RSS | ATOM | SEARCH
映画「デッドプール2」感想 教育上、相変わらず非常に悪い(笑)なりにも・・

どうも。

 

 

では、今日はこちらの映画レヴュー、行きましょう。

 

 

 

全米映画興行成績で初登場1位になったばかりの「デッドプール2」、こちらのレヴュー、行きましょう。

 

 

もともと、スーパ_ヒーロー自体にそんなに思い入れがなく、コメディが専門分野の僕としては、この、どう見てもヒーロー界の劣等生で、徹底して笑に徹するこのシリーズ、大好きなのですが(笑)、さて、今回はどのような感じになっているのでしょうか。

 

 

早速、あらすじから見ていきますが、この映画「ネタバレ・ポイント」が結構前の方にあって非常に説明しづらいんです。なので、<前略>を置いて、中頃の少し前からお話しします。

 

 

 

普段はどう見てもおバカなウェイド(ライアン・レイノルズ)ですが、実は前作同様、今作も人生には絶望します。そんな矢先に、Xメン養成役のコロッサスが励ましも兼ねながら、ある事件の捜査を依頼します。

 

 

コロッサスの相棒、ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドは相変わらず男前な感じですが、そんな彼女には新たに、日系人のレズビアン・ラヴァー、ユキオもついていました。

 

 

一行が向かった先は、ミュータントを養成する学校で、ここでは

 

 

一人の少年、ラッセル(ジュリアン・デニソン)が暴れていました。彼はミュータントの力を持って、学校に日を放ったりしていますが、

 

 

 

この少年の荒れている理由が、この学校の指導者たちからの虐待にあることに気がついたデッドプールは、学校の指導者たちを殺しラッセルを連れて逃げようとしますが、警察に捕まってしまいます。

 

 

その刑務所に、謎の男が現れ、大暴れします。

 

 

その男はケーブル(ジョッシュ・ブローリン)と言って、どうやら未来の世界からやってきたようです。デッドプールは刑務所の中で彼と死闘を演じます。どうやらケーブルの目的はラッセルを始末することにあるようでした。

 

(中略)

 

 

 

ケーブルとの戦いで図らずも刑務所を出てしまったデッドプールでしたが、刑務所に残してきたラッセルのことが気になります。彼は、即席で軍団を組んでラッセル救出に立ち上がろうとしますが、何せ素人集団。もろくも、そのもくろみは崩れますが

 

 

このドミノ(ザジー・ビーツ)だけは違うようで、大活躍します。

 

 

デッドプールは再びケーブルと戦いを繰り広げます。ところが話は思わぬ方向に展開し・・・。

 

 

と、ここまでにしておきましょう。

 

 

 というのが、今回ですが、

 

正直なことを言えば、前作ほどの衝撃はありません。

 

が!

 

 

今作は今作で面白いです!!

 

 

このニュー・メンバー2人は少なくともかなりいいですよ。ジョッシュ・ブローリンって、さすがに名優ですね。彼は脇に回ると、必ず話にワン・ポイントを加えてくれるものですが、それはここでも生きてます。

 

そして

 

 

ザジー・ビーツはかなりいいですね!彼女は、ここで何度も紹介しているドナルド・グローヴァーのドラマ「アトランタ」で彼の元妻役で注目された人ですけど、これで映画界の進出にも成功しましたね。彼女の好演が、このシリーズにフレッシュな空気を注ぎ込んでいるのは確かです。

 

 

 あと、脚本も細かいところでかなり冴えてます。ライアン・レイノルズの独り言は相変わらずひねりが効いてて面白いし、ポップ・カルチャーからのネタの引用も相変わらずおかしいです。エイティーズ・ネタ、冴えてます。今回使われたのは

 

 

 

これとか

 

 

これとか(笑)

 

 

これですね(笑)。

 

 もうね、この辺りはアラフォー、アラフィフのオーディエンスのツボ、つきまくりです。

 

 

あと

 

 

この人たちも前回に続いてかなりいい味出してます。監督は今回前作とは違う人なんですが、この辺りのギャグセンスは変わってません。これ、ライアン・レイノルズ自身が脚本に加わってるのが大きいのかなと思います。彼、これ以外にオリジナルのコメディ作ったら、かなり才能ありそうな気がするんですけどね。

 

 

で、そういうバカバカ示唆はキープされつつも、これ、

 

 

なんと、教育的メッセージがある!

 

 

あれだけ殺人や首切りしといてメッセージも何もあるか(笑)という感じがするんですが、あるんです、ちゃんと。

 

 

 

これ、結構、大きなヒントですね。結局、あれだけバカをやってはいても「決して一人では生きられない」ことや、「愛されること」をデッドプールは望んじゃう人なんですよね。それが実は第1弾からは変わってません。

 

・・と、この辺にしようかと思うんですが、えっ

 

 

ヴァネッサはどこへ行ったんだって?

 

 

まあ、その辺りは見てのお楽しみということで。

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 12:24
comments(0), trackbacks(0), - -
映画「A Quiet Place」感想 全米で予想外の大ヒット・ホラー!音の出せない世界での、ありえないのにリアルな生き方

どうも。

 

 

では、今日も映画レヴュー、行きましょう。今日はこれです!

 

 

つい先日の全米映画興行成績でも1位でした。この「A Quiet Place」、こちらのレヴュー、行きましょう。

 

これは、実は大ヒットをすることを期待されていなかった低予算のホラー映画で、主演だけエミリー・ブラントで目立つんですが、それ以外は当初は地味な作品でした。ところが、いざフタを開けてみると、噂が噂を呼んで想像以上のヒットとなった。そんな映画です。僕も気になってしまい、思わず見てしまいたくなりました。

 

 

では、早速あらすじから行きましょう。

 

 

 

時代は近未来。世の中は人類がほとんどいなくなったまさにディストピアです。そこに一家5人のアボット家が、すみかと食料を求めて生活していました。一行は無人のスーパーマーケットに行きますが、そこで末っ子の次男、まだ小学生にも満たないボーが電動式のロケットのおもちゃを買おうとしますが両親に反対されます。それはこのおもちゃが音を立てる仕組みのもので、それが聞かれると、世を支配しているモンスターたちに殺されてしまうからです。

 

 しかしティーンエイジャーの長女リーガンがこそっと「持っていっていいよ」というのに甘えてボーがそれをこそっと隠し持って旅路に着くと、橋でそのロケットが大きな音を出してしまいます。ボーはモンスタ_にさらわれ、帰らぬ人となってしまいます。

 

 

 

それから約1年後。お父さんのリー(ジョン・クラシンスキー)とママのイヴリン(エミリー・ブラント)、リーガン、そして長男でリーガンの弟のマーカスの4人は山の中の廃屋の隠れ家で静かに生活していました。

 

 

 

そして、よほどボーを失ったことが悲しかったのか、「音の出せない世界」を生きているというのに、イヴリンは赤ちゃんを妊娠までしています!ただ、出産が近いので、あまり動けません。

 

 

 

リーとマーカスは身重のイヴリンに変わって、川に食料である魚を取りに行きます。滝とセットになったその川は自然の音そのものが大きいため、「モンスターには聞こえまい」ということで、ここが唯一の会話場所になっていました。

 

 

一方、耳が不自由で普段手話も使っているリーガンは父と弟とは行動せず、身重の母のそばにもいるわけでもなく、山の中を歩き回ります。行き先は弟ボーの死亡現場。家族は彼の死後、かなり重いトラウマを抱え、彼女はそれに強い罪悪感を感じていました。

 

 

 そんな彼女は、耳をつんざくような金属音を出す補聴器をしていましたが、これがストーリー上で大きな意味を持つものにもなります。

 

 

 

 そんな折、イヴリンのは水が予想以上に早いタイミングできてしまいました。そんな状況で「音を出すな」というのは非常に酷な状況だったのですが、運の悪いことに、彼女はボロ屋の板で足を痛めてしまい、相当の苦痛を味わうことになります。さすがに完全に音を出さないわけには行かず、モンスターには気付かれ、危機一髪の状況に陥ってしまいます。

 

 

 家族のみんなは、家の方から何やら怪しい音と変な色が上がっているのを見て、イヴリンに異常が起きたことに気がつきます。モンスターから彼女を助ける唯一の方法は別の大きな音を出してモンスターの気をそらすことでした。逃げ込んだ場所にモンスターが迫ってきたイヴリンは恐怖とパニックに苛まれてしまいますが、彼女の運命は・・・。

 

 

・・と、ここまでにしておきましょう。ここまでで、実はストーリーはまだ半分くらいです。

 

 

 これはですね

 

 

監督したのは、お父さん役で出演のジョン・クラシンスキーで、彼はエミリー・ブラントのダンナさんです!

 

 

彼なんですけど、

 

 

元はと言えば俳優で、10年から5年前にかけては、NBCの人気コメディ「The Office」で「のんきなナイスガイ」ジム役で知られていて、ジェナ・フィッシャー扮する受付のパムとともに「ジム&パム」として「理想的な劇中カップル」としてもすごく有名でした。その印象が強いものだから、「彼が監督をする」と言っても、当初は真面目には取られなかったのが事実です。そういうこともあって、この映画、極めて低いバジェットで作られていましたが、内容を買われてメジャーのパラマウントから配給されることにはなりました。

 

 

 ただ、今年の2月、アメフトのスーパーボウルでこの映画のトレイラーを流したところ評判が良く、その印象を持って公開に踏み切ったら、公開直前から絶賛レヴューが続出。ついには関係者が誰も予想しなかった、「最初の週末に5000万ドル」という、制作費の3倍の収入を稼いでしまいました!この5000万ドルって、スーパーヒーロー映画の第1段作品並みの数字ですからね。そりゃ、たまげもするものです。

 

 

 で、これですが

 

大ヒットも納得!メッチャクチャ、面白いです!

 

 

そして、もっと言えば

 

 

そうとう怖いです!

 

 

 

「音が出せない世界」というディストピアなアイディアがまず面白いです。そういう世界の中なので、映画はすごく静かに進むんですが、もう、話の間中、いつ大きな音がなってもおかしくないギリギリの状態で話が進むんですよ。もう、これが終始、「やめて、やめて〜!!」というくらいドキドキしまう。しかも、ガタガタッていう音が崩れるタイミングが結構突然来るのでビビります。これ、ホラー映画としてまず秀逸です。

 

 

少なくともその点で言えば

 

 

同じくサプライズ・ヒットでオスカーでも映画賞でも話題を呼んだ「ゲット・アウト」より上ですね!

 

 

実際、これ、面白いのは「スリル」だけではありません。それに加えて

 

 

非常事態に置かれた状態で人間が実はとってしまいがちな、矛盾しがちな行動!!

 

 

もう、僕的にはこれに随分惹かれました!!

 

考えてもみてください。

 

 

「音出しちゃいけない世界」なのに、「子供作ろう」なんて普通ありえないじゃないですか(笑)!!

 

 

この映画は面白いのは、「理屈に合わない。だからボツ」とするのではなく、「でもシチュエーション次第によってはそうしちゃうよね」という、人間の、「わかっちゃいるけど、でもね・・・」な行動を、その行動に至るまでのバックグラウンドをしっかり動機付けして描いているのも特徴です。

 

 

他にもこれ、ツッコミどころはたくさんあるんですよ。「おとうさん!ママを助けたいあまりに、子供達への注意がおざなりになっていますよ!」とか、「いくらモンスター対策だからって、そんなことしたら赤ちゃん、大丈夫なのか??」とか、「その対処法、ちょっとヤケクソすぎませんか」とか、そういうのが実は連発されます。

 

とりわけ

 

 

耳の不自由な子を放置しすぎです(笑)!

 

 

このように、一見、「脚本、穴だらけなんじゃ?」とも思えるストーリーなんですけど、演出とテンポが丁寧なことも手伝い、そこのところがすっかり説明できているんです。例えばこの子なんてのは、「大事にしないと」という親心はもちろんあるんですが、同時に「思春期の真っ盛りで、自分のことは自分でしたい!」という時期にこれが起こっているから、そこのところで説得されてしまう。これ、一つ一つの事項を、クラシンスキーも含めた脚本陣がかなり念入りに確認しあいながら作った痕跡を感じましたね。

 

 

 それがあるからなのか、ホラーとかサスペンスにありがちな「うまい切り抜け方だけど、そんなに器用に物事って運ぶのか?」という疑問に、これ、いい答え出してるんですよね。恐怖に襲われた時の人間って、落ち着いてないからそこまで論理的になれない。だから失敗もあるし、別の悪い可能性を考えきれていないひどいアイディアの時だってある。この映画は、そうした人間の不完全さを絶妙に描ききれています。

 

 

 この映画、もう早くも、去年の「ゲット・アウト」に続くサプライズ・ノミネート、あるんじゃないかとも言われてますが

 

 

僕は反対しません!

 

 

少なくとも主演で大熱演したエミリーと

 

 

 

助演女優で、リーガン役の、このミリセント・シモンズはノミネートされてほしいですね。彼女のことはこの映画の前まで知らなかったのですが、聞いた話によると、今、一番演技の上手い子役なんだそうですね。彼女がよくなかったら、この映画、ここまでの傑作にならなかった気がします。

 

 

それにしても

 

 

エミリー・ブラントのダンナの監督としての才能には驚かされましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 12:19
comments(0), trackbacks(0), - -
映画「Love,Simon」感想 これぞ最新モードのアメリカン・ポリコレ青春コメディ!

どうも。

 

 

予告していた通り、今日と明日は映画レビュー、行きますが、今日はこれです!

 

 

 

この「Love,Simon」という映画。これはつい先日アメリカでも公開されたばかりで、全米興行成績でもトップ10に入るヒットになっていた映画で、久々にヒットした青春コメディですね。キャスト的にもすごく新鮮で興味深いものがありました。個人的に、ここ最近では最も見たかった映画です。果たして、どんな映画なのでしょうか。

 

 

さっそく、あらすじから見てみましょう。

 

 

舞台はアトランタの郊外。主人公サイモン・スパイヤー(ニック・ロビンソン)はなかなかハンサムな一見普通の高校生。

 

 

彼の父親のジャック(ジョッシュ・ドゥアメル)はフットボール育ちのマッチョな野郎で、母親のエミリー(ジェニファー・ガーナー)も学生の頃は典型的にモテたコンサバな感じの女性です。あと、料理好きな妹のノラがいます。

 

 

 

そして学校生活では、幼馴染のすっごく可愛いリア(キャサリン・ラングフォード)と同じく親友の黒人青年のニック(ジョージ・レンデボーグ)、そして最近学校に転校してきた演劇部所属の女の子でニックが思いを寄せるキュートな黒人の女の子アビー(アレクサンドラ・シップ)の4人でハイスクール・ライフをいつも一緒に過ごしていましたが

 

 

そんなサイモンには、そのいつもの仲間にさえ言えない秘密がありました。それは彼がゲイであること。まだカミングアウトは、彼なりの理由があるゆえに誰にもしていません。

 

 

 

そんなサイモンはある日、gmailで見つけた、同じ高校に通うゲイの少年からメールを受け、恋心がときめいてしまいます。サイモンは古いポップ・ミュージックの大ファンで、ハンドル・ネームをキンクスの「Waterloo Sunset」の歌詞の一節から引用するなどという、かなり通な一面も見せます。もう授業も上の空でケータイのメールのことばかりが気になってしまい、

 

 

 

ちょっと変なユーモアのセンスを持ったワース先生(トニー・ヘイル)にケータイでメールしている姿を見つかり下校時間まで没収されたりもしますが、先生にはメールの内容を見られていなくて一安心。

 

 

しかし、ある日、サイモンは学校のパソコンでその謎の少年とメールのやり取りをした際、内容を消し忘れて、次にパソコンを使ったマーティンにその内容を見られてしまいます。マーティンは演劇部の超キモいウザい変人として有名だった男だったので、ことは非常に面倒になります。マーティンは、メールの内容を人に言いふらさない代わりに、自分を早くも演劇部の華になっていたアビーと引き合わせるようサイモンに命令します。アビーと親友ニックの間柄を知っていながら、ゲイであることを知られたくないサイモンは、しぶしぶマーティンの脅しに乗ってしまうことになりますが・・。

 

 

・・と、ここまでにしておきましょう。

 

 

これはですね

 

 

2015年に発表されたこのYA小説「Simon Vs The Homo Sapiens Agenda」を映画化したものですが

 

 

非常によくできてます!

 

これ、感触として、いわゆる1980年代のジョン・ヒューズもの、いわゆる「ブレックファスト・クラブ」とか「プリティ・イン・ピンク」みたいな、その当時のポップ・カルチャーと絶妙に歩調を合わせたヒップな青春コメディですね。あるいは10年くらい前に起こった、まさにジョン・ヒューズ・リバイバルな感じだった「スーパーバッド」とか「JUNO」に似た感じもあるんですが

 

 

 

この映画は、現在のポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)の時代の空気感を掴んだ、今あるべき最新型のアメリカン青春コメディになっています!

 

 

 

まず主人公のサイモンをこのニック・ロビンソン君が非常にうまく演じています。僕は彼はこの映画の前までは知らなかったのですが、これから、同じくゲイの少年役を「君の名前で僕を呼んで」で演じていたティモシー・シャラメや、「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートと並ぶアンダー25の人気スターになりそうな予感がしますね。

 

 

さらに

 

 

 

この映画はメイン・キャラクターに2人の黒人を据えたことがすごく効果的だったと思いますね。このテの白人の子が主役のアメリカの青春ドラマで、黒人の子がここまでメインで目立ったことって、ちょっとすぐには思い出せませんからね。

 

 

特にアビー役を演じたアレクサンドラ・シップは輝いてます。彼女、以前はちょっと地味というかもう一つ押しが弱いなという印象があったんですけど、「Xメン」でモヒカンにした手前、髪がショートになって芸域広がった気がしますね。これから彼女もひっぱりだこになる気がしています。

 

 

それから

 

 

サイモンの幼馴染のベスト・フレンド役を演じたリオ役のキャサリン・ラングフォードは相変わらず美しいですね。彼女はネットフリックスの「Thirteen Reasons Why」で自殺しちゃういじめられる女の子を演じて注目された子ですけど、なんか久々に現れた、ロングヘアがすごくハマってるタイプの正統派美人というかね。

 

 この映画だと、役柄の関係上、やや引いた立ち位置になっているんですけど、存在感は残せているので、彼女も今後も楽しみですね。

 

 

それから

 

 

 先生役で出てくるトニー・ヘイル。この人、今のアメリカン・コメディ映画の脇役で凄く存在感のある人です。「アレステッド・ディヴェロップメント」で注目されて、エミー常連の「VEEP」でのジュリア・ルイス・ドレイファス演じる女性大統領の秘書役でいい味出してエミーも助演で取ったんじゃなかったかな。彼の存在がワン・ポイントで面白いのも特徴です。

 

 

 

ジョッシュ・ドゥアメルとジェニファー・ガーナーもよかったですね。ジョッシュの方は、「ファーギーのダンナ」のイメージばかりが強い、器用さに欠ける役者さんだなあという印象だったんですけど、その不器用さがこの映画では効果的でしたね。ジェニファー・ガーナーに関しては、「もう、こんな大きな子供のお母さんを演じる年齢になったのかあ」と驚きがまずありますね。やっぱり、アイドル女優のイメージでしたから。でも、元の演技力が高い人なので、うまくこなせていたところはさすがでしたね。

 

 

 このように出演者がかなり魅力のティーン・ムーヴィーですけど、これ、ストーリー・ラインもいいんですよ。基本は、「サイモンがメール交換しているのは結局、誰?」ということになるんですけど、その謎解きでストーリーが追えるし、ちょっとした繊細なことで仲良しが衝突を起こしたりなどする「ああ、青春だなあ」と懐かしく思えて胸がキュンとなる瞬間があったりね。

 

 

あと、やっぱり話の内容的にどうしてもサイモンが本当の自分を見せなくてはならなくなるのですが、その時にどういう反応、どういう気持ちで、その勇気ある告白を周囲が受け入れるのが理想か。それもこの映画はしっかりと指南してくれています。

 

 

あと、この映画

 

 

このサントラも、趣味のいいいまどき感があって、すごくいいです。The 1975の「Love Me」がすごく印象的なシーンでかかる時、「おっ!」とつかまされもするんですが

 

 

サントラを全編担当しているのが、ブリーチャーズ。もう今や売れっ子プロデューサーですね。ジャック・アントノフのソロ・プロジェクトのことです。彼は去年、Lordeとセイント・ヴィンセントをプロデュースしたことで一気に知名度あげましたけど、元はfunのギタリストで、「Girls」のレナ・ダナムの、もう別れちゃったけど、5年くらいにわたっての彼氏で有名でしたね。そんな彼も、これから女性のインディ・アーティストを中心に引っ張りだこになりそうなクリエイターになっていますね。ブリーチャーズ名義だと、どうしてもプロデューサー時よりはなんか地味になる印象があったんですけど、このサントラでようやくブリーチャーズとしても開花しそうな予感をさせています。

 

 

こうした点も諸々含めて、この映画、オススメです!

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 14:14
comments(0), trackbacks(0), - -
映画「ピーター・ラビット」感想 可愛いと見せかけて実はかなりバカバカしい(笑)

どうも。

 

 

昨日も少し話しましたが、週末、家族で映画に行きました。その映画が、なんと日本公開されると聞いたので、レビューしておきますね。これです。

 

 

この「ピーター・ラビット」ですね。これが世界で公開されたのは、ひとえに3月の終わりが欧米圏ではイースターの祝日があって、「イースター・バニー」がそのマスコットであることにちなんでいるからなんですが、イースターの習慣のない日本でよくこれが公開されるなあ・・と僕はすごく不思議に思いましたね。

 

 

 これが日本で公開されるのは、おそらくピーター・ラビットの童話が日本で伝統的にすごく人気があるからだと思います。ただ、その童話のイメージ通りなのでしょうか・・。

 

 

 早速あらすじに行きましょう。

 

 

舞台はイギリス北西部のレイク・ディストリクト。ピーター・ラビットはいとこのベンジャミン、三つ子の妹のフロプシー、モプシー、コットンテイルと共に生活していました。この5匹はお父さんとお母さんを育ち盛りで亡くしたためか、ちょっとやんちゃなところがありまして

 

 

 

マクレガー爺さんのお屋敷の農園に野菜を盗みに入っては、追いかけっこをして

 

 

心優しい隣人の画家のベア(ローズ・バーン)に危機一髪のところを良い子のふりをして助けてもらう。そんな生活を送っていました。

 

 

ベアはこんな風に、ラビットたちをテーマにした絵も描いていて、ピーターたちもそれが好きでした。

 

 

 しかしある日、マクレガーさんが突然心臓病で亡くなってしまいました。ピーターたちはそれを知ると、お屋敷に友達の他の動物たちに声をかけ、お屋敷を占拠しますが、そこに

 

 

おいのトーマス(ドーナル・グリーソン)が遺産相続で暮らすようになります。トーマスはロンドンのデパート、ハロッズの店員で、かなり慌てん坊なキャラクターなんですが

 

 

 

お屋敷に動物たちが住み着いているのを見て大慌てします。

 

 

トーマスはマクレガーさん以上に過敏に動物たちに反応し、退治に躍起になります。それに刺激されて、ピーターたちのトーマスに対してのいたずらもエスカレートしていきます。

 

ただ

 

 

その一方で、ベアとトーマスがだんだん仲良くなって、ついには恋人同士になってしまいます。

 

 

 

優しいベアが自分たちよりもトーマスに気持ちが向かい、ある時などはピーターが「お行儀悪いわね」とベアに叱られてしまうほど。ベアを奪われたような気分がして悔しいピーターたちはトーマスへのいたずらをパワーアップさせていきます。そしてトーマスのリアクションもだんだん大仰になっていきますが、そのうちにとんでもないことが起きてしまい・・。

 

・・と、ここまでにしておきましょう。

 

 

 これはですね

 

 

基本線は一応「ピーター・ラビット」の本をモチーフにはしてあるのですが

 

 

 

実態はピーターとトーマスのただのドタバタの追いかけっこです。しかも、かなり大げさで恥ずかしい感じの(苦笑)

 

 

しかもなあ

 

 

ドーナル・グリーソンって、今、イギリスの若手の中でもかなり本格的な役者だよ!

 

 

 

「スター・ウォーズ」での悪役から

 

 

オスカーにノミネートされた「ブルックリン」でヒロインの恋の相手務めるような役者だよ!

 

 

こんな人が

 

 

動物相手に過剰に大暴れする役って(笑)。

 

 

もうねえ、ここ数作の彼とのギャップが凄すぎて、そこで笑うしかなかったですね(笑)。よくこんな役、引き受けたよなあ(笑)。これ、言うなれば、「あのスターが、昔、こんな役を」みたいなとこの例で出されるような、恥ずかしいタイプの作品ですよ(笑)。それを、もうこんなに有名になってしまった段階でやってしまうというのは、ちょっと品格が落ちるというか。あるいは、シャレがすごくわかって、冗談みたいな演技でも楽しんでやってしまえる、よっぽどいい人なのか。

 

 

 

ローズ・バーンの方はピッタリなんですけどねえ。

 

彼女はそうじゃなくてもコメディをやりたがる人だし、こういうのでもノリノリでやりますからね。しかもオーストラリア人だから、ブリティッシュ・アクセント的な演技ももともと得意な人だしね。

 

 

 なのでこれ、ドーナルじゃなくて、もっとB級の人だったり、コメディ畑の人でやった方が適切だった気がするんですけどねえ。なんか彼がやってしまったことで、もう違和感しかなくなってしまってましたね。

 

 

 あと、トーマスのあの人となりで、どうしてベアが恋に落ちるのか(笑)。彼自身が全然魅力的に描かれてないから、そこの部分がなんか不自然に見えて仕方なくもあったんですよね(笑)。

 

 

それから

 

 

肝心なピーターが今ひとつ可愛くない(笑)!

 

ここも弱いよなあ。こう言う内容の映画の場合、多少ストーリーが弱くても、ぬいぐるみがある程度可愛ければそれだけでつかんじゃうものなんですけど、このキャラじゃ、そんなに人気出そうな感じは残念ながらしません。これだったら、「アルヴィンとチップマンクス」の方がまだ可愛いです。

 

 

 ・・と、この内容だと、正直な話、キツいです。いわゆる「ピーター・ラビット」というものに対してファンがあらかじめもっていたイメージを壊しかねないような、そんな危険性まであります。これじゃ、ただの品のないバカ・コメディだもんね。なんでこれをわざわざ、イースターの習慣のない日本がわざわざ劇場公開にまで踏み切ったのか、僕にはわかりません。

 

 

 ただ!

 

 

 子供のウケは意外と良い!

 

 

 それはうちのトムが、トーマスのドタバタぶりを結構、ゲラゲラ笑っていたのを見て、そう思いましたね。どっちかというと、女の子が「かわいい」と飛びつくよりは、男の子のわんぱくな心の方を刺激する要素の方がむしろ強いかもしれません。

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 12:15
comments(0), trackbacks(0), - -
映画「ファントム・スレッド」感想 こういう映画こそ、もっと見たい!

どうも。

 

では、いよいよ、オスカーの作品賞ノミネート、今年最後の作品、行きましょう。これです!

 

 

 

 

ポール・トーマス・アンダーソンの新作ですね。「ファントム・スレッド」。このレヴュー、行きましょう。

 

PTアンダーソンといえば、今の映画界にとっては、とらえどころのない鬼才というか、今。もっともカリスマ感のある映画作家として知られていますけど、さて、今回はどんな映画なのでしょうか。

 

 

早速あらすじから見てみましょう。

 

 

 

 

舞台は1950年代のイギリス。レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ・ルイス)は一流のカリスマ・ファッション・デザイナーとして知られていました。

 

 

 

彼は姉のシリル(レスリー・マンヴィル)を制作パートナーとして、かなりの富豪も顧客に持つ有名デザイナーとして活躍していましたが、同時にかなり神経質で、人を近づけないオーラに溢れていました。

 

 

 レイノルズの生活は緊張感の連続で、創造性をキープするために、生活も同じような感じできっちりと管理されていました。姉のシリルも、それに忠実に従うだけです。

 

 

 

 長く独身を続けていたレイノルズでしたが、ある日、彼は田舎のレストランで見つけたウェイトレス、アルマ(ヴィッキー・クリプス)のことを気に入ります。なんとなく話の波長が合うというのもあったし、彼にとっては彼女の体型も完璧だったようで

 

 

 自分の作るドレスのモデルに彼女を起用することもしばしばです。アルマはいつしか、レイノルズと暮らすようになっていましたが

 

 

 

 そこにはいつものように、シリルがガッチリとついていました。

 

 

 

 アルマはレイノルズの制作現場で、裁縫師たちとともに働くようにもなりますが、一緒に暮らしてはいるものの、レイノルズは2人きりのロマンティックな時間をくれないし、普段の習慣が狂うのを極端に嫌います。

 

 

 こういうのを何か変えたい。アルマはある料理を作るところから、抵抗を始めてみますが・・。

 

 

 ・・と、ここまでにしておきましょう。

 

 

 この映画はですね

 

 

ポール・トーマス・アンダーソンが「21世紀最高の名作」の誉れ高い「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」でコンビを組んだダニエル・デイ・ルイスと10年ぶりに組んだ映画、さらに「ダニエル・デイ・ルイスの最後の出演映画(ほんとかいな?)」という触れ込みで話題になっていますが、これ、どっちかというと

 

 

アルマ役のヴィッキー・クリスプの目線による映画で、実質上の主役は彼女だと思います。そういうこともあり、今回のデイ・ルイス、過去に3回もオスカーの主演男優賞に輝いているのに、今回の受賞がなさそうなのはそういうことです。

 

 

 ただ、これ、

 

「えっ、一体何の映画?」って思いません(笑)?

 

 

 実は、これ、見終わっても、ハッキリした答えがありません。でも

 

 

 だからこそ、最高なのです!!

 

 で、さらに言うと

 

 「ああ。だから、僕はポール・トーマス・アンダーソン、好きなんだな」と確信しました!

 

 

 よく考えてもみてください。最近、オスカーで話題になる映画って、誰かの伝記か、現代の社会世情に問題意識を提示した作品ばかりだと思いません?

 

 でも、

 

 

ポール・トーマス・アンダーソンって、そういう類の映画を作ったことがありません!

 

 

 過去に「モデルにした人物」というのは、「ブギーナイツ」のマーク・ウォールバーグだったり、「マスター」のフィリップ・シーモア・ホフマンとかありましたけど、それでも必ず架空の人物にして、その人の生涯を描いているわけではない。描いているのは、「ある登場人物の、ある時の話」に過ぎず、「そこにまつわる人間模様」をただ描いているだけ。そこに、「今日的な問題意識」とかをぶつけるやり方でなく「人間の性」そのものを描いている。彼の作り方って、いつもそうです。

 

 

でも、よく考えてみたら

 

 

昔の映画作家の巨匠って、ほとんどがそうです!

 

 

 それがフェリーニにせよ、イングマル・ベルイマンにせよ。キューブリックにせよ、その作品が誰かの伝記だったり、直接的にジャーナリスティックなものだったりというのはない。あくまでも描いているの「人間模様」で、そこに独自の映像美術をつけて物語を語っている。

 

 

今回だって

 

 

この美術センスなんて、息を呑むような美しさですよ!なんかその昔のルキノ・ヴィスコンティの映画見てるような絢爛さがあります。

 

ぶっちゃけ、映画の内容追わなくても、この映像美を見てるだけでもすごく魅了されます!

 

 

そして、ちょっとシュールでさえある、不思議なストーリー・ラインね。これが多様な感想を見た後で見る人に委ねさせる、大きな原動力にもなっています。これ、ジャーナリスティックなことをテーマにした映画だと、あまりにも伝え方、伝わり方がダイレクトすぎて、感想に多様性が少なくなりがちなんですよね。もちろん、そうしたジャーナリスティックな映画も必要だし、僕も好きなものもたくさんあります。でも、なんか、「いい作品=シリアスで時事的」みたいな方程式が固まりすぎると創造性を狭めてしまうし、物語にも膨らみが出ないし、ストーリーの独自性も限定されてしまう。その意味でこの映画、現状の映画製作に、無意識に一石を投じてもいます!

 

 

 ただ、それでも、この映画の感想には「なんか、意味わかんない」というのが少なくなさそうなんだよなあ(苦笑)。そこが世知辛いところでもあるんですが

 

 

 そういう人は

 

 

 

この2人の人生や愛に何を感じるか

 

 

 もう、ズバリ、それだけでいいんじゃないかと思うし、考えて学ぶところも決して少なくはないですよ。

 

 

 もっと、こういう、「直接的なアンサー」を持たない、見る人に自由な発想の余地を残す映画、もっと見たいですけどねえ。

 

 

 あと、それから

 

 

 

レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが手がけた、印象主義クラシックみたいなピアノの旋律も最高の演出をしていますよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 20:05
comments(1), trackbacks(0), - -
映画「ブラック・パンサー」感想 黒人映画の達した到達点の一つ

どうも。

 

 

では、ようやく、この映画レヴュー、行きましょう。今、本当に話題ですね。ここでも何日かジラしてしまいましたが、これです!

 

 

 

はい。もちろんマーヴェル・コミック最新作「ブラック・パンサー」。黒人初の本格的スーパー・ヒーロー映画ですが、これがどうして話題になっているのか。これをたっぷり語る前に

 

 

まず、あらすじから見ていきましょう。意図的にかなり省略して話します。

 

 

 

 

アフリカの東部には、謎の王国、ワカンダが存在しています。そこは、数世紀前に宇宙から落ちてきた隕石に含まれていたヴィブラニウムという金属のおかげで、地下世界に、地球上の他のどんな国でも到底かないやしない高度なテクノロジー文明が発展し、人間をパワーアップさせる特殊な力にも溢れていました。

 

 

 

その中で国王が”ブラック・パンサー”というスーパーヒーローを代々名乗ってきていました。

 

 

 

 ストーリーはちょうど、先代の王様、チャカが事故死し、その息子のチャラ(チャドウィック・ボーズマン)が世襲するところから始まります。

 

 

 

 チャラは、国王就任をきっかけに、語学の堪能ぶりを生かして世界でスパイ活動をしていたナキア(ルピタ・ニョンゴ)と結婚します。

 

 

 

 その一方、ロンドンでは、ある博物館で、アフリカの古代や中世の品を集めた博物館に強盗が侵入し、テロ行為を行います。そこに絡んでいたのは南アフリカの武器の闇マーケット流通の大物クロウ(アンディ・サーキス)でした。クロウはズバリ、ヴィブラニウムを狙っていたのです。チャラ、ナキア、そして、スキンヘッド女性武装護衛の長オコエ(ダナイ・グリラ)の3人は、クロウが今度は韓国を狙っているとの情報を掴み、現地入りします。そこで彼らは、同じく現地入りしていたCIAエージェントのエヴェレット・ロス(マーティン・フリーマン)と出会います。

 

 

 チャラたちの作戦は成功し、クロウも逮捕されたかのように見えましたが、テロ行為の裏に絡んでいたアメリカ黒人青年によりそれはくじかれます。そしてエヴェレット・ロスは瀕死の重傷を負い、チャラたちは彼をワカンダに連れて治療をします。

 

 

 そして、ワカンダで待ち受けていたのは、その黒人青年、エリック・キルモンガー(マイケルBジョーダン)でした。彼は前代国王チャカに対して激しい怒りを抱いていたのでした。

 

 

 国王一族に長く使えてきた長老のズリ(フォレスト・ウィテカー)は、チャラに、父チャカと、キルモンガーの父との間に25年前に起きた、これまで秘密にされてきた事件について語ります。そこでは、信じたくないような、父の必ずしも綺麗とは言えない一面も明かされたのでした。

 

 

 

 

 キルモンガーはチャラに武力に夜挑戦を挑みますが、キルモンガーは想像以上に手強く・・・。

 

 

・・と、ここまでにしておきましょう。

 

 

いやあ、これですね、これでもかなり要約してかいつまで書いていますが

 

 

実際の話の広がりはこんなもんじゃありません!

 

 

 いろんな話の要素とか、キャラクターが多岐にわたっているので、それを追うだけでも、これ、かなり楽しいんですよ!

 

 

 そしてこれ、

 

 

最高です!!

 

 

 語ることは本当に尽きないこの映画なんですが、見るべきポイントをあげておきます。

 

 

“術の凝り方が凄まじい!

 

 

 

 

 

 

 この、「ワカンダ」というアフリカの架空の国の描き方がとにかく圧巻なんですよ!「普段はアフリカの中の貧しい国のふりをしている、実は地球でもっとも先進的な国」というコンセプトを体現した、アフリカの伝統アートと、最新テクノロジーのこの融合!ぶっちゃけ、これだけで、来年のオスカーの美術部門は勝てますね!本当にこれが息を呑むような美しさなですよね。

 

 

極めて緻密に考えられた、豪華黒人オールスター・キャスト!

 

 

 そして、これ、役者陣がすごいんですよ。

 

 

主演のチャドウィック・ボーズマンは予てから「ネクスト・デンゼル・ワシントン」の期待の高い人で、最近だとジャッキー・ロビンソンだとかジェイムス・ブラウンの伝記映画でも主演を張っていた人です。黒人ヒーローの正統派としては非常にもってこいの人ですが、

 

この映画を見るべきは女性陣です!

 

 

オスカー女優でもあるルピタ・ニョンゴ扮する王妃でもあるナキア、スキンヘッド武装集団のリーダー、オコエ、そして、チャラの妹で、最新テクノロジーの操作の天才のシュリ!この3人の戦うヒロインぶりがカッコいいんです!「戦うヒロインがカッコいい」というのは最近なら「ワンダーウーマン」もありましたけど。「まとめて戦って絵になる女性たち」という点でいえば「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」以来です!

 

この3人それぞれの描き方が短い時間の間にしっかりしていて、サブ・プロットとして魅力なんですよね。

 

 

特にシュリ役の子は、今、アメリカでも「あの子は誰?」というので盛り上がり始めています。まだ20代前半の、レティシア・ライトという女優さんみたいですけどね。今後、いろんな映画で彼女を見ることになりそうです。

 

あと

 

 

最近、「ゲット・アウト」の主演で注目を浴びたダニエル・カルーヤ、そしてドラマ「This Is Us」でエミーやゴールデン・グローブで主演男優賞受賞のスターリングKブラウンも出てきます。なんの役かは言わずにおきますね。でも、大事です。

 

それから

 

 

 先述したフォレスト・ウィテカーに、チャラの母親役でアンジェラ・バセットが出てくるんですが、彼らの使い方は、1990年代前半のブラック・ムーヴィー黄金時代に対しての、監督からのリスペクトのようなものかな、と思いましたね。この映画、それ以外の出演陣は「現在のブラック・ムーヴィーの若手オールスター」な趣が強いんですが、彼らを登場させることで、「黒人映画界の二世代感」が強く出ていたのも良いと思いましたね。

 

 

でも、何にもまして素晴らしかったのは

 

 

キルモンガー!!

 

 

彼がとにかく最高でしたね!!

 

 もう、アメリカのメディアでも「オスカー助演男優賞ノミネートすべき!」「マーヴェル史上最高の悪役」「ヒース・レジャーのジョーカー以来の名悪役」との声が飛び交っていますが、僕も彼にばかり見入りましたね。

 

 

 

 

 これ、「本当に悪なのは誰なのかわからない」という設定も効いてるんだと思うんですけどね。単なる悪役として見れず、彼の方にも感情移入したくなるような状況があり、マイケルBジョーダンがそれを巧みに生かして、共感を得るようなキャラクターに仕立て上げているんですね。こうしたチャドウィックとの絡みのシーンも、「家族のサーガに絡む愛憎劇」であり、なんか「エデンの東」のジェイムス・ディーンの兄弟のようにさえ見える瞬間でもありましたからね。

 

 

 このマイケルBジョーダンが良い理由、それは彼が

 

 

監督のライアン・クーグラーの映画の常連だから!

 

 

デビュー作の「フルートヴェール駅で」、続く「クリード」でも彼は主演で、切迫する演技を見せていました。僕は「クリード」で、ジョーダン、クーグラー共々ファンになったんですが、今後もこの2人で傑作作ってくれそうな予感をすごく感じるんですよね。

 

というのも

 

 

僕は、このライアン・クーグラー、天才だと思ってるので!

 

 

 彼はストーリー・テリングのすごくうまい監督だな、という印象があったんですけど、今回は、そのストーリーと演技に加え、美術や技術的なとこまで総合的に含めてすごい映画作ったな、と思うんですよね。

 

 

すごく大袈裟かもしれないけど、今回の映画

 

 

あの「クロサワ」の活劇みたいだな、とさえ思いましたから!

 

 

 「たかだかマーヴェルに何を」と思われる方もいるとは思うんですけど、共通点はあるんですよ。「どちらも、表向きは自分の人種の文化のアートを描いている」「でも、実際に描いているのはシェイクスピア的な愛憎劇」「でも、基本的に痛快なエンターテイメント」って、ところでですね。ヒューマニズム方面でなく、侍アクションに近づいた際のクロサワですね。それに近いノリを感じてですね。もっともそこは、スピルバーグやジョージ・ルーカスも影響にあげるところではあるんですけどね。

 

 

 いやあ、その意味では、すごい映画作ったな、とは本当に思いますよ。

 

 

 ウィーク・ポイントも決してないわけではないんですよ。クライマックスでの戦闘シーンに関して言えば、「これまでの重厚なドラマが、ここで一気に通俗的になっちゃうな」とは思ったし、ケンドリック・ラマー監修の、あの見事なサントラも、「もう少し劇中でうまく使えなかったかな」とは思いましたから。だけど、それを差し引いても、この映画は偉業です。それは、一昨日に伝えた、ものすごい数字になっている興行でも、もう証明されてますよね。

 

 

 何日か前に、僕はここで90sのブラック・ムーヴィーに強く影響されたことを書きました。あのときに黒人のアメリカ社会における問題の深さについて深く考えられたし、あの頃の映画が僕の心にどんどん問いかけて来さえしました。だけど、この映画は

 

 

あの当時に、かのスパイク・リーでさえ到達しえなかった次元にまで、黒人映画を高めた金字塔だとさえ思います!

 

 

 その昔、例えばマイケル・ジャクソンも言ってた気がするんですけど、「黒人にはスーパーマンの役はやれない」と言われ続けてきた、アメリカ社会における黒人通念が、ここで、ただ単に黒人1人をヒーローにするのでなく、黒人がキャストのメインになってそれを、全世界の全ての人種の人たちの前で証明した!

 

 

 

いやあ、これって、やっぱりすごいことですよ。この事実だけで、これ、映画史に残っていい作品だと思いますね。

 

 

そして、これで終わりじゃない。ここが「次のフェーズの始まり」にもなってほしいですね。

 

 

 

author:沢田太陽, category:映画レビュー, 11:54
comments(0), trackbacks(0), - -