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ゴールデン・グローブ2018 ノミネート(映画編)

どうも。

 

 

では、映画篇、行きましょう。

 

作品賞(ドラマ)

Dunkirk

The Shape Of Water

Call Me By Your Name

Three Billboards Outside Ebbing,Missouri

The Post

 

 

今回、最多ノミネートとなったのは、このギレルモ・デル・トロの「The Shape Of Water」で7部問です。これがいろんな前哨戦批評家映画賞の最多ノミネートになっています。

 

 ただ、これらの映画賞でなかなか作品賞を取れていないことで、今、ものすごく接戦になっていますね。

 

 

作品賞(コメディ)

The Disaster Artist

I,Tonya

Get Out

Lady Bird

The Greatest Showman

 

 

逆に今現在、絶好調なのは「ゲット・アウト」で、今のところ、一番、批評家映画賞の作品賞を受賞していますね。これ、「ホラー」というカテゴリーがないから、コメディに扱われてますけどね。でも、そんな映画じゃないんですけどね(笑)。

 

ただ

 

監督賞

クリストファー・ノーラン(Dunkirk)

ギレルモ・デル・トロ(The Shape Of Water)

スティーヴン・スピルバーグ(The Post)

リドリー・スコット(All The Money In The World)

マーティン・マクドナー(Three Billboards Outside Ebbing,Missouri)

 

 

 ここで、「ダンケルク」のクリストファー・ノーランや、スティーヴン・スピルバーグ。前述のデルトロなどのビッグネームが並んでいます。

 

「ダンケルク」も何を見てもノミネートはされているんですが、受賞はなし。実は僕、この映画はキツ位だろうと思っています。というのは、役者や脚本ではノミネートが見込めない上、技術部門でも「シェイプ・オブ・ウォーター」とことごとくぶつかるでしょ。しかも、役者や脚本でもノミネート確実な分、勢いで上回る気がしますね。

 

 

ここは、「Lady Bird」のグレタ・ガーウィッグ、「ゲット・アウト」のジョーダン・ピールはノミネートを逃しています。さて、これがどう出るか!GGの監督賞ノミネートを逃すと、案外オスカーにも響きますからね。両者ともに長編デビュー作で、ちょっと監督としての実力が見えないとこは否定できないです。あと、正直、「ゲット・アウト」は企画そのものが素晴らしいんですけど、監督の手腕での傑作なのかがどうか、今一つ見えないんですよね。

 

 

 そして、ケヴィン・スペイシーの差し替え問題で大ダメージを受けていたはずのリドリー・スコットの「All The Money In The World」が同情票も集めましたね。

 

 

主演男優賞(ドラマ)

トム・ハンクス(The Post)

ダニエル・デイ・ルイス(Phantom Thread)

ティモテ・シャルメ(Call Me By Your Name)

ゲイリー・オールドマン(Darkest Hour)

デンゼル・ワシントン(Roman J Israel Esq)

 

最初は「Call Me 〜」のゲイの美少年ティモテ君が強かったのですが、トム・ハンクス、ダニエル・デイ・ルイスの強豪が上がってきてますね。個人的にはダニエル・デイ・ルイス、気になります。

 

 

主演男優賞(コメディ)

ジェイムス・フランコ(The Disaster Artist)

アンゼル・エルゴート(Baby Driver)

スティーヴ・カレル(Battle Of The Sexes)

ヒュー・ジャックマン(The Greatest SHowman)

ダニエル・カルーヤ(Get Out)

 

 

 

アンゼル、まさか、ノミネート、区ましたね(笑)!

 

ここはジェイムス・フランコだな〜。歴代ベストの怪演と聞いています。楽しみだなあ。

 

 

主演女優賞(ドラマ)

ジェシカ・チャステイン(Mollys Game)

フランシス・マクドーマント(Three Billboards Outside Ebbing,Missouri)

サリー・ホーキンス(The Shape Of Water)

メリル・ストリープ(The Post)

ミッシェル・ウイリアムス(All The Money In The World)

 

ものすごく実力派が並んでますね、ここは!個人的には大好きなジェシカなんですけど、サリー・ホーキンスとフランシスの争いでしょうね、ここは。

 

 

主演女優賞(コメディ)

シアーシャ・ローナン(Lady Bird)

ヘレン・ミレン(The Leisure Seeker)

エマ・ストーン(Battle Of The Sexes)

ジュディ・デンチ(Victoria And Abdul)

マーゴット・ロビー(I,Tonya)

 

 

「ブルックリン」で受賞できなかった時からシアーシャはすごく応援したいんですけど、スケート界のお騒がせ女王、トーニャ・ハーディングの変人的日常を描いた「I,Tonya」のマーゴット・ロビーも期待したいですね。

 

助演男優賞

ウィレム・デフォー(Florida Project)

アーミー・ハマー(Call Me By Your Name)

リチャード・ジェンキンス(The Shape Of Water)

クリストファー・プラマー(All The Money In The World)

サム・ロックウェル(Three Billboards Outside Ebbing,Missouri)

 

 

 

ここがもう、ウィレム・デフォーが圧勝するデータがもう出ています。この「Florida Project」という映画自体が作品賞の有力候補なんですけど、GGではオミットされました。これが痛手とpなるか。

 

 

助演女優賞

メアリーJブライジ(Mudbound)

オクタヴィア・スペンサー(The Shape Of Water)

ホン・チャウ(Downsizing)

アリソン・ジャニー(I,Tonya)

ローリー・メトカルフ(Lady Bird)

 

 

アリソン・ジャニーとローリー・メトカルフの間で割れてますけど、音楽ファン的にはメアリーJブライジの女優ブレイクですね。本当に歌の上手い人なのでそちらでももう一度注目されて欲しいんですが、これはこれで嬉しいことです。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:アワード, 05:03
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ゴールデン・グローブ2018 ノミネート(TV番組編)

どうも。

 

 

ゴールデン・グローブ、発表されましたね。まずはテレビ部門から見てみましょう。

 

 

TV部門

 

作品賞(ドラマ)

Game Of Thrones

The Handmaids Tale

This Is Us

The Crown

The Stranger Things

 

 

「ゲーム・オブ・スローンズ」が1年お休みしている間に、エミーを圧勝した「HandmaidsTale」が出てきたり、NBCで「This Is Us」がヒットしたり、ネットフリックスでエルザベス女王の伝記の「The Crown」や社会現象にもなった「ストレンジャー・シングス」もでてきたり。ここは例年以上に豪華な気がしますね。

 

 

作品賞(コメディ)

Black-Ish

The Marvelous Mrs.Maisel

Master Of None

SMILF

Will&Grace

 

 

ここももはや「モダン・ファミリー」やら「VEEP」もなく、新しくなりましたね。きになるのは「The Marvelous Mrs.Maisel」ってこれ、始まったばかりですよね、アマゾンで。すごく気になっていたのです。これ「ギルモア・ガールズ」のクリエイターのエイミー・シャーマン・パラディーノが制作してる、1950年代が舞台の女性コメディなんですよね。これはなんかすごく興味あります。うちのワイフがすごく見たが理想。

 

 

作品賞(ミニ・ドラマ)

Big Little Lies

Fargo

Feud Bette And Joan

The Sinner

The Top Of The Lake

 

 

 

ミニ・シリーズは、今回のドラマ部問での最多ノミネートの「Little Big Lies」が入りましたね。エミーでも圧勝した、ニコール・キッドマン、リース・ウィザスプーン、シェイリーン・ウッドリー共演の話題のドラマです。これ、もうシーズン2も来年決定していて、そっちも楽しみですけどね。

 

 

主演男優(ドラマ)

スターリングKブラウン(This Is Us

ジェイソン・ベイトマン(Ozark

フレディ・ハイモア(The Good Doctor

ボブ・オデンカーク(Better Call Saul

リーヴ・シュナイダー(Ray Donvan

 

 

ドラマの主演男優できになるのは「This Is Us」のランドールことスターリングKブラウンですね。腹違いの兄弟の中では頭脳明晰で一番良い暮らしをしているのだけれど、心の中に抱えたものは一番複雑な彼は視聴者にすごく訴えかけてますね。きになる役者さんです。

 

 

主演女優(ドラマ)

ケイトリオーナ・バルフ(Outlander

クレア・フォイ(The Crown

マギー・ジレンホール(The Deuce

キャサリン・ラングフォード(13 Reasons Why

エリザベス・モス(The Handmaids Tale

 

 

ここはエリザベス・モスにクレア・フォイが大本命なとこですが、ここに大問題作「13 Reasons Why」で自殺しちゃった美少女、キャサリン・ラングフォードが入ってきました。この子、シーズン2以降に出れるのか謎なんですが、シーズン1はとにかく綺麗でしたよ。

 

 

主演男優(コメディ)

アンソニー・アンダーソン(Black-Ish

アジス・アンサーリ(Master Of None

ケヴィン・ベーコン(I Love Dick

ウィリアムHメイシー(Shameless

エリック・マコーマック(Will&Grace

 

 復活した「ウィル&グレース」、好調ですね。ウィルがノミネートされてます。

 

 

主演女優(コメディ)

パメラ・アドロン(Better Things

アリソン・ブリー(GLOW)

レイチェル・ブロスナハン(The Marvelous Mrs.Maisel

イッサ・レイ(Insecure

フランキー・ショウ(SMILF)

 

 

ここは「黒人版ガールズ」こと「Insecure」のイッサ・レイかな。デイヴ・フランコの嫁さんのアリソン・ブリーのネットフリックスの「GLOW」もいいんですけどね。

 

ただ、これまで聞いたことのない「SMILF」なども気にはなりますね。

 

 

 このドラマ武門ですけど、「Little Big Lies」と「Handmaids Tale」が中心でしょうかね。コメディはまだちょっと読めません。

 

 

 

author:沢田太陽, category:アワード, 01:42
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最新全米映画興行成績

どうも。

 

このあと、ゴールデン・グローブのノミネートもあるので手短に。全米映画興行成績です。

 

 

1(1)Coco

2(2)Justice League

3(3)Wonder

4(12)The Disaster Artist

5(4)Thor; Ragnarok

6(5)Daddy's Home 2

7(6)Murder On The Orient Express

8(9)The Star

9(8)Lady Bird

10(-)Just Getting Started

 

動きはありませんね。来週のスター・ウォーズでガタガタっと行くと思います。

 

4位ですが、これは本当に見たい!「The Disaster Artist」。これはジェイムス・フランコが、実在するダメ俳優の最悪の映画製作にまつわるダメ伝記です。いわば「エド・ウッド」のリアルな現代版です。

 

これ、評判はすごくよくてMetacriticで76点、Rottentomatoesで94点。フランコにはオスカーの主演男優賞ノミネートが、これ実際に期待されています。メチャクチャ見たいです(笑)。

 

 

 

author:沢田太陽, category:全米映画興行成績, 11:48
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沢田太陽の2017 年間ベスト・アルバムTop50  30-21位

どうも。

 

 

では引き続いて行きましょう。

 

 

 

こんな風になった、2017年の僕の年間ベスト・アルバムの30位から21位です。ここは一部デーマがありますが、それについてはおいおい触れて行きます。では30位から。

 

 

30.Harmony Of Difference/Kamashi Washington

 

 

30位はカマシ・ワシントン。

 

 カマシはこの一つ前のアルバムが話題になってましたね。僕のロック系の友人でも結構多くの人が聞いてて、「最近のジャズ、本当に一部の新しもの好きのロックファンに刺さってるんだなあ」と思った記憶があります。ただ、その時のアルバムがすごく長かったのと、僕が普段ジャズに手を出さない性分なのでチラッとしか聞いてなかったんですね。

 

 ところがこれを聞いた時に「うわっ、これは美しいわ!」と思ってハッとしましたね。僕、ジャズはマイルス、コルトレーン、オーネット・コールマンの代表作くらいしかちゃんと聞いてなかったりするんですけど、そんな僕が「ジャズ初心者にこういうアルバムがいいよ」と素直に思いましたからね。これ、ジャズの技能のこととかわかんなくても、とにかくメロディ・ラインが美しく、ホーンのアンサンブルが綺麗ですね。これだけで感覚的につかまれるんですが、それプラス、70s初期のソウル・ミュージック黄金期のようなリリカルなベースラインに、皮の響きのカツーンとした音がカッコいい複合的なスネアのリズム。そして懐かしく暖かい響きのあるハモンド・オルガン。パッと聴きは60sから70sのファンキー・ジャズみたいなんですけど、ヒップホップも通過した後追い世代なりの感覚がどこかに入っているから、トラディショナルな様式は守ってあるんだけど、どこかすごくコンテンポラリーなんですよね。そこがすごく新鮮かつ不思議です。

 

 今年、ジャズ畑の注目の一枚は世間一般にはサンダーキャットの「Drunk」のようなんですが、僕はあっちは正直、「アース・ウィンド&ファイア好きだった人が好きそう」な感じの70sのアーバンなAOR系フュージョンな感じがしてそこまでグッとこない(逆にAOR好きな人にはたまらなさそう)感じだったんですけど、今回のカマシの方がもっと大きな普遍性が個人的に感じられる分、僕の好みではありますね。

 

 

29.4eva Is A Mighty Long Time/Big KRIT

 

 

29位はBIG K.R.I.T.。

 

彼は今年の掘り出しものの一つでしたね。なんとなく名前を知っていた程度で聞いたことはこれ以前になかったんですが、これはもう、微笑ましいまでのアウトキャスト・フォロワーでしたね。ジョージア州アトランタといえば、今やもうトラップ系ヒップホップの最大の都なんですが、さしずめKRITは「おい、ちょっと待ってくれ。アウトキャストのことを忘れちゃ困るぜ」とばかりに、彼らが得意としたジミヘンばりのワウワウ・ギターに、ゴスペルやブルーズといったサウスにまつわる伝統音楽をぶち込むさまを聞いてると、「スタンコニーア」「スピーカーボックス/ザ・ラヴ・ビロウ」と言ったアウトキャストの傑作アルバムを彷彿させる瞬間があります。今のトラップもそれはそれでクリエイティヴなことをやってはいますが、この地が生んだ素晴らしいヒップホップの伝説を受け継ぐ存在というものは絶対いてしかるべきだと僕も思います。

 

 しかも今回これ、2枚組なんですよ。聴き倒すの結構大変なんですが、このヴォリュームも「スピーカーボックス/ザ・ラヴ・ビロウ」を継承するものだと思います。こういうのに逆に触発されて、引退状態のアンドレ3000が復活しないかなあとも思うんです けどね。

 

 あと、最近かなり人気の白人ラッパー、ポスト・マローンの一言多いツイートに「聞くべき何かを求めるなら最近のヒップホップは聞く必要がない」というのがあってかなりの騒動になってるんですが、反対派が「最近の聞くべきリリックを持ったラッパー」としてこぞってあげていたのがケンドリック・ラマー、Jコール、そしてビッグKRITだったことも追記しておきますね。

 

 

28.Spirit/Depeche Mode

 

 

28位はデペッシュ・モードの「Spirit」。

 

彼らのことはそれこそ中高生の時から知って聴いてはいましたけど、本当に息の長いグループになったものです。アリーナ級になってからも軽く30年近くの月日が経ちますが、未だにアルバムのリリース間隔が4年より長く間ことが一度もありません。まず、これがすごいことです。そして、ここ最近の作品を聴いてると、「電子音使った音楽なのに、年輪を重ねたことによる枯れた味わい」、そういうものが出せるようになってきて、また面白くなってきていました。そうしたことから、聞く前から「今回はなんかすごく良さそうだぞ」という気分がありました。

 

 そしたらドンピシャでしたね。今回のアルバムは、ドナルド・トランプをはじめとした、ポピュリズムの台頭に関しての彼らの強い怒りを表現したアルバムで、それがゆえに「DMがポリティカルなことを歌うなんて昔のポリシーに反している」みたいなネガティヴな批評も一部であったりはしたんですが、やはり、何らかの強いモチベーションが働いた時というのはメロディや歌声にもそれが反応されることが多いです。今回のこのアルバム、少なくとも2005年の「Playing The Angel」、僕もそうだし人によっては93年の全米No.1アルバム「Song Of Faith And Devotion」以来の傑作にあげる人も少なくない。それくらい、力強さと楽曲の説得力に溢れているし、前述した涸れた味わいも過去最高になっていますね。

 

 そしてこれ、世界でのセールスがすごいんですよ。英米はともに5位でそんなでもなかったんですが、ドイツ、フランス、イタリア、そしてポーランドを初めとした東ヨーロッパで軒並み1位。そしてこのアルバムのツアーで150万人以上の動員を記録していて、今年のツアーの興行収入でダントツの世界一なんですって。こういう事実はちゃんと逃さない方がいいですよ。

 

 

27.Broken Machine/Nothing But Thieves

 

 

27位はナッシング・バット・シーヴスのセカンド・アルバム。

 

 ここから10位台まで若い人たちが多くなりますが、彼らもその一つです。彼らは前作も全英トップ10ヒットで早くから人気だったんですけど、このセカンドで化けましたね。デビュー時はいかにもなMUSEフォロワーだったんですけど、このアルバムでダイナミックなハードな曲と、ちょっと変化球的な引きの曲との緩急のバランスが絶妙になりましたね。加えて、ここのシンガーのコナー・メイソン!彼のヴォーカルがとにかくハイ・レベルですね。最近の若手のロックシンガーで、ハイトーンの伸びとアタックの強さ、朗々とした声の響かせ方、これらの技術がここまで備わっている人、そうはいないですよ。実際、BBCのスタジオ・セッションで彼がジェフ・バックリーのカバーをしているのを聞いたことがあるんですが、あんな難易度F級のジェフ・バックリーを難なく歌いこなしてましたからね。あれ聞くと、ほとんどの人、ビビると思います。

 

 ただ、そこまで実力のあるバンドの割に、ちゃんとレビューしてるメディアが少ないこと!なんか裏があるのかもしれないですけどね。「作られたバンドだ」とか、「俗っぽくポップだ」「面白くない」とかなんとかいうので。でも、仮に彼らが「作られたバンド」で「ポップ」で「面白くないバンド」であったとしても、「だったら、すごく売れるバンドになればいいじゃん!」としか僕は思わないですけどね。少なくとも、こういうバンドが売れて一般にとってのロックの顔になってくれた方が、今現状、イマジン・ドラゴンズがそうした立ち位置にいるより断然健全だとすら思うんですけどね。コンテンポラリーな若いロックが本当に一般に聞かれなくなっている今だからこそ、こういう大衆性とパフォーマンスでの実力のあるバンドに育ってもらいたいですけどね。

 

 

26,Crack Up/Fleet Foxes

 

 

26位はフリート・フォクシーズ。

 

 彼らにとっては今作が6年ぶりのアルバムでしたが、クオリティ的にはさすがでしたね。彼らって、いわゆるフォーク・ロックとか60sのサイケデリアのリバイバリストみたいな見方もされがちですが、それはあのCSNYみたいなヴォーカル・ワークによるものだと思うのですが、それはあくまで組み合わせのパーツにすぎません。それを証明したのがこのアルバムですけど、いやはや、頭の中がすごいことになっていますね。表面的にはフォーク・ロックなんですけど、多くの曲で組曲形式になっているような複数の楽曲要素が組み合わさったものになっていて、それはさながら「フォークロック内プログレ」の様相も見せていますね。あるいは、「レディオヘッドがペット・サウンズをやったらこうなった」ともいうべきか。作っているものそのものは壮大な凄い作品だと思います。

 

 それにもかかわらず、僕の順位がそこまで高くない(実は直前までトップ20に入れてたのに外してます)のは、彼らの音楽シーンに対してのスタンスにどうも共感できないことですね。まだ、30歳いくかいかないかの若いバンドにもかかわらず、貴重な20代後半に仙人みたいに沈黙を決め込んで、6年も時間をかけてアルバムを作る・・なんてことは正直、僕は望んでないですね。40代のバンドじゃないんだから。せっかくロックを牽引できるくらいの素質があるんだから、積極的にアルバムを作って世代を牽引するくらいのバンドにならないと。いや、意識してそうなるんじゃなく、作品を積極的に出していくうちに自然とそんな風になっていくようにしないと。そういうとこも、USインディのこの世代が僕にはもどかしい理由の一つですね。せっかく今回もすごいものを作ったにもかかわらず、各媒体の年間ベストの順位も今ひとつ高くないのは、作品そのものよりも、思わず肩入れして応援したくなるような姿勢を見せてくれないからだと思いますね。次作はもっと早いペースで、人目に触れるのを恐れずにツアーなりなんなり、もっと目立ったことやってほしいですね。

 

 

25.Cigarettes After Sex/Cigarettes After Sex

 

 

 25位はシガレッツ・アフター・セックス。

 

 このバンドのこのアルバム、今年デビュー・アルバムを出したバンドの中でも、これはかなり秀逸だったと思います。この、いかにもセルジュ・ゲンズブールにでも耽溺していそうなナルシスティックなバンド名ですけど(笑)、思い切り名を体で表したような、あまりにそのまんますぎる、すごいか細い声で囁くように歌われる、セクシーでメランコリックなドリーム・ポップ。ジャケ写のこの4AD感も「ああ、わかってるね(笑)」という感じで。いかにもドゥルッティ・コラムとかコクトー・ツインズ、そしてジョイ・ディヴィジョンとか聞いてます、という感じの、黒の感じもいいですね。ここまでわかりやすいイメージ展開って、デビュー当時のThe XX以来じゃないかな。それでいて本人たちはアメリカ南部の出身で、フロントマンは生え際の後退したヒゲがボーボーの人、というギャップも良いんです(笑)。

 

 このアルバム、アメリカではチャートインせず、イギリスでも27位という成績だったんですが、国際的なウケがよく、ベルギーではトップ10入り、フランスやドイツでもトップ40前後まであがるヒットになっているんですね、これが。こういう売れ方する場合、国際的なアクトになる可能性が高いので、僕も注目しています。そして、実は彼ら、週明けにブラジルに来るんです!今度の水曜にライブをやるんですが、僕ももうチケットも買ってて見に行きます。これも結構、チケットの売り上げが良いみたいなんで、口コミで広がるタイプなんだと思いますね。

 

 

24.Culture/Migos

 

 

 24位はミーゴスの「カルチャー」。これも大ヒットしましたね。

 

 ここんとこ、ヒップホップで世代闘争みたいのがあって、上の世代が若い世代のマンブル・ラップとかエモ・ラップを批判する傾向にあります。それに関しては僕も概ねでは実は賛成していて(とりわけエモ・ラップは本当に苦手。リリックがドラッグと死を扱うというのでシリアス風に見せてるのを免罪符に音楽ひどくていいのかよ!)、ラップも基本的に満足にうまくない、派手な髪型とファッションばかりが目立つ。プロデューサーも一曲ごとに変える。フィーチャリング・ラッパーが多すぎで、その豪華感だけで売っている・・。ひところのインディからの突き上げでシーンが再活性したのが嘘みたいで僕もこういう現象にはガッカリです。

 

 とはいえ、アトランタのトラップ勢に関しては僕は肯定的です。あそこはトラップがブームになる前からラッパーもトラックメイカーも切磋琢磨してたとこだし、ラッパーならフューチャー、トラックメーカーならメトロ・ブーミンというアイコンが筆頭となる形でシーンができていってたわけだし。このミーゴスも、「マンブル(ブツブツ)」って言われるかもしれないけど、だけど、クウェイヴォ、オフセット、テイクオフの、独特のリズム感と語感のコール&リスポンスによるマイクリレーは実に鮮やかだし、トラックにしても、メトロを始め、ゼイトーヴェンとかのトップのトラックメイカーが選りすぐりの作品を彼らに集めている感じもするしね。

 

 この勢力に関してはフューチャーの2枚一気のアルバムも、リル・ウージ・ヴァートも、21サヴェージ、ヤング・サグも、アルバム、なかなか良かったんですけど、やっぱり「代表」となると、このアルバムだったかな。やはり、あのマイクリレー、あれはヒップホップ史に残るものがあります。あとは、悪貨に駆逐されないように踏ん張ってほしいものです。

 


23.Slowdive/Slowdive

 

 

23位はスロウダイヴ。

 

伝説のシューゲイザー・バンドの、実に22年ぶりの新作ということでまず話題になり、それがすごく良かったものだから、輪をかけて騒がれたアルバムですね。イギリスでも、過去最高のヒット、16位を記録し、「むしろこれから!」の印象をシーンに与えているのはすごいことだと思います。

 

 僕自身はですね、当初、このアルバムに気後れしてたんです。「もともと、シューゲイザーのファンではないからなあ」と。リアルタイムはおろか、後追いでもそれほど聞いてきてないし、名前のよく似たスワーヴドライヴァーは好きで聴いてたけど、この人たちはアルバム単位で抑えてなかったんでねえ。なので、今回のブームにも、「入っていいのかな」と遠慮してるとこがあったんです。なので、当初、ここまで上の順位にしてなかったんですね。

 

 ところが聞き返してみて、今回、なんでこれが話題になっているのかの理由が、そんな僕にもスンナリわかったんですよ!「ああ、これは”シューゲイザーがどうだ”とか、そういうの関係なしに、普遍的にいいアルバムだな」と。もちろんシューゲイザー特有の浮遊感溢れる轟音に、囁くようなセクシーで儚げな女性ヴォーカルというのも魅力です。でも、そうした表向きに目立つもの以外でも、例えばギターのリフのセンスが凄く良かったり、凄くスケールの大きな楽曲展開(ここ、特に重要ですね!)ができたり、一度聞いたらしっかり覚えることのできるメロディ・ラインがあったり。「なんだ、ギター・バンドとしてものすごく優れてるじゃないか!」と見直したんですね。ここまでの才能がありながら22年も封印してたとは。「タラ・レバ」は禁物とは言いますが、もし、しっかりとした活動をしていたならば、今頃もっとすごいカリスマになっていたのかもなあ、と思わせるものは確実にありましたね。

 

 これで、マイ・ブラディ・ヴァレンタインに接近するもう一つのこのジャンルのカリスマが出来たな。そう思わせる充実の傑作だと思いますね。

 

22.4 Your Eyez Only/J.Cole

 

 

22位はJコール。

 

このアルバムは正確には昨年の12月のアルバムなんですが、無視するには非常に惜しいアルバムなので、ピックアップしてみました。このJコール、日本からはあまりそうした意見を聞きませんが、アメリカのヒップホップ・ファンの間では「ケンドリック・ラマーの最大の対抗馬」として見られている人です。ヒップホップの熱心なファンであればあるほど、この2人の名前をよくあげます。

 

「なぜ、そうなのかな?」と思い、この1年、彼の旧譜も含めよく聴いたんですが、この人はですね、言うなれば「今のヒップホップ界最高のガチンコ・ラッパー」なんですね。彼はトラックを自分のクルーだけで作り、そのクルーで生演奏でライブ・ツアーも積極的にやります。さらに、アルバムにはゲストのフィーチャリングも一切しません。少なくとも、ここ2枚、そうしたアルバムを作っていますね。それで全米1位になったラッパー、20数年振りという記録まで作っています。こうしたところからも、彼の強いリアルなものへのこだわりを感じさせます。

 

 そして、このアルバムはコンセプト・アルバムです。話が物語になっていて、ドラッグ・ディーラーだった男が改心して家庭を持って真っ当に生きようとするも殺される。その男の小さな娘に当てた遺書」という設定で、ジャジーな生演奏主体のトラックに乗って、社会意識の強いポジティヴな人生のメッセージが発せられる、というものですね。ストーリーそのものはクリシェではあるんですが、いざ、彼が真摯なフロウを紡ぎだすと切実な切迫感があるというか。ケンドリックほど技巧の利くタイプのラッパーではありませんが、ラップも歌も無骨でストレートながらもハートにしっかり届けるタイプです。

 

近くケンドリックと久々の共演もするそうで話題になっていますが、注目されて欲しい人です。

 

 

21.As You Were/liam Gallagher

 

 

 そしてリアム・ギャラガーは21位でした!

 

 ただ、このアルバム、前もここに書きましたけど、すごく好きなんですよね。自分でも予想した以上に。なんかですね、利く回数が上がれば上がるほど染みてくるんですよね。そのくらい、曲がすごく丁寧に書けた作品で、リアムの声で歌われることにすごく説得力があるアルバムだと思います。

 

 これはリアムの声もさることながら、グレッグ・カースティンをはじめとしたソングライティング・チームの勝利だと思いますね。今回、リアムがソロになるということで、本来のリアムらしい「オアシスっぽい曲」というのはかなり念頭に置いて書かれたと思うんですけど、これ単に「リアムっぽい」というだけでなく、リアムの声がもともと似ていたジョン・レノン(鼻にかかったとこですね)の「ホワイト・アルバム」以降のメランコリックなメロディとソリッドなギターのニュアンスまでしっかり嗅ぎ取ってアレンジを作ってますね。だからただ単に「オアシスっぽい」というだけでなく、もっと普遍的な楽曲の良さが滲み出たものとなっていますね。このポイントは見逃さない方がいいと思いますね。

 

 このアルバムはイギリスで出た当初にバカ売れしてるんですが、トップ10に5週、最新の週でもチャートイン9週めで17位から18位にワンランク下がっただけという、かなりロングヒットしそうな兆候を見せています。いやあ、良いことです。ナッシング・バット・シーヴスのとこでも言いました(そう、これがテーマです!)けど、これ、「大衆に向けてのロックの理想」みたいな音になっています!こういう音が、イマジン・ドラゴンズに代わって(笑)、一般のキッズたちにアピールするくらいが、本当は一番良いんですけどね。こういう音を出す若いバンドが出てこないと。あと、ここからヒット曲も欲しいですね。「Wall Of Glass」「Bold」「China Town」「Universal Gleam」と、そうなるポテンシャル持った曲も多いのでね。

 

 

 

author:沢田太陽, category:2017年間ベスト, 00:30
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最新全英チャート

どうも。

 

年間ベスト、結構読まれているようで嬉しいです。

 

明日には30位から21位、いけると思います。

 

では、全英チャートを。

 

 

SINGLES

1(3)Perfect/Ed Sheeran

2(-)Dimelo/Rak Su feat Wyclef

3(2)Anywhere/Rita Ora

4(1)Havana/Camilo Cabello feat Young Thug

5(22)All I Want For Christmas Is You/Mariah Carey

6(29)Last Christmas/Wham!

7(4)Silence/Marshmello feat Khalid

8(5)Man's Not Hot/Big Shaq

9(6)I Miss You/Clean Bandits feat Julia Michaels

10(56)Fairytale Of New York/The Pogues feat Kirsty McColl

 

エド・シーランが1位獲得です。

 

2位初登場はこなだ決まった「Xファクター」のエイナーのボーイバンドですね。ラテン調のブームに乗った曲で、スペイン語で確か「Give It To Me」の意味だったかと。

 

あと、今週は人気のクリスマス・ソングが並んでますね。もう、そんな時期です。マライア、ワム!、そしてイギリス人の特に大人が大好きなポーグスの「Fairytale Of New York」。一気に三曲トップ10は珍しいですね。

 

では、アルバムに行きましょう。

 

 

ALBUMS

1(2)The Thrill Of It All/Sam Smith

2(4)÷/Ed Sheeran

3(5)Together Again/Michael Ball&Alfie Boe

4(10)Beautiful Trauma/P!NK

5(-)Songs Of Experience/U2

6(3)Glory Days/Little Mix

7(8)The Architect/Paloma Faith

8(9)Love So Beautiful/Roy Orbison

9(6)Christmas With Elvis And The RPO/Elvis Presley

10(1)Who Built The Moon/Noel Gallagher's Flying High Bird

 

う〜ん、U2、5位かあ。

 

いくら年末のセールの対象作品が強い時期だとはいえ、この順位は低調ですねえ。このところの不調と、一部でのレヴューの悪さが響いてますねえ。

 

聞いてみましょう。


 

この曲は久々の名曲だと思うんですけどねえ。2回目のサビ終わりからサビ戻しまでの展開が技アリです。「Why am I walking away〜」と、ちょっと悲しげになるとこですね。

 

 

 

ただ、こっちはかなり嫌いです(苦笑)。サビの「オーライ、オーライ」ってのが、ちょっとあまりにもダサいというか。こう言うちょっとしたとこ克服すれば、もっとよくなったと思うんですけどねえ。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:全英チャート, 18:02
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沢田太陽の2017 年間ベスト・アルバムTop50  40-31位

どうも。

 

では、2017年間ベスト、今日は

 

 

こんな感じになった、40位から31位行きましょう。なかなかバラエティに富んだと思ってますけども。

 

では、40位から行きましょう。

 

 

40.Carry Fire/Robert Plant

 

 

40位はロバート・プラントの「Carry Fire」。

 

僕の場合、レッド・ツェッペリンはロバート・プラントのソロ・アルバムまで含めて重要だという、捉え方をしています。とりわけ、2002年に発表した「Dreamland」というアルバム以降はどれも良い。というのは、ここから現在につながる「一人フィジカル・グラフィティ」状態が始まったというか、フォークとブルーズを基調に、そこに若干のワールド・ミュージック色を加えたロックンロールというか。とりわけ、ジャスティン・アダムスっていう、今の彼のバンドのギタリストと組むようになって、こういう路線が自在にできるようになりましたね。

 

 路線が固定されているので、あえてこの前の作品との違いについて語る必要もあまりないのですが、安定して「彼らしい」作品を提供し続けてますね。今回も変わらないのだけれど、「プラント、聴いた」という気分にはしっかりさせてくれますからね。表現方法の違いこそあれ、ポール・サイモンがやり続けていることを、音楽の構成要素の配分の違いで表現している感じもありますね。

 

 プラントといえば、ソロで活動し続けている傍らで、ずっと「ツェッペリン再結成待望論」を囁かれる人ではあるんですけど、2000年代に入ってからのソロでの作品のクオリティ考えても、オリジナル曲でペイジやジョーンジーがここまでの曲を書けるとも正直思えないので、このままそっとしてあげた方が良いのではと思います。

 

 

39.V/Horrors

 

 

39位はザ・ホラーズの5枚目のアルバム。

 

いわゆる、イギリスの「ポスト・アークティック・モンキーズの世代」って、不遇というか、生き残った人、少ないんですけど、The XXとフォールズほどビッグにはなっていなくはあるのですが、ホラーズは安定した固定ファン層をつかんだカルトなカリスマ化してますよね。立派だと思います。あの初期の、「一発屋?」とも思われた猥雑で刹那的な感じ(あれはあれで好きなんですが)から、よく脱皮できたものだなと思います。

 

 ある時期からはヴォーカルのファリスのバリトン・ヴォイスを生かした、メランコリーかつメロディックな路線に転じていましたけど、今回はミドル・テンポの曲の説得力が素晴らしいですね。あの、独特のモワッとしたアンビエントなやや重い感じを生かしつつ、そこに乗るメロディとファリスの声の艶やかさが光りますね。ある時期からイギリスのインディ・バンドも「困ったら、エレクトロに手を出しちゃえ」みたいな安易な方向性が見て取れてそれが嫌だったりもしたんですけど、このアルバムは、そうした手法に頼らず、あくまで、「ホラーズだから表現しうること」に徹している感じで、そこが彼らの孤高のオリジナリティを磨いているな、とも思いましたね。

 

・・と思って聴くと、最後の数曲だけ、ちょっとエレクトロっぽいので、そこがやや浮いて統一感を失うんです(苦笑)。これさえなければ、30位以内に入れてたんだけどなあ。いや、ラストのシングルにもなった「Something To Remember Me By」、いい曲なんですよ。エレクトロやらせてもセンスはあるのは認めるんだけど、なんか違和感は残るんだよなあ。

 

 

38.Flower Boy/Tyler, The Creator

 

 

 

38位はタイラー・ザ・クリエイター、4枚目のアルバム「フラワー・ボーイ」。

 

この人は、オッド・フューチャーがLAのアンダーグラウンドで話題になった2011年から注目されてた人で、ラッパーとは思えないボーッとした風貌とユーモアのセンスで個性も抜群なんですが、なぜかこれがアルバムになると、途端にフツーというか、なんか潜在能力を活かしきれていない不完全燃焼な感じが残って、どうも聞くのがもどかしい人でもありました。

 

 それが今回、ようやく、そのかねてからの将来性への期待に応えるアルバムを作りましたね。今回はトラックが、まさに「フランク・オーシャン以降」とでもいうべき(本人自身も参加)、コード進行とアレンジに凝ったかなりソフィスティケイトされたものになっています。だいたい、しょっぱなの曲からクラウト・ロックのCANの「スプーン」をサンプリングしたりもしてますしね。しかもタイラーは今回これらのトラックをちゃんと自分で手がけてるんですよね。前からトラックは自前で自給できる人ではあったんですが、「ここまで出来るようになったんだ」と思うと、嬉しい手ごたえを感じますね。

 

 あと、本当のところはまだ明確ではないですが、このタイトルといい、ジャケ写といい、自身の性的指向をほのめかしている感じも、作風のアイデンティティにつながったとこもあるのかな、とも思いましたね。

 

 

37.To The Bone/Steven Wilson

 

 

37位はスティーヴン・ウイルソン。

 

 この人のことは、このアルバムが8月にいきなり全英3位に上がるまでは知りませんでした。この人のやってたポーキュパイン・トゥリーというモダン・プログレバンドのことは、彼でなく、元ジャパンのリチャード・バルビエリがキーボードで参加していたバンドという認知で、ヨーロッパ圏では2000年代にかなり人気のあるバンドだったことも知ってはいたんですが。プログレにそこまで思い入れがなかったこともあり、ノー・マークだったんですが、このアルバム、イギリスで3位になったばかりでなく、ドイツ2位、オランダ4位、フィンランドは1位で、フランス、イタリア、スペイン、オーストラリアで軒並みトップ30、アメリカでさえ58位まで上がっていて、プログレ・ファンのコミュニティの広さを改めて思い知りもしました。

 

 その中心人物だったスティーヴンの、これが5枚目のソロ作です。ただ、プログレと言っても、もちろん長い曲もあるんですけど、大半は別に組曲とかでない、オーソドックスな曲構成だし、ラッシュとかジェネシスの70年代を思い起こすようなメロディックな曲ではあるんですが、彼はいわゆる90sのブリットポップのアーティストとほぼ同世代ということも影響してるのか、別にそうしたUKロックが好きな人でも全然余裕で入れる敷居の低さがあります。その、コンテンポラリーなポップ感覚をしっかりと保ちながら、しっかりプログレらしい変拍子やメロディ・センスを使い、時にダイナミックな長い曲(このアルバムでの最長は9分台)もやる、という感じで、プログレに偏見がある人であればあるほど入りやすい感じになっています。

 

 この人のことを知ったのは、少なくとも僕にとってはロックの視界を広める意味で意義あるものだったと思っています。

 

 

36. Gang Signs&Prayers/Stormzy

 

 

36位はストームジー。

 

去年に引き続き、イギリスはUKヒップホップ、グライムのブームだったんですが、その中で商業的な面で牽引者となったのはストームジーでしたね。元々、彼が最近のシーンでは筆頭人気に見られ、今年の初め頃、満を持してのアルバム・デビューで期待されたものでしたが、リリースと同時にシングル・チャートにダウンロードでたくさんの曲が入ったのも印象的でしたね。

 

 このアルバムですが、こと、「エンタメ感」においてはグライム・ブームの中でも最高でしたね。UKヒップホップの一つのお家芸でもあるハウス色の強いトラックに、彼自身の声を裏返しながら捲したてる高速ラップ、そしてヴォーカルまでできる器用さ。こうしたヴァーサタイルな感じは、他の同系のラッパーにはない多彩さでしたね。こうした面はすごく楽しめました。

 

 ただ、その勢いが今年の後半まで持たなかったこと、必ずしもUKヒップホップの今年最高のアルバムに選ばれることが少ないのは、ややパターン化した作りが課題だからかな。このアルバムを聴いてて、ハウスっぽいトラックに戻る瞬間というの3回は出てくるんですが、「もしかして、同じ曲、3曲やってない?」と思えるくらい、ちょっとワンパターンなんですよね。こういうとこでの切り抜け方を覚えると、文句なしの傑作が今後作れるかな。

 

 

35.After Laughter/Paramore

 

 

35位はパラモアですね。

 

 このアルバムは、世界の結構いろんな年間ベストにランクインしてますね。それがインディ・ロックのメディアでまで目立つんですよね。そこまで高い順位ではなかったりもしますけども、50位以内にはなんとか入ってたりして、どこのメディアも無視していない存在になってますよね。

 

 僕にとっても、これは微笑ましいアルバムで、彼らが昔のエモ・スタイルにこだわらず、音楽的に意欲的に成長を続けていることが証明されて嬉しかった1枚です。でも、ぶっちゃけ言うと、その変化って、今作からではなく、2013年の前作にはもう始まっていたんですけどね。前作の「Paramore」ってアルバムでもう彼ら、すごくヤーヤーヤーズを意識したような曲を何曲も既にやってたし、ストリングスやフォークも試したり、脱エモならもうあの時点でやってたんですよね。僕自身も、今作は好きだけど、実は前作ほどじゃないのも事実です。それは今作に、前作で言うところの、シングルでも大ヒットした「Ain't It Fun」みたいな決定的なキラー・チューンがなかったから。あの曲はヘイリーがファンキーな16ビートでも乗れることを示した重要曲でしたけど、あれに匹敵する曲まではなかったかなあ。

 

 でも、ストロークスとか、ヴァンパイア・ウィークエンド、フォールズみたいな、軽快なギターとダンス・グルーヴを主体としたインディ・ロック・スタイルという、統一したアイデンティティが感じられたのは良いと思います。これはひとえに、今のソングライティングの要のギターのテイラー・ヨークの手腕だと思いますが、これにきちんと対応出来るヘイリーも見事。あと、彼女にとっては、ニュー・ファウンド・グローリーの元ダンナとの決別を示唆するアルバムでもあり、そこが「再スタート」感をより深く印象付けてもいますね。

 

34.Hopeless Fountain Kingdom/Halsey

 

 

34位はホールジーのセカンド・アルバム。

 

僕の場合、毎年、アイドルというかポップものは必ず1枚はどこかに入れるようにしているのですが、今年はストレートなアイドルで良い盤がないので、エレクトロとポップの狭間にいる彼女の作品をあげてみました。なんかすごく過小評価されてる印象のある彼女ですが、いいですよ。デミ・ロヴァートみたいな、どう音楽頑張っても面白くない人とか、ケシャみたいに「頑張ったのかもしれないけど、どうにもセンス悪いよ、やっぱ」みたいなもの(最新作、評価されすぎだろ)より、よっぽど選ぶ価値があります。だって、そりゃ、そうですよ。いくらポップと言ったって、こっちはLIDOとかキャシミア・キャットみたいな、ちゃんとしたエレクトロのプロデューサーついてますからね。クオリティはもともとある程度は保証されているわけです。

 

 あと、今回いいと思ったのは、彼女、チェインスモーカーズの「Closer」のフィーチャリング・シンガーとして当てて、もっと俗っぽい方向でいくのかなと思っていたら、案外そうじゃなく、あくまでも正統派なエレクトロ路線で来たので、そう簡単にセルアウトしそうな感じがしません。それゆえか、1位を取ったアメリカでも売れ方は地味です。でも、2作連続でトップ50圏外でアルバムが延々とチャートに残り続けてヒットを続けているし、カットしたシングルもセカンド・シングルの「Bad At Love」がアルバムのリリース半年後にトップ10入り目前の位置まで上がるなど、地力のあるところ見せています。ファンベースの作り方としてはすごく理想的だし、今後に向けてすごく楽しみです。

 

 

33.Turn Out The Lights/Julien Baker

 

 

33位はジュリアン・ベイカー。

 

 

まだ22歳になったばかりの、テネシー州の大学生なんじゃないかな、まだ。女の子のシンガーソングライターなんですけど、今、名門インディ・レーベルのマタドールが高い期待をかけている人です。この一つ前のアルバムの配給をマタドールが買った時に少し話題になって、その際に僕も聞いたんですけど、その時はそこまでピンとこなかったんですけど、ある程度、しっかりしたアレンジが施されるようになると、さすがにグレードが上がりましたね。すごく聞き応えのあるアルバムです。

 

 基本はアコースティック・ギターやピアノの弾き語りで、そこに流麗なストリングスが加わるみたいなタイプなんですけど、どの曲もキメは、ジュリアン自身のサビでの、圧倒的な声域を生かしたハイトーンの歌い上げですね。このダイナミックな声のレンジで「おおっ!」とリスナーの耳を引きつけます。ズバリ、この魅力だけで彼女、かなりデカくなれると思います。マタドールと言わず、世が世ならもっとデカいメジャーのレーベルと契約してたらものすごいスターになった可能性もありますが、アーティスト寿命考えたらマタドールの方が良かったでしょう。でも、みんなが知るのにそう時間はかからないと思います。若干、その得意技に頼りすぎて連続して聴くと単調にも聞こえるんですが、そこを克服すればもっともっといい作品が作れる気がしています。

 

 このコ、年代が年代なんで、出自はエモであることは公言してるんですが、エモもブレイクした際のイメージがちょっとネガティヴな印象があって損してるものですが、The 1975といい、彼女といい、良い遺伝子も確実に出してるものでもあります。

 

32.More Life/Drake

 

 

32位はドレイクの「More Life」。

 

今や世界で5本指に入るヒットメイカーになったドレイクですが、このアルバムも出てすぐにダウンロードで話題になり、収録曲が英米のシングル・チャートを独占する事態が起きました。もうチャートの基準も変わって、ああいう独占は見られなくなりましたが、ストリーミング時代の混乱が引き起こした一つの事象として記録には残る出来事でしたね。

 

 このアルバムは、今の彼のサウンドのスタンスを示したものですね。彼がデビューの時から拠点とするトロントの馴染みのプロデューサーたちと、盟友フューチャーが拠点とするアトランタのトラップ勢、そしてロンドンのグライムと、現在のヒップホップの都とでもいうべき3拠点を結んだ、「現在ヒップホップ入門編」みたいな、すごく一般向けにいい意味で入りやすいアルバムですね。ただ、このアルバムで一番良いのはヴォーカル曲で、シングル・ヒットもした「Passion Fruit」はドレイク史上でも屈指の名曲だし、2018年のブレイクの期待のかかる、結局カノジョかどうかはわからないんですが、ロンドンのジョージャ・スミスとのデュエット「Get It Together」あたりですね。

 

 このアルバム、前作の「Views」よりは全然いいアルバムだし、もっと評価されていいアルバムでもあるんですけど、一つだけ気に入らないのは、彼のこのアルバムの呼び名ですね。 なんだ、「プレイリスト」って。前も「ミックステープ」と言って、通常のアルバムと何が違うのかがよく分からないアルバムを出してましたが、そういう「アルバム」という名義を使わないがゆえに、作品の品位を微妙に落としている感じは正直好きじゃないですね。「なにカッコつけてんだよ」みたいな感じでね(笑)。まあ、その気取りも、彼らしいといえば、らしいんですが。

 

 

31.How Do We Get So Dark/Royal Blood

 

 

31位はロイヤル・ブラッドのセカンド・アルバム。

 

このアルバムに関しては一部で「期待はずれ」みたいな声も聞きますが、総体的に見ればそんなことないと思います。少なくともイギリスではフェス期間中に出て全英1位になってしばらくチャートの上位に君臨していたし、国際的にも上々と言えるヒットでした。その後もイギリスではアット・ザ・ドライヴ・インを従えてヘッドライン・ツアーをやり、アメリカではクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのオープニング・アクトで全米ツアーもしたり。なににせよ今、メタリカからも、フー・ファイターズからも、トム・モレロからも、QOTSAからも「次代の期待株」として目をかけられてるのはデカいです。やはり彼らの場合、マイク・カーによる、ベースとギター一体型のあの魔法の楽器が健在な限り、しばらくライブ・アクトとしては無敵なのが大きいですね。

 

 このアルバムも、そんな好評のツアーにおいて、代表レパートリーになってるし、今後のキャリアにおけるライブでもセットリストの中核になることも目に見えるので、僕はその観点から良い評価を下しています。やっぱ、将来的にはフェスのヘッドライン・クラスになって欲しいのでね。ただ、「ライブやフェスに行かない」という人たちに対しても説得力のあるアルバムを次くらいで作る必要もあるかな、とも思いましたけどね。あのマイク・カーの必殺技に並ぶような、ドカンとした何かがアルバムに欲しい。次あたりで、面白いプロデューサーと共演してみるのも一つの手だと思いますね。ジョッシュ・ホーミとか、やってくれないかな?

 

 

author:沢田太陽, category:2017年間ベスト, 00:42
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