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BBCが選ぶ「21世紀の100作の映画」に入るべきだった10作

どうも。

 

 

久々に映画のオールタイム・ベストの話をしましょう。

 

 

BBCが世界中の映画批評家を対象に、21世紀以降のベスト映画を選んでランキングにしています。その結果がこちらです。

 

 

http://amass.jp/77140/

 

 

僕は、このテのオールタイム企画はよく目を通すので、よく見かける映画が多く、意外でもなかったんですけど、ここにトップ10だけ書くことにしようかな。

 

 

1.マルホランド・ドライヴ(デヴィッド・リンチ)

2.花様年華(ウォン・カーワイ)

3.ゼア・ウイル・ビー・ブラッド(ポール・トーマス・アンダーソン)

4.千と千尋の神隠し(宮崎駿)

5.6歳のボクが、大人になるまで(リチャード・リンクレイター)

6.エターナル・サンシャイン(ミシェル・ゴンドリー)

7.ツリー・オブ・ライフ(テレンス・マリック)

8.ヤンヤン 夏の思いで(エドワード・ヤン)

9.別離(アスガル・ファルファディ)

10,ノー・カントリー(ジョエル&イーサン・コーエン)

 

 

皮肉なことに、1位と2位以外は納得してます(笑)。う〜ん、リンチだったら、80〜90年代にもっと良い映画、たくさんあるじゃないかと思うんですよね。よりによって、最高傑作でもないこの映画が世紀の1位ってどうだと思うんですけどねえ。カーワイも、2016年現在で、もっとも新作が待たれる非英語圏の監督なのか、と言われると、そうじゃないと思うんですよね。

 

 

これ、見て思うに、2000年代の頭くらいから「現時点での今世紀ベストは?」という企画がやられ過ぎてて、初期から上位に入っていたこの2つがリストの上位に残り過ぎてたから起こっていることなんじゃないかと思うんですよね。

 

 

僕だったら1位はあっさり「ゼア・ウイル〜」ですね。ポール・トーマス・アンダーソンは、現在の若い映画人のあこがれというか、ものすごいカリスマになってますからね。彼の最高傑作のこれが1位になるべきだったと思います。宮崎もほぼ最高傑作だし、アニメであれに並ぶの、ピクサー黄金期の傑作くらいだから良いかなと。5位、6位も手法的にすごく対照的な21世紀作という意味で重要かな。7位はあまりにも謎多きシュール大作で伝説化してるし、8位は、本当は僕なら韓国系の作品の方がバランス取れてる気がしたんですけど、でもヤンも早折で伝説化したからありかな。9位もシリアスものではこれが1番良いですね。イラン系も勢いあるし。コーエンは1作は欲しいのでトップ10は妥当でしょうね。

 

 

これ、「良い映画を見たい!」って人にはすごくいいリストで、見る価値のあるものになってるんですけど、同時に「抜け」もかなり多いリストですね。

 

 

なにせ

 

 

コメディがほとんどないじゃないか!

 

 

21世紀って、インディのコメディがすごく評価されていた時代なのに、それが少ししか反映されてないのは、すごく残念ですね。あと、あれだけ「フランチャイズもの」が流行ったご時世なのに、そういうのをはなからバカにしすぎ。それから、時代を代表した役者の顔が見えないのも嫌ですね。だいたい、「マルホランド・ドライヴ」でナオミ・ワッツの相手役やった女優さんの名前、一体何人の人が覚えてるっていうんでしょうね。

 

 

以下に、僕が、「この10本は100位に入るべきだったんじゃないかな」というものをあげておきますね。

 

 

 

世界にひとつのプレイブック(デヴィッドOラッセル)

 

まず、この「世界にひとつのプレイブック」ですね。これ、ロマンティック・コメディという、映画草創期からあるジャンルを、映画文化誕生から100年たった今に先に進めている重要作だと僕は思ってるんですけどねえ。しかもデヴィッドOラッセルは、21世紀で3作がオスカーの監督賞にノミネートされてる重要感とだし、タランティーノも「今、もっとも重要な監督のひとり」と認めている人でしょ。彼の作品が入らないのって、おかしいですよ。加えて、ジェニファー・ローレンスは21世紀を代表する、実際に2年連続で最高額の稼ぎの女優でこの作品でオスカーも取ったこれも時代的に重要な女優ですよ。こtれがダメで、20世紀前半から半ばのハワード・ホークスやビリー・ワイルダーが良い、というのなら、僕には基準がわかりませんね。

 

 

サイドウェイズ(アレクサンダー・ペイン)

 

あと、アレクサンダー・ペインが漏れたのも解せないですね。今、アメリカのインディで流行りの「ドラメディ」に先鞭をつけたの、間違いなくこの人なのに。これとか「アバウト・シュミット」「ファミリー・トゥリー」「ネブラスカ」。誰もトホホなペーソスを織り交ぜた、微笑ましい、脱力感あるんだけど、でも、見終わってなんか生きててためになるようなメッセージ持った、優れた短編小説みたいな文学性もあってね。やっぱ、これが「ミリオンダラー・ベイビー」に勝ってオスカー取っておくんでしたね。そうすれば、もう少し、一般認知があがってたんだと思います。

 

 

 

DRIVE(ニコラス・ウィンディング・レフン)

 

これも欲しかったんだよなあ〜。これも感覚的にかなり新しいミステリー、サスペンス、アクションものですよね。これだけ静かに抑制効かせたこのテの作品ってなかなかないですからね。今回の投票、マイケル・ファスベンダーはやたら入ってるんですけど、ライアン・ゴスリングがほとんど入ってないのも解せないですね。あの、醒めた目線の中に潜む熱さみたいなものを演じられる、希有な役者なんですけどね。彼はこれから名作増えると思います。

 

 

ブライズメイズ(ポール・フェイグ)

 

21世紀は「ポリティカリー・コレクト」がうんぬん言われる時代ですけど、だったら、この傑作女性コメディは絶対入ってしかるべきです。これじゃなかったら「ミーン・ガールズ」ですね。コメディ映画って、長いこと男性優位な世界だったところなのに、ほぼ女性だけで、ここまで大胆な笑いを取りに来た映画、ないですからね、実際。しかもちゃんとプロット的に人間ドラマとしても良く出来てるし。あと、ここを拠点に、SNLのエース・コメディエンヌだったクリステン・ウィグと、巨漢ながら今やハリウッド屈指の高額女優になって、女優の基準を変えたメリッサ・マッカーシーが台頭した意味でも重要です。あと、21世紀のコメディ・キング、ジャド・アパトウがプロデュースで仕掛けているのもミソです。

 

 

灼熱の魂(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)

 

フランス系カナダ人のドゥニ・ヴィルヌーヴも今の世界が注目すべき監督ですね。ミステリー、サスペンスものの監督で、今、ここまで独自のスタイルがあって、斬新な展開の中に社会的な問題の重さを込めれる監督、ほかに知らないですね。しかも、このあとのハリウッド進出後の「プリゾナーズ」にせよ「ボーダーライン」にせよ、いずれも、土のにおいのする感覚が一貫してるのも良いです。彼はもっと大きくなるはずだし、今のうちに代表作を入れておいた方が良いと思いますね。

 

 

ロード・オブ・ザ・リング(ピーター・ジャクソン)

 

いくら映画批評家たちがブロックバスター作を嫌うと言っても、これははずしちゃダメでしょ。スピルバーグでいうところの「インディ・ジョーンズ」をはずすのと変わらない暴挙だし、これとハリー・ポッターが果たした「ファンタジーと連作の2000年代の映画界」のポジティヴな側面を表現した立派な映画だと思うんですよね。立派な文学作品の上に成立し、美術だってすぐれている。「パンズ・ラビリンス」が上位に入っているのにこれはダメっておかしいですよね。

 

 

ディパーテッド(マーティン・スコセッシ)

 

「20世紀の映画の巨匠」で、21世紀も衰えずにすごい人を1人上げろといわれたら、僕は迷わずスコセッシを選びます。彼の作品は「ウルフ・オブ・ウォールストリート」も入っていて、あれも素晴らしい映画でしたけど、オスカーを受賞したこれも文句なしにすばらしい映画ですよ。これまでのスコセッシといえば「ニューヨークでデニーロ」というのが定番でしたけど、「レオでボストン」という、脱ニューヨークで新たなレギュラー・リーディング・アクターで創作の高みに達したのは評価すべきだし、映画そのものとしても、最後まで息の抜けないサスペンスであり、レオ、マット・デイモン、マーク・ウォールバーグ、ヴェラ・ファーミガの演技のぶつかりあいも熱い。実際問題、あるサイトが「21世紀のオスカー作品賞の中でベストなものを選べ」という投票をアメリカのある映画サイトがやったとき、1位になったの、これでしたからね。信じない人はもう一回見て欲しいです。

 

 

ゼロ・グラヴィティ(アルフォンソ・キュアロン)

 

メキシコが誇る「スリー・アミーゴス」も、21世紀の映画を語る際に不可欠です。ギレルモ・デル・トロ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、そしてアルフォンソ・キュアロンですが、キュアロンの場合、「天国の口、終りの楽園」や「トゥモロー・ワールド」が入っているのに、オスカーで7部門で勝利したこの映画が入ってないのって絶対おかしいでしょう。これ、あまりにリアリティのある、21世紀以降を見据えた素晴らしいディズアスター映画ですよ。宇宙映画がファンタジーにならず、もはや現実の人災になりうる作品であることを、たった2人の役者だけで表現した見事な映画だったと今も思います。なんか、世界各国の映画評論家の無意味な「反体制としてのアンチ・オスカー」な姿勢がチョイスに見れるんですけど、無駄な抵抗はやめてほしいですね。

 

 

 

バードマン(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ)

 

今回、イニャリトゥが一作もないんですよね?なんで??彼も21世紀を代表する重要な監督ですけどね。彼の場合、丹念なドラマツルギーと、キュアロンとシェアしている、現在最高の撮影監督、エマニュエル・ルベスキのカメラワークの2つは特筆すべきところですね。そして、これは、「ミッドライフ・クライシス」を描いた映画として、大ヒットしたテレビ・シリーズの「ブレイキング・バッド」や「ソプラノス」同様に21世紀らしい優れ方をしているし、21世紀のハリウッドの内幕ものとしての完成度も高いです。ルベスキのカメラしか良くなかった「レヴェナント」はともかく、この映画でのオスカーの作品賞と監督賞は評価すべきだと思いますけどね。

 

 

 

author:沢田太陽, category:映画, 19:11
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短期限定ブラジル音楽試聴期間おさらい

どうも。

 

 

リオ・オリンピックも終わりました。それに伴い、この3週間ほど、毎日ずっとアップル・ミュージックで聴いていた「ブラジル音楽強化期間」も終えました。

 

 

 

まさにこんな感じでしたけどね。

 

 

ただ、さすがに、20アーティスト近くのベスト・セレクションを聴き続けると、なかなかこれ、かなりの勉強になりましたね。しばらくはやらないと思うけど、今度はアーティストの単体のアルバムをたくさん聴く機会にチャレンジしたいと思ってます。

 

 

では、その,僕がピックアップしたブラジルのアーティストを一通り聴いた雑感を書こうかと思います。聴いた順番に書きます。

 

 

エリス・レジーナ・・一般的に「ボサノバの女王」のイメージが強い彼女ですが、ただ、彼女のキャリア全般を見るに、実はそんなことありません。もともとジャズ・シンガーを目指してた人なんで声はかなりパワフルで伸びが抜群です。そこにボサノバ覚えたので抑制も上手くなった・・というのがむしろ近いですね。70sもMPB系の良い曲歌ってるし、晩年のソウル・ディスコ路線も含めて、キャリア全般に興味持ちました。

 

 

ロベルト・カルロス・・この人は「ブラジルのエルヴィス」というか「ブラジルのクリフ・リチャード」みたいな人です。60年代は「ジョーヴェン・グアルダ」といって、「ひとりGSブーム」みたいのがあって、アイドルがブリティッシュ・ビートっぽい曲を歌うのがすごく流行ってたんですが、この人はその最大人気の人です。いうなれば、60年代半ばがマージービート、後半になるとモータウンとかアトランティック系のソウルの感じも入って来て良いですよ。なので「60sベスト」だけ堪能しました。70s以降現在も70歳超えて人気ですが、今は単なるムード歌謡おじさんです。でも、ものすごい人気ですけど。

 

 

エルザ・ソアレス・・御年80過ぎの「サンバの女王」です。こっちでサンバというと、どちらかというと、「作詞作曲と歌う人が違う音楽ジャンル」の典型みたいなイメージがあるんですが、60年代初頭の、そういうイメージの典型的な人ですね。ただ、70歳すぎた2000年代から実験的アレンジを好み出して、「脱サンバ化のモダン・ミュージック」の歌い手みたくなっていますね、今。

 

 

カエターノ・ヴェローゾ・・オリンピックの開会式でもパフォーマンスした、ブラジル音楽界の大重鎮ですね。彼は、日本でいうところのはっぴいえんどが果たしたのと近い役割をこの国でしてますね。サイケデリック・ロックをブラジル音楽に取り入れて、そこにポルトガル語とブラジル北部の固有のリズムと融合させたというか。しかも、この人、90年代にも、00年代にも、音楽的実験を試みて進化してますね。なんか「カエターノが好き」というと、これ、なんかスノッブ臭がしてしまい、偏見もあって積極的に好まなかったんですが、キャリア全編追ってもいいよな、と思いましたね。

 

 

ジルベルト・ジル・・そのカエターノと一緒に「トロピカリズモ運動」を率いて50年。彼もリオ・オリンピックのオープニングで目立ってましたね。彼も60sはサイケっぽく、70sはスティール弦のギターでの独特なファンキー・サウンドをやってて、その頃までは面白いなと思いました。70s後半からあとはレゲエがちょっと多過ぎかなという気もしましたが。

 

 

ジョルジュ・ベン・・この人も重要ですね。彼は60年代初頭に、ボサノバの名曲「マシュケ・ナダ」を作り「ボサノバのホープ」だったんですが、だんだんアメリカのソウル・ミュージックを前に黒人としての自分のアイデンティティが本格的に開眼しちゃって、「サンバロック」なるジャンルの長ですね。そこでロッド・スチュワートの「アイム・セクシー」のも元曲も披露してます。70年代半ばくらいまではブラジル音楽界屈指のイノヴェーターでしたね。

 

 

ミルトン・ナシメント・・この人もカエターノやジル同様、60s後半から活躍し続けている人ですが、派閥が違います。カエターノたちはバイーア州サルバドールっていう、あったかい、日本で言うなら福岡みたいな位置づけの都市の出身なんですが、ミルトンはベロ・オリゾンチっていう、普通の気候のところの、名古屋みたいなとこの出身で、そこのミュージシャンで作品作ってます。ミルトンは、鼻から抜ける独特な声と、ウェスト・コースト・ロック〜フュージョン/AORに通ずる洗練されたフィーリングがあります。70年代半ばまで、ソフィスティケーションにおいてはブラジル一なんじゃないですか。ただ、それ以降が甘くなり過ぎて、追う気がないんですけど。

 

 

マリア・ベターニア・・この人はカエターノの妹で,彼女も大御所ですね。野太い声でシンガーとしてはかなりの一流です。ただ、曲がスロー過ぎて、この世代の人たちの中ではコンサバな印象も与えますね。聞き続けたらクセになるような感じもなきにしもあらずですが。

 

 

ガル・コスタ・・彼女もカエターノ、ジル、ベターニアの派閥の人で、70s〜80sのヒットメイカーです。突き抜けるようなキンキン声が可愛く、今もその声、保ってますね。聞きやすいポップな曲が多いんですけど、ただ、その分、印象に残りにくいですね。ただ、どうやらアップル・ミュージック側の編集が良くなかったらしく、キャリア初期のサイケな時期が抜けてたみたいなんですね。なので、もう1回、初期の作品から聞き直す予定です。

 

 

チン・マイア・・ブラジルにおけるソウル・キングですね。ブラジルの場合、黒人はそれまでサンバをやるのが普通だったんですけど、1970年に彼がアメリカ留学して得たソウル・ミュージックの本場のエッセンスを取り込みましたね。これでブラジル内のブラック・ミュージックに影響を与えたことはたしかだし、歌唱法やファンクビートは彼なしには発展しなかったんじゃないかな。70sが絶頂ですけど、それ以降も曲によってはなかなか。作品が多いので追うの大変ですが、少なくとも70sまでは聞きたいですね。

 

 

シコ・ブアルキ・・反抗の文学サンバ・シンガーソングライターですね。彼もカエターノたちと並ぶ、60、70年代の重要アーティストですね。71年のアルバム「コンストラソン」はサウンド・アレンジのオーケストレーションも最高ですね。前々から聞いてたアーティストなのでそこまでの発見はなかったですけど、80年代半ばまでは少なくとも好きな曲ありますね。

 

 

ウリーニョ・ダ・ヴィオラ・・リオ五輪の開幕式で国歌斉唱をした人です。彼の場合はシコと違ってロック系との交流がないストレートなサンバ歌手ですけど、70年代初頭の作品はそれでも曲が良いですね。あと、この人は年取っても声がヴェルヴェット・ヴォイス。国歌斉唱に選ばれたのもわかります。

 

 

ヒタ・リー・・僕がどれだけブラジルっぽい音楽に慣れたり詳しくなったりしても、やっぱ自分のルーツはロックなんだと改めて思わせてくれる人がヒタ・リーです。彼女が60sにやってたサイケ・ガレージ・バンドのオス・ムタンチスに興味を持ったのがブラジルについて詳しく知りたいと思ったそもそものキッカケなんですけど、彼女は現在に至るまで、その後もブラジルのロック・クイーンです。70sは,当時世界でも稀な、女性ロックシンガーでストーンズみたいなロックンロールを歌ってるし、80s初頭はAOR路線で貸間でユーミンみたくなったんですけど、この当時のほかのAORっぽいブラジルのアーティストよりエッジがある分、オリジナリティあったし。90s以降はまたロック回帰しててそれもいいし。この人、言動もちょっとレミパン入ってておもしろいんですけど(笑)、彼女のインスタグラムの「永遠のガーリー」ぶりもいい!子供のときだった60sにブリジット・バルドーとロックに憧れたら、こんなカッコいいおばあちゃんになれるという見本です。

 

 

オス・ムタンチス・・そのヒタ・リーが在籍した伝説のバンドです。5枚目まではどれも最高なんですが、何を考えたか、最後の2枚が突然プログレになって終わっちゃうんですね。その前にヒタがバンド抜けるんですけど、その直後のヒタのソロを聴くに、彼女はもっとストレートなロックがやりたかったんでしょうね。もうひとり、アルナルド・バチスタというメンバーがいて、彼がムタンチスのメイン・ソングライターだったんですけど、なんかシド・バレット的というか大江信也的というか、その後のソロが非常に文字通り危うい人だったので、彼も伝説化してますね。バンドは、一番無難だった人が再結成させてます。

 

 

ハウル・セイシャス・・彼もすごく好きですね。「ブラジリアン・ロックの父」。風貌はまんまボブ・ディランなんですけど、曲調はボウイの「スターマン」みたいな曲というか、ストリングスかましたロックンロールが多いですね。それでいてファンキーですが、突如としてファルセットでバラード歌い上げる繊細さもあります。70sはどれも素晴らしいんですけど、ドラッグと酒に溺れ過ぎて、リリースごとに違うレーベルからの作品発表となった80sにも興味あります。

 

 

ノーヴォス・バイアーノス・・この男女混成メンバーの70年代の5人組のバンドもブラジルだとすごく評価高いですね。今、まさに再結成ツアー中で盛り上がってます。ただ、最高傑作の「アカボウ・ショラーレ」は僕も優れたファンキーなラテン・ロックの名盤だと思うんですけど、他のアルバムがちょっとサンバ色強過ぎで僕はまだちょっと慣れないですね。メンバーもサディスティック・ミカ・バンド並みに、個々で成功する人が多いバンドなんですけど、なんか個々の能力をカエターノとかヒタとかと比べるとやっぱ物足りないんだよなあ。

 

 

レジアオン・ウルバーナ・・ここで何度か紹介している、80年代のブラジリアン・ロックブームの際の最大のバンドです。ザ・スミスとかジョイ・ディヴィジョン、REMみたいなタイプのバンドが国でもっとも人気のあるバンドだったことは世界的に見ても衝撃なんですけど、こういう状況がこの国でまたおきないものかと期待してるんですけどね。ただ、このバンドも、良かったのは最初の3枚(もしくは4枚)で90年代以降不調のまま、96年にフロントマンが亡くなっちゃうんですけどね。

 

 

パララマス・ド・スセッソ・・80年代におけるレジアオンのライバル・バンドですね。「ブラジルのザ・ポリス」と呼ばれた人たちで、85年の最初のロック・イン・リオで爆発的に受けて今があるバンドです。今日まで現役で、最後にアルバムが出た2009年までコンスタントに人気がある人たちです。曲調が基本いつもレゲエなので、「飽きやすいかな」と思って、これまでは初期の代表曲しか抑えてこなかったんですが、90s以降若干甘口になるものの、やっぱ、しっかりしてますね。キャリア全部抑えてもいいかなと思ってます。

 

 

チタンス・・サンパウロが生んだ最大のロックバンドですね。ヴォーカルが5人いる、初期はホント、なんか劇団がバンドやってるみたいな感じで、曲調も、なんかユニコーンみたいに、歌う人によってコロコロ変わる趣きですね。この人たちも、最近はさすがにやや落ち目な印象もありますが、2000年代までは人気あったバンドです。ちょっとヴォーカルが抜け過ぎで、今2人なんですけどね。ただ、ヴォーカル5人時代の80年代が一番キレがありますね。後年も、突然思い出したように、「ハードコア・パンク担当ヴォーカル」が仕切る曲とかは面白いんですけどね。

 

 

カズーザ/バラオン・ヴェルメーリョ・・カズーザは80sブラジルの伝説ですね。彼はこの時代最大の色男だったんですが、その分、男性交際も目立った人で、1990年にエイズで32歳の若さでなくなってしまいます。彼はブラジル音楽史上、もっとも美しく知的な歌詞を書く人としても有名です。音楽的にはそこまで面白さがわからないタイプなので、僕も最近は歌詞も読みながら聞くようにしてます。その彼が在籍していたバンド、バラオン・ヴェルメーリャは、この時代でいうならブライアン・アダムスみたいなアレンジのロックバンドでしたね。カズーザ脱退後は、残ったメンバーのうちフレジャって人が仕切るバンドになったんですが、音楽的にはカズーザいた頃から、フレジャ主体のロックンロールですね。90s以降はより骨太なロックになり、フレジャもソロに転じます。

 

 

マリーザ・モンチ・・彼女は90sの人ですけど、この時代に最も成功したブラジル人アーティストです。ただ、僕とブラジルで仲の良い知人(うちのワイフも含む)4人に聞いたところ、全員が彼女のことを嫌いでした(笑)。「なんでかな」と思って今回聴くことにしたんですが、思ったほど悪くはなかったです。ただ、優等生的過ぎて面白くないんですね。悪い意味でノラ・ジョーンズ的というか。ブレイクしはじめた90s初期の曲はJ-Waveの選曲家がつみあげたCDの下にスウィング・アウト・シスターの下とかに置いてそうな感じですね。アッパーでファンキーな曲とかもあるんだけど、それもお行儀良い感じというか。ロック好きにはたしかに引っかかりにくい感じは残りますね。

 

 

ジョアン・ジルベルト・・オリンピックの終わり頃に、最後は60sに戻ってボサノバ聴きました。その代表格としてのジョアン・ジルベルトですが、ボサノバが根本的に好きじゃない僕としては、最初のブレイク作の「シェガ・ジ・サウダージ」ってアルバムはすごく良いと思ったんですが、それ以外はそんなに引かれなかったかなあ。「シェガ・ジ〜」はまだストリングス・アレンジとかがいいんだけど、その他は基本的に彼のギターと歌で、正直、あの彼の歌声が・・。

 

 

アントニオ・カルロス・ジョビン・・シメはボサノバを作った張本人のジョビンで。彼の場合はソングライター、アレンジャーだし、アレンジの妙や曲のうまさで聴かせられる分、楽しめるんですが、彼も歌わない方が良いですね。なんか、彼とジョアンが「ボサノバは歌えなくても大丈夫」な印象を作ってしまっている(だからエリスが”ボサノバの女王”と呼ばれるのは好きじゃない。あれだけ歌がうますぎるとさすがに)んですけどね。なので、インスト曲とか、エリスとかシナトラとの共作はすごくいいと思うんですけど。

 

 

・・といった感じでしょうか。

 

 

 まだ聴きたかったものとかもあったんですけど、それはまた、別の強化期間が来たときまでのお楽しみに、ということで。

 

author:沢田太陽, category:ブラジル, 06:05
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最新全米チャート

SINGLES
1(6)Closer/The Chainsmokers  feat Halsey
2(1)Cheap Thrills/Sia

3(2)Cold Water/Major Lazer feat Justin Bieber&MO

4(4)Heathens/twenty one pilots

5(3)This Is What You Came From/Calvin Harris

6(7)Ride/twenty one pilots

7(5)One Dance/Drake feat Wizkid&Kyla

8(8)Don't Let Me Down/The Chainsmokers feat Daya

9(9)Cant Stop The Feeling/Justin Timberlake

10(11)Send My Love(To Your New Lover)/Adele

 

ALBUMS
1(1)Suicide Squad/Soundtrack

2(2)Views/Drake

3(-)PARTYNEXTDOOR3/PARTYNEXTDOOR

4(-)Kinda Don't Care/Justin Moore

5(6)Blurryface/twenty one pilots

6(7)Major Key/DJ Khaled

7(-)Stremmlife 2/Rae Stremmurd

8(10)25/Adele

9(9)ANTI/Rihanna

10(5)Now 59/Various Artists

 

author:沢田太陽, category:全米チャート, 18:48
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すごく寒い!

どうも。

 

 

 

リオ五輪の中継で見た方もいらっしゃるかもしれませんが、ブラジル南部、週末から雨が降っててですね、気温が下がってます。今、こっち冬なんですけど、最後の寒波と言うか。夜は寒くて眠気が早く来て、朝は起きるのが億劫、という感じですね。

 

 

なので、本当は、今日書きたいネタがあったんですけど、時間が足りなさそうなので1日ずらします。すみません。

 

author:沢田太陽, category:-, 19:18
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最新全米映画興行成績

どうも。

 

では、月曜恒例、全米映画興行成績、行きましょう(ポスターをクリックするとトレイラーが見れます)。

 

 

1(1)Suicide Squad

2(2)Sausage Party

3(-)War Dogs

4(-)Kubo And The Two Strings

5(-)Ben Hur

6(3)Pete's Dragon3

7(5)Bad Moms
8(4)Jason Bourne

9(6)The Secret Life Of Pets

10(8)Florence Foster Jenkins

 

 

まだ「スーサイド・スクワッド」、一応1位ですが、2000万ドルまで落ちてますね。

 

 

初登場は3つ。まず3位は「War Dogs」。これはジョナ・ヒルと「Whiplash」で当てたマイルズ・テラー主演のバディ・コップ・コメディですね。監督は「ハングオーバー」のトッド・フィリップスです。

 

これ、個人的に期待してたんですが、評判は会心のものではなさそうです。Metacritic、Rottentomatoesともに58点。

 

 

4位初登場は「Kubo And The Two Strings」。これは、昔の日本を舞台にした3Dアニメ。主人公はクボというんですけど、「久保?」って感じはありますね。作者がアメリカ人なので、その辺りの感覚は不思議ですね。

 

 

これ、評判がものすごくいいアニメです。Metacriticで83点、Rottentomatoesでは96点ですよ!オスカーのアニメ部門、狙えますね、これ。ただ、日本が舞台にも関わらず、日本公開のメドがこれ、立ってないのかな?公開日は未定となっています。

 

 

5位初登場は「ベンハー」。あの「十戒」と並ぶ、50年代ハリウッドを代表する歴史劇のリメイクです。これ、こっちでも公開されてますが、「なんでまた、今頃、ベンハーかな?」とも思ってましたが評判悪いですね。Metacriticで38点、Rottentomatoesでは29点です。

 

 

 

 

author:沢田太陽, category:全米映画興行成績, 12:45
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祝・ブラジル・サッカー金メダル!〜国内社会動乱の終止符の象徴になれるか?

どうも。

 

 

 

いや〜、もうね、本当にうれしい!ブラジル、オリンピックで初の金メダルですよ!!

 

 

いやあ、これね。ただ、「ブラジルがサッカーで、五輪で優勝してうれしい」ってだけの話じゃないんですよ,真剣な話。この優勝は、2013年から続いて来た、ブラジル内のもやもや〜としたイヤ〜な空気を乗り切る象徴にもなりうる感じですからね。

 

 

 思えば、2013年から、ブラジル社会には重い空気が立ち込めていたものです。本来なら、2013年のサッカーのコンフェデレーションズ・カップ、2014年のサッカーのワールドカップ、2016年のリオ五輪というのはですね、2000年代に未曾有の経済活況を築き「BRICS諸国」なんて言われ方もされていたブラジルの、伸びゆく経済新興国の絶頂に持っていくべく、ときのルーラ大統領の労働者党(こっちではみんなPTと呼ぶのでここでもPTで行かせてください)政権が2009年までに整えたものなんですね。

 

 

 で、ルーラの後をついで2011年から大統領になった、ブラジル初の女性大統領のジウマも、就任した当時は支持率が70%を超えてて、アメリカでも、当時まだ国務長官だったヒラリーが絶賛したりしたことで、「世界でもっとも影響力のある女性政治家」として、ドイツのアンゲラ・メルケル首相と並んで語られたりもしてましたね。あの時点で、まさかPTが今のようになるなんてブラジル国民も誰も想像してませんでした。

 

 

 しかし!

 

 

 2013年から、ガラッと空気が変わったんです。

 

 

 13年6月、コンフェデがはじまる直前から開催中に、ものすごいデモが起こったのを覚えている方もいらっしゃると思います。あれは今から考えても不思議なデモでした。あの頃から経済状況が翳り出していたとは言え、まだ経済成長がマイナスに転じてたわけではなかったし、PTは福祉重視の政党だから、この経済状況の陰りで貧しい人が「生きるのも大変」といった状況になったわけでもなかったんです。怒っていたのは、ブラジルの経済繁栄を実生活上で実感出来なかった中流以上の人たちだったんですね。ちょうどこの頃、短期間で公共料金の値段があがっていく状況があったんですが、それで生活費が上がって行き、生活に窮屈さを覚える人が多くなっていたんですね。そこで、「ブラジルがあたかも”豊かな国”になったかのような顔しやがって。まだ、自分らの生活が先進国並になるには、保険とか、教育とか、問題はゴロゴロしてるぞ。ワールドカップなんてやめちまえ!」みたいな気運が生まれて、それであんな止めようのない、すごいデモになったわけです。

 

 

 それで、このときに、セレソンがすごく悪者にされてるんですよね。「国にチヤホヤされやがって」みたいな感じでね。で、このときにスペインに圧勝して優勝なんかしたりしたものだから、却って逆効果になってしまったんですね。「あいつら、優勝まで金で買ったんだぜ」みたいな感じでね。ちょうど、その前の年に、PTの代表的な政治家たちが、「メンサロン事件」という、2000年代半ばに起こった汚職事件で有罪判決が出て、懲役刑喰らってたんですね。簡単に言えば、PTが議会での票を他党から買ってたという話なんですが、それで「PTなんて汚い党だ」みたいな風評も強くなってたんですね。

 

 

 ただ、「喉元過ぎれば」という感じで、1年経ったあとのワールドカップでは、世間の社会への怒りはだいぶおさまっていたんですけど、ただ、それでもなんか収まらない不満分子というのはいましてですね、この人たちが強行にセレソンを嫌ってネット上とかでネガキャンやってたんですね。「もう、優勝は決まっている。政府が金で買ってる」とかなんとか言ってね。ネイマールなんかも「ネットと権力が作り上げた虚像のスター」みたいな言われ方もされましてね。そしたら、準々決勝でネイマールが背中からファウルされて骨折して、欠場したら、準決勝のドイツで、あの屈辱の1−7でしょ。国民は、「そんな取り決めなどなかった」ことを、きわめて皮肉な形で知ったわけです。

 

 

 ワールドカップそのものはなんだかんだで運営上はいい印象を残して終わったんですが、社会の情勢はどんどん悪くなって行きます。このワールドカップ前後から、PT政権の別の汚職が明るみになります。それは、ブラジルの企業で稼ぎ頭の半国営の石油公社、ペトロブラスで、その大事業の契約でことごとくゼネコン経由でPTと、連立している大型政党の政治家に賄賂が払われていることが判明したんですね。で、そのダーティ・マネーを解消しなくてはならなくなったことで、ペトロブラスが、「世界の汚職史上最高額クラスの損失」というのを受けましてですね、ここをきっかけにブラジルの経済がマイナス成長になってしまうんです。

 

 

 ちょうど、その14年の10月に次の大統領を選ぶ選挙があったんです。そういうこともわかってる人もいたんで、大統領選挙は非常に拮抗したんですが、まだ、「ラヴァ・ジャット作戦」と呼ばれることになる、そのペトロブラスの事件の全貌が国民に完全にわかりきってしまう前に選挙タイミングが来てしまって、ジウマが僅差で勝ってしまったんですね。この時点だと、まだ、「社会福祉のおかげで生きさせてもらった」と思っている貧しい人が「PTが政権じゃなくなったら、福祉が受けられなくなるかもしれない」と焦って投票しちゃたんですね。PTもそれを強く意識して、貧しい人がいる州に積極的に出向いて、「PSDB(ライバルの企業家寄りの政党)が政権を取るとあなたたちは生きて行けなくなる。彼らは悪魔だ(これ、本当にキャンペーンで言いました)」といって脅し上げての当選だったんですね。

 

 

 このときのPTの選挙マナーがあんまりにもあんまりだったので、かなりの僅差で敗れた野党側から「この選挙は絶対におかしい」として執拗に抗議が起こったんですね。で、ときを同じくして、先のペトロブラスの事件に関して、具体的な政治家名が一気に判明したんですね。で、このくらいから、ペトロブラスの具体的な損失額も発表されたりで、国の経済ガタ落ちで。この頃、ただでさえ、「内需消費」で進んでいた経済も続々と頭打ちになって、自動車工場で依願退職者を募るような状況が重なって来て、5%くらいになっていた失業率も10%くらいまで上がって。このあたりから、70%あったジウマの支持率も、10%切るまで落ちるという状況がおこりはじめ、「責任とって大統領やめろ!」という国民の声も高まっていきました。

 

 

 一方、同じ頃に、サッカーも「1−7からの立て直し」をはかるべく進んでいましたが、これが国民をまたイライラさせます。それは後任監督がドゥンガになったからですが、その理由というのが、ブラジル・サッカー連盟が契約したリナルディというコーディネーターがドゥンガの古い友人だったから、という「戦術や戦力よりコネ」が優先されてしまったからなんですね。特にこのリナルディが、選手のマネージメント契約をする会社の社長だったこともあって、「彼の利益に会わない選手は選ばれないということか」という疑問が強まってしまったんですね。加えて、翌2015年、ブラジル・サッカー連盟のワールドカップ時の会長が、FIFAのスキャンダル絡みで逮捕されてしまったんですね。今の会長もアメリカに行くと逮捕される状況だったんじゃなかったかな。そんなこともあり「サッカー=汚い」のイメージがついてしまいます。

 

 

 さらに、コパ・ブラジルでも惨敗し、2018年用のワールドカップの南米予選でも、セレソンの成績がいまひとつパッとしないので、国民のあいだのイライラは惨敗の時以上に募ってたんですね。

 

 

 そして2016年、まず社会が一転します。その前年の後半に、ジウマが銀行からの不正借り入れの額を上げ過ぎて、財政をズタズタにしていたことが判明して罷免案が具体的に進行しますが、それを後押ししたのが、彼女の親玉のルーラ元大統領の不正だったんですね。これまで、どんなに党に不正が生じようが、ルーラ本人には一切疑いが生まれなかったんですが、大統領隠居後に住もうとしていた豪邸の改築を、ゼネコンに彼らの自己負担でやってもらっていたことが発覚したんですね。大統領の豪邸なので、「サービス」といったところですごい額になるわけです。そこで収賄でルーラが逮捕されそうになったんですが、それをさせないために、ジウマがよりによってルーラを官房長官に就けることによって逮捕を逃させようとしたんですね。これに国民が激怒してしまい、罷免が一気に進んでしまいます。

 

 

 さらに、副大統領だったテメルという、連立している民主運動党(PMDB)という、古株のポピュリスト政党の長をやってた人がですね、かねてからのジウマとの確執に「もう、やってられない」と裏切って、党を連立から抜けさせ、自分だけ副大統領として残ったんですね。つまり、「党にジウマの罷免の後押しをさせて、罷免になったら自分が大統領に昇格する」というシナリオです。このやり方は「汚い!」「自分の党もPT以上に汚職に絡んでいるくせに」と強い反感も受けました。特にPT支持者を左翼傾向がかなり強い人たちからは「クーデター」などとも呼ばれましたね。特にPTの場合はアメリカの民主党みたいに芸能系の支持者が多い政党なので、ミュージシャンとか役者のプロテストもかなり多かったものです。ただ、PTの汚職支配と経済失政に怒る人はそれ以上の人口だったこともあり、ジウマは議会の投票で5月に停職処分となり、PTが政権から下野することになりました。そこから現在までは、テメルが「ジウマが正式に大統領を罷免されるまで」の期間限定で大統領代行をやっている状況です。僕自身も、基本がリベラル支持なので、本来ならPTは応援したいはずなんですけど、「弱者の味方」みたいな顔して不正の規模がひどすぎるのは、政権担当政党としてはちょっと・・。現状の政権でも別に極右政権とかでは全くないわけだし。その後、ジウマ自身も選挙コーディネーターが収賄で逮捕されたりもしてますしね。

 

 

 

 そして、サッカーの方も7月、ドゥンガが「コパ・アメリカ100周年記念大会」というので、予選落ちする屈辱の負け方をしたために解任されたんですね。これにより、オリンピックの方も彼が「メンバーの選出権」みたいなものは持っていたんですが、現場式担当のU20の監督のミカーレがそのまま全権指揮をとることになりました。

 

 

・・と、このような形で、オリンピックとサッカーを迎えていたわけです。

 

 

 どちらも、「直前になってのギリギリの再建」だったわけです。これには「直前になって、何やってんだよ!」という国際的批判も多かったこともたしかです。やれ、「オリンピックの年に大統領の罷免とかありえない」とか「ジカ熱っていうのはどうなってるんだ」とか「会場設営は終わるのか?」とか「財政難で選手の強化費が打ち切られたというが本当か?」とか「テロは起こらないのか?」とか、もう散々言われ放題でした。

 

 

 サッカーも、南アフリカとイラクに2試合連続で0ー0で引き分けたときは、散々な言われようでしたよね。「予選落ちだな」とか「女子の方が全然強いとか」。

 

 

 ただ、僕は今回の五輪代表は思い入れもって応援してたんですよ。というのも、去年のU20ワールドカップのときから、今回のチームは見てましたんで。そのとき準優勝だったんですけど、決勝で延長戦で負けたけどすごく善戦したたりしてたんで。また、ガビゴルもガブリエル・ジェズスも、2014年くらいにまだ17歳だったのかな。出て来たときから話題は耳にしてたし、2人とも今年になって成長が大きく、実際にマンチェスター・シティだのユベントスだのが狙うクラスになってうれしくもあったし。「この世代が育つと”ネイマール以外はフォワード弱い”と言われてたのが解消するな」と思ってたんですね。だからすごく期待してたんです。

 

 

 で、しばらくして試合重ねたら、ネイマール、ガビゴル、ジェズスの3人に、ルアンを加えた4人の前線で強力カルテットが出来てる一方、守りもメチャクチャ堅いことも判明して。マルキーニョスはすでにセレソンでも半分レギュラー格でしたけど、彼とホドリゴ・カイオとのコンビは鉄壁で、それがボランチのワレシと重なると相手がつけこめない感じになることもわかって。決勝後半まで、実際、無失点だったわけですからね。あと、左のサイドバックのダグラス・サントスも良いし、今日は右の方のゼッカもよかったですね。

 

 

 相手も今日はドイツだったわけですが、ワールドカップの惨敗がトラウマになってなく、ちゃんと向かって攻めていたのがよかったですね。特に延長はドイツの方が足が止まってて、かなり猛攻を仕掛けることができましたしね。あとドラマもうまくできてましたね。ネイマールの1点目のFKも、これまで見た中でも屈指の素晴らしさでしたけど、やっぱPK戦ですね。よりによって5人目で相手のシュートを止めるというのは!あのキーパーのウェーベルトンって人は、OA枠なんですけど、大会直前にけが人の代理で入ったキーパーなんですね。しかも急過ぎたんで、国内選手の彼に白羽の矢が立ったんですけど、これまでセレソン経験もなんにもない、そんなに強くないチームのキーパーですよ、彼!それがミカーレの勘と、今年の国内リーグでPK阻止率が1位というデータで決まったんですけど、それがネイマールが蹴る直前に当たるとはねえ〜。

 

 

 で、オリンピックの方も、開幕式は世界的に絶賛されるは、ジカ熱なんて話はそもそも冬に蚊は出ないから杞憂だったことがわかるは、ライアン・ロクテの強盗事件は嘘だとわかるは、心配されたブラジルのメダルの数も、金の数、全体の数、共に自己最高を記録するは、さらにはIOCから「リオ五輪は成功。また、ここで開催してもいい」と言われるは!ワールドカップのときも、「土壇場で運営、上手くいったね」と思いましたが、まあ、細かく言えば問題は絶対あるはずなんですが(笑)、上手く行ってるんじゃないかと僕も思いますもんね。これは、サッカーの優勝を仮に抜きにしてもですよ。

 

 

 

 このまま閉会式まで、悪いことが何も起きない(できたら男子バレーは金メダルほしいですが)でシメてほしいですけどね。これが終われば、来週の木曜から、いよいよジウマの罷免を問う弾劾裁判がはじまります。ここが予想どおりにちゃんと罷免が成立して、一部で「不況の底をついた」とかなんとかも言われはじめつつある(真偽のほどはわかりませんが)経済状況も良くなりゃいいんですけどね。でも、なにか、「憑き物みたいなものは取れるんじゃないかな」とほのかに甘い期待はしています。あと、サッカーの方も、セレソンのプリンシパル(A代表)の監督が9月から、国でもっとも信頼されている、コリンチャンス2012年クラブ世界一の時の監督のチッチになるので楽しみです。

 

 

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author:沢田太陽, category:ブラジル, 11:42
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