復活が立て続く彼女たちにも期待してシメます。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 13:14
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2018春ポップ・ミュージック雑感(2)グレタ・ヴァン・フリートが案外とカギを握っているのではないかと感じ初めている理由

どうも。

 

 

では、昨日の続き、行きましょう。

 

 

今日はロックの世界において、誰が今後のシーンにおいてのキーマンになりそうな感じがするか、について語っていくことにしましょう。

 

 昨日も話したように、ロック、今、商業的な意味でかなりピンチです。一般的な大きなヒットが若いアーティストから皆無な状況になっている上に、活発なシーンのようなものが、わかりやすい形で出ていない。これを打破するものはないのか。そんな風に感じている人も少なくないような気がします。

 

 

 では、どうやったらいいのか。誰が今の状況を変えてくれるのか。実は僕の脳裏の中で、「もしかしたら、このバンド?」と思い始めている人たちがいます。この人たちです。

 

 

 

グレタ・ヴァン・フリート!

 

僕のブログを覗きに来ていただけている人なら知ってる方、多いと思われますが、知らない方のために。こういう人たちですね。

 

 

 

はい。今更説明不要なまでに「レッド・ツェッペリンのソックリさん」ですね。

 

 

僕が彼らのことを知ったのはちょうど1年くらい前だった気がします。やっぱり、「ツェッペリンを思わせるバンドがいるぞ」とか、そういう触れ込みが回って来て知ったと思うんですけど。その当初に個人的に思っていたのは、「へえ」って感じで、「でも、これ、今の温楽シーンに刺さったりするの?」というのが率直な感想でした。

 

 

が!

 

実は現在、状況的にかなり見逃せないことになってきています!

 

 

ここからの情報、音楽ニュース関連ではほとんど伝えられてないことだと思うので、ちょっと言っておきましょう。

 

 

ー造蓮現在のアメリカで屈指のロックのロングヒット作品になりつつある!

 

 

これは「From The Fires」と言って、彼らがこれまで発表した2枚のEPをまとめた編集盤で、アメリカでは11月に出てました。あんまり強く宣伝された感じはしなかったのですが、これが現在、アメリカでかなり売れてます。

 

 最新のビルボードで、この編集盤、チャートイン22週めで103位を記録中です。最高位は36位を記録しています。

 

 

 「え?それがロングヒットなの??」

 

 そう、思う方も多くいらっしゃると思いますが、はい、そうです(苦笑)!

 

 悲しいかな。昨日もお伝えした、現在のビルボードのアルバムの集計方法だと、ロックの場合、アルバム・チャートで初登場で1位を取るような作品でも2ヶ月と200位に持たず落ちていきます。10週と持たないんですよ!それが、このアルバムは、最高位が36位と低いアルバムにもかかわらず、200位に落ちることなく、まもなく半年ランクインのヒットになっています。

 

 こういう売れ方してるのって、今、他にほとんどありません。あるとしたら、去年、ロック界で唯一の世界的バカ売れヒット作となったイマジン・ドラゴンズの「Evolve」があるだけですね。さすがにあっちの方がもっとバカ売れしてますけど、それ以外で半年もったヒットって、Lordeをロックに含めるなら、それが一つあるだけです。

 

 長いこと、チャート・ウォッチングしてると、アメリカの場合、前のアルバムがこういう売れ方をした場合、次のアルバムで一気のブレイク、というパターンが非常に多い。現在も、ずっと動かない状態が続いているので、次のアルバム待たなくても、もう少しチャート上がる可能性もあります。今、こんな動き方してるバンドないので、ここ最近、ずっと順位チェックしてました。

 

 

▲妊咼紂次Ε▲襯丱爐まだなのに、現在の注目度

 

 そして、見逃せないのは、これがまだデビュー・アルバム前の時点でこの状況、ということです。ロングヒットも異例なら、EPの状況で、こんなに長くヒットしていることも異例です。

 

 

 そして、もう全世界的にもフェスに普通にちょっと目立つ位置でやり始めてるでしょ。あれも客観的に見て、アルバム・デビュー前のバンドとしてはないことです。そういう例が前に何があったか。僕、自身も思い出せませんからね。唯一似てるものがあるとしたら、タイプ全く異なりますけど、2012年くらいのEDMのスクリレックスですかね。

 

 

 なのでこれ、アルバムの発表タイミングだと、今のままだと、全世界的に初登場でトップ10、アメリカだと1位取れるくらいの状況になってるような気がします。そのためには、待たせすぎて間延びするタイミングだとダメですね。ベストなのは今年の秋口頃じゃないかな。内容のいかんにかかわらず、今築いたファンベースだけで、それくらいはいけると思います。

 

 

 裏付けの数字もあります。今週、メジャー・デビュー・アルバムが全米でトップ10に入ったロード・ヒューロンがfacebookのフォロワーの数が15万人なんですね。.GVFの場合、現時点で既に21万人。これでアルバム発売タイミングでプロモーションにレーベルが金をつぎ込めば注目する人はさらに増えるでしょう。考えればまだ、トップ30に入ってもいない状況でこれなわけですからね。

 

 

若いロックバンドが通常持つ以外のファンが付いているのが強い

 

あと、彼らが良いのは、通常の若いロックバンドが持つことがないファン層を握ってるのが大きいですね。そのファン層というのが

 

50代以上!

 

これも「えっ!」と思われるかもしれませんが、この層、今、ロック的に軽視することはできません。かなりの売上に貢献します。

 

考えてもみてください。イギリスではありますが、ここ数年で、やれ、スパークスだ、ゲイリー・ニューマンだ、ジューダス・プリーストだ、ダムドだと言った往年のスターたちが軒並みアルバム・トップ10復帰ですよ。こう言う事態が若いロックのファン層だけで可能だと思います?今、50代以上の層というのは、ロックのセールスにかなり重要な層なのです。

 

GVFのファンにそうした年代の人が多いのは、彼らのfacebookの書き込み内容でわかります。写真で一目瞭然です(笑)。

 

でも、こう言う層が若いアーティストについた場合も大きい。それで大きくなった最大の人に

 

 

こういうアデルみたいな人が実際にいますからねえ。

 

 アデルがブレイクしかかった時、よく覚えてます。結構、年配の人たちが「あの歌の上手い女性は誰?」と飛びついて、彼らの界隈で話題が盛り上がった。で、そういう人たちが支持するものだから、CDの購入だけで売れ続ける、極めて稀有な人になっています。ビルボードのチャート集計、ストリーミングが強いとはいえ、CDの購入はポイントが高い。だからロック勢は今でも1週目だけは強いんですが、アデルの場合は、それが毎週続くからアルバムがずっと上位なんですよね。GVFのロングヒットにも、その「後追いで高齢層がCDで買い続けている」というのがあるような気がしています。

 

 

ぐ娚阿函∪在的に需要が潜んでいる音楽性

 

「じゃあ、GVFは高齢者だけが聴く音楽なのか?」と思われる方もいるかとは思います。だが、僕はそうとは思わないです。

 

 これ、今年のブラジルのロラパルーザでの話ですけど、結構、こういう人たちが、若い層含めて非常に盛り上がってましたから。

 

 

 

ロイヤル・ブラッドとかキャレオですね。すごくウケてました。

 

こういう人たちって、例えば、他のロックバンドがエレクトロに対応しだしたり、ハードロックなレジェンドの誰かが亡くなったりするでしょ。その反動で強くなっちゃうんですよ、不思議なことに。そこにはやっぱり、「僕たちの好きな、オーセンティックなハードなギターのロックがなくなってしまう」という危機感のメカニズムが働いてしまうから。近年、レジェンダリーなメタルバンドのチャート実績が全盛時に近いくらいよくなっている背景にも、僕はこれがあるようなっ気がしています。僕が前日に「ロックが滅びるとは思わない」と書いた理由の一つにはこれがあります。

 

 日本の場合はどうかわかりません。もうちょっと90sのUKロック寄りのスマートなバンドの方が好みだから、だけど70sにツッペリンやサバスがあり、90sにブリットポップ以上にグランジが人気あったような国だと、こういうことは起こりやすいです。

 

 

ゥ▲瓮螢での「悪いトレンド」へのカウンターにもなる

 

「でも、昔のレジェンドのソックリさんが売れることで、それがロックのためになるのか」という意見もあるかもしれません。

 

 そこに対しての僕の答えは、「アメリカの業界が”ロック扱い”で売ろうとしているこういうのよりは100倍マシ」ということですね。

 

 

 

もうね、こういう「イマジン・ドラゴンズもどき」だとか「EDMのフィーチャリング・シンガーもどき」のアレンジの物をロック系のラジオ局に取り入れて売ろうとしてるんですよね。「そのトロピカル・ハウスみたいなエコー、曲を止めてからかけるのやめろ!」とか言いたくなりますもん(笑)。インディの良いバンドの曲なんてほとんどかけようともしないのに、ポップの良からぬ潮流の方に安易に妥協した売り方をして生き残りを図ろうとする。アメリカの今のメジャー・レーベルの安易な解決法には本当にウンザリするし、こういう考え方してるからロック文化がどんどん悪くなっていった側面があるんですが、こういう流れに比べたら、「昔のものに似てるかもしれないけど、ロックらしいロック」が流行る方がまだマシだし、そっちの方が潔いですよ。もう聞いててイヤです。

 

 

εの沢田太陽の実際のGVF評は?

 

 では、最後に、僕が実際のところ、GVFに関してどう思っているのかを話しましょう。

 

「今まで現象面ばかり語っているが、当のアンタはこのバンド、好きなの?」と思われる方もいるでしょう。

 

そうですね。僕の本音としては

 

小さなローカルのシーンのライブハウスで叩き上げたバンドの方が好みといえば好みです。

 

最近だと、やっぱサウス・ロンドンのシーンのシェイムとか、そういうバンドの方が好きだし、そういうバンドの方に大きくなってほしいというのが本音としてはあります。

 

が!

 

そこにこだわりすぎて、他の良い可能性に目を瞑るのでは惜しすぎる!

 

僕がGVFを支持したい気持ちがあるのはそのためです。

 

あと僕くらいの歳になると過去のこういうのも知っています。

 

 

こういうZEPソックリさんが出るのはこれが初めてではなく、過去にもこういうのがあったんですね。でも、ハッキリ言って、こういうのよりは全然マシだと思ったし、だからこそウケてるような気もしたんですね。

 

 こういう人たちの方が実際のHR/HMシーンに寄与しているような感じはあるし、GVFは実際のところ、そのシーンのバンドって感じではない。そこで違和感を覚える人も古株のメタルファンとかにはいるかもしれないです。

 

ただ、「じゃあ、こういう曲はできる?」という強みがGVFにはあって

 

 

これ、見事なサム・クックのカバーですよ。これが20歳前後の年齢でポンと出せるってなかなかないですよ。しかもかなりソウルフルなテイストの良質カバーですよ。これ、誰か大人がレパートリーに仕込んだという考え方もできなくはないですが、だったら「バックにいる人たちまで含めて彼らはかなり恵まれた」ということで、それはかなりいい育て方をしてるってことでいいじゃないですか。

 

 あと、曲をコンパクトにまとめる力がありますね。あの声にして、曲のキャッチーさがなかったら、ここまでデカいことにはなってなかったんじゃと思いますから。ZEPに似てる似てないという問題以上に、そのソングライティングのポイントは見逃さない方がいいと思います。

 

ただ!

 

一点だけ、僕が気になっているところがあります。それは

 

正直、ライブはまだまだ・・・

 

ここさえ良くなれば、もう少し熱狂的に興奮して押すんですけどねえ。動画の時点で、まだその点がもう少しなのがわかるのがもどかしいとこです。ただ、このポイントは鍛えればまだ良くなるポイントでもあるので、デビュー・アルバムの頃までには改善されることに期待したいとこです。

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 14:10
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2018春ポップ・ミュージック雑感(1)10年先の流行りが本当に読みにくい!2008/2018/2028?

どうも。

 

 

では、お約束の通り、音楽系のコラムをやりましょう。計3回かな。多分、それでいきますが、4回の可能性もないわけじゃないです。

 

 

基本は僕のことなのでロックにどうしてもなっちゃうんですけど、過去数年で「ロックの将来を憂う」みたいなことはいっぱい書いて自分でも飽きているところがあるので(笑)、今回のはポジティヴ(かな、笑)な感じでいければと思っています。

 

 

で、第1回の今回のお題ですがこんな感じです。

 

 

10年先の流行りが本当に読みにくい!

 

 

これで行きましょう。

 

最近、ふと考えるんですけど、今、2018年に流行ってるものって、10年前の2008年じゃ考えられないことになってるよなあ、とすごく思うんですね。それと同時に、「2028年の流行りが2018年とはまたエラくガラッと変わっていそうな気がする・・」とも、なんか思えちゃうんですよね。そういう思いについて語って行きましょう。

 

 

では、まず、「2008年には元気があったのに、今は・・」という変化から語ることにしましょう。

 

 

 

1.「子供はうるさいロック聴くもんだ」という社会通念が全く通用しなくなった

 

 

 これは僕が全く予想できなかった展開ですね。僕の中で、ロックに関しては、「この部分に関してだけは滅びることはないだろう」とまで思っていました。「子どもというのは、常に刺激の強い音を求めるものだ」。そう信じていたし、それだからこそ、「多少叩いても、この音楽を支える層なんて、そう簡単に崩せやしない」と思っていたからこそ、ニュー・メタルとかを叩いてたとこ、あったんですけどねえ〜。

 

 

 振り返るに2008年も、一般人気のあったラウド・ロックもので最後のトレンドだったエモが、まだこの時は絶頂人気だったかな。僕がブラジル来たばかりの2010年にも、まだエモはキッズに人気がすごくあって、その翌年くらいまでかな。国産のバンドでもチャートの上位に入っていましたね。

 

 

 ところが2012年くらいから、もう、一般的に流行ることがなくなりましたね。確かこの前の年にマイ・ケミカル・ロマンスが解散して、フォール・アウト・ボーイが長らく新作出さなくなった時期だった気がするんですが。ただ、ブラジルのエモ・キッズ見て思うに、昔のラウド・ロック・ファンよりはかなり柔和な感じがしたのと、アイドル・ポップ化して、そのイメージを嫌う人の声がものすごく強くなっちゃったのが大きな原因のように僕には映っていましたけどね。

 

 そこからは、若い子の聴くものって、しばらくはEDMってイメージが強くなって、やんちゃな子とかでも、酒飲んでグアーッと暴れたい、楽しみたい、って感じの方が強くなったというか。そこに、別段、マッチョなイメージはさほど必要とされなくなった感じはしましたね。

 

 あと、逆に、「うるさい音楽が好きなのはむしろ親世代」って感じが年々強くなっても来ましたね(笑)。アイアン・メイデンとかメタリカとかスレイヤーとか。彼らが新作出したり、ツアーしたりすると、未だに全盛時に引けを取らないくらいに売れて、ライブ会場に行くと、僕と世代が前後する40〜50代のイカつい人たちがたくさんいる。それこそ、その人たちが、エモだったり、EDMとか聞いてそうな世代の子供がいそうな親だったり(笑)。でも、仮にそういう人たちを親に持ってしまうと、やっぱり子供って、「自分の世代の固有の文化」というものをどうしても持ちたがるから、親が好むそういう音楽を聴かなくなる・・という図式は理解できないことはないですけどね。

 

 

2.「これからはインディに自由な活動の夢がある」の神話が脆くも崩れた

 

 これも思いつかなかったことですね。

 

 2008年くらいなんて、もう、インディ万々歳の時代でしたからね。

 

 ちょうどアークティック・モンキーズが成功して間もない時期でもあったから、「これからはレーベルに属さなくても、ネットの力でファンさえつければ、自分たちの力だけでやっていける」。そんな雰囲気がありましたね。ちょうど、あの頃はまだmyspaceなんてものがあって、「良いバンド知りたきゃmyspaceチェックしろ!」みたいな風潮もありましたからね。

 

 で、この当時の”インディ・ドリーム”としては、「ネットで音源を発表してそこそこ話題になって、ピッチフォークで褒められて成功」みたいな感じだったかな。実際に、”あくまでイメージとして”ですが、アーケイド・ファイア、ボン・イヴェール、ヴァンパイア・ウィークエンド、フリート・フォクシーズあたりはこうやってブレイクした印象を与えたものでした。

 

 ただ、そうだからなのかどうだかよくわからないんですが、この辺りから、インディのバンドが悪い意味でガッつかなくなったんですよね。なんか、「野心を見せないのがカッコいい」のかなんか勘違いしはじめたのか、なんか外見からして全く華のない、フツーの学生とあまりにも変わらないバンドばっかりが増え始めたんですよね。2010年代の前半でしたけど、いや〜、今から振り返っても、正直、この頃、キツかった!まだ、ストロークス、ホワイト・ストライプス〜アークティックくらいのNMEが激押しした2000年代のインディ・ギター・バンドって、まだ華も野心もあったんですけどねえ。

 

 ・・と思ったら、だんだんそれが通用しなくなってきた。その決め手となったのは、ストリーミングの時代以降にビルボードのチャート改正が入ってからです。2015年くらいからがそれに当たると思うんですけど、このころから、チャートのつけ方が、「CDの単純な売上集計」だったのが「ストリーミングによる視聴回数」に変わったんですね。そうなると、「リピートして聴く回数の多いローティーン以下の層に強い音楽」がどうしても強くなってしまう。

 

 そこへ行くと、「ファンと」バンドの結びつき」だけが強く、巷のラジオで耳にすることのないインディ・ロックは一気に不利になってしまいます。だって、やっぱり巷でよく知ってる曲の方が世間一般の人はリピートして聞かれやすいじゃないですか。逆に、アーティストへの愛とファンの年齢層が高いことで、ロック・ファンはまだCDを買ってアーティストに貢献しようとするんですけど、それだとストリーミングにタッチしないので発売週にしかチャート換算されなくなってしまう。そういうことになっているから近年

 

 

ビルボードのアルバム・チャートでロック系のロック・アーティストが初登場でトップ10に入っても、翌週は100位圏外といった、以前なら考えられないようなことが起こるようになったんです!

 

 そうなってしまうと、ロックが一般にアピールすることって、かなり難しくなってくる。もう、子供たちの頭の中でも「知っている曲をストリーミングのプレイリストで共有する」時代になっているので、「自分だけのとっておきのバンドをインターネットで探す時代」なんてとっくに終わってしまっているのです。

 

 

 

3.EDMが「エレクトロ不毛の地」だったアメリカを制したのに、すごく蔑まされさえする音楽にもなった

 

 これも、ある意味、意外といえば意外です。

 

 ちょうど2008年くらいって、その直前くらいが、イギリスで「ニュー・レイヴ」の動きがあってクラクソンズが注目されて。インディ・ロックだとメトロノミーとかフレンドリー・ファイアーズとかも同じ頃ですね。で、フランスでジャスティスが出てきたくらいですね。で、カニエ・ウェストがダフト・パンクをサンプリングして、リアーナがエレクトロ路線で人気出はじめた時で。

 

 この頃の瞬間的なベクトルでは、エレクトロが一番将来的な期待値が高い音楽でしたね。そして、それが、これまで「この国にはエレクトロの文化は根付かない」とまで言われていたアメリカで初めて本格的なブームが呼び込めるのではないか。そういう期待感があったことも事実です。

 

 で、それは現実のものとなりました。2010年くらいからデヴィッド・ゲッタやキャルヴィン・ハリスが当たったのを皮切りに、今に至るまでアヴィーチーやらゼッドなんかも大ヒットを出すようになって。アメリカで長いこと根付かなかった「スターDJ」なるものも出てきた。これまでのアメリカでの、この文化のはやらなさっぷりを知っている身からすれば、確かに驚くべきことではありました

 

が!

 

 

その大ブームと共に、同時に音楽レベルが低く見られる音楽にさえなってしまった・・。

 

 

 その一つが、EDMのショーの楽しみ方ですよね。あれは僕もちょっとついていけないものがあります。90年代までの頃だったら、「グルーヴ感を楽しみもの」という印象があったのに、フィーチャリング・シンガーが入るとことか、サビとかで大合唱だとか、ケータイ片手に高くかざして楽しんでる自分をセルフィーに 撮って酔う。こう言う文化がロックフェスにも入り込んで浸透していけばいくほど、同時に叩かれもするようになった。EDMも今も音楽ジャンルとしては人気ですが、ただ、ブームとしては落ち着き、淘汰の段階に入ってるかな、という感じでしょうか。

 

 ただ、これに関して言えば、僕はちょっとだけ予想してました。というのは、僕の過去の音楽人生に照らし合わせてみる限り、「エレクトロ・ミュージックが流行る時はかなりのひどいものも生み出すもの」というのが認識としてあったから。例えば70s後半だと、クラフトワークとかボウイのベルリン三部作があった一方で安っぽいディスコブームがあり、シカゴでハウス、デトロイトでテクノが生まれた80年代後半にも一発屋のくっだらない匿名ハウスヒットが生まれてはすぐに去っていった。虚しい文化生まなかったのって、90sのトリップホップとかビッグビートの流行った、あのあたりしかなかったんじゃないかな。

 

 実際、ニュー・レイブの流行りの時点で、クラブ・レベルではもうすでに「これはチャラチャラしすぎだな」と思えるのもあったので、「これ、大衆でバカ当たりするときは、かなりしょうもないヒットも混ざるな、こりゃ」とは思っていたら、思った以上でしたね(笑)。

 

 

では、今度は2018年に強いものを見ていきますか。

 

 

4.R&B/ヒップホップがまたクールなものになって復活するとは!

 

 現在の驚きで言えば、やっぱりこれですよ!近年のR&B/ヒップホップの隆盛ですね。これも10年くらい前は全く予想できなかったことです。

 

 R&B/ヒップホップは、僕は個人的に一番熱心に聞いてたのは90年代中頃ですね。あの頃が一番クリエイティヴィティ的には活気あったと今でも思ってます。あの頃はヒップホップもR&Bもまだ、アルバム1枚を、自分で、もしくは専門のお抱えプロデューサーで作るのなんて当たり前だったし、そうやって優れたアーティスト、たくさん生んでいた時代です。

 

 でも、ビギーとトゥパックが96,97年に亡くなってから、産業自体がすごくシステマティックになって、そこからは「う〜ん」って感じになってましたね。1曲1曲を全部違うプロデューサーで、しかも1曲をものすごく多数のソングライター関わる作りって、このくらいから徐々に出てきましたね。で、ミレミアムの頃に、デスチャとかジェイZとかネプチューンズ(ファレル)やらカニエやらが出てきた時に一瞬また良くなりかかったんですけど、みんながファレルとかティンバランドの取り合いになったりで進歩がなくなったり。

 

 それでもって、ちょうど10年くらい前って、R&Bのスターが小粒化してましたね。クリス・ブラウンだったりシアラだったりNe-Yoだったり。本当にリアーナくらいですね、刺激あったの。スター・ラッパーもせいぜいリル・ウェインくらいだったかな。TIとか未だに何が良いのかわからないし。なんかですね、売れはするんだけど、それがピッチフォークみたいな批評媒体のレヴュー対象になることも、あの時期、本当に少なかったですから。せいぜいカニエとジェイZとリル・ウェインくらいなものでしたよ。インディ・ロックのファンもあの時期にこのジャンルの音楽に注目してる人、僕の記憶にある限りほとんどいなかった。むしろ90sのインディ・ロックのファンの方がヒップホップ、抑えてる人多かったですからね。

 

 この頃に僕がよく言ってたことなんですけど、「ヒップホップの世界に、サブポップとかニルヴァーナみたいな存在、出ないのかな」って思ってたんですよね。それを友人に言うと、「そういうのが出てきたら妬みで殺されちゃうんじゃないですか」とブラック・ジョークで返されとかもして。ただ、ポイントは本当にそこにあったようで、2010年前後あたりから、ローカルのアンダーグラウンドのシーンが活性化し始めるんですね!

 

 それはドレイクとウィーケンドのトロントであったり、ケンドリックのコンプトンであったり、フューチャーのアトランタであったり、チャンス・ザ・ラッパーのシカゴであったり。そうした地下レベルでの話をピッチフォークあたりから拾うようになりましたね。それが2011、12年くらいで。そのくらいから、これまでそういう音楽聴くイメージがなかったようなHard To Explainの若いスタッフとかからもこう言った人たちの名前が口から出るようになっていって、僕もすごく驚いたのを覚えてます。

 

 で、彼らが、インディとEDMがパワーダウンした2010年代半ばから完全にシーンの主導権とって、今に至る感じですね。やっぱり、地下でうごめくような胎動があったとこって、次の時代作りますね。そこんとこは、昔から変わらないものです。

 

 で、今ではR&Bが面白くなってきてますよね。ウィーケンド、フランク・オーシャン、ジャネール・モネエ、ソランジュ、SZA・・。R&Bもある時期、アーバン志向ばっかりで画一化してつまんなかったんですけど、今名前を挙げた人たちのジャンル横断感覚が目まぐるしくて。すごくいい傾向だと思います。

 

 

5.韓国とかコロンビアの音楽が流行るようになった

 

 これも全く予想しなかったことですね。K-Popと、コロンビアのラテン・ポップですね。

 

 この両国とも、エレクトロやヒップホップの最新のコンテンポラリーな要素をエッジを生かしながら独自に発展させたとこが大きいですね。でも、これまでだったら、その国の周辺、韓国だったらアジア、コロンビアだったら中南米以外で流行ることって考えられなかった。

 

 ところが、ストリーミング・サービスの存在がそれを助けました!ストリーミングって、全世界の音楽をケータイなりPCのブラウザの中でまとめて聞ける醍醐味があるんですが、もう、そこでは興味さえ持ってしまえば、言語なんて関係なくリスナーの方が勝手に聞いてくれる。しかも、韓国にせよ、コロンビアにせよ、元になっているのはキッズが好みそうなダンス・ミュージックだから、子供たちにとってもサウンド的な敷居も低い。こう言う背景があるから、BTSにせよ、Jバルヴィンやマルマも英語圏で聞かれてるんでしょうね。

 

 また、別のところでも、例えばフランスのクリスティーン&ザ・クイーンズがフランス語のまま、イギリスのアルバム・チャートでトップ5に入ったりするようなことも起きてます。このストリーミングの時代、「ワールドワイドに自分の音楽を聞かれたい」と思っている人は、今こそ勝負をかけた方がいいと思います。そこに関しては本当にいい時代になりました。

 

 

では、今度は2028年に目を向けましょうか。

 

 

6.R&B/ヒップホップの勢いは2028年も続くか?

 

これに関しては、「そう願いたいけど」という感じでしょうかね。

 

2018年の時点で見ると、今のシーンの牙城、崩れそうな感じはしません。4で前述したアーティストたちやJコール、カーディB、ミーゴスあたりはしっかりとしたステータス築いて残りそうな気もしますからね。

 

 あと、Black Lives Matterみたいなスピリチュアルな運動もあったし、「ブラック・パンサー」の現象的ヒットやケンドリックのピューリッツァー賞にビヨンセのコーチェラでの歴史的ショーでしょ。文化として起こっていることが70s前半の「ブラック・イズ・ビューティフル」の頃とか、90s前半のLA暴動近辺のヒップホップとブラック・ムーヴィーの台頭と匹敵する盛り上がりだと思います。

 

が!

 

そうした「大丈夫だろう」と思われているものが、過去10年で随分崩れている!

 

 そこが気になるところなんですよねえ。

 

 実際の話、よくない兆候も結構あります。どんなにいい時代になったからといって、古くからの「人気プロデューサーの使い回し」だったり、「フィーチャリング・ゲストの過剰導入」だったりという、10数年前からの傾向はより強まっていってるでしょ。Jコールみたいな、自分一人でなんでもやっちゃうアーティストが天然記念物みたいに見える状況は良いとは言えません。だって、それって、プリンスみたいな天才を生むのを難しくしてしまいますからね。

 

 そこに来てマンブル・ラップの流行でしょ。V系の黒人版みたいな風貌の、ファッション人気が先行しきってる感じの今の若いラッパーですね。あのテの若手って、ドラッグ・アディクトの心情をリリックにしているところで新しさはあるかとは思いますが、ラッパーとしてのスキル的な魅力に乏しいし、リリックも勢いセンセーショナリズムに訴える方向だけの感じにも陥りかねない。実際、10代なのに逮捕歴ウリにしてる連中多いしね。あと、やっぱりエクスエクスエクステンタシオンなんて、簡易デモテープの域を出ない音楽性ですからね。ああいうのが「リアル」って言われる(批評レベルではほとんど見ないけど)のはどうかなと。

 

 そういうこともあって、黒人メディアのフェイスブックの書き込み見てると、案外、ヒップホップの将来を危惧している人、意外と多いんですよ。僕も、ヒップホップの今の良い流れが崩れるとしたら、マンブル系の人気の比重が大きくなりすぎたときかな、と思うので。

 

 最近、ジャック・ホワイトとかデイヴ・グロールは今のヒップホップを「新しいパンク」と呼んでるみたいですけど、僕はそうじゃないですね。パブリック・エネミーとか、NWAの頃の方がより反抗的でパンクのニュアンスは強かったと思うのと、どっちかというと、今のシーンは80年代末のメタルのシーンの方に近い気がしてます。つまり、いろんなタイプの音楽性の人たちが「ヒップホップ」というジャンルに収まっている多様性があるし、一方でガンズとかメタリカみたいにいつまでもレジェンドとして残るであろう人もいれば、一時代のファッションだけに終わったヘアメタルみたいなものもある。ああ、そう考えると、やっぱり悪化なり、淘汰の道はあるかなあ。

 

 

 

7.ロックの復活はあるのか?

 

 ヒップホップとは全く逆に、ロックの方には現時点では良い流れがありそうには一般的には見えません(苦笑)。

 

 だって、1、2の流れがある上に、ギター・ブランドのギブソンは破産申告するは、レジェンド・アーティストの高齢化は進んで死のニュースだって増えてるでしょ。そこに加えて、ストリーミングの時代になってから、シングル・ヒットはおろか、アルバムでも長く売れるようなものがなくなった。フェスでも、ロックの比重がだいぶ落とされるようになった。いいこと全然ないんですよ。

 

が!

 

 それでも10年たったら「まさか!」ということが起こっているから、わからないんです(笑)!

 

 根拠はハッキリしたものはないんですけど、なんか2028年くらいまでにはロック、こっそり持ち直しているような気が、なんとなく僕はするんですよね。もちろん、「さらなる悪化」の可能性もあるにはあるんですけど、じゃあ、「絶滅するか?」となったら、「それはないでしょ」とは思うので。

 

 例えば今って、女性と黒人の力がポリティカリー・コレクトの後押しもあって強いでしょ。ロックが弱くなっている理由の一つに「白人のミドルクラスの音楽」というイメージがあり、そこでも割を食っているわけです。だけど、女性ポップ・セレブであれ、R&B/ヒップホップって、ライブ・ショーに強く、自分で曲を書けるアーティストって、どれくらいいます?その部分が解消されない限り、ロックファンの多くの人がこうした音楽を躊躇なしに歓迎することって難しくはあるんですよね。日本はその辺どうかわからないんですけど、少なくとも欧米圏では、見た限り、かなり根強いですね。

 

 あと、最近、「分業制こそ本来あるべき姿だ」とか叫び始めているアイドル系のファンがいたりするのも知ってますけど、「本当か?」としか思わないですね。それはやっぱり、ロックっていうのが、「自分たちの作った歌を、自分たちでステージで生で表現するからリスナーに届いてきた」という歴史が50年くらい続いてきたわけでしょ?それって、やっぱり僕は普遍だと思っていて。それが、誰かからこしらえてもらって、それをただ放送で届けるだけだったら、ここまで文化として強くなってないわけで。少なくともそれを、流行ってから30年も50年も経っているのに「心の名盤」として持ち続けることなんてないでしょ。

 

 だから、ロックが盛り返すポイントがあるとしたら、今言ったことが改めて再評価される時ですね。それが10年後に間に合うタイミングで訪れるかは確証は持てませんが、今が底が底だけに意外とありえるような気がしてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:評論, 10:42
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